説明

内副管用管継手

【課題】 マンホール内側への突出を最小限に押さえて、マンホールの内部に作業用等の空間を確保すること、さらに清掃口の蓋体の着脱が簡単にでき、かつ蓋体のロックが簡単かつ強固に行える内副管用管継手を提供する。
【解決手段】 本発明の内副管用管継手1は、横方向の管体3の一端部に流入管用の受け口2を、他端部に清掃口4を有し、受け口2と清掃口4間に、下方に延びる管体5の端部に内副管用の接続口6が形成され、前記清掃口4の拡径開口周縁部7の対向位置に、前記清掃口4に挿入嵌合させた蓋体10をその蓋体10の表面で止め棒9を用いてロックする貫通孔8を設けた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールの内部空間をできるだけ広く確保でき、マンホール内の清掃等の作業を円滑に行うことのできる内副管用管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
マンホールに使用される従来の内副管用管継手の代表例を図4に示す。
この内副管用管継手21は、マンホール50の側壁に貫通固定され、マンホール50の外側に位置する横方向に延びる管体23の一端部に流入管30用の受け口22を、マンホール50の内側に位置する他端部に清掃口24を有しており、
この清掃口24には蓋体20が取付けられ、前記受け口22と前記清掃口24との間に縦方向の管体25が一体に連結し、この管体25の下端部にはマンホール50の内側に設置された内副管40への接続口26を有し、縦方向の管体25の上端部には点検口27が形成されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−173869号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の内副管用管継手は、マンホール50に設置した場合、図4および特許文献1に見られるように、横方向の管体23の清掃口24側端部が、マンホール50内側に大きく突出しているため、マンホールへの出入りやマンホール内での清掃等の作業に支障を来していた。
【0005】
特に、人が入りにくい小型のマンホールでは、内副管用管継手に連結する管路の清掃等の作業に際し、内副管用管継手の前記突出部が大きいため、各種作業の邪魔になるばかりか、清掃口24の蓋体20の取付け構造が、ねじ込み式のものにあっては、蓋体にかかる応力を受け止めるために、ネジ部分に所要の長さを必要とし、かつ、蓋体をこのネジ部に嵌め合わせるための作業空間を清掃口側に必要とし、また、特許文献1のように、蝶番による開閉式のものにあっては、蓋体の着脱時に蓋体の直径分、マンホール内側に突出するため、これらがマンホールの内部空間を少なくし、清掃等の各種作業の妨げになるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、マンホール内側への突出を最小限に押さえて、マンホールの内部に作業用等の空間を確保すること、さらに清掃口の蓋体の着脱が簡単にでき、かつ蓋体のロックが簡単かつ強固に行える内副管用管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の内副管用管継手は、横方向に延びる管体の一端部に流入管用の受け口を、他端部に清掃口を有し、前記受け口と前記清掃口間に、下方に延びる管体の端部に内副管用の接続口が形成され、前記清掃口の拡径開口周縁部の対向位置に、前記清掃口に挿入嵌合させた蓋体をその蓋体の表面で止め棒を用いてロックする貫通孔を設けたことを特徴とする。
本発明の内副管用管継手は、清掃口の拡径開口周縁部の対向位置にそれぞれ設けた貫通孔に、止め棒を挿通させて、清掃口に挿入嵌合させた蓋体をロックする、さらに、止め棒の先端部は折曲しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の内副管用管継手によれば、従来の内副管用管継手より、マンホール側壁に貫通固定された内副管用管継手の横方向の管体に設けられた清掃口が、マンホール内側に大きく突出せず、さらには、清掃口に挿入嵌合させる蓋体の着脱のための空間を最小限に押さえることができるので、内副管用管継手内やマンホール内の清掃等の作業が容易になり、作業効率の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明者は、前記の問題点に鑑み、従来の内副管用管継手の清掃口に嵌合する蓋体の取付け構造に着目し、この構造部を可能な限り小さくすると共に、蓋体の着脱の際、蓋体ができるだけマンホール内側に突出しない構造を追求し、本発明を完成させた。
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の内副管用管継手の一例を示す模式的な部分切欠断面図であり、図2は、本発明の内副管用管継手の他の例を示す模式的な斜視図である。
図3は、本発明の内副管用管継手に係る蓋体の一例を示す模式的な側面図であり、図4は、従来の代表的な内副管用管継手を、マンホールの内壁に設置した状態で示した部分的な模式図である。
【0011】
本発明の内副管用管継手は、図4の21で示すような、マンホール50の上部に横方向から流入した下水を、マンホール50の下部に導く内副管40に連結するための管継手である。
図1に示すように、本発明の内副管用管継手1は、マンホール側壁に貫通固定され、流入管用の受け口2を横方向に延びる管体3の一端部に有すると共に、管体3の他端部に清掃口4を有し、受け口2と清掃口4との間で下方に延びる管体5の端部に、内副管用の接続口6が形成され、この接続口6と対向する上方の端部には点検口17が形成されている。
【0012】
この内副管用管継手1は、清掃口4における管体3の拡径開口周縁部7の対向位置に貫通孔8、8が設けられ、この一対の貫通孔8、8に、一本の止め棒9を管体3の外方から挿通させることができるようになっている。
本発明の内副管用管継手1は、図2で示すように、清掃口4に蓋体10を挿入嵌合させた後に、貫通孔8、8に止め棒9を上方から挿通させることにより、蓋体10が、その表面で止め棒9によって係止されロックされる構造である。
すなわち、清掃口4に挿入嵌合させた蓋体10が、流入管用の受け口2から管体3内に流れ込んだ下水の圧力(水圧)によって清掃口4側に押されても、貫通孔8、8に挿通させた止め棒9に蓋体10の表面が当たって係止され、蓋体10がマンホール内側へ飛び出すことはない。
【0013】
清掃口4の拡径開口周縁部7の対向する位置に設けられ貫通孔8は、一対であっても良く、また間隔をあけて複数対設けるようにしてもよい。
貫通孔8が一対の場合、通常、貫通孔8、8を結ぶ線が、清掃口4の中心を通るように、拡径開口周縁部7に設けるのが好ましいが、複数対設ける場合には、V字状であってもよく、また、清掃口4の中心を通る直線を挟んで対称に形成することも好ましい態様となる。さらに、場合によっては、貫通孔が相互に交差する態様にすることも可能である。
【0014】
止め棒9は、ステンレス鋼製のものが好ましく採用できるが、剛性と耐腐蝕性に優れた材料からなる棒体であれば、金属、合成樹脂等どのようなものを採用してもよい。
また、止め棒9は、貫通孔8、8に挿通させた後、この貫通孔8からの抜け落ちを防止するため、一方の先端が折曲した構造のものがよい。
この先端折曲部の形状は、貫通孔8に挿通させた止め棒9が容易に抜け落ちることがなければ、直線、円形、曲線等どのような形状に形成してもよい。
この貫通孔8の径は、止め棒9が容易に挿通でき、かつ挿通させた後に貫通孔8から容易に抜け落ちることのない太さに形成するとよく、そのため、止め棒9が貫通孔8に挿通できる、止め棒と同径より少し拡く形成するのが好ましい。
この止め棒9に、管体3本体や蓋体10と連結するSUS製や鎖やワイヤーを設けると、止め棒9の落下を防止することができる。
【0015】
蓋体10は、円筒体であって、図3に示すように、その胴部11の周方向に形成された溝12に、リング状の止水パッキン13が取付けられ、蓋体10を清掃口4に挿入嵌合した際に、止水パッキン13が、清掃口内部の管体3の内周面を押圧して管体3内部の水密性を保持するようになっている。
また、蓋体10の外面には、取っ手14が設けられ、蓋体10の着脱が容易に行えるようになっている。この取っ手は、図3のように出張った形状のものでも、内側に引込んだ形状のものでもよい。
【0016】
本発明の内副管用管継手によれば、蓋体10の胴部11の先端部を清掃口4にあてがい、そのまま清掃口4から管体3内に挿入嵌合した後、清掃口4における管体3の拡径開口周縁部7に対向して設けられた貫通孔8、8に、止め棒9を挿通させることにより、蓋体10を清掃口4に、簡単かつ強固にロックすることができる。
【0017】
本発明の内副管用管継手は、合成樹脂製であり、マンホールの側壁に貫通固定する際、マンホールの側壁と本発明の内副管用管継手の外周面とのモルタル接合をより確実にするため、図1に示すように、横方向の管体の適応する外周面に砂付き面15を形成するようにしてもよい。また、流入管用の受け口2がなく、直管形状のものは、耐震性を強化するため、マンホール側壁面にあけた取付孔の内周面と管体の外周面との間に、環状パッキン(図示せず)を配置するようにしてもよい。
【0018】
本発明の内副管用管継手に使用できる合成樹脂としては、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS、PET等やこれらの成型品をリサイクルしたもの等が使用でき、また、前記した止水パッキンあるいは環状のパッキンには、NBR、SBR、EPDM、CR、シリコーンゴム等のゴム系材料及び軟質塩化ビニル樹脂、EVA等の弾性を有する合成樹脂が使用できる。
【0019】
本発明の内副管用管継手は、上述した構成であるため、従来の内副管用管継手に比べて、以下のような作用効果が得られる。
1.本発明の内副管用管継手に係る蓋体10は、その胴部11に止水パッキン13を設けるだけの構造で済むため、短胴部に形成することができる。
2.蓋体10をロックするために、止め棒9を挿通させる貫通孔8、8は、管体3の張出開口周縁部7に設けるため、蓋体10のロック構造に場所をとらない。
3.蓋体10のロック構造は、清掃口4に蓋体10を挿入嵌合させた後に、貫通孔8、8に、止め棒9を挿通させる簡潔な構造であり、部品点数も少ないため故障が少ない。
このように、本発明の内副管用管継手は、従来の内副管用管継手に比べて、清掃口側端部のマンホール内部への突出部分を小さくできるため、清掃等の各種作業に要するマンホールの内部空間を確保し、作業効率が向上する。さらに、故障も少なく、長期にわたって安定した性能を発揮できる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の内副管用管継手に係る蓋体の封止およびロック構造は、他の各種管継手にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の内副管用管継手の一例を示す模式的な部分切欠断面図である。
【図2】本発明の内副管用管継手の他の例を示す模式的な斜視図である。
【図3】本発明の内副管用管継手に係る蓋体の一例を示す模式的な側面図である。
【図4】従来の代表的な内副管用管継手を、マンホールの内壁に設置した状態で示した部分的な模式図である。
【符号の説明】
【0022】
1、21 内副管用管継手
2、22 流入管用の受け口
3、23 横方向の管体
4、24 清掃口
5、25 下方に(縦方向に)延びる管体
6、26 内副管用の接続口
7 清掃口の拡径開口周縁部
8 貫通孔
9 止め棒
10、20 蓋体
11 蓋体の胴部
12 溝
13 止水パッキン
14 取っ手
15 砂付き面
17、27 点検口
30 流入管
40 内副管
50 マンホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に延びる管体の一端部に流入管用の受け口を、他端部に清掃口を有し、前記受け口と前記清掃口間に、下方に延びる管体の端部に内副管用の接続口が形成された内副管用管継手であって、前記清掃口の拡径開口周縁部の対向位置に、前記清掃口に挿入嵌合させた蓋体をその蓋体の表面で止め棒を用いてロックする貫通孔を設けたことを特徴とする内副管用管継手。
【請求項2】
清掃口の拡径開口周縁部の対向位置にそれぞれ設けた貫通孔に、止め棒を挿通させて、清掃口に挿入嵌合させた蓋体の表面をロックする請求項1に記載の内副管用管継手。
【請求項3】
止め棒の先端部が折曲してなる請求項1に記載の内副管用管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−46760(P2007−46760A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234822(P2005−234822)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】