説明

共振器光ファイバージャイロスコープに最適な利得と雑音制御を提供する信号調節

【課題】最適な信号利得と雑音除去との制御法を提供する。
【解決手段】共振器光ファーバージャイロスコープは、光信号を発生させるよう配列された第1光源12、14を含む。共振器素子16は、光信号に基づき光学信号を発生させるよう配列されている。光検出器18、28は、光学信号に基づき第1電気信号を発生させるよう配列されている。第1電気信号は、周波信号、直流(DC)信号、周波信号の偶数倍音での成分を含む偶数倍音信号、および周波信号の奇数倍音での成分を含む奇数倍音信号を含む。フィルタリング素子210、220は、第2電気信号を発生させるため、DC信号、少なくとも1つの偶数倍音成分、および1つの奇数倍音成分を減衰させるよう配列されている。増幅器230、240は第2電気信号を増幅させるよう配列されている。アナログ-デジタルコンバーター(ADC)36は、増幅された第2電気信号をデジタル化するよう配列されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利の陳述
本発明は、海軍研究所が認め、契約番号N00014-06-C-00001に従い、政府の支援を受け、為されたものである。政府は本発明にある一定の権利を有する。
優先権主張
本出願は「共振器光ファイバージャイロスコープに最適の利得と雑音制御を提供する信号調整方法」と題し、2009年3月9日に正式に提出した米国暫定出願No. 61/158,734の優先権を主張するものである。「共振器光ファイバージャイロスコープに最適の利得と雑音制御を提供する信号調整方法」は、本文書中に、そのままの形で参照文献により組み入れた。
【背景技術】
【0002】
共振器光ファイバージャイロスコープ(RFOG)は、多くのナビゲーション・ローテーション検出市場のニーズを満たし、新市場を開拓する潜在能力を有する。なぜなら小型ながら高性能を有し、省電力、低価格であるためである。図1は従来のRFOG10を図解したものである。従来のRFOG10は、時計回り(CW)のレーザー12、反時計回り(CCW)のレーザー14、光ファイバー共振器16、および電子回路(「電子機器」)よりなる。この電子回路は、少なくとも共振器-カプッリングおよび共振-追跡(または共振検出)機能を提供する。CWレーザー12は光を共振器16に入力し、CW光検出器18は共振器のCW出力を検出する。
【0003】
CW光検出器18の電子機器の下流には、CW変調発生器20、CW復調器22、CW蓄圧器24、および加算素子26を含み、共振器16の共鳴周波数に対するCWレーザーの周波数を調節する。共鳴周波数は、CW変調発生器20を用いf1でのレーザー周波数を変調した後、CW復調器22を用いf1でのCW光検出器18の出力を復調することで検出される。共鳴周波数で、f1 ではCW光検出器18の信号はゼロ振幅を通過する。CW蓄圧器24は、CW復調器22の出力がゼロになるまでレーザー周波数を調節することにより、CWレーザードライバー38を介し、共鳴周波数に対するレーザー周波数を調整する。f1での変調は、CW積分器24の出力で、加算素子26により電子的に総計される。RFOG 10の同様に配列されたCCW経路に関しては、CCWレーザー14は、CCW共鳴周波数に対し同様の方法で調節される。ただし、一般的に、共振器16において、一方向から伝播した光が他の方向へ偶然に繋がった結果生じる間違いを除くため、変調周波数f2はf1と異なる。
【0004】
高性能を達成するためには、RFOGの電子機器は、非常に大きい不必要な(例えば倍音)信号が存在する中で、特定の周波数で、共振器16から発せられる極めて小さな信号をデジタル化し、検出できなければならない。必要な解決策は、従来のアナログ-デジタルコンバーター(ADC)のみでは得られない。そのため、ローテーション信号を追加で増加させる不必要な信号を除去し、従来のADCを利用できるようにするため、ある種のフィルターを取り付けることが望ましい。理論的に言えば、そのようなフィルターは、ADCのビット補間法に必要なノイズを除去することなく、不必要な信号を除去する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態では、共振器光ファイバージャイロスコープは、光信号を発生させるよう配列された第1光源を含む。共振器素子は、光信号に基づき光学信号を発生させるよう配列されている。光検出器は、光学信号に基づき第1電気信号を発生させるよう配列されている。第1電気信号は、周波信号、直流(CD)信号、周波信号の偶数倍音での成分を含む偶数倍音信号、および周波信号の奇数倍音での成分を含む奇数倍音信号を含む。フィルタリング素子は、第2電気信号を発生させるため、DC信号、少なくとも1つの偶数倍音成分、および1つの奇数倍音成分を減衰させるよう配列されている。増幅器は第2電気信号を増幅させるよう配列されている。アナログ-デジタルコンバーター(ADC)は、増幅された第2電気信号をデジタル化するよう配列されている。
【0006】
下記の図表に関し、本発明の好適なかつ従来のものに代わる実施形態を以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は従来のRFOGを図解したものである。
【図2】図2は発明の実施形態に従いRFOGを図解したものである。
【図3】図3は発明の実施形態に従い、フィルタリング素子で与えられる伝達関数を図解したものである。
【図4】図4は図2のRFOGの構成要素を図解したものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態は、ADCビット補間法を行う上で、信号排除と通過ノイズを最適な状態に適合させる。この時、ジャイロ信号を2つの経路に分け、不必要な信号排除に最適な第1経路にフィルターを設け、ADCビット補間法をうまく行う上で必要なノイズのみを通過させるのに最適な第2経路にフィルターを設け、その後ADC処理の前に2つの経路を再び結合する。
【0009】
図2は、発明の実施形態に従ったRFOG200を図解したものである。(図4と同様に)図2で図解したRFOG200の素子は、図1で図解した素子と類似、もしくは同一であるが、ほぼ同じ参照番号で示した。図解しやすくするため、少なくとも最初に、図2で図解したCW経路とその構成素子に関する文脈で、以下の考察を提示する。同一の原理、または同様の原理が、図2で図解したCCW経路に等しく当てはまることを理解しなければならない。
【0010】
理想的な共振器では、CW共鳴周波数とCCW共鳴周波数の差は、RFOGのローテーション率に比例する。潜在する完全な性能を達成するには、共鳴周波数を極めて精密に測定しなければならない。RFOGでは変調/復調技術を用いている。例えば、発生器20と復調器22を用い、共鳴周波数を測定している。
【0011】
共鳴周波数からの逸脱を示す信号を提供するため、CWレーザー12とCCWレーザー14の周波数は変調される。周波数変調により、共鳴周波数に関連したレーザー周波数は一掃される。共振器CWプリアンプおよび共振器CCWプリアンプ(共振器の出力光強度を電気信号に変換する光検出器18および28)の結果として生じる出力は、共鳴周波数に関して、平均レーザー周波数がどこに位置するかに左右される。平均のレーザー周波数が共鳴周波数から逸脱している場合は、変調周波数での信号が存在する。信号のサインまたは相は、平均のレーザー周波数が共鳴周波数からどの方向へ逸脱しているかに左右される。平均のレーザー周波数がまさしく共鳴状態にある場合は、変調周波数での信号の振幅、および奇数倍音はそのためゼロになる。それゆえ、変調周波数での信号がゼロであることを検出することにより、共鳴周波数は検出される。
【0012】
同期復調器は通常、変調周波数での共振器出力信号の検出に用いられる。同期復調は、変調周波数では発生しない他の信号やノイズの多くを排除する。同期復調器は、また、復調器入力信号の相に対して鋭敏である。そのため、平均レーザー周波数が共鳴周波数から逸脱している方向を示すサインを持つ出力を提供する。同期復調はアナログミキサーで行うことが可能である。しかしながらアナログミキサーが不完全なため、重大な検出エラーが生じる場合がある。例えば、たとえアナログミキサーに入っていく変調周波数で信号が全くなくとも、ミキサーの出力は不完全さのためにいくらか相殺される場合がある。相殺分は、ジャイロ率バイアス誤差につながる可能性がある。デジタル復調器を使用すれば、性能を大きく改善することができる。なぜならデジタル復調器にはアナログミキサーのような相殺誤差がないからである。
【0013】
デジタル復調器を使用するには、プリアンプの共振器信号を、アナログ-デジタルコンバーター(ADC)36で、デジタル化しなければならない。一般的に、信号とノイズのエイリアシング効果を減ずるため、エイリアジング除去(AA)フィルター32がADCの前面に置かれる。これはADCサンプル周波数以上での信号を減衰させる事により成し遂げられる。
【0014】
共振器共鳴周波数で平均レーザー周波数を維持するため、サーボが利用される場合がある。サーボは、復調器の出力がゼロ状態のままであるよう、共鳴周波数に対するレーザー周波数を調節する。サーボは、アナログ積分器で構成可能である。しかしアナログ復調器のように、アナログミキサーにはローテーション検出誤差につながりかねない欠陥がある。一例を挙げれば、実効積分器入力電圧相殺である。これにより、積分器は平均レーザー周波数を共鳴状態からわずかに外し、積分器の入力相殺を取り消す復調器出力を発生させる。ジャイロ性能を向上させるためには、積分器(例えば蓄圧器24)のデジタル近似値を利用することができる。蓄圧器24の出力は、デジタルアナログ変換器(DAC)34により、レーザー周波数制御回路38に送られる前にアナログに戻すことが可能である。DAC34の出力もまた変調発生器20の出力に加算することができる。なぜなら変調発生器20の出力は、レーザーの周波数を変調するためである。
【0015】
プリアンプ信号のデジタル化が、ADC36と関連した量子化ノイズをもたらすことがある。ADC量子化ノイズは、より高い角度のランダムウォーク(ARW)を生じさせると予測される。これはジャイロの重要な性能パラメータである。ADC量子化ノイズがARWに及ぼす影響は、ADC36の前の信号利得に左右される。信号利得がより高くなると、ARWに及ぼす影響も弱まる。十分な信号利得があれば、ARWに及ぼす量子化ノイズの影響は、取るに足らないものとなりえる。しかしながら、図1で示したRFOGの構成に対する変化がなければ、信号利得の量は、直流(CD)プリアンプ18出力により制限される。これは共振器16出力での時間平均光強度、および共鳴ピークの変調に起因する偶数倍音信号のためである。一般的に、ARWに及ぼす量子化ノイズの影響を必要なレベルまで低下させるには、平均光強度および偶数倍音信号のためDCプリアンプ出力により課せられた限界を超え、20dBから30dBの追加信号利得が必要となることがある。従って、ADC36による信号処理の前に追加利得を可能にするには、DC、および偶数倍音信号を減少させることが望ましい。
【0016】
特定の偶数倍音振幅対偶数倍音信号の第2倍音振幅の比を計算し、得られた結果を表1に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
信号の追加フィルタリングがなければ、偶数倍音信号の第2倍音成分は優位を占め、追加利得を制限する存在となる。30dBの追加利得を得るには、偶数倍音信号振幅をおよそ30dB減少させなければならない。表から、第2倍音を除去すれば(例えば、本文書では以下でより詳細に検討したように、第2倍音周波数でのノッチ周波数を持つノッチフィルターを用いる)、第4倍音が追加利得を約15dB以内に制限することが分かる。30dBの追加利得を得るには、表1より、少なくとも第2、第4倍音を除去しなければならないことが分かる。第6倍音は第2倍音から31dBマイナスであるため、たとえ30dBの追加利得が必要であってもデザインマージンはほとんどない。そのため、第6倍音の偶数排除が望ましい。
【0019】
適切なロールオフでAAフィルター32が遮断する周波数を変調周波数より上に設定すれば、偶数倍音信号の望ましい排除を行うことが可能である。しかしながら、これにより、ADCと関連した他の重要な基準が満たされない場合がある。性能に関する必要条件を満たすためには、変調周波数での共振器出力信号の必要な検出レベルは、概して、利用可能なADCのビット解像度よりもはるかに小さい。理想的な事例では、平均共振器信号がADCの2つの近接したビット間にあれば、ゼロでない共振器信号は、その振幅が両ビットにより検出されるだけの大きさになるまで、検出されることはない。これは、ジャイロローテーション検出伝達関数におけるデッドバンド、あるいは追加ローテーション検出ノイズにつながりかねない。
【0020】
ADCの解像度限界を克服するためには、ノイズディザリング・オーバーサンプリングとして知られる方法を用いてもよい。十分なノイズ振幅があれば、近接したADCビットは、たとえ信号が中間的なビットであっても、常に切り替えられる。ビットトグリングは、ADC36の出力で信号を出す。ADC36の出力は、ビット間に位置する信号の振幅に左右される平均デューティサイクルを持つ。信号は、ADC36の出力を平均することにより、デジタル方式で復元可能である。平均化で信号を正確に復元するには、ADCサンプル周波数が、平均サンプルの周波数よりも大きくなければならない。次には、平均サンプルの周波数は、復元される信号の周波数よりも大きくなければならない。概して、光ファイバージャイロでは、ADCサンプリング周波数は、信号周波数の少なくとも100倍以上である。文献では、ADC入力信号を正確に再構成するには、ADC入力ノイズの総二乗平均(RMS)振幅は、ADCの最下位ビット(LSB)の少なくとも1/3でなければならないということが示されている。RMSノイズ振幅が1/3 LSBより小さい場合、ノイズディザリングは、ジャイロローテーション検出伝達関数におけるデッドバンドや、制限されているADC解像度による追加ローテーション検出ノイズを除去しない可能性がある。
【0021】
実際問題として、共振器16の信号には、多くのノイズ源のため、例えば光量子ショットノイズのため広帯域ノイズがある。広帯域ノイズは、ADC36にディザー信号を提供するのに利用可能である。1/3LSB基準を満たすADC36で十分なノイズを提供するためには、プリアンプ18からADC36までのノイズ帯域幅はおよそ1MHzであろう。RFOGの典型的な変調周波数は、20kHzから約200kHzである。AAフィルター32で遮断する周波数が、変調周波数のちょうど上に設定されている場合、AAフィルターは、ノイズ帯域幅を必要幅よりはるかに小さく制限するであろう。そのため、ADC36入力ではビット補間のために十分なノイズが得られない可能性がある。従って、ADC入力で十分なノイズ振幅を提供しながら、偶数倍音信号の少なくとも第2、第4、第6倍音は受けつけないことが望ましい。
【0022】
図2を参照すると、実施形態は、それぞれのフィルタリング素子210、フィルタリング素子220、RFOG200のCW経路およびCCW経路に使用されている増幅器230、増幅器240を含むことが分かる。実施形態では、フィルタリング素子210、220は、1つのノッチフィルター、または一連のノッチフィルターを含む場合がある。ノッチフィルターは、偶数倍音信号の偶数倍音成分を排除する働きがある。例えば、1つのノッチフィルターを設置して第2倍音を排除し、第4倍音の排除には他のノッチフィルター、第6倍音の排除には他のノッチフィルターを設置していく場合がある。このアプローチにより、偶数倍音信号の望ましい減衰が可能となる。しかもRFOG200の電子機器を飽和させることなく、増幅器230、240が提供する望ましい追加利得を可能にする。しかしながらノッチフィルターが信号の奇数倍音でノイズを通過させる場合もある。矩形波デジタル復調器が使用されれば、これらの周波数でのノイズはARWを増すことができる。矩形波復調器は、一般に、FOG信号処理で使用される。なぜなら単純な構造であり、デジタルプロセッサチップにデジタルゲートをほとんど必要としないからである。
【0023】
矩形波復調器は、変調/復調周波数での信号に鋭敏であるばかりでなく、変調周波数の奇数倍音にも鋭敏である。矩形波復調器の奇数倍音に対する感度は、倍数番号nに反比例する。数式1は、変調奇数倍音でのノイズがどのようにジャイロARW全体に寄与しているかを示している:
【0024】
【数1】

【0025】
ADCの入力ノイズ密度はSinである。これはすべての周波数に対し一定不変であると仮定する。nは奇数倍音番号、kは比例定数である。最小(最良)ARWは、奇数倍音でのノイズを除去した場合に得られる。典型的なアプローチは、AAフィルター32が遮断する周波数を、第3倍音以上の倍音でノイズを除去できるに足るほど低く設定することである。しかしながらAAフィルター32は、極めて低い周波数まで遮断するため、ADCビットのディザリングに必要なノイズも除去する場合がある。数式2は、より低い奇数倍音のみ除去した場合、ARWに何が起こるかを示している:
【0026】
【数2】

【0027】
n_min は、通過を可能にする最も低い奇数倍音である。表2は、様々なn_min のARWにおける分数単位での増加を示す。
【0028】
【表2】

【0029】
n_min = 3では、すべての奇数倍音のノイズがADC36に伝わり、ARWは約11%まで増える。第3倍音のノイズを除去した場合では、(n_min = 5)、ARWはわずか約6%しか増えない。第3から第19倍音でのノイズを除去した後は、より高い倍音を追加除去してもARWに及ぼす影響は取るに足らない(すなわち1%未満である)。そのため、偶数倍音信号の第2、第4、第6倍音の排除、およびADCビットのディザリングのための十分なノイズ通過に加え、フィルタリング素子210、220は、変調周波数のおよそ第3倍音から第19倍音まで、ノイズを有効に排除する可能性がある。しかし第19倍音より上ではノイズを通過させかねない。実施形態に従い、フィルタリング素子210、220により与えられる伝達関数を図3に図表を用いて示す。図4はそのような実施形態に従い、(フィルタリング素子220はもちろんのこと)フィルタリング素子210の構成を図解したものである。
【0030】
図4で図解した実施形態では、プリアンプ18の信号は、周波信号(例えば f またはfmod)、直流(DC)信号、周波信号の偶数倍音(例えば2f、4f、6fなど)で一組の成分を含む偶数倍音信号、および周波信号の奇数倍音(例えば3f、5f、7fなど)で一組の成分を含む奇数倍音信号を含む。フィルタリング素子210では、プリアンプ18の信号は2つの経路に分かれる。1つの経路では、低周波帯域通過フィルター(BPF)410が周波信号の基本成分(例えば1f)のみを通過させ、DC信号、偶数倍音信号、および奇数倍音でのノイズを受けつけない。他の経路では、高周波BPF420が、ADC36ビットディザーリングのために十分なノイズ(例えば第19倍音より上の倍音成分の下位セット)を通過させるが、DC信号、重大な偶数倍音信号(例えば第8倍音より下の倍音成分の下位セット)、および奇数倍音(例えば第19以下の倍音を含む倍音成分の下位セット)での重大なノイズを排除する。2つのBPFである410と420の出力は、加算素子、例えば加算増幅器430や増幅器230の加算ノードで一緒に総計される。増幅器230での増幅後、フィルター処理された信号はADC36でデジタル化される。
【0031】
図3を参照すれば、フィルタリング素子210の利得は、f1より下の低周波数で下がり、DCでゼロに達し、プリアンプ18からのあらゆるDC信号をブロックすることが分かる。利得はf1とf2の間で最大に達し、変調周波数fmod で望ましい信号を通過させる。f2での変調周波数fmodよりちょうど上では、利得は周波数の増加に伴って減少し、偶数倍音信号と奇数倍音ノイズの望ましい減衰を生じさせる。ADC36ビットディザーリング用のノイズを提供するため、フィルタリング素子210の利得は、周波数f3の近くで再び増加する。f3 と f4 間の帯域幅により、ビットのディザリングのためにADC36にもたらされるノイズの量が決まる。実施形態では、この帯域幅はおよそ1MHzであり、ビットのディザリング用に十分なノイズを提供することができる。f4の後、利得は減り、ADCサンプリング周波数fsamp で減衰し、エイリアシングの効果を弱める。
【0032】
上記のように、発明の好適な実施形態を図解・説明したが、発明の意図と範囲から外れることなく、多くの変更が可能である。従って、発明の範囲は、好適な実施形態の開示内容で制限されることはない。代わりに、本発明は、後述する請求項で言及することにより、完全に限定するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光信号を発生させるよう配列された第1の光源(12、14)と、
前記第1の光源へ結合し、前記第1の光信号に基づき第1の光学信号を発生させるよう配列されている共振器素子(16)と、
前記共振器素子へ結合し、第1の光学信号に基づき第1の電気信号、周波信号を含む第1の電気信号、および周波信号の偶数倍音での成分からなる第1の偶数倍音信号を発生させるよう配列されている第1の光検出器(18、28)と、
前記第1の光検出器へ結合し、第1の偶数倍音信号の少なくとも1つの偶数倍音成分を減衰させ、第2の電気信号を生じるよう配列されている、第1のフィルタリング素子(210、220)と、
前記第1のフィルタリング素子へ結合し、第2の電気信号を増幅するよう配列されている、第1の増幅器(230、240)と、
前記増幅器へ結合し、増幅された第2の電気信号をデジタル化するよう配列されている第1のアナログ−デジタルコンバーター(ADC)(36)と
を有することを特徴とする共振器光ファイバージャイロスコープ。
【請求項2】
前記第1のフィルタリング素子が少なくとも1つのノッチフィルターを含むことを特徴とする請求項1に記載のジャイロスコープ。
【請求項3】
共振器光ファイバージャイロスコープ(RFOG)に実装可能な信号調節回路であって、前記RFOGが、第1の光信号を発生させるよう配列された第1の光源(12、14)と、前記第1の光信号に基づき第1の光学信号を発生させるよう配列された共振器素子(16)と、前記第1の光学信号に基づき第1の電気信号を発生させるよう配列された第1の光検出器(18、28)と、周波信号を含む第1の電気信号と、第1の直流(DC)信号と、周波信号の偶数倍音での成分から構成される第1の偶数倍音信号と、周波信号の奇数倍音での成分から構成される第1の奇数倍音信号と、第1のアナログ-デジタルコンバーター(ADC)(36)とを備え、
前記回路が、
第1の光検出器に結合するよう配列され、第1のDC信号、第1の偶数倍音信号の少なくとも1つの偶数倍音成分、および第1の奇数倍音信号の第1奇数倍音成分を減衰させ、第2の電気信号を生ずるよう配列されている、第1のフィルタリング素子(210、220)と、
前記フィルタリング素子に結合し、第2の電気信号を増幅するよう配列され、第1のADCが増幅された第2の電気信号をデジタル化するよう配列されている、第1の増幅器(230、240)と
を有することを特徴とする共振器光ファイバージャイロスコープ(RFOG)に実装可能な信号調節回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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