説明

入退出タイマ機能付き警備装置

【課題】入退出タイマ時間を意識せず、自己のペースで警備状態の切替操作を行える入退出タイマ機能付き警備装置を提供する。
【解決手段】警備装置は、建物内に設置され、警備の開始を設定する為の操作を行なう警備切替部20と、建物の扉の開閉又は人の存在を検知して検知信号を出力するセンサ2と、警備開始操作が行なわれると同時に、所定時間を計時し始めるタイマ部30と、所定時間の計時が終了する迄の間、センサから出力される検知信号を無効とし、所定時間の計時が終了後であってセンサから検知信号が出力されたときは、該検知信号を有効として警報を出力する警報出力部50とユーザの所持する携帯端末の固有識別子と電波強度閾値とを記憶した記憶部70と、電波の電波強度を計測する電波受信部40とを有し、タイマ部30は、電波が前記電波強度閾値を超えている場合、所定時間の計時を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退出タイマ機能付き警備装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯意識の高まりにより警備システム(警備装置)が広く利用されるようになってきた。ビル建物における警備システムの場合、建物の出入口部分や通路・廊下等に侵入者を検知するセンサが設けられており、センサが侵入者を検知すると所定の監視センタへ警報を出力する。
【0003】
ここで、警備システムは通常、常に警備状態を維持している訳ではなく、例えば、夜間等の警備員の不在時には警備は開始(ON)された状態にあり、日中等の警備員の在館時には警備は解除(OFF)された状態にある。このため警備員は、警備室等の警備装置を操作して警備の開始・解除の切替えを行うことができる。具体的には、警備員は退出時、警備開始操作を行うとともに、入館時においては警備室の警備装置を操作して警備解除操作(パスワード入力等)を行う。
【0004】
また、警備員が警備開始操作を行なった後ビル建物の入退出経路を通って完全に建物から退出するまでには一定の余裕時間が必要であることから、警備システムにおいては、警備の開始・解除の切替えに伴って、入退出タイマ機能を有している。入退出タイマ機能は、警備を開始した後、入退出経路に設けた侵入者を検知するセンサから出力される検知信号を所定の時間、無効にする。また、警備中に入退出経路に設けたセンサから検知信号が出力されるとその検知信号を一時保留して、所定の時間の間に警備が解除されるとその検知信号による警報を無効にし、所定の時間の間に警備が解除されないとその検知信号による警報を所定の監視センタへ出力する機能である。
【0005】
例えば、警備装置が警備室等の建物内にあり、警備員が警備開始操作を行った後、入退出口(出入口)まで移動する場合、警備開始操作直後から警備状態が即座に開始され、警備員が館内の通路や出入口等を通過した際にセンサで検知され警報が出力されてしまうと不都合である。従って警備システムは入退出タイマ機能を備え、警備開始操作後、即座に警備状態を開始(ON)するのではなく、退出するまでの余裕時間を考慮した設定時間(以下入退出タイマ時間という)の経過後において、警備状態を開始する。つまり、警備員が警備開始操作直後、入退出タイマ時間経過前においては、館内のセンサが検知しても警報の出力を行なわない(又は館内のセンサを稼動させない)。また同様に、警備状態にあっても、警備員が入退出口のドアを開錠し警備室へ移動し警備解除操作を行うまでの余裕時間を考慮した設定時間を設けている。つまり、入退出タイマ時間経過前に警備解除操作が行われたときには、館内のセンサが検知しても警報の出力を行なわない。
【0006】
これに関する技術として、特許文献1には、警備開始及び警備解除の操作を行う為の入退出経路に沿ったセンサを入退出センサとし、警備開始の設定操作を行って退出する時の入退出経路に沿った所要時間を、入退出センサに対応した待ち時間(入退出タイマ時間)として設定テーブルに設定し、その待ち時間以内の入退出センサの検出信号は正常と判定し、また、警備状態に切替後、警備解除を行う為に入退出経路に沿って警備装置に向かう時、入退出センサの検出信号から待ち時間以内に警備解除を行った場合は正常と判定し、それ以外は異常と判定して監視センタに警報信号を送出するものであり、複数の侵入センサを配置した警備対象物件内においても、内部に設置した警備装置に警備開始及び警備解除の切替操作を行う遠隔監視システムが記載されている。
【0007】
また特許文献2には、警備対象物件内に設置されると共に、1または複数のセンサが接続され、警備開始操作入力があったときから入退出タイマ時間が終了する前に、警備解除操作がなされたとき、入退出タイマ時間を延長する警備装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−175995号
【特許文献2】特開2009−294833号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ユーザ(警備員等も含む)は、入退出する際に、荷物で手が塞がるなど行動の自由度に制限がある時がある。また、ユーザが高齢であるような場合、入退出タイマ時間内に警備解除操作ができない恐れがある。このように従来の警備システムにおいては、入退出タイマ時間として時間的余裕が設けられているとはいっても、所定の短時間内に警備状態の切替操作をしなければならないことはユーザの心理的負担となり、またそのあせりが警備装置の誤操作の一因にもつながる可能性もある。ひいてはまた、警備システムを利用しなくなることにもつながりかねない。
【0010】
なお、入退出タイマ時間は予め設定されているものであり、従来の警備システムでは、入退出タイマ時間内に適切な切替操作ができない場合、入退出タイマ時間を延ばす延長操作を行うことも可能ではあるが、依然この延長操作もまた入退出タイマ時間内に行われる必要があり、ユーザにとっては、所定の短時間内に警備状態の切替操作又は延長操作をしなければならないという心理的負担があった。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みて、入退出タイマ時間を意識せず、自己のペースで警備状態の切替操作を行える入退出タイマ機能付き警備装置を提供することを目的とする。またこれに伴い、入退出タイマ時間の延長操作も不要となる入退出タイマ機能付き警備装置を提供することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係る警備装置は、建物内に設置され、警備の開始を設定する為の操作を行なう警備切替手段と、前記建物に設けられ、扉の開閉又は人の存在を検知して検知信号を出力するセンサと、前記警備切替手段により警備開始操作が行なわれると同時に、ユーザが前記警備切替手段により警備開始操作をして出入口から建物外に退出する迄の時間を基に決定された所定時間を計時し始めるタイマ手段と、前記所定時間の計時が終了する迄の間、前記センサから出力される検知信号を無効とし、前記所定時間の計時が終了後であって前記センサから検知信号が出力されたときは、該検知信号を有効として警報を出力する警報出力手段と、ユーザの所持する携帯端末の固有識別子と、前記警備切替手段を設置した場所で受信される前記携帯端末の電波強度を基に決定された電波強度閾値とを記憶した記憶手段と、前記携帯端末から前記固有識別子を含んだ電波を受信するとともに、該電波の電波強度を計測する電波受信手段と、を有し、前記タイマ手段は、前記電波受信手段により前記携帯端末の電波が受信され該電波が前記電波強度閾値を超えている場合、前記所定時間の計時を停止すること、を特徴とする。
【0013】
また上記課題を解決するため、前記警備装置において、建物内に設置され、警備の解除を設定する為の操作を行なう警備切替手段と、前記建物に設けられ、扉の開閉又は人の存在を検知して検知信号を出力するセンサと、警備中、前記センサにより検知信号が出力されると同時に、ユーザが出入口から建物内に入り前記警備切替手段により警備解除操作をする迄の時間を基に決定された所定時間を計時し始めるタイマ手段と、前記所定時間の計時が終了する迄の間、前記センサから出力される検知信号を一時保留し、前記所定時間の計時が終了する迄の間に前記警備切替手段により警備解除操作が行われたときは、前記一時保留した検知信号を無効とし、前記所定時間の計時が終了する迄の間に前記警備切替手段により警備除操作が行われないときは、前記一時保留した検知信号を有効として警報を出力する警報出力手段と、ユーザの所持する携帯端末の固有識別子と、前記警備切替手段を設置した場所で受信される前記携帯端末の電波強度を基に決定された電波強度閾値とを記憶した記憶手段と、前記携帯端末から電波を受信するとともに、該電波の電波強度を計測する電波受信手段と、を有し、前記タイマ手段は、前記電波受信手段により前記携帯端末の電波が受信され該電波が前記電波強度閾値を超えている場合、前記所定時間の計時を停止すること、を特徴とする。
【0014】
また上記課題を解決するため、前記警備装置において、前記タイマ手段は、前記所定時間の計時を停止した後に前記携帯端末の電波が前記電波強度閾値を下回った場合、該所定時間の計時を再開すること、を特徴とする。
【0015】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、入退出タイマ時間を意識せず、自己のペースで警備状態の切替操作を行える警備装置を提供することを目的とする。またこれに伴い、入退出タイマ時間の延長操作も不要となる警備装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る入退出タイマ機能付き警備システム100の全体構成を示す一実施例のブロック図を示す。
【図2】本実施形態に係る入退出タイマ機能付き警備システム100の一実施例の配置図を示す。
【図3】本実施形態に係る入退出タイマ機能付き警備システム100の一実施例の配置図(変形例)を示す。
【図4】従来の入退出タイマ機能を説明するフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る入退出タイマ機能を説明するフローチャートである。
【図6】電波強度閾値円を示した図である。
【図7】本実施形態に係る入退出タイマ機能を説明するフローチャート(変形例)である。
【図8】従来の入退出タイマ機能を説明するフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る入退出タイマ機能を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を各実施形態において図面を用いて説明する。
【0019】
[システム構成]
図1は、本実施形態に係る入退出タイマ機能付き警備システム100の全体構成を示す一実施例のブロック図を示す。また図2は、本実施形態に係る入退出タイマ機能付き警備システム100の一実施例の配置図を示す。
【0020】
本実施形態に係る警備システム100は、警備装置1、第1センサ2a、第2センサ2bを含むセンサ2、監視センタ3、警報器4、携帯端末5を含み構成される。
【0021】
警備装置1は、制御部10、警備切替部20、タイマ部30、電波受信部40、警報出力部50、音声報知部60、記憶部70を含む。制御部10は、警備装置1全体及び各機能部を制御する。警備切替部20は、警備装置のモードを「警備モード」(ON)と「警備解除モード」(OFF)とに切替えて設定する。タイマ部30は、入退出タイマ機能で使用する所定時間(入退出タイマ値)を計時する。電波受信部40は、登録済みの携帯端末(ユーザの携帯端末)から電波をアンテナ等で受信するとともに、電波の電波強度を計測する。警報出力部50は、各センサから異常を示す検知信号が入力されると必要に応じて警報の出力(監視センタ3や警報器4)を行う。音声報知部60は、入退出タイマ開始のタイミングにおいて、例えば「間もなく警備が開始されます。速やかに退出して下さい。」や、「ただいま警備中です、警備を解除してください」などのメッセージを流すことにより、退出を促したり、警備解除を促す報知を行う。記憶部70は、予め、入退出タイマ値、携帯端末の固有識別子、電波強度閾値を記憶する。
【0022】
センサ2は、建物の出入口部分に設けられる出入口扉の開閉を検知して検知信号を出力する例えばマグネットスイッチ等の第1センサ2a、廊下又は警備装置1が設置された部屋に設けられ人の存在を検知して検知信号を出力する例えば赤外線検知センサ等の第2センサ2b、またその他各所に設けられるセンサ(非図示)とからなる。第1センサ2aは、図に示すように建物の出入口部分である出入口に設けられており、建物から退出するときに最後に開閉する扉、及び入館するときに最初に開閉する扉に設置する。また、第2センサ2bは、図に示すように建物内の通路や廊下、ホール等に設置されており、警備装置1にて警備を開始する操作を行なったあと建物の入退出経路を通って退出するとき、及び、警備中の建物に入退出経路を通って入り、警備装置1にて警備を解除するときに、その操作を行なった人の存在を検知できるセンサである。
【0023】
監視センタ3及び警報器4は、異常時における警報の出力先である。監視センタ3へは電話回線等の通信回線を介して接続されており、監視センタ3は警備装置1から警報を受信すると、例えば現地へ警備員を派遣したり、警察等への連絡を行ったりする。警報器4は、アラート・ランプやアラート・アラーム等であり、警備装置1から警報を受信すると、ランプを点灯させたり緊急時のアラートを鳴らしたりする。
【0024】
携帯端末5は、ユーザ(ここでは警備員)の所持する携帯情報端末(携帯電話、PDA等)である。携帯端末5は、例えば携帯電話である場合、自機の位置情報を知らせる為、最寄りの基地局に対し暗号化された電波を一定間隔毎に送信している。暗号化された電波には、携帯端末の固有識別子(例えばSIMカードに格納されているIMSI(International Mobile Subscriber Identity)等)が含まれており、電波受信部40はこの識別子に基づいて記憶部70に予め登録されている携帯端末5の電波を判別し、またその電波強度を計測する。この点詳細は後述する。
【0025】
本実施形態に係る警備装置1においては、設定されているモードに従って以下に示すような制御を行なう。即ち警備装置1には、「警備解除モード」(OFF)及び「警備モード」(ON)がある。警備解除モードは、警備が解除されている状態であり、警備装置1は警備動作を行わない。一方警備モードは、警備が設定されている状態であり、センサ2が人(例えば侵入者)を検知すると、警備装置1は監視センタ3及び警報器4に対し警報を出力する。
【0026】
例えば日中、警備室には警備員が駐在しており、通常の場合、警備装置1は警備解除モードに設定されている。夜間の退出時刻になると、最後の警備員は、警備室の警備装置1(警備切替部20)を操作し、警備装置1のモードを「警備解除モード」(OFF)から「警備モード」(ON)へと切替える。その後警備員は速やかに出入口から退出し扉の施錠を行う。
【0027】
その後、例えば翌朝の出勤時刻になると、最初の警備員は、扉の開錠を行ない出入口から入館する。その後警備員は速やかに警備室の警備装置1(警備切替部20)を操作し、警備装置1のモードを「警備モード」(ON)から「警備解除モード」(OFF)へと切替える。
【0028】
図3は、本実施形態に係る入退出タイマ機能付き警備システム100の一実施例の配置図(変形例)を示す。図2の建物例とは異なり、建物規模が大きな、例えばテナント・フロアにおける配置図例を示す。このテナント・フロアにおいて警備される警備領域は、テナント1〜4エリアなど複数の個別区域と、廊下などの共用区域である。テナント内に従業員が居て業務を行っている就業中には「警備解除モード」を設定し、テナント内から従業員が居なくなって業務を終了している終業中には「警備モード」を設定することができるようになっている。
【0029】
各テナントは、各々その終業時間が異なるため、テナントごとに設置してある警備切替器Aを操作し、各テナントを警備状態へと切替える(「警備モード」を設定する)。そして個別領域である全てのテナントが終業中である場合(全てのテナントが「警備モード」)には、テナントの従業員が共用区域に出回ることがないので、共用区域についても各テナントと同様に「警備モード」を設定する。一方、少なくとも一つの個別領域であるテナントが就業中である場合(少なくとも一つのテナントが「警備解除モード」)には、従業員が共用区域に出回ることがあるので、共用区域については「警備解除モード」を設定する。
【0030】
そしてテナントの全てが「警備モード」となると、警備装置1の警備切替操作を行わなくても自動で共用区域のモードを「警備解除モード」(OFF)から「警備モード」(ON)へと切替える。その後従業員は速やかにテナント・フロアの出入口から退出し扉の施錠を行う。上述のタイマ部30は、「警備モード」への切替を検出したときから、入退出タイマ機能で使用する所定時間(入退出タイマ値)を計時する。そして警備装置1は、入退出タイマ値に基づく所定時間経過後、警備モードを警備モード(待機)から警備モード(有効)にする。つまり警備を開始する。
【0031】
なお、侵入者がテナントの窓から侵入した場合、窓の開閉センサD(及び各テナントの空間センサC)が検知すると、タイマは作動せず、すぐに監視センタ3等へ通報される。また入館時は、警備切替器Aで各テナントの警備を解除するものの、後述する(2)の入館時と概ね同様であるのでここでの説明は割愛する。またこの場合、警備装置(親機)1で電波強度を測定してもよいし、警備切替機器(子機)Aで測定してもよい。
【0032】
[情報処理]
本実施形態に係る警備システム100における情報処理(入退出タイマ制御処理)を説明する。以下、(0)事前準備、(1)退館時、(2)入館時の大きく3つの場面を想定し説明を進めていく。
【0033】
(0)事前準備
システム管理者は、例えば警備システム100の設置時、予め、入退出タイマ値、携帯端末の固有識別子、電波強度閾値を決定のうえ、記憶部70に記憶(設定)させておく。
【0034】
入退出タイマ値は、秒単位で設定できる。入退出タイマ値は例えば一律に120秒などと決めることも可能であるが、警備システム100が設置される建物環境に応じて、柔軟に決定されることが望ましい。
【0035】
そもそも入退出タイマ値は、入退出タイマ機能において用いられ、警備開始操作後、退出するまでの余裕時間を考慮した時間であり、また警備状態にあっても、警備員が入退出口のドアを開錠し警備室へ移動し警備解除操作を行うまでの余裕時間を考慮した時間である。よって例えば、図2の建物環境の場合では、退出時、警備員が警備室において警備装置1(警備切替部20)により警備開始操作をし、出入口から建物外に退出する迄の時間を基に決定されとよい。また入館時、警備員が出入口から建物内に入り、警備室において警備装置1(警備切替部20)により警備解除操作を完了する迄の時間を基に決定されるとよい。
【0036】
なお、退出時用の入退出タイマ値と、入館時用の入退出タイマ値とはそれぞれ同一でも、又は異なっていてもよい。退出時において、警備員は速やかに出入口から建物外に退出しさえすればよいが、入館時には、警備員は警備室において警備装置1(警備切替部20)により警備解除操作をする必要がある。よって、入館時用の入退出タイマ値は、退出時用の入退出タイマ値よりも長く決定しうる。従ってここでは、退出時用の入退出タイマ値は120秒、入館時用の入退出タイマ値は180秒とするものとする。
【0037】
携帯端末の固有識別子は、例えばSIMカードに格納されているIMSI等、携帯端末に固有の値をいう。固有識別子は、このほかにも製造番号等もありうるが、携帯端末の暗号化された電波内に含まれているものを使用する。システム管理者は、担当の全警備員の携帯端末5の固有識別子を確認し、その固有識別子を予め記憶部70へ登録しておく。
【0038】
電波強度閾値は、dBやV/m単位で設定できる。携帯端末5の電波強度は、携帯端末5から警備装置1(電波受信部40)の距離の2乗に反比例して減衰するところ、要するに、携帯端末5が警備装置1(電波受信部40)に近く位置するほど受信される携帯端末5の電波強度は強く、逆に遠く位置するほど受信される携帯端末5の電波強度は弱い。よって、図2の建物環境の場合では、システム管理者は、例えば出入口から外へ1m付近において受信される携帯端末5の電波強度を計測しておき、電波強度閾値として決定しうる。これにより、携帯端末5の電波強度を受信した際、電波強度閾値に基づき警備員の位置が、出入口から外に位置するのか、それとも建物内(例えば警備室や通用口)に位置するのかを判断できる(図6参照)。
【0039】
(1)退出時
退出時においては、警備装置1は警備解除モードに設定されており、例えば夜間の退出時刻において、最後の警備員が退出時に警備室の警備装置1(警備切替部20)を操作し、警備装置1のモードを「警備解除モード」(OFF)から「警備モード」(ON)へと切替える。その後警備員は速やかに出入口から退出し扉の施錠を行う。
【0040】
図4は、従来の入退出タイマ機能を説明するフローチャートである。まず本実施形態に係る入退出タイマ機能を説明する前に、従来例による入退出タイマ機能を簡単に説明する。なおここでいう入退出タイマ機能は、正確には「退出」タイマ機能をいう。
【0041】
S1:警備員が退出時に警備室の警備装置1(警備切替部20)を操作することにより、警備切替部20は、警備解除モードから警備モード(待機)に切替える。
【0042】
S2:タイマ部30は、記憶部70から退出時用の入退出タイマ値(ここでは120秒)を取得する。
【0043】
S3:タイマ部30は、入退出タイマを起動する。具体的には、ここでは入退出タイマ値は120秒であるので、120秒から0秒へ向かってカウントダウンする。またもしくは、0から120秒へカウントアップしていってもよい。なおここで、入退出タイマがカウントされている間はいわば猶予時間であり、センサ2から異常を示す検知信号が入力されたとしてもこれを無効としており、よって警報の出力(監視センタ3や警報器4)も行わない。よってまたこの時点におけるモードは、警備モード(待機)ともいえる。
【0044】
またここで、音声報知部60は、音声ガイダンスの出力を行う。具体的には、入退出タイマが起動している間、「まもなく警備が始まります、すみやかに退出して下さい」などの退出を促すメッセージを繰り返し流すことで退出を促す。この繰り返しのメッセージによっては、ユーザが心理的負担を負う可能性がある。
【0045】
S4:入退出タイマ値を経過したかどうかを判定する。ここでは入退出タイマ値は120秒であるので、120秒から0秒へ向かってカウントダウンしており、カウントが0秒になったかどうかにより、入退出タイマ値を経過したかどうかを判定できる。
S5:入退出タイマ値を経過したと判定した場合は、警備モードを警備モード(待機)から警備モード(有効)にする。つまり警備を開始する。
【0046】
S6:警報出力部50は、センサ2から異常を示す検知信号が入力されたかどうかを判定する。つまり入退出タイマ値120秒がカウントされた後、猶予時間は終了し、センサ2から異常を示す検知信号が入力された場合、これを有効とし、警報の出力も行う。この時点におけるモードは、警備モード(有効)だからである。
【0047】
S7:警報出力部50は、センサ2から異常を示す検知信号が入力されたと判定した場合、警報の出力(監視センタ3や警報器4)を行う。
【0048】
ここで警備員が警備モードへ切替操作後、120秒以内に出入口から外へ出ていれば、S6で検知信号は入力されない。仮に一方、警備員が警備モードへ切替操作後、120秒以内に出入口から外へ出ていなければ、S6で検知信号は警報が出力される(システム的には正常であるが運用上は誤作動ともいえる)。従って、従来の警備システムにおいては、入退出タイマ時間として時間的余裕が設けられているとはいっても、警備状態の切替操作後は、所定の短時間内に急いで外へ出なくてはならず、心理的負担を負う可能性がある。
【0049】
図5は、本実施形態に係る入退出タイマ機能を説明するフローチャートである。本実施形態においては、警備員はこのとき携帯端末5を装備しており、またこの携帯端末5の固有識別子は、予め上述の記憶部70に登録済みであるものとする。
【0050】
S11:警備員が退出時に警備室の警備装置1(警備切替部20)を操作することにより、警備切替部20は、警備解除モードから警備モード(待機)へ切替える。
【0051】
S12:タイマ部30は、記憶部70から退出時用の入退出タイマ値(ここでは120秒)、携帯端末の固有識別子、及び電波強度閾値を取得する。
【0052】
S13:タイマ部30は、入退出タイマを起動する。具体的には、ここでは入退出タイマ値は120秒であるので、120秒から0秒へ向かってカウントダウンする。なおここで、入退出タイマがカウントされている間はいわば猶予時間であり、センサ2から異常を示す検知信号が入力されたとしてもこれを無効としており、よって警報の出力(監視センタ3や警報器4)も行わない。但し、入退出経路以外に設置したセンサから異常を示す検知信号が入力された場合には、警備モード(待機)でも警報出力するようにしてもよい。
【0053】
またここで、音声報知部60は、音声ガイダンスの出力を行う。具体的には、この入退出タイマ開始のタイミングにおいて、「まもなく警備が開始されます、すみやかに退出して下さい」などの退出を促すメッセージを一度だけ流す。本実施形態においては、入退出タイマが停止されるので、従来のように何度もメッセージを繰り返す必要性は低いからである。またこれにより、従来よりもユーザの心理的負担を軽減することができる。
【0054】
S14:入退出タイマ起動後、電波受信部40は、登録済みの携帯端末(ユーザの携帯端末)から電波を受信した場合、電波に含まれているその携帯端末の固有識別子(例えばSIMカードに格納されているIMSI等)を参照し、S12で取得している携帯端末の固有識別子と一致するかどうかの判定を行う。一致した場合、登録済みの携帯端末5、即ち担当の警備員の装備する携帯端末5の電波であると判断できる。次に、その電波の強度を計測し、計測した電波強度がS12で取得している電波強度閾値以上(超える)かどうかの判定を行う。携帯端末5の電波強度が電波強度閾値以上である場合、警備員は建物内(例えば警備室や通用口)に位置していることを判断できる。
【0055】
図6は、電波強度閾値円を示した図である。警備装置1の電波受信部40を中心として、電波強度閾値円が描かれており、携帯端末5がこの電波強度閾値円内に位置している場合、携帯端末5の電波強度は電波強度閾値以上であると判定される。逆に、携帯端末5がこの電波強度閾値円内に位置していない場合、携帯端末5の電波強度は電波強度閾値以上ではないと判定される。
【0056】
S15:タイマ部30は、入退出タイマを停止する。ここでは入退出タイマ値は120秒からカウントダウンが開始されており、例えばカウントダウン直後の119秒の時点で、携帯端末5の強い電波が計測されたとすると、119秒でカウントを停止する。その後S14へ進み、繰り返しS14の判定を行う。警備員は警備モードへ切替操作後、やがて出入口から建物外へ出たとすると、S14において、携帯端末5の電波強度が電波強度閾値以上でないと判定される。警備員が出入口から外へ出たことにより、受信される携帯端末5の電波強度が衰弱し、電波強度閾値を下回るためである。
【0057】
S16:タイマ部30は、入退出タイマを再開する。具体的には、ここでは入退出タイマ値は119秒でカウントを停止しているので、119秒から0秒へ向かってカウントダウンを再開する。
【0058】
S17:入退出タイマ値を経過したかどうかを判定する。ここでは入退出タイマ値は120秒であるので、120秒から0秒へ向かってカウントダウンしており、カウントが0秒になったかどうかにより、入退出タイマ値を経過したかどうかを判定できる。
【0059】
S18:入退出タイマ値を経過したと判定した場合は、警備モードを警備モード(待機)から警備モード(有効)にする。つまり警備を開始する。
【0060】
S19:警報出力部50は、センサ2から異常を示す検知信号が入力されたかどうかを判定する。つまり入退出タイマ値120秒がカウントされた後、猶予時間は終了し、センサ2から異常を示す検知信号が入力された場合、これを有効とし、警報の出力も行う。この時点におけるモードは、警備モード(有効)だからである。
【0061】
S20:警報出力部50は、センサ2から異常を示す検知信号が入力されたと判定した場合、警報の出力(監視センタ3や警報器4)を行う。
【0062】
以上、本実施形態に係る入退出タイマ機能によれば、警備員が警備モードへ切替操作後、出入口から外へ出ているので、S19で検知信号は入力されることはない。警備員が出入口から外へ出ない限り、入退出タイマは停止されたままであるからである。つまり、警備員が警備モードへ切替操作後、実際には120秒を越えたとしても、入退出タイマは停止されているので警報が出力されることもなく、運用上の誤作動も起こらない。また警備員は、従来のように所定の時間内に急いで外へ出る必要はなく、安心して退出することが可能となる。
【0063】
なお、上述のフローによれば、S14にて受信される携帯端末5の電波強度が衰弱し電波強度閾値を下回ると、S16にてタイマ部30は入退出タイマを再開し、S17にて入退出タイマ値を経過したかどうかを判定した。従って、警備員が出入口から建物外へ出た時点で、119秒からカウントダウンが再開され、119秒後に、警備モードが有効になる。しかしながら、S14にて受信される携帯端末5の電波強度が衰弱し電波強度閾値を下回った場合、直ぐに入退出タイマ値を経過したとみなしてもよい。この場合、警備員が出入口から建物外へ出た時点で、直ぐに警備モードを有効にすることができる。以下フローチャート(変形例)を示す。
【0064】
図7は、本実施形態に係る入退出タイマ機能を説明するフローチャート(変形例)である。簡単に説明すると、S14にて受信される携帯端末5の電波強度が電波強度閾値を上回ると、S15にてタイマ部30は、入退出タイマを停止する。S15−2へ進み、やがて受信される携帯端末5の電波強度が衰弱し電波強度閾値を下回った場合、S18へ進み、直ぐに入退出タイマ値を経過したとみなして、警備モードを警備モード(待機)から警備モード(有効)にする。つまり警備を開始する。このように本変形例によれば、警備員が出入口から建物外へ出た時点で、直ぐに警備モードを有効にすることができる。
【0065】
(2)入館時
さて入館時においては、警備装置1は警備モードに設定されており、例えば入館時刻において、最初の警備員が入館時に出入口扉の開錠を行なって入館し、その後警備員は速やかに警備装置1のモードを「警備モード」から「警備解除モード」へと切替える。
【0066】
図8は、従来の入退出タイマ機能を説明するフローチャートである。まず本実施形態に係る入退出タイマ機能を説明する前に、従来例による入退出タイマ機能を簡単に説明する。なおここでいう入退出タイマ機能は、入館時のタイマ機能をいう。
【0067】
S31:警備員は入館時に出入口の扉の開錠を行なって入館すると、センサ2aがこれを検知するので、検知信号が入力される。
【0068】
S32:検知信号の入力をトリガーとして、タイマ部30は、記憶部70から入館時用の入退出タイマ値(ここでは180秒)を取得する。
【0069】
S33:タイマ部30は、入退出タイマを起動する。具体的にここでは、上述の如く入退出タイマ値は180秒であるので、180秒から0秒へ向かってカウントダウンする。なおここで、入退出タイマがカウントされている間はいわば猶予時間であり、S31にて既にセンサ2aから異常を示す検知信号が入力されているものの、これを保留としており、よって警報の出力(監視センタ3や警報器4)は行わない。但し、入退出経路以外に設置したセンサから異常を示す検知信号が入力された場合には、警備モード(待機)でも警報出力するようにしてもよい。
【0070】
またここで、音声報知部60は、音声ガイダンスの出力を行う。具体的には、入退出タイマが起動している間、「ただいま警備中です、警備を解除して下さい」などの警備解除を促すメッセージを繰り返し流すことで警備解除を促す。この繰り返しのメッセージによっては、ユーザが心理的負担を負う可能性がある。
【0071】
S34:警備切替部20は、警備モードから警備解除モードへ切替えられたかどうかを判定する。つまり警備員が警備室の警備装置1(警備切替部20)を操作し、警備モードから警備解除モードへ切替えたかどうかを判定する。
【0072】
S35:警備切替部20は、警備装置1のモードを警備モードから警備解除モードへ切替えて設定する。これにより警備が解除された状態となる。
【0073】
S36:入退出タイマ値を経過したかどうかを判定する。ここでは入退出タイマ値は180秒であるので、180秒から0秒へ向かってカウントダウンしており、カウントが0秒になったかどうかにより、入退出タイマ値を経過したかどうかを判定できる。
【0074】
S37:警報出力部50は、カウントが0秒になると、S31にて既にセンサ2aから異常を示す検知信号が入力されたもののこれを保留としていたが、この時点でこの検知信号を有効とし、警報の出力(監視センタ3や警報器4)を行う。具体的に想定される場面としては、侵入者が入館した場合、センサ2aがこれを検知するので、検知信号が入力される。そして180秒経過後、警報が出力されることになる。また警備員が一旦入館したものの、180秒以内に警備解除モードへ切替操作が間に合わなかった場合もありうる。
【0075】
ここで警備員が入退出タイマ値(時間)以内に警備解除モードへ切替操作を行えていれば、S37で警報は出力されない。仮に一方、警備員が入退出タイマ値(時間)以内に警備解除モードへ切替操作を行うことができなければ、S37で警報が出力される(システム的には正常であるが運用上は誤作動ともいえる)。従って、従来の警備システムにおいては、入退出タイマ時間として時間的余裕が設けられているとはいっても、出入口から入館後、所定の短時間内に急いで警備状態の切替作を行わなくてはならず、心理的負担を負う可能性がある。
【0076】
図9は、本実施形態に係る入退出タイマ機能を説明するフローチャートである。本実施形態においては、警備員はこのとき携帯端末5を装備しており、またこの携帯端末5の固有識別子は、予め上述の記憶部70に登録済みであるものとする。
【0077】
S41:警備員は入館時に出入口の扉の開錠を行なって入館すると、センサ2aがこれを検知するので、検知信号が入力される。
【0078】
S42:検知信号の入力をトリガーとして、タイマ部30は、記憶部70から入館時用の入退出タイマ値(ここでは180秒)、携帯端末の固有識別子、及び電波強度閾値を取得する。
【0079】
S43:タイマ部30は、入退出タイマを起動する。具体的には、ここでは入退出タイマ値は180秒であるので、180秒から0秒へ向かってカウントダウンする。なおここで、入退出タイマがカウントされている間はいわば猶予時間であり、S31にて既にセンサ2aから異常を示す検知信号が入力されているものの、これを保留としており、よって警報の出力(監視センタ3や警報器4)は行わない。但し、入退出経路以外に設置したセンサから異常を示す検知信号が入力された場合には、警備モード(待機)でも警報出力するようにしてもよい。
【0080】
またここで、音声報知部60は、音声ガイダンスの出力を行う。具体的には、この入退出タイマ開始のタイミングにおいて、「ただいま警備中です、警備を解除して下さい」などの警備解除を促すメッセージを一度だけ流す。本実施形態においては、入退出タイマが停止されるので、従来のように何度もメッセージを繰り返す必要性は低いからである。またこれにより、従来よりもユーザの心理的負担を軽減することができる。
【0081】
S44:入退出タイマ起動後、電波受信部40は、携帯端末から電波を受信した場合、電波に含まれているその携帯端末の固有識別子を参照し、S42で取得している携帯端末の固有識別子と一致するかどうかの判定を行う。一致した場合、登録済みの携帯端末5、即ち担当の警備員の装備する携帯端末5の電波であると判断できる。次に、その電波の強度を計測し、計測した電波強度がS42で取得している電波強度閾値以上(超える)どうかの判定を行う。携帯端末5の電波強度が電波強度閾値以上である場合、警備員は建物内(例えば警備室や通用口)に位置していることを判断できる。
【0082】
S45:タイマ部30は、入退出タイマを停止する。ここでは入退出タイマ値は180秒からカウントダウンが開始されており、例えばカウントダウン直後の179秒の時点で、携帯端末5の電波が計測されたとすると、179秒でカウントを停止する。
【0083】
なお、この入退出タイマ停止時から、所定時間(例えば300秒)経過後に、例えば「すみやかに警備を解除して下さい」などの警備解除を促すメッセージを再度繰り返すようにするとよい。携帯端末5からの強い電波を受信している間は入退出タイマのカウントは停止しているとはいえ、警備解除モードへ切替えの操作(次のS46)は必要であるため、このようなメッセージによって警備解除の切替操作を促すとともに、警備解除の切替操作忘れを防止するためである。
【0084】
S46:警備切替部20は、警備モードから警備解除モードへ切替えられたかどうかを判定する。つまり警備員が警備室の警備装置1(警備切替部20)を操作し、警備モードから警備解除モードへ切替えたかどうかを判定する。
【0085】
S47:警備切替部20は、警備装置1のモードを警備モードから警備解除モードへ切替えて設定する。これにより警備が解除された状態となる。
【0086】
S48:入退出タイマ停止後においても引き続き電波受信部40は、その登録済みの携帯端末5の電波の強度を計測し、計測した電波強度がS42で取得している電波強度閾値以上(超える)どうかの判定を行う。警備員が引き続き建物内(例えば警備室や通用口)に位置していることを確認するためである。
【0087】
S49:ここで、電波強度閾値を下回る携帯端末5の電波が計測されたことにより警備員が建物内に位置しないと判定されると、タイマ部30は、入退出タイマを再開する。具体的には、ここでは入退出タイマ値は179秒でカウントを停止しているので、179秒から0秒へ向かってカウントダウンを再開する。
【0088】
S50:一方、警備切替部20は、警備モードから警備解除モードへ切替えられたかどうかを判定する。つまり警備員が警備室の警備装置1(警備切替部20)を操作し、警備モードから警備解除モードへ切替えたかどうかを判定する。なおこの時点においては、タイマ部30は、入退出タイマのカウントを開始(又は再開)している。
【0089】
S51:入退出タイマ値を経過したかどうかを判定する。ここでは入退出タイマ値は180秒であるので、180秒から0秒へ向かってカウントダウンしており、カウントが0秒になったかどうかにより、入退出タイマ値を経過したかどうかを判定できる。
【0090】
S52:警報出力部50は、カウントが0秒になると、S41にて既にセンサ2aから異常を示す検知信号が入力されたもののこれを保留としていたが、この時点でこの検知信号を有効とし、警報の出力(監視センタ3や警報器4)を行う。具体的に想定される場面としては、侵入者が入館した場合、センサ2aがこれを検知するので、検知信号が入力される。しかし、携帯端末5を有していないのでカウントダウンは停止せず、180秒経過後、警報が出力されることになる。なおまた可能性としては、携帯端末5を有した警備員が一旦入館し、カウントダウンは停止したものの、警備解除モードへ切替操作を行わないで、出入口の外に再び出てしまった場合もありうる。
【0091】
以上、本実施形態に係る入退出タイマ機能によれば、警備員が入退出タイマ値(時間)以内に警備解除モードへ切替操作を行えるので、S52で警報が出力されることはない。警備員が出入口から外へ出ない限り、入退出タイマは停止されたままであるからである。つまり、警備員は出入口から入館後、警備解除モードへ切替操作を行う必要があるが、実際にはその間180秒を越えたとしても、入退出タイマは停止されているので警報が出力されることもなく、運用上の誤作動も起こらない。また警備員は、従来のように所定の時間内に急いで切替操作を行う必要はなく、安心して入館することが可能となる。
【0092】
[総括]
以上、従来の警備システムにおいては、入退出タイマ時間として時間的余裕が設けられているとはいっても、所定の短時間内に警備状態の切替操作をしなければならないことはユーザの心理的負担となっていたところ、本実施形態に係る入退出タイマ機能付き警備システム100は、ユーザ(例えば警備員)の所持する携帯端末から所定以上の電波を受信すると、入退出タイマのカウントを停止するので、あせることなく警備状態の切替操作を行うことが可能となる。またこれに伴い、入退出タイマ時間の延長操作及びその機能自体も不要となる入退出タイマ機能付き警備装置を提供することが可能となる。即ち、入退出タイマ時間を意識せず、自己のペースで警備状態の切替操作を行える入退出タイマ機能付き警備装置を提供することが可能となる。
【0093】
なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。上述の実施形態においては、本発明をビル建物に適用した一例を示したが、家庭用の住居やマンション等にも同様に本発明を適用することができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0094】
1 警備装置
2 センサ
3 監視センタ
4 警報器
5 携帯端末
10 制御部
20 警備切替部
30 タイマ部
40 電波受信部
50 警報出力部
60 音声報知部
70 記憶部
100 警備システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設置され、警備の開始を設定する為の操作を行なう警備切替手段と、
前記建物に設けられ、扉の開閉又は人の存在を検知して検知信号を出力するセンサと、
前記警備切替手段により警備開始操作が行なわれると同時に、ユーザが前記警備切替手段により警備開始操作をして出入口から建物外に退出する迄の時間を基に決定された所定時間を計時し始めるタイマ手段と、
前記所定時間の計時が終了する迄の間、前記センサから出力される検知信号を無効とし、前記所定時間の計時が終了後であって前記センサから検知信号が出力されたときは、該検知信号を有効として警報を出力する警報出力手段と、
ユーザの所持する携帯端末の固有識別子と、前記警備切替手段を設置した場所で受信される前記携帯端末の電波強度を基に決定された電波強度閾値とを記憶した記憶手段と、
前記携帯端末から前記固有識別子を含んだ電波を受信するとともに、該電波の電波強度を計測する電波受信手段と、を有し、
前記タイマ手段は、前記電波受信手段により前記携帯端末の電波が受信され該電波が前記電波強度閾値を超えている場合、前記所定時間の計時を停止すること、
を特徴とする入退出タイマ機能付き警備装置。
【請求項2】
建物内に設置され、警備の解除を設定する為の操作を行なう警備切替手段と、
前記建物に設けられ、扉の開閉又は人の存在を検知して検知信号を出力するセンサと、
警備中、前記センサにより検知信号が出力されると同時に、ユーザが出入口から建物内に入り前記警備切替手段により警備解除操作をする迄の時間を基に決定された所定時間を計時し始めるタイマ手段と、
前記所定時間の計時が終了する迄の間、前記センサから出力される検知信号を一時保留し、前記所定時間の計時が終了する迄の間に前記警備切替手段により警備の解除操作が行われたときは、前記一時保留した検知信号を無効とし、前記所定時間の計時が終了する迄の間に前記警備切替手段により警備の解除操作が行われないときは、前記一時保留した検知信号を有効として警報を出力する警報出力手段と、
ユーザの所持する携帯端末の固有識別子と、前記警備切替手段を設置した場所で受信される前記携帯端末の電波強度を基に決定された電波強度閾値とを記憶した記憶手段と、
前記携帯端末から電波を受信するとともに、該電波の電波強度を計測する電波受信手段と、を有し、
前記タイマ手段は、前記電波受信手段により前記携帯端末の電波が受信され該電波が前記電波強度閾値を超えている場合、前記所定時間の計時を停止すること、
を特徴とする入退出タイマ機能付き警備装置。
【請求項3】
前記タイマ手段は、前記所定時間の計時を停止した後に前記携帯端末の電波が前記電波強度閾値を下回った場合、該所定時間の計時を再開すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の入退出タイマ機能付き警備装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−216020(P2012−216020A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80186(P2011−80186)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】