説明

入浴剤組成物

【課題】 乳化安定性が高く、追い炊き後も油浮きが生じず、入浴後も肌に十分な潤い感与え、さらに臭気の経時安定性も優れた入浴剤組成物を提供する。
【解決手段】 下記の成分a)、b)およびc)をa)0.1〜40重量%、b)20〜95重量%、c)0.0001〜30重量%含有することを特徴とする入浴剤組成物。
a)式(I)で示されるポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステル
Z−(O[(EO)m(PO)n]−R)a (I)
(式中、Zは炭素数5以上、水酸基を5個以上持つ水酸基を除いた炭化水素残基で5≦a、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、Rはイソステアリン酸残基あるいは水素原子でエステル化率は15〜85%である。mおよびnはそれぞれオキシエチレン基、オキシプロピレン基の平均付加モル数で、1≦m+n≦20、m/(m+n)≧0.8を満たす。)
b)油性成分
c)保湿成分

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化安定性が高く、入浴後も肌に十分な潤い感を与え、さらに経時安定性も優れた入浴剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入浴剤は油性成分や薬用成分を一様に可溶化、乳化あるいは分散させて、体表面全体に塗布する目的で湯に含有させる製剤である。油性成分や薬用成分には、湯に溶けない、あるいは溶けにくい成分が多いため、界面活性剤を用いて可溶化あるいは乳化させ、浴槽の湯に馴染ませる技術が広く活用されている。しかし、浴槽内に投入した入浴剤のエマルジョンの形成が均一に起こらず浴槽に油浮きを生じる、または製剤の臭気が経時的に悪化してしまう欠点があった。これらの原因は、油性成分と界面活性剤の組み合わせが適していないことや、界面活性剤自身の劣化であると推測される。このような状況にあって、浴槽に投入する際、または投入後の浴槽内で希釈された状態における、エマルジョンの安定性が高く、しかも臭気の変化が少ない入浴剤の開発が望まれていた。
これまでに、いくつかの解決手段が提案されている。
例えば、非イオン性活性剤として、ポリオキシエチレンオレイン酸エステルやポリオキシエチレンオレイルエーテルなど不飽和炭化水素ポリオキシエチレン付加物が用いられている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)、ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリルやポリオキシエチレンモノイソステアリン酸グリセリルなどポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルが用いられている(例えば特許文献4、特許文献5)。
しかし、ポリオキシエチレンオレイン酸エステルやポリオキシエチレンオレイルエーテルなど不飽和炭化水素ポリオキシエチレン付加物を用いた場合は、浴槽に投入する際、または投入後のエマルジョンの安定性は良好であるもの、臭気の経時安定性に劣る。また、ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリルやポリオキシエチレンモノイソステアリン酸グリセリルなどポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを用いた場合は、経時後の臭気の発生が少ないものは得られるものの、浴槽投入時の乳化性が悪く、目的の効果が得られない。
【0003】
【特許文献1】特開平11−71230号公報
【特許文献2】特開2000−327559号公報
【特許文献3】特開2001−172165号公報
【特許文献4】特開2001−328933号公報
【特許文献5】特開2005−29537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況において、本発明は、乳化安定性が高く、入浴後も肌に十分な潤い感を与え、さらに経時安定性も優れた入浴剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、以下の示すものである。
(1)下記の成分a)、b)、およびc)をa)0.1〜40重量%、b)20〜95重量%、c)0.0001〜30重量%含有することを特徴とする入浴剤組成物。
a) 式(I)で示されるポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステル
Z−(O[(EO)m(PO)n]−R)a (I)
(式中、Zは炭素数5以上、水酸基を5個以上持つ水酸基を除いた炭化水素残基で5≦a、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、Rはイソステアリン酸残基あるいは水素原子でエステル化率は15〜85%である。mおよびnはそれぞれオキシエチレン基、オキシプロピレン基の平均付加モル数で、1≦m+n≦20、m/(m+n)≧0.8を満たす。オキシエチレン基、オキシプロピレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。)
b)油性成分
c)保湿成分
(2)式(I)で示されるポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステルにおいて、Zがソルビトール残基、n=0であることを特徴とする、前記の入浴剤組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、乳化安定性が高く、入浴後も肌に十分な潤い感与え、さらに経時後の乳化安定性および臭気の発生の少ない優れた入浴剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
式(I)で示されるポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステルにおいてZは炭素数5以上、水酸基を5個以上持つ水酸基を除いた炭化水素残基であり、ペンチトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチト−ルなどの多価アルコールの脱水酸基残基があげられる。好ましくは炭素数5〜12、水酸基を5〜12個有する炭化水素の脱水酸基残基であり、より好ましくはソルビトールの脱水酸基残基である。Zは炭素数5未満、水酸基も5個未満である炭化水素の脱水酸基残基、例えばグリセリンでは経時後の乳化安定性が得られない。
aは5≦aを満たし、好ましくは5≦a≦12である。
【0008】
Rはイソステアリン酸残基あるいは水素原子で、多価アルコール残基が有する全水酸基に対してエステル化される個数の割合をエステル化率とすると、エステル化率は15〜85%であり、好ましくは、30〜70%である。エステル化率は全水酸基の内、どの割合でエステル化されたを示す数値であり、エステル化前後の水酸基価により算出される。85%より高いと、浴槽に投入する際の乳化性に劣り、場合によっては油浮きが生じてしまう。15%より低いと、浴槽に投入する際の乳化性は良好であるが、経時後の乳化安定性に劣り、入浴後の肌の潤い感も十分でない。
イソステアリン酸としては、16−メチルへプタデカン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−オクチルデカン酸など種々の部位に分岐構造を含有した炭素数18の脂肪酸であり、これらの混合物でも良い。
Rがイソステアリン酸以外の脂肪酸の残基、例えばラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の残基では経時後の乳化安定性に劣り、オレイン酸では経時後の臭気に劣る。
【0009】
EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。
mおよびnは存在する水酸基に付加されるオキシエチレン基、オキシプロピレン基の平均付加モル数で、1≦m+n≦20、m/(m+n)≧0.8で、好ましくは1≦m+n≦10、さらに好ましくは3≦m+n≦8でかつn=0である。m+nが1より少ない場合、または20より多い場合、目的の経時後における乳化安定性が得られない。また、m/(m+n)が0.8より小さいと経時後の乳化安定性が劣る。オキシエチレン基とオキシプロピレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していても良い。
オキシアルキレン基の総付加モル数である(m+n)×aは5〜120が好ましく、15〜100がさらに好ましい。
【0010】
式(I)の化合物は、入浴剤組成物に0.1〜40重量%含有され、好ましくは1〜30重量%である。0.1重量%より少ないと、求める経時後の乳化安定性が得られず、40重量%より多いと入浴後の肌の潤い感が十分でない。式(I)の化合物は1種または2種以上の混合物であっても良い。
ポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステルは、公知の方法で製造することができる。例えば、ポリオールにアルキレンオキシドを付加反応して得られたポリオキシアルキレンポリオールとイソステアリン酸とのエステル化反応や低級アルコールのイソステアリン酸エステルとのエステル交換反応で得ることができる。エステル化の割合を調整することにより任意の化合物を得ることができる。
【0011】
b)の油性成分には、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、固形パラフィンなどの炭化水素類、ジメチコン、フェメチコン、シクロメチコン、アモジメチコン、ポリエーテル変性シリコーン、高重合ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン類、ホホバ油、キャンデリラロウ、カルナウバワックス、モクロウ、ミツロウ、ゲイロウ、ラノリン、還元ラノリン、オレイン酸オクチドデシル、オレイン酸エチル、パルミチン酸オクチル、オクタン酸セチル、イソプロピルミリステート、ネオペンチルグリコールジイソステアレート、リンゴ酸ジイソステアレートなどのエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、ジデカン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなどの高級脂肪酸類及びこれらのトリグリセリド、ベヘニルアルコ−ル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクタデシルアルコールなどの高級アルコール類、オリーブ油、トウモロコシ油、落花生油、菜種油、ゴマ油、大豆油、ヤシ油、水添ヤシ油、パーム油、パーム核油、アボカド油、カカオ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ヒマシ油、アマニ油、ホホバ油、ひまわり油、マカデミアナッツ油、茶実油、綿実油、シソ油、椿油、小麦麦芽油、ヌカ油、牛脂、豚脂等の動植物油類等が挙げられる。より好ましくは炭化水素、エステル油、油脂である。またこれらを1種または2種以上用いても良い。
油性成分は入浴剤組成物に20〜95重量%含有され、好ましくは30〜80重量%である。20重量%より少ないと、入浴後の肌の潤い感が得られず、95重量%より多いと、浴槽中に投入する際の乳化性、もしくは経時後の乳化安定性に劣る。
【0012】
c)の保湿成分には、c1)としてグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ブチレングリコール、3−メチル1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グルコース、ポリプロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、キトサン、乳糖、果糖等の多価アルコールが挙げられる。c1)成分としてより好ましくはグリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールである。また、c2)として尿素、セラミド、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リボ核酸ナトリウム等の天然保湿成分、アスパラギン酸、アラニン、グリシン、システイン、セリン、アルギニン、リシン、アルギン酸ナトリウム等のアミノ酸及びその誘導体、プラセンタエキス、センキュウエキス、アロエエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、緑茶エキス、チンピエキス、海藻エキス、カミツレ流エキス、コメヌカエキス等の動植物エキス類、カルボキシビニルポリマー、ゼラチンおよびメチルセルロース、キサンタンガム等の水溶性高分子、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等の天然保湿成分類似化合物が挙げられる。またこれらを1種または2種以上用いても良い。
保湿成分は入浴剤組成物に0.0001〜30重量%含有され、好ましくはc1)成分を0.1〜20重量%と共にc2)成分を0.01〜10重量%含有され、より好ましくはc1)とc2)の割合が0.1≦c1)/c2)≦400で含有する。0.0001重量%より少ないと、入浴後の肌の潤い感が得られず、30%より多いと、経時後の乳化安定性が劣る。
【0013】
本発明の入浴剤組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において水、一般に入浴剤組成物に配合される他の成分を適宜加えることができる。他成分として、非イオン性界面活性剤、アルキルアミンオキシド等の半極性界面活性剤、アシルメチルタウリン塩等の陰イオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤、アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルイミノジ酢酸塩等の両性界面活性剤、ビタミン、グリチルリチン酸塩、テルペン類、パラベン類、エタノール、フェノキシエタノール等の防腐剤、ジメチルアミノ安息香酸エステル類、桂皮酸エステル類などの紫外線吸収剤、l−メントール、ペパーミントなどの清涼剤、炭酸水素ナトリウム、イオウ華、クエン酸、安息香酸などの無機または有機塩類、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、香料、色素、粉体類等を挙げることができる。
【0014】
本発明の入浴剤組成物は、通常の方法により製造でき、液状、ゲル状、カプセル状等の剤型とすることができ、原液のままでも水等で希釈してもよい。使用量は目的に応じて適宜選択して使用することができる。通常、浴槽のお湯に約200lに対して、5〜100mlの本発明品を投入して、分散するようにかき混ぜて使用することができる。
本発明の入浴剤組成物はa)成分、b)成分、およびc)、その他の成分を配合することができるが、上記の配合量において、合計して100重量%を超えない範囲で配合することができる。
【実施例】
【0015】
以下に本発明例と比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
本発明例1〜6、比較例1〜7
本発明のa)成分、b)成分、c)成分を選定し、a)成分の比較物質としてa’)成分を選定し、表1の配合組成(重量%)にて入浴剤組成物を調整し、その官能使用感を下記評価基準に基づき評価した。
表1に評価結果も合わせて示す。
<合成例 テトライソステアリン酸POE(30)ソルビトールの合成例>
ソルビト−ル182gを触媒として水酸化カリウム4.5gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりエチレンオキシド1320gを滴下させ、2時間攪拌した。その後オートクレーブから反応組成物を取り出し、リン酸で中和してポリオキシエチレン(30)ソルビトールを得た。水酸基価は225であった。
得られたポリオキシエチレン(30)ソルビトール1500gとイソステアリン酸(EMERSOL873;コグニス社製)1140gを200℃にて6時間反応させ、テトライソステアリン酸POE(30)ソルビトールを得た。水酸基価45であることからエステル化率67%であった。
合成例に準じて本発明例のポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステルを合成し、本発明例1〜6および比較例1〜7の入浴剤組成物を調整して、下記の方法で評価を行った。
【0016】
【表1】

【0017】
注)テトライソステアリン酸POE(30)ソルビトール:m=5、n=0、a=6、エステル化率;67%
テトライソステアリン酸POE(6)ソルビトール:m=1、n=0、a=6、エステル化率;67%
テトライソステアリン酸POE(60)ソルビトール:m=10、n=0、a=6、エステル化率;67%
トリイソステアリン酸POE(30)ソルビトール:m=5、n=0、a=6、エステル化率;50%
ジイソステアリン酸POE(30)ソルビトール:m=5、n=0、a=6、エステル化率;33%
【0018】
<使用テスト>
湯に投入する際の乳化性(湯との馴染み性)、入浴後(入浴後から3時間経過するまでの期間)の肌の潤い感、経時後の乳化安定性及び臭気について、男女20名のパネルによる使用テストを行い、下記評価基準に基づいて評価した。
(1)湯に投入する際の乳化性(湯との馴染み性)
浴槽の湯に対して本発明品および比較品を希釈率1/2000で投入し、大きくゆっくりと1回混ぜた時、全体の湯が均一に乳化するまでの速さと乳化性を目視により判定した。20名の官能評価から、○以上を乳化性が良好であると評価した。
◎:混ぜている途中で均一に乳化する。
○:混ぜた後、速やかに乳化する。
△:1回混ぜただけでは乳化しない。または一部に油浮きが見られる。
×:均一に乳化しない。または油浮きする。
(2)入浴後(入浴後から3時間経過後までの期間)の肌の潤い感
浴槽の湯に対して本発明品および比較品を希釈率1/2000で投入して入浴し、入浴後から3時間経過するまで、肌の潤い感について官能により評価した。20名の官能評価から、○以上を入浴後の肌の潤い感を得られると評価した。
◎:20名中、15名以上が潤い感を得たと評価。
○:20名中、11〜15名が潤い感を得たと評価。
△:20名中、5〜10名が潤い感を得たと評価。
×:20名中、5名以下が潤い感を得たと評価。
【0019】
(3)経時後の乳化安定性
40℃にて3ヶ月間保持した本発明品および比較品を浴槽の湯に希釈率1/2000で投入し、大きくゆっくりと1回混ぜた後3時間静置した時点で、乳化安定性について下記の基準で評価した。20名の官能評価から、○以上を乳化安定性に優れていると評価した。
◎:油浮きなし。
○:油浮きはほとんどなし。
△:一部油浮きがある。
×: 著しい油浮きがある。
(4)経時後の臭気
40℃にて3ヶ月間保持した本発明品および比較品を浴槽の湯に希釈率1/2000で投入し、その臭気を下記の基準で評価した。20名の官能評価から、○以上を臭気が優れていると評価した。
◎:20名中、15名以上が劣化臭を感じないと評価。
○:20名中、10〜15名が劣化臭を感じないと評価。
△:20名中、5〜10名が劣化臭を感じないと評価。
×:20名中、5名以下が劣化臭を感じないと評価。
【0020】
本発明の入浴剤組成物を用いた本発明例は、すべての性能を満足していた。
これに対し、テトラオレイン酸POE(30)ソルビトールを配合した比較例1は乳化性に優れているものの、経時後の臭気が悪い。本発明のポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステルを含まない比較例2は経時後の乳化安定性、入浴後の肌の潤い感に劣っていた。油性成分が請求項の範囲以下で配合した比較例3、保湿成分を配合していない比較例4では、入浴後の肌の潤い感に劣る。グリセリン骨格を有する非イオン性界面活性剤を配合した比較例5〜7では経時後の臭気は優れていたが、乳化性および経時後の乳化安定性に劣っていた。
このように比較例の入浴剤組成物はいずれも、湯に投入する際の乳化性、入浴後の肌の潤い感、経時後の乳化安定性、経時後の臭気をすべて満足するものではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分a)、b)およびc)をa)0.1〜40重量%、b)20〜95重量%、c)0.0001〜30重量%含有することを特徴とする入浴剤組成物。
a)式(I)で示されるポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステル
Z−(O[(EO)m(PO)n]−R)a (I)
(式中、Zは炭素数5以上、水酸基を5個以上持つ水酸基を除いた炭化水素残基で5≦a、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、Rはイソステアリン酸残基あるいは水素原子でエステル化率は15〜85%である。mおよびnはそれぞれオキシエチレン基、オキシプロピレン基の平均付加モル数で、1≦m+n≦20、m/(m+n)≧0.8を満たす。オキシエチレン基、オキシプロピレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。)
b)油性成分
c)保湿成分
【請求項2】
式(I)で示されるポリオキシアルキレンポリオールイソステアリン酸エステルにおいて、Zがソルビトール残基、n=0であることを特徴とする、請求項1記載の入浴剤組成物。

【公開番号】特開2007−99644(P2007−99644A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289009(P2005−289009)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】