説明

内燃機関のピストン

【課題】軽量化され、往復動時に、極力その姿勢を維持することができる内燃機関のピストンを提供することを目的とする。
【解決手段】第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8は、ピストンピン20の軸線21を含み、かつ、スラスト方向及び反スラスト方向に広がる面を想定した面である仮想面Fに沿って延設されている。第1サイドウォール5と第3サイドウォール7とは、結合され、その結合部が、第1スカート9を形成している。第2サイドウォール6と第4サイドウォール8とは、結合され、その結合部が第2スカート10を形成している。第1スカート9、第2スカート10はその表面がピストン頂部2の外径と略同一の径によって形成される円筒面からなり、機関運転時に内燃機関のボアと摺接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のピストンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ピストンの軽量化と、往復動中のピストンの姿勢を安定させることを目的として改良されたピストンが知られている。例えば、クラウン部と、クラウン部よりも下方のスカート部と、クラウン部とスカート部との内側に一体に設けられ且つ向い合う対のピンボス部とを有し、スカート部の中間部が削除されるピストンが知られている(特許文献1参照)。その他にも、例えば、ランド部とスカート部とが不連続に形成された内燃機関用ピストンが知られている(特許文献2参照)。また、冠部の下部に有する円筒状のスカート部を、上下左右方向に分割形成すると共に、該分割された上部スカート部位と下部スカート部位を、ピストンピンを保持する一対のピンボス部の両側部から延出した複数の支持アームによって支持してなる内燃機関のピストンが知られている(特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−193733号公報
【特許文献2】特開平6−101566号公報
【特許文献3】特開平6−53743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピストンの軽量化は、フリクションの低減やシリンダライナとの摺動部の摩耗低減に寄与する。また、ピストンは、往復動時の揺動現象を抑制し、姿勢を安定させることによってオイル消費量の低減や、ブローバイの抑制を図ることができる。上記特許文献に開示されたピストンは、ピストンの軽量化や、ピストンの姿勢を維持することを目的としているが、いずれも、改善の余地を有している。
【0005】
そこで、本発明は、さらに軽量化され、往復動時に、極力その姿勢を維持することができる内燃機関のピストンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決する本明細書開示の内燃機関のピストンは、ピストン頂部の裏面側に形成され、ピストンピンが装着されるピンボスと、当該ピンボスの側方に設けられたサイドウォールとを備える。そして、ピストンは、当該サイドウォールの端部に設けられたスカートを備える。サイドウォールは、ピストンピンの軸線を含み、かつ、スラスト方向及び反スラスト方向に広がる仮想面に沿うように前記ピンボスから延設される。
【0007】
ピストンの揺動は、ピストンピンの軸線を中心として発生する。そこで、ピストンピンの軸線を含み、かつ、スラスト方向及び反スラスト方向に広がる仮想面を想定し、この仮想面に沿うようにサイドウォールを設ける。そして、このサイドウォールの端部にスカートを設けることによって効果的にピストンの揺動を抑制することができる。特に、上下死点時おけるピストンの揺動を効果的に抑制することができ、ピストンの姿勢を維持することができる。
【0008】
本明細書開示のピストンは、このようにピストンの揺動を効果的に抑制することができる方向にサイドウォールを延設し、その端部にスカートを設けている。そして、ピストンの強度が確保される限度内において極力肉抜きを行い、ピストンの軽量化が図られている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の内燃機関のピストンによれば、ピストンの軽量化と、ピストンの往復動時の姿勢維持を図ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本実施例に係る内燃機関のピストン(以下、単に「ピストン」という)1の斜視図である。また、図2はピン穴、すなわちピストンピンの軸線方向からみたピストン1を模式的に示す図である。図3は底面側からみたピストン1を模式的に示す図である。図4はスラスト側からみたピストン1を模式的に示す図である。図5はピン穴(ピストンピン)の軸線方向からみた場合のピストン1を図4におけるA−A線で断面として模式的に示した図である。
【0012】
ピストン1は、アルミ製であり、ピストン頂部2を備え、その裏面側に対向配置された第1ピンボス3と第2ピンボス4を備えている。第1ピンボス3と第2ピンボス4は、それぞれ、ピン穴3a、4aを備えている。ピン穴3a、4aには、図2に示すようにピストンピン20が嵌め込まれ、ピストン1に図示しないコンロッドが取り付けられる。図2中、参照番号21は、ピストンピンの軸線を示し、参照符号Rは、ピストンピン20の直径寸法を表している。
【0013】
第1ピンボス3の側方には、第1サイドウォール5、第2サイドウォール6が設けられている。また、第2ピンボス4の側方には、第3サイドウォール7、第4サイドウォール8が設けられている。
【0014】
第1サイドウォール5は第1ピンボス3からスラスト方向に延設されている。第2サイドウォール6は第1ピンボス3から反スラスト方向に延設されている。第3サイドウォール7は第2ピンボス4からスラスト方向に延設されている。第4サイドウォール8は第2ピンボスから反スラスト方向に延設されている。
【0015】
これらの第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8は、図に示す仮想面Fに沿って延設されている。仮想面Fは、ピストンピン20の軸線21を含み、かつ、スラスト方向及び反スラスト方向に広がる面を想定したものである。
【0016】
第1サイドウォール5と第3サイドウォール7とは、結合され、その結合部が、第1スカート9を形成している。第2サイドウォール6と第4サイドウォール8とは、結合され、その結合部が第2スカート10を形成している。第1スカート9、第2スカート10はその表面がピストン頂部2の外径と略同一の径によって形成される円筒面からなり、機関運転時に内燃機関のボア(図示省略)と摺接する。
【0017】
このような第1スカート9、第2スカート10の高さ方向の厚みTsは、第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8の高さ方向の厚みTw以下とされている。仮に、第1スカート9、第2スカート10の高さ方向の厚みTsが、第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8の高さ方向の厚みTwよりも厚く、第1ピンボス3、第2ピンボス4に近いほど、厚みが薄くなると、強度は低い。そこで、ピストン1では、第1スカート9、第2スカート10の寸法を上記のように設定し、第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8に支持される第1スカート9、第2スカート10の強度を確保している。特に、第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8と第1スカート9、第2スカート10の連続部において上記寸法関係を維持することにより、第1スカート9、第2スカート10の強度を確保することができる。これにより、第1スカート9、第2スカート10の倒れや、き裂発生を抑制することができる。
【0018】
このような第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8の高さ方向の厚みTwは、ピストンピン20の直径寸法Rよりも薄くなっている。また、第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8の高さ方向の中心は、仮想面Fに含まれる。すなわち、第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8の高さ方向の中心は、ピストンピン20の中心の高さ位置と一致している。
【0019】
ピストン頂部2は円盤状に形成されており、その外周にはコンプレッションリングおよびオイルリング(図示省略)を装着するためのリング溝25が形成されている。なお、リング溝25の本数は図示の2本に限定されるものではなく、例えば一般に採用されることが多い3本であってもよい。
【0020】
以上のようなピストン1は、ピストン頂部2と第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8とが連結されておらず、いわゆるスケルトン構造となっている。第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8は、必要な剛性を確保することができる寸法、例えば、幅、高さ方向の厚さ、第1ピンボス3、第2ピンボス4との接合部のR形状の大きさを考慮して設計される。ピストン1は、必要な剛性を確保することができる範囲内で、極力肉抜きが行われ、軽量化が施されている。ピストン頂部2と第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8とが連結されていないことにより、ピストン頂部2に加わる力が直接第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8に伝達されることがない。これは、ピストン1の揺動抑制にも繋がる。
【0021】
図6は、比較例として示す、従来のピストン101の斜視図である。ピストン101は、ピストン頂部102から下方に延設されたスカート103を有する。そして、このスカート103は、ピストン頂部102の裏面側に対向配置された第1ピンボス104、第2ピンボス105の側方に設けられたサイドウォール106と接続されている。
【0022】
本実施例のピストン1は、比較例のピストン101と比較して、スカートの面積、サイドウォールの面積を大幅に縮小することにより、軽量化を達成している。
【0023】
第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8の高さ方向の厚みTwも、前記のようにピストンピン20の直径寸法Rよりも薄くしている。さらに、第1スカート9、第2スカート10の高さ方向の厚みTsは、第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8の高さ方向の厚みTw以下とされている。しかしながら、第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8は、図に示す仮想面Fに沿って延設されている。さらに、第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8の高さ方向の中心は、仮想面Fに含まれる。すなわち、第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8の高さ方向の中心は、ピストンピンの中心の高さ位置と一致している。
【0024】
ピストン1の往復動時の揺動は、ピストンピン20の軸線21回りに生じる。そこで、上記のように第1サイドウォール5〜第4サイドウォール8、第1スカート9、第2スカート10を設けることにより、効果的にピストン1の揺動を抑制することができる。特に、上下死点時おけるピストン1の揺動を効果的に抑制することができ、ピストン1の姿勢を維持することができる。ピストン1の姿勢が維持することができれば、スラスト力が低減して第1スカート9、第2スカート10における面圧が低下し、スカート面積を縮小することも可能となる。スカート面積の低下は、さらなる軽量化を可能とする。さらなる軽量化が進めば、さらにスラスト力を低下させることができる。このように、ピストン1の姿勢の維持と、軽量化は相乗効果をもたらす。
【0025】
このようなピストン1は、その軽量化によるフリクションの低減はもとより、摩耗、騒音の低減及びピストン1の姿勢が良好に維持されることによりブローバイ、オイル消費量の低減も可能となる。以下、ピストン1の構成とすることによる効果を列記する。
【0026】
まず、ピストン1の軽量化により、慣性質量が低下し、この結果、スラスト力が低下する。スラスト力が低下するとピストン往復動時のフリクションが低減され、この結果、内燃機関の燃費向上が期待される。燃費が向上すれば、COの排出量も抑制される。
【0027】
ピストン1の軽量化は、内燃機関のボアとの摺動部の摩耗低減にも寄与する。従来、ピストンは、摩擦の低減を目的として摺動部に表面処理が施されている。この表面処理は、加工に手間がかかり、製造コスト上昇の原因ともなりうる。本実施例のピストン1であれば、その摩耗低減効果により信頼性が向上し、表面処理も簡易なものとすることができる。簡易な表面処理とすることにより、製造コスト上昇を抑制することができる。
【0028】
また、ピストン1は、その軽量化によって慣性力が低下し、これに起因するスラスト力の低減により、振動、騒音を低下させることもできる。スラスト力の低減は、前記のようにスカート面圧を低下させ、スカート面積の縮小を可能としている。
【0029】
また、本実施例のピストン1は、揺動現象を抑制し、往復動時の姿勢を維持することができる。これにより、オイル消費、ブローバイの低減が図られる。この結果、スラッジやデポジットの堆積抑制効果を得ることもでき、オイルメンテナンスのインターバルを長くすることができ、オイルのメンテナンスフリーに近づけることができる。また、スラッジやデポジットの堆積抑制に伴い低粘度オイルの使用が可能となり、この結果、燃費向上も期待される。
また、ピストン1では、ピストンの軽量化に伴い特に冷間始動時の機関始動性が向上する。冷間時において、アルミ製のピストン1は、収縮しており、ボアとの隙間が大きくなり、揺動しやすい状態となる。しかしながら、本実施例のピストン1は、非常に軽量であり、スラスト力が低く、フリクションが小さいため、ピストン1がスムーズに動き出す。このため、ピストン1は、冷間始動時の始動性が良好である。ひいては、補機容量の低減により有害排気ガスの低減やコストの低減も可能になる。
【0030】
図7は、市街地走行時のフリクション低減効果を本実施例のピストン1と図6に示した従来のピストン101とで比較して示したグラフである。グラフから明らかなように、本実施例のピストン1は、従来のピストン101と比較して、大幅なフリクションの低下が認められた。なお、フリクションの低下効果は、軽量化効果によるもの、スラスト力低下によるもの及びスカート面積縮小によるものの複合的なものであると考えられる。
【0031】
図8は、オイル消費低減効果を本実施例のピストン1と図6に示した従来のピストン101とで比較して示したグラフである。グラフから明らかなように、本実施例のピストン1は、従来のピストン101と比較して、オイル消費量の低下が認められた。オイル消費は、内燃機関が高速、高負荷条件で運転となるほど増大するが、ピストン1のオイル消費低減効果も内燃機関が高速、高負荷条件での運転となるほど顕著なものとなる傾向にある。
【実施例2】
【0032】
次に、実施例2のピストン21について、図9、図10を参照しつつ説明する。図9は、ピストンピンの軸線方向からみた実施例2のピストンを模式的に示す図である。図10は、スラスト側からみた実施例2のピストンを模式的に示す図である。実施例2のピストン21が実施例1のピストン1と異なる点は、実施例2のピストン21が、ピストン頂部2の下方に上下方向に延設された上下方向スカート22、23をさらに備えている点である。
なお、他の構成については、実施例1と同様であるので、共通する構成要素には図面中同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
上下スカート22は、第1サイドウォール5と第3サイドウォール7とを接合した部分に形成された第1スカート9の両側に設けられている。また、上下スカート23は、第2サイドウォール6と第4サイドウォール8とを接合した部分に形成された第2スカート10の両側に設けられている。
【0034】
上下スカート22、23は、第1スカート9、第2スカート10の変形を抑制する補強となる。第1スカート9と第2スカート10との間隔が狭まるとピストンは揺動し易くなるが、このように上下スカート22、23を設けることによりピストン21の揺動を抑制している。ピストン21の揺動が抑制されれば、オイル消費を抑制し、騒音の悪化も抑制することができる。
【0035】
また、上下スカート22、23が設けられたことにより、スカート面圧の低下が図られ、摩耗低減効果が期待される。
【実施例3】
【0036】
次に、実施例3のピストン31について、図11、図12を参照しつつ説明する。図11は、ピン穴、すなわちピストンピンの軸線方向からみた場合のピストン31を模式的に示す図である。図12はピストンピンの軸線方向からみた場合のピストン31を図11におけるB−B線で断面として模式的に示した図である。
【0037】
実施例3のピストン31が実施例1のピストン1と異なる点は、実施例3のピストン31が、第1スカート9、第2スカート10の中央部に面積拡大部9a、10aをさらに有する点である。
なお、他の構成については、実施例1と同様であるので、共通する構成要素には図面中同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
面積拡大部9aは、第1スカート9の中央部に上方、すなわち、ピストン頂部2側に突出するように設けられている。同様に、面積拡大部10aは、第2スカート部10の中央部に上方、すなわち、ピストン頂部2側に突出するように設けられている。
面積拡大部9a、10aが設けられたことにより、ボアと摺動する面積が増大するため、スカート面圧の低下が図られる。これにより、ピストン31におけるボアとの摩耗低減が図られる。
【0039】
なお、面積拡大部9a、10aの大きさ、位置は、要求に応じて適宜決定することができる。ピストン31では、ピストン頂部2に近い側、すなわち、内燃機関の燃焼室に近い側の温度が高くなることを考慮し、温度が高くなる側の面圧低下を企図して第1スカート9、第2スカート10の上方に突出するように設けられている。
【実施例4】
【0040】
次に、実施例4のピストンについて、図13を参照しつつ説明する。図13は、第2スカート10の周辺を断面とし、拡大して示した説明図である。実施例4が実施例3と異なる点は、面積拡大部10の中央部上縁に面取り部10a1が設けられている点である。図面に現れていないが、面積拡大部9の中央上縁にも面取り部が設けられている。
なお、他の構成については、実施例1と同様であるので、共通する構成要素には図面中同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0041】
面取り部10a1は、面積拡大部10aにおいて、内燃機関のボアとの間に油膜を形成し、スクィーズ効果を得る。スクィーズ効果により、ボアとの非摺動部が形成され、摩耗低減が図られる。
【0042】
なお、実施例4では、面積拡大部10a(9a)に面取り部10aを設けた構成としているが、面積拡大部9a、10aを有していない実施例1のピストン1において、面取り部を設けた構成とすることもできる。すなわち、第1スカート部9、第2スカート部10の上縁に面取り部を設け、スクィーズ効果を得るようにしてもよい。
【実施例5】
【0043】
次に、実施例5のピストン41について、図14、図15を参照しつつ説明する。図14は、ピストン41の断面を示す説明図である。図15は、断面とした第2スカートの周辺を拡大して示した説明図である。実施例5のピストン41が、実施例1のピストン1と異なる点は、実施例5のピストン41が有する第1スカート9、第2スカート10にリング溝11を設け、このリング溝11にシリンダボアと接触することができるリング12を装着した点である。
なお、他の構成については、実施例1と同様であるので、共通する構成要素には図面中同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0044】
リング12は、内燃機関のボアに接触することによってピストン41の姿勢の維持を図ることができる。
内燃機関の低回転、低負荷域のようなスラスト力が弱い稼動条件下では、リング12は、内燃機関のボアに接触することによってリング13のシール力によりオイル消費を抑制し、ブローバイの低減にも資する。
【0045】
また、内燃機関の高回転、高負荷領域では、リング12は、リング溝11内に押し込まれる。これにより第1スカート9、第2スカート10と内燃機関のボアとが接触し、ピストン41の揺動を抑制する。これにより、摺動部の摩耗が抑制される。
【0046】
なお、リング12の諸元は、要求に応じて種々変更可能である。例えば、コンプレッションリングに要求される機能を持たせたり、オイルリングに要求される機能を持たせたりすることができる。
【0047】
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。例えば上述した実施例ではヘッドの下部に一対のピンボスを備えたピストンの場合について説明したが、ピストンはヘッドの下部中央にピンボスを一体的に備えた所謂シングルピンボスタイプのピストンであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、実施例1のピストンの斜視図である。
【図2】図2は、ピストンピンの軸線方向からみた実施例1のピストンを模式的に示す図である。
【図3】図3は、底面側からみた実施例1のピストンを模式的に示す図である。
【図4】図4は、スラスト側からみた実施例1のピストンを模式的に示す図である。
【図5】図5は、ピストンピンの軸線方向からみた実施例1のピストンを図4におけるA−A線で断面として模式的に示した図である。
【図6】図6は、比較例のピストンの斜視図である。
【図7】図7は、市街地走行時のフリクション低減効果を示したグラフである。
【図8】図8は、オイル消費低減効果を示したグラフである。
【図9】図9は、ピストンピンの軸線方向からみた実施例2のピストンを模式的に示す図である。
【図10】図10は、スラスト側からみた実施例2のピストンを模式的に示す図である。
【図11】図11は、ピストンピンの軸線方向からみた実施例3のピストンを模式的に示す図である。
【図12】図12は、ピストンピンの軸線方向からみた実施例3のピストンを図11におけるB−B線で断面として模式的に示した図である。
【図13】。図13は、実施例4の第2スカートの周辺を断面とし、拡大して示した説明図である。
【図14】図14は、実施例5のピストンの断面を示す説明図である。
【図15】図15は、図14に示すピストンの第2スカートの周辺を拡大して示した説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1,21,31,41…ピストン 2…ピストン頂部
3…第1ピンボス 3a,4a…ピン穴
4…第2ピンボス 5…第1サイドウォール
6…第2サイドウォール 7…第3サイドウォール
8…第4サイドウォール 9…第1スカート
10…第2スカート 11…リング溝
12…リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン頂部の裏面側に形成され、ピストンピンが装着されるピンボスと、
当該ピンボスの側方に設けられたサイドウォールと、
当該サイドウォールの端部に設けられたスカートとを備え、
前記サイドウォールは、ピストンピンの軸線を含み、かつ、スラスト方向及び反スラスト方向に広がる仮想面に沿うように前記ピンボスから延設されたことを特徴とする内燃機関のピストン。
【請求項2】
前記サイドウォールの高さ方向の厚みは、前記ピストンピンの直径寸法よりも薄いことを特徴とした請求項1記載の内燃機関のピストン。
【請求項3】
前記サイドウォールの高さ方向の中心線は、前記仮想面に含まれることを特徴とした請求項1記載の内燃機関のピストン。
【請求項4】
前記ピンボスは、ピストン頂部の裏面側において対向配置された第1ピンボスと第2ピンボスを含み、
前記サイドウォールは、前記第1ピンボスからスラスト方向に延設された第1サイドウォール及び反スラスト方向に延設された第2サイドウォールと、前記第2ピンボスからスラスト方向に延設された第3サイドウォール及び反スラスト方向に延設された第4サイドウォールと、を含み、
前記スカートは、前記第1サイドウォールと前記第3サイドウォールとの結合部に形成された第1スカートと、前記第2サイドウォールと前記第4サイドウォールとの結合部に形成された第2スカートと、を含む
ことを特徴とした請求項1記載の内燃機関のピストン。
【請求項5】
前記スカートの高さ方向の厚みは、前記サイドウォールの高さ方向の厚み以下としたことを特徴とした請求項1記載の内燃機関のピストン。
【請求項6】
前記ピストン頂部の下方に上下方向に延設された上下方向スカートをさらに備えたことを特徴とした請求項1記載の内燃機関のピストン。
【請求項7】
前記スカートは、面積拡大部を有することを特徴とした請求項1記載の内燃機関のピストン。
【請求項8】
前記スカートは、上縁に面取り部が設けられたことを特徴とした請求項1記載の内燃機関のピストン。
【請求項9】
前記スカートにリング溝を設け、当該リング溝にシリンダボアと接触することができるリングを装着したことを特徴とした請求項1記載の内燃機関のピストン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−38048(P2010−38048A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202546(P2008−202546)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(390008822)アート金属工業株式会社 (39)
【Fターム(参考)】