説明

入力装置

【課題】 2つの画面間を選択表示マークが移動した場合であっても、利用者に与える違和感を軽減することができる入力装置を提供する。
【解決手段】 超横長ディスプレイ3には、主画面M1および従画面M2が並べて表示されている。超横長ディスプレイ3には、ポインタPが表示されており、ポインタPの表示位置は、スイッチ2Bを操作することによって移動する。ポインタPの表示位置が主画面M1から従画面M2に移行する場合、または従画面M2から主画面M1に移行する場合に、スイッチ2Bを非表示とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のナビゲーション装置などの入力に用いられる入力装置として、ハプティック機構を用いられた表示操作システムがある(たとえば、特許文献1参照)。この表示操作システムは、たとえばドライバの人差し指と中指の動きで操作を行うことができるジョイスティックからなる入力手段を備えている。ここで、ドライバは、手首を半固定した状態で人指し指と中指を動かし、ジョイスティックの操作を行うことにより、たとえば画面に表示されたポインタの表示位置を動かし、選択することができるというものである。また、入力手段として、ジョイスティックの代わりに、トラックボール形状のものを用いるものの知られている。
【0003】
この表示操作システムでは、ジョイスティックの動きをそのまま入力対象、たとえば画面上におけるポインタ等の動きに伝えることができる。このため、ドライバは、ジョイスティックを動かすことにより、ポインタ等を動かすことができるので、ポインタを動かす感覚を確認しやすく、操作を容易かつ確実に行うことができるというものである。また、この表示操作システムでは、画面の表示に合わせてジョイスティックに反力を与える反力発生装置を備えている。ここで、画面の表示に合わせた位置にポインタを誘導するように、ジョイスティックに反力を与えるものである。このため、ドライバは、誘導に従うだけで、たとえばボタン表示位置などのポインタを移動させて合わせることが多い位置にポインタを誘導し、合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−135324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された表示操作システムにおいて、たとえば表示装置に2つの第1画面および第2画面を並べて表示することが考えられる。このように2つの画面を表示するときにハプティック機構を用いた場合では、ポインタが2つの画面間を移動すると、ポインタが不連続に表示され、少し離れた位置に表示されることとなる。このため、ドライバはポインタが瞬間的に移動したと感じ、ポインタ(選択表示マーク)の表示に違和感を覚える可能性があるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、2つの画面間を選択表示マークが移動した場合であっても、利用者に与える違和感を軽減することができる入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明に係る入力装置は、第1画面および第2画面を並べて表示する表示手段と、表示手段に表示する表示情報を決定するにあたって、所定の操作幅内における操作領域で操作可能とされ、操作に応じた操作情報を出力する操作手段と、第1画面の入力領域を特定した第1入力情報変換マップおよび第2画面の入力領域を特定した第2入力情報変換マップを記憶する変換マップ記憶手段と、操作手段から出力される操作情報を取得する操作情報取得手段と、操作情報取得手段で取得された操作情報を、変換マップ記憶手段に記憶された第1入力情報変換マップまたは第2入力情報変換マップに対応させて操作情報に変換する操作情報変換手段と、操作情報に応じて、表示部の画面上の選択表示マークを移動させる移動制御手段と、を備え、第1画面の竜力領域に対応する操作手段の操作領域と、第2画面の入力領域に対応する操作手段の操作領域とが一部重複しており、第1画面上に選択表示マークがある場合には、操作情報変換手段が、操作入力情報を第1入力情報変換マップに対応させて変換し、第2画面上の選択表示マークが移動した場合には、操作情報変換手段が、操作入力情報を第2入力情報変換マップに対応させて変換し、移動制御手段は、選択表示マークを第1画面および第2画面間で移動させる際に、選択表示マークを非表示とすることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る入力装置においては、選択表示マークを第1画面および第2画面間で移動させる際に、選択表示マークを非表示としている。このため、2つの画面間を選択表示マークが移動した場合に、選択表示マークが不連続に表示されないようにすることができる。したがって、2つの画面間を選択表示マークが移動した場合であっても、利用者に与える違和感を軽減することができる。
【0009】
ここで、移動制御手段は、選択表示マークを第1画面および第2画面間で移動させた後、操作手段が操作された際に、選択表示マークを再表示する態様とすることができる。
【0010】
このように、選択表示マークを第1画面および第2画面間で移動させた後、操作手段が操作された際に、選択表示マークを再表示する態様とすることにより、利用者の操作に基づいて選択表示マークが再表示されることとなる。このため、利用者に対して、選択表示マークの再表示を認識させやすくすることができる。
【0011】
さらに、第1画面の入力領域に対応した第1反力マップと、第2画面の入力領域に対応した第2反力マップとを記憶する反力マップ記憶手段と、反力マップ記憶手段に記憶された第1反力マップまたは第2反力マップに応じた反力を操作部に付与する反力付与手段と、をさらに備え、第1画面上に選択箇所がある場合には、反力付与手段が、第1の反力マップに対応させた反力を操作部に付与し、第2画面上に選択箇所がある場合には、反力付与手段が、第2の反力マップに対応させた反力を操作部に付与する態様とすることができる。
【0012】
このように、第1画面における表示情報に基づいて反力付与手段が付与する反力を設定し、選択位置表示が第2画面上に表示されている際には、反力制御手段は、第2画面における表示情報に基づいて反力付与手段が付与する反力を設定することにより、選択箇所の誘導を容易に行うことができる。したがって、選択箇所を移動させる操作手段の操作を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る入力装置によれば、2つの画面間を選択表示マークが移動した場合であっても、利用者に与える違和感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る入力装置のブロック構成図である。
【図2】スイッチ装置の平面図およびスイッチの操作可能領域に対応する表示装置の表示画面を示す説明図である。
【図3】第1描画ECUにおける処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、主画面に対応する横軸座標とスイッチに付与する反力との関係を示すグラフ、(b)は、従画面に対応する横軸座標とスイッチに付与する反力との関係を示すグラフである。
【図5】(a)(b)とも表示装置の表示画面の例およびスイッチの操作位置を模式的に示す図であり、(a)は、主画面にポインタが表示された場合、(b)は、スイッチが右端部近傍に移動させられた場合をそれぞれ示す。
【図6】(a)(b)とも表示装置の表示画面の例およびスイッチの操作位置を模式的に示す図であり、(a)は、スイッチが右端部近傍に移動した後、壁反力を越える力がスイッチにかかった場合、(b)は、スイッチが左側に移動させられた場合をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る入力装置のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る入力装置1は、スイッチ装置2を備えている。スイッチ装置2は、たとえば車室内における運転席の側方に設けられており、図2に示すように、スイッチ筐体2Aを備えている。スイッチ筐体2Aの表面には、本発明の操作手段となる、たとえばジョイスティックからなるスイッチ2Bが設けられている。さらに、スイッチ筐体2Aの側面には、決定スイッチ2Cが設けられている。
【0017】
スイッチ2Bは、図2に示す操作可能範囲Xの範囲で幅方向に移動可能とされている。また、操作可能範囲Xに直交する方向にも所定範囲内で移動可能とされている。スイッチ装置2には、第1描画ECU[Electronic Control Unit]10および第2描画ECU20が接続されている。さらに、第1描画ECU10および第2描画ECU20には、超横長ディスプレイ3および反力付与モータ4が接続されている。スイッチ装置2は、スイッチ2Bが操作されることにより、スイッチ2Bの操作方向に応じた操作情報を第1描画ECU10および第2描画ECU20に送信する。また、決定スイッチ2Cが押されることにより、決定情報を第1描画ECU10および第2描画ECU20に送信する。
【0018】
超横長ディスプレイ3は、車室内におけるドライバから目視できる位置に設置されている。超横長ディスプレイ3は、たとえば縦幅:横幅が9:24とされている。また、図2に示すように、超横長ディスプレイ3には、第1画面である主画面M1および第2画面である従画面M2が並んで表示される。また、超横長ディスプレイ3には、本発明の選択位置表示を行うポインタPが表示されている。ポインタPは、原則的に主画面M1または従画面M2のいずれかに表示される。
【0019】
ここで、スイッチ2Bを操作すると、ポインタPがスイッチ2Bの操作に対応して移動する。また、ポインタPが主画面M1に表示されている場合には、スイッチ2Bの操作可能範囲Xの全範囲とされた主操作範囲X1で操作する際にポインタPが移動表示される。
【0020】
また、ポインタPが従画面M2に表示されている場合には、操作可能範囲Xの一部の範囲とされた従操作範囲X2で操作する際にポインタPが移動表示される。このように、主操作範囲X1と従操作範囲X2とは重複して設定されている。なお、ポインタPが従画面M2に表示されている場合に、スイッチ2Bが従操作範囲X2を外れた場合には、ポインタPは、主画面M1に移行する。
【0021】
反力付与モータ4は、スイッチ筐体2Aの内部に設けられており、スイッチ2Bにおける操作可能方向に対して所定の反力を付与する。反力付与モータ4は、第1描画ECU10および第2描画ECU20によって設定された方向および大きさの反力をスイッチ2Bに付与する。
【0022】
第1描画ECU10および第2描画ECU20は、いずれもCPU[Central ProcessingUnit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなり、超横長ディスプレイ3に表示する表示内容および反力付与モータ4によって付与する反力を統括制御する電子制御ユニットである。また、第1描画ECU10は、第1操作情報取得部11、第1変換マップ記憶部12、地図記憶部13、第1表示制御部14、および第1反力設定部15を備えている。さらに、第2描画ECU20は、第2操作情報取得部21、第2変換マップ記憶部22、表示情報記憶部23、第2表示制御部24、および第2反力設定部25を備えている。
【0023】
第1描画ECU10における第1操作情報取得部11は、スイッチ装置2から送信された操作情報に基づいて、ジョイスティックの操作結果に基づく座標(以下「ハプティック座標」という)を取得する。第1操作情報取得部11は、取得したハプティック座標に対応する操作変換情報を生成し、第1表示制御部14および第1反力設定部15に出力する。
【0024】
第1変換マップ記憶部12は、第1操作情報取得部11から出力された操作変換情報を超横長ディスプレイ3に選択箇所を示すポインタとして表示する際のポインタ表示位置(表示座標)に変換するための変換マップを複数備えている。第1変換マップ記憶部12は、複数の変換マップに中から、第1表示制御部14からの出力指令に応じた変換マップを選択し、第1表示制御部14に出力する。
【0025】
地図記憶部13は、車両が走行する領域、たとえば日本全国の地図情報を記憶している。また、地図記憶部13が記憶する地図情報としては、種々の位置における地図情報があり、さらには、同一領域についても広域、拡大領域など複数の地図情報がある。地図記憶部13は、第1表示制御部14からの読み出しに応じた地図情報を第1表示制御部14に出力する。
【0026】
第1表示制御部14は、地図記憶部13から読み出した地図情報に基づく地図を超横長ディスプレイ3における第1画面M1に表示させる。また、第1表示制御部14は、第1操作情報取得部11から出力された操作変換情報を第1変換マップ記憶部12から読み出した変換マップに参照してポインタPの表示位置を決定し、超横長ディスプレイ3に表示させる。
【0027】
さらに、第1表示制御部14は、取得した地図情報およびポインタの表示位置に関するポインタ表示位置情報を第1反力設定部15に出力する。また、第1表示制御部14は、ポインタ表示位置が主画面M1を外れた位置に移動すると判断した場合には、ポインタ表示位置切替信号を第2描画ECU20に出力する。第1表示制御部14では、ポインタ表示位置切替信号を受信した際には、画面表示権を取得する。また、ポインタ表示位置切替信号を送信した際には、画面表示権を喪失する。
【0028】
また、第1表示制御部14は、第2描画ECU20からポインタ表示切替信号を受信して画面表示権を取得した際には、ポインタPを非表示状態とする非表示処理を行う。第1表示制御部14では、その後、第1操作情報取得部11がスイッチ2Bから送信された操作情報を受信し、第1表示制御部14に操作変換情報を出力したときに、ポインタPを再表示する。
【0029】
第1反力設定部15は、第1表示制御部14から出力される地図情報およびポインタ表示位置情報に基づいて、スイッチ装置2におけるジョイスティックに付与する反力を設定する。たとえば、地図上にランドマークがある場合には、このランドマークに対応する位置にポインタが位置しやすくなるようにスイッチ2Bに付与する反力を算出し、反力付与モータ4に反力信号を送信する。また、主画面M1の外縁部近傍にポインタが位置する場合には、主画面M1の内側を向く方向に対して反力を付与する。
【0030】
第2描画ECU20における第2操作情報取得部21および第2変換マップ記憶部22については、それぞれ第1操作情報取得部11および第1変換マップ記憶部12と同様の機能を備えている。また、第2反力設定部25についても、第1反力設定部15と同様の機能を備えている。
【0031】
表示情報記憶部23は、超横長ディスプレイ3における第2画面に表示する表示情報を複数記憶している。ここでの表示情報としては、カーナビゲーション装置を利用する際の目的地を設定したり、走行ルートを指定したりするために用いるスイッチを表示する操作スイッチ画面情報、カーオーディオの操作スイッチ画面情報、あるいはエアコンの操作スイッチ画面情報などがある。表示情報記憶部23は、第2表示制御部24からの読み出しに応じた表示情報を第2表示制御部24に出力する。
【0032】
第2表示制御部24は、表示情報記憶部23から読み出した表示情報に基づく内容を超横長ディスプレイ3の従画面M2に表示させる。また、第2表示制御部24は、第2操作情報取得部21から出力された操作変換情報を第2変換マップ記憶部22から読み出した変換マップに参照してポインタPの表示位置を決定し、超横長ディスプレイ3に表示させる。
【0033】
さらに、第2表示制御部24は、表示情報に基づく表示内容情報およびポインタの表示位置に関するポインタ表示位置情報を第2反力設定部25に出力する。また、第2表示制御部24は、ポインタ表示位置が従画面M2を外れた位置に移動すると判断した場合には、ポインタ表示位置切替信号を第1描画ECU10に出力する。第2表示制御部24では、ポインタ表示位置切替信号を受信した際には、画面表示権を取得する。また、ポインタ表示位置切替信号を送信した際には、画面表示権を喪失する。
【0034】
また、第2表示制御部24は、第1描画ECU10からポインタ表示切替信号を受信して画面表示権を取得した際には、ポインタPを非表示状態とする非表示処理を行う。第2表示制御部24では、その後、第2操作情報取得部21がスイッチ2Bから送信された操作情報を受信し、第2表示制御部24に操作変換情報を出力したときに、ポインタPを再表示する。
【0035】
第2反力設定部25は、第2表示制御部24から出力される表示内容情報およびポインタ表示位置情報に基づいて、スイッチ装置2におけるジョイスティックに付与する反力を設定する。たとえば、従画面M2に表示されるボタンに対応する位置にポインタPが位置しやすくなる反力を算出し、反力付与モータ4に反力信号を送信する。また、従画面M2の外縁部近傍にポインタが位置する場合には、従画面M2の内側を向く方向に対して反力を付与する。
【0036】
次に、本実施形態に係る入力装置1における動作について説明する。本実施形態に係る入力装置1においては、ドライバなどの利用者がスイッチ装置2におけるスイッチ2Bを操作することにより、超横長ディスプレイ3に表示されるポインタPの位置が移動する。このときの第1描画ECU10における処理手順を説明する。図3は、第1描画ECUにおける処理の手順を示すフローチャートである。
【0037】
第1描画ECU10は、図3に示すように、画面表示権を有しているか否かを判断する(S1)。その結果、画面表示権を有していないと判断した場合には、画面表示権を取得したか否かを判断する(S2)。画面表示権を取得したか否かの判断は、第2描画ECU20から送信されるポインタ表示位置切替信号を受信したか否かによって行われる。ここで、第2描画ECU20から送信されるポインタ表示位置切替信号を受信したと判断した場合に、画面表示権を取得したと判断する。その結果、画面表示権を取得していないと判断した場合には、ステップS1に戻り、画面表示権の有無の判断およびポインタ表示位置切替信号の受信待ちを行う。
【0038】
一方、第2描画ECU20からポインタ表示位置切替信号を受信して画面表示権を取得したと判断した場合には、ポインタPの表示位置が従画面M2から主画面M1に移行することとなるが、この場合には、ポインタPの非表示処理を行う(S3)。こうして、ポインタPの表示位置が従画面M2から主画面M1に移行する際には、一旦ポインタPを主画面M1および従画面M2のいずれにも非表示となるようにする。
【0039】
このとき、画面表示権は第1描画ECU10にあることとなる。ここで、第1描画ECU10における第1表示制御部14は、地図記憶部13から読み出した地図情報に基づく地図を超横長ディスプレイ3における主画面M1に表示した状態となっている。また、主画面M1から従画面M2に移る際の基準位置となる壁座標が設定されている。さらに、超横長ディスプレイ3における横方向の座標軸をX軸、縦方向の座標軸をY軸として、壁座標はX座標に設定されている。
【0040】
その後、スイッチ装置2から送信される操作情報を受信し、ハプティック座標を取得したか否か判断する(S4)。その結果、ハプティック座標を取得していないと判断した場合には、スイッチ装置2から送信される操作情報の受信を待ちながら、ハプティック座標の取得待ちを行う(S5)。このように、ハプティック座標を取得するまでステップS5の処理を繰り返す。また、ステップS1において、画面表示権を有していると判断した場合にも、ハプティック座標を取得したか否かを判断し(S4)、ハプティック座標を取得するまでハプティック座標待ちを行う(S5)。
【0041】
一方、ハプティック座標を取得していると判断した場合には、ハプティック座標に基づいて、ポインタPの表示位置となる座標点の変更を行う(S6)。それから、変更された座標点に応じたポインタ表示処理を行う(S7)。ここでのポインタ表示処理では、主画面M1にポインタPが表示されている場合には、変更された座標点に応じた位置にポインタPの表示位置を変更する。また、主画面M1にポインタPが非表示とされている場合には、変更された座標点に応じた位置にポインタPを表示する。
【0042】
続いて、第1描画ECU10は、壁反力の設定を行う(S8)。壁反力とは、ポインタの表示位置が画面の縁近傍となった場合に、スイッチ2Bに付与する反力である。ここでは、ポインタPが主画面M1に表示されている。このため、図4(a)に示すように、主画面M1に対する主操作範囲X1の両側縁部近傍において、反力付与モータ4によって、大きな反力をスイッチ2Bに付与する壁反力を設定する。壁反力を付与する方向は、主操作範囲X1の内側方向である。なお、図4(a)に示すグラフは、壁反力以外のスイッチ反力については考慮していないグラフとなっている。
【0043】
こうして壁反力を設定したら、スイッチ反力を設定する(S9)。スイッチ反力とは、スイッチ2Bを操作する際、スイッチ2Bの操作を補助するために付与する反力である。たとえば、画面上にポインタPを表示させる機会が多くなる位置に引力が発生するように付与する反力をいう。スイッチ反力を設定する際には、地図上におけるランドマークの位置などにスイッチ2Bが位置しやすくなるようにスイッチ2Bに反力を付与する。
【0044】
こうしてスイッチ反力を設定したら、ポインタPの表示位置に壁座標越えが生じたか否かを判断する(S10)。壁座標越えが生じているか否かの判断は、ポインタPのX方向の座標位置が壁座標を越えているか否かによって判断する。その結果、壁座標越えが生じてないと判断した場合には、そのまま、第1描画ECU10における処理を終了する。
【0045】
一方、壁座標越えが生じていると判断した場合には、壁反力の設定を無効にする(S11)。続いて、スイッチ無効設定を行う(S12)。スイッチ無効設定を行うことにより、スイッチ装置2が操作された場合でも、主画面M1におけるポインタPの移動のための制御は行われなくなる。その後、第2描画ECU20にポインタ表示位置切替信号を送信して画面表示権を移行させ(S13)、第1描画ECU10における処理を終了する。
【0046】
また、第2描画ECU20においても、第1描画ECU10と同様の制御が行われる。こうして、第1描画ECU10および第2描画ECU20のうち、画面表示権を有するECUによってポインタPの移動表示が制御される。ただし、第2描画ECU20では、従画面M2においてポインタPの表示制御を行う。このため、第1描画ECU10における制御と比較して、壁反力の設定が異なっている。
【0047】
第2描画ECU20における制御が行われている際、ポインタPは従画面M2に表示されている。このため、図4(b)に示すように、従画面M2に対する従操作範囲X2の両側縁部近傍において、反力付与モータ4によって、大きな反力をスイッチ2Bに付与する壁反力を設定する。なお、図4(b)に示すグラフは、壁反力以外のスイッチ反力については考慮していないグラフとなっている。
【0048】
以上の構成を有する本実施形態に係る入力装置1においては、スイッチ装置2を操作することにより、ポインタPの位置を移動させることができる。さらには、スイッチ2Bの操作のみによって、ポインタPを主画面M1から従画面M2に移動させることができるとともに、従画面M2から主画面M1に移動させることができる。
【0049】
また、本実施形態に係る入力装置1においては、ドライバ等の利用者がスイッチ2Bを操作することにより、主画面M1と従画面M2との間でポインタPを移動させながらポインタPの位置を選択することができる。たとえば、図5(a)に示すように、人の指の画像で示されるポインタPが主画面M1にある場合には、ドライバの手Hによってスイッチ2Bを操作することにより、主画面M1内でポインタPが移動する。
【0050】
このとき、ドライバの手Hによってスイッチ2Bが操作されて、図5(b)に示すように、スイッチ2Bが操作可能範囲の右端部近傍まで移動すると、ポインタPは、主画面M1における右側端部に表示される。この状態から、さらにスイッチ2Bを右側に押し付けると、ポインタPが主画面M1に対して壁越えを生じる位置となる。この場合には、図6(a)に示すように、ポインタPの表示位置が主画面M1から従画面M2に移行する。
【0051】
ここで、ポインタPの表示位置が主画面M1から従画面M2に移行する際には、ポインタPを非表示とされている。このため、ポインタPの表示位置が主画面M1から従画面M2に移行する際に、ポインタPが不連続に表示されないようにすることができる。したがって、2つの画面間をポインタPが移動した場合であっても、利用者に与える違和感を軽減することができる。
【0052】
その後、ドライバが手Hでスイッチ2Bを操作すると、図6(b)に示すように、ポインタPが従画面M2に再表示される。ここで、従画面M2に再表示される際のポインタPの表示位置は、スイッチ2Bから送信される操作情報に応じたハプティック座標で示される位置とされる。このように、スイッチ2Bが操作されることによってポインタPが再表示されることにより、ドライバに対して、ポインタPの再表示を認識させやすくすることができる。また、ポインタPが従画面M2から主画面M1に移行する際にも、同様にポインタPが一旦非表示とされた後、スイッチ2Bが操作されることによって再表示される。このため、ポインタPの表示位置が従画面M2から主画面M1に移行する際にも、ポインタPが不連続に表示されないようにすることができる。したがって、2つの画面間をポインタPが移動した場合であっても、利用者に与える違和感を軽減することができる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、第1画面としての主画面M1と第2画面としての従画面M2を横方向に並べているが、これらを縦方向に並べる態様とすることができる。この場合、壁反力については縦方向に設定することが好適となる。
【0054】
また、上記実施形態では、主画面M1に地図情報を表示し、従画面M2にオーディオの操作スイッチ画面情報などを表示するようにしているが、主画面M1にオーディオ、エアコン、ブロアなどの操作スイッチ画面情報を表示し、エアコン温度、フロア風量、オーディオ音量などを調整できる態様とすることもできる。
【0055】
さらに、上記実施形態においては、ポインタPの表示位置が2つの画面の間で移行した後、スイッチ2Bが操作されることによって、ポインタPが再表示されるようにしているが、他の態様でポインタPを再表示することもできる。たとえば、ポインタPの表示位置が移行してポインタPが非表示とされた後、一定時間の経過を条件にポインタPを再表示する態様とすることもできる。
【符号の説明】
【0056】
1…入力装置、2…スイッチ装置、2A…スイッチ筐体、2B…スイッチ、2C…決定スイッチ、3…超横長ディスプレイ、4…反力付与モータ、11…第1操作情報取得部、12…第1変換マップ記憶部、13…地図記憶部、14…第1表示制御部、15…第1反力設定部、21…第2操作情報取得部、22…第2変換マップ記憶部、23…表示情報記憶部、24…第2表示制御部、25…第2反力設定部、10…第1描画ECU、20…第2描画ECU、M1…主画面、M2…従画面、P…ポインタ、X…操作可能範囲、X1…主操作範囲、X2…従操作範囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画面および第2画面を並べて表示する表示手段と、
前記表示手段に表示する表示情報を決定するにあたって、所定の操作幅内における操作領域で操作可能とされ、前記操作に応じた操作情報を出力する操作手段と、
前記第1画面の入力領域を特定した第1入力情報変換マップおよび前記第2画面の入力領域を特定した第2入力情報変換マップを記憶する変換マップ記憶手段と、
前記操作手段から出力される操作情報を取得する操作情報取得手段と、
前記操作情報取得手段で取得された操作情報を、前記変換マップ記憶手段に記憶された第1入力情報変換マップまたは第2入力情報変換マップに対応させて操作情報に変換する操作情報変換手段と、
前記操作情報に応じて、前記表示部の画面上の選択表示マークを移動させる移動制御手段と、を備え、
前記第1画面の竜力領域に対応する前記操作手段の操作領域と、前記第2画面の入力領域に対応する前記操作手段の操作領域とが一部重複しており、
前記第1画面上に前記選択表示マークがある場合には、前記操作情報変換手段が、操作入力情報を前記第1入力情報変換マップに対応させて変換し、
前記第2画面上の選択表示マークが移動した場合には、前記操作情報変換手段が、操作入力情報を前記第2入力情報変換マップに対応させて変換し、
前記移動制御手段は、前記選択表示マークを前記第1画面および第2画面間で移行させる際に、前記選択表示マークを非表示とすることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記移動制御手段は、前記選択表示マークを前記第1画面および第2画面間で移動させた後、前記操作手段が操作された際に、前記選択表示マークを再表示する請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第1画面の入力領域に対応した第1反力マップと、前記第2画面の入力領域に対応した第2反力マップとを記憶する反力マップ記憶手段と、
前記反力マップ記憶手段に記憶された第1反力マップまたは第2反力マップに応じた反力を前記操作部に付与する反力付与手段と、をさらに備え、
前記第1画面上に選択箇所がある場合には、前記反力付与手段が、第1の反力マップに対応させた反力を前記操作部に付与し、
前記第2画面上に選択箇所がある場合には、前記反力付与手段が、第2の反力マップに対応させた反力を前記操作部に付与する請求項1または請求項2に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−165072(P2011−165072A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29283(P2010−29283)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】