内圧排出構造の包装袋
【課題】生鮮食品、半加工食品の包装袋内での電子レンジ等による加熱加工では発生する水蒸気が食品の賞味を損ねていた。
【解決手段】合成樹脂フィルムよりなる包袋の一部に薄膜層を設け、加熱による余剰蒸気圧を当該薄膜層が膨張、破損することにより外部へ放出する構造の食品包装袋。
【解決手段】合成樹脂フィルムよりなる包袋の一部に薄膜層を設け、加熱による余剰蒸気圧を当該薄膜層が膨張、破損することにより外部へ放出する構造の食品包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加工食品等の包装袋に関するものである。
【0002】
さらには内容物の調理加工に際し、内容物本体より発生する二酸化炭素、水分等を調整して排出しながら、内容物を調理する包装袋である。
【背景技術】
【0003】
冷凍食品、加工食品等にあっては電子レンジ等による再過熱調理時に食品に由来する蒸気を生じ、このため品質を損ねるのである。
【0004】
また、再加工を要する半生食品にあっては販売期間を見積もり、賞味変化により成熟する調味を想定して製造するのである。
【0005】
あるいは、大半の生鮮食品にあっては食品の呼吸により二酸化炭素、水分が生成されるのであるが、密封を要する食品形態にあっては包装袋が膨張するため賞味期限を短く設定しなければならないのである。
【先行技術の開示】
【0006】
特開2006−124015号広報にあっては20〜200μmのフィルムに開口面積1mm以下の微細孔を設け、酸素透過を図るのである。
【0007】
特開2006−158254号広報にあっては厚みが10〜2000μmの高分子フィルムにより構成された袋に一個以上の微孔を設けるのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先行技術の特開2006−124015あるいは特開2006−158254に見られるように発生するガス、水分の透過には微孔あるいは微細孔をあらかじめ設けるのである。
【0009】
これらの技術にあっては、包袋に上記の微細孔を有するため水分、ソース、調味液などの溶液を含む場合、内容物の滲み、吐露が発生した。
【課題を解決しようとするための手段】
【0010】
本発明では、あらかじめ包装フィルムに微孔あるいは微細孔を設けることなく、ガスの発生状況に応じて包袋フィルムに設けた薄膜部2を内部のガスが膨張せしめる構造となすのである。
【0011】
このため、請求項1では、合成樹脂フィルムの所要位置を押圧により厚さ5μm〜70μmの薄膜状となし、内容物により発生した二酸化炭素、水分等のガスにより、当該薄膜部2が他の部分より薄膜であることから当該薄膜部が延伸、膨張し、破裂し、内圧のガス、水分を放出するのである。
【0012】
また、請求項2では包袋表面に設けた薄膜部2を複数個、隣接して設けこれらを容易に連続して破損せしめ、より大きな開口部を呈示せしめるのである。
【0013】
あるいは、請求項3に開示するように請求項1あるいは請求項2により実施された薄膜部2を包袋貼り合わせの糊代部分に隣接して設けるのである。本請求項3の発明にあっては、膨張、延伸し更に薄膜化した当該フィルムは、その破損強度が包袋の重ね貼り合わせ部分の強度よりはるかに劣るため、その隣接部において確実に破損し、同時に、所要破損開口部を当該貼り合わせ部と薄膜部2の位置設定により決めるのである。
【0014】
ポリプロピレン、ポリエチレン、PET等々の合成樹脂フィルムの押圧、延伸にあっては同時に加熱を行うことにより、薄膜部の成形を行うことは有用であり、プレスによる押圧、延伸を効果的となすのである。
【0015】
本発明にあっては、電子レンジあるいは湯煎等の加熱加工を行い、内容物の再調理を行う際に特に有効である。
【0016】
本発明にあっては、あらかじめ想定したガス、水分などによる膨張内圧を薄膜部の厚み強度、面積で調整出来るのである。すなわち内容物に合わせ例えば、5μmレベル程度に薄く構成することにより、ガス圧の高まりと共に生じる薄膜部の延伸による経時的自然透過を延伸、破損、放出行程とは別に、平行して設計するのである。
【0017】
また、本発明によるガス放出は、異なる樹脂との組み合わせで包装形態を構成する場合に容器の蓋部分、あるいはシール素材として用いれば、食品調理に有効な密封蓋とするのである。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、食品の在庫保存を外部環境から密封遮断して保存し、再加熱調理加工において発生する不要なガス、水蒸気の排出をフィルム本体の破損により行うので調理食品の賞味を高めるのである。
【0019】
本発明では、ガス、水分の気化に応じて薄膜部が膨張し、延伸して、破損する事により、それらの放出を行うのである。このため、あらかじめ微孔、微細孔を設けていないので、水溶性内容物の漏れ、滲みを防止し密封するのである。
【0020】
微細孔を有した包袋フィルム等にみらるように当初から開口している包袋内部の食品と、加熱に応じて最終的に開口して蒸気を逃がす本発明の包袋では密閉状態で加熱し、しかる後開封状態とする事が出来るため調理温度が異なり蒸し加工が効果的に行われ明らかに味覚が違のである。
【0021】
冷凍餃子、しゅうまい、パン、ハンバーグ、ハンバーガー等の発酵食品にあっては食品の保存中にも発酵が進行するため、塩分、保存料の量などを勘案して薄膜部厚みを段階的に膨張するように構成することによって発酵速度を調整することができ、再加熱調理時間と相まって賞味期間を延ばし賞味の向上を図ることが出来るのである。
【0022】
また、野菜、果物等の青果食品にあっては薄膜部の厚みを段階的な任意な厚みに構成すると、当該薄膜部2の自然膨張により当該薄膜部2からの内部の二酸化炭素ガス、水分の透過が行われ、不要な当該二酸化炭素ガス、水分等の透過排出調整を行いながら、不必要な水分は水蒸気として外へ逃がすことができるのである。水がいたずらして鮮度が落ちることを防ぐのである。しかる後、再加熱等の再調理行程にあって薄膜部2の破裂により更に不要な二酸化炭素、水蒸気の排出を行うのである。
【0023】
あるいは請求項3にみられるように、肉厚差を有する破損部を構成することで包袋の強度差を設定し、より確実に膨張、破損を意図でき、請求項1あるいは請求項2の薄膜部2を有する小袋に入った調味液、スープ、アルコール素材のものなどを、通常の外袋に同梱した麺類などと共に用いれて再加熱を行えば、二重構造の包袋における内圧、外圧環境にあっても、麺類等の茹で行程と平行して所定の加熱・温度時間の経過と共に調味液、スープ、アルコールのガスが同梱の麺類などに容易に放出され、食味の調整ができるのである。
【0024】
本発明に用いられる包袋に、アルミ蒸着素材等による外部環境との遮断に有効な薄膜金属材料を用いる事は効果的であり、同素材の採用、あるいは併用は本発明の膨張による破損、放出行程を妨げるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
ポリエチレン、ポリプロピレン、アルミ蒸着フィルムなどの合成樹脂フィルム1の所用位置を押圧あるいは延伸により厚さ5μm〜70μmの段階的な薄膜状となすのである。
【0026】
この際、押圧あるいは延伸により構成された薄膜部2には何らの微孔が構成されず密封可能な素材となすのである。
【0027】
あるいはポリエチレン、ポリプロピレン、PET、アルミ蒸着フィルムなどの合成樹脂フィルム1により包装袋を作るのである。この包袋製造過程において、所用箇所に押圧あるいは延伸により薄膜部2を設けるのである。
【0028】
このフィルムにより構成された包装袋内に充填された食品等の内容物に起因する、たとえば電子レンジ加熱、湯煎等で発生する二酸化炭素、酸素、水分等のガスにより、当該薄膜部が他の部分より薄膜であることから当該薄膜部が延伸、膨張するのである。この際、加熱前に意図的に、発生する二酸化炭素、酸素、ガス等を当該薄膜部2の膨張、延伸によりさらに肉薄となった当該薄膜部2からの浸透による不要成分の排出を促進、調整することは有用である。食品というものは加熱状態前の保存状態で乾燥、あるいは発酵を行い食味が経時変化するのである。
【0029】
この際、より薄くなった当該薄膜部から内容物により発生したガス、水分が、任意の厚みを構成された薄膜に浸透して、選択して排出させる事は調理において有効である。
【0030】
なお、薄膜部形成のための押圧、延伸の手段としては回転ギア歯様の押圧あるいはプレスによる押圧、延伸が有用である。この際、樹脂フィルムに加熱を与え可塑性を利用することもある。また、押圧側の押さえ歯8にハイス鋼を、受け側9に通常の硬度の鉄材を用いるなど、押さえと受けに硬度の差を設けることは薄膜設計上、有用である。
【0031】
表面から押圧を加えるにあたり、押圧金型面にわずかな曲面を構成し、受け部にフラットな平板を用いると段階的な薄膜を形成出来るが、逆にこの押圧金型曲面に呼応した受け面を用いると均一な薄膜が期待できるのである。
【0032】
薄膜部の形状は、ガス、水分の透過量、温度変化、時間を勘案し決定される。すなわち薄膜を薄く、さらに面積を大きく設定するとこれらの透過率は高くなり、対破損強度は低くなるのである。
【0033】
本発明では、フィルム面に一切の微孔等を設けないため、旧来のポーラス加工に見られた水溶性の内容物の漏洩がなく、経時変化に伴う二酸化炭素、水蒸気に呼応した不要ガスの透過、排出は薄膜部の膨張、延伸により行われ、食品の品質保持が可能となるのである。
【0034】
また、本発明の作用により梱包中の食品に経時的にアルコール、不活性ガス、香味成分等の付与を行え、調味と共に品質保持が行えるのである。
【0035】
同時に、当該薄膜部が連続して用いられることによりフィルムの易裂性を呈示し、開封手段として用いられることは、有用である。
【0036】
本発明では、包袋上に隣接して複数の薄膜部を連続構成するのである。これにより、隣接する薄膜部は容易に相まって破損を起こすため、大きな開口部を呈するのである。
【0037】
あるいは包袋の貼り合わせによる糊代部に対し、これに連続して薄膜部を設けることにより、互いの肉厚差が生じるために確実に薄膜部の膨張、破損を生起せしめるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における薄膜部である。
【図2】押圧により薄膜を形成する行程の拡大参考図である。
【図3】薄膜部の膨張、破損を説明する参考図である。図中(図A)は薄膜部の膨張を示す。(B)は当該膨張を上面より見たものである。(C)は隣接した薄膜部の破損連鎖を示す。
【図4】薄膜部を有するフィルムの包袋折り込み行程である。
【図5】糊代部を有する包袋と薄膜部を示す。
【図6】薄膜部の破損を示す説明図である。
【図7】一個の薄膜部の破損を示す説明図である。
【図8】複数個の薄膜部の連鎖破損を示す説明図である。
【図9】請求項3にいう薄膜部と貼り合わせ部分の位置関係を示す。
【図10】請求項3にいう薄膜部と貼り合わせ部分の破損を示す拡大図である。
【図11】請求項3にいう薄膜部と貼り合わせ部分の位置関係を示す断面説明である。(D)は貼り合わせに隣接した薄膜部の膨張状態を示す。(E)は同膨張部の破損を示す。
【図12】請求項3にいう破損、排出を示す全体説明図である。
【図13】請求項3にいう薄膜部と貼り合わせ部分の位置関係を示す実施例の参考図である。
【図14】図13の例における破損ならびに連続した薄膜部の破損連鎖、排出を示す全体説明図である。
【図15】二重構造の包袋実施例である。本発明の包袋の破損により開口部から調味液が出て、中の食品に味付けを行う。
【図16】カップヌードルへの応用を示す調味液の実施例である。
【符号の説明】
1 合成樹脂フィルム
2 薄膜部
2’ 膨張した薄膜部
3 ガス、水分、水蒸気等
4 フィルム破損
5 樹脂フィルムの貼り合わせ糊代部分
6 薄膜部の連続した破損
7 本発明の包装袋
8 押さえ歯
9 押圧の受け側
10 カップヌードルの外皮包装フィルム
【技術分野】
【0001】
本発明は加工食品等の包装袋に関するものである。
【0002】
さらには内容物の調理加工に際し、内容物本体より発生する二酸化炭素、水分等を調整して排出しながら、内容物を調理する包装袋である。
【背景技術】
【0003】
冷凍食品、加工食品等にあっては電子レンジ等による再過熱調理時に食品に由来する蒸気を生じ、このため品質を損ねるのである。
【0004】
また、再加工を要する半生食品にあっては販売期間を見積もり、賞味変化により成熟する調味を想定して製造するのである。
【0005】
あるいは、大半の生鮮食品にあっては食品の呼吸により二酸化炭素、水分が生成されるのであるが、密封を要する食品形態にあっては包装袋が膨張するため賞味期限を短く設定しなければならないのである。
【先行技術の開示】
【0006】
特開2006−124015号広報にあっては20〜200μmのフィルムに開口面積1mm以下の微細孔を設け、酸素透過を図るのである。
【0007】
特開2006−158254号広報にあっては厚みが10〜2000μmの高分子フィルムにより構成された袋に一個以上の微孔を設けるのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先行技術の特開2006−124015あるいは特開2006−158254に見られるように発生するガス、水分の透過には微孔あるいは微細孔をあらかじめ設けるのである。
【0009】
これらの技術にあっては、包袋に上記の微細孔を有するため水分、ソース、調味液などの溶液を含む場合、内容物の滲み、吐露が発生した。
【課題を解決しようとするための手段】
【0010】
本発明では、あらかじめ包装フィルムに微孔あるいは微細孔を設けることなく、ガスの発生状況に応じて包袋フィルムに設けた薄膜部2を内部のガスが膨張せしめる構造となすのである。
【0011】
このため、請求項1では、合成樹脂フィルムの所要位置を押圧により厚さ5μm〜70μmの薄膜状となし、内容物により発生した二酸化炭素、水分等のガスにより、当該薄膜部2が他の部分より薄膜であることから当該薄膜部が延伸、膨張し、破裂し、内圧のガス、水分を放出するのである。
【0012】
また、請求項2では包袋表面に設けた薄膜部2を複数個、隣接して設けこれらを容易に連続して破損せしめ、より大きな開口部を呈示せしめるのである。
【0013】
あるいは、請求項3に開示するように請求項1あるいは請求項2により実施された薄膜部2を包袋貼り合わせの糊代部分に隣接して設けるのである。本請求項3の発明にあっては、膨張、延伸し更に薄膜化した当該フィルムは、その破損強度が包袋の重ね貼り合わせ部分の強度よりはるかに劣るため、その隣接部において確実に破損し、同時に、所要破損開口部を当該貼り合わせ部と薄膜部2の位置設定により決めるのである。
【0014】
ポリプロピレン、ポリエチレン、PET等々の合成樹脂フィルムの押圧、延伸にあっては同時に加熱を行うことにより、薄膜部の成形を行うことは有用であり、プレスによる押圧、延伸を効果的となすのである。
【0015】
本発明にあっては、電子レンジあるいは湯煎等の加熱加工を行い、内容物の再調理を行う際に特に有効である。
【0016】
本発明にあっては、あらかじめ想定したガス、水分などによる膨張内圧を薄膜部の厚み強度、面積で調整出来るのである。すなわち内容物に合わせ例えば、5μmレベル程度に薄く構成することにより、ガス圧の高まりと共に生じる薄膜部の延伸による経時的自然透過を延伸、破損、放出行程とは別に、平行して設計するのである。
【0017】
また、本発明によるガス放出は、異なる樹脂との組み合わせで包装形態を構成する場合に容器の蓋部分、あるいはシール素材として用いれば、食品調理に有効な密封蓋とするのである。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、食品の在庫保存を外部環境から密封遮断して保存し、再加熱調理加工において発生する不要なガス、水蒸気の排出をフィルム本体の破損により行うので調理食品の賞味を高めるのである。
【0019】
本発明では、ガス、水分の気化に応じて薄膜部が膨張し、延伸して、破損する事により、それらの放出を行うのである。このため、あらかじめ微孔、微細孔を設けていないので、水溶性内容物の漏れ、滲みを防止し密封するのである。
【0020】
微細孔を有した包袋フィルム等にみらるように当初から開口している包袋内部の食品と、加熱に応じて最終的に開口して蒸気を逃がす本発明の包袋では密閉状態で加熱し、しかる後開封状態とする事が出来るため調理温度が異なり蒸し加工が効果的に行われ明らかに味覚が違のである。
【0021】
冷凍餃子、しゅうまい、パン、ハンバーグ、ハンバーガー等の発酵食品にあっては食品の保存中にも発酵が進行するため、塩分、保存料の量などを勘案して薄膜部厚みを段階的に膨張するように構成することによって発酵速度を調整することができ、再加熱調理時間と相まって賞味期間を延ばし賞味の向上を図ることが出来るのである。
【0022】
また、野菜、果物等の青果食品にあっては薄膜部の厚みを段階的な任意な厚みに構成すると、当該薄膜部2の自然膨張により当該薄膜部2からの内部の二酸化炭素ガス、水分の透過が行われ、不要な当該二酸化炭素ガス、水分等の透過排出調整を行いながら、不必要な水分は水蒸気として外へ逃がすことができるのである。水がいたずらして鮮度が落ちることを防ぐのである。しかる後、再加熱等の再調理行程にあって薄膜部2の破裂により更に不要な二酸化炭素、水蒸気の排出を行うのである。
【0023】
あるいは請求項3にみられるように、肉厚差を有する破損部を構成することで包袋の強度差を設定し、より確実に膨張、破損を意図でき、請求項1あるいは請求項2の薄膜部2を有する小袋に入った調味液、スープ、アルコール素材のものなどを、通常の外袋に同梱した麺類などと共に用いれて再加熱を行えば、二重構造の包袋における内圧、外圧環境にあっても、麺類等の茹で行程と平行して所定の加熱・温度時間の経過と共に調味液、スープ、アルコールのガスが同梱の麺類などに容易に放出され、食味の調整ができるのである。
【0024】
本発明に用いられる包袋に、アルミ蒸着素材等による外部環境との遮断に有効な薄膜金属材料を用いる事は効果的であり、同素材の採用、あるいは併用は本発明の膨張による破損、放出行程を妨げるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
ポリエチレン、ポリプロピレン、アルミ蒸着フィルムなどの合成樹脂フィルム1の所用位置を押圧あるいは延伸により厚さ5μm〜70μmの段階的な薄膜状となすのである。
【0026】
この際、押圧あるいは延伸により構成された薄膜部2には何らの微孔が構成されず密封可能な素材となすのである。
【0027】
あるいはポリエチレン、ポリプロピレン、PET、アルミ蒸着フィルムなどの合成樹脂フィルム1により包装袋を作るのである。この包袋製造過程において、所用箇所に押圧あるいは延伸により薄膜部2を設けるのである。
【0028】
このフィルムにより構成された包装袋内に充填された食品等の内容物に起因する、たとえば電子レンジ加熱、湯煎等で発生する二酸化炭素、酸素、水分等のガスにより、当該薄膜部が他の部分より薄膜であることから当該薄膜部が延伸、膨張するのである。この際、加熱前に意図的に、発生する二酸化炭素、酸素、ガス等を当該薄膜部2の膨張、延伸によりさらに肉薄となった当該薄膜部2からの浸透による不要成分の排出を促進、調整することは有用である。食品というものは加熱状態前の保存状態で乾燥、あるいは発酵を行い食味が経時変化するのである。
【0029】
この際、より薄くなった当該薄膜部から内容物により発生したガス、水分が、任意の厚みを構成された薄膜に浸透して、選択して排出させる事は調理において有効である。
【0030】
なお、薄膜部形成のための押圧、延伸の手段としては回転ギア歯様の押圧あるいはプレスによる押圧、延伸が有用である。この際、樹脂フィルムに加熱を与え可塑性を利用することもある。また、押圧側の押さえ歯8にハイス鋼を、受け側9に通常の硬度の鉄材を用いるなど、押さえと受けに硬度の差を設けることは薄膜設計上、有用である。
【0031】
表面から押圧を加えるにあたり、押圧金型面にわずかな曲面を構成し、受け部にフラットな平板を用いると段階的な薄膜を形成出来るが、逆にこの押圧金型曲面に呼応した受け面を用いると均一な薄膜が期待できるのである。
【0032】
薄膜部の形状は、ガス、水分の透過量、温度変化、時間を勘案し決定される。すなわち薄膜を薄く、さらに面積を大きく設定するとこれらの透過率は高くなり、対破損強度は低くなるのである。
【0033】
本発明では、フィルム面に一切の微孔等を設けないため、旧来のポーラス加工に見られた水溶性の内容物の漏洩がなく、経時変化に伴う二酸化炭素、水蒸気に呼応した不要ガスの透過、排出は薄膜部の膨張、延伸により行われ、食品の品質保持が可能となるのである。
【0034】
また、本発明の作用により梱包中の食品に経時的にアルコール、不活性ガス、香味成分等の付与を行え、調味と共に品質保持が行えるのである。
【0035】
同時に、当該薄膜部が連続して用いられることによりフィルムの易裂性を呈示し、開封手段として用いられることは、有用である。
【0036】
本発明では、包袋上に隣接して複数の薄膜部を連続構成するのである。これにより、隣接する薄膜部は容易に相まって破損を起こすため、大きな開口部を呈するのである。
【0037】
あるいは包袋の貼り合わせによる糊代部に対し、これに連続して薄膜部を設けることにより、互いの肉厚差が生じるために確実に薄膜部の膨張、破損を生起せしめるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における薄膜部である。
【図2】押圧により薄膜を形成する行程の拡大参考図である。
【図3】薄膜部の膨張、破損を説明する参考図である。図中(図A)は薄膜部の膨張を示す。(B)は当該膨張を上面より見たものである。(C)は隣接した薄膜部の破損連鎖を示す。
【図4】薄膜部を有するフィルムの包袋折り込み行程である。
【図5】糊代部を有する包袋と薄膜部を示す。
【図6】薄膜部の破損を示す説明図である。
【図7】一個の薄膜部の破損を示す説明図である。
【図8】複数個の薄膜部の連鎖破損を示す説明図である。
【図9】請求項3にいう薄膜部と貼り合わせ部分の位置関係を示す。
【図10】請求項3にいう薄膜部と貼り合わせ部分の破損を示す拡大図である。
【図11】請求項3にいう薄膜部と貼り合わせ部分の位置関係を示す断面説明である。(D)は貼り合わせに隣接した薄膜部の膨張状態を示す。(E)は同膨張部の破損を示す。
【図12】請求項3にいう破損、排出を示す全体説明図である。
【図13】請求項3にいう薄膜部と貼り合わせ部分の位置関係を示す実施例の参考図である。
【図14】図13の例における破損ならびに連続した薄膜部の破損連鎖、排出を示す全体説明図である。
【図15】二重構造の包袋実施例である。本発明の包袋の破損により開口部から調味液が出て、中の食品に味付けを行う。
【図16】カップヌードルへの応用を示す調味液の実施例である。
【符号の説明】
1 合成樹脂フィルム
2 薄膜部
2’ 膨張した薄膜部
3 ガス、水分、水蒸気等
4 フィルム破損
5 樹脂フィルムの貼り合わせ糊代部分
6 薄膜部の連続した破損
7 本発明の包装袋
8 押さえ歯
9 押圧の受け側
10 カップヌードルの外皮包装フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂フィルム1の所用位置を押圧あるいは延伸により厚さ15μm〜70μmの薄膜状となし、この際、押圧あるいは延伸により構成された薄膜部2には何らの微孔が構成されない事を特徴とし、当該薄膜部2を設けて構成された包装袋内に充填された内容物により発生する二酸化炭素、水分等3のガスにより、当該薄膜部2が他の部分より薄膜であることから当該薄膜部2が延伸、膨張し、想定した内圧により破損することによって、内容物により発生したガス、水分、水蒸気等3がフィルム破損部4より排出される構造の包装フィルム。
【請求項2】
請求項1よりなる合成樹脂フィルム1包装袋の表面に少なくとも2個以上の当該薄膜部2を連続して構成し、内圧により破損する薄膜部2の連鎖により複数個の薄膜部破損6を起こし、内容物が発生するガス、水分、水蒸気3を排出する構造の包装袋7。
【請求項3】
合成樹脂フィルム1を押圧あるいは延伸により厚さ15μm〜70μmの何らの微孔が構成されない薄膜状となし、当該薄膜部2を、肉厚よりなる製袋時の貼り合わせ部分5に隣接せしめて成形することにより、肉厚強度差部分を構成した事を特徴とする請求項1の包装袋。
【請求項1】
合成樹脂フィルム1の所用位置を押圧あるいは延伸により厚さ15μm〜70μmの薄膜状となし、この際、押圧あるいは延伸により構成された薄膜部2には何らの微孔が構成されない事を特徴とし、当該薄膜部2を設けて構成された包装袋内に充填された内容物により発生する二酸化炭素、水分等3のガスにより、当該薄膜部2が他の部分より薄膜であることから当該薄膜部2が延伸、膨張し、想定した内圧により破損することによって、内容物により発生したガス、水分、水蒸気等3がフィルム破損部4より排出される構造の包装フィルム。
【請求項2】
請求項1よりなる合成樹脂フィルム1包装袋の表面に少なくとも2個以上の当該薄膜部2を連続して構成し、内圧により破損する薄膜部2の連鎖により複数個の薄膜部破損6を起こし、内容物が発生するガス、水分、水蒸気3を排出する構造の包装袋7。
【請求項3】
合成樹脂フィルム1を押圧あるいは延伸により厚さ15μm〜70μmの何らの微孔が構成されない薄膜状となし、当該薄膜部2を、肉厚よりなる製袋時の貼り合わせ部分5に隣接せしめて成形することにより、肉厚強度差部分を構成した事を特徴とする請求項1の包装袋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−162261(P2011−162261A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44680(P2010−44680)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(597069062)
【出願人】(509324908)株式会社双進 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(597069062)
【出願人】(509324908)株式会社双進 (2)
【Fターム(参考)】
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