説明

共用受信装置

【課題】メモリを共用化して装置規模の増大を抑制しながら、地上デジタル放送とモバイル衛星放送との受信を可能にする。
【解決手段】第1のデジタル放送方式による第1の放送信号と第2のデジタル放送方式による第2の放送信号とが入力され、所定の番組を選択するチューナ12T,12Mと、第1及び第2の放送信号に対するデインターリーブ処理用のメモリ16と、チューナから第1の放送信号に基づくデータが与えられて復調処理を行うものであって、メモリを用いて第1の放送信号に基づくデータのデインターリーブ処理を行う第1の復調部13Tと、チューナから第2の放送信号に基づくデータが与えられて復調処理を行うものであって、メモリを用いて第2の放送信号に基づくデータのデインターリーブ処理を行う第2の復調部13Mと、第1及び第2の復調部からの復調出力をデコードするデコーダ14T,14Mとを具備したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星放送システム及び地上放送システムに好適な共用受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送のデジタル化が進められており、地上デジタル放送、衛星デジタル放送のサービスが開始されている。更に、静止衛星からの送信信号をギャップフィラーによって再生中継することで、移動体における放送受信に適したモバイル衛星放送も行われている。
【0003】
日本におけるこれらのデジタル放送システムは、ARIB(Association of Radio Industries and Business)の標準規格によって、伝送方式、符号化方式、受信機方式等の各種方式が規定されている。例えば、地上デジタル放送においては、変調方式としてOFDM(Orthgonal Frequency Division Multiplexing )を採用することが規定されており、モバイル衛星放送においては、変調方式として、CDM(符号化分割多重(Code Division Multiplex)を採用することが規定されている。
【0004】
また、地上デジタル放送及びモバイル衛星放送は、比較的長い時間インターリーブを採用しており、移動体受信に好適である。車や電車等の高速移動時において、フェージングによる振幅変動による受信不良な状態が発生しても、インターリーブによってノイズを分散し誤り訂正を容易にすることで、復号可能な状態にしやすくなっている。特に、モバイル衛星放送では、極めて長い時間インターリーブを採用しており、移動体においても良好な受信性能を得ることができる。
【0005】
ところで、放送受信装置として、地上デジタル放送及び衛星デジタル放送を受信可能な共用受信装置が開発されている。特許文献1には、更にデジタルCATV放送を受信可能にした装置が開示されている。しかし、地上デジタル放送とモバイル衛星放送との受信が可能な共用受信装置は開発されていない。
【0006】
移動体等において、地上デジタル放送とモバイル衛星放送との受信が可能な共用受信装置を採用することが考えられる。ところが、各種方式の相違から、このような共用受信装置においては、回路を個別に設ける必要があり回路規模が増大する。特に、画素数が多い地上デジタル放送に用いるインターリーブ用のメモリは大きな容量が必要であり、また、画素数は少ないが長時間インターリーブを可能にするモバイル衛星放送に用いるインターリーブ用のメモリも大きな容量が必要である。
【特許文献1】特開2000−253379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、メモリを共用化可能とすることにより回路規模の増大を抑制することができる共用受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の共用受信装置は、第1のデジタル放送方式による第1の放送信号と第2のデジタル放送方式による第2の放送信号とが入力され、所定の番組を選択するチューナと、前記第1及び第2の放送信号に対するデインターリーブ処理用のメモリと、前記チューナから第1の放送信号に基づくデータが与えられて復調処理を行うものであって、前記メモリを用いて前記第1の放送信号に基づくデータのデインターリーブ処理を行う第1の復調部と、前記チューナから第2の放送信号に基づくデータが与えられて復調処理を行うものであって、前記メモリを用いて前記第2の放送信号に基づくデータのデインターリーブ処理を行う第2の復調部と、前記第1及び第2の復調部からの復調出力をデコードするデコーダとを具備したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メモリを共用化可能とすることにより回路規模の増大を抑制することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る共用受信装置を示すブロック図である。
【0011】
アンテナ11Tには地上ディジタル放送の高周波信号が誘起する。この高周波信号はチューナ12Tに供給される。チューナ12Tは、受信信号から視聴者の操作に基づく所定のチャンネルを選局して、OFDM復調/FEC部13Tに出力する。地上デジタル放送においては、I軸(In Phase)及びQ軸(Quadrature Phase)の各位相信号に変換された番組データを例えばQPSK変調して伝送するようになっており、OFDM復調/FEC部13TにはI軸,Q軸からなる複素信号が入力される。
【0012】
OFDM復調/FEC部13Tは、入力されたOFDMシンボルに対して高速フーリエ変換(FFT)を施して、元のデータ系列を得る。更に、OFDM復調/FEC部13Tは、送信側の変調方式に対応した復調処理、例えばQPSK復調処理を行う。
【0013】
地上デジタル放送信号は放送局においてインターリーブ処理が施されている。OFDM復調/FEC部13Tは、後述するように、メモリ16を用いて、復調後のデータに対して送信側のインターリーブ処理に対応したデインターリーブ処理を行う。そして、OFDM復調/FEC部13Tはデインターリーブ処理後のデータに対して、誤り訂正処理を行って、元のデータを復元し、CA/デコード部14Tに出力する。
【0014】
地上ディジタル放送は、MPEG2規格又はH.264(MPEG4)規格に従ったストリームを伝送する。即ち、MPEG2規格では、複数のプログラムを1つのストリームで伝送することを考慮したトランスポートストリーム(Transport Stream (TS))でデータを伝送することができる。トランスポートストリームは、固定長のパケット(トランスポートパケット)によって構成されており、ビデオデータ、音声データ及びその他のデータを含んでいる。
【0015】
OFDM復調/FEC部13Tの出力はこのようなトランスポートストリームである。放送局側では、放送信号にスクランブルを施している。CA/デコード部14Tは、デスクランブル処理によって、スクランブルを解除する。
【0016】
CA/デコード部14Tは、MPEG形式で圧縮されている映像データ、音声データをデコードして元のデータに戻した後、表示/スピーカ部15に出力する。こうして、表示/スピーカ部15において地上デジタル放送の希望する番組の映像及び音声が出力される。
【0017】
一方、アンテナ11Mにはモバイル衛星放送の高周波信号が誘起する。この高周波信号はチューナ12Mに供給される。チューナ12Mは、受信信号から視聴者の操作に基づく所定のチャンネルを選局して、I,Q軸の信号をCDM復調/FEC部13Mに出力する。
【0018】
CDM復調/FEC部13Mは、I,Q軸の信号に対してCDM復調処理を行い、CDM復調出力に対してデインターリーブ処理及び誤り訂正処理を行う。モバイル衛星放送信号は放送局においてインターリーブ処理が施されている。CDM復調/FEC部13Mは、後述するように、メモリ16を用いて、復調後のデータに対して送信側のインターリーブ処理に対応したデインタリーブ処理を行う。そして、CDM復調/FEC部13Mはデインターリーブ処理後のデータに対して、誤り訂正処理を行って、元のデータを復元し、CA/デコード部14Mに出力する。
【0019】
放送局側では、契約視聴者以外による視聴を防止するために、モバイル衛星放送信号にスクランブルを施している。CA/デコード部14Mは、予め視聴が許可されている番組、あるいは新たに購入した番組データをデスクランブルする。モバイル衛星放送は、H.264(MPEG4)規格に従って符号化されている。CA/デコード部14Mは、H.264形式で圧縮されている映像データ、音声データをデコードして元のデータに戻した後、表示/スピーカ部15に出力する。こうして、表示/スピーカ部15においてモバイル衛星放送の希望する番組の映像及び音声が出力される。
【0020】
ところで、OFDM復調/FEC部13T及びCDM復調/FEC部13Mは、OFDM復調処理又はCDM復調処理や誤り訂正処理において、図示しないメモリを使用する。これらの処理に用いるメモリは、各処理の要求毎にバス幅の変更等が必要であり、SRAM(Static RAM)が用いられるのが一般的である。また、これらの処理に必要なメモリ容量は、処理毎に殆ど変化しない。
【0021】
一方、デインターリーブ処理は、比較的処理が単純であり、メモリバス幅も固定される。このため、一般的には、デインターリーブ処理には、大容量のDRAM(Dynamic RAM)が採用される。図1のメモリ16はこのようなデインターリーブ処理のためのDRAMを示している。
【0022】
本実施の形態においては、OFDM復調/FEC部13T及びCDM復調/FEC部13Mは、共通のメモリ16を用いてデインターリーブ処理を実施する。即ち、OFDM復調/FEC部13Tは、順次入力されるストリームをメモリ16のメモリ空間にMPEG規格に従った所定の順序で書き込み、MPEG規格に従った所定の順序で読み出すことによってデインターリーブ処理を行う。また、CDM復調/FEC部13Mは、順次入力されるストリームをメモリ16のメモリ空間にH.264規格に従った所定の順序で書き込み、H.264規格に従った所定の順序で読み出すことによってデインターリーブ処理を行う。
【0023】
次に、このように構成された実施の形態の動作について説明する。
【0024】
アンテナ11Tには地上デジタル放送の放送信号が誘起し、アンテナ11Mにはモバイル衛星放送の放送信号が誘起する。いま、チューナ12Tによって、地上デジタル放送の番組を選択するものとする。この場合には、アンテナ11Tに誘起した放送信号はチューナ12Tにおいて所定のチャンネルが選局される。
【0025】
チューナ12Tによって選局された放送信号はOFDM復調/FEC部13Tに与えられ、OFDM復調/FEC部13Tは、入力された信号をOFDM復調すると共に、送信側の変調処理の逆処理によって復調出力を得る。OFDM復調/FEC部13Tは、復調出力をメモリ16に書き込み、所定の順序で読み出すことによって、デインターリーブ処理を行う。OFDM復調/FEC部13Tはデインターリーブ処理後の復調出力を誤り訂正して、CA/デコード部14Tに出力する。
【0026】
CA/デコード部14Tは、MPEG形式で圧縮されている映像データ、音声データをデコードして元のデータに戻した後、表示/スピーカ部15に出力する。こうして、表示/スピーカ部15において、地上デジタル放送の希望する番組の映像及び音声を出力させることができる。
【0027】
次に、チューナ12Mによって、モバイル衛星放送の番組を選択するものとする。この場合には、アンテナ11Mに誘起した放送信号はチューナ12Mにおいて所定のチャンネルが選局される。
【0028】
チューナ12Mによって選局された放送信号はCDM復調/FEC部13Mに与えられ、CDM復調/FEC部13Mは、入力された信号をCDM復調して復調出力を得る。CDM復調/FEC部13Mは、復調出力をメモリ16に書き込み、所定の順序で読み出すことによって、デインターリーブ処理を行う。CDM復調/FEC部13Mはデインターリーブ処理後の復調出力を誤り訂正して、CA/デコード部14Mに出力する。
【0029】
CA/デコード部14Mは、H.264形式で圧縮されている映像データ、音声データをデコードして元のデータに戻した後、表示/スピーカ部15に出力する。こうして、表示/スピーカ部15において、モバイル衛星放送の希望する番組の映像及び音声を出力させることができる。
【0030】
このように、本実施の形態においては、地上デジタル放送の復調を行うOFDM復調/FEC部及びモバイル衛星放送の復調を行うCDM復調/FEC部において、デインターリーブ処理に用いるメモリを共用している。これにより、地上デジタル放送とモバイル衛星放送との受信が可能な装置を構成する場合において、メモリ容量の増大を抑制することができる。
【0031】
例えば、デインターリーブ処理のメモリとしては、地上デジタル放送において規格化されているメモリ容量の1つのメモリを採用して、地上デジタル放送及びモバイル衛星放送の両方の受信が可能である。
【0032】
また、上記実施の形態においては、地上デジタル放送とモバイル衛星放送との切換えは、2つのチューナに対する選局操作によるものとして説明したが、共用受信装置の全体を制御するマンマシンインターフェースとしての図示しないテンキーボード等を利用して、地上デジタル放送とモバイル衛星放送との切換えを行ってもよい。また、チューナが共用された場合等においては、チューナの入力信号のスペクトル解析等によって入力信号の種類を特定し、これにより適応的にOFDM復調/FEC部及びCDM復調/FEC部を制御するようにしてもよい。
【0033】
図2は本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。図2において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
第1の実施の形態においては、地上デジタル放送の受信とモバイル衛星放送の受信とを切換える例を説明した。日本の地上デジタル放送においては、ISDB−T方式が採用されている。ISDB−T方式においては、上述したように、MPEG2規格で規定されたTS(トランスポートストリーム)に、誤り訂正符号化、インターリーブ符号化、デジタル変調等の信号処理が施され、更に、OFDM変調されて出力される。ISDB−T方式では、周波数領域ではキャリア本数108個のOFDMシンボルを1ブロックとし、モードに応じて1,2,4個のブロックで1セグメントを構成する。即ち、1セグメントのキャリア本数は、108、216又は432本である。ISDB−T方式では、13セグメント分の帯域で伝送を行う。また、ISDB−T方式では、伝送特性が異なる複数の階層を同時に伝送する階層伝送が可能である。各階層は、1つ又は複数のOFDMセグメントにより構成され、階層毎にキャリア変調方式、内符号の符号化率、時間インターリーブ長等のパラメータを指定することが可能である。
【0035】
即ち、地上デジタル放送においては、受信チャンネル毎にパラメータが変化し、パラメータに応じてデインターリーブに使用するメモリ量が変化する。従って、地上デジタル放送の受信チャンネルによっては、インターリーブ用のメモリに空き領域が生じる。また、一般的には、規格によって指定されたデインターリーブ用のメモリ容量に対し、実際に使用されるメモリ容量は小さく、デインターリーブ処理時においても、デインターリーブ用のメモリには空き領域が生じている。
【0036】
そこで、本実施の形態においては、地上デジタル放送又はモバイル衛星放送の受信中においてデインターリーブ処理に使用されているメモリ量から、空きメモリ量を求める。そして、受信中でないモバイル衛星放送又は地上デジタル放送の各チャンネルのうち、空きメモリ量の範囲内でデインターリーブ処理が可能なチャンネルを調べて、そのチャンネルに対する選局操作があった場合には受信動作を行うようになっている。
【0037】
本実施の形態においては、OFDM復調/FEC部23Tは、図1のOFDM復調/FEC部13Tと同様の機能を有する。更に、OFDM復調/FEC部23Tは、メモリ16の空き領域を求め、受信した放送信号中に含まれるパラメータに基づいて、選局されたチャンネルに対してメモリ16の空き容量内でデインターリーブ処理が可能か否かを判定する。デインターリーブ処理が可能な場合には、OFDM復調/FEC部23Tは、モバイル衛星放送の受信中においても地上デジタル放送信号の復調処理、デインターリーブ処理及び誤り訂正処理を実施して、復調出力をCA/デコード部14Tに出力するようになっている。この場合には、OFDM復調/FEC部23Tは、モバイル衛星放送の受信に使用しているメモリ16の領域以外の空き領域を用いて、デインターリーブ処理を行う。
【0038】
同様に、CDM復調/FEC部23Mは、図1のCDM復調/FEC部13Mと同様の機能を有する。更に、CDM復調/FEC部23Mは、メモリ16の空き領域を求め、受信した放送信号中に含まれるパラメータに基づいて、選局されたチャンネルに対してメモリ16の空き容量内でデインターリーブ処理が可能か否かを判定する。デインターリーブ処理が可能な場合には、CDM復調/FEC部23Mは、地上デジタル放送の受信中においてもモバイル衛星放送信号の復調処理、デインターリーブ処理及び誤り訂正処理を実施して、復調出力をCA/デコード部14Mに出力するようになっている。この場合には、CDM復調/FEC部23Mは、地上デジタル放送の受信に使用しているメモリ16の領域以外の空き領域を用いて、デインターリーブ処理を行う。
【0039】
表示/スピーカ部15T,15Mは、いずれも表示/スピーカ部15と同様の構成であり、夫々地上デジタル放送又はモバイル衛星放送の画像表示に適した表示領域を有する。表示/スピーカ部15Tは、CA/デコード部14Tの出力に基づいて映像及び音声を出力し、表示/スピーカ部15Mは、CA/デコード部14Mの出力に基づいて映像及び音声を出力する。
【0040】
次に、このように構成された実施の形態の動作について説明する。
【0041】
いま、例えば、モバイル衛星放送を受信中であるものとする。モバイル衛星放送の放送信号は、CDM復調/FEC部23MによってCDM復調され、復調出力がメモリ16に書き込まれる。CDM復調/FEC部23Mは、メモリ16を用いてデインターリーブ処理し、デインターリーブ処理後の復調出力を誤り訂正して、CA/デコード部14Mに出力する。
【0042】
CA/デコード部14Mは、H.264形式で圧縮されている映像データ、音声データをデコードして元のデータに戻した後、表示/スピーカ部15Mに出力する。こうして、表示/スピーカ部15Mにおいて、モバイル衛星放送の希望する番組の映像及び音声を出力させることができる。
【0043】
このモバイル衛星放送の受信中において、地上デジタル放送の所定のチャンネルを選局するものとする。選局された放送信号はOFDM復調/FEC部23Tに与えられ、OFDM復調/FEC部23Tは、入力された信号をOFDM復調すると共に、送信側の変調処理の逆処理によって復調出力を得る。OFDM復調/FEC部23Tは、復調出力に含まれるパラメータに基づいて復調出力のデインターリーブ処理に必要なメモリ量を求める。OFDM復調/FEC部23Tは、現在受信中のモバイル衛星放送に対するデインターリーブ処理に使用しているメモリ量の情報から、選局された地上デジタル放送のチャンネルについてデインターリーブ処理が可能か否かを判定する。
【0044】
OFDM復調/FEC部23Tは、選局チャンネルについてのデインターリーブ処理が可能な場合には、復調出力をメモリ16の空き領域に書き込み、所定の順序で読み出すことによって、デインターリーブ処理を行う。OFDM復調/FEC部23Tはデインターリーブ処理後の復調出力を誤り訂正して、CA/デコード部14Tに出力する。
【0045】
CA/デコード部14Tは、MPEG形式で圧縮されている映像データ、音声データをデコードして元のデータに戻した後、表示/スピーカ部15Tに出力する。こうして、表示/スピーカ部15Mにおいてモバイル衛星放送の番組を映出させながら、表示/スピーカ部15Tにおいて地上デジタル放送の希望する番組の映像及び音声を出力させることができる。
【0046】
このように、本実施の形態においては、デインターリーブ処理に用いるメモリの空き領域を用いて他の放送のデインターリーブ処理が可能である場合には、複数の番組のデインターリーブ処理を共用のメモリを用いて実施する。これにより、回路規模の増大を抑制しながら、複数の放送番組を同時に視聴可能である。
【0047】
また、例えば、地上デジタル放送受信時においてモバイル衛星放送を受信することも可能である。更に、地上デジタル放送及びモバイル衛星放送のいずれについても、放送の一部、例えば音声チャンネルのみ、特定チャンネル、EPGチャンネルのみを同時並行受信して映像及び音声の出力を行うようにしてもよい。
【0048】
なお、本実施の形態は、デインターリーブ処理に使用されていないメモリの空き領域を用いてデインターリーブ処理が可能なチャンネルを調べて、そのチャンネルに関する情報をユーザーに提示するようにしてもよい。また、メモリの空き領域を用いてデインターリーブ処理が可能なチャンネル以外のチャンネルがユーザーによって選局された場合には、選局したチャンネルを同時に受信することができない旨、ユーザーに提示するようにしてもよい。更に、メモリの空き領域を用いてデインターリーブ処理が可能なチャンネル以外のチャンネルがユーザーによって選局された場合には、現在デインターリーブ処理を行って受信中のチャンネルに代えて、後から選局されたチャンネルを受信するようにしてもよい。
【0049】
図3は本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。図3において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
地上デジタル放送においては、13セグメントを用いた伝送だけでなく、中央部の1セグメントを用いた伝送が行われている。この1セグメントは、デインターリーブ処理を含む各処理がそのセグメント内のみで完結しており、1セグメントのみで受信可能な受信機を構成することができる。本実施の形態は地上デジタル放送の受信部がこのような1セグメントの受信を行うものに適用した例である。このような1セグメントはH.264規格で符号化されており、CA/デコード部をモバイル衛星放送用と地上デジタル放送用とで共用化可能である。
【0051】
図3において、CA/デコード部14Mは図1及び図2のCA/デコード部14Mと同一構成である。CA/デコード部14Mは、OFDM復調/FEC部13T又はCDM復調/FEC部13Mからの復調出力が与えられて、デスクランブル処理及びデコード処理を行って、映像信号及び音声信号を表示/スピーカ部15に出力するようになっている。
【0052】
このように構成された実施の形態においては、OFDM復調/FEC部13T及びCDM復調/FEC部13Mがメモリ16を共用してデインターリーブ処理を行うことは、第1の実施の形態と同様である。OFDM復調/FEC部13T及びCDM復調/FEC部13Mからの復調出力はCA/デコード部14Mに供給される。
【0053】
CA/デコード部14Mは、H.264形式で圧縮されている映像データ、音声データをデコードして元のデータに戻した後、表示/スピーカ部15Mに出力する。こうして、表示/スピーカ部15Mにおいて、地上デジタル放送又はモバイル衛星放送の希望する番組の映像及び音声を出力させることができる。
【0054】
このように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果が得られると共に、CA/デコード部を共用化することで、装置規模を一層削減することができる。
【0055】
なお、上記各実施の形態においては、地上デジタル放送とモバイル衛星放送とで、デインターリーブ処理用のDRAMを共用化する例について説明したが、デインターリーブ処理用以外の例えばSRAM等のメモリを共用化するようにしてもよい。
【0056】
また、上記各実施の形態は、地上デジタル放送とモバイル衛星放送とで、受信装置のメモリを共用化する例について説明したが、地上デジタル放送及びモバイル衛星放送に限らず、放送方式が異なる2つの放送相互間で、メモリを共用化した受信装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る共用受信装置を示すブロック図。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示すブロック図。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示すブロック図。
【符号の説明】
【0058】
12T,12M…チューナ、13T…OFDM復調/FEC部、13M…CDM復調/FEC部、14T…CA/デコード部、14M…CA/デコード部、16…メモリ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデジタル放送方式による第1の放送信号と第2のデジタル放送方式による第2の放送信号とが入力され、所定の番組を選択するチューナと、
前記第1及び第2の放送信号に対するデインターリーブ処理用のメモリと、
前記チューナから第1の放送信号に基づくデータが与えられて復調処理を行うものであって、前記メモリを用いて前記第1の放送信号に基づくデータのデインターリーブ処理を行う第1の復調部と、
前記チューナから第2の放送信号に基づくデータが与えられて復調処理を行うものであって、前記メモリを用いて前記第2の放送信号に基づくデータのデインターリーブ処理を行う第2の復調部と、
前記第1及び第2の復調部からの復調出力をデコードするデコーダと
を具備したことを特徴とする共用受信装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の放送信号の符号化方式が共通であり、
前記デコーダは、前記第1及び第2の復調部からの復調出力に対して共通の処理を行う共用のデコード部によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の共用受信装置。
【請求項3】
前記第1及び第2復調部は、前記復調出力に含まれるパラメータに基づいて前記復調出力のデインターリーブ処理に必要なメモリ量を求めることを特徴とする請求項1に記載の共用受信装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の復調部の一方は、前記第1及び第2の復調部の他方によって前記メモリが使用されている場合には、前記メモリの空き領域を使用して前記デインターリーブ処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の共用受信装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の復調部は、前記第1及び第2の放送信号の一方のデインターリーブ処理に前記メモリが使用されている場合には、使用されていない前記メモリの空領域の容量と前記第1及び第2の放送信号の他方に基づくデータに対するデインターリーブ処理に必要な容量との比較によって、各チャンネル毎に前記他方の放送信号の受信が可能か否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の共用受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−5298(P2009−5298A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166789(P2007−166789)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】