説明

共通制御チャネルに割り当てられたタイムスロットをユーザトラフィックのために再使用することができる方法およびシステム

【課題】無線通信システムにおいてCPCH(共通物理チャネル)タイムスロットとして指定されたタイムスロットを、ユーザトラフィックのために再使用することができる方法およびシステム。
【解決手段】第1のセル(102)において使用されるCPCHタイムスロットが、第2のセル(104)によって再使用されることが、第1のセルと第2のセルが、相異なるCPCHタイムスロット内で制御情報を伝送するものと想定して、ユーザトラフィックに関して可能である。第2のセルは、第1のセルが、制御情報を伝送しているタイムスロットを再使用することを、そのタイムスロットの第2のセルによる再使用により、第1のセルにおける制御情報の受信が低下させられない限り、許される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。より詳細には、本発明は、無線通信システムにおいて利用可能なリソースを最適化することに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、通常、ブロードキャストチャネル(BCH)を使用して、無線送信/受信ユニット(WTRU)とシステムの間における通信を円滑にする制御情報を通信する。例えば、BCHは、WTRUが接続さえされる前に、無線アクセス網(RAN)に関する情報、ならびにセルに固有の情報をWTRUに通信するのに使用される。例えば、時間分割2重(TDD)タイプのシステムでは、BCHは、1次共通制御物理チャネル(PCCPCH)上で伝送される。また、無線通信は、共通物理チャネル(CPCH)上で伝送される、他の共通制御チャネル群も有することが可能である。例えば、TDDシステムでは、順方向アクセスチャネル(FACH)が、2次共通制御物理チャネル(SCCPCH)上にマップされる。PCCPCHとSCCPCHはともに、CPCHの実施例である。CPCHを伝送するために無線通信システム全体で、同一の確保されたタイムスロットが、通常、使用される。「CPCHタイムスロット」という用語は、システムにおいてCPCHを伝送するのに使用される任意のタイムスロットを指すのに使用されることに留
意されたい。
【0003】
WTRUの性能、ならびにセル間のRF分離に依存して、TDDタイプのシステムは、CPCHを伝送するのに、システム全体で単一のタイムスロットしか使用できないことも、複数のタイムスロットを使用して、近隣するセルが、相異なるタイムスロットを使用することを可能にし、これにより、良好なCPCH受信を確実にしなければならないことも可能である。システム全体で、CPCHを伝送するのに複数のタイムスロットを使用することは、「CPCHタイムスロット再使用」と呼ばれる。一方で、ある数のタイムスロットを、CPCHを伝送する目的に完全に専用にすること(すなわち、専用チャネル(DCH)のために、それらのタイムスロットを使用するのを禁止すること)は、スペクトルの非効率な使用をもたらす可能性があり、これは、容量損失になる。他方、DCH信号(すなわち、ユーザトラフィックまたはDCHトラフィック)を伝送するためにCPCHタイムスロットを再使用することは、一部の区域においてWTRUに関してCPCH受信問題をもたらす可能性がある、干渉のひどいCPCH信号につながるので、行われない。劣悪なCPCH受信は、無線通信システムに多くの悪影響を与える。例えば、劣悪なCPCH受信は、WTRUが、システムにアクセスしようと試みる期間が長くなること、ハンドオフや電力制御などの重要な無線リソース管理機能の低下、ならびにBCHおよびFACHに関するサービスの穴をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の知られている無線通信システムでは、ある数のタイムスロットは、CPCHを伝送するためだけに専用であり、DCH(すなわち、ユーザトラフィック)のためにそれらのタイムスロットを再使用する試みは、全く行われない。したがって、CPCHを伝送するために使用されるタイムスロットを、ユーザトラフィックのために再使用することができる方法およびシステムを得ることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、共通物理チャネル(CPCH)タイムスロットとして無線通信システムにおいて専用のタイムスロットを、ユーザトラフィックのために再使用することができる方法およびシステムである。第1のセルにおいて使用されるCPCHタイムスロットは、第1のセルと第2のセルが、相異なるCPCHタイムスロット内で制御情報を伝送するものと想定すると、ユーザトラフィックのために、第2のセルによって再使用されることが可能である。そのタイムスロットの第2のセルによる再使用により、第1のセルにおける制御情報の受信が低下しない限り、第2のセルは、第1のセルが制御情報を伝送しているタイムスロットを再使用することを許される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】無線通信システム内の3つのセルを示す図である。
【図2】CPCH(共通物理チャネル)を伝送するために無線通信システムにおいて使用されるタイムスロット、すなわち、CPCHタイムスロットを、ユーザトラフィックのために再使用することができる方法を示す図である。
【図3】CPCH(共通物理チャネル)を伝送するために無線通信システムにおいて使用されるタイムスロット、すなわち、CPCHタイムスロットを、ユーザトラフィックのために再使用することができる無線通信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以降、無線送信/受信ユニット(WTRU)には、ユーザ機器、移動局、固定加入者ユニットまたは移動加入者ユニット、ポケットベル、あるいは無線環境で動作することができる他の任意のタイプのデバイスが含まれるが、以上には限定されない。以降に言及する場合、基地局(BS)には、ノードB、サイトコントローラ、アクセスポイント、あるいは無線環境における他の任意のタイプのインタフェースデバイスが含まれるが、以上には限定されない。さらに、共通物理チャネル(CPCH)の概念は、任意のタイプの制御情報の送信および/または受信に関し、ブロードキャストチャネル(BCH)が伝送される1次共通制御物理チャネル(CPCH)、およびFACH(順方向アクセスチャネル)が伝送される2次共通制御物理チャネル(SCCPCH)を含む、すべての共通物理チャネルを包含することに留意されたい。CPCHタイムスロットに言及する場合、CPCHタイムスロットは、CPCHが伝送されているタイムスロットであることに留意されたい。さらに、セルが、ユーザトラフィックを扱っていると述べる場合、セルは、ユーザトラフィックを送信していること、受信していること、または送受信していることが可能である。
【0008】
十分なCPCH受信を確実にするため、無線通信システムは、システム全体で、複数のタイムスロットをCPCHに専用にしなければならない可能性がある。複数のタイムスロットをCPCHタイムスロットとして割り当てることにより、2つのセルのどちらかのセルのCPCHを検出しようと試みているWTRUによって感知されるセル間干渉の量を低減するために、1つのセル、例えば、セルAが、そのセルのCPCHを、近隣のセル、例えば、セルBとは異なるタイムスロットで伝送することを行うことができるようになる。しかし、セルAによって、セルAのCPCHを伝送するのに使用されるCPCHタイムスロットは、セルBが、別のCPCHタイムスロットを使用して、セルBのCPCHを伝送する場合、セルBによって使用されない。しかし、方法200に関連してさらに説明するとおり、本発明は、セルBが、セルAによって使用されるCPCHタイムスロット内で、ユーザトラフィックを扱うことを可能にし、その逆も同様である。つまり、セルAは、セルBによって使用されるCPCHタイムスロット内で、ユーザトラフィックを扱うことができる。
【0009】
図1を最初に参照すると、3つのセル102、104、106が示されている。セル102、104、106が属する無線通信システムは、タイムスロット1、2、および3をCPCHの伝送のために割り当てている。つまり、タイムスロット1、2、および3は、CPCHタイムスロットである。さらに、セル102は、セル102のCPCHをタイムスロット1内で伝送しており、セル104は、セル104のCPCHをタイムスロット2内で伝送しており、セル106は、セル106のCPCHをタイムスロット3内で伝送しているものと想定する。
【0010】
本発明によれば、他のセルによってCPCHを伝送するのに使用されているCPCHタイムスロットが、その特定のセルによって、そのセル自らのCPCHを伝送するのに使用されているCPCHタイムスロットと異なるものと想定すると、特定のセルは、その特定のセルにおけるユーザトラフィックを扱う目的で、他のセルによって、他のセルのCPCHを伝送するのに使用されるCPCHタイムスロットを再使用することができる。つまり、セル102を例にとると、セル102は、セル104およびセル106において許容できないCPCHパフォーマンス低下をもたらさない特定の電力レベルで、タイムスロット2内、およびタイムスロット3内でユーザトラフィック(すなわち、DCHトラフィック)を扱うことができる。セル104およびセル106は、再使用により、セル104およびセル106自らのユーザに対するCPCHパフォーマンスの低下がもたらされない限り、セル102が、ユーザトラフィックのためにセル104およびセル106のCPCHタイムスロットを再使用することを許す。1つのセルが、別のセルによって、別のセルのCPCHを伝送するのに使用されているCPCHタイムスロット内でユーザトラフィックを扱うことができる電力レベルを、Pmax_dch_cpchと表記する。
【0011】
さらに説明するため、セル102は、セル104によってCPCHのために使用される、上述したようにタイムスロット2であるCPCHタイムスロットを、ユーザトラフィックのために再使用しているものと想定する。タイムスロット2のセル102による使用により、セル104におけるCPCHパフォーマンスの低下がもたらされない限り、セル104は、セル102が、タイムスロット2をユーザトラフィックのために使用することを許す。これは、システムが、次のアクションを実行することを要求する。すなわち、各セルにおけるCPCHパフォーマンスを監視するアクション、他のセルによる、ユーザトラフィックを伝送するためのCPCHタイムスロットの再使用に起因する、セルにおけるCPCHパフォーマンス低下を識別するアクション、および最後に、潜在的なCPCHパフォーマンス低下の原因であるセルを識別して、十分なCPCHパフォーマンスレベルが回復されることを確実にするアクションである。セルが、CPCHパフォーマンスを監視することができる多くの方法が存在する。例えば、システムは、各セル内で、各移動体によって報告されたCPCH品質メトリックを収集することができる。メトリックは、好ましくは、システム内で動作する基地局群(BS群)によって収集される。
【0012】
例えば、1次共通制御物理チャネル(PCCPCH)に固有のCPCH品質メトリックの実施例には、PCCPCH上でWTRUによって感知されるBCH読み取り時間、および信号対干渉比(SIR)が含まれるが、以上には限定されない。同様にSCCPCHに固有のCPCH品質メトリックの実施例には、SCCPCHに関してWTRUによって感知されるブロック誤り率(FACH BLER)、ビット誤り率(FACH BER)、信号対干渉比(SIR)が含まれるが、以上には限定されない。セルによって収集される各CPCH品質メトリックは、好ましくは、セルの特定の区域に関連付けられる。セルの区域は、セルの角セクション(angular section)、またはセルの地理的区域全体の任意の恣意的な分割として表すことができる。セルのBSは、自らが収集する各CPCH品質メトリックを、セルの特定の区域に関連付けるのに、CPCH品質メトリックを報告したWTRUの位置を特定することができなければならない。
【0013】
システムが、WTRUの位置を特定することができる可能な方法には、WTRUにおける全地球測位システム(GPS)の使用、ならびに着信の遅延、または近隣のBSからの測定された電力に基づく三角測量技術が含まれるが、以上には限定されない。システム内の各セルが、多数のWTRUからCPCH品質メトリックを収集し、それらのメトリックをセルの特定の区域に関連付けることができるので、システムは、各セルの各区域に関して、CPCH品質メトリックの分布を得ることができる。その分布がとることが可能な形態の実施例は、各ビン(bin)が、品質メトリックの小さい間隔に対応するヒストグラムである。
【0014】
システムは、CPCHタイムスロットをユーザトラフィックのために再使用しようと試みるのに先立って、WTRU群から十分な統計を収集して、各セルの各区域に関する統計的に安定した分布を得る。それらの分布は、ベースラインCPCH品質分布と呼ばれ、システムによって、あらゆるセルのあらゆる区域におけるCPCH品質のあらゆる低下を識別するための比較ベンチマークとして使用される。システムは、CPCHパフォーマンスが低下しているセルの区域を識別した場合、干渉の原因となっているセルを識別し、CPCH品質が許容できると考えられていた以前の状態を回復するレベルにまで、その干渉を低減する。これを達するのに、システムは、好ましくは、各セルの各区域を、その区域に最も強く干渉するセルに関連付ける所定のマッピングを含む、データベースを使用する。したがって、セル104が、例えば、区域108を、許容できないCPCHパフォーマンスの区域として識別した場合、その低下の原因は、セル102による、ユーザトラフィックのための、タイムスロット2の再使用であることが明らかである。その場合、セル102において、タイムスロット2が、攻撃的(aggressive)であるとして識別され、これは、セル102によるタイムスロット2の再使用により、タイムスロット2を使用して、自らのCPCHを伝送しているセル104において、CPCHパフォーマンスの低下が生じたことを意味する。したがって、セル102は、タイムスロット2内でユーザトラフィックのために使用している電力を減分しなければならず、ユーザトラフィックのためにタイムスロット2を再使用する電力を増加させようと試みることは、もはやできない。セル2は、攻撃的であるとタグが付けられたタイムスロット2を有するのに対して、例えば、106などの他のセルは、非攻撃的であるとタグが付けられたタイムスロット2を有することが可能であることに留意されたい。つまり、タイムスロット2は、セル102に関連して攻撃的であると考えられるが、セル106に関連しては、そう考えられないことが可能であり、これは、セル106が、依然として、タイムスロット2をユーザトラフィックのために再使用することができることを意味する。
【0015】
次に図2を参照すると、CPCHを伝送するために無線通信システムにおいて使用されるタイムスロット(すなわち、CPCHタイムスロット)を、ユーザトラフィックのために再使用することができる方法200が示されている。方法200は、所望に応じて、任意の数のセルで実施することができることに留意されたい。方法200は、ステップ202で始まり、各セルに関して、そのセルが、自らのCPCHを伝送するのに使用していないCPCHタイムスロットにタグが付けられる。タグは、CPCHタイムスロットが非攻撃的であることを明らかにし、これは、それらのCPCHタイムスロットが、別のセルのCPCHパフォーマンスの低下を生じさせていないことを意味する。やはり、ステップ202で、各セルに関して、セルが、CPCHタイムスロット内でユーザトラフィックを伝送することを許される電力(すなわち、Pmax_dch_cpch)は、すべてのCPCHタイムスロットに関して0に設定される。つまり、各セルに関して、各CPCHタイムスロットのPmax_dch_cpchが、0に設定される。さらに、ステップ202で、システムは、各セルの各区域に関して、CPCH品質メトリックを収集して、ステップ214においてベンチマークとして使用される、統計的に安定したベースライン分布を得る。
【0016】
ステップ202から、方法200は、ステップ204に進み、各セルに関して、そのセルが、そのセル自らのCPCHを伝送するのに使用しているCPCHタイムスロットに、攻撃的であるとタグが付けられる。これにより、セルが、CPCHの伝送のために自らが使用しているCPCHタイムスロット内で、ユーザトラフィックを扱うことが防止される。ステップ206で、すべてのセルにおいて、セルのすべてのCPCHタイムスロットが、攻撃的と設定されているか、あるいはPmax_dch_cpchが、タイムスロット内でBSが伝送することを許される、または伝送することができる最大電力に相当するPmaxに設定されているかどうかが判定される。例えば、43dBmまで伝送することを許される、または伝送することができるBSに関するPmaxは、43dBmである。
【0017】
ステップ206の結果が、「はい」である場合、方法200は、ステップ208で終了する。説明として、セルが、攻撃的であるとタグが付けられたCPCHタイムスロットを有する場合、これは、そのセルが、その電力を超えると、そのセルの近隣のセル群の少なくとも1つのセルのCPCH受信を低下させる電力で、既に伝送を行っていることを示す。セルが、Pmax_dch_cpchがPmaxに設定されたCPCHタイムスロットを有する場合、これは、そのセルが、ユーザトラフィックのために、そのCPCHタイムスロットを既に完全に再使用していることを示す。したがって、前述した条件のいずれかが、すべてのセルのすべてのCPCHタイムスロットに関して満たされた場合、システムは、セルが、ユーザトラフィックのためにCPCHの再使用をさらに増加させることができない状態にある。つまり、システムは、セルが、セルのCPCHタイムスロット群のいずれのタイムスロットのPmax_dch_cpchも、さらに増加させることができない状態にあり、方法200は、終了する。
【0018】
ステップ206における結果が、「いいえ」である場合、方法200は、ステップ210に進む。ステップ210で、各セルに関して、攻撃的とタグが付けられておらず、Pmax_dch_cpchがPmaxより低く設定されている各CPCHタイムスロットのPmax_dch_cpchが、所定の量、例えば、P_incrementだけ増分される。次に、ステップ212で、システムは、CPCHパフォーマンスに関する測定値を収集し、各セルの各区域に関して、CPCH品質メトリックの分布を得る。
【0019】
ステップ214で、CPCHパフォーマンスが、いずれかのセルのいずれかの区域において許容できないかどうかが判定される。これは、すべてのセルのすべての区域に関して収集されたCPCH品質測定の分布を、ステップ202で収集されたベースライン分布と比較し、許容できない品質測定値を有する区域が存在すれば、その区域を識別することによって達せられる。存在しない場合、方法200は、ステップ206に戻る。存在する場合、方法200は、ステップ218に進む。次に、CPCHパフォーマンス低下を生じさせているセルが識別される(ステップ218)。これは、各セル内の各区域をその区域に最も強く干渉するセルに関連付ける所定のマッピングを含むデータベースを調べて、低下が特定の区域において識別された場合、違反するセルがいずれであるかをシステムが知るようにすることによって達せられる。例えば、図1を再び参照すると、区域108が、セル102にマップされている。
【0020】
ステップ220で、違反するセルのPmax_dch_cpchが、CPCHパフォーマンス低下が測定されたCPCHタイムスロットに関して、P_incrementだけ減分され、そのCPCHタイムスロットに、ステップ218で識別された違反するセルに関して、攻撃的であるとタグが付けられる。ステップ220が完了すると、方法200は、ステップ206に戻る。
【0021】
次に図3を参照すると、CPCHを伝送するために無線通信システムにおいて使用されるタイムスロット(すなわち、CPCHタイムスロット)をユーザトラフィックのために再使用することができる無線通信システム300が示されている。システムは、少なくとも1つの無線ネットワークコントローラ(RNC)302、および複数のセル304、306、308を含む。この実施形態では、システム300は、各セル204、306、308に対してBS305、307、309が存在する、全方向性の展開で展開されているのが示されている。システム300は、もちろん、セル304、306、308に対して単一のBSが提供される、セクタに区切られた展開で展開されることも可能である。
【0022】
前述したとおり、複数のタイムスロットが、通常、CPCHタイムスロットとして指定され、CPCHを伝送するためにセルによって使用される。この実施形態では、3つのタイムスロット1、2、3が、この場合も、システム300のためのCPCHタイムスロットとして指定されているものと想定する。したがって、システム300を構成しているセルのすべてが、自らのCPCHを3つのCPCHタイムスロットのいずれかのタイムスロット内で伝送する。簡明にするため、システム300の3つだけのセル304、306、308を示すが、もちろん、システム300は、所望に応じて、任意の数のセルを有することが可能である。3つだけのセルが存在するため、各セルは、そのセルのCPCHを伝送するために異なるCPCHタイムスロットを使用することができる。さらなるセルが存在する場合、それらのセルは、割り当てられたCPCHタイムスロットを同じ形で共用する。つまり、例えば、90のセル、および3つのCPCHタイムスロットが存在する場合、90のセルのそれぞれは、それぞれのセルのCPCHを伝送するために、3つのCPCHタイムスロットのいずれかのタイムスロットを使用する。
【0023】
システム300において、セル306が、セル306のCPCHをCPCHタイムスロット1内で伝送しており、セル304が、セル304のCPCHをCPCHタイムスロット2内で伝送しており、セル308が、セル308のCPCHをCPCHタイムスロット3内で伝送しているものと想定する。各セルの各区域に関して、CPCHパフォーマンスが監視され、CPCHパフォーマンスが許容できなくなった場合、許容できないCPCHが集中しているセル内の区域が識別される。したがって、セル304、306、308のBS305、307、309はそれぞれ、それぞれのセル内で動作しているWTRU群から、CPCHパフォーマンスのCPCH読み取り値、またはCPCHパフォーマンスの他の任意のメトリックを収集するためのプロセッサ310、312、314を含む。CPCHが、セルのいずれかにおいて許容できないと識別された場合、劣悪なCPCH測定値を報告しているWTRU群の位置が特定される。セル304、306、308のBS305、307、309はそれぞれ、WTRU群の位置特定を行うための別個のプロセッサ316、318、320を含んでもよく、あるいは、その機能が、プロセッサ310、312、314において実行されてもよい。
【0024】
各セル内で収集されたデータが報告されるRNC302は、CPCHが許容できないレベルにまで低下した場合、それを決定により突き止め、各セルによる、ユーザトラフィックのためのCPCHタイムスロットの再使用を協調させるための、少なくとも1つのプロセッサ322も含む。各セルによる、ユーザトラフィックのためのCPCHタイムスロットの再使用を協調させる際、そのセルの近隣のセル群によってCPCHを伝送するのに使用されているCPCHタイムスロット内で、各セルがユーザトラフィックを伝送することができる場合、どのようなPmax_dch_cpchで各セルがユーザトラフィックを伝送することができるかを、RNC302は、各セルに知らせる。任意の特定のセルの、例えば、セル306の特定の区域において、CPCHパフォーマンスが許容できないレベルにまで低下した場合、セル306が、セル306のCPCHを伝送するのに使用しているCPCHタイムスロット(すなわち、CPCHタイムスロット1)の、別のセルによる、例えば、セル308による再使用の結果、RNC302は、セル308のBS309が、ユーザトラフィックのためにタイムスロット1を再使用している電力を、セル306におけるCPCHパフォーマンスを損なわないレベルに戻すように低下させることを確実にする。RNC302は、好ましくは、セル308が、CPCHタイムスロット1内でユーザトラフィックのために使用されている電力(すなわち、Pmax_dch_cpch)をさらに増加させることを防止する。
【0025】
本発明は、所望に応じて、任意のタイプのTDD(時間分割2重)技術を使用する任意のタイプの無線通信システムにおいて実施できることに留意することが重要である。例として、本発明は、UMTS−TDDタイプ、TDSCDMAタイプ、または他の任意のタイプの無線通信システムにおいて実施することができる。さらに、本発明を様々な実施形態に関して説明してきたが、添付の特許請求の範囲で概要を述べる本発明の範囲に含まれる、他の変形形態が、当業者には明白となろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザトラフィックのために制御情報タイムスロットを再使用するための無線ネットワークコントローラ(RNC)において実行される方法であって、
前記無線ネットワークコントローラによって制御された無線通信システムを介して各セルにおける制御情報のために指定されたタイムスロットの品質メトリックの分布を取得するステップと、
前記各セルが制御情報のために指定されたタイムスロット上でトラフィックデータの送信のために使用する最大電力限界を、前記各セルにおける制御情報のために指定されたタイムスロットの品質メトリックの分布に基いて割当てるステップと、
前記割当てられた最大電力限界の範囲内で制御情報を送信するために前記セルのために指定されたタイムスロット内で、セル送信トラフィックデータを検出するステップと、
パフォーマンス低下が前記品質メトリックに基いてセルのいずれかにおいて検出されたとき、該パフォーマンス低下を生じさせている別のセルを識別するステップと、
前記パフォーマンス低下を生じさせている別のセルの前記最大電力限界を調整するステップと
を具えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記品質メトリックは、1次共通制御物理チャネル(PCCPCH)に固有であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記品質メトリックは、ブロードキャストチャネル(BCH)読取時間と前記1次共通制御物理チャネル(PCCPCH)上で感知される信号対干渉比(SIR)との少なくとも1つによって測定されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記品質メトリックは、2次共通制御物理チャネル(SCCPCH)に固有であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記品質メトリックは、順方向アクセスチャネル(FACH)ブロック誤り率と、順方向アクセスチャネル(FACH)ビット誤り率と、前記2次共通制御物理チャネル(SCCPCH)上で感知される信号対干渉比(SIR)との少なくとも1つによって測定されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記品質メトリックは、無線送信/受信ユニット(WTRU)と、前記測定された品質メトリックに関連した該無線送信/受信ユニット(WTRU)の位置とによって測定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記無線送信/受信ユニット(WTRU)の位置は、全地球測位システム(GPS)と三角測量技術との少なくとも1つによって測定されることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記パフォーマンス低下が生じたセルは、各セルの各区域を最も強く干渉するセルに関連する所定のマッピングを含むある定義されたデータベースを使用して識別されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
ユーザトラフィックのために制御情報タイムスロットを再使用するための無線ネットワークコントローラ(RNC)であって、
プロセッサを具え、該プロセッサは、
該無線通信システムを通じて制御情報のために指定されたタイムスロットの品質メトリックの分布を取得して、複数の基地局の各々が制御情報について各基地局のために指定されたタイムスロット上でトラフィックデータの送信のために使用できる最大電力限界を、前記各基地局における制御情報のために指定されたタイムスロットの品質メトリックの分布に基いて割当て、
前記品質メトリックの分布に基いて複数のセルのいずれかにおいてパフォーマンス低下が検出されたときに該パフォーマンス低下を生じさせている別のセルを識別し、該パフォーマンス低下を生じさせている別のセルの前記最大電力限界を調整するように構成されたことを特徴とする無線ネットワークコントローラ(RNC)。
【請求項10】
基地局であって、
プロセッサを具え、該プロセッサは、
制御情報のために指定されたタイムスロット上で少なくとも1つの無線送信/受信ユニット(WTRU)から報告された制御情報のために指定されたタイムスロットの品質メトリックを受信し、特に当該基地局のために指定されたタイムスロット内で制御情報を送信するように構成され、
隣接基地局は、該隣接基地局に関連する制御情報の送信のために異なるタイムスロットを使用し、該基地局に関連するセル内で送信用の前記制御情報のために指定されたタイムスロットの品質メトリックの分布に基づく最大電力限界を調整し、さらに、
前記隣接基地局は、前記品質メトリックの分布に基いて複数のセルのいずれかにおいてパフォーマンス低下が検出されたときに該パフォーマンス低下を生じさせている別のセルを識別し、該パフォーマンス低下を生じさせている別のセルの前記最大電力限界を調整することを特徴とする基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−23773(P2012−23773A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228005(P2011−228005)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【分割の表示】特願2009−22649(P2009−22649)の分割
【原出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(596008622)インターデイジタル テクノロジー コーポレーション (871)
【Fターム(参考)】