説明

共重合ポリエステル及びこれによって製造されるポリエステル充填容器

【課題】 充填の耐熱温度が82℃以上で、且つ、パスツールの高温殺菌試験に合格できるポリエステル充填容器を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、エチレンテレフタレート、ナフタレン環組成及びジエチレングリコールを含んだ共重合ポリエステルに関わるもので、且つ、ナフタレン環組成の含量は、共重合ポリエステルに対して0.8〜3.0のモル%で、ジエチレングリコールの含量が共重合ポリエステルに対して1.0〜2.0モル%であり、その固有粘度が0.76〜0.90dl/gであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共重合ポリエステルに関り、特に少量のナフタレン環組成を含有し、且つジエチレングリコールの含量を抑制する共重合ポリエステルに関る
【背景技術】
【0002】
ナフタレン環構造を含有する熱可塑性共重合ポリエステル(以下、共重合ポリエステルという)について、ガラス転移温度は、一般的なポリエステルと比べても高いが、この種の共重合ポリエステルのナフタレン環組成は高含量を必要とすることで、好ましい耐熱効果を呈することが、ポリエステル技術分野において、熟知された従来の技術であり、例えば、特許文献1では、5〜15モル%ナフタレン環組成を含んだ共重合ポリエステルが開示されている。
【0003】
特に、ナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルを材質とし、且つポリエステル充填容器(container)を製造した場合、ポリエステル充填容器に最適な耐高温度性を備えさせ、且つパスツール高温殺菌試験にも合格できることも、ポリエステル技術分野における従来の技術である。例えば、特許文献2は、共重合ポリエステルに対してナフタレン環組成3モル%或いは5モル%を含有する共重合ポリエステルで、この共重合ポリエステルによりポリエステル充填容器を製造し、且つパスツール高温殺菌試験に合格できることが開示されている。
【0004】
上記のような共重合ポリエステルの慣用的な製法には、DMT製造工程或いはPTA製造工程の2種が含まれる。DMT製造工程でこのような共重合ポリエステルを製造する場合、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(略称NDC)を原料として使用し、且つDMTエステル交換反応を利用することでナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルが得られ、そのコストも比較的安く且つ既に商業化されている。PTA製造工程でこのような共重合ポリエステルを製造する場合、純度が比較的低い2,6−ナフタレンジカルボン酸(略称NDA)を原料として使用し、且つPTAの直接エステル化反応を利用してナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルを得ることができるが、そのコストは比較的高いものとなっている。
【0005】
ただし、上記のこのような共重合ポリエステルの製法について、PTA製造工程において2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDC)を原料として使用する時、溶融重縮合反応の速度が明確に遅くなるため、重縮合反応過程においてエステル交換反応の触媒を添加してエステル交換反応を促進することで、ナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルを取得できる。例えば、上記の特許文献1では、直接エステル化反応の末期に更にエステル交換反応の触媒を添加することで、5〜15モル%を含んだナフタレン環組成の共重合ポリエステルを製造すると開示している。
【0006】
その他、上記の製法でこのような共重合ポリエステルを生産する時、生産過程において比較的高い含量の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDC)の添加することで、このような共重合ポリエステルで製造したポリエステル充填容器が比較的高いホット充填温度に耐え、パスツール高温殺菌試験に合格させることができる。このため、このような共重合ポリエステルは、上記の製法を用いた場合、製造コストが比較的高くなり、且つ商業化への障害として相対的に上がってしまう。
【0007】
その他、一般的によく見られるポリエステル充填容器は、一般的なホモポリマー(Homopolymer)或いは例えばイソフタル酸、ジエチレングリコール或いはシクロヘキサンジメタノール等の共重合体単体を含んだランダムポリマー (Ramdom Polymer)を使用し、水熱固化処理工程(Heatsetting)或いは非水熱固化(Non−heatsetting)処理工程によって製造する。前記ホモポリマーで製造された非水熱固化型充填容器のホット充填温度は82℃以上とはならず、また前記ホモポリマーで製造された水熱固化型充填容器のホット充填温度は92℃以上とならない。特に、ホモポリマーで製造された非水熱固化型充填容器は、飲料の充填を経て、更にパスツール高温殺菌トンネルを通過した後で変形が発生してしまい、飲料業者から拒絶されることもある。
【特許文献1】米国特許第6,551,675号
【特許文献2】米国特許第6,284,920号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明で開示するものは、ナフタレン環組成を具えた共重合ポリエステルであり、且つその製法は、PTAの直接エステル化反応製造工程において約3モル%以内の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDC)を添加し、特に重縮合反応過程においてエステル交換反応の触媒を添加する必要が無く、ナフタレン環構造を具えた共重合ポリエステルを製造することができるため、過去における重縮合反応が遅くなるという偏見を突破することにある。
【0009】
本発明で開示するものは、エチレンテレフタレート、ナフタレン環組成及びジエチレングリコールを含んだ共重合ポリエステルであり、且つナフタレン環組成の含量は、共重合ポリエステルに対して0.8〜3.0のモル%で、ジエチレングリコールの含量が共重合ポリエステルに対して1.0〜2.0モル%であり、その固有粘度が0.76〜0.90dl/gであり、特に充填の耐熱温度が82℃以上で、且つパスツールの高温殺菌試験に合格できるポリエステル充填容器に適用される。
【0010】
本発明の共重合ポリエステルで製造されるポリエステル充填容器は、お茶、ジュース、ソフトドリンク・炭酸飲料或いは他の食物、飲料或いは栄養剤等の包装に応用できる。その充填包装方法は、ホット充填して蓋をした後、更に冷却を経る方法、或いはコールド充填後にパスツール高温殺菌を経る方法とすることができる。
【0011】
本発明の共重合ポリエステルで製造されるポリエステル充填容器は、単層或いは多層構造を具えたポリエステル充填容器として製造でき、且つポリエステル充填容器の製造過程において、必要性を見て酸素吸収剤、紫外線吸收剤、アセトアルデヒド吸着剤或いは色材・染剤等の改質剤も添加できる。
【実施例】
【0012】
本発明で開示するものは、ナフタレン環組成を具えた共重合ポリエステルであり、且つその製法は、PTAの製造工程において2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDC)を原材料として使用し、特に重縮合反応過程においてエステル交換反応の触媒を添加する必要が無く、ナフタレン環構造を具えた共重合ポリエステルを製造できる。
【0013】
本発明で開示する共重合ポリエステルは、エチレンテレフタレート、ナフタレン環組成及びジエチレングリコールを含み、且つナフタレン環組成の含量は、共重合ポリエステルに対して0.8〜3.0のモル%で、ジエチレングリコールの含量が共重合ポリエステルに対して1.0〜2.0モル%であり、その固有粘度が0.76〜0.90dl/gであるが、0.80〜0.86dl/gが好適な実施例となる。
【0014】
本発明で開示する共重合ポリエステルの製法を以下に説明する。
エチレングリコール(EG)を撹拌器に設けている槽体内に注入し、且つ撹拌器による撹拌状態の下で2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDC)を注入してペーストに調製する。高純度テレフタル酸(PTA)とエチレングリコール(EG)を予めペーストに調製し、且つ持続的に撹拌しているペースト材の槽内へ更に計量・フィードポンプで調製したペーストを連続して注入し、この2種類のペーストを持続撹拌して2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDC)、高純度テレフタル酸(PTA)とエチレングリコール(EG)を均一なペースト溶液として形成させる。
【0015】
ペースト材がペースト材槽内で均一に撹拌されることを確保するため、ペースト材内のエチレングリコールの2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルと高純度テレフタル酸に対するモル比を1.05〜2.0とし、且つペースト材がペースト材槽内における停?時間を30分間以上とすること。同時に、ペースト材の濃度を安定させるため、ペースト密度制御器によって連続制御でき、及び、ペースト材の密度を安定させるため、ペーストの温度が好ましくは60℃以下であってよい。
【0016】
次に製造したペーストをポンプで2基の直列に連結したエステル化反応槽中に連続輸送してエステル化反応を行い、第1エステル化反応槽の転化率を約80〜92%とし、第2エステル化反応槽の転化率を約95〜98%とする。且つ、エステル化反応温度を240〜270℃とし、好ましくは250〜260℃で、エステル化圧力を2.0Kg/cm2〜常圧とし、好ましくは1.0kg/cm2〜0.1kg/cm2で、エステル化反応時間を3〜8時間とし、好ましくは4〜6時間とする。
【0017】
本発明の直接エステル化反応過程においてエチレングリコール、水及び微量のメタノールが形成されるため、気化管を経由して蒸留塔に進入させて分離する。蒸留塔の塔底から收集されたエチレングリコールを再にエステル化反応槽に還流し、蒸留塔の塔頂から收集された水及び微量のメタノールを廃水処理場に導いて処理する。
【0018】
上記の直接エステル化反応を経て製造された単体を、連続して輸送ポンプで予備重合槽に移転して予備重合反応を行う。予備重合反応は、1基或いは2基の槽体内で行うことができ、予備重合の温度を260〜280℃とし、好ましくは250〜260℃とし、予備重合反応の圧力は中程度の真空負圧環境で、真空圧力を10〜200mmHgとする。予備重合反応で生成したエチレングリコール等の気体副産物は、真空負圧によって冷却器で抽出されることで、液体に変換する。予備重合反応の時間を0.5〜2.0時間とする。
【0019】
上記の予備重合反応を経た後の低いポリマーについて、粘度を少なくとも0.55dl/gに引き上げるため連続してポンプで主重合槽に輸送して更に一歩進んだ重縮合反応を行う。主重合槽は1基或いは2基の槽体とすることができ、主重合反応の温度を270〜290℃とし、好ましくは270〜285℃とする。主重合反応の圧力は、高度な真空負圧の環境であるため、多段式の噴射器により真空圧力を2mmHg以下にさせ、且つ主重合反応の真空度で最終重合体の粘度値(単位はPoise)を連続制御する。
【0020】
上記の主重合反応を経て完成した後の重合体は、ポンプで連続輸送し、且つ1組のフィルタを通した後、1組の多孔ダイヘッド(Diehead)に送られ、再にペレットカッターで非晶性ポリエステル樹脂(Amorphous Resin)に切断する。
【0021】
製造した非晶性ポリエステル樹脂を、例えばスイスBuhler社、イタリアSinco社或いはアメリカBepex社製造の連続式固体重合装置といった一般的な連続式固体重合装置で、ポリエステル樹脂の分子量を向上することで、ポリエステル樹脂の固有粘度を0.76〜0.90dl/gの範囲内に達せさせ、好適なのが0.80〜0.86dl/gの範囲内である。
【0022】
上記で製造したポリエステル樹脂は、溶融温度が270〜295℃の条件下で射出ブロー成形機により容器プリフォーム(bottole Preform)を製造し、更に近赤外線ランプで容器プリフォームをガラス転移温度より高く加熱し、即ちポリエステル充填容器(一般的に二段式ボトル製法と呼ばれる) に延伸ブローする。或いは、直接射出延伸ブロー成形機により溶融温度270〜295℃の条件下でポリエステル樹脂を可塑化した後、一時冷却を経て、即ち容器プリフォームを直接にポリエステル充填容器(一段式ボトル製法)にブローする。
【0023】
本発明で開示する共重合ポリエステルで製造するポリエステル充填容器の長所は、82℃以上のホット充填温度に耐えることができ、透明度も良好で、且つ再生成するアセトアルデヒドの含量も比較的低いことを含む。しかし、一般的に見られるポリエステル充填容器のホット充填温度は82℃より高くなることができない。
【0024】
本発明の共重合ポリエステルで製造されるポリエステル充填容器は、お茶、ジュース、ソフトドリンク・炭酸飲料或いは他の食物、飲料或いは栄養剤等の包装に応用できる。その充填包装方法は、ホット充填して蓋をした後、更に冷却を経る方法、或いはコールド充填後にパスツール高温殺菌を経る方法とすることができる。
【0025】
本発明の共重合ポリエステルで製造されるポリエステル充填容器は、単層或いは多層構造を具えたポリエステル充填容器として製造でき、且つポリエステル充填容器の製造過程において、必要性を見て酸素吸収剤、紫外線吸收剤、アセトアルデヒド吸着剤或いは色材・染剤等の改質剤も添加できる。
【0026】
本発明で開示する共重合ポリエステルで製造するポリエステル充填容器は、ホット充填ラインに直接進入、或いは数日置いた後でホット充填ラインに進入して飲料充填を完成することができる。
【0027】
以下の実施例を介して本発明で開示する共重合ポリエステルの効果を説明するが、この実施方法は本発明の範囲を制限することはないものとする。
【0028】
本発明で開示するポリエステル樹脂の製造
本発明で開示する共重合ポリエステルは、従来の連続式溶融重合装置を使用して生産し、且つこの装置には1基のPTAペースト調合槽を含む。
【0029】
均一に分散したペースト状液体を製造するため、エチレングリコール(EG)の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルと高純度テレフタル酸(PTA+NDC)に対するモル比を約1.5に制御する。このペースト状液体をエステル化反応槽に連続輸送し、且つ2基の直列に連結する槽体内でエステル化反応を行い、第1エステル化反応槽の転化率を約85%とし、第2エステル化反応槽の転化率を約96%とする。上記のエステル化反応が完成した後、輸送ポンプでエステル化された単体を低真空度の予備重合反応槽に連続して送り込み、予備重合反応槽に送り込む前に重縮合反応の触媒及び色材等を添加する。約30〜60分間経過して製造された予備重合体を輸送ポンプで高真空度の主重合反応槽に連続輸送し、通常主重合反応槽の最高真空度を1水銀柱ミリメートル以下とするため、主重合反応は好しくは2基の直列に連結する反応槽内で行い、主重合の反応温度を280〜290℃、反応時間を約1.5〜3時間とする。重合体の固有粘度が0.55以上に達した際、重合体を穴がある金型に輸送して細長状を押出すると共に直ちに冷凍水で急冷した後でスライスして共重合ポリエステル樹脂を製造する。
【0030】
溶融重合製造工程を経て得られた非晶性ポリエステル樹脂は、従来の連続式固体重合装置を使用して固有粘度を必要な重合度に引き上げさせる。
【0031】
ここで称するところの連続式固体重合装置には、スイスBuhler社、イタリアSinco社、アメリカBepex社或いはドイツZimmer社で製造された連続式固体重合装置を含む。
【0032】
ポリエステル充填容器の製造設備
本発明で開示する共重合ポリエステル樹脂を日本AOKI社が製造する一段法の射出ブロー成形機で容量が各々約0.6リットル及び約2.0リットルの非晶性透明ボルトに製造する。射出ブロー成形機の溶融温度は280〜295℃で、溶融重合体を金型内に射入した後容器プリフォームを製造するが、重合体の金型内で冷却後の温度は、やはりガラス転移温度よりも高い。容器プリフォームが比較的低い温度で冷却された時、プリフォームの柔軟度が比較的硬くなるため透明度も好適となる。容器プリフォームが高い温度で冷却された時、プリフォームの柔軟度が比較的軟らかくなる。ただしプリフォームの温度が高すぎる場合、プリフォームをブローする前に結晶、白化の現象が生じる可能性がある。
【0033】
本発明の共重合ポリエステルを使用してポリエステル充填容器を製造する時、ブローする前でもプリフォームが適切な柔軟度を維持し、且つ良好な透明度も具備する。
【0034】
ポリエステル充填容器の充填の耐熱温度の検査方法
上記で製造されたポリエステル充填容器を室温のもとに3日間放置し、温度82℃以上の熱湯を充填した後で直ちに蓋をして、まず横倒しにして1分間放置した後、その後立てて5分間放置し、その後10℃の冷水に10分間漬してからポリエステル充填容器の外観に明確な変形の有無を検査すると共に体積の変形率を測定する。
【0035】
更に異なる温度の熱湯で、上記で製造されたポリエステル充填容器に対して充填の耐熱温度試験を実施し、ポリエステル充填容器の外観に明確な変化が無く、且つ体積変化率が3%以下の最高充填温度を上記で製造されたポリエステル充填容器の充填の耐熱温度とする。
【0036】
パスツール高温殺菌試験方法
上記で製造されたポリエステル充填容器に体積比が3.0の炭酸水を充填した後で蓋をし、パスツール殺菌室に置き、71℃の熱湯で容器内の内容物温度が約63℃に達するまで直接噴射する。その後水を噴射して温度を64℃に下げ、容器内の内容物温度を63℃に維持して約15分間保持する。その後、水を噴射して温度を40℃に下げ、容器内の内容物温度を40℃まで下げた際、ポリエステル充填容器を冰水内に入れて急冷する。この試験を経たポリエステル充填容器の外観及び体積変化率を検査する。
【0037】
ポリエステル充填容器の外観に明確な変化が無く、且つ体積変化率が3%以下となること。体積変化率が1.5%以下の場合、ポリエステル充填容器の耐高温殺菌の品質が良好であることを示し、体積変化率が1.5〜3.0%の間にある場合、ポリエステル充填容器の耐高温殺菌の品質が普通であるが受け容れられることを示し、体積変化率が3.0%以上の場合、エステル充填容器の耐高温殺菌の品質が不良であることを示す。
【0038】
実施例1
本発明で開示するナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルの製法に基づくと、共重合ポリエステルに対して0.8モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル及び1.30モル%ジエチレングリコールを含んだ共重合ポリエステルを得られ、且つこの共重合ポリエステルの固有粘度が0.80dl/gとなった。
【0039】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量0.6リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が85.5℃で、且つパスツール高温殺菌試験に合格した。
【0040】
実施例2
実施例1で得られた共重合ポリエステルを材料とするが、この共重合ポリエステルの固有粘度は0.84dl/gに上がった。
【0041】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量0.6リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が86.0℃で、且つパスツール高温殺菌試験に合格した。
【0042】
実施例3
本発明で開示するナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルの製法に基づくと、共重合ポリエステルに対して0.8モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル及び1.65モル%ジエチレングリコールを含んだ共重合ポリエステルを得られ、且つこの共重合ポリエステルの固有粘度が0.84dl/gとなった。
【0043】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量2.0リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が83.5℃で、且つパスツール高温殺菌試験に合格した。
【0044】
実施例4
実施例3で得られた共重合ポリエステルによって製造した容量0.6リットルのポリエステル充填容器は、表1に示すように、試験を経た充填の耐熱温度が85.5℃で、且つパスツール高温殺菌試験に合格できた。
【0045】
実施例5
本発明で開示するナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルの製法に基づくと、共重合ポリエステルに対して0.8モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル及び2.0モル%ジエチレングリコールを含んだ共重合ポリエステルを得られ、且つこの共重合ポリエステルの固有粘度が0.84dl/gとなった。
【0046】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量0.6リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が84.5℃で、且つパスツール高温殺菌試験に合格した。
【0047】
実施例6
本発明で開示するナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルの製法に基づくと、共重合ポリエステルに対して1.5モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル及び1.59モル%ジエチレングリコールを含んだ共重合ポリエステルを得られ、且つこの共重合ポリエステルの固有粘度が0.90dl/gとなった。
【0048】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量2.0リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が85.5℃で、且つパスツール高温殺菌試験に合格した。
【0049】
実施例7
本発明で開示するナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルの製法に基づくと、共重合ポリエステルに対して3.0モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル及び1.57モル%ジエチレングリコールを含んだ共重合ポリエステルを得られ、且つこの共重合ポリエステルの固有粘度が0.80dl/gとなった。
【0050】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量0.6リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が85.1℃で、且つパスツール高温殺菌試験に合格した。
【0051】
実施例8
本発明で開示するナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルの製法に基づくが、エステル化反応段階の転化率を低下させ、ジエチレングリコールの含量を共重合ポリエステルに対して1.0モル%とし、及び2.0モル%2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを含み、且つこの共重合ポリエステルの固有粘度が0.76dl/glとなった。
【0052】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量2.0リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が84.0℃で、且つパスツール高温殺菌試験に合格した。
【0053】
比較例1
本発明で開示するナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルの製法に基づくと、共重合ポリエステルに対して5.12モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル及び1.50モル%ジエチレングリコールを含んだ共重合ポリエステルを得られ、且つこの共重合ポリエステルの固有粘度が0.87dl/gとなった。
【0054】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量0.6リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が85.5℃で、且つパスツール高温殺菌試験に合格した。ただし原材料コストは、本発明で開示するナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルより明らかに高くなった。
【0055】
比較例2
本発明で開示するナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルの製法に基づくと、共重合ポリエステルに対して0.8モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル及び1.65モル%ジエチレングリコールを含んだ共重合ポリエステルを得られ、且つこの共重合ポリエステルの固有粘度が0.76dl/gとなった。
【0056】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量2.0リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が僅か82.0℃のみで、且つパスツール高温殺菌試験を経た結果、その体積変化率が2.5%で少し大きすぎた。これにより固有粘度値が低いため充填の耐熱温度も低くなることを示した。
【0057】
比較例3
本発明で開示するナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルの製法に基づくと、共重合ポリエステルに対して0.8モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル及び2.36モル%ジエチレングリコールを含んだナフタレン環構造のある共重合ポリエステルが得られ、且つこの共重合ポリエステルの固有粘度が0.80dl/gとなった。
【0058】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量0.6リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が僅か83.0℃のみで、且つパスツール高温殺菌試験を経た結果、その体積変化率が2.8%で少し大きすぎた。これによりジエチレングリコールの含量が本発明の範囲を超えた時、本発明の効果を満たすことができないことを示した。
【0059】
比較例4
1.70モル%ジエチレングリコールのみを含んだホモポリマー(Homopolymer)を合成し、且つその固有粘度を0.84dl/gとなった。
【0060】
表1に示すように、このホモポリマーによって製造した容量2.0リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が僅か81.0℃で、且つ製造したポリエステル充填容器は、パスツール高温殺菌試験に合格した。
【0061】
比較例5
0.5モル%のイソフタル酸及び1.85モル%ジエチレングリコールを含んだ共重合ポリエステルを合成し、且つその固有粘度が0.80dl/gとなった。
【0062】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量2.0リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が僅か80.5℃のみで、且つ製造したポリエステル充填容器は、パスツール高温殺菌試験に合格できなかった。
【0063】
比較例6
1.80モル%のイソフタル酸及び1.85モル%ジエチレングリコールを含んだ共重合ポリエステルを合成し、且つその固有粘度が0.86dl/gとなった。
【0064】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量0.6リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が僅か82.3℃のみで、且つ製造したポリエステル充填容器は、パスツール高温殺菌試験に合格できなかった。
【0065】
比較例7
1.80モル%のイソフタル酸及び1.85モル%ジエチレングリコールを含んだ共重合ポリエステルを合成し、且つその固有粘度が0.86dl/gとなった。
【0066】
表1に示すように、この共重合ポリエステルによって製造した容量2.0リットルのポリエステル充填容器は、試験を経た充填の耐熱温度が僅か80.0℃のみで、且つ製造したポリエステル充填容器は、パスツール高温殺菌試験に合格できなかった。
【0067】
表1

表1の個別物質含量は、均しく共重合ポリエステルに対する含量で、且つ、◎=良好 △=普通 ×=不良を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合ポリエステルにおいて、ホット充填温度が82℃以上ポリエステル充填容器の製造生産に適用し、エチレンテレフタレート、ナフタレン環組成及びジエチレングリコールを含み、且つ、ナフタレン環組成の含量は、共重合ポリエステルに対して0.8〜3.0のモル%で、ジエチレングリコールの含量が共重合ポリエステルに対して1.0〜2.0モル%であることを特徴とする、共重合ポリエステル。
【請求項2】
請求項1記載の共重合ポリエステルにおいて、前記共重合ポリエステルの固有粘度は、0.76〜0.90dl/gであることを特徴とする、共重合ポリエステル。
【請求項3】
請求項1記載の共重合ポリエステルにおいて、前記共重合ポリエステルの固有粘度は、0.80〜0.86dl/gであることを特徴とする、共重合ポリエステル。
【請求項4】
請求項2又は3記載の共重合ポリエステルにおいて、前記ナフタレン環組成は、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルとすることを特徴とする、共重合ポリエステル。
【請求項5】
請求項2又は3記載の共重合ポリエステルにおいて、高純度テレフタル酸(PTA)の製造工程中において2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを添加して製造されることを特徴とする、共重合ポリエステル。
【請求項6】
ポリエステル充填容器において、請求項2のナフタレン環構造を含んだ共重合ポリエステルによって射出ブロー成形機で製造され、且つ、製造したポリエステル充填容器の充填の耐熱温度は、82℃以上であることを特徴とする、ポリエステル充填容器。
【請求項7】
請求項6記載のポリエステル充填容器において、前記ポリエステル充填容器は、単層又は多層構造で、お茶、ジュース、ソフトドリンク・炭酸飲料、食物或いは栄養剤等の包装に応用できることを特徴とする、ポリエステル充填容器。

【公開番号】特開2007−314591(P2007−314591A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142387(P2006−142387)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(506174669)南亞塑膠工業股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】