説明

共同受信システム用増幅器

【課題】 共同受信システムの中継増幅器の特性を効率的に調整する。
【解決手段】 増幅段14、18には下り共同受信信号が供給され、これらを増幅して出力する。増幅段14、18に関連してイコライザ8、減衰器10及びゲインコントロール回路16が設けられている。1分岐器12、34からの分岐信号がレベルチェッカに供給され、レベルが測定される。レベルチェッカでの測定結果が制御部50に供給され、この測定結果が予め定めた値にほぼなるように、イコライザ8、減衰器10及びゲインコントロール回路16が制御部50によって制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共同受信システムにおいて使用される増幅器、例えば中継増幅器のような増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
共同受信システムでは、共同受信信号を同軸ケーブルなどの伝送線路を介して伝送する。共同受信信号としては、共通のテレビ受信用アンテナで受信したUHF帯やVHF帯のテレビジョン放送信号や、共通の衛星放送受信用アンテナで受信して周波数変換した衛星放送中間周波信号及び衛星通信中間周波信号がある。この共同受信信号を同軸ケーブルを介して伝送すると減衰が生じるので、減衰を補償するため中継増幅器によって増幅する。この減衰量は、どの周波数に対しても一律に生じず、共同受信信号の周波数によって異なる。従って、中継増幅器は、この周波数によって異なる減衰量を補償するようにチルト特性を持っている。中継増幅器は、所定のチルト特性を持つように、中継増幅器の入力モニタ端子や出力モニタ端子にレベルチェッカやスペクトルアナライザのような測定器を接続し、測定値が所定の値になるように調整することが行われている。
【0003】
この調整を容易にするために、特許文献1に開示されている技術が提案されている。この技術では、中継増幅器と測定器との間にアダプタを設けてある。中継増幅器からのモニタ信号が所定のチルト特性を有しているなら、測定器に供給されるモニタ信号のレベルがいずれの周波数においても一定値になるように、アダプタによってモニタ信号の周波数特性を調整して測定器に供給する。測定器で測定されたモニタ信号のレベルがいずれの周波数においても上記一定値になるように、中継増幅器のチルト特性を調整する。
【0004】
【特許文献1】実開昭59−159070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された技術では、中継増幅器の特性の調整は、作業員が手動で行わなければならず、効率的に増幅器の特性の調整を行うことはできなかった。
【0006】
本発明は、効率的に特性を調整することができる共同受信システム用増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の共同受信システム用増幅器は、増幅手段を有している。この増幅手段には、複数の異なるチャンネルの高周波信号からなる共同受信信号が供給され、増幅手段は、共同受信信号を増幅して出力する。共同受信信号としては、ヘッドエンド側から各端末に伝送される下り信号や、各端末側からヘッドエンド側に伝送される上り信号がある。 この増幅手段に特性調整手段が設けられ、前記共同受信信号の特性を、制御信号に応じて調整する。特性調整手段としては、イコライザ若しくはBON、減衰器、利得調整器等の適切な組合せが使用される。この特性調整手段の出力信号の一部を抽出手段が抽出し、抽出した抽出信号を測定手段に供給する。測定手段は、前記異なる周波数の高周波信号のレベルを測定するもので、例えばレベルチェッカやスペクトルアナライザを使用することができる。測定手段での測定結果が制御手段に供給され、制御手段は、この測定結果が予め定めた値にほぼなるように、前記制御信号を前記特性調整手段に供給する。
【0008】
このように構成された共同受信用増幅器によれば、測定手段での測定結果が制御手段に供給され、制御手段が、抽出信号の周波数特性が所定の特性となるように、特性調整手段の特性を自動的に調整する。特性調整手段の調整が自動的に行われるので、作業員は、測定手段に抽出信号が供給され、測定手段での測定結果が制御手段に供給されるように、測定手段と抽出手段との接続及び測定手段と制御手段との接続を、それぞれ行うだけでよいので、効率的に特性調整を行える。
【0009】
前記増幅手段、前記特性調整手段及び前記抽出手段を、異なる系統の共同受信信号ごとに設けることができる。例えば前記増幅手段、前記特性調整手段及び前記抽出手段を下り信号用と上り信号用とにそれぞれ設けることもできる。なお、下り信号としては、地上波テレビジョン放送信号を伝送するものと、衛星放送や衛星通信信号を周波数変換した衛星放送及び衛星通信中間周波信号を伝送するものとを、別系統とすることもできる。1台の前記制御手段が、前記各系統の前記特性調整手段用の前記制御信号を生成する。
【0010】
このように構成すると、複数系統の特性調整手段を1台の制御手段によって調整することができるので、いずれの系統の特性調整手段を調整する場合にも、測定手段と制御手段との接続を維持したままとすることができ、異なる系統の特性調整手段を調整するごとに測定手段と制御手段との接続しなおし作業が不要になり、調整作業を更に効率的に行える。
【0011】
これに加えて、前記制御手段は、前記各抽出手段のうちいずれかを選択して、その抽出信号を前記測定手段に供給するように構成することもできる。このように構成すると、いずれの系統の特性調整手段を調整する際にも、各抽出手段と測定手段との接続も維持したままにすることができ、異なる系統の特性調整手段を調整するごとに抽出手段と測定手段とを接続しなおし作業が不要になり、更に調整作業を効率的に行える。
【0012】
前記増幅手段、特性調整手段、抽出手段及び制御手段は、1つの筐体内に収容することができる。このように構成すると、共同受信用増幅器に測定器を接続するだけで、特性調整手段の調整を行うことができ、調整作業に伴う接続作業を簡略化することができる。
【0013】
或いは、前記増幅手段、特性調整手段及び抽出手段を1つの筐体内に収容し、前記制御手段をパーソナルコンピュータによって構成することもできる。このように構成すると、筐体内には制御手段を設ける必要がなく、共同受信用増幅器のコストを低減することができる。特に、共同受信システムでは、多数の中継増幅器が使用されているので、これら中継増幅器の調整が非常に効率的に行える。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、共同受信用増幅器の特性の調整を自動的に行えるので、調整作業が効率的に行え、多数の共同受信用増幅器の特性調整を行うような場合に最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の1実施形態の共同受信用増幅器は、棟内に設けられ、例えば衛星放送及び衛星通信中間周波信号とCATV信号とを伝送する棟内共同受信システムにおいて使用される棟内アンプである中継増幅器1である。この中継増幅器1は、図1に示すように、端子2を有し、この端子2には、図示しない同軸ケーブルを介して共同受信用信号、例えば下り共同受信信号が供給されている。この下り共同受信用信号は、2系統あり、第1の系統は、CATV信号であるUHF帯及びVHF帯の複数チャンネルのテレビジョン放送信号である。なお、UHF帯のみまたはVHF帯のみの場合もある。第2の系統は、棟に設けた衛星放送及び衛星通信受信用アンテナで受信され、周波数変換された複数チャンネルの衛星放送及び衛星通信中間周波信号である。なお、衛星放送中間周波信号のみまたは衛星通信中間周波信号のみの場合もある。
【0016】
端子2に供給された下り共同受信信号は、混合分波器4を介して混合分波器6に供給される。混合分波器6から出力された第1の系統の下り信号は、特性調整手段、例えばイコライザ8及び減衰器10を介して抽出手段、例えば1分岐器12に供給される。1分岐器12の出力信号は、増幅手段、例えば増幅段14に供給され、ここで増幅された後、特性調整手段、例えばゲインコントロール回路16を介して増幅段18に供給される。増幅段14、18は、第1の系統の下り信号を増幅可能なものである。増幅段18の出力信号は、混合分波器20を介して混合分波器22に供給されている。
【0017】
混合分波器4から出力された第2の系統の下り信号は、特性調整手段、例えば減衰器24、抽出手段、例えば1分岐器26を介して増幅段28に供給される。増幅段28の出力信号は、特性調整手段、例えばゲインコントロール回路30を介して増幅段32に供給される。増幅段28、32は、第2の系統の下り信号を増幅可能なものである。増幅段32の出力信号は、混合分波器22によって第1の系統の下り信号と混合され、抽出手段、例えば1分岐器34を介して端子36に供給される。端子36は、同軸ケーブルを介して端末側の各端末装置に接続されている。
【0018】
端子36には、各端末装置から伝送された共同受信用信号、例えば上り共同受信信号が供給されている。この上り共同受信信号は、1分岐器34、混合分波器22、20を介して特性調整手段、例えばイコライザ38、減衰器40を介して抽出手段、例えば1分岐器42に供給される。1分岐器42の出力信号は、特性調整手段、例えばゲインコントロール回路44及び増幅手段、例えば増幅段46を介して抽出手段、例えば1分岐器48に供給されている。増幅段46は、上り共同受信信号を増幅可能なものである。1分岐器48の出力信号は、混合分波器6、4を介して端子2に供給され、端子2に接続されている同軸ケーブルを介してCATV施設のセンター側に伝送される。
【0019】
このように、この中継増幅器1では、第1の系統、第2の系統の下り共同受信信号、上り共同受信信号それぞれに対応して、増幅手段と、特性調整手段と、抽出手段とが設けられている。
【0020】
イコライザ8、38は、供給された制御電圧の値に応じて対応する共同受信用信号に与えるチルト特性の傾斜を予め定められた調整可能範囲内で変更するものである。減衰器10、24、40は、供給された制御電圧の値に応じて入力された信号を予め定められた調整可能範囲内で減衰させるものである。ゲインコントロール回路16、30、44は、供給された電圧に応じて対応する増幅段の利得を予め定められた許容範囲内で調整するものである。
【0021】
これらイコライザ8、38、減衰器10、24、40及びゲインコントロール回路16、30、44は、1台の制御手段、制御部50によって制御される。制御部50は、図2に示すように、マイクロコンピュータ50aを含んでいる。さらにイコライザ8を制御するためのD/Aコンバータ50b、D/Aコンバータ50bの出力をイコライザ8の制御電圧に対応する値に調整するための増幅段50cを有している。図示していないが、制御部50は、同様に、イコライザ38、減衰器10、24、40及びゲインコントロール回路16、30、44に対応してD/Aコンバータ及び増幅段を有している。
【0022】
なお、ゲインコントロール回路16、30、44は、マイクロコンピュータ50aからの信号に基づいて、その出力信号をオフにする回路を内蔵し、またゲインを1よりも大きくするようにも1よりも小さくするようにもマイクロコンピュータ50aによって調整される。イコライザ8、38は、周波数が高くなるほどレベルが小さくなる第1チルト特性と、周波数が高くなるほどレベルが大きくなる第2チルト特性を持ち、マイクロコンピュータ50aからの信号に基づいて選択されたチルト特性になる。減衰器10、24、40は、入力された信号を減衰させずに通過させるスルーと、入力された信号を減衰させる減衰とのうち、マイクロコンピュータ50aからの信号に基づいて選択された状態となる。
【0023】
各1分岐器12、26、34、42、48の分岐出力は、選択手段、例えば切換スイッチ52の各接点52a乃至52eに供給されている。切換スイッチ52の接触子52fは、モニタ端子54に接続されている。接触子52fは、制御部50からの切換信号に応じて各接点52a乃至52eのうち選択された1つに接触する。
【0024】
モニタ端子54は、図3に示すように、測定手段、例えばレベルチェッカ56の信号入力端子に接続されている。レベルチェッカ56は、入力された信号がいずれのチャンネルであるかを検出し、かつそのレベルを検出するものである。この測定結果は、中継増幅器1のレベルチェッカ接続端子58を介して制御部50に供給される。また、このレベルチェッカ接続端子58を介して制御部50から供給される信号に基づいてレベルチェッカ56は、どのような周波数帯の信号のレベルをチェックするか設定される。
【0025】
後述するようにイコライザ8、38、減衰器10、24、40及びゲインコントロール回路16、30、44の調整開始の指示を制御部50に与えるためのスイッチ60が制御部50に設けられ、さらに、その調整結果等を表示するための例えばLEDからなる表示部62も制御部50に設けられている。
【0026】
このように構成された中継増幅器1は、1つの筐体(図示せず)内に収容されている。
【0027】
この中継増幅器1とレベルチェッカ56とを図3に示すように接続した状態で、スイッチ60が操作されると、制御部50は、図4乃至図8に示すように第1の下り系統に対して処理を行う。なお、他の系統についても同様な処理が行われる。
【0028】
図4に示すように、制御部50はまず初期化を行う(ステップS2)。初期化の詳細については後述する。初期化に続いて、イコライザ8及び減衰器10の調整を行う(ステップS4)。この処理についても後述する。次に、ゲインコントロール回路16の調整を行う(ステップS10)。この処理についても後述する。そして、イコライザ8、減衰器10及びゲインコントロール回路16の調整を2回行ったか判断する(ステップS12)。その判断の答えがノーの場合、ステップS4から再び実行する。ステップS12の判断の答えがイエスの場合、表示部62にゲインコントロール回路調整OKであることを表す表示を行い(ステップS14)、処理を終了する。
【0029】
ステップS2の初期化処理では、図5に示すように、まずゲインコントロール回路16を出力オフに設定し、かつゲインが1よりも小さくなるようにかつ最大減衰量に設定する(ステップS20)。次に、減衰器10を最大減衰量に設定し(ステップS22)、イコライザ8を第1チルト特性及び第2チルト特性をその傾斜が最大となるように設定し(ステップS24)、初期化処理を終了する。
【0030】
ステップS4のイコライザ及び減衰器調整処理では、図6に示すように、まず切換スイッチ52を操作して、接触子52fを接点52bに接続し、分岐器12の分岐出力(減衰器10の出力)がレベルチェッカ56に供給されるようにする(ステップS26)。次に、レベルチェッカ56を第1の系統の下り信号のレベルチェックを行える状態に設定する(ステップS28)。これによって、レベルチェッカ56は、1分岐器12から分岐された第1の下り系統のCATV信号にどのようなチャンネルの信号が含まれているかと、それら各チャンネルの測定受信レベルとを、端子58を介して制御部50に送信する。制御部50は、これら送信されてきたチャンネル名とその受信レベルとを記憶する(ステップS30)。
【0031】
次に、記憶された各チャンネルの受信レベルのうち予め定められた規定値を超えているものがあるか判断する(ステップS32)。この判断の答えがイエスの場合には、入力レベルエラーを表す表示を表示部62に行い、処理を終了する。
【0032】
次に、最高チャンネル周波数のレベルをレベルチェッカ56から読み出し、Aとして記憶し(ステップS34)、最低チャンネル周波数のレベルをレベルチェッカ56から読み出し、Bとして記憶する(ステップS36)。そして、AがBより大きいか判断する(ステップS38)。
【0033】
この判断の答えがイエスの場合、第1チルト特性であるので、予め制御部50に記憶されている所望の第1チルト特性を得るために必要な最高チャンネル周波数での規定受信レベルの値を読み出してCとして記憶し(ステップS40)、次に制御部50に記憶されている所望の第1チルト特性を得るために必要な最低チャンネル周波数での規定受信レベルの値を読み出して、Dとして記憶する(ステップS42)。
【0034】
ステップS38の判断の答えがノーの場合、第2チルト特性であるので、予め制御部50に記憶されている所望の第2チルト特性を得るために必要な最高チャンネル周波数での規定受信レベルの値を読み出してCとして記憶し(ステップS44)、次に制御部50に記憶されている所望の第2チルト特性を得るために必要な最低チャンネル周波数での規定受信レベルの値を読み出して、Dとして記憶する(ステップS46)。
【0035】
次に、レベルチェッカ56での測定データのうち最高チャンネル周波数での実際の受信レベルをAとして記憶し(ステップS48)、同じく最低チャンネル周波数での実際の受信レベルをBとして記憶する(ステップS50)。最高チャンネル周波数での規定受信レベルと実際の受信レベルとの差(C−A)と、最低チャンネル周波数での規定受信レベルと実際の受信レベルとの差(D−B)とを求め、それらの差の絶対値(|(C−A)−(D−B)|)を求め、Eとして記憶する(ステップS52)。次に、図7に示すように、Eが予め記憶されている規定値以上であるか、即ち所定のチルト特性を示しているか判断する(ステップS54)。
【0036】
この判断の答えがノーの場合、イコライザ8はまだ調整可能であるか判断し(ステップS56)、その判断の答えがイエスの場合、イコライザ8に予め定めた値の電圧を供給し、予め定めた量だけチルト特性の傾きの調整を行い(ステップS58)、ステップS48から再び実行する。ステップS58の判断の答えがノーの場合には、調整不可を表す表示を表示部62に行い、処理を終了する。ステップS54の判断の答えがイエスの場合、イコライザ調整を終了し、減衰器10の調整に移る。
【0037】
減衰器10の処理では、まず最高チャンネル周波数での実際の受信レベルをaとして記憶する(ステップS60)。次に、この受信レベルaと最高周波数チャンネルにおける規定受信レベルCとの差の絶対値を求め、これをbとして記憶する(ステップS62)。bが予め定められた規定値よりも大きいか判断する(ステップS64)。この判断の答えがノーの場合、減衰器10の調整が不要であるので、処理を終了する。ステップS64の判断の答えがイエスの場合、減衰器10が調整可能であるか判断し(ステップS66)、この判断の答えがイエスの場合、減衰器10の減衰量を予め定めた量だけ増加させ、即ち減衰器10の調整を行い(ステップS68)、再びステップS60の処理を実行する。ステップS66の判断の答えがノーの場合、調整不可を表す表示を表示部62に行い、処理を終了する。
【0038】
ステップS10のゲインコントロール処理は、図8に示すように、1分岐器34の分岐出力がレベルチェッカ56に供給されるように、切換スイッチ52を操作して接触子52fを接点52aに切換える(ステップS70)。次にゲインコントロール回路16の内部回路を出力ONに切換える(ステップS72)。これによって、1分岐器34を介してゲインコントロール回路16の出力がレベルチェッカ56に供給され、レベルチェッカ56から各チャンネルでの受信レベルが制御部50に供給される。
【0039】
そして、予め定められている最高チャンネル周波数での受信規定レベルをJとして記憶する(ステップS74)。次に、最高チャンネル周波数での実際の受信レベルをIとして記憶する(ステップS76)。最高チャンネル周波数での規定レベルJと実際の受信レベルIとの差の絶対値(|I−J|)を求め、これをKとして記憶する(ステップS78)。このKが最高チャンネル周波数での受信レベルでの許容差を表す規定値よりも小さいか判断する(ステップS80)。この判断の結果がイエスであれば、ゲインコントロールの調整不要であるので、処理を終了する。ステップS70の判断の答えがノーであると、ゲインコントロールの調整が可能か判断し(ステップS82)、この判断の答えがイエスであると、予め定めた量だけゲインを少なくするようにゲインコントロールを行い(ステップS84)、ステップS64から再び実行する。ステップS72の判断の答えがノーの場合、調整不可との表示を表示部62に行い、処理を終了する。
【0040】
このように本実施形態の中継増幅器1では、中継増幅器1をレベルチェッカに接続し、スイッチ60を操作すると、所望のチルト特性が第1の下り系統のCATV信号に与えるように自動的にイコライザ8、減衰器10及びゲインコントロール回路16が調整される。同様に、第2の下り系統の衛星放送及び衛星通信中間周波信号に所望のレベル特性を与えるように、減衰器24、ゲインコントロール回路30が自動的に調整される。この場合、イコライザが設けられていないので、図6に示すイコライザ及び減衰器処理では、ステップS26、S28、S30、S32、S34の処理が行われると、直ちにステップS60の処理が行われる。また、同様に上りの共同受信用信号に所望のチルト特性を与えるように、イコライザ38、減衰器40、ゲインコントロール回路44が自動的に調整される。
【0041】
上記の実施形態では、測定手段としてレベルチェッカ56を使用したが、これに限ったものではなく、例えばスペクトルアナライザを使用することもできる。また、上記の実施形態では中継増幅器1の全ての要素を筐体内に収容したが、例えば制御部50に相当する部分を筐体から除去し、制御部50に代えてパーソナルコンピュータ、特に携帯型のパーソナルコンピュータを使用することもできる。或いは、制御部50の機能と測定器の機能を、セットトップボックスに持たせることもできる。また、上記の実施形態では、下り2系統、上り1系統の共同受信用信号が供給される中継増幅器に本発明を実施したが、少なくとも1系統の下りの共同受信用信号が供給される中継増幅器であれば、本発明を実施することができる。上記の実施形態では、イコライザを使用したが、これに限ったものではなく、例えばBON(疑似線路回路網)を使用することもできる。この場合、特性の異なる複数のBONを設置し、これらを順に切換える。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の1実施形態の中継増幅器のブロック図である。
【図2】図1の中継増幅器における制御部とイコライザとの関係を示すブロック図である。
【図3】図1の中継増幅器とレベルチェッカとの接続状態を示すブロック図である。
【図4】図1の中継増幅器における調整処理のメインフローチャートである。
【図5】図4のメインフローチャートにおける初期化処理の詳細フローチャートである。
【図6】図4のメインフローチャートにおけるイコライザ及び減衰器調整処理の一部の詳細フローチャートである。
【図7】図4のメインフローチャートにおけるイコライザ及び減衰器調整処理の残りの詳細フローチャートである。
【図8】図4のメインフローチャートにおけるゲインコントロール処理の詳細フローチャートのである。
【符号の説明】
【0043】
1 中継増幅器
8 38 イコライザ(特性調整手段)
10 24 40 減衰器(特性調整手段)
12 26 34 42 48 1分岐器(抽出手段)
14 18 28 32 46 増幅段(増幅手段)
16 30 44 ゲインコントロール回路(特性調整手段)
50 制御部(制御手段)
56 レベルチェッカ(測定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なるチャンネルの高周波信号からなる共同受信信号が供給され、これらを増幅して出力する増幅手段と、
この増幅手段に設けられ、前記共同受信信号の特性を、制御信号に応じて調整する特性調整手段と、
この特性調整手段の出力信号の一部を抽出し、その抽出信号を前記異なる周波数の高周波信号のレベルを測定する測定手段に、供給する抽出手段と、
前記測定手段での測定結果が供給され、この測定結果が予め定めた値にほぼなるように前記制御信号を前記特性調整手段に供給する制御手段とを、
具備する共同受信システム用増幅器。
【請求項2】
請求項1記載の共同受信システム用増幅器において、前記増幅手段、前記特性調整手段及び前記抽出手段が、異なる系統の共同受信信号ごとに設けられ、1台の前記制御手段が、前記各系統の前記特性調整手段用の前記制御信号を生成する共同受信システム用増幅器。
【請求項3】
請求項2記載の共同受信システム用増幅器において、前記制御手段は、前記各抽出手段のうちいずれかを選択して、その抽出信号を前記測定手段に供給する共同受信システム用増幅器。
【請求項4】
請求項1または2記載の共同受信システム用増幅器において、前記増幅手段、特性調整手段、抽出手段及び制御手段が、1つの筐体内に収容されている共同受信システム用増幅器。
【請求項5】
請求項1または2記載の共同受信システム用増幅器において、前記増幅手段、特性調整手段及び抽出手段が、1つの筐体内に収容され、前記制御手段がパーソナルコンピュータによって構成されている共同受信システム用増幅器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−201584(P2007−201584A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14791(P2006−14791)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】