説明

内燃機関の排気駆動過給機

【課題】本発明は、内燃機関のエンジンから出る排気ガス流を膨張するためのタービンと、内燃機関のエンジンに供給すべき燃焼空気流を圧縮するための圧縮機とを備え、タービン内で膨張すべき排気ガス流をタービンロータに導入するために、タービンがベンドとして形成された入口室(10)を有し、低いエンジン負荷運転点で入口室(10)に洗浄媒体を供給するために、入口室(10)に洗浄ノズルが付設されている内燃機関の排気駆動過給機に関する。
【解決手段】本発明に基づいて、洗浄ノズルが、タービンロータの回転軸線(14)と一致する線上ないし直線上に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前文に記載の内燃機関の排気駆動過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の効率を高めるために、内燃機関に排気駆動過給機を装備することが既に従来において知られている。排気駆動過給運転ないしターボチャージ運転の場合、エンジンから出る排気ガスが排気駆動過給機のタービンにおいて膨張され、その際、タービンがエンジンに供給すべき燃焼空気を圧縮する圧縮機を駆動する。その圧縮済み燃焼空気を所定の温度に冷却するために、排気駆動過給機の圧縮機とエンジンとの間にインタクーラ(過給空気冷却器)が挿入接続されている。そのような排気駆動過給運転ないしターボチャージ運転によって、内燃機関の効率が向上される。
【0003】
排気駆動過給機のタービンは、タービン内で膨張すべきエンジンの排気ガス流をタービンロータに導入するために、入口室(流入ハウジング)を利用している。二サイクルエンジンの場合、その入口室はベンド(曲がり管)として形成される。タービン内で膨張された排気ガス流は排気室(流出ハウジング)を通してタービンから排出される。排気駆動過給機を洗浄するために、従来実際に、低いエンジン負荷運転点で排気駆動過給機の入口室に洗浄媒体を導入することが知られ、そのために、実際に1つあるいは複数の洗浄ノズルが用いられる。それらの洗浄ノズルは従来において入口室に不定位置ないし任意位置に付設されている。このために、洗浄ノズルの具体的位置に関係して、種々の配管敷設が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の点から出発して、本発明の課題は、内燃機関の新しい排気駆動過給機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は請求項1に記載の内燃機関の排気駆動過給機によって解決される。本発明に基づいて、洗浄ノズルが、タービンロータの回転軸線と一致する線上ないし直線上に配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の目的において、洗浄ノズルを入口室に所定の位置に付設すること、詳しくは、タービンロータないし排気駆動過給機の延長回転軸線が入口室ないしベンドの壁と交差する位置に付設することを提案する。それに応じて、洗浄ノズルは、タービンロータの回転軸線と一致する線上ないし直線上に配置され、即ち、その直線が入口室の壁と交差する場所に配置されている。これによって、ベンドとして形成された入口室の角度位置に相当するいわゆる接続短管位置に無関係に、洗浄ノズルに対する常に同じ接続管敷設を利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の有利な実施態様において、入口室に、タービンロータの回転軸線と一致する線上ないし直線上に配置された唯一の洗浄ノズルが付設されている。その場合、洗浄媒体を入口室に流入する洗浄ノズルの出口領域ないし出口孔は、入口室の内面に対してほぼ垂直に延びている。洗浄ノズルの出口領域ないし出口孔の長手軸線および洗浄ノズルが配置された延長回転軸線は、入口室に注入された洗浄媒体が入口室を貫流する排気ガス流によって転向された後で入口室のバルブ形デフレクタに衝突するように、互いに角度を成している。その角度は好適には30°〜35°である。
【0008】
本発明の有利な実施態様は従属請求項および以下の説明から理解できる。次に図を参照して本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
以下図1〜図3を参照して本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1には、排気駆動過給機のいわゆる90°ベンド(曲がり管)として形成された入口室(流入ハウジング)10が断面図で示されている。その場合、排気ガス流が入口開口11を通して入口室10に導入され90°転向されて入口室10のバルブ(電球)形デフレクタ12に到達する。バルブ形デフレクタ12の領域において、排気ガス流はもう一度転向され、いわゆる環状ノズル13を通して、バルブ形デフレクタ12の下流側に位置された排気駆動過給機のタービンロータ(図示せず)に向けて導かれる。タービンロータの領域で膨張された排気ガスは、入口室10につながる排気室(図示せず)を通して排気駆動過給機から排出される。タービンロータについてその回転軸線14しか示されていない。そのタービンロータは軸を介して排気駆動過給機の圧縮機ロータに連結され、この圧縮機ロータを駆動する。
【0011】
既に述べたように、入口室10は90°ベンドとして形成され、それに応じて、湾曲壁15を有している。低いエンジン負荷運転点で排気駆動過給機を洗浄するために洗浄媒体つまり洗浄水を入口室10に注入するために、入口室10の壁15に、図1および図2に示されていない洗浄ノズルが付設されている。図1および図2には洗浄ノズルのホルダ16しか示されていない。そのホルダ16は壁15にねじ止めされ、洗浄ノズルを受けるための孔17を規定している。
【0012】
本発明の目的において、洗浄ノズルはタービンロータの延長回転軸線14上に配置され、詳しくは、タービンロータの延長回転軸線14が入口室10の壁15と交差する場所に配置されている。ここで本発明の目的において、入口室10に唯一の洗浄ノズルが付設されている。この洗浄ノズルは、図1および図2の実施例において、タービンロータの延長回転軸線14が壁15と交差する位置で壁15にねじ止めされたホルダ16に収納されている。それに応じて、洗浄ノズルはタービンロータの回転軸線14と一致する直線上ないし線上に配置されている。
【0013】
図1および図2の実施例において、図示されていない洗浄ノズルはホルダ16の孔17の中に、洗浄媒体を入口室10に流入ないし注入する洗浄ノズルの出口領域ないし出口孔が、入口室10の壁15の内面18に対してほぼ垂直に延びているように、収納されている。図1および図2の実施例において、ホルダ16ないし孔17の長手軸線19と一致している洗浄ノズルの出口孔の長手軸線は、タービンロータの延長回転軸線14に対して、入口室10に注入された洗浄媒体が入口室を貫流する排気ガス流により転向ないし引き連れられた後、入口室10のバルブ形デフレクタ12に衝突し、そのバルブ形デフレクタ12への衝突によって霧化されるように、角度αを成している。
【0014】
その洗浄ノズルの出口孔の長手軸線19は、タービンロータの延長回転軸線14と20°〜40°の角度α、特に30°〜35°の角度αを成している。有利な実施例においてその角度αは約33°である。
【0015】
図1および図2の実施例において、洗浄ノズルのホルダ16は別個の部品として形成され、入口室10の壁15にねじ止めされている。このホルダ16に、即ちその孔17の中に、洗浄ノズルがはめ込まれている。
【実施例2】
【0016】
図1および図2の実施例と異なって、図3には、洗浄ノズルのホルダ16が壁15と一体構造部品であり、即ち、入口室10の壁15に一体鋳造されている実施例が示されている。洗浄ノズルはホルダ16に設けられた孔20、21によって規定され、即ち、入口孔20および出口孔21によって規定されている。その洗浄ノズルの出口孔21の長手軸線19は、既に図1および図2の実施例に関連して述べたように、壁15の内面18に対してほぼ垂直に延び、タービンロータの延長回転軸線14と角度αを成している。これに対して、入口孔20の長手軸線はタービンロータの延長回転軸線14と一致している。
【0017】
それに応じて本発明の目的において、ベンドとして形成された入口室を有し、この入口室に洗浄ノズルが付設され、その場合、唯一の洗浄ノズルが、タービンロータの回転軸線がベンドとして形成された入口室の壁と交差する位置に配置されている排気駆動過給機を提案する。
【0018】
洗浄ノズルの出口孔は入口室の壁の内面に対してほぼ垂直に延び、その出口孔の長手軸線はタービンロータの回転軸線と、入口室に注入された洗浄媒体が排気ガス流による方向転換によって入口室のバルブ形デフレクタに衝突し、そのバルブ形デフレクタの領域において霧化されるような角度を成している。洗浄媒体はそれから入口室の環状ノズルの領域に全周にわたって一様に到達する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】内燃機関の本発明に基づく排気駆動過給機のタービンの入口室の概略断面図。
【図2】図1の部分IIの詳細図。
【図3】異なった実施例の図2に相当した詳細図。
【符号の説明】
【0020】
10 入口室(流入ハウジング)
11 入口開口
12 バルブ(電球)形デフレクタ
13 環状ノズル
14 回転軸線
15 壁
16 ホルダ
17 孔
18 内面
19 長手軸線
20 入口孔
21 出口孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のエンジンから出る排気ガス流を膨張するためのタービンと、内燃機関のエンジンに供給すべき燃焼空気流を圧縮するための圧縮機とを備え、タービン内で膨張すべき排気ガス流をタービンロータに導入するために、タービンがベンドとして形成された入口室(10)を有し、低いエンジン負荷運転点で入口室(10)に洗浄媒体を供給するために、入口室(10)に洗浄ノズルが付設されている内燃機関の排気駆動過給機において、洗浄ノズルが、タービンロータの回転軸線(14)と一致する線上ないし直線上に配置されていることを特徴とする内燃機関の排気駆動過給機。
【請求項2】
入口室(10)に、タービンロータの回転軸線(14)と一致する線上ないし直線上に配置された唯一の洗浄ノズルが付設されていることを特徴とする請求項1記載の排気駆動過給機。
【請求項3】
洗浄媒体が入口室(10)に流入する洗浄ノズルの出口領域が、入口室(10)の内面(18)に対してほぼ垂直に延びていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気駆動過給機。
【請求項4】
洗浄ノズルの出口孔(21)の長手軸線(19)および洗浄ノズルが配置された延長回転軸線(14)が、20°〜40°の角度を成していることを特徴とする請求項3記載の排気駆動過給機。
【請求項5】
洗浄ノズルの出口孔(21)の長手軸線(19)および洗浄ノズルが配置された延長回転軸線(14)が、30°〜35°の角度を成していることを特徴とする請求項4記載の排気駆動過給機。
【請求項6】
洗浄ノズルの出口領域ないし出口孔(21)の長手軸線(19)および洗浄ノズルが配置された延長回転軸線(14)が、入口室(10)に注入された洗浄媒体が入口室(10)によって案内される排気ガス流の方向転換によって入口室(10)のバルブ形デフレクタ(12)に衝突するように、角度を成していることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1つに記載の排気駆動過給機。
【請求項7】
洗浄ノズルが、入口室(10)にねじ止めされたホルダ(16)に収納されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の排気駆動過給機。
【請求項8】
洗浄ノズルが、入口室(10)の一体構造部品であるホルダ(16)に収納されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の排気駆動過給機。
【請求項9】
ホルダ(16)が入口室(10)に一体鋳造され、洗浄ノズルがホルダ(16)に設けられた孔(20、21)によって形成されていることを特徴とする請求項8記載の排気駆動過給機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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