説明

全光量測定システム、全光量測定装置、全光量測定方法

【課題】基板に取り付けられた状態の光源の全光量を明るい環境下でも測定できる全光量測定システムの提供。
【解決手段】光を正反射する反射面部113を内面に有し、直接光と反射光とが通過する第一開口111と、光源300を配置するための第一挿入孔112とを有する第一筐体101と、第二開口121と、第二挿入孔122と、光を吸収する吸収面部123を内面に有する第二筐体102と、第一光量と、第二光量とを検出する検出手段103と、全光量を算出する演算手段104と、迷光の第一空間110への進入を阻止する柔軟性のある第一遮光部材141と、迷光の第二空間120への進入を阻止する柔軟性のある第二遮光部材142とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、LED(Light Emitting Diode)などを含む光源から発生する全光量を測定するための測定システム、測定装置、測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に光源の全光量を測定するには、積分球を備えた光量測定システムが用いられている。この積分球を備えた光量測定システムにより得られた値は、光源の全光量を示す指標として標準的に用いられている。
【0003】
ここで、積分球とは、球形の空間を内部に有する筐体の内壁面に拡散反射材料が塗布された部材である。この積分球の内部空間に光源を配置し、この光源を点灯すると、当該光源から放射される全ての光は、積分球の内壁面のいずれかで拡散状態で反射する。積分球の内部空間は球形であるため、光の反射は繰り返し発生し、光は反射のたびに拡散する。従って、積分球の内壁面に照射される光の単位面積あたりの量はいずれの部分でも同じになる。積分球を備えた光量測定システムとは、この積分球の性質を利用し、積分球の内部に配置された光源の全光量と、積分球の内壁面の一部から取得した光量が比例することを利用し、積分球の内壁面の一部に光量を測定するセンサを配置し、当該センサによる測定値を光源の全光量とするものである。このような積分球を備えた光量測定システムによって測定される全光量は、積分球の大きさや光量を測定するセンサの種類によって異なる相対的な値であるので、標準光源を用いた測定結果を標準値とし、当該標準値との比較に基づき光源の全光量が絶対的に評価される。
【0004】
このような積分球を備えた光量測定システムでは、積分球内の空間中に擬似的に浮遊した状態で光源を配置しなければならないため、光源の取り付け作業が困難となりがちである。従って、多数の光源についてそれぞれの全光量を取得するには長時間を要することとなる。
【0005】
そこで、特許文献1には次の様な光量測定システムに関する発明が開示されている。すなわち、半球状の内壁面に光拡散材料を塗布した積分半球と、積分半球の開口部を覆うように設置された平面のミラーとを備える光量測定システムである。そして、光源は、前記ミラーの中心に配置される。このような構成によれば、ミラーによって積分半球と積分半球の虚像とによりあたかも積分球が存在する状態となり、ミラーの中心に光源を配置するだけで、積分球内の空間に光源を固定した状態を実現できる。従って、光源の取り付け作業を簡略化することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−103654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、光源から放射した光を充分に乱反射させ、光量を均一にするためには、充分に大きな積分半球が必要となり、一つの光源を測定するために広い場所が必要となる。
【0008】
また、拡散反射材料として一般的に採用される硫酸バリウムなどは、保存状態(例えば保管場所の湿度)によって特性が大きく変化するものであるため、積分球や積分半球の保管は厳重に行わなければならず、測定の際にも慎重に取り扱わなければならない。
【0009】
加えて、慎重に保管や取り扱いを行ったとしても、拡散反射材料の特性が経時的に変化していくため、光源の全光量の絶対的な値を正確に取得するためには、頻繁に標準光源を用いて校正する必要が生じる。
【0010】
また、測定に比較的長時間が必要となるなど、簡便に測定することが困難である。
【0011】
そこで出願人は、保管や測定時の取り扱いが容易で、簡便に光源の全光量を安定して測定することのできる全光量測定システム、全光量測定装置、および、全光量測定方法に関する発明を先に開示している。
【0012】
本願発明は、先の発明を光源の生産工場などにおいて適用させるために発展させたものであり、工業的な生産過程において基板に取り付けられた状態で生産される光源に対し、短時間かつ正確に全光量を連続的に測定することのできる全光量測定システム、全光量測定装置、および、全光量測定方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる全光量測定システムは、基板に取り付けられた光源から放射される光の全光量を測定する全光量測定システムであって、内方に光源を配置可能な第一空間を備える第一筐体であって、前記第一空間に配置された光源から放射される光を正反射する反射面部を内面に有し、光源から直接到達する直接光と前記反射面部で反射した後到達する反射光とが通過する第一開口と、前記第一開口と対向する面に光源を前記第一空間に配置するための第一挿入孔とを有する第一筐体と、内方に光源を配置可能な第二空間を備える第二筐体であって、前記第一開口と同一形状かつ同一面積の第二開口と、前記第二開口と対向する面に光源を前記第二空間に配置するための第二挿入孔と、前記第二空間に配置された光源から放射され、前記第二開口に直接到達する直接光のみを通過させるように光を吸収する吸収面部を内面に有する第二筐体と、前記第一開口を通過する光の光量である第一光量と、前記第二開口を通過する光の光量である第二光量とを検出する検出手段と、検出された前記第一光量と前記第二光量とに基づいて光源の全光量を算出する演算手段と、前記第一挿入孔の全周囲を囲むように配置されるとともに、前記第一空間に光源を配置した際に前記基板と前記第一筐体との隙間を埋め、前記第一筐体外方からの迷光の第一空間への進入を阻止する柔軟性のある第一遮光部材と、前記第二挿入孔の全周囲を囲むように配置されるとともに、前記第二空間に光源を配置した際に前記基板と前記第二筐体との隙間を埋めて前記第二筐体外方からの迷光の第二空間への進入を阻止する柔軟性のある第二遮光部材とを備えることを特徴としている。
【0014】
これにより、光源の周辺の基板の表面に凹凸や他の微小な部品がある場合や、基板に反りや歪みがある場合でも、第一空間に光源を配置した際に、第一挿入孔周辺の第一筐体と基板表面との間に発生する隙間を柔軟な第一遮光部材が埋める、または、覆うため、光源以外の光である迷光が第一筐体の内方に侵入することを可及的に抑止することが可能となる。
【0015】
また、上述した第一筐体の場合と同様、第二挿入孔周辺の第二筐体と基板表面との間に発生する隙間を柔軟な第二遮光部材が埋める、または、覆うため、迷光が第二筐体の内方に侵入することを可及的に抑止することが可能となる。
【0016】
従って、基板に取り付けられた状態の光源の全光量が迷光によるノイズを検出すること無く正確に光源の全光量を測定することが可能となる。
【0017】
さらに、前記第一筐体および前記第二筐体を基板に押しつけた際に基板に与える押圧力に抗する力を基板に与えて基板を支える支持手段を備えてもかまわない。
【0018】
これによれば、可撓性のある基板や脆弱な基板などの場合、基板と第一筐体および第二筐体との隙間を第一遮光部材および第二遮光部材により埋める、または、覆う際に発生する基板への押圧力により、基板が変形したり破損したりする不具合を、支持手段により可及的に回避することができる。
【0019】
また、前記支持手段は、前記第一挿入孔および前記第二挿入孔を囲むように前記第一筐体および前記第二筐体と反対側の基板の裏面に当接する筒形状で遮光性を有する当接部を備えるものでもよい。
【0020】
これによれば、基板の表面は、第一遮光部材および第二遮光部材で遮光すると共に、基板の裏面を当接部で遮光するため、光が透過する部材からなる基板に光源が取り付けられている場合でも基板を透過する迷光の第一空間や第二空間への侵入を阻止することが可能となる。従って、光源の全光量を正確に測定することが可能となる。
【0021】
さらに、基板の表面と当接し、基板と前記第一筐体との距離を決定する第一スペーサと、基板の表面と当接し、基板と前記第二筐体との距離を決定する第二スペーサとを備えるものでもよい。
【0022】
これによれば、第一スペーサにより基板と第一筐体との間が決定されるため、基板に取り付けられた状態の光源であっても、検出手段と光源との位置関係を正確に規定し再現性を確保することが可能となる。また、第二スペーサも同様に検出手段と光源との位置関係を正確に規定し再現させることができるため、二つの筐体を用いて全光量を測定する場合に発生する光源の配置ずれによる測定値の不正確さを可及的に回避することが可能となる。
【0023】
さらに、第一スペーサにより第一筐体と基板との距離が決定されるため、柔軟性のある第一遮光部材を必要以上に変形させることを防止できる。従って、第一遮光部材が過度に変形することによって基板と第一遮光部材との間に隙間が発生して第一空間に迷光が侵入するような現象を回避することができる。また、過度な変形が繰り返されることにより第一遮光部材が早期に劣化することを回避できる。また、第二スペーサによっても同様の作用効果を奏することができる。
【0024】
また、上記目的を達成するために本願発明にかかる全光量測定装置は、基板に取り付けられた光源から放射される光の全光量を測定する全光量測定装置であって、内方に光源を配置可能な第一空間を備える第一筐体であって、前記第一空間に配置された光源から放射される光を正反射する反射面部を内面に有し、光源から直接到達する直接光と前記反射面部で反射した後到達する反射光とが通過する第一開口と、前記第一開口と対向する面に光源を前記第一空間に配置するための第一挿入孔とを有する第一筐体と、内方に光源を配置可能な第二空間を備える第二筐体であって、前記第一開口と同一形状かつ同一面積の第二開口と、前記第二開口と対向する面に光源を前記第二空間に配置するための第二挿入孔と、前記第二空間に配置された光源から放射され、前記第二開口に直接到達する直接光のみを通過させるように光を吸収する吸収面部を内面に有する第二筐体と、前記第一開口を通過する光の光量である第一光量と、前記第二開口を通過する光の光量である第二光量とを検出する検出手段と、前記第一挿入孔の全周囲を囲むように配置されるとともに、前記第一空間に光源を配置した際に前記基板と前記第一筐体との隙間を埋め、前記第一筐体外方からの迷光の第一空間への進入を阻止する柔軟性のある第一遮光部材と、前記第二挿入孔の全周囲を囲むように配置されるとともに、前記第二空間に光源を配置した際に前記基板と前記第二筐体との隙間を埋めて前記第二筐体外方からの迷光の第二空間への進入を阻止する柔軟性のある第二遮光部材とを備えることを特徴としている。
【0025】
これにより、光源の周辺の基板の表面に凹凸や他の微小な部品がある場合や、基板に反りや歪みがある場合でも、第一空間に光源を配置した際に、第一挿入孔周辺の第一筐体と基板表面との間に発生する隙間を柔軟な第一遮光部材が埋める、または、覆うため、光源以外の光である迷光が第一筐体の内方に侵入することを可及的に抑止することが可能となる。
【0026】
また、第二挿入孔周辺の第二筐体と基板表面との間に発生する隙間を柔軟な第二遮光部材が埋める、または、覆うため、迷光が第二筐体の内方に侵入することを可及的に抑止することが可能となる。
【0027】
従って、基板に取り付けられた状態の光源の全光量が迷光によるノイズを検出すること無く正確に光源の全光量を測定するためのデータを提供することが可能となる。
【0028】
また、上記目的を達成するために、本願発明にかかる全光量測定方法は、基板に取り付けられた光源から放射される光の全光量を測定する全光量測定システムに適用される全光量測定方法であって、前記全光量測定システムは、内方に光源を配置可能な第一空間を備える第一筐体であって、前記第一空間に配置された光源から放射される光を正反射する反射面部を内面に有し、光源から直接到達する直接光と前記反射面部で反射した後到達する反射光とが通過する第一開口と、前記第一開口と対向する面に光源を前記第一空間に配置するための第一挿入孔とを有する第一筐体と、内方に光源を配置可能な第二空間を備える第二筐体であって、前記第一開口と同一形状かつ同一面積の第二開口と、前記第二開口と対向する面に光源を前記第二空間に配置するための第二挿入孔と、前記第二空間に配置された光源から放射され、前記第二開口に直接到達する直接光のみを通過させるように光を吸収する吸収面部を内面に有する第二筐体と、前記第一開口を通過する光の光量である第一光量と、前記第二開口を通過する光の光量である第二光量とを検出する検出手段とを備え、前記第一挿入孔を通して前記第一空間に光源を配置する第一配置ステップと、前記第一挿入孔の全周囲を囲み、前記第一空間に光源を配置した際に前記第一筐体外方からの迷光の第一空間への進入を第一遮光部材により阻止する第一遮光ステップと、前記検出手段により前記第一光量を検出する第一検出ステップと、前記第二挿入孔を通して前記第二空間に光源を配置する第二配置ステップと、前記第二挿入孔の全周囲を囲み、前記第二空間に光源を配置した際に前記第二筐体外方からの迷光の第二空間への進入を第二遮光部材により阻止する第二遮光ステップと、前記検出手段により前記第二光量を検出する第二検出ステップと、検出された前記第一光量と前記第二光量とに基づいて光源の全光量を演算手段により算出する算出ステップとを含むことを特徴としている。
【0029】
これにより、光源の周辺の基板の表面に凹凸や他の微小な部品がある場合や、基板に反りや歪みがある場合でも、第一空間に光源を配置した際に、第一挿入孔周辺の第一筐体と基板表面との間に発生する隙間を柔軟な第一遮光部材が埋める、または、覆うため、光源以外の光である迷光が第一筐体の内方に侵入することを可及的に抑止することが可能となる。
【0030】
また、第二挿入孔周辺の第二筐体と基板表面との間に発生する隙間を柔軟な第二遮光部材が埋める、または、覆うため、迷光が第二筐体の内方に侵入することを可及的に抑止することが可能となる。
【0031】
従って、基板に取り付けられた状態の光源の全光量が迷光によるノイズを検出すること無く正確に光源の全光量を測定することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本願発明によれば、基板に取り付けられた状態の光源の全光量を高速かつ正確に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、全光量測定システムを模式的に示す図である。
【図2】図2は、第一筐体を切り欠いて示す斜視図である。
【図3】図3は、第一筐体の第一挿入孔近傍の断面を模式的に示す平面図である。
【図4】図4は、第一空間に光源が配置された状態の第一挿入孔近傍の断面を模式的に示す平面図である。
【図5】図5は、第二筐体を切り欠いて示す斜視図である。
【図6】図6は、第二筐体の第二挿入孔近傍の断面を模式的に示す平面図である。
【図7】図7は、第二空間に光源が配置された状態の第二挿入孔近傍の断面を模式的に示す平面図である。
【図8】図8は、全光量測定方法の流れを示すために模式的に全光量測定システムを示す図である。
【図9】図9は、全光量測定方法の流れを示すために模式的に全光量測定システムを示す図である。
【図10】図10は、光源から放射された光の反射状態、吸収状態を模式的に示す図である。
【図11】図11は、全光量測定システムを模式的に示す図である。
【図12】図12は、全光量測定方法の流れを示すために模式的に全光量測定システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に本願発明に係る全光量測定システムについて図面を参照しつつ説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、全光量測定システムを模式的に示す図である。
【0036】
同図に示すように、全光量測定システム100は、光源300から放射される光の全光量を測定するシステムであり、第一筐体101と、第二筐体102と、検出手段103と、演算手段104とを備えている。さらに、全光量測定システム100は、第一遮光部材141と、第二遮光部材142とを備えている。
【0037】
図2は、第一筐体を切り欠いて示す斜視図である。
【0038】
第一筐体101は、光源300から放射される光の一部を正反射により反射させ第一開口111に導く部材であり、反射面部113を備えている。
【0039】
反射面部113は、第一空間110に配置された光源300から放射される光を正反射する部分である。反射面部113は、光が乱反射することなくできる限り正反射する面(第一筐体101の内面に該当)を備えれば良く、いわゆる鏡面を備えていればよい。本実施の形態の場合、反射面部113は、金属である第一筐体101の内面を研磨により鏡面に仕上げたものである。従って、図1や図2では反射面部113を別体のように記載しているが、反射面部113は、第一筐体101と一体でもかまわない。
【0040】
また、反射面部113は、光源300から放射された光が一度の反射で第一開口111に到達するような形状となっている。
【0041】
なお、反射面部113は、円錐台形状に限定されるものではなく、反射面部113が光源300から第一開口111に向かって湾曲する曲面であってもかまわない。当該湾曲する反射面部113としては、例えば、放物面を表面に備える反射面部113を挙示することができる。反射面部113が放物面を備える場合、放物面の焦点に光源300をおくと、光源300から放射され反射面部113の放物面に反射した反射光が放物面の対称軸と平行となり第一開口111に向かうこととなる。この場合、反射光は一度の反射で第一開口111に垂直に到達することができる。
【0042】
第一空間110は、第一筐体101の内部に設けられ、光源300が配置される空間である。つまり、第一空間110は、第一筐体101の反射面部113で囲われて形成される空間である。本実施の形態の場合、第一空間110は、円錐台形状となっている。つまり、第一筐体101は、円錐台形状の第一空間110を形成する筒形状となっている。
【0043】
第一開口111は、第一空間110と隣接する他の空間とを連通状態とするための開口であり、光源300から直接到達する直接光と反射面部113で反射した後到達する反射光とが通過する開口である。本実施の形態の場合、円錐台形状の第一空間110の底面部分(面積の大きい円形部分)が第一開口111に該当する。
【0044】
ここで、第一空間110に配置された光源300から放射され第一開口111を通過する光の総光量を第一光量と以下に記す。第一光量は、直接第一開口111に到達し第一開口111を通過する直接光の光量と、反射面部113に反射した後第一開口111を通過する反射光の光量の総和となる。
【0045】
また、第一筐体101は、光源300を第一空間110に配置するための第一挿入孔112を第一開口111と対向する面に備えている。
【0046】
第一挿入孔112は、本実施の形態の場合、第一筐体101を貫通して第一空間110と接続される孔であり、円錐台形状の第一空間110の上面部分(面積の小さい円形部分)が第一挿入孔112に該当する。
【0047】
このように、第一挿入孔112を設ける事で、第一空間110に光源300を配置しやすくなり、また、第一筐体101に対し光源300の位置を合わせることで、第一開口111と光源300との位置を容易に合わせることが可能となる。
【0048】
本実施の形態の場合、第一筐体101の第一挿入孔112側の肉厚は、第一開口111側の肉厚よりも薄くなっている。これによれば、光源300を第一挿入孔112に挿入する際に、光源300の周囲にある基板302上の配線や他の部品と第一筐体101との干渉をできる限り回避することが可能となる。また、第一開口111側を肉厚とすることで、第一筐体101の剛性を高め、第一検出器114等の取り付け強度を高めている。
【0049】
なお、第一筐体101は、肉厚の均一で第一空間110に沿った円錐台形状の筒でもかまわない。
【0050】
図3は、第一筐体の第一挿入孔近傍の断面を模式的に示す平面図である。
【0051】
図4は、第一空間に光源が配置された状態の第一挿入孔近傍の断面を模式的に示す平面図である。
【0052】
これらの図に示す第一遮光部材141は、第一挿入孔112の全周囲を囲むように配置されるとともに、図4に示すように、第一空間110に光源300(図示省略)を配置した際に基板302と第一筐体101との隙間を埋め、第一筐体101外方からの迷光の第一空間110への進入を阻止する柔軟性のある部材である。なお、図3は、基板302に押しつけられていない自由な状態の第一遮光部材141が記載されている。
【0053】
本実施の形態の場合、第一遮光部材141は、断面が矩形の円環状(円筒状)の部材であり、第一筐体101の端面に固定的に取り付けられている。また、第一遮光部材141は、基板302に押しつけられた際、基板302の表面形状(他の部品や配線等の形状も含む)に柔軟に追随して第一筐体101と基板302との間を隙間無く埋め尽くすことのできる部材である。第一遮光部材141を構成する材質としては遮光性の高い部材が好ましい。具体的に第一遮光部材141を構成する部材としては、カーボンなどが練り込まれて遮光性が高められ、かつ、柔軟性を有するゴムやエラストマーからなる部材が例示できる。さらに、スポンジなどの発泡した樹脂からなる部材でもかまわない。このように発泡した部材の場合、気泡は独立気泡が望ましい。連続気泡の場合、迷光の透過する可能性が高まるからである。その他、第一遮光部材141は、膜状や布状の部材であってもかまわない。この場合、第一遮光部材141は、ゴムのような弾力性のある柔軟性ではなく、第一遮光部材141の厚さ方向の可撓性による柔軟性で第一筐体101と基板302との間を覆うことにより、迷光の進入を阻止する。
【0054】
また、本実施の形態の場合、第一筐体101の第一挿入孔112の周辺には第一スペーサ116が設けられている。第一スペーサ116は、基板302の表面と当接し、基板302と第一筐体101との距離を決定する部材である。本実施の形態の場合、第一スペーサ116は、第一筐体101と一体に設けられた円環状の部材であり、第一遮光部材141の内側に配置されている。
【0055】
第一スペーサ116は、柔軟性のない硬質の部材からなり、図4に示すように第一筐体101と基板302との距離を決定することができる。従って、第一遮光部材141の縮み代を確保しつつ、基板302に取り付けられた光源300と、第一筐体101の第一開口111に設けられた第一検出器114との距離を正確に確保することができる。また、これにより第一遮光部材141が過度に圧縮されるなどの強度の変形を防止することができ、第一遮光部材141に強い歪みが発生して第一筐体101と基板302との間を充填しきれなかったりすることを抑制し、第一遮光部材141の過度の変形による第一遮光部材141の劣化等を防止することができる。
【0056】
なお、第一スペーサ116は、第一筐体101と基板302との隙間が決定できればよく、円環状に限定されるものでは無い。例えば、第一筐体101と基板302との間に配置される複数本のピンなどでもかまわない。
【0057】
図5は、第二筐体を切り欠いて示す斜視図である。
【0058】
第二筐体102は、光源300から放射され、第二開口121に直接到達する直接光のみを通過させる部材であり、吸収面部123を備えている。
【0059】
吸収面部123は、第二空間120に配置された光源300から放射される光を吸収する部分である。吸収面部123は、光が反射することなくできる限り光を吸収する面(第二筐体102の内面に該当)を備えればよい。本実施の形態の場合、金属である第二筐体102の内面を無電界黒色メッキを施すことにより吸収面部123を形成している。従って、図1や図3では吸収面部123を別体のように記載しているが、吸収面部123は、第二筐体102と一体でもかまわない。
【0060】
ここで、無電界黒色メッキとは、第二筐体102の表面に被膜を成長させる処理であり、光学機器の分野で広く用いられているものである。無電界黒色メッキにより得られる被膜は、自身の黒色と表面の微細凹凸により、可視光線ばかりでなく紫外線や近赤外線の波長領域の光を吸収することが可能である。
【0061】
なお、本明細書、及び、特許請求の範囲において記載される「吸収」の語は、黒体や完全空洞のような入射した光がまったく反射しないと言う意味ではなく、正反射に比べて充分に小さな反射率であることを意味している。
【0062】
第二空間120は、第二筐体102の内部に設けられ、光源300が配置される空間である。つまり、第二空間120は、第二筐体102の吸収面部123で囲われて形成される空間である。本実施の形態の場合、第二空間120は、第一空間110と同じ形状、同じ体積の円錐台形状となっている。つまり、第二筐体102は、円錐台形状の第二空間120を形成する円筒形状となっている。
【0063】
第二開口121は、第二空間120と隣接する他の空間とを連通状態とするための開口であり、光源300から直接到達する直接光が通過する第一開口と同一形状かつ同一面積の開口である。本実施の形態の場合、円錐台形状の第二空間120の底面部分(面積の大きい円形部分)が第二開口121に該当する。
【0064】
ここで、第二空間120に配置された光源300から放射され第二開口121を通過する光の総光量を第二光量と以下に記す。第二光量は、直接第二開口121に到達し第二開口121を通過する直接光の光量となるが、これは厳密なものではなく、吸収面部123からの反射光も含まれる可能性はある。
【0065】
また、第二筐体102は、光源300を第二空間120に配置するための第二挿入孔122が第二開口121と対向する面に設けられている。
【0066】
第二挿入孔122は、本実施の形態の場合、第二筐体102を貫通して第二空間120と接続される孔であり、円錐台形状の第二空間120の上面部分(面積の小さい円形部分)が第二挿入孔122に該当する。
【0067】
このように、第二挿入孔122を設ける事で、第二空間120に光源300を配置しやすくなり、また、第二筐体102に対し光源300の位置を合わせることで、第二開口121と光源300との位置を容易に合わせることが可能となる。さらに、第一空間110と第二空間120の形状、及び、体積が同じであるため、第二開口121と光源300との位置関係を第一開口111と光源300との位置関係とを一致させることも容易となる。
【0068】
本実施の形態の場合、第二筐体102の第二挿入孔122側の肉厚は、第二開口121側の肉厚よりも薄くなっている。第二挿入孔122側の肉厚を薄くする作用効果は、第一筐体101の場合と同様である。
【0069】
図6は、第二筐体の第二挿入孔近傍の断面を模式的に示す平面図である。
【0070】
図7は、第二空間に光源が配置された状態の第二挿入孔近傍の断面を模式的に示す平面図である。
【0071】
これらの図に示す第二遮光部材142は、第二挿入孔122の全周囲を囲むように配置されるとともに、図7に示すように、第二空間120に光源300(図示省略)を配置した際に基板302と第二筐体102との隙間を埋め、第二筐体102外方からの迷光の第二空間120への進入を阻止する柔軟性のある部材である。なお、図6は、基板302に押しつけられていない自由な状態の第二遮光部材142が記載されている。また、第二遮光部材142の材質や作用効果は、第一遮光部材141と同様である。
【0072】
また、本実施の形態の場合、第二筐体102の第二挿入孔122の周辺には第二スペーサ126が設けられている。第二スペーサ126は、基板302の表面と当接し、基板302と第二筐体102との距離を決定する部材である。本実施の形態の場合、第二スペーサ126は、第二筐体102と一体に設けられた円環状の部材であり、第二遮光部材142の内側に配置されている。
【0073】
第二スペーサ126の形状や構造、作用効果は第一スペーサ116と同様である。
【0074】
検出手段103は、第一開口111を通過する光の光量である第一光量と、第二開口121を通過する光の光量である第二光量とを検出する装置である。
【0075】
本実施の形態の場合、検出手段103は、第一検出器114と、第二検出器124と、第一増幅器115と、第二増幅器125とを備えている。
【0076】
第一検出器114は、第一筐体101の第一開口111に配置され第一光量に対応する信号を出力するセンサである。第二検出器124は、第二開口121に配置され第二光量に対応する信号を出力するセンサである。
【0077】
本実施の形態の場合、第一検出器114と第二検出器124とは同じ種類、同じ形状、同じ特性を備えるセンサである。より具体的には、第一検出器114は、第一開口111全域を通過する光の光量全てを検出するフォトダイオードを備えており、第二検出器124は、第二開口121全域を通過する光の光量全てを検出するフォトダイオードを備えている。また、第一検出器114、第二検出器124は、複数のフォトダイオードが面上に配置されるフォトダイオードアレイでもかまわないが、第一開口111や第二開口121を継ぎ目無く覆うフォトダイオードが望ましい。
【0078】
なお、前記第一筐体101と第二筐体102と検出手段103と第一遮光部材141と第二遮光部材142とが全光量測定装置を構成する。
【0079】
第一増幅器115と、第二増幅器125とは、第一検出器114、第二検出器124から送信される信号を、演算手段104が処理できる程度に増幅する装置である。なお、第一増幅器115と、第二増幅器125とは、本願発明の必須の構成要素ではない。
【0080】
本実施の形態の場合、第一増幅器115(第二増幅器125も同様)は、フォトダイオードを備えた第一検出器114から送信される電流信号を増幅する増幅部と、電流信号を電圧信号に変換する変換部と、アナログの電圧信号をデジタルの信号に変換するAD変換部とを備えている。
【0081】
さらに、検出手段103は、光量抑制フィルタ131と、視感度補正フィルタ132とを備えている。
【0082】
光量抑制フィルタ131は、第一光量、および、第二光量を低下させるフィルタである。光量抑制フィルタ131は、特に第一光量が第一検出器114の検出能力を超えている場合に、第一検出器114の能力範囲内となるように第一光量を抑制して第一検出器114に到達させるフィルタである。また、光量抑制フィルタ131は、第一光量を抑制した同じ比率で第二光量を抑制するフィルタである。
【0083】
本実施の形態の場合、検出手段103は、光量抑制フィルタ131を二つ備えており、光量抑制フィルタ131は、第一検出器114と、第二検出器124とにそれぞれ配置されている。また、全光量測定システム100は、可視光を放射する光源300の全光量を測定するシステムであり、光量抑制フィルタ131は、350nm〜800nmの波長範囲に該当する光の光量を均等に抑制する機能を備えている。また、検出手段103は、光量を90%に抑制する光量抑制フィルタ131や、光量を80%に抑制する光量抑制フィルタ131など、複数種類の光量抑制フィルタ131を備えておき、光源300の種類によって光量抑制フィルタ131を使い分けてもよい。
【0084】
視感度補正フィルタ132は、人間の目が光の波長ごとの明るさを感じる強さを数値で表わした比視感度に光源300から放射される光の波長分布を調整するためのフィルタである。視感度補正フィルタ132を使用した場合、全光量測定システム100で測定された光源300の全光量が、人間が感じる光源300の明るさと強く相関し、光源300の能力を示す有効な指標(全光束)となる。
【0085】
なお、光量抑制フィルタ131や視感度補正フィルタ132は、必要に応じ適宜使用すればよい。すなわち、光源の全光量を測定したい場合は視感度補正フィルタ132を省略し、全光束を使用したい場合は視感度補正フィルタを使用する。
【0086】
演算手段104は、検出手段103で検出された第一光量と第二光量とを所定の計算式に代入し光源300の全光量を算出する装置である。
【0087】
ここで、所定の計算式とは、D=A+(C−A)/tである。また、Dは、全光量である。Cは、第一検出器114から取得される光量である。すなわちCは、第一光量である。Aは、第二検出器124から取得される光量である。すなわちAは、第二光量である。tは、反射率補正係数である。なお、反射率補正係数は、全光量測定システム100に固有の係数であり、全光量が既知の光源を用いて定められる。
【0088】
本実施の形態の場合、演算手段104は、第一増幅器115から取得したデジタル信号と第二増幅器125から取得したデジタル信号を上記式に代入して演算し、全光量Dを得ることのできる中央演算装置やハードディスクなどの外部メモリを備えたコンピュータである。
【0089】
なお、演算手段104は、コンピュータに限られず、上記式を満たすデジタル回路でもかまわない。また、第一増幅器115や第二増幅器125からアナログ信号を取得し、当該アナログ信号を上記式に従って演算するアナログ回路であってもよい。
【0090】
また本実施の形態の場合、全光量測定システム100は、光源配置手段301を備えている。光源配置手段301は、光源300を第一筐体101の第一空間110内に配置すると共に、第一遮光部材141を基板302に押しつけ、また、光源300を第二筐体102の第二空間120に配置すると共に、第二遮光部材142を基板302に押しつけることができる装置である。
【0091】
さらに、全光量測定システム100は、支持手段150を備えている。支持手段150は、第一筐体101および第二筐体102を基板302に押しつけた際に基板302に与える押圧力に抗する力を基板302に与えて基板302を支える装置である。本実施の形態の場合、図1に示すように、全光量測定システム100は、第一筐体101および第二筐体102のそれぞれに対応する様に配置された2台の支持手段150を備えている。また、支持手段150は、当接部151と押圧手段152とを備えている。
【0092】
当接部151は、第一挿入孔112および第二挿入孔122を囲むように第一筐体101および第二筐体102と反対側の基板302の裏面に当接する筒形状で遮光性を有する部材である。当接部151は、図1に示すように、第一挿入孔112および第二挿入孔122に対応する基板302の裏面に当接することで、光源配置手段301が第一筐体101や第二筐体102を介して基板に付与する押圧力に抗して基板302を裏側から支えると共に、基板302が透光性を備えていた場合でも、基板302の裏面から迷光が第一空間110や第二空間120に進入することを阻止するものである。本実施の形態の場合、当接部151を備える支持手段150は、有底の筒形状となっており、当接部151で囲まれる部分から迷光が侵入することをほぼ完全に阻止している。
【0093】
押圧手段152は、光源配置手段301が第一筐体101や第二筐体102を介して基板に付与する押圧力に抗するように当接部151を基板302の裏側に押しつける装置である。本実施の形態の場合、押圧手段152は、当接部151を基板302に対して進退自在となるように駆動源を備えている。
【0094】
次に、全光量測定システム100を用いた全光量測定方法を説明する。
【0095】
図8、図9は、全光量測定方法の流れを示すために模式的に全光量測定システムを示す図である。
【0096】
本実施の形態の場合、全光量測定システム100の測定対象である光源300として砲弾型のLEDが採用されている。光源300であるLEDは、半球方向に光を放射するものであり、半球方向に放射された光の光量が全光量となるものである(図10参照)。また、全光量測定システム100は、複数個の光源300の全光量を次々に測定していくシステムとなっている。光源300は、移送機構(図示せず)により間欠的に搬送され、第一筐体101の下方、および、第二筐体102の下方に位置したときに点灯するものとなっている。なお、光源300に電力を供給するには、例えば、基板302に設けられた端子に接点を接触させることにより行われる。
【0097】
事前に、本実施の形態で用いられる全光量測定システム100の反射率補正係数tを算出し、演算手段104に記憶させる。具体的な方法は次の通りである。今回用いられるLEDと同種のLEDの全光量を積分球を用いた光量測定システムや、配光測定システムで測定する。そして、この値をDとしておく。次に、図10(a)に示す状態と同じ状態で当該LEDの全光量を測定し第一光量Cを得る。次に、図10(b)に示す状態と同じ状態で当該LEDの光量を測定し第二光量Aを得る。以上により得られたDとAとCを式D=A+(C−A)/tに代入し、tを算出する。そして、算出されたtを演算手段104に記憶させておく。
【0098】
次に、全光量測定システム100を用いて、光源300の全光量を測定する。
【0099】
図8に示すように、光源配置手段301は、光源300を第二挿入孔122に挿入し第二空間120内に配置する(第二配置工程)。同時に、光源配置手段301は、光源300を第一挿入孔112に挿入し第一空間110に配置する(第一配置工程)。
【0100】
この状態において、第一スペーサ116は、基板302の表面と当接し、基板302と第一筐体101との距離が決定されている。また、第二スペーサ126は、基板302の表面と当接しており、基板302と第二筐体102と距離が決定されている。これにより、光源300と第一検出器114との位置関係、および、光源300と第二検出器124との位置関係は、同じとなっている。
【0101】
また、基板302は、第一遮光部材141と、支持手段150とにより挟まれた状態であり、第二遮光部材142と、支持手段150とにより挟まれた状態である。従って、第一筐体101や第二筐体102内方で点灯している光源300の光が外部に漏れて迷光とることが無く、外部からの迷光が第一筐体101や第二筐体102の内方に入り込むことはない。
【0102】
次に、第一検出器114を用いて光源300の第一光量Cを測定する(第一検出工程)。同時に、第二検出器124を用いて光源300の第二光量Aを測定する(第二検出工程)。
【0103】
ここで、第一検出器114は、光量抑制フィルタ131と、視感度補正フィルタ132とを介し、光源300から放射される光の全てを検出する。なお、図10(a)に示すように、第一検出器114が検出する光は、光源300から直接到達する直接光(図10(a)中、実線矢印)と、反射面部113で一度反射した後に到達する反射光(図10(a)中、破線矢印)とが含まれる。従って、第一検出器114で検出される第一光量Cは、直接光と反射光との和になる。
【0104】
一方、図10(b)に示すように、第二検出器124が検出する光は、光源300から直接到達する直接光(図10(b)中、実線矢印)のみである。つまり、光源300から放射される光の内、吸収面部123に到達する光(図10(b)中、破線)は、吸収面部123によって吸収され、第二検出器124に到達しない。従って、第二検出器124で検出される第二光量Aは、直接光のみの光量となる。なお実際には、吸収面部123に到達した光は散乱し、第二検出器124に到達すると考えられるが、直接光の光量に比較して、散乱により到達する光の光量は無視できると考えられる。
【0105】
次に、第一検出器114で検出された第一光量Cは、第一増幅器115を経て光源300を識別する情報とひも付けられて演算手段104に記憶される。
【0106】
なお、本実施の形態では、第一検出器114、第二検出器124は共に、同じ仕様のフォトダイオードが用いられており、第一光量Cや第二光量Aの検出時間は30msec程度である。
【0107】
次に、第二検出器124で検出された第二光量Aは、第二増幅器125を経て演算手段104に取得される。演算手段104は、先に光源300を識別する情報とひも付けられて記憶している第一光量Cと第二光量Aと、事前に取得しておいたtを用いて光源300の全光量Dを算出する(算出工程)。全光量Dの算出に用いられる式はD=A+(C−A)/tである。
【0108】
次に、図9に示すように、第一筐体101と第二筐体102とを光源配置手段301により基板302から離すと共に支持手段150が当接部151を没入させ、移送機構により光源300を一方向に移送する(移送工程)。この動作に伴い、新たな測定対象である光源300が第一筐体101の下方に配置される。また、この状態において、第一遮光部材141と第二遮光部材142とは、圧縮状態から解放され形状が復元する。
【0109】
次に、前期と同様第二配置工程と第一配置工程とを実施し、第一検出工程と第二検出工程とを実施し、算出工程にて光源300の全光量Dを順次算出する。
【0110】
以上の様に、配置工程、検出工程、算出工程、移動工程を繰り返すことで、全光量測定システム100は、順次移送される光源300の個々の全光量を次々に測定することができるものとなっている。
【0111】
以上の全光量測定システム100を用い、全光量測定方法を実施すれば、複数の基板に取り付けられた光源300のそれぞれの全光量を効率よく短時間で測定することが可能となる。しかも、迷光が第一空間110や第二空間120に進入することがないため、設置環境が明るい光源300の実装ラインにインラインで設けたような場合でも、正確な測定結果を得ることが可能となる。
【0112】
(実施の形態2)
次に、本願発明に係る他の全光量測定システム100を説明する。
【0113】
図11は、全光量測定システムを模式的に示す図である。
【0114】
同図に示すように、全光量測定システム100は、光源300から放射される光の全光量を測定するシステムであり、第一筐体101と、第二筐体102と、検出手段103と、演算手段104と、支持手段150と、転換手段230とを備えている。
【0115】
なお、実施の形態1で説明した構成要素と同一の作用・効果を示す構成要素については同じ符号を付し説明を省略する場合がある。
【0116】
検出手段103は、本実施の形態の場合、検出器として第一検出器114のみを備え、また、第一増幅器115のみを備えている。
【0117】
転換手段230は、第一開口111に対応する位置と第二開口121に対応する位置とのいずれかに検出器である第一検出器114を転換自在に配置する装置である。本実施の形態の場合、転換手段230は、固定された第一検出器114に対し、第一筐体101と第二筐体102との位置を入れ替える装置である。例えば転換手段230は、第一筐体101と第二筐体102とが摺動可能に取り付けられる1本のレールなどである。また、転換に必要な駆動力は人間の手で付与してもよく、また、モーターなどの駆動源を備えてもかまわない。
【0118】
本実施の形態の場合、支持手段150は、転換手段230によって、第一筐体101と第二筐体102との位置が転換する際に、光源300を第一筐体101や第二筐体102から遠ざけ、転換動作が終了すると光源300を第一筐体101や第二筐体102に近づけて押しつけることのできる回避装置としても機能している。
【0119】
また、全光量測定システム100は、第一検出器114と第一筐体101との距離、もしくは、第一検出器114と第二筐体102との距離を相対的に近接(当接)させ、また、離反させることとのできる検出器移動手段231を備えている。これにより、転換手段230が第一筐体101や第二筐体102の位置を転換する際に第一検出器114との干渉を防止し、第一検出器114の受光面などを傷などから保護することができる。
【0120】
なお、本実施の形態では、転換手段230は、第一筐体101と第二筐体102を移動させるものとしたが、第一筐体101と第二筐体102とを固定状態として第一検出器114を移動させるものでもかまわない。この場合、光源300も第一検出器114の移動に伴い第一筐体101と第二筐体102との間を移動することとなる。
【0121】
次に、全光量測定システム100を用いた全光量測定方法を説明する。
【0122】
図12は、全光量測定方法の流れを示すために模式的に全光量測定システムを示す図である。
【0123】
本実施の形態の場合、全光量測定システム100の測定対象である光源300としてLEDが採用されている。また、全光量測定システム100は、一つの光源300の全光量をバッチ処理的に測定するシステムとなっている。
【0124】
まず、光源300は、基板302に取り付けられた状態で支持手段150の当接部151の上に載置する。また、任意のタイミングで光源300を点灯できるように基板302に設けられた端子に電源を接続しておく(図示せず)。
【0125】
事前に、本実施の形態で用いられる全光量測定システム100の反射率補正係数tを算出し、演算手段104に記憶させる。具体的な方法は前述の通りである。
【0126】
次に、全光量測定システム100を用いて、光源300の全光量を測定する。
【0127】
同図(a)に示すように、支持手段150を上昇させて、光源300を第一挿入孔112に挿入し、第一空間110に配置する(第一配置工程)。この状態において、第一筐体101の底部は、第一スペーサ116と基板302とを介して支持手段150に押し付けられた状態となる。また、第一遮光部材141は、第一スペーサ116によって設けられた第一筐体101と基板302との間を第一挿入孔112全周に渡って埋め尽くし、第一筐体101の外部にある迷光が第一筐体101の内方に入り込むことを防止している。また、当接部151を含む支持手段150も迷光の進入を阻止している。
【0128】
次に、前記配置状態の光源300を点灯させ、第一検出器114を用いて光源300の第一光量Cを測定する(第一検出工程)。
【0129】
次に、第一検出器114で検出された第一光量Cは、第一増幅器115を経て演算手段104に記憶される。
【0130】
次に、同図(b)に示すように、支持手段150を下げ、第一筐体101と第二筐体102との位置を転換する(転換工程)。
【0131】
次に、同図(c)に示すように、支持手段150を上昇させて、光源300を第二挿入孔122に挿入し、第二空間120内に配置する(第二配置工程)。また、第二筐体102の底部は、第二スペーサ126と基板302とを介して支持手段150に押し付けられた状態であり、第一遮光部材141と同様、第二遮光部材142が迷光の第二空間120への進入を阻止している。またこの状態において、光源300と第一検出器114との位置関係は、基板302に第二スペーサ126が当接することで第一筐体101の場合と同じになっている。
【0132】
次に、配置状態の光源300を点灯させ、第一検出器114を用いて光源300の第二光量Aを測定する(第二検出工程)。
【0133】
次に、第一検出器114で検出された第二光量Aは、第一増幅器115を経て演算手段104に取得される。演算手段104は、先に取得して記憶している第一光量Cとtと第二光量Aとを用いて光源300の全光量Dを算出する(算出工程)。全光量Dの算出に用いられる式はD=A+(C−A)/tである。
【0134】
以上の全光量測定システム100を用い、全光量測定方法を実施すれば、一つの第一検出器114で第一光量Cと第二光量Aとを検出するため、検出器の違いによる誤差を考慮する必要が無くなり、より正確な測定を行うことが可能となる。また、第一遮光部材141や第二遮光部材142により基板302に取り付けられた状態の光源でも正確に全光量を測定することが可能となる。
【0135】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて実現される別の実施の形態を本願発明としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、特許請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。また、「同一」「全」や「吸収」などの文言は本願発明の趣旨を逸脱しない程度の誤差を許容する意味で使用している。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本願発明は、基板に取り付けられた状態の光源の全光量を測定することが可能であり、光源の全光量を絶対的に評価するための装置として利用可能である。特に、光源を基板に実装して実装基板を製造する製造工場において、工場内が明るい状態における実装基板における光源の性能評価に利用可能である。
【符号の説明】
【0137】
100 全光量測定システム
101 第一筐体
102 第二筐体
103 検出手段
104 演算手段
110 第一空間
111 第一開口
112 第一挿入孔
113 反射面部
114 第一検出器
115 第一増幅器
116 第一スペーサ
120 第二空間
121 第二開口
122 第二挿入孔
123 吸収面部
124 第二検出器
125 第二増幅器
126 第二スペーサ
131 光量抑制フィルタ
132 視感度補正フィルタ
141 第一遮光部材
142 第二遮光部材
150 支持手段
151 当接部
152 押圧手段
230 転換手段
231 検出器移動手段
300 光源
301 光源配置手段
302 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に取り付けられた光源から放射される光の全光量を測定する全光量測定システムであって、
内方に光源を配置可能な第一空間を備える第一筐体であって、前記第一空間に配置された光源から放射される光を正反射する反射面部を内面に有し、光源から直接到達する直接光と前記反射面部で反射した後到達する反射光とが通過する第一開口と、前記第一開口と対向する面に光源を前記第一空間に配置するための第一挿入孔とを有する第一筐体と、
内方に光源を配置可能な第二空間を備える第二筐体であって、前記第一開口と同一形状かつ同一面積の第二開口と、前記第二開口と対向する面に光源を前記第二空間に配置するための第二挿入孔と、前記第二空間に配置された光源から放射され、前記第二開口に直接到達する直接光のみを通過させるように光を吸収する吸収面部を内面に有する第二筐体と、
前記第一開口を通過する光の光量である第一光量と、前記第二開口を通過する光の光量である第二光量とを検出する検出手段と、
検出された前記第一光量と前記第二光量とに基づいて光源の全光量を算出する演算手段と、
前記第一挿入孔の全周囲を囲むように配置されるとともに、前記第一空間に光源を配置した際に前記基板と前記第一筐体との隙間を埋め、前記第一筐体外方からの迷光の第一空間への進入を阻止する柔軟性のある第一遮光部材と、
前記第二挿入孔の全周囲を囲むように配置されるとともに、前記第二空間に光源を配置した際に前記基板と前記第二筐体との隙間を埋めて前記第二筐体外方からの迷光の第二空間への進入を阻止する柔軟性のある第二遮光部材と
を備える全光量測定システム。
【請求項2】
さらに、
前記第一筐体および前記第二筐体を基板に押しつけた際に基板に与える押圧力に抗する力を基板に与えて基板を支える支持手段
を備える請求項1に記載の全光量測定システム。
【請求項3】
前記支持手段は、
前記第一挿入孔および前記第二挿入孔を囲むように前記第一筐体および前記第二筐体と反対側の基板の裏面に当接する筒形状で遮光性を有する当接部を備え
る請求項2に記載の全光量測定システム。
【請求項4】
さらに、
基板の表面と当接し、基板と前記第一筐体との距離を決定する第一スペーサと、
基板の表面と当接し、基板と前記第二筐体との距離を決定する第二スペーサと
を備える請求項1に記載の全光量測定システム。
【請求項5】
基板に取り付けられた光源から放射される光の全光量を測定する全光量測定装置であって、
内方に光源を配置可能な第一空間を備える第一筐体であって、前記第一空間に配置された光源から放射される光を正反射する反射面部を内面に有し、光源から直接到達する直接光と前記反射面部で反射した後到達する反射光とが通過する第一開口と、前記第一開口と対向する面に光源を前記第一空間に配置するための第一挿入孔とを有する第一筐体と、
内方に光源を配置可能な第二空間を備える第二筐体であって、前記第一開口と同一形状かつ同一面積の第二開口と、前記第二開口と対向する面に光源を前記第二空間に配置するための第二挿入孔と、前記第二空間に配置された光源から放射され、前記第二開口に直接到達する直接光のみを通過させるように光を吸収する吸収面部を内面に有する第二筐体と、
前記第一開口を通過する光の光量である第一光量と、前記第二開口を通過する光の光量である第二光量とを検出する検出手段と、
前記第一挿入孔の全周囲を囲むように配置されるとともに、前記第一空間に光源を配置した際に前記基板と前記第一筐体との隙間を埋め、前記第一筐体外方からの迷光の第一空間への進入を阻止する柔軟性のある第一遮光部材と、
前記第二挿入孔の全周囲を囲むように配置されるとともに、前記第二空間に光源を配置した際に前記基板と前記第二筐体との隙間を埋めて前記第二筐体外方からの迷光の第二空間への進入を阻止する柔軟性のある第二遮光部材と
を備える全光量測定装置。
【請求項6】
基板に取り付けられた光源から放射される光の全光量を測定する全光量測定システムに適用される全光量測定方法であって、
前記全光量測定システムは、
内方に光源を配置可能な第一空間を備える第一筐体であって、前記第一空間に配置された光源から放射される光を正反射する反射面部を内面に有し、光源から直接到達する直接光と前記反射面部で反射した後到達する反射光とが通過する第一開口と、前記第一開口と対向する面に光源を前記第一空間に配置するための第一挿入孔とを有する第一筐体と、
内方に光源を配置可能な第二空間を備える第二筐体であって、前記第一開口と同一形状かつ同一面積の第二開口と、前記第二開口と対向する面に光源を前記第二空間に配置するための第二挿入孔と、前記第二空間に配置された光源から放射され、前記第二開口に直接到達する直接光のみを通過させるように光を吸収する吸収面部を内面に有する第二筐体と、
前記第一開口を通過する光の光量である第一光量と、前記第二開口を通過する光の光量である第二光量とを検出する検出手段とを備え、
前記第一挿入孔を通して前記第一空間に光源を配置する第一配置ステップと、
前記第一挿入孔の全周囲を囲み、前記第一空間に光源を配置した際に前記第一筐体外方からの迷光の第一空間への進入を第一遮光部材により阻止する第一遮光ステップと、
前記検出手段により前記第一光量を検出する第一検出ステップと、
前記第二挿入孔を通して前記第二空間に光源を配置する第二配置ステップと、
前記第二挿入孔の全周囲を囲み、前記第二空間に光源を配置した際に前記第二筐体外方からの迷光の第二空間への進入を第二遮光部材により阻止する第二遮光ステップと、
前記検出手段により前記第二光量を検出する第二検出ステップと、
検出された前記第一光量と前記第二光量とに基づいて光源の全光量を演算手段により算出する算出ステップと
を含む全光量測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−13547(P2012−13547A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150467(P2010−150467)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】