説明

共通先端チャンバブレード

【課題】 本発明は、総括的にはガスタービンエンジンに関し、より具体的にはタービンブレードの冷却に関する。
【解決手段】 タービンブレード(10)は、対向する前縁と後縁(26、28)との間で離間して配置された正圧側壁と負圧側壁(22、24)とを有し、複数の隔壁(42)によって相互接続された第1及び第2の独立した冷却回路(44、46)を定めるエーロフォイル(16)を含む。冷却回路(44、46)は、ブレード(10)のダブテール(20)の対応する入口を有し、ブレードのプラットフォーム(18)を通り、及びエーロフォイル(16)を通ってその先端(32)まで延びる。共通吐出チャンバ(52)は、エーロフォイル先端(32)の下に配置され、回路から冷却空気を吐出するための複数の出口孔(54、56)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的にはガスタービンエンジンに関し、より具体的にはタービンブレード冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンでは、空気が圧縮器で加圧され、燃焼器で燃料と混合されて高温燃焼ガスを発生する。幾つかの列又は段のタービンブレードにおいて燃焼ガスからエネルギーが抽出されて、圧縮器に動力を供給し、ターボファン航空機エンジン用途においてはファンに動力を供給し、又は船舶及び産業用途においては外部駆動シャフトに動力を供給する。
【0003】
高圧タービン(HPT)は、1つ又はそれ以上の段を含み、最初に燃焼器から高温ガスを受け取り、圧縮器から抽気された加圧空気の一部を全体にわたって運ぶことによって通常は内部冷却される。各タービンブレードは、一体的なプラットフォーム及び支持ダブテールから半径方向外側に延びるエーロフォイルを含む。エーロフォイルは中空であり、抽気空気又は冷却空気を受け取るための入口をダブテールのベースに有する、種々の冷却回路を含む。
【0004】
タービンブレード冷却は、エーロフォイルの対向する正圧側面と負圧側面にわたって、及び軸方向に対向する前縁と後縁の間、並びに半径方向に対向する内側根元と外側先端の間の燃焼ガスからの変化する熱負荷に対処するために調整される冷却回路の種々の構成で密集した状態にある。各エーロフォイルは、側壁を通る典型的なフィルム冷却孔の列を含み、該孔は、エーロフォイルの外表面にわたる対応する断熱フィルムにおいて使用済み冷却空気を吐出する。
【0005】
内部冷却回路はエーロフォイルのスパンに沿って半径方向に延びる対応する隔壁又はブリッジによって互いに軸方向に分離された半径方向のチャネル又はレッグを含む。専用冷却レッグは、特定の冷却用に前縁のすぐ後ろで後縁のすぐ前で使用してもよい。エーロフォイルの翼弦中央領域は更に、エーロフォイルの根元と先端の間の冷却空気の半径方向の流れを交互にする、複数の半径方向レッグを有する典型的には蛇行回路の形態での専用冷却チャネルを含む。
【0006】
1つ又はそれ以上の蛇行冷却回路は、前縁及び後縁に沿って冷却レッグと組み合わせるか、又は独立して使用することができる。冷却回路はまた、正圧側面と負圧側壁の内部表面に沿った様々な形式の短いリブ又はタービュレータを含み、冷却空気を遮って伝熱を増加させる。
【0007】
ガスタービンエンジンに備えられるタービンブレードは、エンジンが運転される局所的環境に影響される。更に、エンジンの最低重量は通常、主要な設計目標であり、特に航空機エンジンでは、航空機に組み込まれた時に、エンジン及び関連する装置の寸法及び複雑さを制限する。
【0008】
例えば、ダストの多い環境でガスタービンエンジンを運転すると、圧縮器を通ってダスト粒子を運ぶことになり、該ダスト粒子はまた、タービンブレードに使用される冷却空気中に混入される。タービンブレードの冷却回路は比較的小さく、種々のフィルム冷却孔の列を含む小さな要素を備えている。典型的なフィルム冷却孔は直径約10−15ミルであり、運転中にダストが蓄積し易い。
【0009】
従って、混入されたダスト粒子が容易にエーロフォイルを出て、該エーロフォイル又はより小さなフィルム冷却孔におけるダスト蓄積を最小にすることを可能にするために、エーロフォイル先端に比較的大きなダスト孔を含むことは、一般的な方法である。典型的なダスト孔の直径は、小さなフィルム冷却孔の直径の数倍の約25〜60ミリである。
【0010】
更に、典型的なタービンブレードの先端領域はまた、その耐久性及び長い耐用年数を保証するために専用の冷却を必要とする。典型的なエーロフォイル先端は、エーロフォイルの半径方向外側端部が閉じている薄い平板であり、典型的にはスケーラー又は先端リブの形態の正圧及び負圧側壁の短い延張部を含む。スケーラーリブは、エーロフォイルから冷却空気及び任意のダストを吐出するためにダスト孔が配置された、外側に開いた先端キャビティを定める。先端はまた、典型的には先端自体及び隣接したスケーラーリブを冷却するための幾つかの小さな冷却孔を含む。
【0011】
ダスト孔は通常、フィルム冷却孔及び先端冷却孔よりはるかに大きいので、該冷却孔自体は冷却効果がほとんどなく、各エーロフォイルによって運ばれる必要のある冷却空気の流量がこれに伴い増大する。この抽気空気は燃焼プロセスにおいては使用されないので、エーロフォイルを通って運ばれるこうしたどのような過剰な空気も、これに従ってガスタービンエンジンの全体的な効率を低下させる。
【0012】
大きなダスト孔のこの問題が更に悪いことには、使用される複数の独立した冷却回路の個々のタービンブレードには、複数の大きなダスト孔が通常必要となる。燃焼ガスの圧力分布が、前縁と後縁との間、並びにエーロフォイルの正圧側面及び負圧側面に沿ってエーロフォイルの外表面にわたり変化するので、独立した冷却回路が各エーロフォイルの内部に通常設けられ、共通の圧力抽気空気が供給される。
【特許文献1】特開平10−280905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
冷却空気がエーロフォイル内の独立した回路を通って運ばれると、各冷却回路の入口と、エーロフォイル側壁に沿ったフィルム冷却孔、薄い後縁に沿った後縁孔、及びエーロフォイル先端における先端冷却孔などといった様々な出口との間で圧力損失又は圧力低下を受ける。各回路及びその様々な出口孔は、運転中に高温燃焼ガスのエーロフォイルへの吸い込みを防ぐために出口孔の各々で適切な逆流マージンを保持するように特別に設計されている。逆流マージンは、各タービンブレード内の様々な冷却回路を構成する上で主要な設計目標である。
【0014】
従って、ダスト孔を通る空気の吐出を最小限にするためにタービンブレードを改善することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
タービンブレードは、対向する前縁と後縁との間で離間して配置された正圧側壁と負圧側壁とを有し、複数の隔壁によって相互接続された第1及び第2の独立した冷却回路を定めるエーロフォイルを含む。冷却回路は、ブレードのダブテールの対応する入口を有し、ブレードのプラットフォームを通り及びエーロフォイルを通ってその先端まで延びる。共通吐出チャンバは、エーロフォイル先端の下に配置され、回路から冷却空気を吐出するための複数の出口孔を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明並びに本発明の別の目的並びに利点は、例示的な好ましい実施形態に従って、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明において具体的に説明される。
【0017】
図1に示されるのは、軸方向のセンタライン軸14を有する支持ロータディスク12から半径方向外側に延びる例示的なタービンロータブレード10である。タービンブレード10は、航空機用エンジン、もしくは例えば船舶又は発電機に動力を供給するための船舶用エンジン又は産業用エンジンのいずれかとして構成された、ガスタービンエンジンにおける高圧タービンの例示的な第2段の幾つかのブレード列の1つである。
【0018】
タービンブレード10は、エーロフォイル16、プラットフォーム18、及び典型的な一体鋳造で一体的に接合されたダブテール20を含む。エーロフォイルは、ほぼ凹面の正圧側壁22、及び円周方向で反対側にあるほぼ凸面の負圧側壁24を含み、これらは軸方向又は翼弦方向に対向する前縁及び後縁26、28で一体的に接合される。この2つの側壁は、プラットフォーム18にある内側根元30から反対側の半径方向外側先端32まで半径方向スパンで延びている。
【0019】
ブレード先端32は、エーロフォイルの半径方向外側端部を閉じる薄い平板の形態であり、2つの側壁22、24は、好ましくは、対応する小さなスケーラー先端リブ34に沿って先端32から半径方向外側に延びて、外部先端キャビティ36を有する先端キャップを全体的に定める。
【0020】
ガスタービンエンジンの運転中、高温燃焼ガス38は燃焼器(図示せず)から吐出され、個々のタービンエーロフォイル16の周りを軸方向後方に流れ、内側プラットフォーム18が燃焼ガスの半径方向内側境界を定める。更に、各エーロフォイルは中空であり、ブレードを内部冷却するために圧縮器(図示せず)から抽気された加圧冷却空気40をブレードダブテールを介して受け入れる。
【0021】
図1及び2を参照すると、2つの側壁22、24は、エーロフォイルの前縁及び後縁26、28の間に横方向又は円周方向で離間して配置され、通常の鋳物中にある2つの側壁と一体的に接合された複数の好ましい無孔リブ又は隔壁42によって局部的に相互接続される。幾つかの隔壁は、図示された第1及び第2の独立した蛇行冷却回路44、46などの、エーロフォイルの内側にある複数の内部冷却回路を定めるのに使用される。
【0022】
冷却回路の各々は、圧縮器から冷却空気40を受け取るためのダブテール20の下側ベースにおいて対応する入口を含む。各ダブテール20は、支持ロータディスク12の周辺に形成された対応する軸方向ダブテールスロットにおいて、保持のために軸方向に延びた複数の中子又はローブを通常含む、従来型の構成を有する。冷却回路は、ダブテールから延び、及びプラットフォーム18並びにエーロフォイル16を通って平行に該エーロフォイルの根元と先端との間を流れる。
【0023】
冷却回路44、46は、図示された例示的な3パス蛇行回路のような、任意の従来型構成を有してもよい。従って、第1の回路44は、エーロフォイル根元と外側先端32との間にスパンで延びる3つの半径方向のレッグ又はチャネルを含む。この3つのレッグは、第1の3つの半径方向隔壁42によって定められ、これに応じて、各後続のレッグにおいて冷却空気の方向を反転させるために180度の湾曲又は転回を備えて半径方向内側又は外側に延びる。
【0024】
第2の回路46は、これに応じて内側根元と外側先端32との間にスパンで延びる3つのレッグ又はチャネルを含む。第2の回路46の3つのレッグは、最後の3つの半径方向の隔壁42によって同様に定められ、第2の回路を通る冷却空気の方向を反転させるために、対応する180度の転回又は湾曲を備えて半径方向内側又は半径方向外側に延びる。
【0025】
冷却回路の様々なチャネルは、正圧側壁及び負圧側壁の内面上に従来型のタービュレータ(図示せず)を含むことができ、冷却空気がエーロフォイルを通って半径方向に流れるときに、冷却空気を局部的に遮ることにより熱伝達を向上させる。このようにして、冷却空気は、エーロフォイルの外側の燃焼ガスの種々の熱負荷に対応するために必要とされるエーロフォイルの異なる部分を冷却するために、蛇行回路の複数のレッグを通じて運ばれる際に対流によってエーロフォイルが冷却される。
【0026】
回路からの使用済み冷却空気は、エーロフォイルの側壁を通って傾斜する小さなフィルム冷却孔48の幾つかの列のような様々な従来型出口を通り、並びに任意の従来型構成のエーロフォイルの薄い後縁を通って軸方向後方に延びる小さな後縁冷却孔50を通って吐出することができる。
【0027】
図3に最も良く示されているように、エーロフォイルは更に、2つの冷却回路44、46と流れ連通したエーロフォイル先端32のすぐ下に配置された共通吐出又は出口チャンバ52を含む。これに応じて、先端32は、2つの回路44、46から冷却空気40を吐出するために複数の異なる寸法の出口孔54、56を含む。
【0028】
より具体的には、エーロフォイル先端は、単一の大きなダスト孔54、並びに残りの複数の小さな冷却孔56を含む。単一のダスト孔54は、直径Aの円筒状であり、小さな冷却孔56の各々が同一の直径Bを備えた円筒状とすることができる。
【0029】
先端冷却孔56は、冷却空気必要量を最小限にするために、各孔のまわりの先端32を局部的に冷却する、通常は比較的小さい従来型の任意のサイズを有することができる。例えば、先端冷却孔56の直径Bは約10から約20ミルとすることができる。
【0030】
反対に、単一のダスト孔54は、冷却孔56の直径Bの約2倍の直径Aを有し、約25から約60ミルまでの例示的な範囲にあるものとすることができる。従って、単一のダスト孔54は、個々の冷却孔56の各々よりも約4倍の吐出流れ面積を有する。
【0031】
このように、共通先端チャンバ52は、2つの冷却回路44、46からの吐出空気を集め、該空気を共通のダスト孔54及び先端孔56を通じて、流れ連通で配置された外部先端キャビティ36に吐出する。従って、単一のダスト孔は、2つの冷却回路から空気を吐出し、これによってそこに含まれている全てのダストを吐出して、エーロフォイルの内部に蓄積したダストを最小限にするのに使用される。
【0032】
従って、2つの個別に独立した冷却回路に対して2つの個別の独立したダスト孔を使用するのではなく、2つの冷却回路は、互いに独立したままであるが、共通の出口チャンバ52に吐出し、そこから収集された空気中のダストが単一のダスト孔54を通って吐出することができる。従って、単一のダスト孔54は、両方の冷却回路として使用され、これに対応して、複数の冷却回路につき複数の大きなダスト孔を有する従来型のタービンブレードと比較してタービンブレードの冷却空気必要量が低減される。
【0033】
共通先端チャンバ52の別の利点は、単一のダスト孔54とは無関係に先端32全体を冷却するための残りの小さな先端冷却孔56の位置をこれに応じて調整することが可能であることである。先端チャンバ52は、運転中に外部先端キャビティ36を流れる燃焼ガスに十分な逆流マージンを維持すると共に、使用済みの加圧冷却空気40を集めることができる局部的に大きなプレナムを提供する。
【0034】
小さな先端冷却孔56の各々は、貫通して吐出される冷却空気量を制限又は計量し、単一の大きなダスト孔54に比べて、これらは冷却空気を全体として吐出する。2つ又はそれ以上の大きなダスト孔の代わりに単一のダスト孔54を小さな先端冷却孔と組合せて使用すると、ブレードの先端キャップ領域の冷却構成が改善される。
【0035】
上述のように、図2及び3で示された2つの冷却回路44、46は、図示された3パス蛇行冷却回路のような様々な従来型の構成を有することができる。例えば、2つの回路44、46の対応する最後のレッグは、エーロフォイル先端のすぐ下にある共通チャンバ52で終端する。
【0036】
図2及び3で示された例示的な実施形態では、5つの半径方向の隔壁42は、その翼弦に沿ったエーロフォイルを分割して、2つの冷却回路44、46の対応する6つのレッグを形成するのに使用される。中央又は中央翼弦隔壁は、エーロフォイルの中央近傍で前縁と後縁26、28との間で翼弦方向に配置される。第1の蛇行冷却回路44は、同様に、中央隔壁42と前縁26との間に配置され、第2の蛇行冷却回路46は、中央隔壁と後縁28との間に配置される。
【0037】
図3で示された中央隔壁は、前縁と後縁26、28との間に配置された5つの隔壁のうちの第3の隔壁である。これらの5つの隔壁は、これに応じて順に、エーロフォイル内部の2つの冷却回路の6つの半径方向チャネル又はレッグを形成する。第1のレッグは、前縁26のすぐ後ろに配置され、第6のレッグは、後縁28のすぐ前に配置される。
【0038】
図2及び3で示された例示的な構成では、第1の冷却回路44の最後又は第3のレッグが、中央又は第3の隔壁42の前方の側部に沿って配置され、第2の冷却回路46の最後のレッグは、同様に、エーロフォイルの内部の第4のレッグとして中央隔壁の反対側の後方側部に沿って配置される。
【0039】
その結果、第1の回路44の第1のレッグは、前縁26のすぐ後ろに配置され、その流れを第1と第3のレッグの間に配置された第2のレッグへ後方に運ぶ。第2の回路46の第1のレッグは、後縁28のすぐ後ろに延びて、その流れを前方に、エーロフォイルの内部の第5のレッグ位置を占める蛇行回路の第2のチャネルに運ぶ。
【0040】
このように、2つの3パス蛇行回路44、46は、エーロフォイルの前縁と後縁26、28に沿ったそれぞれの入口チャネルを有し、図2で示されるようなダブテールのベースの対応する入口からこれらの入口空気を受け取る。第1の蛇行回路44は、冷却空気をエーロフォイルの翼弦中央の後方に運び、一方、第2の蛇行回路46は、該空気をエーロフォイルの翼弦中央の前方に運ぶ。2つの回路の2つの最後のレッグは、上で示されるような共通の先端チャンバ52にこれらの使用済み冷却空気を吐出する。
【0041】
図2に示すように、第1と第5の隔壁は、共通の中央隔壁又は第3の隔壁に隣接するこれらのベースで局部的な遮断部を有し、ダブテールからの入口空気の一部が2つの回路の最後のレッグを通って吐出されている冷却空気に再度エネルギーを与えることを可能にする。
【0042】
図3に最も良く示されているように、第1の回路44は、好ましくは、第1の回路の最後のレッグを境界付ける第2の隔壁42の外側端部と一体的に接合するために、エーロフォイルの前縁の近くの先端32から半径方向内側に延びる前方湾曲部又はブリッジ58を含む。同様に、第2の冷却回路46は更に、後縁の近傍のエーロフォイル先端32から第2の回路の最後のレッグを境界付ける第4の隔壁42の外側端部まで半径方向内側に延びる後方湾曲部又はブリッジ60を含む。2つのブリッジ58、60は、互いに翼弦方向に間隔を置いて配置されて配置され、翼弦方向で中央隔壁42にまたがる共通チャンバ52の前方及び後方端部を定める。
【0043】
このように、2つのブリッジ58、60は、先端32まで延びる第2及び第4の隔壁42の一体的な延伸であり、それぞれの最後のレッグから2つの回路の各々の最初の2本のレッグを分離する。共通出口チャンバ52は、2つの回路から集めた吐出流を受け入れるため比較的大きい。更に、ブリッジ58、60の各々は、平坦な先端32に対して傾斜又は斜めであり、これに応じて、2つの回路の最初の2つのレッグ間で180度の外側への転回又は湾曲を定める。
【0044】
傾斜したブリッジ58、60を用いて、エーロフォイルの半径方向外側先端のすぐ下にある、対応する2つの回路の第1及び第2のレッグとの間の冷却空気の転回効率を増加させることができる。更に、エーロフォイル先端は、それぞれのブリッジ58、60の外側にあり、且つエーロフォイルの対応する前縁と後縁の直近にある先端キャビティ36へ冷却空気の一部を直接吐出するために、2つの回路の対応する第1のレッグと半径方向で一列に並ぶ先端冷却孔56の対応する1つを含むことができる。
【0045】
これに応じて、傾斜したブリッジ58、60は、共通先端チャンバ52の寸法を増加させ、且つすぐ上にある先端32の利用可能な面積を増加させて、共通の大きなダスト孔54と共に好適な数の小さな先端冷却孔56が導入される。
【0046】
上記に示すように、エーロフォイルの内部冷却回路は、これらの使用済み冷却空気を共通先端チャンバ52に吐出する種々の構成を有することができる。図4は、一部分を概略的に示したほぼ同一の第2の冷却回路46を含むエーロフォイルの1つの変形形態と、共通先端チャンバ52の後方部分を定める対応する後方ブリッジ60を示す。しかしながら、この実施形態では、参照符号62で示された第1の蛇行回路は、ほぼ同じ第1の3つの隔壁42を使用した図3に示された対応する第1の回路44とは逆方向に構成される。
【0047】
図4に示す実施形態では、第1の回路62の最後のレッグは、ここでは中央隔壁42の前方側から離れた前縁26のすぐ後ろに配置されている。代わりに、第1の回路62の第1のレッグは、第1の2つの隔壁間に配置されているこの回路の第2のレッグと共に、中央隔壁の前方側に沿って真っ直ぐに延びている。
【0048】
図4に示された実施形態では、先端32から半径方向内側に間隔を置いて配置されて配置され且つこれらの間でほぼ平行な異なる形式の前方ブリッジ(参照符号64で示される)を含む。前方ブリッジ64は、第1の回路62の別の又は第1の隔壁の半径方向外側端部を中央隔壁42の半径方向外側端部と相互接続する。
【0049】
この方法では、第1及び第3の隔壁は、前方ブリッジ64によって共に接合されて第1及び第2のレッグ間で第1の回路62の第1の転回又は湾曲を形成し、これらはエーロフォイルの第3及び第2のチャネルに配置される。第1の冷却回路62の最後のレッグは、エーロフォイルの第1のチャネルに配置され、且つ使用済み冷却空気を、共通先端チャンバ52の前方端部に吐出し、該チャンバは、ここでは、前方ブリッジ64上の前方部分に、及び第1の実施形態から繰り返される後方ブリッジ60によって後方部分に定められる。
【0050】
共通チャンバ52は、この場合も、冷却効果を最大にするために単一のダスト孔54と小さな先端冷却孔56とを先端にわたって適切な分布で含む。
【0051】
図5は、エーロフォイル内部の冷却回路の更に別の変形形態を示す。第1の蛇行回路44及び前方ブリッジ58は、図3に示された第1の実施形態で備えられるものとほぼ同一である。
【0052】
しかしながら、第2の蛇行冷却回路(参照符号66で示される)は、図3及び4で示されたものと反対に構成される。この実施形態では、第2の回路66の最後のレッグは、中央又は第3の隔壁42の後方側から離れた後縁28のすぐ前に配置される。
【0053】
これに応じて、第2の回路66の第1のレッグは、中央隔壁の後方側に沿って配置され、次いで、順に、第2の回路の第2及び第3のレッグが続き、これに応じて、これらはエーロフォイルの第4、第5及び第6のチャネルを占める。
【0054】
図5に示される変形形態において、後方ブリッジ(参照符号68で示される)は、後縁近傍の先端32から半径方向内側に間隔を置いて配置されて配置され、中央又は第3の隔壁42を第2の回路66の別の又は最後の隔壁と相互接続する。このように、後方ブリッジ68は、先端32と平行に配置され、第2の回路66の第1と第2のレッグとの間に第1の転回又は湾曲を定める。更に、後方ブリッジ68は、共通先端チャンバ52の後方部分を所定位置に定め、その前方部分は傾斜した前方ブリッジ58によって定められている。
【0055】
図5に示されたこの実施形態では、2つの蛇行回路44、66は、ブレード先端での冷却効果を最大にするために先端32によって適切に分布させることができる単一のダスト孔54及び幾つかの先端冷却孔56を通って吐出させるために、この場合もやはり使用済み冷却空気を共通先端チャンバ52に吐出する最後のレッグを有する。
【0056】
図6は、傾斜ブリッジ58、60の代わりに使用されたこれらの対応する平行な前方及び後方ブリッジ64、68と共に、図4からの第1の冷却回路62と図5からの第2の冷却回路66とを組合せた蛇行冷却回路の別の態様を示す。
【0057】
この実施形態では、第1の回路62の最後のレッグは、この場合もやはり中央隔壁42の前方側から離れた前縁26のすぐ後ろに配置される。更に、第2の回路66の最後のレッグは、中央隔壁の後方側から離れた後縁28のすぐ前に配置される。
【0058】
これに応じて、第1の回路62の第1のレッグは、中央隔壁の前方側に沿って真っ直ぐに延び、第2の回路66の第1のレッグは、中央隔壁の後方側に沿って真っ直ぐに延びる。
【0059】
2つのブリッジ64、68は互いに共平面にあり、これらの間に共通先端チャンバ52を定めるようにエーロフォイル先端32と平行である。2つのブリッジ64、68は、第1、第3及び第5の隔壁の半径方向外側端部を一体的に相互接続し、第2及び第4の隔壁の外側端部が半径方向内側に間隔を置いて配置され、2つの回路62及び66の対応する第1の転回又は湾曲を定める。
【0060】
図6に示された共通先端チャンバは、ここでは前縁と後縁の間で先端32のすぐ下のエーロフォイルの全翼弦範囲を延びている。共通チャンバ52はまた、前方ブリッジ及び後方ブリッジのすぐ上に配置され、且つ対応する前縁と後縁にそれぞれ沿ったこれらの最後のレッグから、2つの蛇行回路62、66からの使用済み冷却空気を受け取る。
【0061】
エーロフォイル先端32は、この場合もやはり、エーロフォイル先端で使用済み冷却空気の冷却効果を調整するために、分布された先端冷却孔56内に適切に位置付けられた単一のダスト孔54を含む。
【0062】
図3から図6に示された蛇行冷却回路の種々の実施形態は、前縁及び後縁、並びに正圧側面及び負圧側壁に沿ったエーロフォイルの内部冷却の調整を可能にする。4つの実施形態全てにおいて、共通先端チャンバ52は、先端32のすぐ下に設けられ、単一のダスト孔54及びより小さな先端冷却孔56を含む。共通チャンバ52を境界付ける、異なる形式の前方及び後方ブリッジは、内部冷却回路の異なる構成に関連して、エーロフォイル先端自体の冷却を調整することを可能にする。
【0063】
2つの複数パスの蛇行冷却回路が上述の様々な実施形態で示されてきたが、別の冷却回路をまたエーロフォイルに組み入れてもよく、エーロフォイルの前縁又は後縁に沿った専用の単一レッグの冷却チャネルを含むことができる。蛇行冷却回路の様々な形式を使用して、複数の独立した冷却回路において単一のダスト孔を使用する共通の利点を全て共有することができる。更に、様々な形式の先端キャップを垂直又は傾斜したスケーラーリブ付きの正圧側面先端シェルフを含めて使用することができる。
【0064】
本発明の好ましく且つ例示的な実施形態であると考えられるものを本明細書でこれまで述べてきたが、本発明の他の変形形態がここの教示から当業者には明白になるはずである。なお、特許請求の範囲に記載された符号は、理解容易のためであってなんら発明の技術的範囲を実施例に限縮するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】一部分が示された、支持ロータディスクから半径方向外側に延びるガスタービンエンジンの例示的なタービンロータブレードの部分断面等角図。
【図2】図1の線2−2に沿って見たタービンブレードの断面立面図。
【図3】図2に示されたブレードの先端領域の拡大断面図。
【図4】別の実施形態による図2で示されたブレードの先端領域の拡大断面図。
【図5】別の実施形態による図2で示されたブレードの先端領域の拡大断面図。
【図6】別の実施形態による図2で示されたブレードの先端領域の拡大断面図。
【符号の説明】
【0066】
10 タービンブレード
18 プラットフォーム
20 ダブテール
22 正圧側壁
24 負圧側壁
26 前縁
28 後縁
32 エーロフォイル先端
44 第1の蛇行回路
46 第2の蛇行回路
52 共通先端チャンバ
54 大きいダスト孔
56 小さい先端冷却孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに一体的に接合されたエーロフォイル(16)、プラットフォーム(18)、及びダブテール(20)を備え、
前記エーロフォイルが、対抗する前縁と後縁(26、28)において互いに接合された対向する正圧側壁と負圧側壁(22、24)とを含み、且つ前記プラットフォームの根元(30)から反対側の先端(32)までスパンで延びており、
前記側壁(22、24)が、前記前縁と後縁との間で離間して配置されて複数の隔壁(42)によって相互接続され、前記ダブテール(20)において対応する入口を有し且つ前記プラットフォーム(18)と前記エーロフォイル(16)を通って前記先端(32)の下に配置された共通の吐出チャンバ(52)まで延びた第1及び第2の独立した蛇行冷却回路(44、46)を定め、
前記先端が、前記回路(44、46)から冷却空気(40)を吐出するために、単一のダスト孔(54)と残りの複数の小さな冷却孔(56)とを含むことを特徴とするタービンブレード(10)。
【請求項2】
前記エーロフォイル(16)が更に、前記前縁と前記後縁(26、28)との間で翼弦方向に配置された中央隔壁を含み、
前記第1の回路(44)が前記中央隔壁と前記前縁(26)との間に配置され、前記第2の回路(46)が前記中央隔壁と前記後縁(28)との間に配置されており、
前記蛇行第1及び第2の回路(44、46)の各々が、前記エーロフォイル根元(30)と前記先端(32)との間をスパンで延びた複数のレッグを含み、対応する最後のレッグが前記共通チャンバ(52)で終端する請求項1記載のブレード。
【請求項3】
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前記第1の回路(44)の最後のレッグが、前記中央隔壁(42)の前方側に沿って配置され、前記第2の回路(46)の最後のレッグが前記中央隔壁(42)の反対の後方側に沿って配置される請求項2記載のブレード。
【請求項4】
前記第1の回路(44)が更に、前記先端(32)から前記最後のレッグを境界付ける前記隔壁(42)のうちの1つまで内側に延びる前方ブリッジ(58)を含み、前記第2の回路(46)が更に、前記先端(32)から前記最後のレッグを境界付ける前記隔壁(42)のうちの1つまで内側に延びて、前記中央隔壁の上に配置された前記共通のチャンバ(52)を定める請求項3記載のブレード。
【請求項5】
前記第1の回路(62)の最後のレッグが、前記中央隔壁(42)の前方側から離れた前記前縁(26)の後ろに配置され、前記第2の回路(46)の最後のレッグが、前記中央隔壁(42)の反対の後方側に沿って配置される請求項2記載のブレード。
【請求項6】
前記第1の回路(62)が更に、前記先端(32)から内側に間隔を置いて配置され、前記中央隔壁を前記第1の回路(62)の別の隔壁と相互接続させた前方ブリッジ(64)を含み、前記第2の回路(46)が更に、前記先端(32)から前記最後のレッグを境界付ける前記隔壁のうちの1つまで内側に延びて、前記共通チャンバ(52)を前記前方ブリッジ(64)上に定める後方ブリッジ(60)を含む請求項5記載のブレード。
【請求項7】
前記第1の回路(44)の最後のレッグが前記中央隔壁(42)の前方側に沿って配置され、前記第2の回路(66)の最後のレッグが前記中央隔壁(42)の反対側後方から離れた前記後縁の前に配置される請求項2記載のブレード。
【請求項8】
前記第1の回路(44)が更に、前記先端(32)から前記最後のレッグを境界付ける前記隔壁の1つまで内側に延びる前方ブリッジ(58)を含み、前記第2の回路(66)が更に、前記先端(32)から内側に間隔を置いて配置され、且つ前記中央隔壁を前記第2の回路(66)の別の隔壁と相互接続する後方ブリッジ(68)を含み、前記共通チャンバ(52)を前記後方ブリッジ(68)上に定めることを特徴とする請求項7記載のブレード。
【請求項9】
前記第1の回路(62)の最後のレッグが、前記中央隔壁(42)の前方側から離れた前記前縁(26)の後ろに配置され、前記第2の回路(66)の最後のレッグが、前記中央隔壁(42)の反対側の後方側から離れた前記後縁の前に配置される請求項2記載のブレード。
【請求項10】
前記第1の回路(62)が更に、前記先端(32)から内側に間隔を置いて配置され、且つ前記中央隔壁を前記第1の回路(62)の別の隔壁に相互接続する前方ブリッジ(64)を含み、前記第2の回路(66)が更に、前記先端(32)から内側に間隔を置いて配置され、前記中央隔壁を前記第2の回路(66)の別の隔壁に相互接続する後方ブリッジ(68)を含み、共通のチャンバを前記前方及び後方両方のブリッジ(64、68)に定めることを特徴とする請求項9記載のブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−37957(P2006−37957A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213692(P2005−213692)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】