説明

全反射照明型センサチップ

【課題】エバネッセント波を利用して被検出物質を検出する検出方法に用いられる全反射照明型センサチップにおいて、低コスト化および薄型化を容易に可能とする。
【解決手段】検出部14aが形成された誘電体プリズム10を備え、エバネッセント波Ewを利用して被検出物質を検出する検出方法に用いられる全反射照明型センサチップC1において、第1の透過面10b(測定光Lが入射する際に通る誘電体プリズム10の面)を保護し、かつ少なくとも下方が開放された第1の光透過空間11を形成するように配された第1の保護部材10aを備え、第1の光透過空間11の下方から第1の光透過空間11に入り第1の透過面10bを通った測定光Lによって、エバネッセント波Ewを生じせしめるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エバネッセント波を利用して試料中の物質を検出する方法に用いられる全反射照明型センサチップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンパク質やDNA等を検出するバイオ測定において、全反射照明によって誘起するエバネッセント波または表面プラズモンを利用した検出方法が注目されている。表面プラズモンとは、金属表面の自由電子が集団的に振動することによって生じる自由電子の粗密波である。このような検出方法は、例えば、表面プラズモンの電場増強効果を利用した表面プラズモン電場増強蛍光分光(surface plasmon−field enhanced fluorescence spectroscopy:SPFS)測定や、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance:SPR)現象による全反射減衰を利用したSPR測定が知られている。
【0003】
SPFS測定は、誘電体プリズムに配された検出部である金属膜上に発生せしめたエバネッセント波によって、試料中に含まれる被検出物質あるいはこの被検出物質に付けられている蛍光標識を励起して、これらからの蛍光を検出することにより、被検出物質を検出する測定である(特許文献1)。エバネッセント波は、誘電体プリズムとこの誘電体プリズムに配された金属膜との界面において測定光を全反射させることにより、金属膜上に発生せしめられる。SPFS測定は、取り扱いが容易であり同時に複数のサンプルに対して測定できる方法であり、さらにエバネッセント波と金属膜中の自由電子とが共鳴することによって生じる表面プラズモンの電場増強効果によってエバネッセント波が増強されるため、大きな蛍光信号を検出することができるとして広く用いられている。
【0004】
一方SPR測定は、誘電体プリズムとこの誘電体プリズムに配された検出部である金属膜との界面への入射角を変化させて、この反射光の減衰を検出することにより、金属膜上の屈折率変化を検出することで供給された被検出物質を検出する測定である(特許文献2)。例えば、金属膜上に固定された抗体と抗原抗体反応によって抗原が結合すると、その金属膜上の屈折率は周囲のバッファよりも高くなる。したがってSPR測定は、このような屈折率の変化をSPRの共鳴角(反射光が減衰する測定光の入射角)の変化として検出している。屈折率検出法であるSPR測定は、生体分子間の反応・結合量の測定および速度論的解析を、ノンラベルかつリアルタイムで行うことができるとして広く用いられている。
【0005】
上記したSPFS測定およびSPR測定等では、測定光を誘電体プリズムと検出部との界面で全反射させるため、一般的に所定領域に検出部を形成した誘電体プリズムをセンサチップとして用いている。現在、誘電体プリズムは、ガラスに比べて安価かつ成型が容易なプラスチック製のものが多く用いられている。しかしながら従来、測定作業でセンサチップを扱っている際誘電体プリズムが外部に露出しているために、誘電体プリズムの測定光が入射する面或いは出射する面に、キズや汚れが付着するという問題があった。特に、プラスチック製の誘電体プリズムは、ガラス製のものよりも軟質であるために表面にキズが付きやすい。このような場合、上記のようなキズや汚れによって、測定光の吸収、減衰および散乱等によるノイズが発生して測定精度が低下してしまう。そこで、特許文献2は、誘電体プリズムの測定光が入射する面或いは出射する面をキズや汚れから保護する保護部材を備えたセンサユニットを教示している。
【特許文献1】特許3562912号公報
【特許文献2】特開2006−200931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般的に診断向けのセンサチップにはさらなる低コスト化および薄型化が要求されており、特許文献2に記載のセンサユニットは部品点数が多い点で充分にこの要求に応えていない。さらに、光透過のための小さなスリットを有する保護部材を有するセンサユニットは、薄型化に不向きである。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、エバネッセント波を利用して被検出物質を検出する検出方法に用いられる全反射照明型センサチップにおいて、誘電体プリズムの測定光が入射する面或いは出射する面をキズや汚れから保護する構造を有し、さらに低コスト化および薄型化を用意に実現することが可能な全反射照明型センサチップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の全反射照明型センサチップは、
誘電体プリズムの一面に形成された検出部に被検出物質を含む試料を供給し、誘電体プリズムと検出部との界面に対して、この界面で全反射条件を満たすように、誘電体プリズムの第1の透過面を通して測定光を照射して、測定光の照射により検出部に発生したエバネッセント波を利用して被検出物質を検出する検出方法に用いられる全反射照明型センサチップにおいて、
第1の透過面を保護する第1の保護部材を備え、
第1の保護部材が、第1の透過面と第1の保護部材との間に少なくとも下方が開放された第1の光透過空間を形成する位置に、第1の透過面から所定距離離れて配されたものであり、
第1の光透過空間の下方から第1の光透過空間に入り第1の透過面を通った測定光によって、上記界面を照射可能となるように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、「検出部」とは、被検出物質を検出するための場所を意味するものとする。例えば、被検出物質(例えば抗原)と特異的に結合する結合物質(例えば抗体)が誘電体プリズム上に固定されているような場合(a)には、この結合物質が固定されている誘電体プリズム上の領域が検出部となる。また、誘電体プリズム上に表面プラズモンを発生させるための金属膜が形成されている場合(b)には、この金属膜が主に検出部となる。
誘電体プリズムと検出部との「界面」とは、誘電体プリズムの屈折率と検出部の屈折率とについての境界面を意味するものとする。したがって、上記(a)のような場合には、この界面における「全反射条件」とは、誘電体プリズムおよびこの誘電体プリズム上の物質(上記結合物質や溶媒、空気等)のそれぞれの屈折率によって定められる全反射条件を意味するものとする。また、上記(b)のような場合には、この界面における「全反射条件」とは、誘電体プリズムおよび金属膜のそれぞれの屈折率によって定められる全反射条件を意味するものとする。
【0010】
「第1の透過面」とは、測定光が誘電体プリズム内に入射する際に通る誘電体プリズムの面を意味するものとする。
【0011】
「被検出物質を検出する」とは、被検出物質の存在の有無を含み定性的な量のみならず、定量的な量、および活性の程度を検出することも意味するものとする。
【0012】
第1の透過面を「保護する」とは、センサチップを扱う者の指が触れる等のキズや汚れの原因となる外部要因から第1の透過面を守ることを意味するものとする。
【0013】
「下方」とは、誘電体プリズムと金属膜との界面を含む平面をx−y平面とし、x−y平面に垂直な方向で金属膜が形成されている方向にz軸をとり、さらに測定光の界面(反射面)に対する入射面とx−y平面との交線が延びる方向であって測定光の交線への射影成分が進行する方向とは逆の方向にx軸をとり、そして上記のz軸およびx軸と共に右手座標系を成すようにy軸をとった場合において、z軸負方向を意味するものとする。ここで、座標の原点は、便宜上検出部における測定光の照射領域の中心とする。ただし、これに限定されるものではない。
【0014】
「光透過空間」とは、保護部材と透過面とによって形成される空間であって、測定光が誘電体プリズムに入射する際に光の通過経路を確保するための空間を意味するものとする。ここで、「第1の光透過空間」とは、センサチップに対して測定光が入射する際に通過する光透過空間を意味し、「第2の光透過空間」とは、センサチップから測定光(反射光)が出射する際に通過する光透過空間を意味するものとする。
【0015】
さらに、本発明に係る第1の全反射照明型センサチップにおいて、第1の保護部材は、下方に行くに従い第1の光透過空間を拡げるようなテーパ形状を有するものであることが好ましい。
【0016】
また、第1の保護部材は、誘電体プリズムと一体的に形成されたものであることが好ましい。或いは、誘電体プリズムの上方に装着される蓋部材を備え、第1の保護部材は、蓋部材と一体的に形成されたものであることが好ましい。
【0017】
そして、測定光の上記界面による反射光が出射する誘電体プリズムの第2の透過面を保護する第2の保護部材を備えることもできる。
【0018】
ここで、「第2の透過面」とは、上記界面における測定光の反射光が誘電体プリズム内から出射する際に通る誘電体プリズムの面を意味するものとする。
【0019】
さらに、第2の保護部材は、第2の透過面とこの第2の保護部材との間に少なくとも下方が開放された第2の光透過空間を形成する位置に、第2の透過面から所定距離離れて配されたものであり、
第2の透過面から第2の光透過空間に入りこの第2の光透過空間の下方を通った反射光を、外部に配置した光検出器によって検出可能となるように構成されていることが好ましい。
【0020】
また、第2の保護部材は、下方に行くに従い第2の光透過空間を拡げるようなテーパ形状を有するものであることが好ましい。
【0021】
そして、第2の保護部材は、誘電体プリズムと一体的に形成されたものであることが好ましい。或いは、誘電体プリズムの上方に装着される蓋部材を備え、第2の保護部材は、蓋部材と一体的に形成されたものであることが好ましい。
【0022】
さらに、検出部が、誘電体プリズムに隣接する金属膜を有するものであり、
エバネッセント波に起因して金属膜中に発生する表面プラズモンの増強電場を利用する検出方法に用いられるものとすることができる。
【0023】
さらに、本発明に係る第2の全反射照明型センサチップは、
誘電体プリズムの一面に形成された検出部に被検出物質を含む試料を供給し、誘電体プリズムと検出部との界面に対して、この界面で全反射条件を満たすように、誘電体プリズムの一面である第1の透過面を通して測定光を照射して、測定光の照射により検出部に発生したエバネッセント波を利用して被検出物質を検出する検出方法に用いられる全反射照明型センサチップにおいて、
第1の透過面を保護する第1の保護部材を備え、
第1の保護部材が、少なくとも下方および前方が開放されかつ後方において第1の透過面に通じる切り欠き形状の第1の光透過空間を形成するように配されたものであり、
第1の光透過空間および第1の透過面を通った測定光によって、上記界面を照射可能となるように構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
ここで、「前方」および「後方」とは、上記同様の座標系をとった場合において、それぞれx軸正方向およびx軸負方向を意味するものとする。
【0025】
そして、本発明に係る第2の全反射照明型センサチップにおいて、第1の保護部材は、誘電体プリズムと一体的に形成されたものであることが好ましい。或いは、誘電体プリズムの上方に装着される蓋部材を備え、第1の保護部材は、蓋部材と一体的に形成されたものであることが好ましい。
【0026】
さらに、測定光の上記界面による反射光が出射する誘電体プリズムの第2の透過面を保護する第2の保護部材を備えることもできる。
【0027】
また、第2の保護部材は、少なくとも下方および後方が開放されかつ前方において第2の透過面に通じる切り欠き形状の第2の光透過空間を形成するように配されたものであり、
第2の透過面および第2の光透過空間を通った反射光を、外部に配置した光検出器によって検出可能となるように構成されていることが好ましい。
【0028】
そして、第2の保護部材は、誘電体プリズムと一体的に形成されたものであることが好ましい。或いは、誘電体プリズムの上方に装着される蓋部材を備え、第2の保護部材は、蓋部材と一体的に形成されたものであることが好ましい。
【0029】
さらに、検出部が、誘電体プリズムに隣接する金属膜を有するものであり、
エバネッセント波に起因して金属膜中に発生する表面プラズモンの増強電場を利用する検出方法に用いられるものとすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る全反射照明型センサチップは、誘電体プリズムの測定光が入射する面或いは出射する面をキズや汚れから保護する保護部材であって、光の通過経路を確保する光透過空間を形成する程度の簡易的な構造を有する保護部材を備えている。したがって、エバネッセント波を利用して被検出物質を検出する検出方法に用いられる全反射照明型センサチップにおいて、部品点数を減少させると同時に保護部材の複雑な成型工程を削減することが可能となる。これにより、全反射照明型センサチップの低コスト化および薄型化を容易に実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0032】
「全反射照明型センサチップ」
<第1の実施形態>
まず、本実施形態に係る全反射照明型センサチップC1の構成について説明する。図1Aは、本実施形態に係るセンサチップC1の全体構成を示す概略斜視図であり、図1Bは、センサチップC1の金属膜14aを通るz−x平面S1における概略断面図である。ここで、座標は図1Aおよび図1Bに示すように、誘電体プリズム10と金属膜14aとの界面を含む平面をx−y平面とし、x−y平面に垂直な方向で金属膜14aが形成されている方向にz軸をとり、さらに測定光Lの界面(反射面)に対する入射面(反射面に垂直でかつ入射光と反射光を含む平面)とx−y平面との交線が延びる方向であって測定光Lの交線への射影成分が進行する方向とは逆の方向にx軸をとり、そして上記のz軸およびx軸と共に右手座標系を成すようにy軸をとっている。以下、上記の座標系において、z軸正方向を「上方」、z軸負方向を「下方」、x軸正方向を「前方」、x軸負方向を「後方」という。
【0033】
図1Aおよび図1Bに示すように、センサチップC1は、第1の保護部材10aが一体的に形成され、かつ所定領域に金属膜14a・14bを有する上方が開放した流路13を備える誘電体プリズム10と、この誘電体プリズム10上に流路13の上面を形成するように装着される蓋部材12とを備えている。センサチップC1は、例えばSPFS測定またはSPR測定において使用される。
【0034】
誘電体プリズム10は、被検出物質を含む試料等を流すための流路13を備え、かつ第1の保護部材10aが一体的に形成されているものである。また、誘電体プリズム10は、第1の保護部材10aに保護されるy−z平面に平行な第1の透過面10b(測定光が誘電体プリズム内に入射する際に通る誘電体プリズムの面)を有している。ただし、第1の透過面10bは必ずしもy−z平面に平行である必要はない。そして、誘電体プリズム10は、図1Bに示すように、第1の光透過空間11の下方からこの第1の光透過空間11に入り第1の透過面10bを通った測定光Lによって、誘電体プリズム10と金属膜14aとの界面において全反射条件を満たしながら、この界面を照射可能となるように構成されている。誘電体プリズム10の材料は、例えば透明樹脂やガラス等の透明材料から形成されたものである。誘電体プリズム10は、樹脂から形成されたものが望ましく、この場合は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンを含む非晶性ポリオレフィン(APO)等の樹脂を用いることがより望ましい。
【0035】
第1の保護部材10aは、第1の透過面10bと第1の保護部材10aとの間に少なくとも下方が開放された第1の光透過空間11を形成する位置に、第1の透過面10bから所定距離離れて配されている。本実施形態においては図1Aおよび図1Bに示すように、第1の保護部材10aは、誘電体プリズム10と一体的に形成されている。また、第1の光透過空間11は、下方と共にy軸方向(y軸正方向およびy軸負方向)についても開放されている。第1の保護部材10aと第1の透過面10bとの間の距離、すなわちx軸に沿った第1の光透過空間11の長さは、特に制限されるものではなく、第1の透過面10bを保護することができ、測定光Lの第1の透過面10bへの入射を阻害しない範囲で適宜定めることができる。
【0036】
流路13は、誘電体プリズム10上に形成されたコ文字型の溝と誘電体プリズム10に装着された蓋部材12から形成されている。さらに、流路13の両端には液下用或いは廃液用の液溜めが形成されている。また、流路13の所定領域には、検出部となる金属膜14a・14bが形成されている。本実施形態では、測定用の検出部として金属膜14aを、リファレンス用の検出部として金属膜14bを設けている。ただし、検出部は、測定用の検出部が1つあればよく、上記のようなリファレンス用の検出部は必ずしも必要ではない。金属膜14a・14bの材料としては、特に制限されるものではなく、例えばプラズモンを効率よく誘起する観点から、Au,Ag,Cu,Pt,Ni,Ti等が挙げられ、電場増強効果の高いAu,Ag等が特に好ましい。金属膜14a・14bの厚みは、金属膜14a・14bの材料と、測定光Lの波長により表面プラズモンが強く励起されるように適宜定めることが望ましい。例えば、測定光Lとして780nmに中心波長を有するレーザ光を用い、金属膜14a・14bとして金(Au)膜を用いる場合、金属膜14a・14bの厚みは50nm±5nmが好適である。
【0037】
蓋部材12は、誘電体プリズム10に装着することにより流路13の上面を形成するためのものである。また、蓋部材12は、液下用の液溜めに接続する試料等を流下するための注入口15a、および廃液用の液溜めに接続する空気等を抜くための空気孔15bを有している。蓋部材12の材料としては、前述した誘電体プリズム10と同様の材料を用いることができる。
【0038】
以上のように、本発明に係る全反射照明型センサチップC1は、第1の透過面10bをキズや汚れから保護する第1の保護部材10aであって、光の通過経路を確保する光透過空間11を形成する程度の簡易的な構造を有する第1の保護部材10aを備えている。本実施形態における誘電体プリズム10に一体的に形成されている第1の保護部材10aは、一般的な成型法(例えば射出成型・光成型等)により容易な成型工程で成型可能な構造をしている。さらに、本実施形態においては、センサチップとしての部品点数は、誘電体プリズム10および蓋部材12という必要最小限の2点である。したがって、エバネッセント波を利用して被検出物質を検出する検出方法に用いられる全反射照明型センサチップにおいて、部品点数を減少させると同時に保護部材の複雑な成型工程を削減することが可能となる。これにより、全反射照明型センサチップの低コスト化および薄型化を容易に実現することが可能となる。
【0039】
(第1の実施形態における設計変更)
また、第1の実施形態においては、第1の光透過空間11が下方およびy軸方向に開放されている場合を説明したが、図2Aおよび図2Bに示す全反射照明型センサチップC2のように、第1の光透過空間21は、下方のみに開放された構造となるように構成してもよい。また、第1の光透過空間21は、その上方が誘電体プリズム20に対して開放しており蓋部材22まで突き抜ける構造となるように構成してもよい。
【0040】
さらに、第1の実施形態においては、第1の保護部材10aが誘電体プリズム10と一体的に形成されている場合を説明したが、図3Aおよび図3Bに示す全反射照明型センサチップC3のように、第1の保護部材30aは、蓋部材32と一体的に形成されてもよい。
【0041】
そして、上記では第1の保護部材の形状がL字型である、すなわち第1の保護部材の一部が第1の光透過面に対して正面で対向する場合について説明してきた。しかしながら、第1の保護部材は、必ずしもこのような態様に限られない。すなわち、第1の保護部材の形状は、例えば上記L字型から前方が開放した形状であるI字型であってもよい。このような態様によっても、本発明に係る課題は解決される。この場合、光透過空間は、先端が光透過面から所定距離離れたI字型保護部材と光透過面とによって挟まれている空間となる。
【0042】
上記3つの設計変更によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
<第2の実施形態>
まず、本実施形態に係る全反射照明型センサチップC4の構成について説明する。図4Aは、本実施形態に係るセンサチップC4の全体構成を示す概略斜視図であり、図4Bは、センサチップC4の金属膜44aを通るz−x平面S4における概略断面図である。センサチップC4は、第1の実施形態に係るセンサチップC1と同様の構成であるが、第2の透過面40d(反射光が誘電体プリズム内から出射する際に通る誘電体プリズムの面)を有する点、この第2の透過面40dを保護する第2の保護部材40cを有する点でセンサチップC1と異なる。したがって、センサチップC1と同様の構成要素についての説明は、特に必要のない限り省略する。センサチップC4も、例えばSPFS測定またはSPR測定において使用される。ここでセンサチップC4は、第2の透過面40dと第2の保護部材40cを有することにより、測定光Lの誘電体プリズム40と金属膜44a(検出部)との界面における反射光Lrを精度よく検出できるように構成されている。したがって、センサチップC4は、特にSPR測定を行う場合においてセンサチップC1等よりも好適である。
【0044】
図4Aおよび図4Bに示すように、センサチップC4は、第1の保護部材40aおよび第2の保護部材40cが一体的に形成され、かつ所定領域に金属膜44a・44bを有する上方が開放した流路43を備える誘電体プリズム40と、この誘電体プリズム40上に流路43の上面を形成するように装着される蓋部材42とを備えている。
【0045】
誘電体プリズム40は、被検出物質を含む試料等を流すための流路43を備え、かつ第1の保護部材40aおよび第2の保護部材40cが一体的に形成されているものである。また、誘電体プリズム40は、第1の保護部材40aに保護されるy−z平面に平行な第1の透過面40bと、第2の保護部材40cに保護されるy−z平面に平行な第2の透過面40dとを有している。ただし、第1の透過面10bおよび第2の透過面40dは必ずしもy−z平面に平行である必要はない。そして、誘電体プリズム40は、図4Bに示すように、第1の光透過空間41aの下方からこの第1の光透過空間41aに入り第1の透過面40bを通った測定光Lによって、誘電体プリズム40と金属膜44aとの界面において全反射条件を満たしながら、この界面を照射可能となるように構成されている。さらに、誘電体プリズム40は、図4Bに示すように、第2の透過面40dから第2の光透過空間41bに入りこの第2の光透過空間41bの下方を通った反射光Lrを、外部に配置した光検出器46によって検出可能となるように構成されている。誘電体プリズム40の材料については、第1の実施形態と同様である。
【0046】
第2の保護部材40cは、第2の透過面40dと第2の保護部材40cとの間に少なくとも下方が開放された第2の光透過空間41bを形成する位置に、第2の透過面40dから所定距離離れて配されている。本実施形態においては図4Aおよび図4Bに示すように、第2の保護部材40cは、第1の保護部材40aと同様に誘電体プリズム40と一体的に形成されている。また、第2の光透過空間41bは、下方と共にy軸方向についても開放されている。第2の保護部材40cと第2の透過面40dとの間の距離、すなわちx軸に沿った第2の光透過空間41bの長さは、特に制限されるものではなく、第2の透過面40dを保護することができ、反射光Lrの第2の透過面40dからの出射を阻害しない範囲で適宜定めることができる。
【0047】
以上のように、本発明に係る全反射照明型センサチップC4も、誘電体プリズム40の第1の透過面40bおよび第2の透過面40dをキズや汚れからそれぞれ保護する第1の保護部材40aおよび第2の保護部材40cであって、光の通過経路を確保する第1の光透過空間41aおよび第2の光透過空間41bをそれぞれ形成する程度の簡易的な構造を有する第1の保護部材40aおよび第2の保護部材40cを備えている。したがって、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
さらに、本実施形態においては、センサチップC4に第2の透過面40dを設けることにより、反射光Lrをより検出しやすくなっている。したがって、本実施形態に係るセンサチップC4は、特にSPR測定を行う際に好適なセンサチップとなる。
【0049】
(第2の実施形態の設計変更)
第1の保護部材および第2の保護部材を有するセンサチップC4は、これらの保護部材が同種の保護部材である場合に限られない。ずなわち、これらの保護部材のうち一方のみがテーパ形状を有するように構成してもよい。また、これらの保護部材のうち一方が、少なくとも下方が開放された一方の光透過空間を形成する位置に、一方の透過面から所定距離離れて配された保護部材であって、他方が少なくとも下方および前方が開放されかつ後方において他方の透過面に通じる切り欠き形状の他方の光透過空間を形成するように配された保護部材であってもよい。ただし、製造コスト等の観点からこれらの保護部材は同種の保護部材であることが好ましい。このことは後述する第5の実施形態についても同じである。
【0050】
さらに、上記では第1の保護部材および第2の保護部材の形状がL字型である、すなわち第1の保護部材および第2の保護部材の一部がそれぞれ第1の光透過面および第2の光透過面に対して正面で対向する場合について説明してきた。しかしながら、第1の保護部材および第2の保護部材は、第1の実施形態と同様に必ずしもこのような態様に限られない。すなわち、第1の保護部材および第2の保護部材の形状は、上記L字型からそれぞれ前方および後方が開放した形状であるI字型であってもよい。また、片方のみがI字型であっても構わない。このような態様によっても、本発明に係る課題は解決される。この場合、光透過空間は、先端が光透過面から所定距離離れたI字型保護部材と光透過面とによって挟まれている空間となる。
【0051】
<第3の実施形態>
まず、本実施形態に係る全反射照明型センサチップC5の構成について説明する。図5Aは、本実施形態に係るセンサチップC5の全体構成を示す概略斜視図であり、図5Bは、センサチップC5の金属膜54aを通るz−x平面における概略断面図である。センサチップC5は、第1の実施形態に係るセンサチップC1と同様の構成であるが、下方に行くに従い第1の光透過空間51を拡げるようなテーパ形状の第1の保護部材50aを有している点でセンサチップC1と異なる。したがって、センサチップC1と同様の構成要素についての説明は、特に必要のない限り省略する。センサチップC5も、例えばSPFS測定またはSPR測定において使用される。ここでセンサチップC5は、テーパ形状の第1の保護部材50aを有することにより、角度幅Δθを持つファンビーム(集束光)L’の誘電体プリズムへの入射を妨げないように構成されている。したがって、センサチップC5は、測定光としてファンビームL’を用いる場合においてセンサチップC1等よりも好適である。
【0052】
図5Aおよび図5Bに示すように、センサチップC5は、第1の保護部材50aが一体的に形成され、かつ所定領域に金属膜54a・54bを有する上方が開放した流路53を備える誘電体プリズム50と、この誘電体プリズム50上に流路53の上面を形成するように装着される蓋部材52とを備えている。
【0053】
第1の保護部材50aは、第1の透過面50bと第1の保護部材50aとの間に少なくとも下方が開放された第1の光透過空間51を形成する位置に、第1の透過面50bから所定距離離れて配されている。本実施形態においては図5Aおよび図5Bに示すように、第1の保護部材50aは、誘電体プリズム50と一体的に形成されている。また、第1の光透過空間51は、下方と共にy軸方向についても開放されている。さらに、本実施形態においては、第1の保護部材50aが、下方に行くに従い第1の光透過空間51を拡げるようなテーパ形状を有するように形成されている。これにより、図5Bに示すように、センサチップC5は、測定光として角度幅Δθを持つファンビーム(集束光)L’を用いる場合に好適なセンサチップとなる。第1の光透過空間51の広がりの程度は、このテーパ形状に依存することになるが、特に制限されるものではなく、第1の透過面50bを保護することができ、ファンビームL’の第1の透過面50bへの入射を阻害しない範囲で適宜定めることができる。
【0054】
以上のように、本発明に係る全反射照明型センサチップC5も、誘電体プリズム50の第1の透過面50bをキズや汚れから保護する第1の保護部材50aであって、光の通過経路を確保する第1の光透過空間51aを形成する程度の簡易的な構造を有する第1の保護部材50aを備えている。したがって、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
さらに、本実施形態においては、第1の保護部材50aにテーパ形状を設けることにより、下方に行くに従い第1の光透過空間51が拡がるように構成されている。したがって、本実施形態に係るセンサチップC5は、角度幅を持つ測定光の入射を阻害する部分が減少し、測定光としてファンビームL’を用いる場合に好適なセンサチップとなる。
(第3の実施形態における設計変更)
第3の実施形態においてはセンサチップC5が、第1の光透過空間51および第1の保護部材50aのみを有する場合について説明したが、センサチップC4のようにさらに同様な形状の第2の保護部材を有するように構成してもよい。このように構成することによりセンサチップC5は、測定光としてファンビームL’を用いてSPR測定を行う場合に好適となる。
【0056】
<第4の実施形態>
まず、本実施形態に係る全反射照明型センサチップC6の構成について説明する。図6Aは、本実施形態に係るセンサチップC6の全体構成を示す概略斜視図であり、図6Bは、センサチップC6の金属膜64aを通るz−x平面における概略断面図である。
【0057】
図6Aおよび図6Bに示すように、センサチップC6は、第1の保護部材60aが一体的に形成され、かつ所定領域に金属膜64a・64bを有する上方が開放した流路13を備える誘電体プリズム60と、この誘電体プリズム60上に流路63の上面を形成するように装着される蓋部材62とを備えている。センサチップC6も、例えばSPFS測定またはSPR測定において使用される。ここでセンサチップC6は、切り欠き形状の空間を形成するような第1の保護部材60aを有することにより、ファンビームL’の誘電体プリズムへの入射を妨げないように構成されている。したがって、センサチップC6は、測定光としてファンビームL’を用いる場合においてセンサチップC1等よりも好適である。
【0058】
誘電体プリズム60は、被検出物質を含む試料等を流すための流路63を備え、かつ第1の保護部材60aが一体的に形成されているものである。また、誘電体プリズム60は、第1の保護部材60aに保護されるy−z平面に平行な第1の透過面60bを有している。ただし、第1の透過面60bは必ずしもy−z平面に平行である必要はない。そして、誘電体プリズム60は、図6Bに示すように、第1の光透過空間61の下方および/または前方からこの第1の光透過空間61に入り第1の透過面60bを通ったファンビームL’によって、誘電体プリズム60と金属膜64aとの界面において全反射条件を満たしながら、この界面を照射可能となるように構成されている。誘電体プリズム60の材料については、第1の実施形態と同様である。
【0059】
第1の保護部材60aは、少なくとも下方および前方が開放されかつ後方において第1の透過面60bに通じる切り欠き形状の第1の光透過空間61を形成するように配されている。或いは、本実施形態においては図6Aおよび図6Bに示すように、1つの第1の光透過空間61は、誘電体プリズム60と一体的に形成されている2つの第1の保護部材60aの対向した面と、第1の透過面60bと、蓋部材62とによって形成されていると言える。対向する2つの第1の保護部材60aの間の距離、すなわちy軸に沿った第1の光透過空間61の長さは、特に制限されるものではなく、第1の透過面60bを保護することができ、ファンビームL’の第1の透過面60bへの入射を阻害しない範囲で適宜定めることができる。また、本実施形態では、第1の光透過空間61が2つ形成されている。1つは測定用の検出部の金属膜64aにファンビームL’を入射するためのものであり、もう1つはリファレンス用の検出部の金属膜64bにファンビームL’を入射するためのものである。ここで、第1の光透過空間61の個数は、特に限定されるものではなく、検出部の数や測定の態様等により適宜選択することができる。
【0060】
流路63と蓋部材62については、第1の実施形態と同様である。
【0061】
以上のように、本発明に係る全反射照明型センサチップC6も、第1の透過面60bをキズや汚れから保護する第1の保護部材60aであって、光の通過経路を確保する第1の光透過空間61を形成する程度の簡易的な構造を有する第1の保護部材60aを備えている。本実施形態における誘電体プリズム60に一体的に形成されている第1の保護部材60aは、一般的な成型法(例えば光成型等)により容易な成型工程で成型可能な構造をしている。さらに、本実施形態においては、センサチップとしての部品点数は、誘電体プリズム10および蓋部材12という必要最小限の2点である。したがって、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
さらに、本実施形態においては、センサチップC6は、誘電体プリズム60に切り欠き形状によって第1の光透過空間61を形成することにより、第1の光透過空間の高さ、すなわちz軸方向に沿った第1の光透過空間61の長さに余裕を持った構造となっている。したがって、本実施形態に係るセンサチップC6は、角度幅を持つ測定光の入射を阻害する部分がより減少し、測定光としてファンビームL’を用いる場合により好適なセンサチップとなる。
【0063】
<第5の実施形態>
まず、本実施形態に係る全反射照明型センサチップC7の構成について説明する。図7Aは、本実施形態に係るセンサチップC7の全体構成を示す概略斜視図であり、図7Bは、センサチップC7の金属膜74aを通るz−x平面における概略断面図である。
【0064】
図7Aおよび図7Bに示すように、センサチップC7は、所定領域に金属膜74a・74bを有する上方が開放した流路73を備える誘電体プリズム70と、この誘電体プリズム70上に流路73の上面を形成するように装着される蓋部材72であって、第1の保護部材70aおよび第2の保護部材70cが一体的に形成されている蓋部材72を備えている。センサチップC7も、例えばSPFS測定またはSPR測定において使用される。ここでセンサチップC7は、第2の透過面70dと第2の保護部材70cを有することにより、誘電体プリズム70と金属膜74a(検出部)との界面における測定光Lの反射光Lrを精度よく検出できるように構成されている。したがって、センサチップC7は、特にSPR測定を行う場合においてセンサチップC6よりも好適である。
【0065】
誘電体プリズム70は、被検出物質を含む試料等を流すための流路73を備えているものである。また、誘電体プリズム70は、第1の保護部材70aに保護されるy−z平面に平行な第1の透過面70bと、第2の保護部材70cに保護されるy−z平面に平行なな第2の透過面70dとを有している。ただし、第1の透過面70bおよび第2の透過面70dは必ずしもy−z平面に平行である必要はない。誘電体プリズム70の材料については、第1の実施形態と同様である。
【0066】
第1の保護部材70aは、少なくとも下方および前方が開放されかつ後方において第1の透過面70bに通じる切り欠き形状の第1の光透過空間71aを形成するように配されている。或いは、本実施形態においては図7Aおよび図7Bに示すように、1つの第1の光透過空間71aは、誘電体プリズム70と一体的に形成されている2つの第1の保護部材70aの対向した面と、第1の透過面70bとによって形成されていると言える。したがって、本実施形態においては第1の光透過空間71aは、下方および前方と共にz軸正方向についても開放されている。本実施形態において、図7Aおよび図7Bに示すように、第1の保護部材70aは、蓋部材72と一体的に形成されている。対向する2つの第1の保護部材70aの間の距離、すなわちy軸に沿った第1の光透過空間71aの長さは、特に制限されるものではなく、第1の透過面70bを保護することができ、ファンビームL’の第1の透過面70bへの入射を阻害しない範囲で適宜定めることができる。また、本実施形態では、第1の光透過空間71aが2つ形成されている。1つは測定用の検出部の金属膜74aにファンビームL’を入射するためのものであり、もう1つはリファレンス用の検出部の金属膜74bにファンビームL’を入射するためのものである。ここで、第1の光透過空間71aの個数は、特に限定されるものではなく、検出部の数や測定の態様等により適宜選択することができる。
【0067】
第2の保護部材70cは、少なくとも下方および後方が開放されかつ前方において第1の透過面70dに通じる切り欠き形状の第2の光透過空間71bを形成するように配されている。或いは、本実施形態においては図7Aおよび図7Bに示すように、1つの第2の光透過空間71bは、誘電体プリズム70と一体的に形成されている2つの第2の保護部材70cの対向した面と、第2の透過面70dとによって形成されていると言える。したがって、本実施形態においては第2の光透過空間71bは、下方および後方と共にz軸正方向についても開放されている。本実施形態において、図7Aおよび図7Bに示すように、第2の保護部材70cは、蓋部材72と一体的に形成されている。対向する2つの第2の保護部材70cの間の距離、すなわちy軸に沿った第2の光透過空間71bの長さは、特に制限されるものではなく、第2の透過面70dを保護することができ、ファンビームの反射光Lr’の第2の透過面70dからの出射を阻害しない範囲で適宜定めることができる。また、本実施形態では、第2の光透過空間71bが2つ形成されている。1つは測定用の検出部の金属膜74aからの反射光を出射させるためのものであり、もう1つはリファレンス用の検出部の金属膜74bからの反射光を出射させるためのものである。ここで、第2の光透過空間71bの個数は、特に限定されるものではなく、検出部の数や測定の態様等により適宜選択することができる。
【0068】
流路73については、第1の実施形態と同様である。
【0069】
蓋部材72は、誘電体プリズム70に装着することにより流路73の上面を形成するためのものである。また、蓋部材72は、液下用の液溜めに接続する試料等を流下するための注入口75a、および廃液用の液溜めに接続する空気等を抜くための空気孔75bを有している。蓋部材72の材料としては、前述した誘電体プリズム70と同様の材料を用いることができる。そして、蓋部材72は、一体的に形成された第1の保護部材70aおよび第2の保護部材70cを有している。また、蓋部材72は、図7Bに示すように、第1の光透過空間71aの下方および/または前方からこの第1の光透過空間71aに入り第1の透過面70bを通ったファンビームL’によって、誘電体プリズム70と金属膜74aとの界面において全反射条件を満たしながら、この界面を照射可能となるように構成されている。さらに、蓋部材72は、図7Bに示すように、第2の透過面70dから第2の光透過空間71bに入りこの第2の光透過空間71bの下方および/または後方を通った反射光Lr’を、外部に配置した光検出器76によって検出可能となるように構成されている。
【0070】
以上のように、本発明に係る全反射照明型センサチップC7も、第1の透過面70bおよび第2の透過面70dをキズや汚れからそれぞれ保護する第1の保護部材70aおよび第2の保護部材70cであって、光の通過経路を確保する第1の光透過空間71aおよび第2の光透過空間71bをそれぞれ形成する程度の簡易的な構造を有する第1の保護部材70aおよび第2の保護部材70cを備えている。したがって、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
さらに、本実施形態においては、センサチップC7は、蓋部材72に切り欠き形状によって第1の光透過空間71aおよび第2の光透過空間71bを形成することにより、光透過空間の高さ、すなわちz軸方向に沿った光透過空間の長さに余裕を持った構造となっている。したがって、本実施形態に係るセンサチップC7は、第4の実施形態と同様に、角度幅を持つ測定光の入射を阻害する部分がより減少し、測定光としてファンビームL’を用いる場合により好適なセンサチップとなる。
【0072】
さらに、本実施形態においては、センサチップC7に第2の透過面70dを設けることにより、反射光Lr’をより検出しやすくなっている。したがって、本実施形態に係るセンサチップC7は、特にSPR測定を行う際に好適なセンサチップとなる。
【0073】
(第5の実施形態の設計変更)
さらに、第1の保護部材および第2の保護部材を有するセンサチップC7は、センサチップC4と同様に、これらの保護部材が同種の保護部材である場合に限られない。
【0074】
(第1から5の実施形態における設計変更)
上記第1から5の実施形態においては、検出部が金属膜を有する構成である場合について説明してきたが、本発明はこの様な場合に限られるものではない。すなわち、例えばエバネッセント励起による蛍光測定を行う場合には、検出部が金属膜を有さない構成であっても本発明に係るセンサチップは、上記第1から5の実施形態と同様に本発明における課題を解決し得る。ただし、表面プラズモンによる増強電場によって信号強度を増強することができるため、検出部が金属膜を有する構成とした方が好ましい。
さらに、保護部材は誘電体プリズムまたは蓋部材と一体的に形成される場合に限られない。すなわち、保護部材は、センサチップを構成する第3の部材と一体的に形成されてもよい。第3の部材としては、例えば蓋部材の上に装着される部材や、蓋部材と誘電体プリズムとの間に装着される中間部材等が挙げられる。
【0075】
「検出装置および検出方法」
図8は、第1の実施形態に係るセンサチップC1を用いた蛍光検出装置の概略図である。なお、本発明に係るセンサチップを用いる検出装置は、これに限られるものではない。
【0076】
図示の通り、この蛍光検出装置は、前述した第1の実施形態例に係る全反射照明型センサチップC1と、蛍光標識Fを励起する波長657nmの測定光Lを発する光源121と、センサチップC1上に供給された蛍光標識Fから発せられる蛍光Lf等を検出する光検出器130と、光検出器130に蛍光等を導光するように配置された2つの平凸レンズ124と、2つの平凸レンズ124の間に配置された、増強電場Ewの散乱光Lsは遮断しかつ蛍光Lfは透過させる光学フィルタ123と、光検出器130が接続されたデータ処理部140からなる。ここで、光源121は、センサチップC1上で増強電場Ewを生じせしめるようにセンサチップC1の下方に配置されており、蛍光標識Fは、1次抗体B1、抗原Aおよび2次抗体B2を介して金属膜14aに固定されている。また、図8中の符号125は、2つの平凸レンズ124と光学フィルタ123とを含み、光検出器130が装着されている光学系保持部である。
【0077】
光源121は、例えばレーザ光源等でもよく、特に制限はないが、検出条件に応じて適宜選択することができる。また、光源121は、前述のように、センサチップC1の誘電体プリズムと金属膜との界面で、測定光Lが全反射すると共に金属膜で表面プラズモン共鳴する共鳴角で入射するように配置されている。ここで、光源121とセンサチップC1との間に必要に応じて導光部材を配置してもよい。なお、測定光Lは、表面プラズモンを誘起するようにP偏向で界面に対して入射させることが好ましい。
【0078】
光検出器130は、試料S中に含まれる蛍光標識Fが発する蛍光Lfを定量的に検出するものであればよく、検出条件に応じて適宜選択することができ、CCD、PD(フォトダイオード)、光電子増倍管、c−MOS等を用いることができる。また、光検出器130は、検出条件に応じて光学フィルタや分光器等の分光手段と組み合わせて用いることができる。ここで、エバネッセント波の散乱光Lsは遮断しかつ蛍光Lfは透過させる光学フィルタ123を、2つの平凸レンズ124の間に配置することにより、ノイズを抑えて効率よく蛍光Lfを検出することができる。すなわち、蛍光Lfを散乱光Lsと分離して測定することができる。そして、光学系保持部125は、2つの平凸レンズ124、光学フィルタ123および光検出器130を備えるものとして、例えば富士フイルム株式会社製 LAS-1000 plus(商品名)等を好適に用いることができる。
【0079】
データ処理部140は、光検出器130によって検出された蛍光信号等のデータを処理する役割を果たす。具体的にはパーソナルコンピュータが挙げられる。なお、上記データ処理と同様の役割を果たせば、特にパーソナルコンピュータに制限されず他の電子計算機等を用いてもよい。
【0080】
以下、上記蛍光検出装置を用いて、被検出物質としての抗原Aを含む試料から、抗原Aを検出する場合における蛍光検出方法について、図9を用いて説明する。
【0081】
今、被検出物質としての抗原Aを含む試料から、抗原Aを検出する場合を考える。
本実施形態による蛍光検出方法は、後述するサンドイッチ法によるアッセイを行うことによって、1次抗体B1、抗原Aおよび2次抗体B2を介して金属膜14a上に蛍光標識Fを固定し、次に光源121より発せられる測定光LをセンサチップC1の誘電体プリズムと金属膜との界面に対して全反射角以上の特定の入射角度で入射して、エバネッセント波を励起し、このエバネッセント波と金属膜14a中の自由電子とを共鳴させることにより金属膜14a中に表面プラズモンを発生させ、この表面プラズモンによる増強電場Ewで蛍光標識Fを励起して蛍光Lfを生じせしめ、この蛍光Lfを光検出器130で検出して、その蛍光量をデータ処理部140でデータ処理するものである。
【0082】
ここで、以上の例では、蛍光検出によって実際に存在が確認されるのは蛍光標識Fであるが、この蛍光標識Fは抗原Aがなければ金属膜14a上に固定されないものと考えて、この蛍光標識Fの存在を確認することにより、間接的に抗原Aの存在を確認している。
【0083】
1次抗体B1は、特に制限なく、検出条件(特に被検出物質)に応じて適宜選択することができる。例えば、抗原がCRP抗原(分子量11万 Da)の場合、この抗原と特異的に結合するモノクロナール抗体(2次抗体B2と少なくともエピトープが異なる)等を用いることができ、既存の技術を用いて金属膜14a上に固定することができる。
【0084】
蛍光標識Fは、測定光Lによって励起されて所定波長の蛍光Lfを発するものであり、特に制限なく、測定条件(被検出物質や励起光の波長)に応じて適宜選択することができる。例えば、測定光Lの波長が650nm程度の場合、Cy5色素(蛍光:680nm、蛍光量子収率:0.3)等を用いることができる。
【0085】
増強電場Ewは、金属膜14a中に発生する表面プラズモンによって形成される電場であって、金属膜14a上の局所的な領域に発生する、通常のエバネッセント波よりも増強された電場である。この増強電場Ewによって、標識から発せられる蛍光等の信号の強度を増幅することができる。表面プラズモンは、エバネッセント波と金属膜14a中の自由電子とを共鳴させることにより金属膜14a中に発生せしめられる。
【0086】
蛍光標識Fを金属膜14aに固定するためのサンドイッチ法によるアッセイは、以下に示す手順により行われる。血液(全血)中に被検出物質である抗原を含むか否について、サンドイッチ法によるアッセイを行う場合について図9を参照して説明する。また、以下の手順において、標識2次抗体BF(2次抗体B2と蛍光標識Fとの結合物質)が流路13の検出部上流側に乾燥状態で配置されたセンサチップC1を用いている。
step1:注入口15aから検査対象である血液(全血)Soを注入する。ここでは、この血液So中に被検出物質である抗原Aが含まれている場合について説明する。図9において血液Soは網掛け領域で示している。
step2:血液Soはメンブレンフィルタ16により濾過され、赤血球、白血球などの大きな分子が残渣となる。引き続き、メンブレンフィルタ16で血球分離された血液S(血漿)が毛細管現象で流路13に染み出す。または反応を早め、検出時間を短縮するために、空気孔にポンプを接続し、血漿Sをポンプの吸引、押し出し操作によって流下させてもよい。図9において血漿Sは斜線領域で示している。
step3:流路13に染み出した血漿Sと、流路13の検出部上流側に乾燥状態で配置された標識2次抗体BFとが混ぜ合わされ、血漿S中の抗原Aが標識2次抗体BFと結合する。
step4:血漿Sは流路13に沿って空気孔15b側へと徐々に流れ、標識2次抗体BFと結合した抗原Aが、測定用のセンサ部18上に固定されている1次抗体B1と結合し、抗原Aが1次抗体B1と標識2次抗体BFで挟み込まれたいわゆるサンドイッチが形成される。
step5:結合しなかった標識2次抗体BFの一部は、リファレンス用の検出部19上に固定されている1次抗体B0と結合する。さらに、1次抗体B0と結合しなかった標識2次抗体BFが検出部上に残っている場合があっても、後続の血漿が洗浄の役割を担い、検出部上に浮遊している標識2次抗体BFを洗い流す。
【0087】
このように、血液を注入口から注入し、抗原が1次抗体および2次抗体と結合するまでのstep1からStep5の後、前述したように上記の蛍光検出装置において、測定用の検出部18からの検出信号を検出することにより、抗原の有無および/またはその濃度を高感度に検出することができる。その後、リファレンス用の検出部19からの検出信号を検出できるようにセンサチップC1を移動させ、同様に、リファレンス用の検出部19からの検出信号を検出する。標識2次抗体BFと結合する1次抗体B0を固定しているリファレンス用の検出部19からの検出信号は、標識2次抗体BFの流下した量、活性などの反応条件を反映した検出信号であると考えられる。したがって、この検出信号をリファレンスとして、測定用の検出部からの検出信号を補正することにより、より精度の高い検出結果を得ることができる。また、リファレンス用の検出部19に既知量の標識物質(蛍光物質、金属微粒子等)をあらかじめ固定しておき、リファレンス用の検出部19からの信号をリファレンスとして測定用の検出部からの検出信号を補正してもよい。
【0088】
以上のように、本実施形態に係る蛍光検出装置および蛍光検出方法では、全反射照明型センサチップとして、本発明に係る全反射照明型センサチップを用いている。したがって、蛍光法等において、測定作業でセンサチップを扱っている際、誘電体プリズムにキズや汚れが付着するという問題が起こらず、かつ低コストで測定を行うことが可能となる。
【0089】
(検出装置および検出方法の設計変更)
上記では蛍光法を用いた検出装置および検出方法について説明したが、本発明に係るセンサチップは他に図10に示すようにSPR測定装置に用いることも可能である。このような場合には、第2および第5の実施形態に示すような、第2の透過面と第2の保護部材を有するようなセンサチップを用いることが好ましい。図10では、例として第2の実施形態のセンサチップC4を用いた場合について示している。SPR測定装置200は、センサチップC4と、金属膜44aに表面プラズモンを励起しうる波長の測定光Lを、誘電体プリズム40と金属膜44a(検出部)との界面におけて全反射条件を満たすように発する光源221と、反射光Lrを検出するように配された光検出器222とを備える。そして、このSPR測定装置200を用いてSPR測定を行うことができる。SPR測定方法の詳細については、例えば特許文献1等に記載されている。
以上により、第2の透過面についてキズや汚れの付着を防止することができるため、反射光Lrを精度よく検出でき、ノンラベルかつリアルタイムで行える定量性の高いSPR測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1A】第1の実施形態に係るセンサチップを示す概略斜視図
【図1B】第1の実施形態に係るセンサチップを示す概略断面図
【図2A】第1の実施形態の設計変更に係るセンサチップを示す概略斜視図
【図2B】第1の実施形態の設計変更に係るセンサチップを示す概略断面図
【図3A】第1の実施形態の設計変更に係るセンサチップを示す概略斜視図
【図3B】第1の実施形態の設計変更に係るセンサチップを示す概略断面図
【図4A】第2の実施形態に係るセンサチップを示す概略斜視図
【図4B】第2の実施形態に係るセンサチップを示す概略断面図
【図5A】第3の実施形態に係るセンサチップを示す概略斜視図
【図5B】第3の実施形態に係るセンサチップを示す概略断面図
【図6A】第4の実施形態に係るセンサチップを示す概略斜視図
【図6B】第4の実施形態に係るセンサチップを示す概略断面図
【図7A】第5の実施形態に係るセンサチップを示す概略斜視図
【図7B】第5の実施形態に係るセンサチップを示す概略断面図
【図8】本発明に係るセンサチップを用いた蛍光検出装置を示す概略断面図
【図9】サンドイッチ法によるアッセイ手順を示す概略断面図
【図10】本発明に係るセンサチップを用いたSPR検出装置を示す概略断面図
【符号の説明】
【0091】
10、70 誘電体プリズム
10a、70a 第1の保護部材
10b、70b 第1の透過面
11、71 第1の光透過空間
12、72 蓋部材
13、73 流路
14a、74a 測定用の金属膜
14b、74b リファレンス用の金属膜
15a、75a 注入口
15b、75b 空気孔
40c、70c 第2の保護部材
40d、70d 第2の透過面
41b、71b 第2の光透過空間
46、76、222 光検出器
121、221 光源
123 光学フィルタ
124 平凸レンズ
125 光学系保持部
130 光検出器
140 データ処理部
C1〜C7 全反射照明型センサチップ
Ew 増強電場
F 蛍光標識
L 測定光
L’ ファンビーム
Lf 蛍光
Lr 反射光
Ls 散乱光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体プリズムの一面に形成された検出部に被検出物質を含む試料を供給し、前記誘電体プリズムと前記検出部との界面に対して、該界面で全反射条件を満たすように、前記誘電体プリズムの第1の透過面を通して測定光を照射して、該測定光の照射により前記検出部に発生したエバネッセント波を利用して前記被検出物質を検出する検出方法に用いられる全反射照明型センサチップにおいて、
前記第1の透過面を保護する第1の保護部材を備え、
該第1の保護部材が、前記第1の透過面と該第1の保護部材との間に少なくとも下方が開放された第1の光透過空間を形成する位置に、前記第1の透過面から所定距離離れて配されたものであり、
前記第1の光透過空間の下方から該第1の光透過空間に入り前記第1の透過面を通った前記測定光によって、前記界面を照射可能となるように構成されていることを特徴とする全反射照明型センサチップ。
【請求項2】
前記第1の保護部材が、下方に行くに従い前記第1の光透過空間を拡げるようなテーパ形状を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項3】
前記第1の保護部材が、前記誘電体プリズムと一体的に形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項4】
前記誘電体プリズムの上方に装着される蓋部材を備え、
前記第1の保護部材が、該蓋部材と一体的に形成されたものであることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項5】
前記測定光の前記界面による反射光が出射する前記誘電体プリズムの第2の透過面を保護する第2の保護部材を備えることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項6】
前記第2の保護部材が、前記第2の透過面と該第2の保護部材との間に少なくとも下方が開放された第2の光透過空間を形成する位置に、前記第2の透過面から所定距離離れて配されたものであり、
前記第2の透過面から前記第2の光透過空間に入り該光透過空間の下方を通った前記反射光を、外部に配置した光検出器によって検出可能となるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項7】
前記第2の保護部材が、下方に行くに従い前記第2の光透過空間を拡げるようなテーパ形状を有するものであることを特徴とする請求項5または6に記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項8】
前記第2の保護部材が、前記誘電体プリズムと一体的に形成されたものであることを特徴とする請求項5から7いずれかに記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項9】
前記誘電体プリズムの上方に装着される蓋部材を備え、
前記第2の保護部材が、該蓋部材と一体的に形成されたものであることを特徴とする請求項5から7いずれかに記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項10】
前記検出部が、前記誘電体プリズムに隣接する金属膜を有するものであり、
前記エバネッセント波に起因して前記金属膜中に発生する表面プラズモンの増強電場を利用する前記検出方法に用いられるものであることを特徴とする請求項1から9いずれかに記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項11】
誘電体プリズムの一面に形成された検出部に被検出物質を含む試料を供給し、前記誘電体プリズムと前記検出部との界面に対して、該界面で全反射条件を満たすように、前記誘電体プリズムの一面である第1の透過面を通して測定光を照射して、該測定光の照射により前記検出部に発生したエバネッセント波を利用して前記被検出物質を検出する検出方法に用いられる全反射照明型センサチップにおいて、
前記第1の透過面を保護する第1の保護部材を備え、
該第1の保護部材が、少なくとも下方および前方が開放されかつ後方において前記第1の透過面に通じる切り欠き形状の第1の光透過空間を形成するように配されたものであり、
前記第1の光透過空間および前記第1の透過面を通った前記測定光によって、前記界面を照射可能となるように構成されていることを特徴とする全反射照明型センサチップ。
【請求項12】
前記第1の保護部材が、前記誘電体プリズムと一体的に形成されたものであることを特徴とする請求項11に記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項13】
前記誘電体プリズムの上方に装着される蓋部材を備え、
前記第1の保護部材が、該蓋部材と一体的に形成されたものであることを特徴とする請求項11に記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項14】
前記測定光の前記界面による反射光が出射する前記誘電体プリズムの第2の透過面を保護する第2の保護部材を備えることを特徴とする請求項11から13いずれかに記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項15】
前記第2の保護部材が、少なくとも下方および後方が開放されかつ前方において前記第2の透過面に通じる切り欠き形状の第2の光透過空間を形成するように配されたものであり、
前記第2の透過面および前記第2の光透過空間を通った前記反射光を、外部に配置した光検出器によって検出可能となるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項16】
前記第2の保護部材が、前記誘電体プリズムと一体的に形成されたものであることを特徴とする請求項14または15に記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項17】
前記誘電体プリズムの上方に装着される蓋部材を備え、
前記第2の保護部材が、該蓋部材と一体的に形成されたものであることを特徴とする請求項14または15に記載の全反射照明型センサチップ。
【請求項18】
前記検出部が、前記誘電体プリズムに隣接する金属膜を有するものであり、
前記エバネッセント波に起因して前記金属膜中に発生する表面プラズモンの増強電場を利用する前記検出方法に用いられるものであることを特徴とする請求項11から17いずれかに記載の全反射照明型センサチップ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−127624(P2010−127624A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299101(P2008−299101)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】