説明

入浴装置

【課題】人間が本来保有している治癒力を最大限発揮させることのできる入浴装置を提供する。
【解決手段】液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部4と、マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部5と、ナノバブル含有水を更にせん断して浴槽水を作製する複数の第3気体せん断部であって、浴槽水を浴槽内の入浴者の方向に向かって吐出する第3気体せん断部60〜63、および浴槽水を浴槽内の入浴者とは別の方向に向かって吐出する第3気体せん断部65を含む複数の第3気体せん断部と、浴槽内の入浴者とは別の方向に向かって吐出された浴槽水の進行方向を変えるとともに、当該進行方向が変わった浴槽水を入浴者の頭部(顔も含む)に向かって導く方向転換部68と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノバブルを用いた入浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、日本社会は、高齢化が進展しつつある。このような状況下において、老人医療に対して、様々な見直しがされつつある。例えば、老人に薬を次々と投与することは、薬の吸収率の低下や薬の副作用を招くことが明らかになりつつあり、このような治療方法に頼らない新たな治療方法が望まれている。つまり、薬に頼らず、人間が本来保有している治癒力を最大限発揮させることによって疾患を克服することのできる装置や方法の開発が強く望まれている。
【0003】
例えば、具体的な例として、生活習慣病である糖尿病を挙げることができる。現在の医療では、糖尿病患者の多くに対して、年を経るごとに投与する薬物の量を増加させる必要がある。これは、高齢になるにしたがって、腎臓または肝臓において薬の有効成分が分解されて体内に当該有効成分が十分に拡散できず、その結果、薬物を投与したときに患者のすい臓から分泌されるインスリンの量が減少するためであると考えられている。このことは、薬に頼る医療には限界があることを示している。
【0004】
ところで、従来から、小さな直径を有する気泡(バブル)には様々な作用があることが知られており、現在、このような気泡を作製する技術およびその効果に対する研究が進みつつある。
【0005】
上記気泡は、その直径に応じて、マイクロバブル、マイクロナノバブルおよびナノバブルに分類することができる。具体的には、マイクロバブルは、その発生時において10μm〜数十μmの直径を有する気泡であり、マイクロナノバブルは、その発生時において数百nm〜10μmの直径を有する気泡であり、ナノバブルは、その発生時において数百nm以下の直径を有する気泡である。なお、マイクロバブルは、発生後の収縮運動によって、その一部がマイクロナノバブルに変化することがある。また、マイクロバブルの一部は水中にて収縮して、最後には消滅してしまうマイクロバブルもある。一方、ナノバブルは、長期に渡って液体中に存在することができるという性質を有している。
【0006】
例えば、従来から、様々なナノバブルの利用方法、およびナノバブルを利用した各種装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。より具体的には、特許文献1には、ナノバブルが、浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、または静電分極の実現によって、界面活性作用および殺菌作用を示すことが記載されている。更に、特許文献1には、ナノバブルが有する界面活性作用および殺菌作用を用いて、各種物体を洗浄する技術および汚濁水を浄化する技術が記載されている。更に、特許文献1には、ナノバブルを用いて生体の疲労を回復する方法が記載されている。なお、特許文献1では、水を電気分解するとともに、当該水に超音波振動を加えることによって、ナノバブルを作製している。
【0007】
また、従来から、液体を原料としてナノバブルを作製する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。上記作製方法は、液体中において、1)上記液体の一部を分解ガス化する工程、2)上記液体に超音波を印加する工程、または3)上記液体の一部を分解ガス化する工程および上記液体に超音波を印加する工程、からなるものである。なお、液体の一部を分解ガス化する工程として、電気分解法または光分解法を用いることができることが記載されている。
【0008】
また、従来から、オゾンガスからなるマイクロバブル(オゾンマイクロバブル)を利用する廃液処理装置が用いられている(例えば、特許文献3参照)。上記廃液処理装置では、オゾン発生装置によって作製されたオゾンガスと廃液とを、加圧ポンプを用いて混合することによって、オゾンガスからなるマイクロバブルを作製している。そして、当該マイクロバブルが廃液中の有機物と反応することによって、廃液中の有機物が酸化分解される。
【特許文献1】特開2004−121962号公報(平成16年4月22日公開)
【特許文献2】特開2003−334548号公報(平成15年11月25日公開)
【特許文献3】特開2004−321959号公報(平成16年11月18日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来のバブルを用いた方法は、人間が本来保有している治癒力をある程度は可能であるが、人体における血流量を最大としていないので、治癒力を最大限発揮させることができないという問題点を有している。
【0010】
具体的には、上記従来のバブルを用いた方法は、例えば人体に向かってナノバブル含有水を吐出する場合に、人体の別々の領域に対して、それぞれの領域にとって最適な別々の条件にてナノバブル含有水を吐出することができないという問題点を有している。
【0011】
例えば、人体には、高圧にて、すなわち高圧によるマッサージ効果を含めて高圧ナノバブル含有水が吐出される方が所望の効果を得やすい領域と、低圧にて、すなわち顔面の洗浄効果を期待する場合の低圧ナノバブル含有水が吐出される方が所望の効果を得やすい領域とが存在する。しかしながら、上記従来のバブルを用いた方法では、人体の各領域を同じ条件のナノバブル含有水にて処理することになる。その結果、上記従来のバブルを用いた方法は、人間が本来保有している治癒力を最大限に発揮させることができないという問題点を有している。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、人間が本来保有している治癒力を、人体へのマッサージ作用および血流量を可能な限り増加させることによって、最大限発揮させることのできる入浴装置法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、以下の1)〜4)を見出し、本願発明を完成させるに至った。つまり、
1)ナノバブル含有水(例えば、有用物質を含有するナノバブル含有磁気活水)は、頭部毛髪の育毛効果を有するとともに、洗顔剤を使用することなく効果的に顔を洗浄することができること、
2)ナノバブル含有水(例えば、有用物質を含有するナノバブル含有磁気活水)を入浴者に対して直接吐出することなく、ナノバブル含有水を方向転換手段に反射させた後に入浴者に吐出すれば、頭部および顔に対する刺激が少ない条件下にて頭部毛髪の洗浄および顔の洗浄ができること、
3)例えばタイマー等を用いてバルブを開閉することにより、ナノバブル含有水(例えば、有用物質を含有するナノバブル含有磁気活水)を入浴者の体の各部位に対して、順次吐出することができる。そして、これによって、マッサージ効果を増大させることができること、
4)ナノバブル、交流磁気、および磁気活水(換言すれば、例えば永久磁石の磁気)の各々が有する効果を同時に発揮させることによって、入浴者の血流量を増加させることができるとともに、入浴者の血糖値を下げることができること。
【0014】
本発明の入浴装置は、上記課題を解決するために、液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部と、前記マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部と、前記ナノバブル含有水を更にせん断して浴槽水を作製する複数の第3気体せん断部であって、前記浴槽水を浴槽内の入浴者の方向に向かって吐出する第3気体せん断部、および前記浴槽水を浴槽内の入浴者とは別の方向に向かって吐出する第3気体せん断部を含む複数の第3気体せん断部と、前記浴槽内の入浴者とは別の方向に向かって吐出された浴槽水の進行方向を変えるとともに、当該進行方向が変わった浴槽水を前記入浴者の頭部に向かって導く方向転換手段と、を有することを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、第1気体せん断部によって液体と気体とを混合およびせん断することによって、上記気体からなるマイクロバブルを含有するマイクロバブル含有水を作製することができる。次いで、第2気体せん断部によって上記マイクロバブル含有水を更にせん断することによって、当該マイクロバブル含有水中のマイクロバブルが更にせん断される。その結果、上記気体からなるナノバブルを含有するナノバブル含有水を作製することができる。次いで、第3気体せん断部によって上記ナノバブル含有水を更にせん断することによって、当該ナノバブル含有水中のナノバブルが更に小さくせん断される。つまり、ナノバブルのサイズ(直径)が更に小さくなる。その結果、上記気体からなる小さなナノバブルを含有する浴槽水を作製することができる。そして、ナノバブルには入浴者の血流量を増加させる作用があるので、上記構成によれば、入浴者の血流量を増加させることができる。
【0016】
また、上記構成によれば、複数の第3気体せん断部を有しており、当該複数の第3気体せん断部には、浴槽水を浴槽内の入浴者に向かって吐出する第3気体せん断部と、浴槽水を浴槽内の入浴者とは別の方向に向かって吐出する第3気体せん断部との両方が含まれている。このとき、浴槽水を浴槽内の入浴者に向かって吐出する場合、換言すれば、浴槽水を浴槽内の入浴者に向かって直に吐出する場合には、浴槽水を高圧にて入浴者に接触させることができる。一方、浴槽内の入浴者とは別の方向に向かって吐出された浴槽水は、方向転換手段に向かって吐出されることになる。そして、吐出された浴槽水は、方向転換手段によって進行方向が変えられる。換言すれば、吐出された浴槽水は、方向転換手段によって跳ね返されることによって、または、方向転換手段の表面に一度付着した後に下方に向かって滴下することによって、進行方向が変えられる。そして、方向転換手段によって進行方向が変えられるときに、上記浴槽水の速度が低下する。速度が低下した浴槽水は、上記方向転換手段によって入浴者の頭部に向かって導かれるので、浴槽水を低圧にて入浴者の頭部に接触させることができる。
【0017】
したがって、上記構成によれば、体の各領域に適した圧力にて、ナノバブルを含有する浴槽水を体に接触させることができるので、人間が本来保有している治癒力を最大限に発揮させることができる。
【0018】
本発明の入浴装置では、前記方向転換手段は、入浴者の頭部に対向する側が凹んだ曲面を有するものであることが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、第3気体せん断部の少なくとも1つから吐出された浴槽水の速度を確実に落とすことができるとともに、速度が落ちた浴槽水を確実に入浴者の頭部に向かって導くことができる。その結果、刺激が少ない状態で、頭部に対して浴槽水を接触させることができる。
【0020】
本発明の入浴装置では、前記方向転換手段は、合成樹脂または金属からなることが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、第3気体せん断部の少なくとも1つから吐出された浴槽水の速度を確実に落とすことができるとともに、速度が落ちた浴槽水を確実に入浴者の頭部に向かって導くことができる。その結果、刺激が少ない状態で、頭部に対して浴槽水を接触させることができる。また、上記構成であれば、低価格の簡単な設備によって方向転換手段を構成することができる。
【0022】
本発明の入浴装置では、前記複数の第3気体せん断部の各々に対して設けられた、前記第3気体せん断部の各々から吐出される入浴水の量を調節するためのバルブと、前記バルブの各々の開閉動作を制御するためのバルブ制御手段と、を有することが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、前記複数の第3気体せん断部の各々に対応するように、つまり、前記複数の第3気体せん断部の各々の上流に個別に、バルブが設けられている。その結果、上記バルブによって、各代3気体せん断部から吐出される浴槽水の量(例えば、浴槽水を吐出するか否か)を調節することができる。また、上記構成によれば、バルブ制御手段によって、バルブごとに開閉動作(例えば、開閉のタイミング、およびバルブが開かれている時間)が制御されている。その結果、浴槽水を吐出する第3気体せん断部を経時的に変化させることができるので、入浴者の体に向かって、流れが様々に変化する浴槽水を吐出することができる。その結果、マッサージ効果を上昇させることができる。
【0024】
本発明の入浴装置では、前記浴槽には、交流磁気を発生させるための少なくとも1つの磁気発生手段が設けられていることが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、磁気発生手段によって、入浴者に対して交流磁気を照射することができる。そして、交流磁気の作用によって、入浴者の血流量を増加させることができる。
【0026】
本発明の入浴装置では、前記浴槽の内部には、入浴者の体の少なくとも一部に沿った形状を有する固定手段が設けられており、前記磁気発生手段は、前記固定手段に設けられていることが好ましい。
【0027】
上記構成によれば、固定手段によって、浴槽内における入浴者の体の位置を固定することができる。また、上記固定手段は上記磁気発生手段を備えているので、上記磁気発生手段の近くに入浴者の体を配置することができる。それによって、確実に、入浴者に対して交流磁気を照射することができる。その結果、入浴者の血流量を増加させることができる。
【0028】
本発明の入浴装置では、前記磁気発生手段によって形成される磁場の強さは、800ガウス以上の強さであることが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、体の内部に確実に磁場をかけることができる。つまり、体の内部に所望の効果を及ぼし得る程度の磁力線を発生させることができる。
【0030】
本発明の入浴装置では、前記第1気体せん断部に導入される前の前記液体を、一時的に収容するための収容手段を有し、前記収容手段内には、活性炭、ラジウム鉱石または薬用植物が、前記液体と接触可能に備えられていることが好ましい。
【0031】
上記構成によれば、収容手段内に備えられた活性炭、ラジウム鉱石または薬用植物によって、浴槽水の原材料である上記液体に対して、予め様々な処理を施すことができる。その結果、作製される浴槽水に対して、様々な効果を付与することができる。
【0032】
例えば、上記収容手段内に薬用植物(生薬)を備えさせれば、当該薬用物質から液体に有用物質(例えば、薬効成分)を抽出することができる。その結果、有用物質を含有する浴槽水を作製することができるとともに、当該有用物質の効果を入浴者に及ぼすことができる。
【0033】
また、上記収容手段内に活性炭を備えさせれば、液体中(浴槽水中)の各種物質(例えば、有機物または着色成分等)を当該活性炭に吸着させて除去することができる。その結果、浴槽水を再利用することができる。すなわち、資源を有効利用することができる。
【0034】
また、上記収容手段内にラジウム鉱石を備えさせれば、ラジウムを液体中に溶解させることができる。その結果、ラジウムを含有する浴槽水を作製することができるとともに、ラジウムに由来する放射線を入浴者に作用させることができる。つまり、ラジウムに由来する微量の放射線によって入浴者の体内の細胞を刺激し、その結果、体の恒常性を増加させることができる(ホルミシス効果)。
【0035】
本発明の入浴装置では、前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水に対して磁場をかける活性化手段を備えることが好ましい。
【0036】
上記構成によれば、マイクロバブル含有水またはナノバブル含有水に対して磁場をかけることによって、マイクロバブル含有水またはナノバブル含有水に磁気活性を付与することができる。そして、磁気活性が付与されたバブル含有水を用いて浴槽水が作製されるので、磁気活性を有する浴槽水を作製することができる。磁気活性は入浴者の血流量を増加させる効果を有しているので、上記構成によれば、入浴者の血流量を増加させることができる。
【0037】
本発明の入浴装置では、前記活性化手段は、前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水を通過させるための流路を有し、前記流路は、磁石のS極として機能する第1面と磁石のN極として機能する第2面とが対向するように配置されていることが好ましい。
【0038】
上記構成によれば、上記活性化手段は、磁石のS極として機能する第1面と磁石のN極として機能する第2面とが対向するように配置された流路を有している。したがって、当該流路中を液体が通過することによって、液体に対して磁場をかけることができる。そして、その結果、液体に対して磁気活性を付与することができる。つまり、磁気活水を作製することができる。
【0039】
本発明の入浴装置では、前記活性化手段には、配管を介して前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水が供給されており、前記配管には、当該配管の少なくとも一部の内腔横断面の大きさを変化させ得る配管径調節手段が設けられていることが好ましい。
【0040】
上記構成によれば、上記配管径調節手段によって、配管の少なくとも一部の領域において配管内腔の横断面の大きさを変化させることができる。その結果、配管を介して上記活性化手段に供給される液体の量を調節することができる。つまり、上記活性化手段によって磁場がかけられているときの液体の流速を調節することができるとともに、上記活性化手段によって磁場がかけられているときの液体の流れを乱流ではなく相流にすることができる。その結果、上記液体に対して、効率よく磁気活性を付与することができる。
【0041】
本発明の入用装置では、前記第1気体せん断部に対して、1.2リットル/分以下にて前記気体を供給するための気体量調節手段を有することが好ましい。
【0042】
上記構成によれば、ナノバブルを効果的かつ大量に作製することができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明の入浴装置は、以上のように、液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部と、上記マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部と、上記ナノバブル含有水を更にせん断して浴槽水を作製する複数の第3気体せん断部であって、上記浴槽水を浴槽内の入浴者の方向に向かって吐出する第3気体せん断部、および上記浴槽水を浴槽内の入浴者とは別の方向に向かって吐出する第3気体せん断部を含む複数の第3気体せん断部と、上記浴槽内の入浴者とは別の方向に向かって吐出された浴槽水の進行方向を変えるとともに、当該進行方向が変わった浴槽水を上記入浴者の頭部に向かって導く方向転換手段と、を有するものである。
【0044】
それゆえ、磁気活水が有する磁気活性に由来する作用、ナノバブルに由来する作用、および交流磁気に由来する作用とによって、入浴者の血流量および血液中のインスリン様成長因子の量を増加させることができるとともに、入浴者の体を洗浄することができるという効果を奏する。また、入浴者をマッサージすることができるという効果を素する。
【0045】
更に具体的には、入浴者の頭部に対しては、頭髪を洗浄するとともに育毛することができるという効果を奏する。
【0046】
また、血流量および血液中のインスリン様成長因子の量を増加させることができれば、各種疾患を治療することができる。例えば、上記疾患としては、中枢神経系疾患、心血管系疾患、代謝系疾患、消化器系疾患、血液および免疫系疾患、泌尿生殖器系疾患、筋骨格系疾患、皮膚及び毛髪疾患等を挙げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本明細書において「ナノバブル」とは、その発生時において数百nm以下の直径を有する気泡が意図される。また、本明細書において「磁気活水」とは、例えば人工的に作り出された磁場中に水を通過させることにより、磁界のエネルギーによって活性化された液体(例えば、水)が意図される。また、本明細書において「磁気活性」とは、磁力線の作用によって、液体または気体が備える活性が意図される。
【0048】
本実施の形態の入浴装置47は、処理部46およびナノバブル発生部17を備えている。以下に、各構成について説明する。
【0049】
〔1.処理部〕
以下に、処理部46について説明する。
【0050】
上記処理部46には浴槽1が備えられており、当該浴槽1内にナノバブルを含有する浴槽水が吐出される。
【0051】
上記浴槽1の内部には液体が貯蔵されている。なお、当該液体としては特に限定されず、例えば水などを用いることができる。また、上記液体の温度も適宜設定することができ、例えば温水または冷水等を用いることができる。なお、浴槽1内に貯蔵される液体の量は、バルブ43によって調節され得る。
【0052】
上記浴槽1内には、固定部44(固定手段)が設けられていることが好ましい。当該固定部44の形状は特に限定されないが、例えば、入浴者の体の少なくとも一部に沿った形状を有するものであることが好ましい。上記構成であれば、上記固定部44に沿った状態で、入浴者の体を浴槽1内に固定することができる。
【0053】
また、図1に示すように、固定部44は、入浴者の臀部の位置を固定化するための腰掛部42を備えていることが更に好ましい。なお、上記腰掛部42の形状は特に限定されないが、入浴者の臀部に沿った形状を有していることが好ましい。上記構成であれば、上記腰掛部42に沿った状態で、入浴者の臀部を浴槽1内に固定することができる。
【0054】
上記浴槽1には、交流磁気を発生させるための少なくとも1つの磁気発生部45(磁気発生手段)が設けられていることが好ましい。また、当該磁気発生部45は、固定部44内に設けられていることが更に好ましい。なお、本明細書において「交流磁気」とは、各種電源を使用して磁力線を発生させることによって生じる磁気であって、N極とS極とが1秒間に数十回入れ替わる磁気が意図される。交流磁気のような強力な磁気は、体の深部までとどく。そして、当該交流磁気によって体内に電流が流れ、これによって細胞の外側に存在するカルシウムイオン、ナトリウムイオン等の無機イオンが刺激される。そして、平滑筋が開いたり、閉じたりすることによって、血流量を増加させることができる。
【0055】
磁気発生部45としては特に限定されず、適宜公知の構成を用いることができる。例えば、上記磁気発生部45として、電磁石または交流磁気治療器を用いることができる。なお、交流磁気治療器としては特に限定されず、適宜公知の交流磁気治療器を用いることができる。例えば、GTR型の交流磁気治療器(株式会社マグネタイザー製)を用いることができるが、これに限定されない。
【0056】
図1に示すように、上記磁気発生部45は、第1極39および第2極40を備えている。つまり、上記磁気発生部45は、1対の第1極39および第2極40からなる。上記第1極39および第2極40は、ともに、磁石のN極またはS極に切り替えられ得る。このとき、一方がN極として機能している時には、他方はS極として機能している。そして、上記第1極39および第2極40の極性を連続的に切り替えることによって、上記第1極39と第2極40との間に交流磁気を発生させることができる。
【0057】
上記磁気発生部45の数は特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができる。例えば、上記磁気発生部45の数は、多いほど好ましい。更に具体的には、磁気発生部45の数は、1つの浴槽につき4〜8個であることが好ましい。磁気発生部45の数が多ければ多いほど、入浴者の体全体に均等に交流磁気を照射することができるので、入浴者の血流量をより確実に増加させることができる。
【0058】
上記磁気発生部45が設けられている位置は特に限定されない。例えば、上記固定部44内に備えられていることが好ましい。また、上記磁気発生部45は、上記固定部44内における入浴者の頭部が配置される領域内に設けられることが好ましい。一般に脳からの指令に基づいて血液循環、およびホルモンのバランスが調整される。したがって、上記構成によれば、脳に交流磁気を照射することによって、ホルモン疾患や、血液循環と関係する糖尿病、または慢性疾患高血圧を改善することができる。なお、上記磁気発生部45を固定部44内における入浴者の頭部が配置される領域内に設ける場合には、図1に示すように、浴槽1の側面を通常の浴槽よりも高くすることが好ましい。
【0059】
上記磁気発生部45によって形成される磁場の強さは特に限定されないが、例えば800ガウス以上の強さであることが好ましい。磁場による治療効果を測定する方法として、血液中のセロトニンの量を測定する方法が知られている。上記磁場の強さが800ガウス以上の場合、血液中のセロトニンの量が確実に変化する。つまり、上記磁場の強さが800ガウス以上の場合、当該磁場によって確実に血流量を増加させることができる。
【0060】
〔2.ナノバブル発生部〕
以下に、ナノバブル発生部17について説明する。
【0061】
上記ナノバブル発生部17は、液体と気体とを用いてナノバブル含有水を作製するための構成である。そして、収容部49および/または磁気活水作製部9をナノバブル発生部17内に更に設けることによって、ナノバブル含有水に対して、薬効成分または磁気活性等に由来する更なる特性を付与することができる。以下に、ナノバブル発生部17について、詳細に説明する。
【0062】
ナノバブル発生部17は、大まかに言えば、気液混合循環ポンプ3を備える第1気体せん断部4、第2気体せん断部5、第3気体せん断部60〜63、第3気体せん断部65、電動ニードルバルブ8(気体量調節手段)、および気体配管7を備えている。更に、ナノバブル発生部17は、収容部49(収容手段)、配管径調節部34(配管径調節手段)、磁気活水作製部9(活性化手段)を備えていることが好ましい。
【0063】
図1に示すように、本実施の形態の入浴装置では、浴槽1内の液体が、配管53を介して収容部49内に導入される。このとき、配管53にはバルブ54が設けられていることが好ましい。バルブ54によって、浴槽1から収容部49内に導入される液体の量を調節することができるとともに、入浴装置47によって作製されるナノバブル含有水の量を調節することができる。なお、上記バルブ54を開くことによって、浴槽1内の液体は、重力によって自然に収容部49内に導入される。
【0064】
収容部49内には、底部として網状の仕切り69を有するとともに側壁として仕切り板51を有する充填部74が設けられていることが好ましい。上記仕切り69が網状であることによって、充填部74内に充填される様々な物質と収容部49内に導入された液体とを接触させることができる。
【0065】
充填部74内に充填される物質としては特に限定されず、様々な物質を充填することができる。そして、これによって、本実施の形態の入浴装置によって作製される浴槽水に様々な機能を付与することができる。例えば、充填部74内に充填される物質としては、活性炭、ラジウム鉱石または薬用植物等を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0066】
例えば、図1では、充填部47内に薬用植物52が充填されている。そして、当該薬用植物52から、様々な薬効成分が収容部49内の液体中に抽出される。上記薬用植物52としては特に限定されず、様々な薬用植物を用いることができる。例えば、薬用植物52としては、育毛効果があることが知られているセンブリまたは朝鮮人参、体を温める効果があることが知られているショウブ、ユズ、トウキ、カミツレ、アロエまたはハマゴウなどを用いることが好ましい。
【0067】
上記第1気体せん断部4には配管2および気体配管7が接続されている。そして、上記配管2を介して、上記収容部49から第1気体せん断部4に液体が供給されるとともに、上記気体配管7を介して第1気体せん断部4に気体が供給される。そして、上記第1気体せん断部4の中で上記液体と上記気体とが混合およびせん断されて、その結果、マイクロバブル含有水が作製される。
【0068】
なお、上記気体としては特に限定されない。例えば、上記気体としては、空気、オゾンガス、炭酸ガス、酸素ガスまたは窒素ガスなどを用いることが好ましい。
【0069】
上記第1気体せん断部4内への液体の供給は、気液混合循環ポンプ3を動作させることによって行われる。また、上記第1気体せん断部4内への気体の供給のタイミング、および気体の供給量の調節は、電動ニードルバルブ8の開閉動作によって調節される。したがって、気液混合循環ポンプ3および電動ニードルバルブ8を制御することによって、ナノバブルを含有する浴槽水の作製を制御することができる。なお、図1に示すように、上記電動ニードルバルブ8および気液混合循環ポンプ3は、スイッチ72およびタイマーパネル73等によって制御することができる。
【0070】
上記電動ニードルバルブ8の開閉動作のタイミングは特に限定されない。例えば、まず上記気液混合循環ポンプ3の運転を開始することによって上記第1気体せん断部4内に液体を導入するとともに当該液体を攪拌させる。その後、上記気液混合循環ポンプ3の出力が最大値に達した時点以降に上記電動ニードルバルブ8を開いて、これによって上記第1気体せん断部4内に気体を供給することが好ましい。また、上記気液混合循環ポンプ3の運転を開始してから60秒後以降に上記電動ニードルバルブ8を開いて、これによって上記第1気体せん断部4内に気体を供給することが、より好ましい。
【0071】
上記第1気液混合循環ポンプ3の運転開始時に上記電動ニードルバルブ8を開くことも可能であるが、この場合、気液混合循環ポンプ3がキャビテーション現象を起し、その結果、気液混合循環ポンプ3が損傷する恐れがある。しかしながら、上記構成であれば、気液混合循環ポンプ3がキャビテーション現象を起すことを防止することができるので、その結果、気液混合循環ポンプ3が破損することを防ぐことができる。
【0072】
上記電動ニードルバルブ8を開くことによって上記第1気体せん断部4内に供給される気体の量は特に限定されない。例えば、上記第1気体せん断部4に対して、1.2リットル/分以下にて気体を供給することが好ましい。上記構成であれば、効率よく多量のマイクロバブル含有水を作製することができるとともに、最終的に多量のナノバブルを含有する浴槽水を作製することができる。
【0073】
次いで、ナノバブル発生部17によってナノバブルを含有する浴槽水が作製される工程について更に詳細に説明する。なお、上記浴槽水は、大まかに言えば2つの工程(第1気体せん断工程および第2気体せん断工程)を経て製造される。以下に、第1気体せん断工程および第2気体せん断工程について更に詳細に説明する。
【0074】
〔2−1:第1気体せん断工程〕
第1気体せん断工程では、気体と液体とから、マイクロバブル含有水が作製される。換言すれば、気体配管7を介して第1気体せん断部4に供給される気体からなるマイクロバブルが作製される。
【0075】
第1気体せん断工程では、上記第1気体せん断部4において、気液混合循環ポンプ3を用いて気体と液体との混合物の圧力が流体力学的に制御されるとともに、負圧部に対して気体が吸入される。なお、「負圧部」とは、気体と液体との混合物の中で、周りと比較して圧力が小さな領域を意図する。そして、上記混合物を高速流体運動させて負圧部を形成しながら気体をせん断することによって、微細なマイクロバブルを発生させることができる。換言すれば、液体と気体とを効果的に自給混合するとともに、圧送する。これによって、より微細なマイクロバブルを含有するマイクロバブル含有水を作製することができる。
【0076】
上記気液混合循環ポンプ3としては特に限定されないが、揚程40m以上(4kg/cmの圧力)の高揚程のポンプであることが好ましい。また、気液混合循環ポンプ3としてはトルクが安定している2ポールのポンプを用いることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部4内のマイクロバブル含有水に対して所望の圧力を加えることが可能であり、その結果、マイクロバブル含有水に含まれるマイクロバブルをより微細にせん断することができる。
【0077】
また、上記気液混合循環ポンプ3は、ポンプの圧力が適切に制御されていることが好ましい。例えば、気液混合循環ポンプ3の回転数が、インバーター等の回転制御部によって制御されていることが好ましい。なお、上記回転制御部は、更にシーケンサーによって制御され得る。上記構成によれば、上記第1気体せん断部4の中のマイクロバブル含有水に対して所望の圧力を加えることが可能となり、その結果、マイクロバブル含有水に含まれるマイクロバブルを所望のサイズに揃えることができる。
【0078】
上記第1気体せん断部4を構成する材料は特に限定されないが、ステンレス、プラスチック、または樹脂であることが好ましい。上記材料の中では、ステンレスが最も好ましい。上記構成によれば、マイクロバブル含有水中に不純物が混入することを防止することができるとともに、第1気体せん断部4が振動することを防止することができる。
【0079】
また、上記第1気体せん断部4の厚さ(隔壁の厚さ)は特に限定されないが、6mm〜12mmであることが好ましい。一般的に、第1気体せん断部4の厚さが薄ければ、第1気体せん断部4中のマイクロバブル含有水の運動によって、第1気体せん断部4が振動する。つまり、マイクロバブル含有水の運動エネルギーが振動として外部に伝播して失われるので、マイクロバブル含有水の高速流動運動が低下し、その結果、せん断エネルギーが低下する。しかしながら、上記構成によれば、第1気体せん断部4の振動を防ぐことかできるので、効率よくマイクロバブルを作製することができる。
【0080】
次いで、気液混合循環ポンプ3を有する第1気体せん断部4がマイクロバブルを発生させるメカニズムについて詳細に説明する。
【0081】
まず、上記第1気体せん断部4において、マイクロバブル含有水の構成成分である液体と気体とからなる混相旋回流を発生させる。具体的には、例えばインペラと呼ばれる羽を超高速で回転させることによって、液体と気体とからなる混相旋回流を発生させることができる。このとき、第1気体せん断部4の中心部には、高速旋回する気体空洞部が形成される。
【0082】
次いで、上記気体空洞部を圧力によって竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。このとき、上記気体空洞部に対しては、当該気体空洞部の負圧を利用して、気体を自動的に供給させることができる。そして、さらにマイクロバブルをせん断(切断)・粉砕しながら混相旋回流を回転させる。なお、上記切断・粉砕は、第1気体せん断部4の出口内外における気液二相流体の回転速度の差によって生じる。なお、上記回転速度の差は、500〜600回転/秒であることが好ましい。
【0083】
すなわち、第1気体せん断部4において、気液混合循環ポンプ3によってマイクロバブル含有水を高速流体運動させることによって負圧部を形成するとともに、流体力学的にマイクロバブル含有水の圧力を制御することによって上記負圧部に対して気体を供給している。その結果、第1気体せん断部4では、マイクロバブルを発生させることができる。換言すれば、第1気液混合循環ポンプ3を用いて液体と気体とを効果的に自給混合溶解しながら圧送することによりマイクロバブル含有水を製造することができる。
【0084】
上記第1気体せん断部4の内腔の横断面の形状は特に限定されないが、楕円形であることが好ましく、真円形であることが最も好ましい。また、上記第1気体せん断部4の内腔表面は、鏡面仕上げによって形成されていることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部4の内部表面の摩擦が小さいので、気体と液体との混合物を高速旋回させることができるとともに、気体を効率良くせん断することができる。その結果、多くの微細なマイクロバブルを発生させることができるとともに、最終的に多くのナノバブルを発生させることができる。
【0085】
また、第1気体せん断部4の内部表面(内腔表面)には、溝が設けられていることが好ましい。また、上記溝の数は特に限定されないが、2本以上設けられていることが好ましい。上記溝は、第1気体せん断部4の内部表面上に形成され、かつ凹形状を有するものであればよく、その形状は特に限定されない。例えば、上記溝は、深さ略0.3mm〜0.6mm、幅略0.8mm以内であることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部4内の液体と気体との混合物の旋回乱流の発生を制御することができるので、多くの微細なマイクロバブルを発生させることができるとともに、最終的に多くのナノバブルを発生させることができる。
【0086】
また、上記第1気体せん断部4へは、配管2を介して液体が供給され、配管80を介してマイクロバブル含有水が吐出されている。このとき、上記第1気体せん断部4へ液体を供給する配管の内腔の横断面の面積は、マイクロバブル含有水を吐出する配管の内腔の横断面の面積よりも大きいことが好ましい。上記構成によれば、マイクロバブル含有水の吐出圧力を高めることができるので、安定的にマイクロバブルを発生させることができる。
【0087】
〔2−2:第2気体せん断工程〕
第2気体せん断工程では、上記第1気体せん断工程にて作製されたマイクロバブル含有水からナノバブル含有水が作製される。更に詳細には、上記第1気体せん断部4によって作製されたマイクロバブル含有水を、第2気体せん断部5、および第3気体せん断部60〜63・65にて更にせん断して、これによってナノバブル含有水を作製している。本実施の形態の入浴装置のように、第2気体せん断部5および第3気体せん断部60〜63・65を直列に接続してナノバブルを作製すれば、第2気体せん断部5のみでナノバブルを作製する場合と比較して、より多くのナノバブルを作製することができる。
【0088】
図1に示すように、上記気液混合循環ポンプ3によって、マイクロバブル含有水が第1気体せん断部4から第2気体せん断部5へ、さらには第3気体せん断部60〜63・65へ圧送される。マイクロバブル含有水が第1気体せん断部4から第2気体せん断部5へ、さらには第3気体せん断部60〜63・65へと配管を介して圧送される場合には、バブル含有水が圧送される方向に向かって、徐々にまたは段階的に配管の直径が小さくなることが好ましい。上記構成によれば、バブル含有水をより高速で流体運動しながら竜巻状に細くすることができる。換言すれば、より高速で旋回する回転せん断流を発生させることができる。その結果、マイクロバブルからナノバブルを効率よく発生させることができるとともに、ナノバブル含有水中に超高温の極限反応場を形成することができる。
【0089】
上記極限反応場が形成されると、ナノバブル含有水が局部的に高温高圧状態となり、当該局所にて不安定なフリーラジカルができるとともに、同時に熱が発生される。フリーラジカルは不対電子を有する原子または分子であって、他の原子または分子から電子を奪い取って安定化しようとする。それゆえ、フリーラジカルを含むナノバブル含有水は、強い酸化力を示すことになる。そして、当該フリーラジカルの作用によって、入浴者の血流量を増加させることができる。
【0090】
また、第2気体せん断部5および第3気体せん断部60〜63・65は、ステンレス、プラスチック、または樹脂によって形成されていることが好ましい。上記構成によれば、より多くのナノバブルを作製することができる。
【0091】
また、第2気体せん断部5および第3気体せん断部60〜63・65の内腔の横断面の形状は、楕円形であることが好ましく、真円形であることが最も好ましい。上記構成によれば、第2気体せん断部5および第3気体せん断部60〜63・65の内部表面の抵抗(摩擦)が小さくなるので、バブル含有水を高速旋回させることができるとともに、バブル含有水を効率良くせん断することができ、その結果、多くのナノバブルを発生させることができる。
【0092】
また、第2気体せん断部5および第3気体せん断部60〜63・65の内部表面には、孔が開いていることが好ましい。上記孔の開口の直径は特に限定されないが、4mm〜9mmであることが好ましい。上記構成によれば、上記第2気体せん断部5および第3気体せん断部60〜63・65の内部におけるバブル含有水の旋回運動を制御することができる。つまり、上記構成によれば、第2気体せん断部5および第3気体せん断部60〜63・65の内部の旋回乱流の発生を制御することができる。その結果、第2気体せん断部5および第3気体せん断部60〜63・65によって、安定にナノバブルを発生させることができる。
【0093】
本実施の形態の入浴装置に設けられる第3気体せん断部の数は2つ以上であればよく、特に限定されない。そして、上記第3気体せん断部のうちの少なくとも1つは、最終的に作製されたナノバブル含有水(浴槽水)を浴槽内の入浴者の方向に向かって吐出する(図1の第3気体せん断部60〜63参照)。これによって、高圧にてナノバブル含有水を入浴者に接触させることができる。また、上記第3気体せん断部のうちの少なくとも1つは、最終的に作製されたナノバブル含有水(浴槽水)を浴槽内の入浴者とは別の方向、つまり方向転換部68に向かって吐出する(図1の第3気体せん断部65参照)。これによって、低圧にてナノバブル含有水を入浴者の頭部および顔に接触させることができる。なお、本明細書において「入浴者とは別の方項」とは、延長線上に入浴者の体が存在しない方法が意図される。例えば、浴槽内の入浴者の頭部よりも上の方向等を挙げることができるが、これに限定されない。
【0094】
浴槽内の入浴者の方向に向かって吐出する第3気体せん断部、および方向転換部68に向かって吐出する第3気体せん断部の各々の数は特に限定されない。例えば、各第3気体せん断部の数は多い方が好ましい。上記構成によれば、入浴者の全身に対してナノバブルを作用させることが可能になる。また、方向転換部68に向かって吐出する第3気体せん断部を複数設ける場合には、各第3気体せん断部に対応するように、複数の方向転換部68を設けることも可能である。この場合、入浴者の頭部および顔以外の箇所(例えば、入浴者の上半身)に対しても低圧にてナノバブル含有水を接触させることができるように、各方向転換部68および第3気体せん断部65を配置させることも可能である。
【0095】
方向転換部68は、少なくとも1つの第3気体せん断部65から吐出されたナノバブル含有水(浴槽水)の進行方向を変えるとともに、当該進行方向が変わったナノバブル含有水を入浴者の頭部に向かって導くものであればよい。
【0096】
例えば、上記方向転換部68は、入浴者の頭部に対向する側が凹んだ曲面を有するものであることが好ましい。上記構成であれば、上記曲面に向かってナノバブル含有水を吐出することによって、当該曲面によってナノバブル含有水が跳ね返される。その結果、速度が落ちたナノバブル含有水を、入浴者の頭部および顔に確実に接触させることができる。
【0097】
上記曲面としては特に限定されないが、例えば、球体の一部を含むものであることが好ましいが、これに限定されない。
【0098】
また、上記方向転換部68の材質は特に限定されないが、合成樹脂または金属であることが好ましい。上記構成によれば、より確実にナノバブル含有水の速度を落とした上で、当該ナノバブル含有水を入浴者の頭部および顔に接触させることができる。
【0099】
また、上記方向転換部68の設置場所も特に限定されない。例えば、方向転換部68は、浴槽1内の入浴者の上方に設けられることが好ましい。上記構成であれば、速度が落ちたナノバブル含有水をより確実に入浴者の頭部および顔に接触させることが可能になる。
【0100】
なお、第3気体せん断部65の上流には、減圧弁64が設けられることが好ましい。減圧弁64を設ければ、第3気体せん断部65から吐出される前の浴槽水の吐出圧を小さくすることができるので(例えば、吐出圧が0.5kg/cm以下)、より確実に低圧の浴槽水を入浴者の頭部および顔に接触させることができる。
【0101】
本実施の形態の入浴装置では、第3気体せん断部60〜63の上流に、バルブ55〜58が設けられていることが好ましい。また、第3気体せん断部65の上流には、減圧弁64およびバルブ59が設けられていることが好ましい。また、本実施の形態の入浴装置では、信号線75を介して上記バルブ55〜59および減圧弁64の開閉動作を制御するために、タイマーパネル73(バルブ制御手段)およびスイッチ72が設けられていることが好ましい。上記構成によれば、ナノバブル含有水を吐出する第3気体せん断部を選択することができるので、入浴者に対するマッサージ効果を増大させることができる。なお、上記タイマーパネル73の代わりに、シーケンサーパネルを用いることも可能である。
【0102】
例えば、最初は、入浴者の足の近くに配置されているバルブ55を開くとともに、他のバルブは閉じた状態にて、浴槽1内にナノバブル含有水を吐出する。これによって、高圧のナノバブル含有水によって、入浴者の足をマッマッサージすることができる。次いでバルブ56を開くことによって、入浴者の足の上部から膝にかけてマッサージすることができる。次いでバルブ57を開くことによって、入浴者の腹部をマッサージすることができる。次いでバルブ58を開くことによって、入浴者の胸部をマッサージすることができる。最後に、バルブ59および減圧弁64を開くとともに他のバルブを閉じることによって、第3気体せん断部65から低圧にてナノバブル含有水が吐出される(低圧吐出水66)。そして当該ナノバブル含有水は、方向転換部68によって無圧のシャワー水67に変換された後、入浴者の頭部27および顔に向かって導かれる。そして、上記シャワー水67によって、頭髪の洗浄と育毛、顔面の洗浄、しわたるみの防止を行うことができる。なお、上記具体的な制御方法は単なる一例であって、バルブ等の制御方法は、これに限定されない。
【0103】
なお、上記タイマーパネル73は、信号線75を介して、電動ニードルバルブ8および気液混合循環ポンプ3を制御することも可能である。これによって、ナノバブルを含有する浴槽水の作製を制御することができる。
【0104】
上述した気液混合循環ポンプ3、第1気体せん断部4、第2気体せん断部5および第3気体せん断部60〜63・65の具体的な構成としては、市販のものを用いることが可能である。各々の構成としては特に限定しないが、例えば、株式会社 協和機設社製のバビダスHYK型を用いることが可能である。
【0105】
次いで、配管径調節部34について説明する。
【0106】
第2気体せん断部5にて作製されたナノバブル含有水は、次いで配管径調節部34に導入されることが好ましい。
【0107】
上記配管径調節部34は、後述する磁気活水作製部9に導入するナノバブル含有水の流量を調節するとともに、第2気体せん断部5から乱流として吐出されたナノバブル含有水の流れを相流の状態に整える。これによって、後段の磁気活水作製部9によってナノバブル含有水に対して均等に磁場をかけることが可能になり、その結果、ナノバブル含有水に磁気活性を効率よく付与させることができる。
【0108】
なお、磁気活水作製部9に導入されるナノバブル含有水の流速は、2m/秒以上であることが好ましい。上記構成によれば、ナノバブル含有水に対して効率よく磁場の影響を及ぼすことができる。そして、配管径調節部34を備えていれば、あらゆる液体の流速を所望の流速に調節することができる。
【0109】
配管径調節部34の材質は特に限定されないが、例えば、ステンレス等であることが好ましい。
【0110】
以下に、配管径調節部34の具体的な構成について説明する。
【0111】
本実施の形態の入浴装置では、第2気体せん断部5と磁気活水作製部9とを連結する配管80に配管径調節部34が設けられている。
【0112】
上記第1配管径調節部34は、配管80の少なくとも一部の内腔横断面の大きさを変化させることができるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。
【0113】
例えば図9(a)および図9(b)に示すように、上記配管径調節部34は、円筒形状を有する配管によって形成され得る。図9(a)に示すように、上記配管80の各端部には、フランジ33およびフランジ35が備え付けられている。また、上記配管径調節部34の各端部にも、フランジ33およびフランジ35が備え付けられている。また、上記フランジ33およびフランジ35にはボルト孔85が設けられている。そして、図9(a)および図9(b)に示すように、当該ボルト孔85にボルトを着脱することによって、配管80に備え付けられたフランジ33と配管径調節部34に備え付けられたフランジ33同士、および配管80に備え付けられたフランジ35と配管径調節部34に備え付けられたフランジ35同士を着脱することができる。これによって、上記配管80の端部の間に連結される配管径調節部34を交換することができる。このとき、異なる円筒形状、つまり横断面の直径が異なる円筒形状を有する複数の配管径調節部34を準備しておき、これらの中から所望の配管径調節部34を選択して、当該配管径調節部34を配管80の端部の間に連結すれば、これによって、配管80の少なくとも一部の内腔横断面を、所望の大きさに変化させることができる。
【0114】
配管径調節部34が円筒形状の配管によって形成される場合、ナノバブル含有水が流れる方向における上記配管径調節部34の長さは特に限定されず、適宜設定することができる。例えば、上記配管径調節部34の長さは、後述するフランジ6に開けられる開口の直径の10倍以上の長さであることが好ましい。また、上記配管径調節部34の長さは、円筒形状を有する配管径調節部34の横断面の直径の10倍以上の長さであることが更に好ましい。上記構成によれば、乱流として配管径調節部34内に導入されたナノバブル含有水を確実に相流に変換した後、当該ナノバブル含有水を磁気活水作製部9に向かって吐出することができる。
【0115】
次いで、磁気活水作製部9について説明する。
【0116】
上記配管径調節部34を通過したナノバブル含有水は、磁気活水作製部9に導入されることが好ましい。上記磁気活水作製部9では、上記第2気体せん断部5にて製造されたナノバブル含有水に磁場をかける。その結果、ナノバブル含有水に対して磁気活水としての活性(磁気活性)を付与することができる。
【0117】
以下に、磁気活水作製部9の具体的な構成について説明する。
【0118】
図1に示す入浴装置では、第2気体せん断部5と第3気体せん断部との間に第1磁気活水作製部9が設けられている。なお、磁気活水作製部9の位置としては、これに限定されない。例えば、磁気活水作製部9を、第2気体せん断部5の上流に設けることも可能である。この場合、上記配管径調節部34は、第1気体せん断部4と磁気活水作製部9との間に設けられることが好ましい。
【0119】
上記磁気活水作製部9は、第2気体せん断部5にて製造されたバブル含有水に磁場をかけることができるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、図1に示すように、上記磁気活水作製部9は、フランジ6およびフランジ12に挟まれるように設けられ得る。図1に示すように、フランジ6は配管80の端部に接続されており、フランジ12は配管13の端部に接続されている。そして、上記フランジ6とフランジ12との間に磁気活水作製部9が設けられ得る。
【0120】
上記磁気活水作製部9は、ナノバブル含有水を通過させるための流路26を有している。そして、当該流路26の少なくとも一部は、磁石のS極として機能する領域と磁石のN極として機能する領域によって挟まれており、これによって、上記流路26中を通過するナノバブル含有水に磁場をかけることが可能になる。
【0121】
上記流路26の横断面の形状は特に限定されず適宜設定することができる。上記流路26の横断面の形状としては、例えば、対向する少なくとも1対の面を有するもの(例えば、正方形または長方形など)であることが好ましい。なお、上記流路26の横断面の形状が例えば正方形または長方形である場合には、上記流路26の立体的な形状は、略平板状になることが好ましい。
【0122】
一例として、図10に、横断面の形状が長方形である流路26を有する磁気活水作製部9の断面図を示す。図に示すように、流路26は、互いに対向する面90(第1面)および面91(第2面)を有している。そして、上記面90の側には磁石のS極10が配置されており、上記面91の側には磁石のN極16が配置されている。そして、上記S極10とN極16との間で磁場が形成され、当該磁場の中をナノバブル含有水が通過する。換言すれば、図1に示すように、上記S極10とN極16との間で形成される磁力線11の中をバブル含有水が通過する。そして、磁場の中を通過することによって、ナノバブル含有水に磁気活性が付与される。
【0123】
つまり、磁力線11の中を液体が通過すると、微弱な電流が発生する。そして、微弱な電流の作用によって水分子同士の結合が崩れ、その結果、クラスター(分子のかたまり)が細分化する。クラスターが細分化された水は、当該クラスターのすき間に酸素を吸収する作用が高いので、外気から大量の酸素を吸収して溶存酸素濃度が高くなる。それと同時に、微弱な電流の作用により、液体中にラジカルを発生させることが可能になる。その結果、液体に磁気活性を付与すれば、当該液体中に活性酸素を発生させることが可能になる。したがって、磁気活性を有するナノバブル含有水は、ナノバブルに由来するフリーラジカルの酸化能力と、上記活性酸素に由来する酸化能力の両方を備えることが可能になり、当該強力な酸化能力によって、入浴者の血流量を増加させることができる。
【0124】
上記面90と上記面91との間の距離は特に限定されず、適宜設定することができる。例えば、上記面90と上記面91との間の距離は、30mm以下であることが好ましい。上記構成によれば、ナノバブル含有水に対して効率よく磁気活水としての活性を付与することができる。
【0125】
また、上記流路26内の磁束密度(残留磁束密度)は、350ミリテスラ(3500ガウス以上であることが好ましく、450ミリテスラ以上であることが、より好ましい。
【0126】
また、上記面90の側に配置されるS極10の数、および上記面91の側に配置されるN極16の数も特に限定されず、適宜設定することができる。例えば、図1に示すように、S極10およびN極16を各々3つずつ配置することができるが、これに限定されない。
【0127】
なお、上記磁気活水作製部9としては、適宜公知の構成を用いることが可能である。例えば、株式会社ビー・シー・オー製のBK型を用いることも可能であるが、これに限定されない。
【0128】
本実施の形態の入浴装置では、磁気活水作製部9にて作製されたナノバブル含有磁気活水は、更に配管13を介して第3気体せん断部60〜63・65に導入される。上述したように、当該第3気体せん断部14では、ナノバブルが更にせん断される。その結果、ナノバブル含有磁気活水中のナノバブルのサイズを更に小さくするとともに、含有されるナノバブルの量を多くすることができる。第3気体せん断部60〜63・65としては、第2気体せん断部5と同じ構成を用いることが可能である。なお、第3気体せん断部60〜63・65の詳細については既に説明したので、ここではその説明を省略する。
【0129】
本実施の形態の入浴装置では、第3気体せん断部にて処理されたナノバブル含有水(浴槽水)は、矢印15に示すように高圧にて浴槽1内に吐出されるとともに、方向転換部68に向かって吐出される。そして、上記浴槽水が高圧にて入浴者の体に接触することによって、当該入浴者の血流量を増加させることができる。
【0130】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図2に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0131】
本実施の形態の入浴装置では、図1に示す入浴装置と比較して、スイッチ72、タイマーパネル73、および信号線75が省略されている。
【0132】
上記構成の場合、例えば手動によってバルブ55〜59、減圧弁64、気液混合循環ポンプ3および電動ニードルバルブ8等を操作すればよい。その結果、運転方法を操作者が自由に変更できるという利点を有するとともに、低コストにて入浴装置を作製することができるという利点を有する。特に、本実施の形態の入浴装置は、運転方法が決定されていない実験などで使用する場合に有利である。
【0133】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について、図3に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0134】
本実施の形態の入浴装置では、磁気活水作製部9と第3気体せん断部60〜63・65との間に、第2気体せん断部5が備えられている。したがって、本実施の形態の入浴装置では、磁気活水作製部9によってマイクロバブル含有水に磁気活性が付与された後、当該マイクロバブル含有水を第2気体せん断部5によって更にせん断することによって、ナノバブル含有水を作製している。そして、当該マイクロバブル含有水を第3気体せん断部60〜63・65によって更にせん断することによって、更に小さなナノバブルを含有するナノバブル含有水(浴槽水)を作製している。
【0135】
本実施の形態の入浴装置は、基本的に図1に示す入浴装置と同じ構成を有しているので、図1に示す入浴装置とほぼ同じ性能を有している。
【0136】
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施の形態について、図4に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0137】
本実施の形態の入浴装置では、図1に示す入浴装置に対して、酸化還元電位計29、酸化還元電位調節計31およびシーケンサー32が設けられている。そして、上記酸化還元電位計29、電動ニードルバルブ8および気液混合循環ポンプ3は、信号線75を介して酸化還元電位調節計31およびシーケンサー32によって制御されている。
【0138】
上記構成によれば、酸化還元電位計29によって測定された酸化還元電位に応じて、電動ニードルバルブ8および気液混合循環ポンプ3を制御することができる。その結果、浴槽1内の浴槽水の酸化還元電位を一定に保つことができるとともに、必要に応じて変化させることができる。
【0139】
なお、酸化還元電位とは、物質が他の物質を酸化しやすい状態にあるのか、還元しやすい状態にあるのかを示す指標である。そして、酸化還元電位がプラス側に大きければ酸化力が強く、マイナス側に大きければ還元力が強いことになる。そして、酸化還元電位を所望の値に設定することによって、入浴者の血流量の増減を制御することができる。
【0140】
〔実施の形態5〕
本発明の他の実施の形態について、図5に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0141】
本実施の形態の入浴装置では、図2に示す入浴装置において、薬用植物52の代わりにラジウム鉱石70が備えられている。
【0142】
上記構成によれば、ラジウム鉱石70の効果によって、さらに血流量を増加させることができる。
【0143】
なお、ラジウム鉱石70としては特に限定されず、適宜公知の構成を用いることができる。例えば、0.136マイクロシーベルト/時であるラジウム鉱石(株式会社アイケーシー社製)を用いることができる。
【0144】
〔実施の形態6〕
本発明の他の実施の形態について、図6に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0145】
本実施の形態の入浴装置では、図2に示す入浴装置において、薬用植物52の代わりに活性炭71が備えられている。
【0146】
上記構成によれば、浴槽水中に存在する垢などの汚れを浄化することができるとともに、浴槽水中の着色成分等を除去することができる。その結果、浴槽水を繰り返し用いてナノバブル含有水を作製することができるので、資源を有効利用することができる。
【0147】
なお、活性炭71としては特に限定されず、適宜公知の構成を用いることができる。
【0148】
〔実施の形態7〕
本発明の他の実施の形態について、図7に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0149】
本実施の形態の入浴装置では、図2に示す入浴装置において、磁気活水作製部9および配管径調節部34が省略されている。
【0150】
上記構成によれば、少ないコストにて、本願発明の入浴装置を作製することができる。
【0151】
〔実施の形態8〕
本発明の他の実施の形態について、図8に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0152】
本実施の形態の入浴装置では、図2に示す入浴装置において、収容部49が省略されている。
【0153】
上記構成によれば、少ないコストにて、本願発明の入浴装置を作製することができる。
【実施例】
【0154】
〔1.入浴装置の作製〕
図1に基づいて、入浴装置を製作した。当該入浴装置では、浴槽1として容量が約0.4mのものを用いるとともに、3.7kwの電動機からなる気液混合循環ポンプ3等として株式会社協和機設製のHYK型を用いた。また、磁気活水作製部9として、全長800mm、横幅160mm、縦幅310mmのものを用いた。なお、具体的に上記磁気活水作製部9としては、株式会社ビー・シー・オー製のBK型を用いた。なお、第3気体せん断部は、図1に示すように5つ設けた。
【0155】
そして、浴槽1に水道水を350リットル投入して入用装置を12分運転し、作製されたナノバブルをベックマンコールター株式会社製の測定器にて測定した。
【0156】
その結果、直径が0.1μmを中心として略正規分布するナノバブルを確認できた。また、磁気活性に由来する酸化還元電位をORR計HC型(東亜ディーケーケー株式会社製)で測定したところ、プラス400mvであった。
【0157】
〔2.気体量とバブルサイズの関係〕
上記入浴装置において、第1気体せん断部に供給する気体量を変化させたときの、バブルサイズの分布を測定した。なお作製されたバブルサイズは、ベックマンコールター株式会社製の測定器にて測定した。
【0158】
【表1】

表1に示すように、第1気体せん断部に供給する気体の量を1.2リットル/分以下とすれば、ナノバブルのみを発生させることができることが明らかになった。一方、1.2リットル/分よりも多くすれば、ナノバブルではなくマイクロバブルが発生することが明らかになった。
【0159】
〔3.血流量に対する効果(1)〕
上記入浴装置を用いて、様々なバブル径を有するバブルを作製し、当該バブル含有水の血流量増加効果を測定した。
【0160】
なお、血流量としては、ナノバブル含有水またはマイクロバブル含有水を作用させる前の血流量(Q0)に対する、ナノバブル含有水またはマイクロバブル含有水を作用させた後の血流量(Q)の比、すなわち(Q/Q0)の数値を示した。また、血流量の測定には、オメガフロー社製のFLO型の測定器を用いた。
【0161】
【表2】

表2に示すように、マイクロバブル含有水と比較して、ナノバブル含有水の方が血流量増加効果が高いことが明らかになった。
【0162】
〔4.血流量に対する効果(2)〕
上記入浴装置を用いて、ナノバブル含有水およびナノバブル含有磁気活水を作製し、当該バブル含有水の血流量増加効果を測定した。
【0163】
なお、血流量としては、ナノバブル含有水またはマイクロバブル含有水を作用させる前の血流量(Q0)に対する、ナノバブル含有水またはマイクロバブル含有水を作用させた後の血流量(Q)の比、すなわち(Q/Q0)の数値を示した。また、血流量の測定には、オメガフロー社製のFLO型の測定器を用いた。
【0164】
【表3】

表3に示すように、ナノバブル含有水と比較して、ナノバブル含有磁気活水の方が血流量増加効果が高いことが明らかになった。
【0165】
〔5.血糖値に及ぼす効果〕
上記入浴装置による入浴を継続的に行った後、発明者(年齢58歳、身長170cm、体重61kg)の食後の血糖値の変化を測定した。なお、血糖値の測定は、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社の『自己検査用グルコース測定器』であるアキュチェックコンフォート(登録商標)を使用して測定した。
【0166】
【表4】

表4に示すように、本願発明の入浴装置にて入浴を行った場合、食後の血糖値を低減することができることを確認した。
【0167】
〔6.毛髪育毛効果〕
頭部の毛髪を楕円形に剃った後、従来の入浴装置または本願発明の入浴装置にて入浴し、発明者(年齢58歳、身長170cm、体重61kg)の毛髪の育毛状況を観察した。また、毛髪の洗浄効果については、発明者自信の頭部のかゆみ、臭気、かつ整髪料(ヘアーリキッド、ヘアークリーム等)が完全に毛髪から洗い流されているかを確認することによって評価し、また、顔面の洗浄効果については、発明者自身の顔の皮膚のすべすべ感や、自己の手で顔面をさわったときの感触によって評価した。また、神経性の痛みの改善効果に基づいて、本願発明の入浴装置のマッサージ効果を判定した。
【0168】
【表5】

表5に示すように、本願発明の入浴装置は、毛髪の育毛効果、毛髪および顔面の洗浄効果、ならびにマッサージ効果を有することが確認できた。
【0169】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0170】
また、本願出願時に未公開である本願関連出願である特願2007−050639、特願2007−099912、特願2007−142645および特願2007−193172に記載の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明は、入浴装置やその部品を製造する分野に利用することができる。更に具体的に本発明は、浴槽、大規模温泉浴槽、プール、エステティック浴槽、治療用浴槽、動物用の浴槽等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本発明における入浴装置の実施の一形態を示す模式図である。
【図2】本発明における入浴装置の他の実施の一形態を示す模式図である。
【図3】本発明における入浴装置のさらに他の実施の一形態を示す模式図である。
【図4】本発明における入浴装置のさらに他の実施の一形態を示す模式図である。
【図5】本発明における入浴装置のさらに他の実施の一形態を示す模式図である。
【図6】本発明における入浴装置のさらに他の実施の一形態を示す模式図である。
【図7】本発明における入浴装置のさらに他の実施の一形態を示す模式図である。
【図8】本発明における入浴装置のさらに他の実施の一形態を示す模式図である。
【図9】(a)および(b)は、上記入浴装置における、配管径調節部の模式図である。
【図10】上記入浴装置における、磁気活水作製部の断面図である。
【符号の説明】
【0173】
1 浴槽
2・13・53 配管
3 気液混合循環ポンプ
4 第1気体せん断部
5 第2気体せん断部
6・12・33・35 フランジ
7 気体配管
8 電動ニードルバルブ(気体量調節手段)
9 磁気活水作製部(活性化手段)
10 S極
11 磁力線
16 N極
17 ナノバブル発生部
26 流路
27 頭部
29 酸化還元電位計
31 酸化還元電位調節計31
32 シーケンサー
34 配管径調節部(配管径調節手段)
39 第1極
40 第2極
42 腰掛部
43・54・55・56・57・58・59 バルブ
44 固定部(固定手段)
45 磁気発生部(磁気発生手段)
46 処理部
47 入浴装置
49 収容部(収容手段)
51 仕切り板
52 薬用植物
60・61・62・63・65 第3気体せん断部
64 減圧弁
66 低圧吐出水
67 シャワー水
68 方向転換部(方向転換手段)
69 仕切り
70 ラジウム鉱石
71 活性炭
72 スイッチ
73 タイマーパネル(バルブ制御手段)
74 充填部
75 信号線
85 ボルト孔
90 面(第1面)
91 面(第2面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部と、
前記マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部と、
前記ナノバブル含有水を更にせん断して浴槽水を作製する複数の第3気体せん断部であって、前記浴槽水を浴槽内の入浴者の方向に向かって吐出する第3気体せん断部、および前記浴槽水を浴槽内の入浴者とは別の方向に向かって吐出する第3気体せん断部を含む複数の第3気体せん断部と、
前記浴槽内の入浴者とは別の方向に向かって吐出された浴槽水の進行方向を変えるとともに、当該進行方向が変わった浴槽水を前記入浴者の頭部に向かって導く方向転換手段と、を有することを特徴とする入浴装置。
【請求項2】
前記方向転換手段は、入浴者の頭部に対向する側が凹んだ曲面を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の入浴装置。
【請求項3】
前記方向転換手段は、合成樹脂または金属からなることを特徴とする請求項1または2に記載の入浴装置。
【請求項4】
前記複数の第3気体せん断部の各々に対して設けられた、前記第3気体せん断部の各々から吐出される入浴水の量を調節するためのバルブと、
前記バルブの各々の開閉動作を制御するためのバルブ制御手段と、を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の入浴装置。
【請求項5】
前記浴槽には、交流磁気を発生させるための少なくとも1つの磁気発生手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の入浴装置。
【請求項6】
前記浴槽の内部には、入浴者の体の少なくとも一部に沿った形状を有する固定手段が設けられており、
前記磁気発生手段は、前記固定手段に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の入浴装置。
【請求項7】
前記磁気発生手段によって形成される磁場の強さは、800ガウス以上の強さであることを特徴とする請求項5または6に記載の入浴装置。
【請求項8】
前記第1気体せん断部に導入される前の前記液体を、一時的に収容するための収容手段を有し、
前記収容手段内には、活性炭、ラジウム鉱石または薬用植物が、前記液体と接触可能に備えられていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の入浴装置。
【請求項9】
前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水に対して磁場をかける活性化手段を備えることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の入浴装置。
【請求項10】
前記活性化手段は、前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水を通過させるための流路を有し、
前記流路は、磁石のS極として機能する第1面と磁石のN極として機能する第2面とが対向するように配置されていることを特徴とする請求項9に記載の入浴装置。
【請求項11】
前記活性化手段には、配管を介して前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水が供給されており、
前記配管には、当該配管の少なくとも一部の内腔横断面の大きさを変化させ得る配管径調節手段が設けられていることを特徴とする請求項9または10に記載の入浴装置。
【請求項12】
前記第1気体せん断部に対して、1.2リットル/分以下にて前記気体を供給するための気体量調節手段を有することを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の入浴装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−106539(P2009−106539A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282260(P2007−282260)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】