説明

入力装置及び画像表示装置

【課題】ボタン操作に不慣れなユーザーであっても、複数の機能を容易に操作することが可能な入力装置及び画像表示装置を提供する
【解決手段】可撓性を有する基材20と、基材20が曲がっていることを検出する屈曲検出手段21、22と、基材20が挟持されていることを検出する挟持検出手段221〜224と、を有する被操作装置14と、屈曲検出手段21、22と挟持検出手段221〜224に接続し、屈曲検出手段21、22により基材20が曲がっていると検出された場合には屈曲検出信号を出力し、挟持検出手段221〜224により基材20が挟持されていると検出された場合には挟持検出信号を出力する出力部132を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、写真や動画等の画像を表示する画像表示装置等には、これを操作するために設けられた被操作部が設けられている。この被操作部には、様々な種類のボタンが設けられており、ユーザーがボタンを操作することで、操作パネルの出力手段から画像を表示する表示部に様々な信号が出力される。その為、このような画像表示装置は、ユーザーが被操作部を操作することによって、表示部に表示される画像を変更したり、画像を拡大、縮小したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−35662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像の変更や拡大、縮小といった複数の機能を選択する際に、ユーザーは、各機能毎に異なるボタンを押したり、複数種類のボタンを機能毎に割り当てられた順番に押したりする必要がある。その為、ボタン操作に不慣れな高齢者等のユーザーには、複数のボタンの機能を理解した上で、小さなボタンを押して機能を選択するのは非常に困難である。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ボタン操作に不慣れなユーザーであっても、複数の機能を容易に操作することが可能な入力装置及び画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の入力装置は、可撓性を有する基材と、前記基材が曲がっていることを検出する第1検出手段と、前記基材が挟持されていることを検出する第2検出手段と、を有する被操作手段と、前記第1検出手段と前記第2検出手段に接続し、前記第1検出手段により前記基材が曲がっていると検出された場合に第1信号を出力し、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合に第2信号を出力する出力手段と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、ユーザーが基材を曲げると、第1検出手段により基材が曲がっていることが検出され、ユーザーが基材を挟持すると、第2検出手段により基材が挟持されていることが検出される。そして、第1検出手段により基材が曲がっていると検出された場合には、出力手段が第1信号を出力し、第2検出手段による基材が挟持されていると検出された場合には、出力手段が第1信号とは別の第2信号を出力する。即ち、ユーザーが基材を曲げる、若しくは、基材を挟むという簡単な操作を行うだけで、出力手段から異なる種類の信号を出力させることができる。これにより、ユーザーが、入力された信号により機能が変わる電子機器等を使用する際に、本発明の入力装置を用いることで、複雑なボタン操作をせずに簡単に電子機器の機能を選択することができる。
【0008】
第2の発明の入力装置は、第1の発明において、前記第2検出手段は、接触部位を有しており、さらに、ユーザーが前記接触部位に接触して前記基材を挟持することで、第2検出手段は、前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、 前記接触部位は、前記基材の周縁部分に配置されていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、接触部位が基材の周縁部分に配置されている為、ユーザーが接触部位に触れ易く、操作性が良い。
【0010】
第3の発明の入力装置は、第1の発明において、前記基材は矩形形状を有し、前記第2検出手段は、接触部位を有しており、さらに、ユーザーが前記接触部位に接触して前記基材を挟持することで、第2検出手段は、前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、前記接触部位は、前記基材の四隅の部分のうちの少なくとも1つの部分に配置されていることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、接触部位が基材の四隅にある為、基材の他の箇所に配置されている場合に比べて、ユーザーが接触部位の位置を認識し易い。
【0012】
第4の発明の入力装置は、第2又は第3の発明において、前記第1検出手段は、ユーザーによって前記基材が曲げられる際に変形する変形部位を含み、前記接触部位と前記変形部位が、前記基材の同じ位置に配置されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、例えば、ユーザーが接触部位に接触したまま基材を曲げると、第1検出手段により基材が曲がっていることが検出される為、ユーザーが基材を持ち替えずに出力手段から出力する第1信号と第2信号を切り替えることができる。
【0014】
第5の発明の入力装置は、第4の発明において、前記第1検出手段と前記第2検出手段は、前記基材の表面部分に設けられる第1圧電層と、前記基材の裏面部分に設けられる第2圧電層と、前記第1圧電層に配置され、前記出力手段に接続されており、前記第1圧電層が変形すると電位が変化する第1電極と、前記第1圧電層に配置され、定電位を有する第2電極と、前記第2圧電層に配置され、前記出力手段に接続されており、前記第2圧電層が変形すると電位が変化する第3電極と、前記第2圧電層に配置され、定電位を有する第4電極と、を含んでおり、前記接触部位と前記変形部位とが、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極、及び、前記第4電極の配置される部位に位置しており、前記第1検出手段は、前記第1電極が前記第2電極よりも電位が大きく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が小さい場合、若しくは、前記第1電極が前記第2電極よりも電位が小さく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が大きい場合には、前記基材が曲がっていると検出し、前記第2検出手段は、前記第1電極が前記第2電極よりも電位が大きく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が大きい場合、若しくは、前記第1電極が前記第2電極よりも電位が小さく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が小さい場合には、前記基材が挟持されていると検出することを特徴とする。
【0015】
例えば、ユーザーが基材の表面部分が凸形状となるように基材を曲げると、第1圧電層は表面に平行な方向に伸張する変形をし、第2圧電層は表面に平行な方向に圧縮する変形をする。それに対し、ユーザーが基材を挟持すると、第1圧電層と第2圧電層はともに、平行な方向に伸張する変形をする。その為、基材が曲がっている場合には、第1電極が第2電極よりも電位が大きく、第3電極が第4電極よりも電位が小さくなるか、若しくは、第1電極が第2電極よりも電位が小さく、第3電極が第4電極よりも電位が大きくなる。これに対し、基材が挟持された場合には、第1電極が第2電極よりも電位が大きく、第3電極が第4電極よりも電位が大きくなるか、若しくは、第1電極が第2電極よりも電位が小さく、第3電極が第4電極よりも電位が小さくなる。
【0016】
この発明によれば、ユーザーが基材を曲げた場合と挟持した場合には、第1電極と第2電極の電位の関係と、第3電極と第4電極の電位の関係が異なる為、この関係に基づいて、第1検出手段と第2検出手段は、基材が曲げられているか、基材が挟持されているか、をそれぞれ検出することができる。その為、第1検出手段と第2検出手段が、圧電層及び電極が兼用される構成であっても、基材の屈曲変形と基材の挟持を区別することができる。
【0017】
第6の発明の画像表示装置は、画像を表示する表示部と、可撓性を有する基材と、前記基材が曲がっていることを検出する第1検出手段と、前記基材が挟持されていることを検出する第2検出手段と、を有する入力手段と、前記第1検出手段と前記第2検出手段に接続し、前記第1検出手段により前記基材が曲がっていると検出された場合に第1信号を出力し、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合に第2信号を出力する出力手段と、前記出力手段及び前記表示部に接続され、前記出力手段から出力された前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記表示部の画像表示に関する制御を行う制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、ユーザーが基材を曲げたり、挟んだりするだけで、表示部に表示される画像表示を制御することができる。その為、ユーザーが画像表示装置を簡単な操作で扱うことができる。
【0019】
第7の発明の画像表示装置は、第6の発明において、前記第2検出手段は、接触部位を有しており、さらに、ユーザーが前記接触部位に接触して前記基材を挟持することで、第2検出手段は、前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、前記接触部位は、前記基材の周縁部分に配置されていることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、接触部位が基材の周縁部分に配置されている為、ユーザーが接触部位に触れ易く、操作性が良い。
【0021】
第8の発明の画像表示装置は、第6の発明において、前記基材は矩形形状を有し、前記第2検出手段は、接触部位を有しており、さらに、ユーザーが前記接触部位に接触して前記基材を挟持することで、第2検出手段は、前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、前記接触部位は、前記基材の四隅の部分のうちの少なくとも1つの部分に配置されていることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、接触部位が基材の四隅にある為、基材の他の箇所に配置されている場合に比べて、ユーザーが接触部位の位置を認識し易い。
【0023】
第9の発明の画像表示装置は、第7又は第8の発明において、前記第1検出手段は、ユーザーによって前記基材が曲げられる際に変形する変形部位を含み、前記接触部位と前記変形部位が、前記基材の同じ位置に配置されていることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、例えば、ユーザーが接触部位に接触したまま基材を曲げると、第1検出手段により基材が曲がっていることが検出される為、ユーザーが基材を持ち替えずに出力手段から出力する第1信号と第2信号を切り替えることができる。
【0025】
第10の発明の画像表示装置は、第9の発明において、前記第1検出手段と前記第2検出手段は、前記基材の表面部分に設けられる第1圧電層と、前記基材の裏面部分に設けられる第2圧電層と、前記第1圧電層に配置され、前記出力手段に接続されており、前記第1圧電層が変形すると電位が変化する第1電極と、前記第1圧電層に配置され、定電位を有する第2電極と、前記第2圧電層に配置され、前記出力手段に接続されており、前記第2圧電層が変形すると電位が変化する第3電極と、前記第2圧電層に配置され、定電位を有する第4電極と、を含んでおり、前記接触部位と前記変形部位とが、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極、及び、前記第4電極の配置される部位に位置しており、前記第1検出手段は、前記第1電極が前記第2電極よりも電位が大きく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が小さい場合、若しくは、前記第1電極が前記第2電極よりも電位が小さく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が大きい場合には、前記基材が曲がっていると検出し、前記第2検出手段は、前記第1電極が前記第2電極よりも電位が大きく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が大きい場合、若しくは、前記第1電極が前記第2電極よりも電位が小さく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が小さい場合には、前記基材が挟持されていると検出することを特徴とする。
【0026】
例えば、ユーザーが基材の表面部分が凸形状となるように基材を曲げると、第1圧電層は表面に平行な方向に伸張する変形をし、第2圧電層は表面に平行な方向に圧縮する変形をする。それに対し、ユーザーが基材を挟持すると、第1圧電層と第2圧電層はともに、平行な方向に伸張する変形をする。その為、基材が曲がっている場合には、第1電極が第2電極よりも電位が大きく、第3電極が第4電極よりも電位が小さくなるか、若しくは、第1電極が第2電極よりも電位が小さく、第3電極が第4電極よりも電位が大きくなる。これに対し、基材が挟持された場合には、第1電極が第2電極よりも電位が大きく、第3電極が第4電極よりも電位が大きくなるか、若しくは、第1電極が第2電極よりも電位が小さく、第3電極が第4電極よりも電位が小さくなる。
【0027】
この発明によれば、ユーザーが基材を曲げた場合と挟持した場合には、第1電極と第2電極の電位の関係と、第3電極と第4電極の電位の関係が異なる為、この関係に基づいて、第1検出手段と第2検出手段は、基材が曲げられているか、基材が挟持されているか、をそれぞれ検出することができる。その為、第1検出手段と第2検出手段が、圧電層及び電極が兼用される構成であっても、基材が曲がっていることと基材が挟持されていることを区別して検出できる。
【0028】
第11の発明の画像表示装置は、第7〜第10の何れかの発明において、前記接触部位は、第1接触部位と第2接触部位とを有しており、前記制御手段は、複数の画像を複数の階層に分けて表示するように前記表示部の制御を行うものであり、さらに、前記制御手段は、ユーザーが前記第1接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、表示されている画像とは異なる階層の画像を、前記表示部に表示させる制御を行うとともに、ユーザーが前記第2接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、表示されている画像と同じ階層内の別の画像を、前記表示部に表示させる制御を行うことを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、ユーザーは、基材を挟む部位を変えるだけで、表示部に、同じ階層内の別の画像を表示させる、若しくは、別の階層の画像を表示させるという操作を行うことができる。その為、ユーザーが被操作手段を操作し易い。
【0030】
第12の発明の画像表示装置は、第11の発明において、前記基材は矩形形状を有しており、前記第1接触部位は、前記基材を画定する辺のうちの対辺を構成する一対の第1辺の近傍の部分に配置され、前記第2接触部位は、前記一対の第1辺とは別の、前記基材の対辺を構成する一対の第2辺の近傍の部分に配置されていることを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、第1接触部位と第2接触部位が離れて配置されている為、ユーザーが第1接触部位を挟持したときに、第2接触部位には接触せず、誤動作が発生しにくい。
【0032】
第13の発明の画像表示装置は、第6〜第12の何れかの発明において、被記録媒体に画像を記録する画像記録部と、前記画像記録部に、前記表示部に表示される画像を被記録媒体に記録させる記録制御手段と、をさらに備えていることを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、表示部に表示される画像を記録することができる。
【0034】
第14の発明の画像表示装置は、第13の発明において、前記記録制御手段は、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、前記画像記録部に記録を行わせることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、ユーザーが基材を挟むと記録が行われる為、ボタンを押して複雑な操作をすることで記録が実行される場合に比べると、ユーザーが直感的に画像表示装置を操作できる。
【0036】
第15の発明の画像表示装置は、第14の発明において、前記第2検出手段は、接触部位を有しており、さらに、ユーザーが前記接触部位に接触して前記基材を挟持することで、第2検出手段は、前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、前記接触部位は、第3接触部位と第4接触部位とを有しており、前記記録制御手段は、ユーザーが前記第3接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、前記画像記録部に記録を行わせ、ユーザーが前記第4接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、前記画像記録部が記録を行っている際にその記録を中止させることを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、ユーザーが基材を挟むだけで、記録と記録の中止とを画像記録部に行わせるように操作することができる。
【0038】
第16の発明の画像表示装置は、第14の発明において、前記画像記録部は、被記録媒体の片面又は両面に画像を記録するように構成され、前記記録制御手段は、前記第1検出手段と前記第2検出手段の検出結果に基づいて、前記画像記録部に記録を行なわせるように構成されており、前記第2検出手段は、第5接触部位を有し、さらに、ユーザーが前記第5接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、前記記録制御手段は、ユーザーが前記基材を曲げることによって、前記基材が曲げられていることを前記第1検出手段が検出した場合には、前記画像記録部に被記録媒体の片面に記録を行わせ、ユーザーが前記第5接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、前記画像記録部に被記録媒体の両面に記録を行なわせることを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、ユーザーが基材を曲げた場合には、被記録媒体の片面に記録が行なわれ、ユーザーが基材を挟持した場合には、被記録媒体の両面に記録が行なわれる。ユーザーが基材を挟持する操作が、被記録媒体の両面を連想させる為、ユーザーが操作を記憶し易い。
【0040】
第17の発明の画像表示装置は、第14の発明において、前記画像記録部は、被記録媒体に画像を記録するとともにこれを綴じるステイプル記録機能と、被記録媒体を綴じずに画像を記録する通常記録機能とを有しており、前記記録制御手段は、前記第1検出手段と前記第2検出手段の検出結果に基づいて、前記画像記録部に記録を行なわせるように構成されており、前記第2検出手段は、第6接触部位を有し、さらに、ユーザーが前記第6接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、前記記録制御手段は、ユーザーが前記基材を曲げることによって、前記基材が曲げられていることを前記第1検出手段が検出した場合には、前記画像記録部に前記通常記録機能を用いた記録を行わせ、ユーザーが前記第6接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、前記画像記録部に前記ステイプル記録機能を用いた記録を行なわせることを特徴とする。
【0041】
この発明によれば、ユーザー基材を曲げた場合には、被記録媒体を綴じない通常の記録が行なわれ、ユーザーが基材を挟持した場合には、被記録媒体を綴じるステイプル記録が行われる。ユーザーが基材を挟持する操作が、被記録媒体を綴じるステイプルを連想させる為、ユーザーが操作を記憶し易い。
【0042】
第18の発明の画像表示装置は、第6〜第17の何れかの発明において、前記第1検出手段は、前記基材の表面に配置された導電性材料からなり、前記基材の変形に応じて電気抵抗が変化する電気抵抗体を有することを特徴とする。
【0043】
この発明における第1検出手段の検出原理は、歪みケージによる歪み測定原理と同様である。即ち、基材が曲げられると、この基材表面に設けられた電気抵抗隊が、基材とともに伸縮することによって、電気的交代の電気抵抗が変化する。その為、この発明によれば、電気抵抗体の電気抵抗の変化から、基材が曲げられていることを検出することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、ユーザーが基材を曲げる、若しくは、基材を挟むという簡単な操作を行うだけで、出力手段から異なる種類の信号を出力させることができる。これにより、ユーザーが、入力された信号により機能が変わる電子機器等を使用する際に、本発明の入力装置を用いることで、複雑なボタン操作をせずに簡単に電子機器の機能を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の本実施形態に係るプリンタの概略斜視図である。
【図2】本実施形態のプリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】被操作装置を示す平面図である。
【図4】図3のC1線に切断した断面を矢印Bの方向から見た被操作装置の断面図である。
【図5】C2線周りに紙面向こう側へ凸となるように屈曲したときの入力装置の状態を示す平面図である。
【図6】図5のC1線に切断した断面を矢印Bの方向から見た被操作装置の断面図である。
【図7】図5のC2線に切断した断面を矢印Cの方向から見た被操作装置の断面図である。
【図8】C2線周りに紙面手前側へ凸となるように屈曲したときの被操作装置の状態を示す平面図である。
【図9】図8のC1線に切断した断面を矢印Bの方向から見た被操作装置の断面図である。
【図10】図8のC2線に切断した断面を矢印Cの方向から見た被操作装置の断面図である。
【図11】C3線周りに紙面向こう側へ凸となるように屈曲したときの被操作装置の状態を示す平面図である。
【図12】図11のC1線に切断した断面を矢印Bの方向から見た被操作装置の断面図である。
【図13】図11のC2線に切断した断面を矢印Cの方向から見た被操作装置の断面図である。
【図14】C3線周りに紙面手前側へ凸となるように屈曲したときの被操作装置の状態を示す平面図である。
【図15】図14のC1線に切断した断面を矢印Bの方向から見た被操作装置の断面図である。
【図16】図14のC2線に切断した断面を矢印Cの方向から見た被操作装置の断面図である。
【図17】被操作装置の屈曲変形の態様に対して割り付けられた画像変更処理の内容を示す図である。
【図18】第1変更形態の被操作装置の平面図である。
【図19】図18のC4線に切断した断面を矢印Bの方向から見た被操作装置の断面図である。
【図20】第1変更形態のプリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図21】第1変更形態の被操作装置の右上角部が裏面側に折り曲げられた状態を示す概略斜視図である。
【図22】図21のC5線に切断した断面を矢印Cの方向から見た被操作装置の断面図である。
【図23】第1変更形態の被操作装置の右上角部がユーザーに挟持された状態を示す概略斜視図である。
【図24】図23のC5線に切断した断面を矢印Cの方向から見た被操作装置の断面図である。
【図25】第4変更形態の被操作装置を示す平面図である。
【図26】第5変更形態の被操作装置を示す平面図である。
【図27】第6変更形態の被操作装置を示す平面図である。
【図28】ディスプレイの画像表示枚数変更に関する説明図である。
【図29】第8変更形態に係るプリンタの概略斜視図である。
【図30】第8変更形態のプリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図31】姿勢識別部を有する被操作装置の一例を示す図である。
【図32】姿勢識別部を有する被操作装置の、別の一例を示す図である。
【図33】姿勢識別部を有する被操作装置の、さらに別の一例を示す図である。
【図34】姿勢検出センサを備えた形態における、プリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図35】第11変更形態に係る画像表示装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るプリンタの斜視図、図2は、プリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【0047】
<プリンタの構成>
図1、図2に示すように、プリンタ1(本発明の画像表示装置に相当)は、印刷用紙P(本発明の被記録媒体に相当)に画像を記録する記録ヘッド2(本発明の画像記録部に相当)と、印刷用紙Pを前方向(図1の前方向に相当)へ搬送する搬送機構3と、記録ヘッド2及び搬送機構3を含む、プリンタ1の各種機構をそれぞれ制御する制御装置4を備えている。
【0048】
図2に示すように、プリンタ1は、直方体状のプリンタ本体6を有し、このプリンタ本体6内に、記録ヘッド2、搬送機構3、及び、制御装置4等が収容されている。記録ヘッド2としては、インクジェット方式や、レーザー方式、あるいは、熱転写方式等、公知の方式で印刷用紙Pに印刷を行うものが用いられる。この記録ヘッド2は、画像データが記録されたデータ記録媒体7がプリンタ1に接続された状態で、制御装置4からの指令に基づいて、データ記録媒体7から入力された、画像データ(画像ファイルともいう)の画像を印刷用紙Pに記録する。尚、以下の説明において、1つの画像データとは、1枚の画像を構成するひとまとまりのデータの集合体を意味するものとする。
【0049】
プリンタ本体6の下半部はその一部が前方に開放されており、この開放部分には、印刷用紙Pが収容される給紙トレイ9と、画像が記録された印刷用紙Pが排出される排紙トレイ8が設けられている。そして、搬送機構3は、モータで回転駆動される搬送ローラによって、給紙トレイ9内の印刷用紙Pを、プリンタ本体6内の記録ヘッド2へ搬送するとともに、記録ヘッド2により画像が記録された印刷用紙Pを前方の排紙トレイ8へ排出する。
【0050】
プリンタ本体6の下半部前面の、給紙トレイ9及び排紙トレイ8の側方位置には、カートリッジ装着部10が設けられており、このカートリッジ装着部10には、イエロー、マゼンタ、シアン、及び、ブラックの4色のインクをそれぞれ収容した4つのインクカートリッジ11が着脱自在に装着される。
【0051】
プリンタ本体6の上部は、図1の紙面手前側に位置するユーザーに向けて、前方に傾斜しており、この傾斜面6aには、ユーザーにより操作される複数の操作ボタン12が設けられている。
【0052】
さらに、プリンタ1は、可撓性を有するシート状の基材20、及び、この基材20の表面に配置され、基材20が曲がっていること(以下、屈曲変形という)を検出する2つの屈曲検出部21、22と、4つの挟持検出部221、222、223、224を有する被操作装置14を備えている。図3、図4に示すように、この被操作装置14の基材20の表面(上面ともいう)には、それ全体として可撓性を有するディスプレイ13(本発明の表示部に相当)が設けられており、このディスプレイ13は、基材20と一体的に屈曲変形可能となっている。このようなディスプレイ13としては、厚みが10分の数ミリ程度と、紙と同等の厚みであって、電圧印加等によってデータ表示及び消去が可能な、いわゆる、電子ペーパーを挙げることができる。尚、図1に示すように、被操作装置14とディスプレイ13は、ケーブル15を介して、プリンタ本体6内に格納された制御装置4(図2参照)に接続されている。
【0053】
そして、ユーザーがディスプレイ13に表示させる画像を変更したい場合には、被操作装置14の基材20は、ユーザーによって紙を曲げるように操作される。このとき、基材20に生じた屈曲変形は、2つの屈曲検出部21、22により検出される。そして、屈曲検出部21、22により検出された基材20の屈曲変形の態様に基づいて、制御装置4がディスプレイ13に表示させる画像を変更するように構成されている。
【0054】
また、ユーザーが基材20の左下角部を挟むと、制御装置4は、ディスプレイ13にホーム画面を表示させる制御を行う。
【0055】
<被操作装置の構成>
以下、被操作装置14について図3、図4を用いて具体的に説明する。尚、被操作装置は、図3の上下が図1の前後方向、図3の左右が図1の左右方向となるように配置した状態で説明する。図3、図4に示すように、被操作装置14は、平面視で矩形形状に形成される基材20と、基材20の表裏面にそれぞれ積層する圧電層23a、23bと、これらの圧電素子23a、23bに積層する絶縁層26a、26bとを備えている。
【0056】
圧電層23bの中央部分には、2つの第1電極24a、24bと、2つの第2電極25a、25bが配置されており、圧電層23aの表面の四隅には、4つの第1電極124a、124b、124c、124d(本発明の第1電極に相当)と、4つの第2電極125a、125b、125c、125d(本発明の第2電極に相当)がそれぞれ配置されている。同様に、圧電層23bの表面の四隅には、第1電極224a、224b、224c、224d(本発明の第3電極に相当)と、第2電極225a、225b、225c、225d(本発明の第4電極に相当)が配置されている。尚、第1電極224a、224b、224c、224dと、第2電極225a、225b、225c、225dについては、図3、図4での図示を省略する。
【0057】
基材20は、可撓性を有しており、ポリイミド等の合成樹脂材料からなるシート材、あるいは、アルミニウム合金やステンレス等の金属材料からなる薄板等を用いて構成されている。
【0058】
圧電層23は、例えば、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZTともいう)を主成分とする圧電材料からなり、基材20の裏面全体を覆うように形成されている。この圧電層23は、例えばエアロゾルデポジション法や、スパッタ法、ゾルゲル法等によって基材20に形成される。
【0059】
絶縁層26a、26bは、ポリイミド等の絶縁性を有する合成樹脂材料で構成され、圧電層23a、23bの表面にそれぞれ被覆されている。
【0060】
第1電極24aと第2電極25aは、櫛歯状の形状を有しており、互い違いに配置されている。また、第1電極24bと第2電極25bも、櫛歯状の形状を有しており、互い違いに配置されている。第1電極24aと第2電極25a、及び、第1電極24bと2つの第2電極25bは、互いが平行となるように配置されている。これら第1電極24及び第2電極25は、金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタンなどの導電性材料により、スクリーン印刷法や蒸着法等を用いて形成される。
【0061】
第1電極24a及び第2電極25aは、基材20の長手方向(図3の左右方向に相当)に延在し、第1電極24b及び第2電極25bは、基材20の短手方向(図4の上下方向に相当)に延在しており、互いの延在方向が直交して配置されている。
【0062】
図3に示すように、第1電極24aは、配線27に接続され、第1電極24bは、配線28に接続されている。配線27、28は、制御装置4(図2参照)に接続されている。また、第2電極25aと第2電極25bは、共通配線29に接続されている。この共通配線29は、制御装置4側に設けられたグランド配線に接続されており、共通配線29を介して、第2電極25aと第2電極25bが常にグランド電位(本発明の定電位に相当)に保持されている。
【0063】
尚、製造段階において、第1電極24a、24bに低電位(例えば、0V(グランド電位))、第2電極25a、25bに高電位(例えば、50V)がそれぞれ印加されることにより、第1電極24aと第2電極25aの間の圧電層23bの部分が、第2電極25aから第1電極24aに向かう方向に分極され、第1電極24bと第2電極25bの間の圧電層23bの部分が、第2電極25bから第1電極24bに向かう方向に分極される。
【0064】
4つの第1電極124a、124b、124c、124dと、4つの第2電極125a、125b、125c、125dは、櫛歯状の形状を有している。そして、第1電極124aと第2電極125aは、互いに平行に配置され、且つ、互い違いとなるように配置される。第1電極124b、124c、124dと、第2電極125b、125c、125dについても、第1電極124aと第2電極125aと同様の形状を有するとともに、同じように配置される。同様に、4つの第1電極224a、224b、224c、224dと、4つの第2電極225a、225b、225c、225dは、櫛歯状の形状を有するとともに、互いに平行に配置され、さらに、互い違いに配置される。
【0065】
基材20の右上角部に位置する第1電極124aと第2電極125aの延在方向は、基材20の長手方向(第1電極24aの延在方向に相当)に対して右回り方向(時計回り方向ともいう)に45°、基材20の短手方向(第1電極24bの延在方向に相当)に対して左回り方向(反時計回り方向ともいう)に45°傾いた方向となっている。同様に、基材20の左上角部に位置する第1電極124dと第2電極125dの延在方向は、基材20の長手方向(第1電極24aの延在方向に相当)に対して左回り方向(反時計回り方向ともいう)に45°、基材20の短手方向(第1電極24bの延在方向に相当)に対して右回り方向(時計回り方向ともいう)に45°傾いた方向となっている。第1電極124b、124c、及び、第2電極125b、125cについては説明を省略する。また第1電極224a、224b、224c、224dと第2電極225a、225b、225c、225dについても、第1電極124a、124b、124c、124dと、第2電極125a、125b、125c、125dと同様に構成される。
【0066】
尚、第1電極124a、124b、124c、124dと、第2電極125a、125b、125c、125d、及び、第1電極224a、224b、224c、224dと、第2電極225a、225b、225c、225dは、金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタンなどの導電性材料により、スクリーン印刷法や蒸着法等を用いて形成される。
【0067】
図3に示すように、第1電極124aは、配線127aに接続され、第1電極124bは、配線128aに接続されている。また、第1電極124cは、配線127bに接続され、第1電極124dは、配線128bに接続されている。配線127a、127b、128a、128bは、制御装置4(図2参照)にそれぞれ接続されている。第2電極125aと第2電極125bは、共通配線129aに接続されている。また、第2電極125cと第2電極125dは、共通配線129bに接続されている。共通配線129aと129bは、共通配線29と同様、制御装置4側に設けられたグランド配線に接続されており、共通配線129a、129bを介して、第2電極125a、125b、125c、125dが常にグランド電位に保持されている。
【0068】
尚、製造段階において、第1電極124a、124b、124c、124dに低電位(例えば、0V(グランド電位))、第2電極125a、125b、125c、125dに高電位(例えば、50V)がそれぞれ印加されることにより、第1電極124aと第2電極125aの間の圧電層23aの部分が、第2電極125aから第1電極124aに向かう方向に分極され、第1電極124bと第2電極125bの間の圧電層23aの部分が、第2電極125bから第1電極124bに向かう方向に分極される。また、第1電極124cと第2電極125cの間の圧電層23aの部分が、第2電極125cから第1電極124cに向かう方向に分極され、第1電極124dと第2電極125dの間の圧電層23aの部分が、第2電極125dから第1電極124dに向かう方向に分極される。尚、圧電層23bに配置される第1電極224a、224b、224c、224dと、第2電極225a、225b、225c、225dについても同様である。
【0069】
尚、第1電極24a、24bと、第2電極25a、25b、及び、屈曲検出部21、21が、本発明の第1検出手段の一例である。また、2つの第1電極24a、24bと、2つの第2電極25a、25bが位置する基材20の部位は、本発明の変形部位の一例である。また、第1電極124a〜124d、第1電極224a〜224dと、第2電極125a〜125d、第2電極225a〜225d、及び、挟持検出部221〜224が、本発明の第2検出手段の一例である。さらに、第1電極24a、24bと、第2電極25a、25bが位置する基材20の部位は、本発明の変形部位の一例であり、第1電極124a〜124dと、第2電極125a〜125dが位置する基材20の部位は、本発明の接触部位の一例である。
【0070】
次に、2つの屈曲検出部21、22が基材20の屈曲変形を検出する際の作用について、図5〜図16を参照して説明する。
【0071】
基材20の屈曲検出部21、22が設けられている領域において屈曲変形が生じて、第1電極24a及び第2電極25aの間の圧電層23bの部分に歪み(変形)が生じると、この歪みに応じて第1電極24aと第2電極25aとの間に電界(即ち、電位差)が発生する。この作用について、基材20の屈曲変形の態様毎に分けて、さらに具体的に説明する。
【0072】
(1)図5〜図10に示すように、基材20にその短手方向に平行なC2線周りの屈曲変形が生じた場合には、基材20とともに、圧電層23aが手前側(上方)又は向こう側(下方)に凸となるように変形する。このとき、屈曲検出部22において、第1電極24bと第2電極25bの間の圧電層23bの部分が、電極延在方向と直交する方向(基材20の長手方向)に沿って伸張又は圧縮される。
【0073】
即ち、図6に破線で示すように、基材20及び圧電層23bがC2線周りに下方に凸となるように曲げられたときには、圧電層23bの表面部分が、その分極方向と平行な方向に伸張される。このとき、圧電層23bの内部に、分極方向と逆方向の電界(即ち、第1電極24bから第2電極25bに向かう方向の電界)が生じ、その結果、第1電極24bに第2電極25bの電位(グランド電位ともいう)よりも高い、正の電位が発生する。
【0074】
また、図9に破線で示すように、基材20及び圧電層23bがC2線周りに上方に凸となるように曲げられたときには、基材20の裏面に設けられた屈曲検出部22において、圧電層23bの表面が、その分極方向と平行な方向に圧縮される。このとき、圧電層23の内部に分極方向と同方向の電界(即ち、第2電極25bから第1電極24bに向かう方向の電界)が生じ、その結果、第1電極24bに第2電極25bの電位(グランド電位ともいう)よりも低い、負の電位が発生する。
【0075】
尚、このとき、もう一方の屈曲検出部21においても、第1電極24aと第2電極25aの間の圧電層23bの部分には変形(伸張又は圧縮に相当)が生じるものの、その変形方向は電極延在方向(基材20の長手方向に相当)と平行であり、屈曲検出部21における圧電層23bの分極方向とは異なる(直交すると同義)方向である。そのため、屈曲検出部21においては、第1電極24aと第2電極25aとの間にはほとんど電位差が生じない。
【0076】
(2)図11〜図16に示すように、基材20にその長手方向に平行なC3線周りの屈曲変形が生じた場合には、先の(1)で説明した屈曲検出部22の作用が、今度は屈曲検出部21に生じる。即ち、屈曲検出部21において、第1電極24aと第2電極25aの間の圧電層23bの部分が、電極延在方向と直交する方向(基材20の短手方向に相当)に沿って伸張又は圧縮される。
【0077】
即ち、図13に破線で示すように、基材20及び圧電層23bがC3線周りに下方に凸となるように曲げられたときには、基材20の裏面に設けられた屈曲検出部21において、圧電層23bの表面が、その分極方向と平行な方向に伸張される。このとき、圧電層23bの内部に、分極方向と逆方向の電界(即ち、第1電極24aから第2電極25aに向かう方向の電界)が生じ、その結果、第1電極24aに第2電極25aの電位(グランド電位ともいう)よりも高い、正の電位が発生する。
【0078】
また、図16に破線で示すように、基材20及び圧電層23bがC3線周りに上方に凸となるように曲げられたときには、基材20の裏面に設けられた屈曲検出部22において、圧電層23bの表面が、その分極方向と平行な方向に圧縮される。このとき、圧電層23bの内部に分極方向と同方向の電界(即ち、第2電極25aから第1電極24aに向かう方向の電界)が生じ、その結果、第1電極24aに第2電極25aの電位よりも低い、負の電位が発生する。
【0079】
このとき、屈曲検出部22に接続する第1電極24bと第2電極25bの間の圧電層23bには変形(伸張又は圧縮ともいう)が生じるものの、その変形方向は電極延在方向(基材20の短手方向と同義)と平行であり、圧電層23bの分極方向とは異なる(直交するともいう)方向である。そのため、屈曲検出部22に接続する第1電極24bと第2電極25bとの間にはほとんど電位差が生じない。
【0080】
このように、第1電極24aと第2電極25a、及び、第1電極24bと第2電極25bは、互いに延在方向が異なって配置されている為、2つの屈曲検出部21、22により、互いに直交する2つの線C2、C3周りの基材20の屈曲変形を、それぞれ区別して検出することができる。
【0081】
(3)上述した(1)、(2)の屈曲変形において、基材20を強い力で屈曲させ、基材20の屈曲速度(曲げ速度)が大きいほど、圧電層23bに生じる電界の大きさが大きくなる。即ち、第2電極25a、25bが常に一定電位(グランド電位)に保持されていれば、基材20の曲げ速度が大きいほど、第1電極24a若しくは第1電極24bの電位(の絶対値)が大きくなる。従って、第1電極24a、24bの電位(の絶対値)の大きさから、基材20に生じた屈曲変形の曲げ速度の違いをも区別して検出することも可能である。
【0082】
以上から、屈曲検出部21と屈曲検出部22からそれぞれ出力された電圧信号(第1電極24の電位と同義)に基づいて、制御装置4は、基材20に生じる複数の屈曲変形の態様を区別して認識することができる。
【0083】
このプリンタ1においては、ユーザーにより、被操作装置14の基材20が、紙を曲げるように、予め定められた所定の態様で曲げられたときには、そのときに基材20に生じる屈曲変形が2つの屈曲検出部21、22により検出され、検出された屈曲変形に応じて、ディスプレイ13に表示される画像が変更される。この画像変更処理の具体的内容については、次の制御装置4の説明において詳細に述べることにする。
【0084】
次に、4つの挟持検出部121〜124が基材20の挟持を検出する作用について説明する。ユーザーが、第1電極124aと第2電極125a、及び、第1電極224aと第2電極225bが位置する基材20の部位を指で挟むと、ユーザーの指が接触する部位に対応する圧電層23aの部位が、その厚み方向に圧縮されることによって、分極方向と平行な方向に伸張する。同様に、ユーザーの指が接触する部位に対応する圧電層23bの部位も、分極方向と平行な方向に伸張する。これにより、圧電層23aの内部には、分極方向と逆方向の電界(即ち、第1電極124aから第2電極125aに向かう方向の電界)が生じ、その結果、第1電極124aに第2電極125aの電位(グランド電位ともいう)よりも高い、正の電位が発生する。同様に、圧電層23bの内部にも、分極方向と逆方向の電界(即ち、第1電極224aから第2電極225aに向かう方向の電界)が生じ、その結果、第1電極224aに第2電極225aの電位よりも高い、正の電位が発生する。
【0085】
このとき、ユーザーは、第1電極124aと第2電極125aが位置する基材20の部位のみを局所的に挟む為、第1電極124b、124c、124dと、第2電極125b、125c、125dが配置される部位に対応する圧電層23aは変形しない。その為、第1電極124b、124c、124dには、第2電極125b、125c、125dよりも高い、正の電位は発生しない。また、第1電極224aと第2電極225aが位置する基材20の部位のみを局所的に挟む為、第1電極224b、224c、224dと、第2電極225b、225c、225dが配置される部位に対応する圧電層23bは変形しない。その為、第1電極224b、224c、224dには、第2電極225b、225c、225dよりも高い、正の電位は発生しない。
【0086】
以上から、4つの挟持検出部121〜124からそれぞれ出力された電圧信号(第1電極124a〜124dに発生する電位ともいう)に基づいて、制御装置4は、挟持を検出した挟持検出部を、4つの挟持検出部121〜124の中から特定して認識することができる。
【0087】
次に、制御装置4を中心とするプリンタ1の電気的な構成について、図2のブロック図を参照して詳細に説明する。制御装置4は、中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、プリンタ1の各種機構を制御するためのプログラムやデータ等が格納されたROM(Read Only Memory)、CPUで処理されるデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、外部装置との間の信号の入出力を行う入出力インターフェース(図示省略)等で構成されている。
【0088】
図2に示すように、制御装置4は、記録制御部30(本発明の記録制御手段に相当)と、データ記録媒体7から入力された画像データが記憶される画像データ記憶部31と、ディスプレイ13を制御する表示制御部32(本発明の表示制御手段に相当)と、記録制御部30と表示制御部32に接続されるとともに、被操作装置14とも接続される出力部132(本発明の出力手段に相当)と、を有する。データ記録媒体7には、データファイルの名前(例えば、アルファベットにより表記)や画像データの作成日時といった、ある所定の条件に基づいて予め順序付けされた複数の画像データが、画像フォルダで区分けされて記録されている。そして、データ記録媒体7がプリンタ1に接続された状態で、データ記録媒体7から読み出された複数の画像データが画像データ記憶部31に記憶される。
【0089】
尚、画像データが記録されたデータ記録媒体7としては、USBメモリーやメモリカード等、プリンタのスロット等に差し込まれることにより接続されるストレージデバイス、あるいは、ケーブル等の有線による通信、あるいは、無線通信により制御装置4と接続される外部記憶装置等が該当する。また、データ記録媒体7に記録されているデータは、デジタルカメラで撮影された静止画像データだけでなく、デジタルビデオカメラで撮影された動画データであってもよい。ここで、動画データとは、時間的に連なった複数の静止画像データの集合体である。この動画データがデータ記録媒体7から入力された場合には、制御装置4において、入力された動画データから複数の静止画像データが抽出され、これらの複数の静止画像データの一部がディスプレイ13に表示されたり、あるいは、印刷用紙Pにその静止画像が記録されたりすることになる。
【0090】
記録制御部30は、画像データ記憶部31に記憶されたデータを参照して、記録ヘッド2と搬送機構3をそれぞれ制御することにより、ユーザーによって選択された画像データの画像を、印刷用紙Pに印刷する処理を行う。また、表示制御部32は、プリンタ1の状態(画像記録中の状態、あるいは、待機状態などを指す)やエラーメッセージ等をディスプレイ13に表示させて、これらの情報をユーザーに通知する。
【0091】
出力部131は、2つの屈曲検出部21、22、及び、4つの挟持検出部121〜124に接続し、これらから出力される電圧信号に基づいて、記録制御部30と表示制御部32にそれぞれ信号を出力する。例えば、屈曲検出部21により基材20が屈曲変形されていると検出された場合には、出力部131は、屈曲検出部21から出力された電圧信号に基づいて、記録制御部30と表示制御部32に屈曲検出信号(本発明の第1信号に相当)を出力する。また、挟持検出部121により基材20が挟持されていると検出された場合には、出力部131は、挟持検出部121から出力された電圧信号にもとづいて、記録制御部30と表示制御部32に挟持検出信号(本発明の第2信号に相当)を出力する。
【0092】
尚、この出力部131は、屈曲検出部21、22から出力される正の電位信号に基づいて、正の電位を有する屈曲検出信号を出力し、屈曲検出部21、22から出力される負の電位信号に基づいて、負の電位を有する屈曲検出信号を出力する
また、記録制御部30は、出力部131から挟持検出信号が入力された場合に、印刷用紙Pへの印刷を実行する機能を有している。例えば、記録制御部30は、挟持検出信号が入力された場合には、記録ヘッド2と搬送機構3を制御して、印刷用紙Pに記録を行なったり、記録を途中で中止したりする制御を行なう。
【0093】
また、表示制御部32は、出力部131から屈曲検出信号が入力された場合、若しくは、挟持検出信号が入力された場合に、ディスプレイ13に表示させる画像を変更する機能を有している。例えば、表示制御部32は、屈曲検出信号が入力された場合には、現在表示されている画像に対して拡大又は縮小といった画像処理や、ある画像データの画像を別の画像データの画像に切り替える処理を施し、挟持検出信号が入力された場合には、機能メニューの一覧が示されたホーム画面に切り替える処理、若しくは、画像のファイルサイズや作成日時等の詳細情報を表示させる処理を施す。また、出力部131は、4つの挟持検出部121〜124から電圧信号が入力された場合に、電圧信号を出力した挟持検出部を特定し、特定した挟持検出部に割り当てられる機能に基づいて、記録制御部30又は表示制御部32に挟持検出信号を出力する。
【0094】
尚、記録制御部30、画像データ記憶部31、及び、表示制御部32は、制御装置4を構成しているCPU、ROM、RAM等により実現されている。言い換えれば、制御装置4のROMに、記録ヘッド2や搬送機構3の制御プログラムや、ディスプレイ13に表示させる画像を変更するプログラムなどの、各種プログラムが格納されており、このROMに格納されたプログラムが、制御装置4のCPUで実行されることで、記録制御部30、画像データ記憶部31、及び、表示制御部32の、それぞれの機能が実現される。
【0095】
尚、本実施形態の被操作装置14と、出力部132が、本発明の入力装置の一例である。
【0096】
(画像変更処理)
ユーザーによって被操作装置14の基材20が曲げられたとき、若しくは、ユーザーによって被操作装置14の基材20が挟持されたときに、表示制御部32により実行される画像変更処理について説明する。
【0097】
前述したように、本実施形態のプリンタ1は、基材20に設けられた2つの屈曲検出部21、22により、ユーザーにより基材20が曲げられる操作がされたときに基材20に生じる複数の屈曲変形の態様を、区別して検出可能である。そこで、図17に示すように、2つの屈曲検出部21、22により区別して検出される6種類の屈曲変形(項目A〜F)に対して、画像の拡大縮小や画像の切り替えに関する6種類の画像変更処理の内容が予め割り付けられている。
【0098】
1)画像の拡大縮小
図5〜図7に示すように、ユーザーによって、矩形シート状の基材20が、その短手方向に平行なC2線周りに、下方(ユーザーから見て向こう側)に凸となるように曲げられた場合(図17の項目A)には、圧電層23bの表面が基材20の長手方向に伸びる。すると、第1電極24bと第2電極25bの間の圧電層23bに分極方向と逆方向(第1電極24bから第2電極25bに向かう方向)の電界が生じ、第1電極24bに正の電位が発生する。この電圧信号を受けて、出力部131は、表示制御部32に正の電位を有する屈曲検出信号を出力する。この信号を受けて、表示制御部32は、C2線周りに、基材20が下方へ凸となるように曲げられたと判断し、表示制御部32は、現在表示されている画像をさらに小さく縮小した縮小画像を、ディスプレイ13に表示させる。
【0099】
また、図8〜図10に示すように、基材20が、その短手方向に平行なC2線周りに、上方(ユーザーから見て手前側)に凸となるように曲げられた場合(図17の項目B)には、圧電層23bの表面が基材20の長手方向に縮む。すると、第1電極24bと第2電極25bの間の圧電層23bに分極方向と同方向(第2電極25bから第1電極24bに向かう方向)の電界が生じ、第1電極24bに負の電位が発生する。この電圧信号を受けて、出力部131は、表示制御部32に負の電位を有する屈曲検出信号を出力する。この信号を受けて、表示制御部32は、C2線周りに、基材20が上方へ凸となるように曲げられたと判断し、表示制御部32は、現在表示されている画像の中央部を拡大した拡大画像を、ディスプレイ13に表示させる。
【0100】
つまり、ユーザーによって、基材20がユーザーから遠ざかるように、ユーザーから見て向こう側(下方)に凸となるように基材20が曲げられたときには、表示制御部32はディスプレイ13に表示されている画像を縮小させる。一方、基材20がユーザーに近づくように、ユーザーから見て手前側(上方)に凸となるように基材20が曲げられたときには、表示制御部32はディスプレイ13に表示されている画像を拡大させる。このように、基材20を近づける操作と画像の拡大が対応し、また、基材20を遠ざける動作と画像の縮小とが対応しているため、画像を拡大縮小させる際の基材20の屈曲操作をユーザーが感覚的に覚えやすいという利点がある。
【0101】
2)画像切り替え(画像の送り/戻し)
図11〜図13に示すように、ユーザーによって、矩形シート状の基材20が、その長手方向に平行なC3線周りに、下方(ユーザーから見て向こう側)に凸となるように曲げられた場合には、圧電層23bの表面が基材20の短手方向に伸びる。ここで、比較的ゆっくりした速度で基材20が下方に凸となるように曲げられた場合(図17の項目C)には、第1電極24aと第2電極25aの間の圧電層23bに分極方向と逆方向(第1電極24aから第2電極25aに向かう方向)の弱めの電界が生じ、第1電極24aに、電位の絶対値が所定値以下となる、比較的小さな正の電位が発生する。この電圧信号を受けて、出力部131は、表示制御部32に正の電位を有する屈曲検出信号を出力する。
【0102】
この信号を受けて、表示制御部32は、C2線周りに、基材20がゆっくりした速度で下方へ凸となるように曲げられたと判断する。そして、画像データ記憶部31に順序づけされた状態で記憶されている複数の画像データの中から、現在ディスプレイ13に表示されている画像データよりも1つ後の画像データを選択し、ディスプレイ13に表示させる画像を、この選択した画像データの画像に切り替える。
【0103】
また、図14〜図16に示すように、ユーザーによって、矩形シート状の基材20が、その長手方向に平行なC3線周りに、上方(ユーザーから見て手前側)に凸となるように曲げられた場合には、圧電層23bの表面が基材20の短手方向に縮む。ここで、比較的ゆっくりした速度で基材20が上方に凸となるように曲げられた場合(図17の項目D)には、第1電極24aと第2電極25aの間の圧電層23bに分極方向と同方向(第2電極25aから第1電極24aに向かう方向)の弱めの電界が生じ、第1電極24aに、電位の絶対値が所定値以下となる、比較的小さな負の電位が発生する。この電圧信号を受けて、出力部131は、表示制御部32に負の電位を有する屈曲検出信号を出力する。
【0104】
この信号を受けて、表示制御部32は、C3線周りに、基材20がゆっくりした速度で上方へ凸となるように曲げられたと判断する。このとき、表示制御部32は、画像データ記憶部31に順序づけされた状態で記憶されている複数の画像データの中から、現在ディスプレイ13に表示されている画像データよりも1つ前の画像データを選択し、ディスプレイ13に表示させる画像を、この選択した画像データの画像に切り替える。
【0105】
さらに、図11〜図16において、基材20が下方又は上方へ凸となるように曲げられるときの屈曲速度が大きいほど、第1電極24aと第2電極25aとの間の圧電層23bに生じる電界は大きくなり、第1電極24aの電位の絶対値は大きくなる。そこで、第1電極24aの電位の絶対値が所定値よりも大きいときには、表示制御部32は、基材20がかなり速い速度で曲げられたと判断する(図17の項目E、F)。このとき、表示制御部32は、ディスプレイ13に、先ほどの処理(図17の項目C、D)よりもさらに粗い間隔(大きな間隔)で表示画像の送り/戻しを行わせる。
【0106】
即ち、表示制御部32は、基材20がかなり速い速度で下方へ凸となるように曲げられたと判断したときには、ディスプレイ13に表示させる画像を、現在表示されている画像よりも5つ後の画像に切り替える。逆に、基材20がかなり速い速度で上方へ凸となるように曲げられたと判断したときには、表示制御部32は、ディスプレイ13に表示させる画像を、現在表示されている画像よりも5つ前の画像に切り替える。
【0107】
つまり、ユーザーは、現在表示されている画像が、表示させたい所望の画像から、順序的にかなりかけ離れた画像であることが分かっている場合には、基材20を速い速度で屈曲させて、ディスプレイ13に表示される画像が短い時間で所望の画像に近づくように、5つずつ画像を送り/戻しさせることができる。その後、表示画像が所望の画像に近づいていくと、今度は、基材20をゆっくりした速度で屈曲させて、表示された画像が所望の画像かどうかを確認しながら、1つずつ画像を送り/戻しさせるということが可能になる。
【0108】
3)画像切り替え(ホーム画面を表示/画像データの詳細情報の表示)
例えば、ユーザーが、基材20(図5、図6参照)の右下角部を挟持した場合、ユーザーによって挟持された基材20の部位が、長手方向(図5の左右方向に相当)及び短手方向(図5の前後方向に相当)に沿って伸びる。このとき、基材20に積層される圧電層23aと圧電層23bは、右下角部の部位が長手方向及び短手方向に沿って伸びる。これにより、第1電極124bと第2電極125bの間の圧電層23a及び圧電層23bの領域において、分極方向と逆方向(第1電極24bから第2電極25bに向かう方向)の電界が生じ、第1電極124b、124bにはともに正の電位が発生する。この電圧信号を受けて、出力部131は、画像表示部32に、挟持検出部122により挟持が検出された情報を有する挟持検出信号を出力する。
【0109】
この信号を受けて、画像表示部32は、ディスプレイ13に表示している画像を、プリンタの機能一覧が表示されるホーム画面に切り替える処理を行う。
【0110】
このように、ユーザーが基材20を挟持した場合と、基材20を屈曲変形させた場合とでは、制御装置4が記録制御部30と表示制御部32とに行なわせる制御を変えることができる。
【0111】
ディスプレイ13に所望の画像が表示された後に、ユーザーが、基材20の右上角部の部位を挟持した場合、このとき、第1電極124aと第2電極125aの間の圧電層23aと、第1電極224aと第2電極225aの間の圧電層23bが、分極方向と平行な方向に伸びる。これにより、第1電極124aと第2電極125aの間の圧電層23aと、第1電極224aと第2電極225aの間の圧電層23bには、分極方向と逆方向(第1電極24bから第2電極25bに向かう方向)の電界が生じ、第1電極124a、124aにはともに正の電位が発生する。この電圧信号を受けて、出力部131は、記録制御部30に、挟持検出部121により挟持が検出された情報を有する挟持検出信号を出力する。
【0112】
この信号を受けて、記録制御部30は、印刷用紙Pに画像の印刷を行わせる処理を実行する。また、記録制御部30が印刷用紙Pに記録を行なう処理を実行している途中で、ユーザーが基材20の左上角部を挟持することによって、記録制御部30は、記録処理を中止させる処理を行なう。
尚、ユーザーが基材20の右上角部と左上角部を同時に挟持して、挟持検出部121と挟持検出部122の電圧信号が出力部131に同時に入力された場合には、出力部131は、ディスプレイ13にエラーメッセージを表示する処理を行うように、画像表示部32に信号を出力する。
【0113】
以上説明した本実施形態のプリンタによれば、ユーザーが、紙を曲げるようにして、可撓性を有するシート状の基材20を変形させると、この基材20の変形は2つの屈曲検出部21、22により検出され、さらに、検出された変形に基づいて、表示制御部32によりディスプレイ13に表示される画像が変更される。また、ユーザーが、紙を挟むように可撓性を有するシート状の基材20を挟持すると、挟持検出部121〜124の少なくとも1つによって検出され、さらに、検出した挟持検出部121〜124に基づいて、表示制御部32により、ディスプレイ13に表示される画像を変更したり、ディスプレイ13に表示される画像を印刷用紙Pに記録したり、若しくは、記録を中止したりすることができる。
【0114】
また、本実施形態のプリンタによれば、ユーザーが基材20を曲げる、若しくは、基材を挟むという簡単な操作だけで、画像の拡大縮小や画像の切り替え(送り/戻し)、表示された画像を印刷用紙に記録をしたり、その記録の中止を行なったりすることができる。従って、これらの機能を選択して実行する為に、複数の操作ボタン12等を複雑に操作する必要がなく、機器の操作が苦手なユーザーであっても、簡単にプリンタを操作することができる。
【0115】
また、ディスプレイ13はそれ全体として可撓性を有し、さらに、このディスプレイ13は、基材20に設けられて基材20と一体的に変形可能に構成されている。そのため、ユーザーは、ディスプレイ13に表示されている画像を見ながら、このディスプレイ13の裏側に位置する基材20を屈曲変形させて、ディスプレイ13に表示される画像を変更することができる。
【0116】
さらに、第1電極124a〜124dと第2電極125a〜125dが、圧電層23aの四隅の部分に配置され、第1電極224a〜224dと第1電極225a〜225dが、圧電層23bの四隅の部分に配置されている。これにより、ユーザーは基材20の四隅の部分を挟むだけで、挟持検出部121〜124により基材が挟持されていることを検出できるように構成される。その為、ユーザーが第1電極124a、第2電極125aを押さえ易い。
【0117】
次に、本実施形態のプリンタ1に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、本実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0118】
<第1変更形態>
基材の屈曲変形を検出する屈曲検出部の構成、数、及び、基材表面における位置等は、本実施形態のものに限られず、以下のような変更が可能である。
【0119】
図18〜図20に示すように、プリンタ111は、入力装置154を有しており、この入力装置154は、基材20の四隅の部分には、4つの第1電極1124a〜1124dと、4つの第2電極1125a〜1125d、及び、4つの第1電極1224a〜1224dと、4つの第2電極1225a〜1225dが配置されている。これらの電極は、図20に示す入力装置154に設けられた4つの屈曲検出部1121、1122、1123、1124と、4つの挟持検出部1221、1222、1223、1224とにそれぞれ接続されている。また、4つの屈曲検出部1121、1122、1123、1124と、4つの挟持検出部1221、1222、1223、1224は、入力装置154の出力部1132に接続されている。
【0120】
ここで、出力部1132が基材20の屈曲変形と挟持を区別して認識する制御について説明する。
【0121】
例えば、図21、図22に示すように、ユーザーが、矢印Pの向きに基材20の右上角部の部位を押すと、基材20が下方向に倒れるように折り曲げられ、第1電極1124aと第2電極1125aの間の圧電層23aの部分が伸びる。これにより、第1電極1124aには、第2電極1125aの電位よりも高い、正の電位が発生する。これに対し、圧電層23bの第1電極1224aと第2電極1225aの間の圧電層23bの部分が圧縮される為、第1電極1224aには、第2電極1225aの電位よりも低い、負の電位が発生する。第1電極1124aと、第1電極1224aから出力される電圧信号に基づいて、屈曲検出部1121は、出力部1132に屈曲検出信号を出力する。
【0122】
また、図23、図24のように、ユーザーが、矢印Pと矢印Qの向きに基材20の右上角部を押すように、基材20を挟持すると、第1電極1124aと第2電極1125aの間の圧電層23aの部分が伸びる。これにより、第1電極1124aには、第2電極1125aの電位よりも高い、正の電位が発生する。同様に、第1電極1224aと第2電極1225aの間の圧電層23bの部分も伸びる為、第1電極1224aには、第2電極1125aの電位よりも高い、正の電位が発生する。第1電極1124aと、第1電極1224aから出力される電圧信号に基づいて、挟持検出部1221は、出力部1132に挟持検出信号を出力する。
【0123】
この構成によれば、ユーザーが基材20の四隅を持って屈曲変形させたり、基材20の四隅の部分を挟持したりすると、プリンタが所定の機能を実行することができる。その為、ユーザーが基材を屈曲変形させる場合と挟持する場合とで持ち替える必要がある構成に比べて、入力装置を操作し易い。
【0124】
<第2変更形態>
また、ユーザーが基材20を挟む力を変えることで、画像の切り替え処理を変えるようにしてもよい。例えば、外部装置や内部の記憶部に複数の画像が記憶され、ユーザーが複数の画像を閲覧する場合には、ユーザーが基材20の右上角部を弱い力で挟むと、表示されている画像から1画像分先の画像が画像表示部32に表示される。同様に、ユーザーが基材20の右上角部を弱い力で挟むと、表示されている画像から1画像分前の画像が画像表示部32に表示される。また、ユーザーが基材20を、前述したよりも強い力で挟んだ場合には、表示されている画像から5画像分先の画像が画像表示部32に表示される。同様に、ユーザーが基材20を、前述したよりも強い力で挟んだ場合には、表示されている画像から5画像分前の画像が画像表示部32に表示される。
【0125】
圧電層23aと圧電層23bの変形量が変わると、第1電極に生じる電圧の大きさが変わる。その為、第2電極との電位差が変わり、挟持検出部に入力される電位信号の電位も変えることができる。これにより、第1電極に生じる電圧の大きさに基づいて、挟持検出部から出力部に出力される挟持検出信号を変える制御を行うことができる。
【0126】
画像表示部32には、静止画像だけでなく、動画像も表示できるように構成されていてもよい。この場合には、ユーザーが基材20を弱い力で挟んだ場合には、動画像を2倍速で早送り、巻き戻しする処理を行い、ユーザーが基材20を強い力で挟んだ場合には、動画像を5倍速で早送り、巻き戻しする処理を行なう。これにより、ユーザーが、プリンタの操作を感覚的に行なうことができる為、複雑な操作を覚える必要がなく、プリンタを簡単に操作することができる。
【0127】
<第3変更形態>
本実施形態においては、第1電極24a、24b、及び、第2電極25a、25bは、圧電層23bの表面に配置されていたが、圧電層23bの裏面に配置されていてもよい。但し、この場合、第1電極24と第2電極25が互いに導通しないように、基材20が絶縁性材料で形成されるなど、少なくとも基材20の下面は絶縁性を有する必要がある。また、この形態では、先の形態においては第1電極24及び第2電極25を覆うために必要であった、圧電層23の裏面の絶縁層26(図4参照)は不要である。
【0128】
<第4変更形態>
図25に示すように、圧電層23の両面に、この圧電層23を挟むように対向して配置された2種類の電極を有するものであってもよい。図25に示す入力装置においては、基材20が金属材料からなる薄板であり、この基材20は、圧電層23の一方の面に接する共通電極を兼ねている。一方、圧電層23の基材20と反対側の面(下面に相当)には、共通電極としての基材20と対向する、平面視矩形状の2つの電極24Dが配置されている。そして、1つの電極24Dと共通電極としての基材20と、両者の間に挟まれた圧電層23により、1つの屈曲検出部21D(若しくは22D)が構成されている。また、共通電極としての基材20はグランド電位に保持されている。
【0129】
この第4変更形態において、基材20に屈曲変形が生じて、圧電層23の、下面に配置された電極24Dと上面の共通電極としての基材20とに挟まれた部分に歪みが生じると、この歪みに応じて電極24Dと基材20との間に電界が発生する。これにより、電極24Dに正の電位、又は、負の電位が発生するため、基材20の屈曲変形を検出することが可能になる。
【0130】
尚、上述した図25の例では、金属製の基材20が圧電層23を挟んで電極24Dと対向する電極を兼ねているが、基材20が、圧電層23を挟む1対の電極の一方を兼ねる必要は特になく、圧電層23の基材20側の面に、基材20とは別に電極が配置されてもよい。
【0131】
<第5変更形態>
屈曲検出部は、圧電素子の機械−電気変換作用を利用したものには限られない。例えば、図26に示すように、屈曲検出部21E、22Eが、基材20の表面に配置された導電性材料からなり、基材20の屈曲変形に応じて電気抵抗が変化する、電気抵抗体48を有するもの(いわゆる、歪みゲージ)であってもよい。
【0132】
基材20は絶縁性の樹脂材料で形成されるなどして、その表面は少なくとも絶縁性を有する。この絶縁性の基材20の表面(下面)に、並列に接続された2カ所の蛇行部24Eを有する電気抵抗体48が配置されている。尚、2つの蛇行部24Eは、その蛇行方向が異なっており、図26中上側に位置する蛇行部24Eにおいては、電気抵抗体48が基材20短手方向と平行に蛇行しており、下側に位置する蛇行部24Eにおいては、電気抵抗体48が基材20の長手方向と平行に蛇行している。そして、これら2つの蛇行部24Eがそれぞれ2つの屈曲検出部21E、22Eを構成している。また、基材20の下面には、電気抵抗体48を完全に覆うように絶縁層26が設けられている。
【0133】
基材20に、蛇行部24Eの蛇行方向と直交する軸周りの屈曲変形が生じ、その蛇行部24Eにおいて電気抵抗体48が蛇行方向に沿って伸縮すると、蛇行部24Eの電気抵抗値が変化する。これにより、基材20の屈曲変形が検出される。例えば、基材20の短手方向に平行なC2線周りの屈曲変形が基材20に生じたときには、図26の下側に位置する、基材20の長手方向に沿って蛇行する蛇行部24Eにおいて、電気抵抗体48が基材20とともに大きく伸縮するため、その電気抵抗が変化する。
【0134】
<第6変更形態>
図27に示すように、屈曲検出部21Fが、基材20の表面(下面)の2カ所(具体的には、基材20の左右両端部)に配置された2つの加速度センサ50を有するものであってもよい。このように、基材20の異なる2つの位置にそれぞれ設けられた2つの加速度センサ50により、基材20の2箇所の移動(位置の変化)をそれぞれ独立して検出することができることから、これら2箇所の位置変化に基づいて基材20の屈曲変形を検出することが可能となる。
【0135】
<第7変更形態>
本実施形態及びその変更形態においては、屈曲検出部により検出された基材20の様々な屈曲変形の態様に対して、表示制御部32により実行される画像変更処理として、画像の拡大/縮小処理と、画像の切り替え処理とが割り付けられているが、これら以外の処理を、検出された基材20の屈曲変形に対して割り付けることも可能である。
【0136】
例えば、一般的に、ディスプレイ13を制御する表示制御部32は、図28(a)のように、ディスプレイ13に1枚の画像を表示させることが可能であるが、図28(b)のように、ディスプレイ13に複数枚(例えば、4枚)の縮小画像(サムネイル画像)を一覧表示(サムネイル表示)させることも可能である。そこで、屈曲検出部により基材20の屈曲変形が検出されたときに、表示制御部32が、ディスプレイ13に一覧表示させる画像の数を変更するようになっていてもよい。
【0137】
<第8変更形態>
次に、本発明の第8変更形態について図29、図30を参照して説明する。図29、図30に示すように、可撓性を有する基材60と、この基材60の屈曲変形を検出する屈曲検出部61、62と、4つの挟持検出部2221、2222、2223、2224を含む入力装置54が、ケーブル15を介して、プリンタ本体6内に格納された制御装置65に接続されている。但し、この第8実施形態においては、画像を表示するディスプレイ53が、入力装置54の基材60に設けられているのではなく、プリンタ本体6の上部に形成された傾斜面6aに、複数の操作ボタン12とともに設けられている点で、本実施形態と異なっている。
【0138】
この第8実施形態においても、入力装置54は、ユーザーによって基材60が曲げられたときに、基材60に生じる屈曲変形を2つの屈曲検出部61、62で検出する。そして、ディスプレイ53を制御する制御装置65の表示制御部32は、屈曲検出部61、62で検出された基材60の屈曲変形に基づいて、ディスプレイ53に表示される画像を変更する。これらの特徴については、本実施形態と同様であるので、これ以上の説明は省略する。
【0139】
尚、このように、ディスプレイ53が入力装置54の基材60から分離して設けられている場合には、入力装置54の構成が簡単になる。また、本実施形態の構成のように、ディスプレイ53が基材60と一体的に設けられている場合と違い、ディスプレイ53が可撓性を有する必要は特にないため、ディスプレイ53が曲がって画像が見えにくくなるということはない。また、ディスプレイ53にユーザーの手が重なって画像が見えにくくなることもない。
【0140】
ところで、ディスプレイ53と入力装置54の基材60とが分離している場合には、ユーザーが入力装置54を手に取ったときに、現在の基材60の姿勢がディスプレイ53の画像に対応した正規の姿勢であるのかどうかわからない場合がある。そして、ユーザーが誤った姿勢で基材60を操作してしまうと、ユーザーは基材60を正しく屈曲操作したつもりでも、ユーザーの意向がディスプレイ53に正しく反映されない虞がある。そこで、プリンタ51は、ユーザーに正規の使用姿勢を認識させるための構成、あるいは、基材60の現在の姿勢を認識するための構成を備えていることが好ましい。その構成例を以下にいくつか述べる。
【0141】
<第9変更形態>
基材60に、ユーザーに対して正規の使用姿勢を認識させる姿勢識別部が設けられていてもよい。例えば、図31に示すように、基材60Aの一部分に文字やマーク等からなる識別部70が設けられてもよい。この場合には、ユーザーは、文字やマーク等からなる識別部70が傾いたり、あるいは、逆向きになっていたりしていないかを確認することによって、基材60Aが正規の使用姿勢にあるかを一目でわかるようになる。または、基材60のどの方向が、正規の使用姿勢における上部であるかを示す、矢印マークやメッセージが、基材60に付されていてもよい。
【0142】
あるいは、図32に示すように、正規の使用姿勢にあるときに、基材60Bの左右両側に取手71がそれぞれ設けられることにより、ユーザーが基材60の正規の使用姿勢をすぐに認識できるようになっていてもよい。
【0143】
さらには、図33(a)に示すように、プリンタ本体6の傾斜面6aに配置されたディスプレイ53Cの形状が、台形など上下非対称な形状にされた上で、図33(b)に示すように、基材60Cの形状をディスプレイ53の形状とほぼ相似な形状にすることで、ディスプレイ53に対応した基材60の正規の使用姿勢を、一目で認識できるようにしてもよい。この場合、基材60Cの外形形状自体が、その正規の使用姿勢をユーザーに認識させる姿勢識別部となる。
【0144】
このように、基材60に使用姿勢を認識させるための姿勢識別部が設けられていると、ユーザーは、基材60を操作するときに、どの姿勢で基材60を曲げれば、ディスプレイ53の画像変更を正しく行うことができるかをすぐに認識することができる。
【0145】
<第10変更形態>
プリンタ51が、基材60の姿勢を検出するための構成を備えていてもよい。例えば、図34に示すように、プリンタ51が、プリンタ本体6から離れた場所で操作される基材60の姿勢を検出する、磁気センサ等からなる姿勢検出センサ75を備えていてもよい。この場合には、プリンタ51の制御装置55が、姿勢検出センサ75の検出結果から、基材60が正規の使用姿勢にあるか否かを判断することができるため、基材60が正規の使用姿勢にない場合には、ディスプレイ53にエラーメッセージを表示させるなどして、そのことをユーザーに知らせることが可能となる。
【0146】
あるいは、ユーザーに基材60を試行的に屈曲させて、その試行結果から基材60の姿勢を検出するように構成されていてもよい。この場合、まず、入力装置54が実際に操作される前(例えば、使用しないときに入力装置54をセットしておくためのホルダ(図示省略)から、ユーザーによって入力装置54が取り外された直後)に、ユーザーに対して、試行的に一度基材60を曲げることを依頼するメッセージを、ディスプレイ53等に表示する。この試行的な屈曲操作の必要性は、ユーザーによる入力装置54の操作直前に知らせる必要は必ずしもなく、プリンタ51の取扱説明書の記載や、プリンタ本体6又は入力装置54等に貼り付けられた注意書き等によって、事前にユーザーに通知しておいてもよい。
【0147】
そして、ユーザーによって試行的に基材60が曲げられたときに、屈曲検出部61、62により検出された基材60の屈曲変形に基づいて、制御装置55は基材60の姿勢を検出する。例えば、正規の使用姿勢にある基材60の右端部に屈曲検出部61、62が設けられた上で、現在の姿勢のままで基材60の右端部を試行的に曲げるように、ユーザーに対して指示した場合に、屈曲検出部61、62による検出結果から、その指示した通りに、基材60の右端部が曲げられたと認識される場合には、制御装置55は、現在の姿勢が正規の使用姿勢であると判断する。一方、基材60の右端部を試行的に曲げるようにユーザーに指示しているはずなのに、屈曲検出部61、62による検出結果からは、基材60の左端部が曲げられたと認識される場合には、制御装置55は、現在の姿勢が正規の使用姿勢とは左右反対の姿勢であると判断する。
【0148】
このように、ユーザーによる試行的な屈曲が行われたときの、屈曲変形の検出結果から、制御装置55が基材60の姿勢を認識することができる場合には、基材60の姿勢を検出するための特別なセンサ(図34の姿勢検出センサ75)が不要になる。
【0149】
<第11変更形態>
前述した本実施形態の、ディスプレイ一体型の入力装置は、記録ヘッドを備えたプリンタに接続されて使用されるものであった。しかし、ディスプレイと入力装置とが一体化された装置が、画像表示装置として単体で使用できるものであってもよい。
【0150】
図35に示すように、画像表示装置80は、可撓性を有する基材とこの基材の屈曲変形を検出する2つの屈曲検出部91、92と、4つの挟持検出部191、192、193、194とを備えた入力装置84と、基材と一体的に屈曲変形可能な可撓性のディスプレイ83と、入力装置84に接続する出力部532と、屈曲検出部91、92の検出結果、及び、挟持検出部191、192、193、194の検出結果に基づいてディスプレイ83や記録制御部30を制御する制御装置85とを備えている。
【0151】
入力装置84は、ユーザーによって基材が曲げられたときに、基材に生じる屈曲変形を屈曲検出部91、92で検出する。そして、ディスプレイ83を制御する制御装置85の表示制御部82は、屈曲検出部91、92で検出された基材の屈曲変形に基づいて、ディスプレイ83に表示される画像を変更する。また、基材が挟持されたことを挟持検出部191、192、193、194で検出する。そして、表示制御部82は、挟持検出部191、192、193、194の検出結果に基づいて、記録制御部30を制御して印刷用紙Pに記録を行なわせたり、ディスプレイ83に表示される画像を変更したりする。
【0152】
但し、画像表示装置80は、CPU、ROM、RAM等で構成された制御装置85をそれ自身に有する。そのため、データ記録媒体から入力された画像データを、その制御装置85内の画像データ記憶部81に格納しておくことができる。また、ユーザーにより基材が屈曲操作されたときには、基材に生じた屈曲変形の態様に応じて、画像データ記憶部81から画像データを抽出して、ディスプレイ83に画像を表示させることができる。つまり、プリンタ等の機器に接続することなく、単体でディスプレイ83に画像表示を行わせることができる。もちろん、本実施形態のように、プリンタ等に接続して使用することも可能である。
【0153】
<第12変更形態>
ディスプレイ53が入力装置に設けられている構成において、制御装置は、ユーザーがディスプレイ53の表面を押したり、ディスプレイ53の表面に指を接触させ、そのまま表面を沿わせたりして、画像の切り替えや、画像の拡大縮小といった画像処理を行うように構成されていてもよい。
【0154】
この構成によれば、入力装置は、圧電層23a(図6参照)の表面部分には、第1電極と第2電極が設けられ、圧電層23b(図6参照)の表面部分にも、第1電極と第2電極が設けられている。制御装置は、圧電層23aの第1電極にのみ電位の変化が検出されたときには、ユーザーがディスプレイ53(図2参照)の表面を押した、若しくは、ディスプレイ53(図2参照)の表面を指で移動させていると認識する。それに対し、制御装置は、圧電層23a(図6参照)の第1電極と、圧電層23b(図6参照)の第1電極にともに電位の変化が検出された場合には、第1電極と第1電極の電位に基づいて、基材20(図6参照)が屈曲変形させられているか、基材20がユーザーに挟持されているか、を区別して認識する。
【0155】
これによれば、この入力装置は、ディスプレイに指等を触れることによる操作、ユーザーが基材を屈曲変形させることによる操作、及び、ユーザーが基材を挟持することによる操作を行うことが可能に構成される為、感覚的な操作を多数の機能に割り当てることができる。その為、ユーザーが入力装置の操作を覚えやすく、操作し易い。
【0156】
<第13変更形態>
本実施形態では、挟持検出部が基材20に4つ設けられていたが、挟持検出部が2つ、若しくは、挟持検出部が6つであってもよく、挟持検出部の数は4つに限られない。例えば、挟持検出部が2つの場合、第1電極と第2電極は、基材20の右上角部と左上角部の2箇所にのみ設けられるように構成されている。また、挟持検出部が6つの場合では、第1電極と第2電極が、基材20の四隅と、一対の短辺部分に設けられるように構成される。
【0157】
<第14変更形態>
また、記録制御部は、印刷用紙Pの片面又は両面を印刷する機能を有しており、屈曲検出部の検出により印刷用紙Pの片面に印刷を行い、屈曲検出部の検出により印刷用紙Pの両面に印刷を行うように構成されていてもよい。屈曲検出部は、基材の右上角部に第1電極及び第2電極(本発明の第5接触部位に相当)を有しており、ユーザーが基材の右上角部を挟持すると、記録制御部に挟持検出信号を出力する。この挟持検出信号が入力された記録制御部は、印刷用紙Pの両面に記録を行なう。
【0158】
これによれば、印刷用紙Pの片面に印刷する為の操作と、印刷用紙Pの両面に印刷する操作とが異なるように構成され、さらに、ユーザーが基材を挟持する操作が、印刷用紙Pの両面を連想させる為、ユーザーが操作を記憶し易い。
【0159】
<第15変更形態>
また、記録制御部は、印刷用紙Pに印刷するとともにこれを綴じるステイプル印刷機能(本発明のステイプル記録機能に相当)と、印刷用紙Pに印刷するだけの通常印刷機能(本発明の通常記録機能に相当)とを有していてもよい。屈曲検出部は、基材の右上角部に第1電極及び第2電極(本発明の第6接触部位に相当)を有しており、ユーザーが基材の右上角部を挟持すると、記録制御部に挟持検出信号を出力する。この挟持検出信号が入力された記録制御部は、印刷用紙Pの両面に記録を行なう。
【0160】
この場合、屈曲検出部の検出により、記録制御部は、通常印刷機能を用いて、印刷用紙Pを綴じない印刷を行い、挟持検出部の検出により、記録制御部は、ステイプル印刷機能を用いて、印刷用紙Pを綴じつつ印刷を行うことができる。これによれば、印刷用紙Pを綴じない印刷をする為の操作と、印刷用紙Pを綴じつつ印刷を行う操作とが異なるように構成され、さらに、ユーザーが基材を挟持する操作が、印刷用紙Pを綴じることを連想しやすい為、ユーザーが操作を記憶し易い。
【0161】
<第16変更形態>
本実施形態では、入力装置とプリンタがケーブルにより接続されているが、入力装置とプリンタとが無線通信が可能なように構成されたものにも、本発明を適用することができる。
【0162】
以上、説明した実施形態及びその変更形態では、本発明がプリンタに適用された場合について説明したが、プリンタ以外にも本発明を適用することができる。例えば、テレビのリモコン等の電子機器を操作する操作装置に、本発明を適用してもよい。また、これ以外にも、本発明は、様々な電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0163】
1 プリンタ
2 記録ヘッド
13 ディスプレイ
14 入力装置
20 基材
21、22 屈曲検出部
23a、23b 圧電層
24 第1電極
25 第2電極
30 記録制御部
32 表示制御部
70 姿勢識別部
75 姿勢検出センサ
80 画像表示装置
132 出力部
221、222、223、224 挟持検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する基材と、前記基材が曲がっていることを検出する第1検出手段と、前記基材が挟持されていることを検出する第2検出手段と、を有する被操作手段と、
前記第1検出手段と前記第2検出手段に接続し、前記第1検出手段により前記基材が曲がっていると検出された場合に第1信号を出力し、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合に第2信号を出力する出力手段と、
を備えていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記第2検出手段は、接触部位を有しており、
さらに、ユーザーが前記接触部位に接触して前記基材を挟持することで、第2検出手段は、前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、
前記接触部位は、前記基材の周縁部分に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記基材は矩形形状を有し、
前記第2検出手段は、接触部位を有しており、
さらに、ユーザーが前記接触部位に接触して前記基材を挟持することで、第2検出手段は、前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、
前記接触部位は、前記基材の四隅の部分のうちの少なくとも1つの部分に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記第1検出手段は、ユーザーによって前記基材が曲げられる際に変形する変形部位を含み、
前記接触部位と前記変形部位が、前記基材の同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記第1検出手段と前記第2検出手段は、
前記基材の表面部分に設けられる第1圧電層と、
前記基材の裏面部分に設けられる第2圧電層と、
前記第1圧電層に配置され、前記出力手段に接続されており、前記第1圧電層が変形すると電位が変化する第1電極と、
前記第1圧電層に配置され、定電位を有する第2電極と、
前記第2圧電層に配置され、前記出力手段に接続されており、前記第2圧電層が変形すると電位が変化する第3電極と、
前記第2圧電層に配置され、定電位を有する第4電極と、
を含んでおり、
前記接触部位と前記変形部位とが、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極、及び、前記第4電極の配置される部位に位置しており、
前記第1検出手段は、
前記第1電極が前記第2電極よりも電位が大きく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が小さい場合、若しくは、前記第1電極が前記第2電極よりも電位が小さく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が大きい場合には、前記基材が曲がっていると検出し、
前記第2検出手段は、
前記第1電極が前記第2電極よりも電位が大きく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が大きい場合、若しくは、前記第1電極が前記第2電極よりも電位が小さく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が小さい場合には、前記基材が挟持されていると検出することを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
画像を表示する表示部と、
可撓性を有する基材と、前記基材が曲がっていることを検出する第1検出手段と、前記基材が挟持されていることを検出する第2検出手段と、を有する被操作手段と、
前記第1検出手段と前記第2検出手段に接続し、前記第1検出手段により前記基材が曲がっていると検出された場合に第1信号を出力し、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合に第2信号を出力する出力手段と、
前記出力手段及び前記表示部に接続され、前記出力手段から出力された前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記表示部の画像表示に関する制御を行う制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
前記第2検出手段は、接触部位を有しており、
さらに、ユーザーが前記接触部位に接触して前記基材を挟持することで、第2検出手段は、前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、
前記接触部位は、前記基材の周縁部分に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記基材は矩形形状を有し、
前記第2検出手段は、接触部位を有しており、
さらに、ユーザーが前記接触部位に接触して前記基材を挟持することで、第2検出手段は、前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、
前記接触部位は、前記基材の四隅の部分のうちの少なくとも1つの部分に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記第1検出手段は、ユーザーによって前記基材が曲げられる際に変形する変形部位を含み、
前記接触部位と前記変形部位が、前記基材の同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記第1検出手段と前記第2検出手段は、
前記基材の表面部分に設けられる第1圧電層と、
前記基材の裏面部分に設けられる第2圧電層と、
前記第1圧電層に配置され、前記出力手段に接続されており、前記第1圧電層が変形すると電位が変化する第1電極と、
前記第1圧電層に配置され、定電位を有する第2電極と、
前記第2圧電層に配置され、前記出力手段に接続されており、前記第2圧電層が変形すると電位が変化する第3電極と、
前記第2圧電層に配置され、定電位を有する第4電極と、
を含んでおり、
前記接触部位と前記変形部位とが、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極、及び、前記第4電極の配置される部位に位置しており、
前記第1検出手段は、
前記第1電極が前記第2電極よりも電位が大きく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が小さい場合、若しくは、前記第1電極が前記第2電極よりも電位が小さく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が大きい場合には、前記基材が曲がっていると検出し、
前記第2検出手段は、
前記第1電極が前記第2電極よりも電位が大きく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が大きい場合、若しくは、前記第1電極が前記第2電極よりも電位が小さく、前記第3電極が前記第4電極よりも電位が小さい場合には、前記基材が挟持されていると検出することを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記接触部位は、第1接触部位と第2接触部位とを有しており、
前記制御手段は、
複数の画像を複数の階層に分けて表示するように前記表示部の制御を行うものであり、
さらに、前記制御手段は、ユーザーが前記第1接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、表示されている画像とは異なる階層の画像を、前記表示部に表示させる制御を行うとともに、
ユーザーが前記第2接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、表示されている画像と同じ階層内の別の画像を、前記表示部に表示させる制御を行うことを特徴とする請求項7〜10の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記基材は矩形形状を有しており、
前記第1接触部位は、前記基材を画定する辺のうちの対辺を構成する一対の第1辺の近傍の部分に配置され、
前記第2接触部位は、前記一対の第1辺とは別の、前記基材の対辺を構成する一対の第2辺の近傍の部分に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項13】
被記録媒体に画像を記録する画像記録部と、
前記画像記録部に、前記表示部に表示される画像を被記録媒体に記録させる記録制御手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求項6〜12の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記記録制御手段は、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、前記画像記録部に記録を行わせることを特徴とする請求項13の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記第2検出手段は、接触部位を有しており、
さらに、ユーザーが前記接触部位に接触して前記基材を挟持することで、第2検出手段は、前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、
前記接触部位は、第3接触部位と第4接触部位とを有しており、
前記記録制御手段は、
ユーザーが前記第3接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、前記画像記録部に記録を行わせ、
ユーザーが前記第4接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、前記画像記録部が記録を行っている際にその記録を中止させることを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置。
【請求項16】
前記画像記録部は、被記録媒体の片面又は両面に画像を記録するように構成され、
前記記録制御手段は、前記第1検出手段と前記第2検出手段の検出結果に基づいて、前記画像記録部に記録を行なわせるように構成されており、
前記第2検出手段は、第5接触部位を有し、さらに、ユーザーが前記第5接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、
前記記録制御手段は、
ユーザーが前記基材を曲げることによって、前記基材が曲げられていることを前記第1検出手段が検出した場合には、前記画像記録部に被記録媒体の片面に記録を行わせ、
ユーザーが前記第5接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、前記画像記録部に被記録媒体の両面に記録を行なわせることを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置。
【請求項17】
前記画像記録部は、被記録媒体に画像を記録するとともにこれを綴じるステイプル記録機能と、被記録媒体に画像を記録するだけの通常記録機能とを有しており、
前記記録制御手段は、前記第1検出手段と前記第2検出手段の検出結果に基づいて、前記画像記録部に記録を行なわせるように構成されており、
前記第2検出手段は、第6接触部位を有し、さらに、ユーザーが前記第6接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出するように構成されており、
前記記録制御手段は、
ユーザーが前記基材を曲げることによって、前記基材が曲げられていることを前記第1検出手段が検出した場合には、前記画像記録部に前記通常記録機能を用いた記録を行わせ、
ユーザーが前記第6接触部位に接触して前記基材を挟持することで、前記第2検出手段により前記基材が挟持されていると検出された場合には、前記画像記録部に前記ステイプル記録機能を用いた記録を行なわせることを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置。
【請求項18】
前記第1検出手段は、前記基材の表面に配置された導電性材料からなり、前記基材の変形に応じて電気抵抗が変化する電気抵抗体を有することを特徴とする請求項6〜17の何れかに記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−208758(P2012−208758A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74328(P2011−74328)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】