説明

共振周波数タグ、および共振周波数タグの制御方法

誘導要素と、誘導要素の終端に接続された第1終端と第2終端を有する第1ランドとを含む第1導体パターンを形成するステップと、第2ランド及びリンク要素を含む第2導体パターンを別個に形成するステップと、誘導要素と共に共振回路を形成する、第1のキャパシタンスを有する容量要素のプレートを構築するため、誘電体を介在させて第2ランドが第1ランドの一部分と重なるよう、第2導体パターンを第1導体パターン近傍の第1所定位置へ配置するステップと、共振回路の共振周波数を測定して所定周波数と比較するステップと、共振周波数が所定周波数に合致しないなら、第1ランドの長さに沿って第2ランドが移動するよう、第2導体パターンを動かし、容量要素のキャパシタンスを変更するステップと、最後の2つのステップを合致するまで繰り返すステップと、第1導体パターンへ第2導体パターンを固定するステップとを含む、共振周波数タグの作成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、共振周波数タグ、特に、こうしたタグの共振周波数の改善された制御を提供する共振周波数タグの作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
共振周波数タグは、タグのおよその共振周波数でタグ上に投射される無線周波数電磁界により刺激されると、所定周波数で共振する、受動電気共振周波数回路を含むタグである。こうした電磁界で占有された領域内で共振する共振周波数回路は、電磁界を摂動させる。電磁界の摂動は、適当な設備により検出可能である。その結果、所定の領域内に、受動共振周波数タグが存在することを検出することができる。
【0003】
通常、共振周波数タグは、窃盗の防止または検出のために、小売店で販売されている商品、またはこうした商品のパッケージへ取り付けられ、または内部に埋め込まれる。この目的に使用される共振周波数タグは、適法な販売が完了した時点で、商品から除去し、または非活性化することができる。販売時点で除去され、または非活性化されない共振周波数タグは、一般に、小売店または他の施設からの出口地点に配置された、適当な検出装置により検出することができる。こうした共振周波数タグは、集積回路またはチップの含有に係わりなく、無線識別(RFID)タグなどのように、識別または情報目的を含む他の用途を有していてもよい。
【0004】
通常、共振周波数タグは、2つの導体層を分離する、一般に平坦な誘電体層の薄い積層板を含んでいる。通常、導体層の1つは、誘導体を形成する平坦な螺旋状の導体(コイル)、およびコイルの近位端へ接続されたコンデンサーの1つのプレートを形成するランドを含んでいる。コンデンサーの第2プレートを形成する第2ランドは、第2導体層として形成される。第2プレートとコイルの遠位端との間の通し接続は、コンデンサーに平行に接続されたコイル誘導体を含む共振周波数回路を完成させる。
【0005】
共振周波数タグの誘導要素および容量要素は、タグの共振周波数を、検出装置の所定の限界内に保持するよう、ある精度で製造されることが必要である。一般に、共振タグの作成に用いられる方法は、導体層の構成要素の形成に金属ホイルのエッチングを使用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術および現在の共振周波数タグの製作で用いられる製造技術は、結果として、最終的なタグ周波数に若干の望ましくないばらつきを生じさせてしまう。一般に、この望ましくないばらつきは、生産処理中に共振回路ごとに変わる、容量要素の値の小さな変化の結果である。容量要素の値のこうした変化は、コンデンサーのプレート間の誘電体領域での不規則性を含む、いくつかのファクターに起因するであろう。本発明は、より一致する共振周波数の共振周波数タグを製造する製造処理における変化を補う方法を含んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡潔に述べると、1つの実施例では、本発明は、所定周波数で共振する共振周波数タグの作成方法を含んでいる。本方法は、誘導要素(inductive element)と第1導体ランドを含む第1導体パターンを形成するステップであって、この第1ランドは、誘導要素の1つの終端に接続された第1終端および所定の距離だけ第1終端から離れた第2終端を有する、ステップと、別個に、所定の幅を有する第2ランドおよびリンク要素を含む第2導体パターンを形成するステップと、誘導要素と共に共振回路を形成する、第1の所定キャパシタンスを有する容量要素(capacitive element)のプレートを構築するために、誘電体を介在させて、第2ランドが第1ランドの少なくとも一部分と重なるよう、第2導体パターンを第1導体パターン近傍の第1所定位置へ配置するステップと、共振回路の共振周波数を測定して、測定周波数を所定周波数と比較するステップと、共振周波数が選択許容範囲内で所定周波数に合致しないなら、第1ランドの長さに沿って第2ランドが移動するよう、第2導体パターンを動かし、それにより容量要素のキャパシタンスを変更するステップと、最後の2つのステップを、合致するまで繰り返すステップと、第1導体パターンへ第2導体パターンを固定するステップとを含む。
【0008】
他の実施例では、本発明は、各々が所定周波数で共振する、一連の共振周波数タグの作成方法を含んでおり、この方法は、一連の第1導体パターンを形成するステップであって、この第1導体パターンは全て実質的に同じであり、各第1導体パターンは、誘導要素および第1導体ランドを含み、この第1ランドは誘導要素の1つの終端に接続された第1終端および第1終端から所定の距離だけ離れた第2終端を有するステップと、別個に、一連の第2導体パターンを形成するステップであって、この第2導体パターンは、全て実質的に同じであり、各第2導体パターンは、所定の幅を有する第2導体ランドおよびリンク要素を含むステップと、連続する第1タグの容量要素のプレートを構築するために、誘電体を介在させて、第2ランドが第1ランドの少なくとも一部分と重なるよう、第2導体パターンを第1所定位置において連続する第1導体パターンへ固定するステップであって、この容量要素は、第1の所定キャパシタンスを有するステップと、タグの共振周波数を測定して、測定周波数を所定周波数と比較するステップと、測定された共振周波数が選択許容範囲内で所定周波数に合致するなら、次のタグの容量要素(この容量要素は、第1の所定キャパシタンスを有する)のプレートを構築するために、誘電体を介在させて、第2ランドが第1ランドの少なくとも一部分と重なるよう、第2導体パターンを次の、連続する第1導体パターンへ第1所定位置で固定し、その後、連続する残りに対しても、先行するステップ、および現在のステップを繰り返し、さらに、共振周波数が選択許容範囲内で所定周波数に合致しないなら、次のタグの容量要素(この容量要素は、第2の所定キャパシタンスを有する)のプレートを構築するために、誘電体を介在させて、第2ランドが第1ランドの少なくとも一部分と重なるよう、第1所定位置とは異なる第2所定位置で、第2導体パターンを、次の、連続する第1導体パターンの第2表面へ固定し、その後、連続する残りに対しても、先行するステップ、および現在のステップを繰り返すステップとを含む。
【0009】
他の実施例では、本発明は、N個の共振周波数タグの作成方法を含んでいる。Nは1より大きな整数である。N個のタグの各々は、連続した他のあらゆるタグの共振周波数と、少なくとも所定の最小周波数範囲だけ異なる共振周波数を有している。本方法は、N個の第1導体パターンを形成するステップであって、この第1導体パターンは全て実質的に同じであり、さらに、各第1導体パターンは、誘導要素および第1導体ランドを含み、この第1導体ランドの第1終端は誘導要素の1つの終端に接続され、この第1導体ランドの第2終端は第1終端から所定の距離だけ離れているステップと、別個に、N個の第2導体パターンを形成するステップであって、この第2導体パターンは、全て実質的に同じであり、さらに、各第2導体パターンは、所定の幅を有する第2ランドおよびリンク要素を含むステップと、さらに、各共振周波数タグに対する容量要素のプレートを構築するために、誘電体を介在させて、各第2導体パターンの第2ランドが対応する第1導体パターンの第1ランドの一部分と重なるよう、第2導体パターンを、ある位置において各第1導体パターンへ連続して固定するステップであって、対応する第1導体パターンの第1導体ランドに対する各第2導体パターンの位置、すなわち、連続する各共振周波数タグで異なっている第1ランドに各第2導体ランドが重なる量により、各共振周波数タグが、連続する他のあらゆる共振周波数タグと異なる周波数で共振するよう、各共振周波数タグの容量要素のキャパシタンスが、連続する他のあらゆる共振周波数タグの容量要素のキャパシタンスと、少なくとも最小値だけ異なるステップとを含む。
【0010】
以上の概要は、以下に詳述する本発明の好適な実施例と同様に、添付の図面と関連して読まれることにより、よりよく理解される。本発明を説明する目的のために、現時点で好適である実施例を表した図面が示されている。しかしながら、本発明は、図示された正確な配置および手段に制限されるものではないことを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ここで、いくつかの図面にわたって、対応する要素に対して同じ参照数字表示が適用されている図面を参照すると、図1および図2には、電子品物セキュリティシステム(図示せず)で使われる、典型的な共振周波数タグまたは、あるタイプのタグ10が示されている。一般に、タグ10は、電子品物セキュリティシステム技術で周知のタイプであり、これは2つの動作状態を有している:すなわち、(1)タグ10が電子品物セキュリティシステムにより検出可能な活性状態、および(2)通常タグ10が電子品物セキュリティシステムにより検出可能でない不活性状態である。当技術分野で周知であるように、タグ10は、セキュリティまたは監視が必要なアイテムまたは品物、またはこうした品物のパッケージへ、固定され、または担持され、または内部に組み込まれるように適合されている。タグ10は、小売店、または他のこうした施設で、品物またはそのパッケージに固定されてもよく、または、現在好まれているように、品物のメーカーまたは卸売業者により、品物またはそのパッケージに固定され、または組み込まれてもよい。
【0012】
タグ10は、電子品物セキュリティシステム(図示せず)、特に、参照により本願明細書に組み込まれる、「雑音識別を改善した電子保全システム(Electronic Security System Having Improved Noise Discrimination)」と題された米国特許第3,863,244号明細書に例示されているような、無線周波数またはRFタイプの電子品物セキュリティシステムに関連して用いられる。こうした電子品物セキュリティシステムは、当技術分野では周知であるので、こうした電子品物セキュリティシステムの構造および動作の完全な説明は、本発明の理解に必要ではない。こうした電子品物セキュリティシステムは、小売店などでは、一般に施設の出入口付近に監視または検出ゾーンを構築している、と言うにとどめておく。セキュリティシステムの機能は、品物に固定された、または品物のパッケージに固定された活性タグ10を有する品物が、検出ゾーン内に存在しているのを検出することである。
【0013】
セキュリティタグ10は、共振回路11の所定の検出共振周波数、またはその近傍の無線周波数RFエネルギーへ曝されると共振する、共振回路11を構築している構成要素(以下で、さらに詳細に説明する)を含んでいる。タグ10を使用する典型的な電子品物セキュリティシステムは、セキュリティタグ10の共振周波数、またはその近傍のRFエネルギーを、検出ゾーン内へ、または検出ゾーンを通して送信する手段、および、セキュリティタグ10、すなわち保護される品物が、検出ゾーン内に存在しているのを証明する、検出ゾーン内のセキュリティタグ10共振回路11の存在により引き起こされるRFフィールドの外乱を検出する手段を含んでいる。
【0014】
図1および図2に示したように、典型的なタグ10は、反対側の第1および第2の主面14、16を有する、一般に長方形の絶縁性または誘電性の平面基板12を含んでいる。この基板材料は、絶縁性で、誘電体としても使用可能である限り、いかなる固形材料または材料の複合構造であってもよい。基板12は、当技術分野で周知のタイプの絶縁誘電体材料(例えば、ポリエチレンなどの高分子材料)で形成されているのが望ましい。しかしながら、代替的に、基板12を形成する際に、他の誘電体材料を使用可能なことは、当業者により認められる。
【0015】
さらに、タグ10は、以下に説明するように、基板12の両方の主面14、16上に所定の回路要素または構成要素を形成することにより、少なくとも1つの共振回路11を構築する、基板12上に配置された回路を含んでいる。この回路要素は、その表面がタグ10のトッププレートとして任意に選定された、基板12の第1主面14上に組み入れられた第1導体パターン18(図1に最も良く示されている)と、基板12の反対側、すなわち第2主面16上に組み入れられた第2導体パターン20(図2に最も良く示されている)との組合せにより形成される。
【0016】
導体パターン18、20は、それぞれ、既知のタイプの電気導体材料により、電子品物監視技術で周知の方法で、基板面14、16上に形成される。ある既知の実施例では、導体材料は減色法(すなわち、エッチング)によりパターン化され、それにより、導体パターン18、20を形成する所望の導体材料を、通常、エッチングに抵抗力のあるインクを印刷して保護した後、望ましくない導体材料を薬品による腐食によって取り除いている。こうした導体パターンを形成する適当な方法は、参照により本明細書に組み込まれる、「平面回路製作処理(Planar Circuit Fabrication Process)」と題された、米国特許第3,913,219号明細書で詳細に説明されている。導体材料はアルミニウムであるのが望ましい。しかしながら、他の導体材料(例えば、金、ニッケル、銅、燐青銅、真鍮、はんだ、高密度グラファイト、アルミニウム充填導体エポキシ、または銀充填導体エポキシ)も、共振回路11の本質またはその動作を変えることなくアルミニウムの代用が可能である。他の適当な電気導体材料および/または製作方法も代替的に使用可能であることは、当業者により理解される。
【0017】
第1および第2の導体パターン18、20は、タグ10を使う電子品物セキュリティシステムの検出範囲内の共振周波数を有する、共振回路11を構築する。タグ10の場合、共振回路11は、単一コンデンサー、または容量要素へ電気的に並列に接続された単一誘導体または誘導要素から成っている。図1に最も良く示されているように、誘導要素は、第1導体パターン18の一部として形成された誘導コイル26を含んでいる。しかしながら、誘導コイル26は、第2導体パターン20の一部として形成可能であろうし、または双方の導体パターン18、20の一部として形成可能であろう。代替的に、第1および/または第2の導体パターン18、20内に形成された、2つ以上の誘導コイルが存在していてもよい。さらに、導体パターン18、20は、誘導コイル26を形成する必要はないが、例えば、ストリップラインまたはマイクロストリップ方式により構成された、電送線構成から誘導リアクタンスを構築することも可能であり、その場合も、本発明の趣旨と範囲内である。
【0018】
タグ10の共振回路は、さらに、図1に示したように、第1導体パターン18の概して長方形の第1ランド部分28により形成された第1プレート、および、図2に示したように、第2導体パターン20の一般に長方形の第2ランド部分30により形成された第2プレートを有する容量要素を含んでいる。導体ランド部分すなわちプレート28、30は、容量要素を形成するよう、互いに重なるように整列され、誘電体基板12により分離されている。
【0019】
ここで、図1および図2を参照すると、共振回路11は、誘電性基板12を通過して導体パターン18、20へ電気的に接続されるリンク(図示せず)により、第1導体パターン18の概して長方形のランド部分28に対する一方の終端上、および第2導体パターン20の概して位置合わせされた長方形のランド部分30の他方の終端上へ電気的に接続した、直列ループ状の誘導コイル26の組合せにより形成される。タグ10の図示された実施例は、ランド部分28、30により形成された単一コンデンサーを含んでいるが、代替的に、2つ以上のコンデンサー要素を使うことも可能であり、その場合も、本発明の趣旨および範囲内である。
【0020】
これまで説明してきたタグ10は、電子セキュリティおよび監視技術において周知である従来技術セキュリティタグの典型であり、一般的用法であった。こうしたセキュリティタグを形成する際、誘導コイル26の領域と、コンデンサープレート28、30の重なり合う領域は、それにより形成された共振回路11が、一般に、タグ10が用いられるよう設計された電子品物セキュリティシステムで使われる検出周波数に対応した、または近似した所定の共振周波数を有するように慎重に選択される。図示された実施例では、タグ10は、多くのメーカーの電子品物セキュリティシステムにより一般的に使われている周波数である、8.2メガヘルツ(MHz)で、またはその近傍で共振する。しかしながら、この特定周波数は、本発明を限定するものではない。
【0021】
図示され、および説明されている共振周波数タグ10は、一般に、その本来の目的に適切である。しかしながら、タグ10の作成に使われる製造技術に起因して、タグの少なくとも一部分の共振周波数が、所望の共振周波数と異なる形で作成されてしまうのは、珍しいことではない。タグ10の共振周波数におけるこうした変化は、2つのコンデンサープレート28、30間の誘電体の厚さのばらつき、およびコンデンサープレート、28、30での僅かな調整不良、および他のファクターに起因することもある。結果として、検出システムの監視ゾーンを通過するとき、所望の共振周波数、またはその近傍の周波数を有するいかなるタグ10も確実に検出できるよう、少なくとも所望の共振周波数の上下双方の所定の範囲内で、検出システムで使われる周波数を変える必要がある。例えば、所望の共振周波数が8.2MHzであるなら、検出システムは、およそ7.6MHz〜およそ9.0MHzの間の周波数で動作可能でなければならない。こうした検出周波数範囲で機能する検出システムの作成は、遥かに小さな検出周波数範囲で作動する検出システムほど効率的ではない。
【0022】
本発明は、第1コンデンサープレートに対する第2コンデンサープレートの配置をより正確に制御するために、異なる製造処理または方法を用いることにより、コンデンサーのキャパシタンスをより厳密に制御し、さらにタグの共振周波数をより厳密に制御して、従来技術共振周波数タグ10の共振周波数のこうした変化に関連する問題を克服している。図3は、本発明の好適な実施例に従う、共振周波数タグ110の概略図である。上述のタグ10のような共振周波数タグ110は、上述の共振回路11と実質的に同じ特性を有する共振回路を形成するために、並列に接続された、少なくとも1つの誘導構成要素と、少なくとも1つの容量構成要素とを含んでいる。
【0023】
図3のタグ110は、図1および2のタグ10のように、誘電体を介在させた、第1導体パターン118と第2導体パターン120との組合せにより形成される。第1導体パターン118は、タグ10と関連して上述したように、減色法(すなわち、エッチング)を用いて形成可能であり、打ち抜き、加法または導体インク処理、またはいかなる他の適当な技術によっても形成可能である。従来技術のタグ10のように、第1および第2の導体パターン118、120の双方を形成する際に使われる導体材料は、アルミニウムであるのが好ましい。しかしながら、代替的に、他の導体材料を使うこともできる。従来技術のタグ10と同様に、第1導体パターン118は、誘導コイル126と、第1導体ランド128の一部分により形成された第1コンデンサープレートとを含んでいる。図3に最も良く示されているように、ランド128は、誘導コイル126の1つの終端、および第2すなわち遠位端128bに電気的に接続された、第1すなわち近位端128aを含んでいる。ランド128の第1および第2の終端128a、128bは、ランド128の長さを規定する所定の距離だけ分離されている。図示された実施例では、ランド128は、第1および第2の終端128a、128bの間に伸びる、第1および第2の側部128c、128dをさらに含んでいる。第1側部128cは、概してまっすぐで、誘導コイル126の一部に概して平行である。第2側部128dは、第1側部128cに平行にならないよう、ある角度で伸びている。この様に、ランド128の幅(すなわち、第1および第2の側部128c、128d間の距離)は、第1終端128aから第2終端128bへ長さに沿って移動するにつれ、減少し、または先細りになっている。第1導体パターン118は、他の全ての点で、上述の従来技術のタグ10の第1導体パターン18と実質的に同じである。第1導体パターンは、少なくとも初期において、紙または同様のものでもよいキャリヤーシート113により支持されているのが好ましい。
【0024】
本タグ110と従来技術のタグ10との間の次なる第2の主な違いは、第2導体パターン120の構造、および第2導体パターン120が第1導体パターン118へ固定される方法にある。図3に最も良く示されているように、第2導体パターン120は、その一部分に第2コンデンサープレートを形成した、概して対称の、好ましくは長方形に形作られた第2導体ランド130を含んでいる。このランド130は、概して平行な第1および第2の横側部130a、130b、および概して平行な第1および第2の終端130c、130dを含んでおり、概して長方形かつ対称である。第1終端130cは、概してさらなる長方形の導体ランド134で終わる、概して細長い導体リンク132へ電気的に接続されている。従来技術のタグ10と異なり、本実施例の第2導体パターン120は、別個に形成され、第1導体パターン118から離れているのが好ましい。第2導体パターン120は、減法すなわちエッチング処理、加法または導体インク処理、打ち抜き処理、または、当業者に周知または周知となる、いかなる他の方法を用いて形成されてもよい。第2導体パターン120は、誘電体層(図示せず)を含んでいてもよく、または、必要に応じて、第2導体パターン120と第1導体パターン118との間に、それらが一緒に固定される前に、別個の誘電体層またはフィルムを配置されていてもよい。代替的に、第1導体パターン118は、少なくとも第1導体ランド128の領域に、誘電体層を含んでいてもよい。
【0025】
いったん、第2導体パターン120が別個に形成されると、それはキャリヤーシートまたは基板216(図4に示す)上に担持され、それにより、第2ランド130の少なくとも一部分が、(誘電体を介在させた)第1ランド128の少なくとも一部分と重なり、その重なった部分が、正確な所定共振周波数または所定共振周波数に対して非常に厳密な許容範囲にある周波数を有する共振回路を構築する、正確なキャパシタンスを有するコンデンサーを形成するために、コンデンサープレートを構築するような位置で、第2導体パターン120が第1導体パターン118の上へ配置可能となる。第2導体パターン120が、正確なキャパシタンスを形成するために、第2ランド130が第1ランド128の少なくとも一部分と重なる形で正確に配置されると、第2導体パターン120は、接着剤(誘電体層でもよい)、ホットプレス(熱と圧力)、または他の適当な技術を用いることにより、第1導体パターン118へ固定される。図3を見ることにより理解されるように、好ましくは第2導体パターン120が第1導体パターン118へ固定される前に、ランド128とランド130との重なり合う領域は、第2ランド130(第2導体パターン120)を、概して第1側部128cと平行に第1ランド128の長さに沿って移動させ、またはスライドさせるだけで変化させることができる。ランド130をランド128の第2終端128bへ向かって移動させると、ランド128、130の重なり合う領域が減少し、それにより、事実上、コンデンサープレートのサイズ、および容量要素のキャパシタンスが減少する。これに対して、ランド130をランド128の第1終端128aへ向かって移動させると、2つのランド128、130の間の重なり合う領域が増加し、それにより、事実上、コンデンサープレートのサイズ、および容量要素のキャパシタンスが増加する。当業者には周知であるように、共振回路の共振周波数は、所定の式
F=1/(2π√(L・C))
に従ってインダクタンス値およびキャパシタンス値により定められる。共振回路のインダクタンスを一定に維持してキャパシタンスを増加させると、周波数は減少し、インダクタンスを一定に維持してキャパシタンスを減少させると、共振周波数は増加する。第1導体パターン118上の第2導体パターン120の接着位置を正確に選択することにより、共振回路の共振周波数は、非常に厳密な許容範囲で所定の目標共振周波数に一致するよう、正確に制御し、または調整することが可能となる。
【0026】
いったん、第2導体パターン120の位置が決定され、第2導体パターン120が第1導体パターン118へ固定されると、共振回路は、誘電体を通過して、第2導体パターン120の遠位端上の導体ランド134と、第1導体パターン118のコイル126を電気的に接続する、通常溶接スルーと呼ばれる導体リンク(図示せず)を構築することにより完成される。誘電体を通過するリンクの構築は、事実上、インダクタンスとキャパシタンスを並列に接続し、それにより、共振回路が完成される。共振回路の周波数は、当業者に周知である適切なテスト設備を利用することにより、測定可能である。タグ110の共振周波数が、所定または所望の共振周波数に所定の許容範囲内で一致しているなら、さらなる動作を行う必要はない。共振回路の周波数が所定の共振周波数に一致していないなら、共振回路のキャパシタンスを上向きまたは下向きに調整しなければならない。事実上、第1導体パターン118から第2導体パターン120を取り外すことが不可能なら、これは困難となるので、第2導体パターン120の位置は、製造処理中に作成される、後に続くタグ110に従って調整されてもよい。結局、後に続くタグの第1導体パターン118上の第2導体パターン120の位置を慎重に調整することにより、こうした後に続くタグの共振周波数は、共振周波数が所定の許容範囲内において所定周波数になるまで、上下方向へ調整可能である。この様にして、タグ110の共振周波数は、所定の所望される共振周波数に合致するよう「調整」可能である。
【0027】
図5は、本発明の代替的実施例に従う、タグ310の一部を示す部分図である。タグ310は、コイル326の遠位端へ接続されたランド328を伴う、誘導要素または誘導体コイル326を備えた第1導体パターンを含んでいる。しかしながら、図3に関連して上述したランド128と異なり、概して、本実施例に関連するランド328は概して長方形に形成される。特に、本実施例に関連するランド328は、概して平行で、第2終端328bから距離を置いて離れた第1終端328aを含んでいる。さらに、ランド328は、概して平行な、横の側部328c、328dを含んでいる。したがって、図3に示したランド128と異なり、ランド328の長さに沿って終端328a、328b間を移動しても、ランド328の幅は変化しない。
【0028】
さらに、本実施例は、図3に示したように、第2導体パターン120と正確に同じである第2導体パターン320を含んでいる。特に、図5に示したように、第2導体パターン320は、概して長方形に形成され、その第1終端が概して細長い導体リンク332へ電気的に接続された、ランド330を含んでいる。図3に関連して上述した実施例のように、共振周波数タグ310のキャパシタンスは、誘電体を介在させて、第1導体パターンのランド328と重なり合う第2導体パターンのランド330の程度により決定される。図5は、特定のキャパシタンスを提供する、ランド328と重なり合うランド330の幅部分(およそ半分)の状況を示している。キャパシタンス値を減少させるには、ランド330がランド328と重なり合う領域を減少させるよう、ランド338を、ランド328の第1終端328aからさらに離れる形で移動させてもよい。キャパシタンスを増加させるには、ランド330がランド328と重なり合う領域を増加させるよう、ランド330を、ランド328の第1終端328aへ向かって移動させてもよい。
【0029】
図4は、本発明に従う共振周波数タグの製造方法を実行する、好適なシステム構成を示している。完成した各タグ110は、図3に関連して上述したタグ110と構造的に同じであり、さらに、本発明を説明する目的で、連続したシリーズまたはウェブ200の対向する縁に沿って、一緒に固定されている。連続キャリヤーシート113で形成可能なウェブ200内では、部分的に完成した各タグ110が、第1導体パターン118を伴って上向きに方向付けられている。製造処理の一部として、部分的に完成したタグのウェブ200は、流れ矢で示したように、左から右に向かって、段階的に、または指標付けの方法で移動する。部分的に完成したタグのウェブ200の動きは、モータ212と適当な駆動部材214からなる駆動機構により所定の距離で指標付けするよう駆動される、駆動ローラー210によって制御されている。代替的に、他の駆動機構が使われてもよい。さらに、いくつかのアプリケーションでは、部分的に完成したタグ110が関連製品に適用された後に、第2導体パターン120を第1導体パターン118へ適用してもよい。例えば、当技術分野では、若干のアイテム、特に高い金属含有量を有するアイテムによって、適用される共振周波数タグの周波数が変化してしまうことが知られている。このアイテムへ部分的に完成したタグ110を適用し、その後、第2導体パターン120を適用することにより、完成したタグ110の共振周波数を所定の所望される周波数に調整するよう、第2導体パターン120の位置を調整することにより、タグ110が取り付けられるアイテムによって引き起こされるいかなる周波数シフトも補償可能である。
【0030】
第1供給ロール214は、剥離紙216などの支持基板の、下向き面側に所定の距離だけ離れた、事前に形成された複数の第2導体パターン120を含んでいる。ヒートシール特性を有する誘電体層を含み得る第2導体パターン120は、図3のタグに関連して上述した方法により、剥離紙216が供給ロール214から繰り出されるにつれ、第2導体パターン120がウェブ200の第1導体パターン118に揃えられるような形で、剥離紙216上に位置決めされている。1対のアイドラーローラー218、220、および巻き取りロール222は、ウェブ200の部分的に完成したタグの第1導体パターン118に対して、第2導体パターン120の適切な方向付けを構築するのを補助する。当業者にとり周知のタイプの加圧機構224は、ウェブ200の部分的に完成した各タグ110の各々と係合する、第2導体パターン120の1つを加圧するために、2つのアイドラーローラー218、220の間に位置決めされている。加圧機構224は、第2導体パターン120を、部分的に完成したタグ110の第1導体パターン118へ固定し、または接着するために、圧力、熱、または熱と圧力との組合せを用いることができる。
【0031】
図示したように、一旦、ウェブ200のタグが第2アイドラーローラー220を過ぎて、ウェブ200の完成した各々のタグ110は、上述したように共振回路に対するキャパシタンスを規定するために、第2導体パターン120の第2ランド130の少なくとも一部分が、第1導体パターン118の第1ランド128の一部分と重なり合うよう固定された、第2導体パターン120を含んでいる。完成したタグ110のウェブ200がさらに右へ移動するにつれ、各々のタグは、第1導体パターン118の誘導部分126と第2導体パターン120のランド134を電気的に一緒に接続する誘電体を通過するリンクを作成する、溶接機構226を通り抜け、それにより共振回路が完成される。溶接機構226は、当業者に周知のタイプのものである。しかし、さらに、ウェブ200の各タグ110の共振周波数は、この製造ラインに沿って、共に当業者に周知のタイプの、適当なプローブ228と周波数測定設備230を利用して測定される。事実上、プローブ228は、順次に、ウェブ200の各共振周波数を所定の共振周波数に近い(上下)一連の周波数にして、その後、タグ110が特定の周波数に共振するか否かを確かめるために、当技術分野で周知のパルス/聴取方法により「聴く」。いったん、各共振周波数タグ110の正確な周波数が測定されると、周波数の情報は、周波数測定設備230から、各タグ110に対して測定した共振周波数と所望または所定共振周波数とを比較する、コントローラ232へ送られる。タグ110の共振周波数が、所定の僅かな許容範囲(例えば、100KHz)内で所定共振周波数と合致するなら、製造処理は、同じキャパシタンス、したがって同じ周波数を維持するために、後に続く第2導体パターン120を、先のタグと同じ位置で後に続くタグ110へ固定する、同じ方法を継続することが可能となる。他方、測定された共振周波数が所定の許容範囲内で所定の周波数に合致しないと、コントローラ232が決定しているなら、後に続くタグ上の第2導体パターン120の位置は、比較の結果に応じて、後に続くタグ110のキャパシタンスを増加させるか、またはキャパシタンスを減少させるよう調整される。図4に示したような実施例では、モータ212の作動時間を増加させ、または減少させて、ウェブ200の指標付けを調整することにより、加圧機構224および第2導体パターン120に対する、部分的に完成した各タグ110の第1導体パターン118の位置を変化させることで、第2導体パターン120の位置を調整可能である。モータ212の作動時間を減少させると、第2導体パターン120の位置を、事実上タグ110の導体ランド128の第2終端228bのより近くへ移動させることになり、それにより、結果として得られる共振回路のキャパシタンスが減少することになる。モータ212の作動時間を増加させると、第2導体パターン120の位置を、事実上導体ランド128の第1終端128aへ向かうよう移動させることになり、それにより、結果として得られる共振回路のキャパシタンスが、事実上増加することになる。上述の処理を利用することにより、第2導体パターン220の位置は、次に生産されるタグ110の周波数が、所定の許容範囲内で所定の共振周波数と合致し続けるよう、ウェブ200に沿って後に続くタグ110に対して、即座に正確な位置となろう。
【0032】
図4に示された製造処理が、本発明を実行する1つの実施例に過ぎないことは、当業者に理解されるであろう。所望であれば、周波数測定装置228、230は、溶接機構226の前に配置してもよく、または加圧機構224の一部として統合してもよい。例えば、加圧機構224は、係合して、第1導体パターン118と第2導体パターン120とを(第1導体パターン118と第2導体パターン120が加圧されて一緒になる際、ただし、第2導体パターン120が実際に第1導体パターン118へ固定される前に、タグ110の周波数を測定する)プローブと押し合わせる非金属プレート(図示せず)を含むことが可能であろう。読み出し周波数、したがって取得される周波数が、完成したタグ110のためのものと同じでない間は、読み出し周波数と完成したタグ110の最終的な周波数との間には、完成したタグ110が所望の周波数で共振するよう、第2導体パターン120の位置を調整可能にする関係が存在する。第2導体パターン120の位置を制御するために、適当なフィードバックが提供されてもよい。この方法は、図7のフローチャート、および図8のグラフにより示されている。図8を参照すると、第2導体パターン120が第1導体パターン118から誘電体の厚さと追加的エアギャップだけ離れていると、目標範囲内の測定周波数が見られ、結果として、所定の許容範囲内の所望する周波数に合致する、完成したタグ(すなわち、誘電体と係合する第2導体パターン120を伴う)が得られる。
【0033】
図8から理解されるように、タグのキャパシタンスは、加圧機構224により加えられる圧力を変えることにより、少なくとも僅かに変更可能である。例えば、追加圧力を加えると、コンデンサープレート間の分離が事実上減少し、それによりキャパシタンスが増加し、また、圧力を減少させると、コンデンサープレート間の距離が事実上増加し、キャパシタンスが減少する。加圧機構224により加えられる圧力の制御は、周波数測定装置228、230により取得された周波数読み出しに基づき、コントローラ232により実行可能である。代替的に、加圧機構224は、加圧機構224によって加えられる圧力を、リアルタイムで制御する、即座のフィードバックを提供する、それ自身の周波数測定設備を含むことができる。第2導体パターン120へ加えられる圧力の量を制御する、他の技術または設備は、当業者には明らかであろう。このように、加圧機構224により加えられる圧力の制御は、各タグの共振周波数の微調整方法として使用可能である。製造処理の他の変形は、当業者には明らかであろう。
所定周波数または所定周波数の僅かな許容範囲内で共振する、共振周波数タグの作成方法の提供に加えて、本発明は、周波数領域内で、各々が異なる周波数で共振する、一連の他とは異なる別個の共振周波数タグを作成する方法も含んでいる。上記の説明により明確に理解可能なように、共振周波数タグの周波数は、タグのキャパシタンスとインダクタンスの逆関数であり、すでに説明した式により規定される。また、上述したように、図3に示した共振周波数タグでは、インダクタンスが一定であり、第1導体パターン118の誘導コイル126のサイズおよび他の特性により決定される。このようにして、図3のタグ110の周波数は、容量要素のキャパシタンスを規定する、第2導体パターン120の位置により規定されるタグのキャパシタンス、特に、導体ランド130により重なり合う導体ランド128の部分により決定される。第2導体パターン120、および特に導体ランド130が、第1導体ランド128の第1終端128aに向かって移動するにつれ、共振周波数回路のキャパシタンスは増加し、それにより、周波数は低くなり、逆もまた同様である。
【0034】
若干のアプリケーションでは、同じまたはほぼ同じ周波数で全てが共振する、一連の共振周波数タグを有するより、むしろ、連続する他のあらゆるタグの共振周波数と異なる周波数で共振する一連の共振周波数タグを有していることが望ましい。全てが異なる周波数を有するこうした一連のタグは、特定の周知の周波数を有する共振周波数タグを、特定アイテムに関連づけることにより、無線識別(RFID)で役に立ち得る。したがって、特定の共振周波数を有するタグを検出することにより、特定の周波数を有するタグに関連するアイテムの存在も検出され得る。
【0035】
本発明に従って、一連のN個の共振周波数タグ(Nは1より大きい整数)は、上述のように各タグ上の第2導体パターン130の位置を変えることだけで作成可能である。このようにして、例えば、第1共振周波数を有する第1共振周波数タグは、導体ランド128の第1終端128a近傍に第2導体パターン130を配置することにより構築可能であり、第2共振周波数を有する第2共振周波数タグは、第1導体ランドの第2終端128bのほんの少し近くに第2導体パターン130を位置決めすることにより作成可能である、などである。第2導体パターン130を第1導体ランド128の長さに沿って僅かな距離だけ移動させることにより、全ての一連のN個の共振周波数タグが作成可能である。例えば、上述の技術を使うことにより、2〜30MHzの周波数範囲内の、少なくとも10kHzの周波数範囲の、一連の他の各共振周波数タグの共振周波数と異なる、一連の各タグの共振周波数を備えた、およそ2,800個の一連の共振周波数タグを作成可能である。
【0036】
異なる共振周波数を有する各タグで、一連の共振周波数タグを作成するのは、図4に関連して上述したのと同じ方法で、かつ同じ技術を用いて達成可能である。しかしながら、説明した目標が、同じ周波数を有するタグの作成である図4と異なり、開示され、かつ説明された設備は、各タグに応じて、第1導体パターン118に対する第2導体パターン120の配置位置を変更するようモータ212の作動時間を調整することにより、異なる周波数を有する共振周波数タグを作成するために動作される。
【0037】
図6は、本発明のさらなる実施例に従う、第2導体パターン620の斜視図である。第2導体パターン620は、図3および図4に関連して上述し、かつ図示したような、第2導体パターン120と本質的に同じである。特に、第2導体パターン620は、概して長方形に形成された第2導体ランド630を含み、その第1終端は、所定の最小幅のギャップ632cにより分離された、2つのセクション632a、632bで形成されている概して細長い導体リンクへ接続されている。導体リンクの第2セクション632bは、さらなる概して長方形の導体ランド634に順番に接続されている。第2導体パターン620は、減法すなわちエッチング処理、導体インクなどの加法処理、打ち抜き処理、または当業者に周知のまたは周知となる、任意の他の方法を用いて形成可能である。第2導体パターン620は誘電体層を含んでいてもよい。
【0038】
第2導体パターン620は、さらに集積回路650を含んでおり、それはリンク要素の第1および第2のセクション632a、632bの一方へ固定されるのが好ましい。当業者に周知のタイプの集積回路650は、第1リンク要素部分632aへ電気的に接続した第1電気導線652と、第2リンク要素部分632bへ電気的に接続した第2電気導線654を伴う、少なくとも2つの導線を含んでいる。この様にして、集積回路650を組み込むことにより、上述の方法のいずれに従っても、作成される共振周波数タグは、識別情報を格納するメモリチップを含むタイプの無線識別(RFID)タグとして使用可能である。したがって、共振回路は、集積回路のメモリ内に格納されたデータにより決定される無線周波数信号を放射する集積回路650用の、アンテナおよび電源として機能することになる。
【0039】
上述された実施例に対して、その広い発明概念から逸脱することなく、変更を加えることが可能であることは、当業者により理解されるものであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施例に制限されることはないが、請求項により定義されるように、本発明の趣旨および範囲内での変更をカバーすることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】典型的な、従来技術の共振周波数タグの第1主面の平面図である。
【図2】図1に示した共振周波数タグの主面と反対の、第2面を示す底面図である。
【図3】本発明に従って作成された共振周波数タグの平面図である。
【図4】図3に示したタイプの共振周波数タグを作成する、好適な製造処理を示す概略図である。
【図5】代替的実施例の一部を示す部分図である。
【図6】本発明の他の実施例に従う、集積回路を含む第2導体パターンの拡大斜視図である。
【図7】本発明に従って作成された共振周波数タグの周波数調整方法を説明するフローチャートである。
【図8】コンデンサープレート間の誘電体の厚さの関数として、共振周波数回路の周波数変化を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)誘導要素と第1ランドとを含む第1導体パターンを形成するステップであって、第1ランドは、誘導要素の1つの終端に接続された第1終端および所定の距離だけ第1終端から離れた第2終端を有する、ステップと、
(b)所定の幅を有する第2ランドおよびリンク要素を含む第2導体パターンを別個に形成するステップと、
(c)誘導要素と共に共振回路を形成する、第1の所定キャパシタンスを有する容量要素のプレートを構築するために、誘電体を介在させて、第2ランドが第1ランドの少なくとも一部分と重なるよう、第2導体パターンを第1導体パターンの近傍の第1所定位置へ配置するステップと、
(d)共振回路の共振周波数を測定し、測定周波数を所定周波数と比較するステップと、
(e)共振周波数が選択許容範囲内で所定周波数に合致しないなら、第1ランドの長さに沿って第2ランドが移動するよう、第2導体パターンを動かし、それにより容量要素のキャパシタンスを変更するステップと、
(f)ステップ(d)、(e)を、合致するまで繰り返すステップと、
(g)第1導体パターンへ第2導体パターンを固定するステップと
を含む、所定周波数で共振する共振周波数タグの作成方法。
【請求項2】
第1ランドが、一方の終端から他方の終端へ、長さに沿って移動するにつれ、減少する幅を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2ランドが、概して長方形であり、第1ランドの最大幅を超える長さを有している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第2導体パターンが、接着剤およびホットプレス法のうちの1つにより、第1導体パターンに固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第2導体パターンが、圧力を加えることにより第1導体パターンに固定され、加えられる圧力の量が、タグの共振周波数を制御するために変更される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
いったん形成された第2導体パターンが、初期にキャリヤーシート上に保持されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第2導体パターンを第1導体パターンへ固定する前に第2ランドと第1ランドとの間に配置される誘電体層を、第2導体パターンが含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
リンク要素が、第2ランドへ接続された第1セクションおよび第2セクションを含み、リンク要素の第1および第2セクションが、所定の最小幅の隙間だけ距離を置いて離れており、さらに、少なくとも、リンク要素の第1セクションへ電気的に接続した第1リードと、リンク要素の第2セクションへ電気的に接続した第2リードを含む集積回路を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
集積回路が、リンク要素の第1セクションおよび第2セクションの一方へ固定されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(a)一連の第1導体パターンを形成するステップであって、第1導体パターンは全て実質的に同じであり、各第1導体パターンは、誘導要素ならびに第1ランドを含み、第1ランドは誘導要素の1つの終端に接続された第1終端、および第1終端から所定の距離だけ離れた第2終端を含んでいるステップと、
(b)別個に、一連の第2導体パターンを形成するステップであって、第2導体パターンは、全て実質的に同じであり、さらに、各第2導体パターンは、所定の幅を有する第2ランドおよびリンク要素を含む、ステップと、
(c)連続する第1タグの、第1所定キャパシタンスを有する容量要素のプレートを構築するために、誘電体を介在させて、第2ランドが第1ランドの少なくとも一部分と重なるよう、第2導体パターンを第1所定位置で連続する第1導体パターンへ固定するステップと、
(d)タグの共振周波数を測定して、測定周波数を所定周波数と比較するステップと、
(e)測定された共振周波数が選択許容範囲内で所定周波数に合致するなら、続くタグの、第1の所定キャパシタンスを有する容量要素のプレートを構築するために、誘電体を介在させて、第2ランドが第1ランドの少なくとも一部分と重なるよう、第2導体パターンをそれに続いて連続する第1導体パターンへ第1所定位置で固定し、その後、連続する残りに対して、ステップ(d)、(e)を繰り返し、さらに、共振周波数が選択許容範囲内で所定周波数に合致しないなら、続くタグの第2所定キャパシタンスを有する容量要素のプレートを構築するために、誘電体を介在させて、第2ランドが第1ランドの少なくとも一部分と重なるよう、第1所定位置とは異なる第2所定位置で、第2導体パターンをそれに続いて連続する第1導体パターンへ固定し、その後、連続する残りに対して、ステップ(d)、(e)を繰り返すステップと
を含む、実質的に同じ所定周波数で各々が共振する、一連の共振周波数タグの作成方法。
【請求項11】
各第1ランドが、一方の終端から他方の終端へ、長さに沿って移動するにつれ、減少する幅を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各第2ランドが概して長方形であり、第1ランドの最大幅を超える長さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各第2導体パターンが、接着剤およびホットプレス法のうちの1つにより、第1導体パターンに固定される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
各第2導体パターンが、圧力を加えることにより対応する第1導体パターンに固定され、加えられる圧力の量が、各タグの共振周波数を制御するために変更される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
いったん形成された第2導体パターンが、初期にキャリヤーシート上に保持されている、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
第2導体パターンを対応する第1導体パターンへ固定する前に、第2ランドと第1ランドとの間に配置される誘電体層を、各第2導体パターンが含んでいる、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
各リンク要素が、第2ランドへ接続された第1セクションおよび第2セクションを含み、各リンク要素の第1セクションおよび第2セクションが、所定の最小幅のギャップだけ距離を置いて離れており、さらに、少なくとも、各リンク要素の第1セクションへ電気的に接続した第1リードと、リンク要素の第2セクションへ電気的に接続した第2リードを含む集積回路を含んでいる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
集積回路が、各リンク要素の第1セクションおよび第2セクションの一方へ固定されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
一連のN個の共振周波数タグの作成方法であって、Nは1より大きな整数であり、N個のタグの各々は、連続した他のあらゆるタグの共振周波数と、少なくとも所定の最小周波数範囲だけ異なる共振周波数を有しており、前記方法は、
(a)N個の第1導体パターンを形成するステップであって、第1導体パターンは全て実質的に同じであり、各第1導体パターンは、誘導要素ならびに第1ランドを含み、第1ランドの第1終端は誘導要素の1つの終端に接続され、第1ランドの第2終端は第1終端から所定の距離だけ離れている、ステップと、
(b)別個に、N個の第2導体パターンを形成するステップであって、第2導体パターンは、全て実質的に同じであり、各第2導体パターンは、所定の幅を有する第2ランドおよびリンク要素を含む、ステップと、
(c)各共振周波数タグに対する容量要素のプレートを構築するために、誘電体を介在させて、各第2導体パターンの第2ランドが対応する第1導体パターンの第1ランドの一部分と重なるよう、第2導体パターンを、ある位置で第1導体パターンの各々へ連続して固定し、対応する第1導体パターンの第1ランドに対する各第2導体パターンの位置、したがって、第1ランドに各第2ランドが重なる量が、連続する共振周波数タグの各々で異なっており、各共振周波数タグが連続する他のあらゆる共振周波数タグと異なる周波数で共振するよう、各共振周波数タグの容量要素のキャパシタンスが、連続する他のあらゆる共振周波数タグの容量要素のキャパシタンスと、少なくとも最小値だけ異なるステップと
を含む、一連のN個の共振周波数タグの作成方法。
【請求項20】
各第1ランドが、一方の終端から他方の終端へ、長さに沿って移動するにつれ、減少する幅を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
各第2導体パターンが、接着剤およびホットプレス法のうちの1つにより、対応する第1導体パターンに固定される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
各第2導体パターンが、圧力を加えることにより対応する第1導体パターンに固定され、加えられる圧力の量が、各タグの共振周波数を制御するために変更される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
いったん形成された第2導体パターンが、初期にキャリヤーシート上に保持されている、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
第2導体パターンを対応する基板へ固定する前に、第2ランドと第1ランドとの間に配置される誘電体層を、第2導体パターンが含んでいる、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−521632(P2006−521632A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508623(P2006−508623)
【出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/001849
【国際公開番号】WO2004/084119
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(396026846)チエツクポイント システムズ, インコーポレーテツド (47)
【Fターム(参考)】