説明

具材入り肉汁食品組成物

本発明は、肉汁ソース中に具材を約25:75〜約60:40の具材対肉汁ソース比で含む具材入り肉汁食品組成物であって、肉汁ソースは、約0.01%〜約1%のグアー及び約0.01%〜約1%の脱アセチル化キサンタンを含む、具材入り肉汁食品組成物を提供する。肉汁ソースは、製造工程の間、粘性を維持するため、具材が確実に具材入り肉汁食品組成物に均一に分布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、2009年3月11日出願の米国特許仮出願第61/209748号への優先権を主張するものであり、当該仮出願の開示内容を参照により援用するものである。
【0002】
[0002]本発明は一般に、食品組成物、特に具材入り肉汁(gravy)食品組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]具材入り肉汁食品組成物は、グアー及びキサンタンをガム質原材料として使用して流体の肉汁ソースを生成することにより通常は製造される。肉汁ソースを容器に入れ、熱い具材(>70℃)を流体の肉汁ソースと混合する。具材入り肉汁混合物を容器に入れ、密封し、レトルト処理をして、具材入り肉汁食品組成物を製造する。処理中、肉汁ソースは、具材を支持して肉汁ソース内に均一に分散させるような粘性を維持しなければならない。しかし、熱い具材を肉汁ソースと混合すると、グアーガムが崩壊するため、肉汁ソースに粘性がなくなってしまう。粘性を失うことによって、肉汁ソースは、肉汁ソース内に均等に具材を分散させておく能力を失う。具材は、通常は容器の底へと沈降する。この現象が起こると、得られる具材入り肉汁組成物は、具材の分布が均一でなく、外観も見栄えが悪い。したがって、具材が組成物中に均一で見栄えが良いように分布している新規な具材入り肉汁食品組成物が求められている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]したがって、本発明の目的は、新規な具材入り肉汁食品組成物を提供することである。
【0005】
[0005]本発明の別の目的は、具材入り肉汁食品組成物の製造に有用な、新規な肉汁組成物を提供することである。
【0006】
[0006]本発明の別の目的は、消化性が向上している具材入り肉汁食品組成物を提供することである。
【0007】
[0007]本発明の別の目的は、具材入り肉汁食品組成物を消費する動物の糞便の質及び硬さを改善する方法を提供することである。
【0008】
[0008]これらの目的又は他の目的の1つ又は複数は、肉汁ソース中に具材を約25:75〜約60:40の具材対肉汁ソース比で含む新規な具材入り肉汁食品組成物であって、肉汁ソースが、約0.01%〜約1%のグアー及び約0.01%〜約1%の脱アセチル化キサンタンを含む、新規な具材入り肉汁食品組成物を使用することによって、達成される。必要な量のガム質をこのように新しく組み合わせて使用することによって、製造工程の間中、粘性を維持する肉汁ソースが生成される。得られる具材入り肉汁食品組成物は、具材が組成物中に比較的均一に分布しているため、見栄えの良い外観及び望ましい嗜好性を有する。加えて、新規な具材入り肉汁食品組成物は、食品組成物中のガム質の総量を減らしたことから、糞便の質及び硬さに有益な影響を及ぼし、また食品組成物中のガム質の量が少なくなっているために、先行技術の具材入り肉汁食品組成物と比べて消化性が向上している。
【0009】
[0009]本発明のその他及び別の目的、特徴、及び利点は、当業者には容易に明らかとなろう。
【発明の詳細な説明】
【0010】
定義
[0010]用語「食品組成物」とは、動物に摂取されることを目的とした製品又は組成物を意味する。
【0011】
[0011]用語「動物」とは、ヒト、鳥、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ、オオカミ、ネズミ、ヒツジ、又はブタといった動物を含めて、本発明の食品組成物の恩恵を受け、又はその消費を享受し得る任意の動物を意味する。
【0012】
[0012]用語「伴侶動物」とは、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、アレチネズミ、ウマ、乳牛、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタなどの、家畜化した動物を意味する。
【0013】
[0013]本明細書で示すパーセンテージはすべて、別段表記しない限り、組成物の総重量に対する重量パーセントである。
【0014】
[0014]本明細書で示す比はすべて、別段表記しない限り、重量:重量(w/w)ベースである。
【0015】
[0015]範囲は、本明細書では、リストにする必要を回避し、範囲内の値をもれなく記載するための省略表現として使用する。範囲内の適切な任意の値を、より大きい値、より小さい値、又は範囲の境界値として適宜選ぶことができる。
【0016】
[0016]本明細書では、単語の単数形は、文脈からはっきりとそうでなく規定されない限り、複数を包含し、逆もまた同じである。したがって、「a」、「an」、及び「the」の表示は、一般に、それぞれの用語の複数形の語を含めたものである。たとえば、「補助物質(a supplement)」、「方法(a method)」、又は「食品(a food)」に言及した場合、複数の「補助物質(supplements)」、「方法(methods)」、又は「食品(foods)」を包含する。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」という語は、限定的でなく非限定的に解釈されるものとする。同じく、用語「包含する(include)」、「包含している(including)」、及び「又は(or)」はすべて、そのような解釈が文脈からはっきりと禁じられない限り、非限定的であると解釈すべきである。同様に、用語「例(examples)」は、特に用語の列挙が後に続くとき、具体例及び実例にすぎず、限定的又は網羅的であるとみなすべきでない。
【0017】
[0017]本明細書で開示する方法及び組成物並びに他の記述は、当業者には分かるとおり、様々に変更し得るため、特定の方法、プロトコール、及び試薬に限定されない。さらに、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態について記載することのみを目的としたものであり、開示又は特許請求がなされる事項の範囲を限定する意図はなく、また限定もしない。
【0018】
[0018]別段規定しない限り、本明細書で使用するすべての科学技術用語、技術用語、及び頭字語は、本発明の(1つ又は複数の)分野又はその用語が使用される(1つ又は複数の)分野の技術者に一般に理解されている意味を有する。本発明を実施する際には、本明細書に記載のものと同様又は同等の任意の組成物、方法、製品、又は他の手段若しくは材料を使用することができるが、好ましい組成物、方法、製品、又は他の手段若しくは材料を本明細書に記載する。
【0019】
[0019]本明細書で引用又は言及するすべての特許、特許出願、刊行物、技術論文及び/又は学術論文、並びに他の参考文献は、法律によって認められる程度にその全体を参照により本明細書に援用する。これらの参考文献についての論述は、その中でなされる主張を要約するものにすぎない。そのような任意の特許、特許出願、刊行物、若しくは参考文献、又はその任意の部分が、関連技術、重要技術、又は先行技術であることを容認してはいない。そのような特許、特許出願、刊行物、及び他の参考文献の任意の主張が関連技術、重要技術、又は先行技術であることの正確性及び妥当性に異議を申し立てる権利は、特に留保される。
本発明
【0020】
[0020]一態様では、本発明は、具材入り肉汁食品組成物を提供する。この組成物は、肉汁ソース中に具材を約25:75〜約60:40の具材対肉汁ソース比で含むものであり、肉汁ソースは、約0.01%〜約1%のグアー及び約0.01%〜約1%の脱アセチル化キサンタンを含む。大部分の実施形態では、肉汁ソースは、約90%〜約98%の水を含む。
【0021】
[0021]種々の実施形態において、具材対肉汁ソース比は、約30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、及び55:45である。具材対肉汁ソース比は、約35:65の比であることが好ましく、約45:55が最も好ましい。
【0022】
[0022]別の態様では、本発明は、具材入り肉汁食品組成物中に使用するのに適する肉汁ソースを提供する。この肉汁ソースは、約0.01%〜約1%のグアー及び約0.01%〜約1%の脱アセチル化キサンタンを含む。好ましい実施形態では、肉汁ソースは、約90%〜約98%の水を含む。
【0023】
[0023]種々の実施形態において、肉汁ソースは、約0.03%〜約0.7%のグアー、好ましくは約0.05%〜約0.5%のグアーを含む。特に好ましい実施形態では、肉汁ソースは、約0.1%〜約0.2%のグアーを含む。
【0024】
[0024]種々の実施形態において、肉汁ソースは、約0.03%〜約0.7%の脱アセチル化キサンタン、好ましくは約0.05%〜約0.5%の脱アセチル化キサンタンを含む。特に好ましい実施形態では、肉汁ソースは、約0.1%〜約0.2%の脱アセチル化キサンタンを含む。
【0025】
[0025]具材としては、当業者に知られている適切な具材であればよい。任意の本物の肉具材、本物の魚肉具材、肉類似具材、野菜具材、又はこれらの組合せが、本発明において有用である。具材は、肉、肉副生物、穀物、植物性タンパク質抽出物などを含有してよい。本発明において有用な具材組成物及び具材の製造方法は、米国特許第5132137号、米国特許第5567466号、米国特許第6436463号(欧州特許第1294237B1号)、米国特許第4781939号、米国特許第6379738号、及び米国特許第7344745号に記載されている。具材サイズは、製品を消費する動物、たとえば、その動物の種類、年齢、健康状態、又は大きさに応じて様々である。たとえば、イヌに適する具材サイズは通常、最長の辺が約10〜80ミリメートル(mm)、好ましくは20〜40mmの範囲となる。ネコ用の具材サイズは通常、最長の辺が3〜30mm、好ましくは8〜20mmの範囲となる。
【0026】
[0026]種々の実施形態において、本発明の組成物は、当業者に知られているビタミン、ミネラル、アミノ酸、核酸、増量剤、嗜好性増進剤、結合剤、香料、安定剤、乳化剤、甘味料、着色料、緩衝剤、塩、コーティング剤、香辛料、保存料などの追加原材料を含む。補助的なミネラルの非限定的な例としては、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、セレンなどが挙げられる。補助的なビタミンの非限定的な例として、ビタミンA、ビタミンB群のいずれか、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、及びビタミンKを包含し、それらの様々な塩、エステル、又は他の誘導体も包含する。追加の食事補助物質として、たとえば、いずれかの形態のナイアシン、パントテン酸、イヌリン、葉酸、ビオチン、アミノ酸など、並びにそれらの塩及び誘導体も挙げることができる。安定剤として、組成物の保存期限を延長する傾向のある物質、たとえば、保存剤、相乗剤及び金属イオン封鎖剤、包装用ガス、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、保水剤を包含する。乳化剤及び/又は増粘剤の例として、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、及び加工デンプンを包含する。原材料及びその量の選択は、当業者の知るところである。各追加原材料の詳細な量は、組成物中に含まれる原材料;動物の種;動物の年齢、体重、全身の健康、性別、及び食生活;動物の消費速度;食品組成物を動物に与える目的などの様々な要素に応じて決まる。したがって、成分及び原材料の量は、広い範囲で変化することもあり、本明細書に記載の好ましい割合から逸脱してもよい。
【0027】
[0027]他の実施形態では、食品組成物は、米国飼料検査官協会(AAFCO)によって確立された基準に従って、「完全でバランスの取れた」栄養を動物、好ましくは伴侶動物に提供するように配合される。他の実施形態では、食品組成物は、イヌ又はネコ用食品組成物を含めて、伴侶動物用食品組成物として配合される。
【0028】
[0028]種々の実施形態において、動物は、伴侶動物、好ましくはイヌ又はネコ、最も好ましくはイヌである。
【0029】
[0029]本発明は、ガム質を特定の量で独自に組み合わせることによって、具材入り肉汁食品組成物の製造に必要な製造工程の間、具材を肉汁ソース中に均一に分布させておく粘度、通常は約3000〜4000センチポアズの粘度を有する肉汁ソース得られるという発見に基づく。このようにガム質を必要な量で独自に組み合わせると、具材を確実に食品組成物中に均一に分布させるのに必要な粘度が維持される。さらに、本発明の具材入り肉汁食品組成物が含有するガム質合計量は、類似の先行技術具材入り肉汁食品組成物より少ない。ガム質がより少ないということは、食品組成物がより消化しやすいことを意味し、したがって組成物を消費する動物の糞便の質及び硬さが改善される。同様に、本具材入り肉汁食品組成物は、類似の先行技術組成物と比較して、嗜好性も同等であるか、又は向上している。
【0030】
[0030]たとえば、先行技術具材入り肉汁食品組成物は、表1に示すものなどの原材料の組合せを使用して作製することができる。
【0031】
【表1】

【0032】
[0031]こうした先行技術食品組成物は、熱い具材を肉汁ソースと混合したとき、グアーが崩壊し、粘度が低下しているので、肉汁ソース内の具材の分布が均一でないことが少なくない。熱い具材を加える前の肉汁ソースの粘度は、約3000〜4000センチポアズである。熱い具材を加えると、粘度は、約500センチポアズに低下する。熱い具材を加えることで、このように粘度が低くなるため、具材は、肉汁ソース中を動き回り、肉汁ソース内で不均一に分布するようになる。
【0033】
[0032]粘度を維持する肉汁ソースを作るために、グアー及びキサンタンの量を表2に示すように変更すると、組成物は、必要な粘度を維持できず、具材が均一に分布されていない組成物が生じる。熱い具材を加える前の肉汁ソースの粘度は、約400センチポアズである。この粘度は、熱い具材を加える前でさえ、具材が均等に分布した製品を製造するのに不十分である。
【0034】
【表2】

【0035】
しかし、表3に示すように、キサンタンを脱アセチル化キサンタンで置き換えると、調合物は、具材を加える前に、必要な粘度を生じ、熱い具材を加えた後、必要な粘度を維持する。熱い具材を加える前の肉汁ソースの粘度は、約3000〜4000センチポアズである。熱い具材を加えた後も、粘度は、約3000〜4000センチポアズのままである。この粘度によって、具材が支持され、具材の分布が比較的均一な製品を製造することができる。
【0036】
【表3】

【0037】
[0033]したがって、ガム質を本発明について示す量で独自に組み合わせると、熱い具材を肉汁ソースと混合する時点を含めて、具材入り肉汁食品組成物を製造するために使用される処理の間中、粘度を維持する肉汁ソースが生成される。熱い具材を加える前の肉汁ソースの粘度は、約3000〜4000センチポアズである。熱い具材を加えた後も、粘度は、約3000〜4000センチポアズのままである。この粘度によって、具材が支持され、具材の分布が比較的均一な製品を製造することができる。さらに、ガム質の総量は、先行技術組成物と比べて少なく、0.62%に対して0.3%である。得られる具材入り肉汁食品組成物は、先行技術組成物の約2分の1の量のガム質しか含まない。その結果として、本発明の食品組成物は、より消化しやすく、したがって、食品組成物が糞便の質及び硬さを改善することを示す糞便スコアの向上をもたらす。同様に、本具材入り肉汁食品組成物は、類似の先行技術組成物と比較して、嗜好性も同等であるか、又は向上している。
【0038】
[0034]本発明の具材入り肉汁食品組成物は、グアー、キサンタン、アミノ酸、糖、塩、ピロリン酸三ナトリウム、及びカラメルを、室温(RT)(約15〜20℃)で水に加え、その間、高速ミキサーを用いて約2分間約3000rpmで継続的に撹拌することにより調製できる。得られる肉汁ソース溶液の粘度は、約3000〜4000cpsである。肉汁ソース溶液を熱い具材と混合し、容器に入れて密封し、レトルト処理し、冷却して、具材が均等に分布した具材入り肉汁食品組成物を製造する。同様の方法が当業者に知られている。
【0039】
[0035]別の態様では、本発明は、具材入り肉汁食品組成物の消化性を、先行技術具材入り肉汁食品組成物と比べて向上させる方法を提供する。この方法は、約0.01%〜約1%のグアー及び約0.01%〜約1%の脱アセチル化キサンタンを含む肉汁ソースを使用して具材入り肉汁食品組成物を製造するステップを含む。肉汁ソースは通常、約90%〜約98%の水を含む。組成物中のガム質の総量が先行技術における組成物と比べて少ないために、組成物がより消化しやすくなる。
【0040】
[0036]別の態様では、本発明は、具材入り肉汁食品組成物を消費する動物の糞便の質及び硬さを、先行技術具材入り肉汁食品組成物と比べて改善する方法を提供する。この方法は、肉汁ソース中に具材を約25:75〜約60:40の具材対肉汁ソース比で含む具材入り肉汁食品組成物を動物に与えるステップを含み、肉汁ソースが、約0.01%〜約1%のグアー、約0.01%〜約1%の脱アセチル化キサンタン、及び約90%〜約98%の水を含む、方法である。好ましい実施形態では、肉汁ソースは、約0.01%〜約1%のグアーをさらに含む。組成物中のガム質の総量が先行技術における組成物と比べて少なくなるため、結果として、新規な具材入り肉汁食品組成物を消費する動物の糞便の質及び硬さが改善される。糞便の質(糞便スコア)及び硬さは、当業者に知られている方法によって決定することができる。たとえば、糞便スコアは、以下の指標に基づくものでよい。すなわち、1−下痢なし、2−血液を含まない半固形糞便、3−黒色又は血液の混じった糞便を伴わない水性下痢、4−血液で染まった糞便、緩い又は形がある、及び5−明らかな血液又は黒いタール状糞便を伴うおびただしい下痢。本明細書で使用する好ましい指標である別の系統は、次のとおりである。すなわち、1−硬く乾燥している、2−締まっているが硬くはない、3−表面の湿った円筒形ロープ状固形物、4−表面が非常に湿っているが依然としてロープ状、5−非常に湿っていて積み重なったロープ状に見える、6−明確なロープ状でない山として存在する水気の多い塊、及び7−水性、流れやすい平らな水溜り状。1〜4のスコアは許容範囲とし、5〜7は不可とした。
【0041】
[0037]別の態様では、本発明は、(1)本発明の具材入り肉汁食品組成物の消化性、(2)具材入り肉汁食品組成物を使用して、その食品組成物を消費する動物の糞便の質及び硬さを改善すること、(3)具材入り肉汁食品組成物を動物に与えるための指示、(4)消費者が具材入り肉汁食品組成物又はその使用について疑問をもった場合に使用する問い合わせ先情報、及び(5)具材入り肉汁食品組成物についての栄養学的情報の1つ又は複数に関して、情報又は指示を伝達する手段を提供する。有用な指示として、食べさせる量及び頻度を包含しうる。この伝達手段は、本発明を使用することの利点について教示し、食品組成物を動物に与えるための是認された方法を伝達するのに有用である。この手段は、情報又は指示を含んでいる実文書若しくは電子文書、デジタル記憶媒体、光学記憶媒体、音声表現、視聴覚表示、又は視覚表示の1つ又は複数を含む。手段は、ウェブサイトの表示、視覚的表示キオスク、小冊子、製品ラベル、添付文書、広告、チラシ、公示、音声テープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピューター読み取り可能なチップ、コンピューター読み取り可能なカード、コンピューター読み取り可能なディスク、USBデバイス、FireWireデバイス、コンピューターメモリ、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択されることが好ましい。
【0042】
[0038]別の態様では、本発明は、本発明の具材入り肉汁食品組成物と、添付ラベルとを含むパッケージを提供するものであり、該添付ラベルが、パッケージの中身が均一な具材分布、糞便の質及び硬さの改善、消化性の向上などの有益な特性を有する具材入り肉汁食品組成物を含んでいることを示す、1語又は複数の単語、絵柄、デザイン、頭字語、スローガン、文言、若しくはその他の工夫、又はこれらの組合せを含んでいる。通常、そうした工夫は、パッケージに印刷された、「糞便の質を改善する」、「糞便の硬さを改善する」、「消化性の向上」という言葉又は同等の表現を含む。組成物を収容するのに適する任意のパッケージ又は包装材料、たとえば、紙、プラスチック、ホイル、金属などから製造された袋、箱、ボトル、缶、パウチなどが、本発明において有用である。好ましい実施形態では、パッケージは、ヒト、イヌ、ネコなどの、ラベルに対応した特定の動物用に構成された食品組成物、好ましくはイヌ又はネコ用の伴侶動物食品組成物を収容する。好ましい実施形態では、パッケージは、本発明の具材入り肉汁食品組成物を含む、レトルト処理可能な缶又はパウチである。
【実施例】
【0043】
[0039]本発明は、以下の実施例によってさらに例示することができるが、それら実施例は、単に例示目的で含めているにすぎず、別段特に指摘しない限り、本発明の範囲を限定するものでないことは理解されよう。
【0044】
実施例1
[0040]表4に示す原材料を含む具材を、肉及び肉副生物を肉挽き機で12mm未満の大きさに挽くことにより製造した。鶏肉、ブタ肝臓、小麦粉、及び小麦グルテンを標準の肉挽き機に入れて毎分1000回転で10分間挽いた。次いで、肉をパドルブレンダーに入れて他の乾燥原材料と混合し、水を加えて、弾力のある均質なペーストを得た。次いでペーストをKarl Schnell乳化機で乳化した。次いで、乳化したペーストを押出型に押し通して、ロープ状物を生成した。押し出されたロープ状物を継続的に熱気及び蒸気で処理して、80℃〜95℃の間のコア温度を実現した。熱硬化したロープ状物をオーブンの出口で板状にスライスした。次いで、それらの板状物を、Urschelダイサーを使用して、長側面が約8〜20mmの適切なサイズのさいの目に切断した。
【0045】
【表4】

【0046】
[0041]表5に示す原材料を含む肉汁ソース(比較用肉汁ソース)を、Karl Schnell B22ミキサーを使用して製造した。室温の水を秤量し、ミキサーに注いだ。次いで撹拌機を3000rpmにセットした。継続的に撹拌しながら、乾燥原材料を約3分間かけて加え、固体を均質に分散させた。実現された粘度は、3500cps(Brookfield RVT、20rpm)であり、表7に示した。
【0047】
【表5】

【0048】
[0042]表6に示す原材料を含む肉汁ソース(試験用肉汁ソース)を、Karl Schnell B22ミキサーを使用して製造した。室温の水を秤量し、ミキサーに注いだ。次いで撹拌機を3000rpmにセットした。継続的に撹拌しながら、乾燥原材料を約3分間かけて加え、固体を均質に分散させた。得られた粘度は、3500cps(Brookfield RVT、20rpm)であり、表7に示した。
【0049】
【表6】

【0050】
[0043]各肉汁ソースを真空充填機に移し、パウチに、パウチ1袋あたり50グラムの肉汁ソースを加えた。パウチに入った肉汁ソースに45グラムの熱い具材(70〜85℃)を加えた。次いでパウチを真空密封し、15分間かけて130℃に加熱してレトルト処理し、20分間130℃に保ち、15分間で50℃に冷却した。パウチを2時間かけて室温に冷ました。パウチを開け、得られた具材入り肉汁食品組成物の具材分布を比較した。比較用肉汁ソースを含む組成物では、具材は、肉汁ソースから沈降している外観を呈した。上層は混じりけのない肉汁ソースであり、下層では具材が凝集していた。試験用肉汁ソースを含む組成物では、具材は、冷えた肉汁ソース全体に均一に分布していた。
【0051】
実施例2
[0044]実施例1に記載の対照の肉汁ソース及び試験用肉汁ソースを、その粘度を試験すべく比較した。粘度データはすべて、Brookfield RVT粘度計を使用して、サンプル温度20℃で取得した。すべての測定に20rpmで同じスピンドルを使用した。結果を表7に示す。表7を参照すると、対照の肉汁ソース組成物は、熱い具材と接触すると崩壊し、そのもとの粘度の約86%を失うことが明白である。対照の肉汁ソースは、肉汁ソースが凝固するまで具材を浮遊状態に保てなかった。一方、新規な肉汁ソース組成物は、熱い具材と接触しても、そのもとの粘度の約15%しか失わなかった。この粘度は、液体組成物が肉汁ソースに凝固するまで具材を浮遊状態に保つのに十分であり、したがって具材の均一な分布を維持した。
【0052】
【表7】

【0053】
実施例3
[0045]対照の肉汁ソース及び試験用肉汁ソースを含む具材入り肉汁ソース製品を、糞便の質及び硬さについて比較した。各々の食餌を、その栄養所要量を満たすのに十分な食品によって、少なくとも8匹の健康な成体ネコに11日間毎日与えた。各動物の糞便を毎日評価し、次のとおりにスコア記録した。すなわち、1−硬く乾燥している、2−締まっているが硬くはない、3−表面の湿った円筒形ロープ状固形物、4−表面が非常に湿っているが依然としてロープ状、5−非常に湿っていて積み重なったロープ状に見える、6−明確なロープ状でない山として存在する水気の多い塊、及び7−水性、流れやすく平らな水溜り状。1〜4のスコアは許容範囲とし、5〜7は不可とした。結果を表8に示す。
【0054】
【表8】

【0055】
[0046]表8を参照すると、上記の結果から、試験用具材入り肉汁ソース組成物では、糞便の質及び硬さ(消化性)が明らかに改善されていることがわかる。
【0056】
[0047]本明細書では、本発明の典型的な好ましい実施形態を開示してきた。特定の用語を用いているとしても、そうした用語は、限定する目的でなく、一般的及び説明的な意味で使用しているにすぎない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載する。当然、上記の教示に照らして、本発明の多くの変更形態及び変形形態が存在し得る。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲の範囲内で、詳細に記載したのとは別の形で実施してもよいことが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉汁(gravy)ソース中に具材を約25:75〜約60:40の具材対肉汁ソース比で含む具材入り肉汁食品組成物であって、肉汁ソースは、約0.01%〜約1%のグアー及び約0.01%〜約1%の脱アセチル化キサンタンを含む、具材入り肉汁食品組成物。
【請求項2】
肉汁ソースは、約0.03%〜約0.7%のグアー及び約0.03%〜約0.7%の脱アセチル化キサンタンを含む、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項3】
肉汁ソースは、約0.05%〜約0.5%のグアー及び約0.05%〜約0.5%の脱アセチル化キサンタンを含む、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項4】
動物に完全でバランスの取れた栄養を提供するように配合された、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項5】
動物は、伴侶動物である、請求項4に記載の食品組成物。
【請求項6】
動物は、イヌ又はネコである、請求項5に記載の食品組成物。
【請求項7】
約0.01%〜約1%のグアー及び約0.01%〜約1%の脱アセチル化キサンタンを含む肉汁組成物であって、具材入り肉汁食品組成物への使用に適する肉汁組成物。
【請求項8】
肉汁ソースは、約0.03%〜約0.7%のグアー及び約0.03〜約0.7%の脱アセチル化キサンタンを含む、請求項7に記載の肉汁組成物。
【請求項9】
肉汁ソースは、約0.05〜約0.5%のグアー及び約0.05%〜約0.5%の脱アセチル化キサンタンを含む、請求項7に記載の肉汁組成物。
【請求項10】
具材入り肉汁食品組成物の消化性を向上させる方法であって、約0.01%〜約1%のグアー、約0.01%〜約1%の脱アセチル化キサンタンを含む肉汁ソースを使用して具材入り肉汁食品組成物を製造するステップを含む方法。
【請求項11】
肉汁ソースは、約0.01%〜約1%のグアーをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
具材入り肉汁食品組成物を消費する動物の糞便の質及び硬さを改善する方法であって、肉汁ソース中に具材を約25:75〜約60:40の具材対肉汁ソース比で含む具材入り肉汁食品組成物を動物に与えるステップを含み、肉汁ソースは、約0.01%〜約1%のグアー及び約0.01%〜約1%の脱アセチル化キサンタンを含む、方法。
【請求項13】
肉汁ソースは、約0.01%〜約1%のグアーをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(1)本発明の具材入り肉汁食品組成物の消化性、(2)具材入り肉汁食品組成物を使用して、その食品組成物を消費する動物の糞便の質及び硬さを改善すること、(3)具材入り肉汁食品組成物を動物に与えるための指示、(4)消費者が具材入り肉汁食品組成物又はその使用について疑問をもった場合に使用する問い合わせ先情報、及び(5)具材入り肉汁食品組成物についての栄養学的情報の1つ又は複数に関して、情報又は指示を伝達する手段であって、情報又は指示を含んでいる実文書若しくは電子文書、デジタル記憶媒体、光学記憶媒体、音声表現、視聴覚表示、又は視覚表示の1つ又は複数を含む手段。
【請求項15】
ウェブサイトの表示、視覚的表示キオスク、小冊子、製品ラベル、添付文書、広告、チラシ、公示、音声テープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピューター読み取り可能なチップ、コンピューター読み取り可能なカード、コンピューター読み取り可能なディスク、USBデバイス、FireWireデバイス、コンピューターメモリ、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項14に記載の手段。
【請求項16】
請求項1に記載の具材入り肉汁食品組成物と、添付ラベルとを含むパッケージであり、添付ラベルは、パッケージの中身が有益な特性を有する具材入り肉汁食品組成物を含んでいることを示す、1語又は複数の単語、絵柄、デザイン、頭字語、スローガン、文言、若しくは他の工夫、又はこれらの組合せを含む、パッケージ。
【請求項17】
有益な特性は、均一な具材分布、糞便の質及び硬さの改善、及び消化性の向上である、請求項16に記載のパッケージ。

【公表番号】特表2012−520071(P2012−520071A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554042(P2011−554042)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/000720
【国際公開番号】WO2010/104572
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】