説明

共同受信システム用診断システム

【課題】 新たな共同受信信号を共同受信システムに伝送するに際して、共同受信システムの改修が必要であるか否かを早期に診断する。
【解決手段】 入力端子6と複数の端末端子10a乃至10dとを有する共同受信システム2において新たに伝送しようとする共同受信信号と同じ周波数帯域で既知のレベルのテスト信号を、可搬型の送信機20が、入力端子6から共同受信システム2に供給する。複数の端末端子10a乃至10dに接続された可搬型の受信機22が、共同受信システム2を伝送されたテスト信号を受信し、受信したテスト信号のレベルに基づいて端末端子10a乃至10dにおける伝送損失を識別し、表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭または集合住宅において使用する共同受信システムが広帯域化されたものであるか否かを診断する装置に関し、特に伝送損失に基づいて診断する診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているような光共同受信施設がある。この光共同受信施設では、光送信器を持つ送信局と加入者宅に設けた光受信器との間を光ファイバで結び、光受信器と加入者宅の複数の受像機を電気ケーブルで接続してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−191298号公報
【特許文献2】特開平2005−207798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような光共同受信施設が、今まで使用されていた電気ケーブルを用いた共同受信施設に置き換えて使用されることがある。この新たな光共同受信施設では、今まで伝送されていなかった共同受信信号が新たに伝送されることがある。例えば衛星放送中間周波信号や衛星通信中間周波信号が新たに伝送され、共同受信施設が広帯域化されることがある。この広帯域化に対応して、加入者宅内において複数の受像機に共同受信信号を伝送する共同受信システムが、既に広帯域化されたものであるのか、広帯域化するための改修工事が必要であるのか調査する必要があった。例えば特許文献2には、光伝送路において広帯域化が可能か否か診断する技術が開示されているが、電気ケーブルを使用した家庭等の共同受信システムにおいて広帯域化が可能か診断できるものではなかった。
【0005】
本発明は、電気ケーブルを使用した家庭等の共同受信システムにおいて、広帯域化が行われているか否かを診断する診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の共同受信システム用診断システムは、いずれも可搬型の送信機と受信機とを具備している。これらは、入力端子と複数の端末端子とを有する共同受信システムにおいて使用される。この共同受信システムは、電気ケーブル、例えば同軸ケーブルを用いたものである。送信機は、共同受信システムにおいて新たに伝送しようとする共同受信信号と同じ周波数帯域で既知のレベルのテスト信号を、前記入力端子から前記共同受信システムに供給可能である。新たに伝送しようとする共同受信信号としては、例えば共同受信システムが新たに光共同受信施設に接続されることになり、今まで伝送されていた共同受信信号とは異なる周波数のものである。具体的には今まで伝送されていなかったGHz帯の衛星放送中間周波信号や衛星通信中間周波信号が該当する。テスト信号としては、例えば無変調のものを使用することができ、そのレベルを既知のレベルとするために、送信機は、例えば自動利得制御手段を備えたものとすることができる。テスト信号としては、新たに伝送しようとする共同受信信号が複数ある場合には、これらにそれぞれ対応する異なる周波数のものを複数使用することもできるし、新たに伝送しようとする複数の共同受信信号のうち特定の1周波数のもの、例えば最も周波数が高いものを使用することもできる。受信機は、前記複数の端末端子それぞれに接続可能に構成されている。受信機は、前記共同受信システムを伝送された前記テスト信号を、各端末端子に接続されて受信し、受信した前記テスト信号のレベルに基づいて前記各端末端子における伝送損失を識別し、表示する。伝送損失の識別法としては、テスト信号のレベルをレベル検出手段によって検出し、その検出されたレベルを予め定めた基準信号と比較手段によって比較することによって行うこともできる。或いは、利得調整手段と、この利得調整手段を制御する制御手段と、受信したテスト信号のレベルを検出し、そのレベル検出信号を制御手段に供給するレベル検出手段とを備え、レベル検出手段からのレベル検出信号を制御手段に供給し、利得調整手段でのレベルが予め定めた値となるように制御手段が利得制御信号を利得調整手段に供給するように構成し、この利得制御信号を予め定めた基準信号と比較手段において比較するように構成することもできる。表示は、予め定めた1つの値以上の伝送損失があることを示す1種類の表示とすることもできるし、少なくとも2つの異なる値の伝送損失を定めておき、これら2つの伝送損失によって区画される複数の区間のいずれの区間に伝送損失が該当するか表示することもできる。表示は、表示手段を今までと異なる表示状態とさせることによって行うこともできるし、文字、図形またはこれらの双方を用いた表示とすることもできる。
【0007】
このように構成された共同受信システム用診断システムでは、共同受信システムの入力端子に送信機を接続し、共同受信システムの各端末端子に受信機を順に接続し、各端末端子でテスト信号を受信する。その受信レベルが検出されると、テスト信号のレベルは既知であるので、共同受信システムにおける伝送損失が受信機側で判明する。これによって、新たに伝送しようとしている共同受信信号を、共同受信システムの改修を行わなくても伝送可能であるか、改修が必要であるか診断できる。
【0008】
前記受信機は、バッテリーと操作手段とを、有するものとすることができる。この場合、前記操作手段の操作により、前記共同受信システムに前記各端末端子から前記バッテリーからの直流信号を伝送可能に構成されている。例えば直流電流を各端末端子から供給する。前記送信機は、前記入力端子から前記直流信号を受けたとき、前記テスト信号のレベルを変化させる。例えばテスト信号の入力端子からの供給を停止するとか、テスト信号のレベルを今までよりも小さくするとか大きくする。
【0009】
このように構成すると、端末端子側から入力端子側に直流信号が伝送されると、送信機側からのテスト信号のレベルが変化するので、受信機側での伝送損失に関する表示が、今までのものと変化する。このように表示が変化することによって、受信機が接続されている端末端子から入力端子側に直流信号の伝送が可能であることが判明し、例えば入力端子に接続される機器に対する動作電源装置を、受信機が接続されている端末端子に接続することが可能であることが判明する。一方、いずれの端末端子に受信機を接続した状態において、操作手段を操作しても、表示が変化しない場合、いずれの端末端子からも入力端子側に直流信号の伝送が現状では不可能であることが判明し、例えば改修工事が必要であることが判明する。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、新たな共同受信信号を共同受信システムに伝送するに際して、共同受信システムの改修が必要であるか否かを早期に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態の共同受信システム用診断システムの送信機及び受信機のブロック図である。
【図2】図1の送信機及び受信機の斜視図である。
【図3】図1の送信機及び受信機を診断しようとする共同受信システムに接続した状態のブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の共同受信システム用診断システムの送信機及び受信機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態の共同受信システム用診断システムは、例えば図3(a)、(b)に示すような共同受信システム2、4の伝送損失を測定して、広帯域化されているものか否かを診断する。
【0013】
図3(a)の共同受信システム2は、例えば一戸建ての家屋において使用されるもので、入力端子6を有し、この入力端子6は電気ケーブル、例えば同軸ケーブルを介して分配手段、例えば4分配器8に接続されている。4分配器8の各分配端子は、この家屋の各部屋に設けられた4つの端末端子10a、10b、10c、10dに同軸ケーブルを介して接続されている。なお、家屋の構造によっては、4分配器に代えて他の分配数の分配器が使用され、それに応じて端末端子の数も変化する。
【0014】
図3(b)の共同受信システム4は、例えば1棟の集合住宅において使用されるもので、入力端子12を有し、この入力端子12は同軸ケーブルを介して1分岐器14aの入力側に接続されている。1分岐器14aの分岐側が同軸ケーブルを介して集合住宅の1つの住宅の所定の部屋に設けた端末端子16aに接続されている。1分岐器14aの出力側は、同軸ケーブルを介して1分岐器14bに接続されている。1分岐器14bの分岐側は、同軸ケーブルを介して集合住宅の別の住宅の所定の部屋に設けた端末端子16bに接続されている。以下、同様に1分岐器14c、14d、端末端子16c、16dが接続されている。この共同受信システム4でも、集合住宅の住宅数に応じて1分岐器や端末端子の数は増減する。
【0015】
共同受信システム2、4は、例えば今までアンテナで直接受信したテレビジョン放送受信信号または同軸ケーブルを使用した共同受信施設から共同受信信号が供給されていたが、光共同受信施設を伝送されてきた光共同受信信号を光−電気変換装置によって電気共同受信信号に変換したものの供給を受けるようになるものである。今までは例えばUHF帯までの周波数の共同受信信号やUHF帯のテレビ受信信号を共同受信システム2、4は伝送していたのが、これに加えてGHz帯の周波数の信号、例えば衛星放送中間周波信号や衛星通信中間周波信号も伝送されるようになったものである。そのため、共同受信システム2または4において使用されている機器、例えば同軸ケーブルや分配器10や1分岐器14a乃至14dが、衛星放送中間周波信号や衛星通信中間周波信号を伝送可能なものであるか診断するために、共同受信システム用診断システムが使用される。
【0016】
この共同受信システム用診断システムは、送信機20と受信機22とを有している。送信機20及び受信機22とは、図2に示すように可搬型のもので、小型の送信機ケース24及び受信機ケース26内にそれぞれ構成されている。
【0017】
送信機20は、図1(a)に示すように、発振部28を有している。発振部28は、共同受信システム2または4において新たに導入される衛星放送中間周波信号や衛星通信中間周波信号のうち周波数が高いものの中心周波数付近の周波数帯域のテスト信号を発振するものである。なお、発振周波数を固定することもできるし、衛星放送中間周波信号及び衛星通信中間周波信号の中心周波数付近の周波数帯域のテスト信号をそれぞれ発振できるように、発振周波数を可変とすることもできる。例えば、発振周波数の可変指示は、制御回路30から発振部28に供給される。また、発振開始の指示も制御回路30から与えられる。制御回路30は、図示していないテスト信号発振開始指示スイッチが操作されることによって、発振開始指示を発振部28に与える。
【0018】
発振部28からのテスト信号は、例えば減衰器の利得調整部32に供給される。この利得調整部32の出力信号は増幅手段、例えば増幅部34によって増幅される。その増幅出力が1分岐器36及び直流阻止コンデンサ38を介して出力端子40に供給される。1分岐器36の分岐出力は、信号検出部42に供給され、ここで増幅部34の増幅出力のレベルが検出される。信号検出部42からのレベル検出信号が利得調整部32に供給される。利得調整部32は、増幅部34に供給するテスト信号のレベルが一定になるように発振部28からのテスト信号を調整して出力する。このように、この送信機20は、テスト信号の自動利得制御を備えている。出力端子40から出力されるテスト信号のレベルが予め定めたものとなるように、信号検出部42は構成されている。この送信機20の発振部28、制御回路30、利得調整部32、増幅部34、信号検出部42は、送信機ケース24内に収容され、同じく送信機ケース24内に配置されたバッテリー44から供給される直流電力によって動作する。
【0019】
送信機20は、その出力端子40を図3(a)、(b)に示すように、共同受信システム2または4の入力端子6または12に接続され、テスト信号を共同受信システム2または4に供給する。
【0020】
受信機22は、図2に示すように入力端子44を有している。この入力端子46が、共同受信システム2または4の端末端子10a乃至10dまたは16a乃至16dに順に接続され、共同受信システム2または4を伝送されたテスト信号を受ける。
【0021】
受信機22では、入力端子46からのテスト信号が直流阻止コンデンサ48を介して増幅手段、例えば増幅部50に供給される。増幅部50において増幅されたテスト信号は、信号検出部52に供給される。
【0022】
信号検出部52は、増幅部50からのテスト信号のレベルを検出するレベル検出部(図示せず)を有し、このレベル検出部からのレベル検出信号を、複数、例えば4つの異なる基準信号とそれぞれ比較器(図示せず)で比較される。これら基準信号は、共同受信システム2、4の入力端子6、12に供給されたテスト信号が共同受信システム2、4に伝送されて、端末端子10a乃至10dのいずれかまたは端末端子16a乃至16dのいずれかで受信されたときに、レベル検出部54のレベル検出信号のレベルが、元のテスト信号(送信機20から送信されるテスト信号の出力レベル)よりも30dB、20dB、10dB、0dBの伝送損失を受けているのに相当するレベルに設定されている。これら比較器での比較結果に基づいて表示部54に表示がされる。
【0023】
この表示部54は、例えば図2に示すように、4つの表示手段、例えばLED54a乃至54dによって構成されている。LED54aは、30dB以上の伝送損失に対応し、30dB以上の伝送損失が共同受信システム2または4で生じているとき、LED54aが他のLED54b乃至54dと表示状態を変更し、例えばLED54aのみが点灯する。LED54bは20dB以上で30dB未満の伝送損失に対応し、20dB以上で30dB未満の伝送損失が生じているとき、LED54bのみが点灯する。LED54cは、10dB以上20dB未満の伝送損失に対応し、10dB以上20dB未満の伝送損失が生じているとき、LED54cのみが点灯する。LED54dは、0dB以上10dB未満の伝送損失に対応し、0dB以上10dB未満の伝送損失が生じているとき、LED54dのみが点灯するように、各比較器での比較結果が信号検出部52において処理されている。
【0024】
従って、LED54a乃至54dのいずれが点灯するかによって共同受信システム2または4の改修が必要であるか否かを簡易に診断することができる。例えば、いずれの端末端子10a乃至10dまたは16a乃至16dでも、LED54aが点灯する場合、共同受信システム2または4は、GHz帯の信号を大きく減衰させて伝送するものであると想定でき、広帯域化するために同軸ケーブルや分配器や1分岐器の取り替えを伴う大幅な改修が必要であると診断できる。また、LED54dが点灯する場合、共同受信システム2または4は、GHz帯の信号を大きく減衰させることなく伝送できるものであると想定でき、改修が不要であると診断できる。また、LED54bまたは54cが点灯する場合には、改修として共同受信システム2または4自体の改修は不要で、例えば入力端子6または12と光−電気変換装置との間にブースタを設置すればよいと想定でき、改修は小幅なものであると診断できる。
【0025】
この受信機22の増幅部50、信号検出部52、表示部54は、受信機ケース26内に設置され、これらは、受信機ケース26内に設置されたバッテリー56からの直流電力によって動作する。
【0026】
送信機20及び受信機22は、小型の送信機ケース24及び受信機ケース26内にそれぞれ収容されているので、携帯が容易であり、異なる場所にある家庭の共同受信システムでの改修が必要であるか否かの判定をするのに便利である。
【0027】
本発明の第2の実施形態の共同受信システム用診断システムを、図4に示す。この共同受信システム用診断システムは、共同受信システム2または4において、各端末端子10a乃至10dまたは16a乃至16dのいずれかから、入力端子6または12に直流電流を伝送することができるか否かを、各端末端子10a乃至10dまたは16a乃至16d側で判定することができるようにしたものである。例えば共同受信システム2または4の入力端子6または12の近傍には、光−電気変換装置が設置されるが、これに対する動作電力をいずれかの端末端子から伝送できるなら、動作電力の供給に関してはなんら改修は不要であり、伝送できないなら、例えば共同受信システム2の分配器8や、共同受信システム4の1分岐器14a乃至14dを通電型に改修したり、入力端子6または12の近傍に動作電源装置を設置したりする必要がある。このような改修や設置が必要であるか否かを、端末端子側で診断できるようにしたのが、第2の実施形態の共同受信システム用診断システムである。
【0028】
受信機22aでは、バッテリー56と入力端子46との間に、操作手段、例えば開閉スイッチ58と高周波阻止コイル60とが接続されている。開閉スイッチ58は、非操作状態では開放されており、操作状態において閉成される。受信機22aの他の構成は、受信機22と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
送信機20aでは、出力端子40には高周波阻止コイル60を介してテスト信号レベル変更手段、例えば開閉スイッチ62が接続されている。開閉スイッチ62は、バッテリー44からの動作電力を制御回路30に対して断続することができるものである。開閉スイッチ62に直流電流が非供給のとき、開閉スイッチ62は、バッテリー44からの動作電力を制御回路30に供給し、制御回路30が正常に動作し、その結果、発振部28からテスト信号が出力される。開閉スイッチ62に直流電流が供給されたとき、開閉スイッチ62は、バッテリー44からの動作電力を制御回路30に予め定めた時間にわたって非供給とする。その結果、制御回路30が動作停止し、発振部28からテスト信号は出力されない。送信機20aの他の構成は、送信機20の構成と同一であるので、同一部分には同一符号を付して、説明を省略する。
【0030】
このように送信機20aを構成しているので、送信機20aを共同受信システム2または4の入力端子6または12に接続し、受信機22aを共同受信システム2または4の端末端子10a乃至10dまたは16a乃至16dに順に接続して、第1の実施形態と同様に伝送損失を測定した後、受信機22aにおいてスイッチ58を操作する。共同受信システム2または4において、受信機22aが接続された端末端子から入力端子6または12に直流信号、例えば直流電流を伝送可能であるなら、送信機20aの出力端子40、高周波阻止コイル60を介してスイッチ62に直流電流が流れ、スイッチ62は、バッテリー44から制御回路30への電流供給を停止する。その結果、発振部28が動作を停止する。
【0031】
これによって、受信機22aでは、今まで受信していたテスト信号を受信できなくなり、表示部54では、最も伝送損失が大きいことを表すLED54aが点灯する。スイッチ58を操作する前に、LED54a以外のLED54b乃至54dのいずれかが点灯していたなら、LED54aの点灯に変化したことにより、受信システム2または4において受信機22aが接続されている端末端子から直流電流が入力端子6または12に伝送可能であり、共同受信システム2又は4の改修が不要であると診断できる。LED54a以外のLEDが点灯していた状態で、スイッチ58を操作してもLED54aの点灯に変化しなければ、受信機22aから直流電流が共同受信システム2または4を介して送信機20aに伝送されて無く、受信システム2または4において受信機22aが接続されている端末端子から直流電流が入力端子6または12に伝送不能であり、共同受信システム2又は4の改修が必要であると診断できる。
【0032】
上記の両実施形態では、受信機22、22aの信号検出部52は、増幅部52の出力のレベルを検出し、そのレベルを異なる基準信号と比較するように構成したが、例えば増幅部52に自動利得制御回路を設け、その自動利得制御回路において自動利得制御するための自動利得制御信号を異なる値の基準信号と比較するように構成することもできる。また、上記の両実施形態では、受信機22、22aの表示部54は、4段階に伝送損失を表示するように構成したが、1つ以上の基準信号を使用して、2段階以上の任意の段階で伝送損失を表示することができる。また、表示部54としてLED54a乃至54dを使用したが、これらに代えて、例えば文字や図形を表示することができる1つの液晶表示部を使用することもできる。この場合、第1の実施形態と同様に30dB以上の伝送損失、30乃至20dBの伝送損失、20乃至10dBの伝送損失、10乃至0dBの伝送損失と文字で表示することもできるし、改修必要、改修不要等の文字を表示することもできる。また、上記の両実施形態では、LED54a乃至54dのうち、識別された伝送損失が該当する伝送損失範囲に対応するLEDのみが点灯したが、逆に識別された伝送損失が該当する伝送損失範囲に対応するLEDのみを消灯させ、他のLEDを点灯させるように構成することもできる。上記の両実施形態では、共同受信システム2、4について診断する場合を示したが、これらに限ったものではなく、他の構成の共同受信システムを診断することもできる。例えば双方向の共同受信システムを診断することもできる。
【0033】
第2の実施形態では、直流電流が供給されることによってスイッチ62を開放して制御回路を停止させて、発振部28からの発振を停止させたが、例えば直流電流が供給されたことを検出したことによって、制御回路30から利得調整部32に制御信号を供給して、利得制御部32から出力されるテスト信号のレベルを低下させるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0034】
2 4 共同受信システム
20 20a 送信機
22 22a 受信機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と複数の端末端子とを有する共同受信システムにおいて新たに伝送しようとする共同受信信号と同じ周波数帯域で既知のテスト信号を、前記入力端子から前記共同受信システムに供給可能な可搬型の送信機と、
前記複数の端末端子それぞれに接続可能に構成され、前記共同受信システムを伝送された前記テスト信号を受信し、受信した前記テスト信号のレベルに基づいて前記各端末端子における伝送損失を識別し、表示する可搬型の受信機とを、
具備する共同受信システム用診断システム。
【請求項2】
請求項1記載の共同受信システム用診断システムにおいて、前記受信機は、バッテリーと操作手段とを、有し、前記操作手段の操作により、前記家庭用共同受信システムに前記各端末端子から前記バッテリーからの直流信号を伝送可能に構成され、前記送信機は、前記入力端子から前記直流信号を受けたとき、前記テスト信号のレベルを変化させる共同受信システム用診断システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の共同受信システムにおいて、前記受信機は、複数の表示手段を有し、前記各表示手段には、それぞれ異なる伝送損失範囲が対応し、前記伝送損失が該当する前記伝送損失範囲に対応する前記表示手段が、他の表示手段と表示状態を異ならせる共同受信システム用診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−199768(P2011−199768A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66815(P2010−66815)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】