説明

内容物蓄蔵吐出用容器に接続されるバルブアセンブリ及び内容物蓄蔵吐出方法並びにそのバルブアセンブリを含むデバイス及びそのデバイスを充填する方法

【課題】吐出動作実行中に気体或いはバクテリアがノズルを介してチューブ内に侵入することを実質的に阻止する。
【解決手段】ノズル及びその取付先ボディにより容器を形成する。ボディは好ましくは管状とし、その内部にて吐出対象品を保持させる。吐出対象品を吐出させる際には、吐出対象品が不意に放出されることを防ぐためノズルに被せられているキャップを外し、ボディを加圧してノズルから吐出対象品を放出させる。ノズルから吐出対象品が放出される際に容器に残った吐出対象品が外気に晒されることはなく、ボディ内部の無菌性が保持され吐出対象品の寿命が延長される。ノズルは、管状ボディにつながった内側ボディと、これを取り巻く可撓性外側カバーとを有する。内側ボディと可撓性外側カバーの間の閉じ目により、バルブアセンブリが形成され、吐出中もこの閉じ目のどこか一部が閉じた状態を保つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、この参照を以てその全体を本願の一部として明示的に繰り入れるところの2002年8月13日付米国暫定特許出願第60/403396号「内容物蓄蔵吐出用容器及びその製造方法」及び2003年1月27日付米国暫定特許出願第60/442924号「内容物蓄蔵吐出用容器バルブアセンブリ」に基づき米国特許法第119条(e)の規定による優先権を主張する出願である。
【0002】
本発明は、液状、クリーム状或いはペースト状といった吐出対象品を吐出する容器に関する。本発明は、特に、ワンウエイバルブ及び屈曲搾出式チューブを備え、吐出を繰り返しても容器内の吐出対象品を無気状態乃至無菌状態に保持できる改良された容器に接続するバルブアセンブリに関する。本発明は、更に、その種の容器バルブアセンブリの製造方法及び使用方法に関する。また、本発明は、上記のバルブアセンブリを含むデバイスの構造並びにそのデバイスに吐出対象品を充填する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
可撓性を有するチューブは、粉体状、液状、ゲル状、クリーム状或いはペースト状といった、様々な粘度を有する吐出対象品の蓄蔵に使用されている。この種のチューブは、一般に、そのカバーを取り除くと放出孔(口)が単純に露出するような構成を有しており、その内容物を押し出すのに必要な圧力はさして高くないことから、その中に蓄蔵されている吐出対象品が口から滲出して固まり口が目詰まりすることも珍しくない。更に、こういった古典的な構成を有するチューブの口を開けると、通常、チューブの内容物が外的環境に晒されるにとどまらず、ある程度の量の空気がチューブ内に吸い込まれることとなる。そのため、食料品その他の生産物に使用されている滅菌技術を使用したとしても、また更には防腐剤乃至保存剤を使用したとしても、大抵の吐出対象品ではその品質劣化を避けえないことから、チューブ詰めした吐出対象品を保存できる期間及び保存できる量は厳しく限られる。また、チューブ内に蓄蔵されている吐出対象品を複数回に分けて使用消費するという前提では、チューブの口を開けた後に冷却或いは冷凍して保存したとしても、蓄蔵品の質がそれ以後劣化していくのは避け得ない。蓄蔵する吐出対象品が腐敗しやすい吐出対象品であるとその蓄蔵寿命は更に短くなる。こういった状況から、現状においては、一解決策として、1回で使い切ることができる量の吐出対象品を滅菌個装して携帯使用する、という策が採られている。これは、ケチャップやマスタードやマヨネーズ等のパック個装に、採用されている解決策である。
【0004】
同様に、化粧品、皮膚病乃至皮下疾病治療薬、薬剤、美容剤等の吐出対象品は、ディスペンサ等の容器に詰め込まれていることがよくある。この種のパッケージでは、その口を開けた時点或いは当該内容物を最初に吐出させた時点で、内容物が空気に触れることになる。従って、この種の吐出対象品に関しては、使用から使用までの間における容器内使い残し品の品質劣化(例えば腐食・腐敗)を防ぐべく防腐剤乃至保存剤を添加しておくことと、使用前における品質劣化(例えば腐食・腐敗)を防ぐべく開封後迅速にその吐出対象品を使用することとが、求められる。しかしながら、添加されている防腐剤乃至保存剤に対してユーザがアレルギー反応等の好ましくない反応乃至効果を引き起こすことがありうるし、開封済み容器内の蓄蔵品が固まっていき細菌が繁殖しやすくなる等の現象は防腐剤乃至保存剤を添加しても防止できない。また、大抵の従来型ディスペンサでは、その口を開くとディスペンサ内の吐出対象品が外気に晒される。これは、使用中又は使用後に、ディスペンサ内の吐出対象品がバクテリア、細菌等の不純物に晒される、ということである。そのため、使用を重ねる毎に、ディスペンサ内残存品の汚染並びにバクテリア、細菌等の不純物の拡散が進む。例えば、リキッドリップスティックを従来型吐出容器に詰めて使用した場合、上述した理由による汚染が特に進みやすい。汚染されたリキッドリップスティックは、空気流にふれると湿気を失って蒸散し、ついにはその吐出対象品を使い切る前に安全使用できないようになる。即ち、リップスティックの先端部が汚染されると、不潔なねばねばが生じたり、固まってぽろぽろともろく崩れるようになったり、或いは使ってもいないのに流れ出してしまうといった、状況になる。
【0005】
このような現状に鑑み、例えばワンウエイバルブといった閉止機構を備える容器が、何種類か提案されている。この種の従来型ワンウエイバルブ付きディスペンサにおいてしばしば問題となるのは、そのバルブ開放圧が高いこと、また当該高いバルブ開放圧を得るために機械式ポンプその他のアクチュエータを作動させる構成となっていること、である(特許文献1乃至6を参照)。従来型ワンウエイバルブ付きディスペンサにおいて搾出式チューブを用いないのは、搾出式では必要なバルブ開放圧を得ることができず、バルブがうまく作動しないためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国再発行特許第37047号明細書
【特許文献2】米国特許第6032101号明細書
【特許文献3】米国特許第5944702号明細書
【特許文献4】米国特許第5746728号明細書
【特許文献5】米国特許公開第2002/0074362号明細書
【特許文献6】米国特許公開第2002/0017294号明細書
【特許文献7】米国特許第6351924号明細書
【特許文献8】米国特許第6372276号明細書
【特許文献9】米国特許第6355216号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術における上述の問題点及び欠点のうち1個又は複数個を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに、現時点における本発明の好適な実施形態に係る容器乃至ディスペンサは、吐出対象品を貯蔵するためのチューブに対して、容器から吐出対象品を吐出するためのノズルを、通流するようつなげた構成を有している。本実施形態におけるノズルにおいては、吐出対象品がある方向に沿い流れる一方で、その逆方向に流体が流れることは阻止される。この機能、即ちワンウエイバルブとしての機能は、好ましくは、内側ボディ部分上に可撓性カバーを重ね合わせ、両者の接触面においてワンウエイバルブを形成することにより、実現される。
【0009】
本発明の他の実施形態に係る内容物蓄蔵吐出用チューブバルブアセンブリは、その内部に内容物受容蓄蔵用蓄蔵室が形成された搾出式管状ボディと、当該管状ボディの一端に配置されチューブのネックとして機能するヘッドと、を有するチューブを備えている。ネックを貫通するよう且つ軸沿いに形成されている第1流路は、管状ボディの蓄蔵室に対し、阻害物なしで軸沿いに通流する。また、ヘッド上には、ワンウエイバルブアセンブリが実装されている。ワンウエイバルブアセンブリは、ボディベース、バルブシート、第1部分及び複数個の流通孔を有するバルブボディと、カバーベース、バルブ部分及び第2部分を有し所定の弾性係数を有する弾性素材により形成されたバルブカバーと、を備えている。ボディベースにて軸沿いに形成された第2流路は、第1流路に対し、阻害物なしで軸沿いにつながり通流する。バルブシートは軸沿いに形成されており、ボディベース直径より小さな直径を有している。第1部分は略錐台乃至テーパ状であり、ボディベースとバルブシートとの間に形成されている。複数個の流通孔は、第1部分のうちバルブシート寄りの箇所を通って軸沿いに形成されており、互いに角度間隔をおいて配置されている。また、カバーベースは、ボディベースに対して軸沿いに移動しないようボディベース上に実装され固定保持されている。カバーベースは、ボディベースに締嵌(しまりばめ)されるようボディベース直径より小さな直径を有している。バルブ部分は、バルブシート上に配置されており、所定の放射方向厚みを有しており、また、バルブシートに締嵌されるようバルブシート直径より小さな直径を有している。バルブ部分とバルブシートとの間に形成されるバルブ開口は、常閉、環状で軸沿いに延びている。バルブ部分は、当該バルブ部分がバルブシートに密接している常閉位置と、所定のバルブ開放圧にてバルブ部分の一部がバルブシートから放射方向に離隔しその間を内容物が通過していく開位置と、の間で、放射状に動かすことができる。第2部分は、カバーベースとバルブ部分の間に延びる略錐台乃至テーパ状の部分である。第2部分は、略錐台状乃至テーパ状の第1部分に重なり、この第1部分に締嵌されている。そして、バルブシート直径、バルブカバー対バルブシート間締嵌度(干渉度)、バルブ部分放射方向厚み所定値、並びにバルブカバー素材弾性係数所定値のうち少なくとも一種類の数値は、(1)内容物を蓄蔵室からバルブ開口へと通過させるためのバルブ開放圧がチューブを人手で搾ることで得られるよう、且つ(2)常閉位置にてバルブが気密封止されバルブを介したチューブ内へのバクテリアの侵入が阻止されるよう、選択されている。
【0010】
本発明のデバイスは、ボディと、ボディの内部に形成される蓄蔵室と、蓄蔵室に通流して接続され、(1)常閉で、流体封止位置で大気から蓄蔵室を無菌に封止し、(2)開位置でバルブを通して蓄蔵室に流体を充填するためにバルブを流体が通過することを許容する第1のバルブと、蓄蔵室に通流して接続され、(1)常閉で、流体封止位置で蓄蔵室からの流体の通過を禁止し、(2)開位置でバルブを通して蓄蔵室から流体が流れることを許容する第2のバルブと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明のデバイスにおいて、第1のバルブは、第2のバルブと同軸としてもよいし、第1のバルブに重ねられたキャップを有することとしてもよいし、第1のバルブと第2のバルブのうちの少なくとも1つは、バルブシートと、閉位置と開位置との間でバルブシートに対して相対的に移動するシール面とを有し、シール面は、閉位置でバルブシートとの間の流体封止シールを形成するようにバルブシートに係合可能であり、開位置で流体の通過のためのバルブ開口を形成するようにバルブシートに対して相対的に移動可能であることとしてもよい。
【0012】
本発明のデバイスにおいて、第1のバルブに係合可能な充填部材を組み合せ、充填部材から第1のバルブを通して蓄蔵室に流体を導入することとしてもよいし、更に、充填部材に通流して接続される流体源を組み合わせ、それを通して流体を蓄蔵室に導入することとしてもよいし、第1のバルブと第2のバルブの内の少なくとも1つは、軸方向に延びるバルブシートと、バルブシートに重ねあわされ、バルブシートとの間の流体封止シールを形成する柔軟性のあるバルブ部材とを含むこととしてもよいし、第1のバルブと第2のバルブの内の少なくとも1つは、環状で軸方向に延び、バルブ部材とバルブシートの間に形成され、その間に流体を受け入れる閉じ目を含むこととしてもよいし、バルブ部材はバルブシートとの間で流体封止シールを形成する嵌め合いを形成し、バルブ部材は各バルブの入口から出口に向かってその壁厚さが漸減することとしてもよいし、蓄蔵室の中に受容される無菌流体を含むこととしてもよいし、無菌流体は液体食品であることとしてもよいし、更に、蓄蔵室の中に受容される液体食品は、ミルク、ヨーグルト、ベビーフード、粉ミルク、マヨネーズ、チーズ、マスタード、ケチャップ、及びシロップを含む群から選択されることとしてもよい。
【0013】
本発明のデバイスを充填する方法は、ボディと、蓄蔵室と、蓄蔵室に通流して接続され(1)常閉で流体封止位置で大気から蓄蔵室を無菌に封止し(2)開位置でバルブを通して蓄蔵室に流体を充填するためにバルブを流体が通過することを許容する第1のバルブと、蓄蔵室に通流して接続され(1)常閉で流体封止位置で蓄蔵室からの流体の通過を禁止し(2)開位置でバルブを通して蓄蔵室から流体が流れることを許容する第2のバルブと、を含むデバイスを充填する方法であって、(i)流体源に通流し接続される充填プローブを供給するステップと、(ii)充填プローブを第1のバルブと通流して接続するステップと、(iii)第1のバルブを通して充填プローブから流体を蓄蔵室に導入するステップと、(iv)第1のバルブから充填プローブを引き抜き、蓄蔵室の中に流体を気密封止するステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の方法において、更に、第2のバルブを通して蓄蔵室から流体が流出することを許容するステップを含むこととしてもよいし、更に、ステップ(iv)の後に第1のバルブにキャップをとりつけるステップを含むこととしてもよいし、デバイスを滅菌するステップを含むこととしてもよいし、流体を滅菌するステップを含むこととしてもよいし、流体は、ステップ(iii)の前に滅菌されることとしてもよいし、流体は、デバイスに充填されている間、連続して滅菌されることとしてもよいし、流体は液体であることとしてもよいし、液体食品は、ミルク、ヨーグルト、ベビーフード、粉ミルク、マヨネーズ、チーズ、マスタード、ケチャップ、及びシロップを含む群から選択されることとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の利点の一つは、吐出動作実行中に空気、ガスその他の気体或いはバクテリアがノズルその他を介してチューブ内に侵入することを、当該ノズルによって実質的に阻止できることである。その結果として、蓄蔵期間、保存期間或いは使用期間においてまた容器それ自体により、容器内容物を無菌乃至無気状態に保つことが可能になる。従って、本発明に係る容器は、特に、無菌生産物、防腐剤乃至保存剤不使用(防腐剤フリー乃至保存剤フリー)生産物等といった無気状態での蓄蔵が必要な生産物を吐出する容器、しかもこの吐出動作を何回も行える(1回使い切りでない)容器として、使用するのに適している。
【0016】
本発明の他の利点は、バルブシート直径、バルブカバー対バルブシート間締嵌度、バルブ部分放射方向厚み所定値、並びにバルブカバー素材弾性係数所定値、のうち少なくとも一種類の数値が、(1)内容物を蓄蔵室からバルブ開口へと通過させるためのバルブ開放圧がチューブを人手で搾ることで得られるよう、且つ(2)常閉位置にてバルブが気密封止されバルブを介したチューブ内へのバクテリアの侵入が阻止されるよう、選択されていることである。従って、前述した従来技術に係るバルブと対比するに、本発明に係るチューブバルブアセンブリによれば、チューブを人手で搾ればバルブを介し内容物が吐出されるようバルブ開放圧を十分低くすることができ、しかもこれを、バルブによりチューブを気密封止してチューブ内へのバクテリアその他の不純物の侵入を防止しつつ実現することができる。
【0017】
現時点における本発明の好適な実施形態によれば、ノズルにより気密封止しているため、蓄蔵中に素材がクリープすることを実質的に防止できる。また、吐出後に吐出対象品がワンウエイバルブアセンブリ内に残らないため、吐出後残留品によって封止が不確実になることや汚染のおそれが生じることがない。加えて、本発明の好適な実施形態におけるワンウエイバルブによれば、更に、容器の蓄蔵、保存乃至使用期間全体を通じてチューブ内を気密封止状態に保持できる。
【0018】
本発明の更なる利点は、チューブ内で吐出対象品が無気状態に保持されるため、容器をどのような向きでも使用でき、更には微小重力環境でも使用できることである。加えて更なる利点は、流れにおけるバルブ開放圧を最適化できること、使い勝手がよいこと、並びに吐出対象品の粘度に応じて所望の通りバルブ開放圧を変化させられること、である。
【0019】
加えて、瞠目すべきことに、本発明によれば、吐出対象品の寿命が延びるため、有用にもより大量の吐出対象品を蓄蔵することができる。現時点における本発明の好適な実施形態によれば、更に、流路がほぼ直線状であるため、吐出対象品の流速がより均一となるのみならず、ポケットが発生して粘度のある素材が捕捉されること或いは更に汚染源の流路が生じることを、首尾よく防ぐことができる。
【0020】
本発明の好適な実施形態には、以上の他にも目的乃至利点がある。それらについては、後に示す詳細な説明及び添付図面の記載から、直ちに明らかとなろう。
【0021】
また、本発明に関連する技術分野における通常の熟練を積んだ者(以下「当業者」)であれば、図面を参照することにより、本発明に係る物の製造方法及び使用方法をより一層容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】無菌環境に蓄蔵されている内容物を適宜放出する容器に関し、本発明の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示した容器からキャップを外した状態を示す側面図である。
【図3】図1に示した容器を示す切欠斜視図である。
【図4】図1に示した容器を構成するノズルの拡大切欠斜視図である。
【図4B】無菌環境に蓄蔵されている内容物を適宜放出する容器に関し、本発明の他の実施形態、特にそのOリングシール付きノズルを示す断面図である。
【図5】無菌環境に蓄蔵されている内容物を適宜放出する容器に関し、本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5に示した容器の部分側面図である。
【図7】図5に示した容器の切欠斜視図である。
【図8】図5に示した容器を構成するノズルの拡大切欠斜視図である。
【図8B】無菌環境に蓄蔵されている内容物を適宜放出する容器に関し、本発明の他の実施形態、特にその可撓性ショルダ付きノズルを示す部分断面図である。
【図9】無菌環境に蓄蔵されている内容物を適宜放出する容器に関し、本発明の更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】図9に示した容器の部分斜視図である。
【図11】図9に示した容器の部分立面図である。
【図12】図9に示した容器を構成するノズルの拡大切欠図である。
【図12A】図9に示した容器を構成するノズルを模式化し、ノズルが静止している状態を示した断面図である。
【図12B】図9に示した容器を構成するノズルを模式化し、ノズルが加圧され始めた状態を示した断面図である。
【図12C】図9に示した容器を構成するノズルを模式化し、ノズルが内容物を放出しつつある状態を示した断面図である。
【図13】図9に示した容器を構成するノズルの切欠斜視図である。
【図14】図9に示した容器を構成するノズルの部分切欠拡大斜視図である。
【図15】図9に示した容器を構成するノズルの更なる部分切欠拡大斜視図である。
【図15A】図9に示した容器を構成するノズルの先端部を示す部分断面図である。
【図15B】図9に示した容器を構成するノズル用のバルブカバーの一部分を示す模式的斜視図である。
【図15C】図9に示した容器を構成するノズルの更なる断面図である。
【図15D】図9に示した容器を構成するノズルの線描図である。
【図16】無菌環境に蓄蔵されている内容物を適宜放出する容器に関し、本発明の他の実施形態、特にそのノズルを示す断面図である。
【図17】図16に示したノズルの線描図である。
【図18】無菌環境に蓄蔵されている内容物を適宜放出する容器に関し、本発明の更に他の実施形態、特にそのノズルを示す断面図である。
【図19】無菌環境に蓄蔵されている内容物を適宜放出する容器に関し、本発明の他の実施形態を示す断面図である。
【図20A】無菌環境に蓄蔵されている内容物を適宜放出する容器に関し、本発明の更に他の実施形態を示す立面図である。
【図20B】図20Aに示す容器の線描図である。
【図20C】図20Aに示した容器のカートリッジを示す図である。
【図20D】図20Aに示した容器のバルブカバーを示す図である。
【図21A】無菌環境に蓄蔵されている内容物を適宜放出する容器に関し、本発明の更に他の実施形態を示す線描前面図である。
【図21B】図21Aに示した容器の線描側面図である。
【図22A】無菌環境に蓄蔵されている内容物を適宜放出する容器に関し、本発明の更に他の実施形態を示す線描前面図である。
【図22B】図22Aに示した容器の線描側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の代表的な実施形態群に関し説明する図面を参照しつつ、ある種の好適な実施形態群に関し詳細に説明する。以下の説明中、同様の構成要素には同様の符号を付す。当業者であれば、以下の説明から、本発明の利点及び特徴的構成をより容易に理解できることとなろう。
【0024】
図1乃至図4に示す容器100は、ノズル102及びノズル102の取付先たるボディ104を有している。管状ボディ104には内部空間があり、この内部空間には図示しない吐出対象品、例えばクリームやペーストや液等の吐出対象品が保持される。容器100を製造する際には、まずボディ104及びノズル102を滅菌し、ボディ104を生産物(腐敗性食品、化粧品、家庭用品、調剤薬品乃至薬物、薬用美容品乃至薬用化粧品、機能性食品等といった品乃至物質)により充填し、ノズル102を取り付けてボディ104の中身を外気に対し封止する。更に、容器100を閉じた後に、適当な方法、例えば当業者に認知されているガンマ線照射等の方法により、その中身を滅菌するのが望ましい。無論、当業者であれば本願による教示に基づき認識できるように、容器100及びその中にある吐出対象品の滅菌は、望むのであれば、現在知られている又は今後知られることとなる様々な異なるやり方により、ここでの目的に従って行うことができる。例えば、吐出対象品の滅菌を行うのは、最終段階であってもよいし、容器への充填前であってもよいし、容器への充填を実行しているさなかであってもよい。
【0025】
吐出対象品が不意に放出されてしまうことを防ぐため、ノズル102にはキャップ106がネジ付けられている。吐出対象品を吐出させるには、キャップ106を取り外してボディ104に圧力を加えればよい。即ち、ボディ104を手で搾ればノズル102から吐出対象品が放出される。ノズル102は、残りの吐出対象品が外気に触れないようにしつつ、吐出対象品を放出する。従ってボディ104内部における無菌状態や無気状態は維持され、吐出対象品の寿命が損なわれることはない。更に、バクテリアその他の汚物がバルブを通り抜けてボディ104の内部に至ることも、後述の仕組みで防止される。
【0026】
ボディ104は閉止側端部108及び開口側端部110を有するチューブである。閉止側端部108は常閉封止されており、開口側端部110はノズル102につながって封止されている。図3及び図4に示すように、開口側端部110に設けられているネック111内にはアウトレット113が形成されており、吐出対象品はこのアウトレット113を通って放出される。ネック111の外周にはネジ山115が設けられており、このネジ山115によってボディ104がノズル102に取り付けられている。また、中身の吐出対象品のうち多くを簡単に押し出して使えるようにするには、ボディ104を柔軟なものとするのが望ましい。ボディ104は、その全体をプラスチックやアルミニウムやその組合せにより形成する等、当業者によく知られている又は今後発見されることとなる様々な好適素材によって、形成することができる。例えば、本発明の一実施形態におけるボディ104は、LDPE、LLDPE、HDPE、タイレジン及びフォイルを様々に組み合わせた構成の共有押出成形シートから、形成されている。ボディ104の色や形や装飾や外装等は、用途に応じてカスタマイズすることができる。加えて、容器100のサイズは、例えば携帯可能寸法にする等、所望の寸法にすることができる。ボディ104は、また、酸素や湿気や香り等が失われないようにする障壁としても、機能しうる。
【0027】
容器内に詰め込める吐出対象品としては、例えば、化粧品・美容品、パーソナルケア用品、オーラルケア用品、調剤薬品乃至薬物、皮膚乃至皮下疾病治療薬、美容用薬品・薬用化粧品・機能性食品、家庭用品、産業用品、食品・食品原料等、多岐に亘る様々なタイプの吐出対象品がある。ここでいう化粧品・美容品としては、例えば、リップグロス、アイカラー、アイグレーズ、アイシャドウ、リップカラー、モイスチャライザ等のアイ/リップトリートメント剤や、カバーアップ、コンシーラ、シャインコントロール、マッティファイングメークアップ、ラインミニマイジングメークアップ等のメークアップ剤がある。パーソナルケア用品としては、例えば、ローション、クリーム、軟膏等がある。オーラルケア用品としては、練り歯磨き、口腔洗浄剤、口腔清浄剤等がある。調剤薬品乃至薬物としては、例えば、処方薬、店頭販売薬等がある。皮膚乃至皮下疾病治療薬としては、例えば、ニキビ治療薬、紅斑性乃至血管拡張性疾病治療剤、色素沈着性疾病治療剤等がある。美容用薬品・薬用化粧品・機能性食品としては、例えば、モイスチャライザ、サンスクリーン、アンチリンクルクリーム、脱毛防止乃至育毛剤、栄養補助食品、その他の薬局販売品がある。家庭用品としては、例えば、接着剤、のり、塗料、洗剤等がある。産業用品としては、例えば、潤滑剤、染料、コンパウンド等がある。そして、食品・食品原料としては、アイシング、チーズ、ヨーグルト、ミルク、トマトペースト、ベビーフード、調味料等があり、調味料としてはマスタード、ケチャップ、マヨネーズ、ジェリー、シロップ等がある。当業者であれば本願による開示に基づき認識できるように、以上のリストは例示に過ぎず、限定を意図しているものではない。
【0028】
キャップ106は容器100から吐出対象品が不意に放出されてしまうことを防ぐためのものであり、プラスチック製とするのが望ましい。FDAガイドラインに合致させるべくタンパーエビデント(いたずら感知)機能を設けうることは、当業者も認知できる通りである。更に、取扱の容易さや安全性を向上させるため、容器100を箱に収めるようにしてもよい。
【0029】
容器100の動作乃至機能を好適に理解できるようにするため、次に、ノズル102の構造及び動作について詳細に説明する。まず、ノズル102から吐出対象品を放出させるには、ボディ104に対し人力で圧力を加えて搾ればよい。ボディの搾り方は、例えば、ボディの両側から圧力を加えてボディを搾るというやり方であり、このやり方では、ボディ内を略放射方向の力が伝搬していく。ボディを搾ると、ボディ104の中身の吐出対象品乃至内容物に加わる圧力が高まっていく。この圧力がノズル102のバルブ開放圧を上回ると、容器の吐出対象品がノズルを介して吐出される。ノズル102は、その先端部にバルブシートが形成されている内側ボディ114と、バルブシートにて内側ボディ114に嵌めあわされている外側ボディ乃至バルブカバー112とを、有している。内側ボディ114は、更に、他端においてボディ104につながっており、この部分の内面に形成されているネジ山120はボディ側ネジ山115と噛み合っている。バルブボディ114の中間部外周に形成されたネジ山116はキャップ側ネジ山118と噛み合っている。
【0030】
外側ボディ乃至バルブカバー112の内部には、内側ボディ114の内側ノズル部分乃至先端部124即ちバルブシートを形成している部分が、入り込んでいる。図4に示すように、外側ボディ112対ノズル内側部分124界面に形成されている閉じ目125は常閉である(図示の如くノズル内側部分とノズル外側部分とがぶつかり合っている)が、十分な圧力(即ちバルブ開放圧以上の圧力)を有する吐出対象品の流れを閉じ目125内に向けて加えれば開かせることができ、ひいてはノズル102から吐出対象品を放出させることができる。外側ボディ112は、内側ボディ114に比べて可撓性が高いプラスチック素材によってモールド形成するのが望ましい。このようにした場合、閉じ目125が開いてノズル102から内容物が放出されるとき、ノズル内側部分124よりも外側ボディ112の方がより多く撓ることになる。
【0031】
図4に示すように、内側ボディ114には環状フランジ126が設けられており、このフランジ126は外側ボディ112側の対応するくぼみにはめこまれている。これによって、内側ボディ114は外側ボディ112内に保持され、外側ボディ乃至バルブカバーは軸方向移動に抗して保持される。即ち、内側ボディ114は外側ボディ112内に押し込まれており、フランジ126と対応するくぼみとの案内係合により外側ボディと連結されている。環状フランジ126は、また、環状フランジ126と外側ボディ112との隙間から吐出対象品が不要に流れ出すことを、実質的に防いでいる。当業者であれば認識できる通り、内側ボディ114をボディ104と一体にモールド形成することもできる。
【0032】
図3及び図4に示すように、ボディ104の先端部には内側ボディ114の第1壁136がネジ付けられている。第1壁136は略円筒状であり、本質的に容器100の軸方向に沿って延びた中空シャフトを形成している。内側ボディ114の根本及び中間部には第1チャネル138が形成されており、この第1チャネル138の寸法及び配置は、ネック111の一部たるアウトレット113に連なるよう設定されている。内側ボディ114の先端部には、第1チャネル138に連なるよう、比較的細い第2チャネル142が形成されている。内側ボディ114の先端部側壁には、第2チャネル142と通流するよう複数個の放出孔140が形成されており、吐出対象品はこれらを介して外に出る。放出孔140の断面積は、例えば、少なくとも側壁全断面積の約60%とする。但し、本願による開示に基づき当業者が認知できる通り、これより大きな又は小さな放出孔を用いて所望の性能を達成することも、可能ではあろう。
【0033】
容器100は、ボディ104を人手で押すとノズル102から吐出対象品が放出されるよう、機能している。即ち、手で押すことにより発生した圧力は、ボディ104から第1チャネル138及び第2チャネル142を介して放出孔140へと伝搬する。この圧力は、ボディ104から閉じ目125に至る吐出対象品の流れを発生させるもととなる。このようにして加圧された吐出対象品が放出孔140を介し閉じ目125に流れ込むと、この吐出対象品はノズル102の先端部から放出される。前述の通り、バルブ開放圧は十分に低いため、容器内で閉じ目125へと吐出対象品を加圧し容器から吐出させるのに十分な圧力が、ボディを人手で搾るのみで発生する。
【0034】
吐出対象品が放出されボディ104に対する加圧が終わると、閉じ目125はその常閉位置に復帰し容器100を封止する。実質的に、一旦外気にさらされた吐出対象品が容器100内に逆流することはない。この状態でボディ104を加圧すれば、前回同様にして吐出対象品を放出させることができる。こういった構成を有する容器100における利点の一つは、吐出対象品を一単位放出するたびにノズル102の閉じ目125が閉じるため、一旦空気その他の外部粒子にさらされた吐出対象品がノズル102を介して容器100内に流れ戻ることや、容器100内に残っている吐出対象品がこの逆流によって汚染されることを、実質的に防止できる点にある。この利点が特に重みを増すのは、薬剤や腐敗性食品や化粧・美容品等といった無菌性組成物或いは防腐剤乃至保存剤無添加組成物を複数回使用分蓄蔵する場合である。
【0035】
次に、図4Bに示す実施形態においては、ボディ104と内側ボディ114の隙間から吐出対象品が不意に放出されてしまうことを防ぐため、Oリング119が設けられている。Oリング119は、容器ボディ104と内側ボディ114の隙間が気密封止されるよう、これらの間に着座させておくのが望ましい。図から読み取れるように、先に述べたノズルに対する本実施形態のノズル102の相違点は、本バルブアセンブリの内側ボディ114に略錐台乃至テーパ状の第1部分127が設けられていることである。ボディベースとバルブシート124とをつなぐこのテーパ状部分127には、複数個の流通孔140が貫通しており(図では1個のみ示している)、各流通孔140は、図から理解できるように、軸沿いに延伸されているバルブシート124に沿うようにして形成されている。バルブカバー112の一部たるカバーベース129はボディベース上に実装されており、ボディベースに対しバルブカバー112が軸沿いに動くことがないよう固定保持されている。この固定保持は、ボディベースに設けられている環状フランジ126を、カバーベース上に設けられている対応する環状のくぼみにはめ込むことによって、実現されている。バルブカバーの一部たるバルブ部分131はバルブシート124上に重なり合っている。図から理解できるように、バルブ部分131は放射方向に沿い所定の厚みを有しており、またバルブシートに締嵌されるようバルブシート直径より小さな直径を有している。バルブ部分131とバルブシート124の間には、常閉且つ環状で軸沿いに延びたバルブ開口125が形成されている。バルブ部分131は放射方向に沿い可動であり、図4Bに示すようにバルブ部分とバルブシートとが密接する常閉位置と、バルブ部分の一部分が放射方向に沿ってバルブシートから離隔しておりその間を所定バルブ開放圧を有する内容物が通り抜ける開位置とを、採りうる。バルブカバー112は、更に、カバーベースとバルブ部分131とをつなぐ略錐台状の第2部分133を有しており、この第2部分133は、バルブボディの略錐台状第1部分127と重なり合って第1部分127に締嵌されている。
【0036】
図4B中に矢印付き破線で示した通り、吐出対象品が吐出時に通る流路は、ボディ104の内部から流通孔140へと軸沿いに延び阻害物のない流路である。アウトレット開口を内側ボディの略錐台乃至テーパ状部分127に形成しているため、また図示の如く軸沿いに環を引き延ばした形のバルブシート124に(実質的に)ぴったり寄り添うよう、各開口の縁のうち放射方向に沿って内側に位置する辺を形成しているため、容器内から流通孔140を介し吐出対象品を吐出する際に発生するヘッドロスが実質的に最小化され、ひいてはバルブ開放圧が相対的に低い値になる。従って、本容器バルブアセンブリによれば、チューブを人手で搾るだけで吐出対象品を至極容易にノズルから吐出させることができる。その際、本バルブアセンブリにおいては気密封止が保持されるため、バクテリアその他の不要な不純物がバルブを介し容器内に侵入することを、防ぐことができる。後にも述べるように、バルブカバーのバルブ部分131及び錐台状部分133の断面形状はテーパ状であり、これらの部分におけるカバーの放射方向厚みは本バルブアセンブリの内側から外側へと向かうにつれ徐々に減少している。更に後に述べるように、このような構成における利点の一つは、閉じ目乃至ノズル開口125の内側の端に入った後、吐出対象品がテーパ状部分133及びバルブ部分131の残りの部分を引き続き軸に沿って開かせていくに際して、必要とされるエネルギが徐々に減少していくことである。従って、バルブ開口に入った内容物が実質的に全て当該バルブ開口から吐出されるため、内容物が残留することを防止できる。また、これも後に述べるように、現時点における本発明の好適な実施形態においては、バルブ開口125を介し吐出対象品を吐出しているときは実質的にいつでも、バルブ部分131のいずれかの部分が環をなすようにしてバルブシート124に密接しているため、本バルブ内外間の通流が阻止される。即ち、本バルブアセンブリにおいては、好ましくも、吐出中をも含め容器内を一貫して気密封止し続けることができるため、無菌乃至無気状態で保持しなければならない吐出対象品例えば防腐剤乃至保存剤無添加組成物を、複数回分、容器内に保持しておくことができる。更に後に述べるように、バルブシート124の軸方向構成部分即ちバルブシートの封止面は、この目的を確実に達成できるよう十分長くしておく。
【0037】
図5乃至図8に本発明の他の実施形態に係る容器200を示す。容器100に対する容器200の主要な相違点は、内側部分202がボディ204と一体化されており、ネックを設ける必要もそれ自体別体の内側部分を設ける必要もないことである。なお、容器200は前述の容器100とほぼ同じ構成であるため、可能な限り、先の容器100の構成要素に付していた参照符号の頭文字の“1”を“2”で置き換えたものを、本実施形態に係る容器200の構成要素用の参照符号として用いている。
【0038】
容器200を製造するに当たっては、当業者に既知の手法を応用することができる。即ち、プラスチックペレットを溶融させつつ押出成型機に通して単層又は多層の長尺状スリーブを作成し、このスリーブを所望長に切断することによってヘッドなしボディ204を作成し、このボディ204に心棒を通して内側ボディ214を射出成形、圧縮成形或いは溶接すればよい。このとき、ボディ204の外表面にシルクスクリーン印刷等の手法により印刷を施してもよい。そして、ボディ204を任意に選んだ吐出対象品にて充填し、内側ボディ214に外側ボディ212を被せれば、封止された容器200ができあがる。
【0039】
容器200を充填するための充填機は、例えば無菌環境内に設置する。使用できる充填機は多々あるが、一例を挙げるならば、アメリカ合衆国カリフォルニア州(91706)ボールドウインパーク、リトルジョンストリート4505所在のPackWest社から入手できるリキッドフィラであろう。吐出対象品をボディ204内に注入する処理は、ノズル202を所期位置におく前に実行してもよいし、おいた後に実行してもよい。外側ボディ212により封止したら、望ましくは取扱時における吐出対象品の不意な放出を防ぐため、キャップ206を被せる。
【0040】
また、無菌環境保持を必須とする吐出対象品の充填を、無菌環境なしで実行できる充填方法もある。その一例においては、過酸化水素水等の滅菌エージェントを大気圧より高い圧力にて容器内に注入する。容器はその滅菌に好都合なようポリエチレンテレフタレートその他の素材により形成しておく。滅菌エージェントを追い払うには、高温無菌エアのストリームを送り込んで蒸散を促進すればよい。そして、無菌の吐出対象品を容器内に充填すれば高温無菌エアを追い出すことができ、無菌の吐出対象品が部分的に外にあふれ出るようになれば容器内は確実に無菌状態になっている。この時点で、滅菌されたノズル等の適当な閉止部材を取り付ければよい。容器の充填に利用できる充填方法及び充填機の例については、この参照を以てその全体を本願に繰り入れるところの特許文献7乃至9による教示を参照されたい。
【0041】
図8Bに更に他の実施形態を示す。この実施形態における容器は、管状ボディ204の内部を大気から隔離封止する可撓性ショルダ290を有している。図から理解できるように、ボディ204の先端部は内側ボディ214のベースから見て放射方向外側に離隔しており、これによって、両者間に充填用常閉開口291が形成されている。可撓性ショルダ290には環状封止部材293が設けられており、この環状封止部材293は、バルブボディ214の根本と管状ボディ204との間に形成された空間内に向け内向きに、且つ軸沿いに延びている。可撓性ショルダ290を例えばエラストマ性素材により形成しておけば、内側ボディ214の根本即ち可撓性ショルダ290の隣に位置している部分に対して可撓性ショルダ290を常時密接させることができ、従って内側ボディ214のベースと可撓性ショルダ290との間を水密乃至気密封止することができる。充填に際しては、図示しない充填部材を開口291の近くに置き或いは開口291の中に差し込んで、この充填部材から図中の矢印aの如く吐出対象品を送出する。すると、図示しない充填部材又は矢印aに沿った吐出対象品の流れによって、封止部材293が内側ボディ214の根本から見て放射方向外向きに撓み、充填用開口291が開く。吐出対象品は、この開口を介して容器内に流れ込む。充填を終えた後は、封止部材293が常閉位置に復帰するため充填用開口291従って容器内の吐出対象品が気密封止される。図から理解できるように、封止部材293の先端部即ち内側の端がその根本から見て放射方向内側を向いているため、ノズルから吐出対象品を吐出させる際に発生する圧力によって封止部材が開くことはなく、むしろ、この封止部材は容器の寿命乃至使用期間全体を通じ気密封止を保持し続ける。図8B中に破線で示したように、キャップその他の閉止部材295を充填後にショルダ290に被せて固定すれば、不要な物質その他が(意図に反して)充填用開口291から容器内に入り込むことを、防ぐことができる。この閉止部材295は、上述した機能を実現できる限りにおいて、現在利用できる又は将来知られることとなる様々な構成とすることができ、またタンパープルーフとするのが望ましい。タンパープルーフとは、封止されている閉止部材を誰かが勝手にいじったときにその事実がはっきりわかるよう、従って当該事実が判明したときその容器を廃棄できるようにすることである。当業者であれば本願における教示に基づき認識できるように、当業者が現時点で利用できる又は後に当業者に知られることとなる有用な充填機及び充填方法は多々ある。本発明に係る個々の容器を充填するに当たって、そういった充填機及び充填方法を用いることも可能であろう。
【0042】
図9乃至図12に本発明の他の実施形態に係る容器300を示す。容器100及び200に対する容器300の主要な相違点は、ノズル302の構成が異なることである。なお、容器300の構成は前述の容器100及び200と類似しているので、可能な限り、容器300の構成要素のうち容器100又は200のそれと同様の構成要素には、先の実施形態における参照符号の頭文字“1”又は“2”を“3”に変えた参照符号を付すこととする。
【0043】
先に述べたノズルについても同様であるが、ノズル302は、耐久性があり成形可能で幾分かの可撓性を有している好適な素材、例えばプラスチック素材によって形成できる。具体的には中身の吐出対象品に対して親和性を有する素材が望ましく、その例としては、アメリカ合衆国コネチカット州フェアフィールド所在のGeneral Electric社の下でVELEX(登録商標)、LEXAN(登録商標)の名で売られている素材や、Kraton Polymers US.LLCの下でKRATON(登録商標)の名で売られている素材を、挙げることができる。また、ノズル302の内側ボディ314は一片の部品として形成するのが望ましい。図12に示すように、内側ボディ314は、先端部を切り落とした円錐状或いは錐台状のボディ部分313を備えており、その一端はポスト乃至バルブシート317に、他端はショルダ乃至円筒壁336になっている。吐出時における吐出対象品のヘッドロスを最小化するには、容器300の軸に対するボディ部分313の向きを約45度未満、例えば約30度とするのが望ましい。更に、本実施形態ではショルダ336内に形成されている軸沿い流路348の直径がポスト317の直径よりも大きいけれども、これとは逆にポスト317の直径を軸沿い流路348の直径より大きくすれば、流通孔直径を大きくして所要バルブ開放圧を低めることができる。当業者であれば本願による開示に基づき認識できるように、所望のバルブ開放圧を得るには、ここで開示しているノズルにおけるバルブシート直径(或いは放射方向乃至横方向寸法)を、バルブカバー対バルブシート間締嵌度、バルブカバーのバルブ部分における放射方向厚み、並びにバルブカバー素材の弾性係数のうち1個又は複数個と共に、調整すればよい。更に後に述べるように、これらの変数のうち1個又は複数個を適宜選択することにより、容器内を本バルブアセンブリにて確実に気密封止でき、ひいてはバルブを介したチューブ内へのバクテリアその他の不要物の侵入を確実に防止できる。
【0044】
図12A乃至図12Cに示すように、また先にも述べたように、軸方向におけるバルブシート乃至ポスト317の広がり即ちバルブシート対バルブカバー封止面の長さは、吐出中に常にバルブカバーのどこかの部分がバルブシートに着座することとなるよう、十分長く設定するのが望ましい。このようにすれば、容器内にある吐出対象品と外気とが通流することを防ぐことができる。この点を理解するため、ここではポスト317を図示の如く3個の領域1〜3に分けて考える。これらのうち第1の領域1はバルブカバー312が流通孔340をブロックしている箇所であり、第3の領域3は内容物が容器300外に出て行く箇所であり、第2の領域2は第1の領域1と第3の領域3の中間にある箇所である。各領域1〜3における圧力はそれぞれP1〜P3で表すこととする。図12Aに示す静止状態においてはP1=P2=P3=0であるが、この状態から容器300を搾ると、図12Bに示すように第1の領域1にて圧力が発生し、ある時点でバルブカバー312の一部分がポスト317から離座する。すると、容器300の内容物が第2の領域2に流れ込んでいき、第2の領域2更には第3の領域における圧力を上昇させていくため、P1>P2>P3となる。図12Cに示すように、内容物は第3の領域3内へと進んでいき容器300の外に出ることになるわけだが、その前に第1の領域1においてバルブカバー312がポスト317上に着座するため気密封止が保持される。汚物が容器300内に侵入する機会は生じない。なお、内容物が放出される時点における圧力の関係はP1<P2>P3>0である。
【0045】
本バルブアセンブリにおけるバルブカバー312の断面方向乃至放射方向厚みは、好ましくも、本バルブアセンブリの軸に沿い内側から外側へと向かうにつれ徐々に薄くなっている。即ち、図12A乃至図12Cに示したように、バルブカバーの断面形状は、本バルブの軸に沿い内側から外側にかけて先細るテーパ形状になっている。加えて、更に後に述べるように、バルブカバー対バルブシート界面における放射方向締嵌度は、本バルブアセンブリの軸に沿い内側から外側にかけて低下してゆく。即ち、バルブカバー対バルブシート間放射方向締嵌度は、ノズル先端部にある領域3よりは領域2の方が大きく、また領域2よりは領域1の方が大きくなっている。従って、これらバルブカバーの構成諸領域を開かせるのに必要なエネルギは、本バルブの軸に沿い内側から外側に向かうにつれ徐々に小さくなる。そのため、バルブのベース領域1が開き内容物が常閉閉じ目乃至バルブ開口に入った後は、バルブカバーの弾性及び上述のアセンブリ構造によってバルブカバーがその常閉位置へと徐々に復帰していくため、軸沿いに当該閉じ目を通り抜ける内容物の量は適量ずつとなる。更に、バルブカバーは閉じ目内の内容物をノズルの先端部から押し出す作用を有しているため、内容物がバルブ内に吸い戻されたり後々までバルブ内に残ったりすることはない。
【0046】
図12に最もよく示されているように、フランジ326は、円錐状の(例えば錐台状の)部分313と同軸に配置された部分から、放射方向に向けて延びている。フランジ326は、外側ボディ312を保持する一助となる一方、流通孔340上に重なる強制面を発生させることによって、内容物等の残留を減らし又は防いでいる。また、フランジ326と円錐状部分313との間は環状のくぼみ319となっている。円錐状部分313とフランジ326については、一体にも別体にも形成できることが認められよう。同様に、内側ボディ314とチューブ304とを一体部品にすることも別体部品にすることもできる。円錐状部分313に形成されている中央ボア342は軸沿い流路348によりチューブ304内と通流している。中央ボア342は複数個の放出孔340にて終端しており、吐出対象品はこれら放出孔を介して軸沿いに流れうる。容器300に設けられている3個の放出孔340は、互いの間隔がほぼ等しくなるよう、またそれら放出孔340により占められる断面積が他の部分即ち中実部分により占められる断面積よりも広くなるよう、ノズル302の軸の周りに配置されている。しかしながら、当業者であれば本願による教示に基づき認識できるように、ノズル302に設ける放出孔の個数及び配置は、ディスペンサの用途等の必要条件に応じて、所望の個数及び配置とすることができる。例えば、環状面のうち少なくとも約50%、より好ましくは70〜90%を占めるよう、放出孔を配置することができる。
【0047】
外側ボディカバー312は、耐久性、弾性及び可撓性並びに所定の弾性係数を有する素材、例えばエラストマ性素材により形成できる。例えば、KRATON(登録商標)の名で販売されているスチレンブタジエンエラストマ等の熱弾性(thermo−elastic)素材により、外側ボディカバー312を形成するのが望ましい。この他の適する素材としては、これに限られるものではないが、ポリビニルクロライド、Teknor Apex社から入手できるAPEX FLEXALLOY(商標)素材、Advanced Elastomer Systemsから入手できるSANTOPRENE(登録商標)ラバー、ブチルラバー等がある。例えば、約4.1Mpaの弾性係数を有するKRATON(登録商標)素材により内側ボディ314を製造する一方、約2.6〜約4.1Mpaの弾性係数を有するSANTOPRENE(登録商標)素材により外側カバー312を製造する。外側ボディカバー312は実装部321及びテーパ部323を有しており、これらは内側ボディ314と協働して封止型ワンウエイバルブを形成している。実装部321に形成されている環状のくぼみは、円錐状部分313及びフランジ326とかみ合い、それらに対して外側ボディカバー312を連結させる。外側ボディカバー312を形成する素材に弾性があるため、弾性的締嵌を実現するには、内側ボディ314の寸法を大きめにすればよい。例えば、外側ボディカバー312と内側ボディ314とを同一寸法にてモールドした上で、外側ボディカバー312についてモールド後収縮を起こさせれば、所望の締嵌を実現できる。
【0048】
外側ボディ乃至バルブカバー312は、実装したときに内側ボディ314に対して弾性的に密接するよう寸法設定及び構成されているため、テーパ部323とポスト乃至バルブシート317との間には、常閉且つワンウエイのバルブが形成されることとなる。先にも述べたように、また図12に典型的に示されているように、テーパ部323の断面方向厚みがノズルの先端部に向けて軸沿いに徐々に薄くなっているため、バルブシート上を開かせていくのに必要な圧力は徐々に低くなっており、これは、ワンウエイバルブから吐出対象品を放出させるのに好都合であるだけでなく、同時に、ワンウエイバルブを介して空気その他の気体が逆流することを防いでもいる。好ましいことに、吐出過程全体を通じ、外側ボディカバー312を構成する複数の略環状部分のうちどれかが必ずポスト317に密接しているため、内部対外気間の気密封止が保持される(図12A乃至図12C参照)。また、バルブカバーのテーパ部323とバルブシート317との間の締嵌度は、上述の通り且つ望みに応じ設定することができる。例えば、ノズル302の内側から外側にかけて徐々に低下していくよう、当該締嵌度を設定することができ、これは、外側ボディカバー312の内径や内側ボディ314の寸法を適宜変化させることにより実現できる。図示しないが、内側ボディ314のネジ山316に噛み合うようキャップを被せれば、吐出対象品が不意に放出されないようノズル302を封止することができる。
【0049】
次に、図13乃至図15に示すノズル402は、上述したノズルと同様の構成を有している。そこで、同様の構成要素については、可能な限り、その頭文字“1”、“2”又は“3”を“4”に変えた参照符号によって、表すこととする。実施形態300及び400として示した構成における利点の一つは、吐出対象品がたどる流路が実質的に直線状であり、容器300、400の軸に対して平行な方向に沿っていることである。流路がこのように相対的に直線状且つ滑らかであると、ノズル302、402を介した吐出対象品の流れにおけるヘッドロスが比較的小さくなるため、より小さな力で吐出対象品を吐出させることができ、且つ、吐出対象品が不必要に滞留・集約する場所が発生することを防止できる。
【0050】
加えて、バルブシート417の外径をできる限り大きくするのが望ましいともいえる。そのようにすれば、バルブを開放させ当該バルブを介して吐出対象品を吐出させるに当たって搾出式チューブ404にて発生させなければならないバルブ開放圧所要値を、下げることができるからである。本発明の発明者が認識したところによれば、バルブ開放圧に影響する要因には様々なものがある。例えば、バルブシート417の直径、バルブカバー412の弾性係数、バルブカバー412対バルブシート417間締嵌度、バルブシート417の厚み及び形状、といったものがこれに含まれる。他の全ての要因が同等であれば、バルブシート417の直径を大きくすることによって、バルブを介して流れる物質の体積流量が増大し、バルブ開放圧所要値が低下する。本発明の発明者が認識したところによれば、(1)従来技術のバルブと比べバルブシート417の直径を大きくし以てチューブ搾出時に発生を要するバルブ開放圧所要値を低下させること、(2)従来技術のバルブと比べバルブを流れる吐出対象品のヘッドロスを低減させること、並びに(3)バルブを介し吐出対象品が吐出されるときバルブに蓄積される弾性エネルギを減少させ翻ってバルブ内における吐出対象品の残留を減らすことが、望ましいといえる。図9乃至図15に示したバルブ並びに本願で述べる以下の実施形態における顕著なる利点の一つは、流通孔440により規定される流路が容器の軸に対し実質的に平行であり、バルブを介して流れる吐出対象品におけるヘッドロスが最小化されることである。
【0051】
従って、当業者であれば関連する開示に基づき認知できるであろうことに、バルブシート直径、バルブカバー312対バルブシート317間締嵌度、バルブカバー317のバルブ部分323における放射方向厚み所定値、並びにバルブカバー312の素材における弾性係数所定値のうち、少なくとも1個を適宜設定すれば、(1)人手でチューブ304を搾ることによりバルブ開放圧所定値を発生させ蓄蔵室からバルブ開口340を経て内容物を通過させること、並びに(2)常閉位置にてバルブ302を気密封止しバルブ302を経てチューブ304内へとバクテリアその他の不要物乃至不純物が侵入することを防止することが、可能である。
【0052】
図15Aに示す他の実施形態においては、バルブシート417がノズル402を貫いて延び、チューブ内に達している。バルブボディ414には複数個の流通孔440が形成されており、これら流通孔440は、バルブシート424を取り囲むようそれぞれ角度方向の広がりを有し、また、互いに角度間隔をおいて(従ってその間に中実部分を挟んで)配置されている。現時点における本発明の好適な実施形態においては、バルブボディに形成され角度方向の広がりを有する流通孔440の個数は3個である。先に述べたように、流通孔440は環に沿って配置されており、好ましくは当該配置環上の少なくとも約60%、最も好ましくは約70〜約90%を、占有及び貫通する。また、バルブカバー412対バルブシート424間の締嵌度は、図15Aにおいては、両者の重なり部分としてクロスハッチングにより可視化されている。図から理解できるように、常閉位置にて所望の気密封止を確実に達成するには、バルブカバー対バルブシート間締嵌度を有意なる度合いにしなければならない。更に、図15Aに示す実施形態においては、バルブシート424はテーパ状の先端部を有しており、またバルブカバーのバルブ部分423の断面形状には上述の通りテーパが付されている。但し、当業者であれば本願による開示に基づき認識できるように、特定の性能指標を達成しまたその他の目的を達成するため、バルブシートは様々な異なる構成にすることができる。例えば、一端から他端にかけて一定直径を有するまっすぐな形状とし、或いはテーパ付けその他の変形を施すことができる。
【0053】
所定のバルブ開放圧を得るため及び常閉位置にて確実な気密封止を安定的に得るためには、吐出対象品の粘度に応じて、ノズル402の構成を設定すればよい。例えば、外側カバー412に係る締嵌度や弾性係数を変化させれば、バルブ開放圧、即ちバルブを開かせる際周囲方向に発生させる必要がある応力を、変化させることができる。ここに、バルブカバー412の軸方向形状乃至部分を図15Bに示すように模式化した場合、バルブ開放圧を決定するための式は、
【数1】

【数2】

【数3】

となる。但し、qは単位圧力(単位面積当たりの力)、aは外径、bは内径、σ2は周囲方向応力、Eは弾性係数、νはポアソン比(約0.4)、Δaは外径aの変化分、Δbは内径bの変化分である。σ2の最大値はr=bにて得られ
【数4】

となり、また数2をqについて解けば
【数5】

となり、このqを数4に代入すれば
【数6】

が得られる。これらの式を図15A中の5カ所A〜Eに適用すれば、各箇所毎にパラメータを計算できる。表1に、図15Aに示した実施形態に関するデータ例、即ち上掲の式に基づき図15A中の5カ所A〜Eについて計算したデータ例を示す。
【0054】
【表1】


【0055】
図15C及び図15D中、D1はチューブ404の最大直径、またD2はバルブシート424の直径(一定値)である。バルブシートは点Aから点Bまで延びており、その軸方向長さ(乃至封止面長)はLとして定義されている。点Aはノズルの先端にある点であり、点Bは流通孔440の縁のうち放射方向に沿って内側に位置する辺に隣り合う点である。バルブ部分423に形成されている環状内表面427は、バルブシート424に密接するよう軸沿いに延びており、バルブシートと協働して長さLの封止面を形成している。図中のD3は、バルブ部分の環状面427における直径、特に緩和状態即ち引き延ばされていない状態における直径を表している。先に述べたように、環状面427の内径D3は締嵌が形成されるようバルブシート424の外径D2より小さくなっており、これによって両者間に気密封止が形成されている。図15Dとして示す線描図においては、バルブカバー対内側ボディの締嵌関係を示すため、引き延ばされている状態及び引き延ばされていない状態の双方について、バルブカバーを表す線が示されている。また、図示した実施形態においては長さLの封止面に沿ってバルブシート対バルブカバー間締嵌度が実質的に一定であるが、先にも述べたように、この締嵌度は所望に応じて長さ沿いに変化させることができる。表2に、現時点における本発明の好適な実施形態について、パラメータ数値例を示す。この表中、符号Iが付されている数値はバルブシート外径D2対バルブカバー内径D3の締嵌度であり、バルブシート外径D2とバルブカバー内径D3の差を2で除して求めたものである。符号T1(A)が付されている数値は点Aにおけるバルブカバーの厚みであり、符号T2(B)が付されている数値は点Bにおけるバルブカバーの厚みである。
【0056】
【表2】

【0057】
バルブ開放圧は、管状ボディの中央部上に作用する略放射方向の力に対応した値を有している。本発明を実施するに当たってバルブシート直径D2を5mmとした場合は、この力は約2.4〜約2.9kgの範囲に属する大きさとなり、10mmとした場合は、約5.4kgの大きさとなる。この力の大きさは、好ましくは約1〜約6kgの範囲に属する大きさとし、より好ましくは約2〜約4kgの範囲に属する大きさとし、最も好ましくは約2.4〜約2.9kgの範囲に属する大きさとする。また、バルブシート(乃至その封止面)の長さLは、バルブシート直径D2の少なくとも約30%、或いは約40〜約85%の範囲に属する長さとするのが望ましい。チューブ直径が小さい場合、必然的にバルブシート直径D2も小さくなりうるため、直径D2に対するバルブシート長Lの比は通常は大きくなる。そのため、バルブシート直径D2に対するバルブシート長Lの比は、上に掲げた直径約1インチのチューブであれば、好ましくは約25〜約75%、最も好ましくは約35〜約65%となるのに対して、同じく上に掲げた直径約0.5インチのチューブについては、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは75%超となる。
【0058】
本願に開示されている容器に詰めることができるものとしては、液体、懸濁液(サスペンション)、ゲル、クリーム、ペースト状生産物、流体等、細菌が繁殖する危険が日常的に存在しているものや、以前であれば防腐剤乃至保存剤が必須とされていたものを、想定できる。本容器に詰められる吐出対象品には、例えば、真空パックされた冷蔵不要タイプのUHTミルク、ベビーフォーミュラ、練り歯磨き等がある。また、この参照を以てその全体を本願に繰り入れるところの2003年10月16日付米国特許出願第10/272577号に開示されている原理によりベビーフードを適量ずつ計量したものを、詰めることもできる。更には、ペトロゲル、炭酸その他の飲料、ヨーグルト、蜂蜜、ケチャップ、マスタード、マヨネーズ、タルタルソース等を、1回分或いは複数回分詰めることができる。
【0059】
図16及び図17に、本発明の他の実施形態に係る容器500を示す。容器500は図1乃至図14を参照して説明した容器と実質的に同一の構成であるので、可能な限り、同様の構成要素を示す参照符号としては、その頭文字を“1”〜“4”から“5”に変えたものを用いることとする。図から理解できるように、容器500の吐出端511は、ユーザの唇にぴったり接触するような形状的特徴、例えば滑らかにくぼんだ湾曲面を有している。但し、当業者であれば認知できるように、ユーザの皮膚や唇にぴったりと或いは気持ちよく接触するのであれば、これとは異なる外形を使用することもできる。ノズル502の内側ボディ514は一片の部品としてモールド成形するのが好ましく、その一端にはポスト乃至バルブシート517が、他端にはショルダ536が、それぞれ形成され終端されている。ショルダ536には突起538が設けられており、この突起538は、可撓性チューブ504の突起505と噛み合って封止を形成し、またこれによりチューブ504に対しノズル502を固定保持している。好ましくは、内側ボディは約65ショアAの硬度を呈するKRATON(登録商標)素材から形成し、バルブカバー512は約20ショアAの硬度を呈するKRATON(登録商標)素材から形成する。但し、当業者であれば認識できるように、これらの硬度値は一例に過ぎず、特定の性能指標を満足するためその他所望に応じこれを変更することができる。
【0060】
図18に、本発明の他の実施形態に係る容器600を示す。容器600は容器500と実質的に同一の構成であるので、同様の構成要素を示す参照符号としては、その頭文字を“1”〜“5”から“6”に変えたものを用いることとする。図から理解できるように、容器600の先端領域611は略錐台面状輪郭を有している。そのため、この先端領域611を、ユーザの顔その他のスキンエリアに(実質的に)ぴったりと接触させること、或いは放出した吐出対象品を所望のエリアへと効果的に且つ気持ちよく塗ること等が、可能である。但し、当業者であれば本願による教示に基づき認識できるように、ノズル先端形状は、特定の注目エリアに(ぴったりと)接触するといった機能を含め、本実施形態におけるノズル先端としての機能を実現できる限り、現在知られている又は今後知られることとなる様々な他の形状乃至構成とすることができる。
【0061】
図19に、本発明の他の実施形態に係る容器700を示す。容器700におけるノズル702の構成は先に述べたノズルと実質的に同一であるので、可能な限り、同様の構成要素を示す参照符号としてはその頭文字を“1”〜“6”から“7”に変えたものを用いることとすると共に、単純化のため、以下の説明は容器700のボディ704における相違点に着目して行う。このボディ704は、弾性を有する外壁760と、この外壁760の最下端につながって封をするベース762とを、有している。外壁760は、ユーザの手中に収まるような断面を有しており、また、容器700を構成する他の部品に対してヒートシールできるよう低密度ポリエチレン等の弾性プラスチックから形成されている。当業者であれば認知できるように、容器700の部品を製造するに当たっては、モールド、押出成形その他の手法を適宜選んで用いることができ、容器700を組み立てるに当たっては、接着剤、ヒートシール、締嵌等やその組合せを用いることができる。
【0062】
ベース762は外壁760の最下端を封止している。ベース762の寸法及び構成は、ベース762を下にして容器700を直立させておけるように設定するのが望ましい。外壁760の内面と中袋764の外面の間には空間772が形成されており、エアチェックバルブ770は、この空間772に出入りする空気の流れを規制及び調整している。ベース762にはベントホール774が設けられているため、吐出サイクルが終わった後に、チェックバルブ770を介し空間772内に外気を取り入れて外壁760の楕円形乃至卵形断面を復元することができる。容器700が搾られたときにベントホール774を介して抜け出す空気の勢いを十分ゆっくりにすれば、それとはっきりわかるほどの量の空気が抜け出すより先に、空間772内に圧力を発生させ吐出を実行させることができる。また、搾る手が緩められたときにベントホール774を介して空間772内に入り込む空気の量を十分多くすれば、外壁760をその変形前の形状に素早く復帰させることができる。チェックバルブ770を取り巻いている環状突起776は、中袋764がチェックバルブ770の動作と干渉することを、防いでいる。
【0063】
吐出対象品が詰められている可撓性の中袋764は、頂部エッジ766において外壁760に固定保持されている。更に、中袋764は、外壁760の端と端とのほぼ中間にある点768において、外壁760の内面に保持されている。これは、外壁760に巨大な力を加えなくても、中袋764をほぼ完全に空にすることができるようにするためである。その内部765に蓄蔵されている吐出対象品を吐出させるのに必要な力がさほど大きくならないようにするには、曲げ弾性率が低い素材によって中袋764を形成するのが望ましい。
【0064】
ノズル702による外気からの気密封止の対象とされているのは、中袋764の内部である。ノズル702は、中袋764の内部765に空気が入ることを防ぐことによって、内部765における無菌性を保持すると同時に、次の吐出サイクルを始めるに当たって目に見えるような噴出や外壁760の搾りすぎが生じないようにしている。吐出サイクル中においては、搾られることによって外壁760が変形し、空間772内の圧力ひいては中袋764の内部765の圧力が高まっていく。このときベントホール774を介してある程度は空気が逃げ出すけれども、バルブカバー712との密接状態は圧力によって破られ、先に述べたように流通孔740から吐出対象品が流出していく。搾る力が加わらなくなると、吐出対象品の吐出が止まり、外壁760の形状が変形前の形状に復帰し始め、空間772内に真空が発生する。この真空によってチェックバルブ770が開くとベントホール774を介して外気が入り込み、中袋がノズル702方向へと動かされると共に外壁760の形状が復元される。従って、その後外壁760を搾ったときには、ノズル702が再び迅速に開き、封止状態を保ちつつ吐出対象品の放出が再実行される。複数回に亘る吐出を経た後内部765から略全ての吐出対象品が吐出されるまでの間、中袋764はその中間点768を中心にして折れ曲がっていく。
【0065】
また、上記実施形態における外壁760の形成素材を比較的リジッドな素材に変更することによって、外壁760を変形させ開放圧を発生させるのに必要な圧力を高めることができる。その結果として高まった開放圧に対処するにはノズル702をしかるべく構成すればよい。当業者であれば関連する開示に基づき認知できるように、容器700に込められている諸発想は、容器向けの様々な構成要素例えば(これに限られるものではないが)可撓性チューブに対し、直ちに適用できる。また、チェックバルブは、好適と見られる何れの箇所に配置してもよい。
【0066】
図20A乃至図22Bに、本発明の他の実施形態として、3種類の容器800、900及び1000を示す。これらの容器におけるノズルは前述したノズルと実質的に同一の構成であるので、可能な限り、同様の構成要素を示す参照符号としてはその頭文字を“1”〜“6”から別のものに変えたものを用いることとすると共に、単純化のため、以下の説明は容器における相違点に着目して行う。図20A乃至図20Dに示す容器800を例として述べると、この容器800では、形状面での装飾が施されている外側カバー860の内部に、カートリッジ864が収納されている。好ましいことに、カートリッジ864は、スナップフィット機構867により部位選択的に外側カバー860に組み付けられており、また内側ボディ814と一体に形成されている。カートリッジ864を交換するたびに新品のバルブカバー812を使用してもよいし、それまで使用していたバルブカバー812を再利用してもよい。外側カバー860は、セミリジッド素材又はリジッド素材から形成することもできる。例えば、着色したプラスチック又はガラスを用いれば、容器800の美観を更に向上させることができる。或いは、外側カバー860全体をリジッドにすることもできる。その場合、この参照を以てその全体を本願に繰り入れるところの2001年10月23日付米国特許出願第10/001745号による教示に従い、中身を吐出させるためのポンプを組み込む。ハンドル803は、容器800の持ち運びを容易にし使い勝手をよくするためのものである。
【0067】
バルブ開放圧は、ノズルの構成を調整的に変更することにより、高粘度品放出用に最適化することができる。高粘度品の例としては、蜂蜜、シロップ、潤滑用グリース、ペトロゲル、コーキングコンパウンド等、その粘度が1センチポイズから数千センチポイズに亘る吐出対象品々を、挙げることができる。このような品々についても、チューブ内に残った吐出対象品をひとまとまりにして無菌状態に保持することができる。
【0068】
以上、本発明に関しその好適な実施形態により説明を行ったけれども、当業者であれば、本発明に対し様々な変形や修正を施せること、また添付した請求の範囲により規定されている本発明の技術的範囲乃至本質から逸脱することなくそれをなし得ることを、直ちに認知されるであろう。
【符号の説明】
【0069】
100,200,300,400,500,600,700,800 容器、102,202,302,402,502,602,702 ノズル、104,204,304,404,504,704 ボディ(チューブ)、106,206 キャップ、108 閉止側端部、110 開口側端部、111 ネック、112,212,312,412,512,712,812 バルブカバー(外側ボディ)、113,213,313 アウトレット(ボディ部分)、114,214,314,414,514,814 バルブボディ(内側ボディ)、115,116,118,120 ネジ山、119 リング、ネジ山、124,317,417,517 バルブシート、125 バルブ開口、126 環状フランジ、127 テーパ状部分、129 カバーベース、131,323 バルブ部分、133 錐台状部分、136 壁、138 チャネル、140,240,340,440,740 流通孔、142 チャネル、200 容器、202 内側部分、290,536 ショルダ、291 充填用常閉開口、293 環状封止部材、293 封止部材、295 閉止部材、300 容器、321 実装部、323 テーパ部、326 フランジ、336 円筒壁、336 ショルダ、342 中央ボア、348 流路、427 環状面、505,538 突起、762 ベース、764 中袋、765 内部、766 頂部エッジ、770 エアチェックバルブ、772 空間、774 ベントホール、776 環状突起、803 ハンドル、860 外側カバー、864 カートリッジ、867 スナップフィット機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部から内容物を吐出するためのチューブに接続されるバルブアセンブリであって、
チューブは、その内部に内容物を受容するとともに内容物を吐出するチャンバが形成されている搾出式の管状ボディを含み、チューブは阻害物のない軸沿いに延びる流路を形成する軸沿いに延びる第1流路を規定しており、
バルブアセンブリが、
(a)阻害物のない軸沿い流路を形成する第2流路を軸沿いに形成するように軸沿いの第1流路と通流できるボディベース、軸沿いに形成されボディベース直径より小さな直径を有するバルブシート、ボディベースとバルブシートとの間に延びる第1部分、並びに第1部分のうちバルブシート寄りの箇所を通るよう軸沿いに形成された少なくとも1個の流通孔、を有するバルブボディと、
(b)ボディベースに対して軸沿いに移動しないようボディベース上に実装及び固定保持されたカバーベース、バルブシート上に重なり、放射方向厚みを有しバルブシートに締嵌されるようバルブシート直径より小さな直径を有するバルブ部分、並びにカバーベースとバルブ部分の間に延びバルブボディの第1部分に重なりこの第1部分に締嵌される第2部分、を有し、弾性係数を有する弾性素材により形成されたバルブカバーと、
を備え、
バルブ部分とバルブシートとの間に、常閉で軸沿いに延びたバルブ開口が形成されており、
バルブ部分が、当該バルブ部分がバルブシートに密接している常閉位置と、バルブ開放圧にてバルブ部分の一部がバルブシートから放射方向に離隔しその間を内容物が通過していく開位置と、の間で、放射状に可動であり、
バルブシート直径、バルブカバー対バルブシート間締嵌度、バルブ部分放射方向厚み、並びにバルブカバー素材弾性係数、のうち少なくとも一種類の数値が、内容物をチャンバからバルブ開口へと通過させるためのバルブ開放圧がチューブを搾ることで得られるよう選択されたバルブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1記載のバルブアセンブリであって、
カバーベース直径がボディベース直径より小さくカバーベースがボディベースに締嵌されるバルブアセンブリ。
【請求項3】
請求項1記載のバルブアセンブリであって、
第1部分及び第2部分にテーパが付されたバルブアセンブリ。
【請求項4】
請求項1記載のバルブアセンブリであって、
前記バルブ開放圧が、管状ボディに加わる既知の略放射方向の力に対応する値であるバルブアセンブリ。
【請求項5】
請求項1記載のバルブアセンブリであって、
バルブ開口を介し内容物が吐出される各周期の略全体を通じ、バルブ部分を構成する略環状部分がバルブシートと密接して、外気に対するチャンバの気密封止を保持するバルブアセンブリ。
【請求項6】
請求項1記載のバルブアセンブリであって、
バルブカバー対バルブボディ間締嵌度が、バルブアセンブリの内側から外側へと向かうにつれて増大していくバルブアセンブリ。
【請求項7】
請求項1記載のバルブアセンブリであって、バルブ部分放射方向厚みが、バルブシートの根本から先端部へと軸沿いに向かうにつれて減少していくバルブアセンブリ。
【請求項8】
請求項1記載のバルブアセンブリであって、
バルブボディは、互いに角度間隔をおいて配置され、角度方向に延びる複数個の流通孔で、角度間隔をおいて配置される複数個の流通孔はそれ同士の間に複数個の中実部分が形成されており、中実部分断面積に対して流通孔断面積が少なくとも60%大きいバルブアセンブリ。
【請求項9】
請求項1記載のバルブアセンブリであって、
バルブカバー対バルブシート間締嵌度が、3〜90psiの範囲に属するバルブ開放圧が生成されるよう選択されたバルブアセンブリ。
【請求項10】
請求項1記載のバルブアセンブリであって、
バルブシート直径、バルブカバー対バルブシート間締嵌度、バルブ部分放射方向厚み、並びにバルブカバー素材弾性係数が、それぞれ、(1)内容物をチャンバからバルブ開口へと通過させるためのバルブ開放圧がチューブを搾ることで得られるよう、且つ(2)常閉位置にてバルブが気密封止されバルブを介したチューブ内へのバクテリアの侵入が阻止されるよう、選択されたバルブアセンブリ。
【請求項11】
請求項1記載のバルブアセンブリであって、
少なくとも1つの流通孔がバルブシートに略隣接しているバルブアセンブリ。
【請求項12】
請求項1記載のバルブアセンブリであって、
更に、バルブシートの根本から先端部へと向かって軸沿いにバルブ開放圧を低減していく手段を備えるバルブアセンブリ。
【請求項13】
請求項12記載のバルブアセンブリであって、手段は、バルブ部分とバルブシートとの間の締嵌度の減少と、バルブシートの直径の漸増の少なくとも1つによって形成されるバルブアセンブリ。
【請求項14】
無菌性内容物蓄蔵吐出方法であって、
その内部にチャンバが形成されている搾出式の管状ボディと、軸沿い流路を形成する軸沿いに延びる第1流路と、を提供するステップと、
チューブにワンウエイバルブアセンブリを取り付けるステップと、
気密封止された管状ボディ内に複数回分の無菌性内容物を受け入れるステップと、
個別的に所要量を吐出させるべく管状ボディを搾ることにより相異なる時点で相異なる量の無菌性内容物を吐出させるステップと、
管状ボディ内に残っている内容物を無菌気密封止状態に保持するステップと、
を有し、
ワンウエイバルブアセンブリが、
(a)軸沿いの第1流路と通流して軸沿い流路を形成する第2流路が軸沿いに形成されているボディベース、軸沿いに形成されボディベース直径より小さな直径を有するバルブシート、ボディベースとバルブシートとの間に延びる第1部分、並びにこの第1部分のうちバルブシート寄りの箇所を通るよう軸沿いに形成される少なくとも1個の流通孔、を有するバルブボディと、
(b)ボディベースに対して軸沿いに移動しないようボディベース上に実装及び固定保持されるカバーベース、バルブシート上に重なり放射方向厚みを有しバルブシートに締嵌されるようバルブシート直径より小さな直径を有するバルブ部分、並びにカバーベースとバルブ部分の間に延びバルブボディの第1部分に重なりこの第1部分に締嵌されてバルブアセンブリを気密封止する第2部分、を有し、弾性係数を有する弾性素材により形成されたバルブカバーと、
を備え、
バルブ部分とバルブシートとの間に、常閉で軸沿いに延びたバルブ開口が形成されており、
バルブ部分が、当該バルブ部分がバルブシートに密接している常閉位置と、バルブ開放圧にてバルブ部分の一部がバルブシートから放射方向に離隔しその間を内容物が通過していく開位置と、の間で、放射状に可動である方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法であって、
更に、内容物を防腐剤乃至保存剤フリー形態で提供するステップと、管状ボディを搾って内容物を吐出させること複数回に亘りまたその間の期間において防腐剤乃至保存剤フリー内容物を無菌且つ実質無気状態で蓄蔵するステップと、を有する方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法であって、
防腐剤乃至保存剤フリーの無菌性内容物が、の皮膚用製品である方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
吐出される食品をミルク、ヨーグルト、ベビーフード、粉ミルク、マヨネーズ、チーズ、マスタード、ケチャップ、及びシロップを含む群から選択するステップを含む方法。
【請求項18】
ボディと、
ボディの内部に形成される蓄蔵室と、
蓄蔵室に通流して接続され、(1)常閉で、流体封止位置で大気から蓄蔵室を無菌に封止し、(2)開位置でバルブを通して蓄蔵室に流体を充填するためにバルブを流体が通過することを許容する第1のバルブと、
蓄蔵室に通流して接続され、(1)常閉で、流体封止位置で蓄蔵室からの流体の通過を禁止し、(2)開位置でバルブを通して蓄蔵室から流体が流れることを許容する第2のバルブと、を有するデバイス。
【請求項19】
請求項18に記載のデバイスであって、
第1のバルブは、第2のバルブと同軸であるデバイス。
【請求項20】
請求項18に記載のデバイスであって、
第1のバルブに重ねられたキャップを有するデバイス。
【請求項21】
請求項18に記載のデバイスであって、
第1のバルブと第2のバルブのうちの少なくとも1つは、バルブシートと、閉位置と開位置との間でバルブシートに対して相対的に移動するシール面とを有し、
シール面は、閉位置でバルブシートとの間の流体封止シールを形成するようにバルブシートに係合可能であり、開位置で流体の通過のためのバルブ開口を形成するようにバルブシートに対して相対的に移動可能であるデバイス。
【請求項22】
請求項18に記載のデバイスであって、
第1のバルブに係合可能な充填部材を組み合せ、充填部材から第1のバルブを通して蓄蔵室に流体を導入するデバイス。
【請求項23】
請求項22に記載のデバイスであって、
更に、充填部材に通流して接続される流体源を組み合わせ、それを通して流体を蓄蔵室に導入するデバイス。
【請求項24】
請求項18に記載のデバイスであって、
第1のバルブと第2のバルブの内の少なくとも1つは、軸方向に延びるバルブシートと、バルブシートに重ねあわされ、バルブシートとの間の流体封止シールを形成する柔軟性のあるバルブ部材とを含むデバイス。
【請求項25】
請求項24に記載のデバイスであって、
第1のバルブと第2のバルブの内の少なくとも1つは、環状で軸方向に延び、バルブ部材とバルブシートの間に形成され、その間に流体を受け入れる閉じ目を含むデバイス。
【請求項26】
請求項25に記載のデバイスであって、
バルブ部材はバルブシートとの間で流体封止シールを形成する嵌め合いを形成し、バルブ部材は各バルブの入口から出口に向かってその壁厚さが漸減するデバイス。
【請求項27】
請求項18に記載のデバイスであって、
蓄蔵室の中に受容される無菌流体を含むデバイス。
【請求項28】
請求項27に記載のデバイスであって、
無菌流体は液体食品であるデバイス。
【請求項29】
請求項18に記載のデバイスであって、
更に、蓄蔵室の中に受容される液体食品は、ミルク、ヨーグルト、ベビーフード、粉ミルク、マヨネーズ、チーズ、マスタード、ケチャップ、及びシロップを含む群から選択されるデバイス。
【請求項30】
ボディと、蓄蔵室と、蓄蔵室に通流して接続され(1)常閉で流体封止位置で大気から蓄蔵室を無菌に封止し(2)開位置でバルブを通して蓄蔵室に流体を充填するためにバルブを流体が通過することを許容する第1のバルブと、蓄蔵室に通流して接続され(1)常閉で流体封止位置で蓄蔵室からの流体の通過を禁止し(2)開位置でバルブを通して蓄蔵室から流体が流れることを許容する第2のバルブと、を含むデバイスを充填する方法であって、
(i)流体源に通流し接続される充填プローブを供給するステップと、
(ii)充填プローブを第1のバルブと通流して接続するステップと、
(iii)第1のバルブを通して充填プローブから流体を蓄蔵室に導入するステップと、
(iv)第1のバルブから充填プローブを引き抜き、蓄蔵室の中に流体を気密封止するステップと、
を含む方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、
更に、第2のバルブを通して蓄蔵室から流体が流出することを許容するステップを含む方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法であって、
更に、ステップ(iv)の後に第1のバルブにキャップをとりつけるステップを含む方法。
【請求項33】
請求項30に記載の方法であって、
更に、デバイスを滅菌するステップを含む方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、
更に、流体を滅菌するステップを含む方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、
流体は、ステップ(iii)の前に滅菌される方法。
【請求項36】
請求項34に記載の方法であって、
流体は、デバイスに充填されている間、連続して滅菌される方法。
【請求項37】
請求項30に記載の方法であって、
流体は液体である方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法であって、
液体食品は、ミルク、ヨーグルト、ベビーフード、粉ミルク、マヨネーズ、チーズ、マスタード、ケチャップ、及びシロップを含む群から選択される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【公開番号】特開2010−18352(P2010−18352A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212379(P2009−212379)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【分割の表示】特願2004−528136(P2004−528136)の分割
【原出願日】平成15年8月13日(2003.8.13)
【出願人】(503129855)メディカル・インスティル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】