説明

内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する噴射システムのインジェクタの温度を制御する方法

内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する噴射システムのインジェクタ9の温度を制御する方法である。燃料が、少なくとも1つの予送出ポンプ3によってタンクから少なくとも1つの高圧ポンプ4まで送られ、高圧ポンプ4によって送られた高圧燃料はインジェクタ9に送給され、高圧燃料貯蔵部14がインジェクタ9の内部に設けられる。インジェクタ9は、ノズル前室18内において軸方向に移動されるノズル・ニードル16を有する噴射ノズルを有し、ノズル・ニードルが、高圧燃料を送給される制御室21内に嵌め込まれる。制御室の圧力は、少なくとも1つの燃料用送給チャネル22又は燃料用排出チャネル24を開閉する制御弁26により制御される。この方法では、内燃機関の停止中に、燃料の一部が、予送出ポンプ3と高圧ポンプ4との間で噴出分量として分岐され、燃料を加熱するために熱交換器10を通され、高圧燃料貯蔵部14に送給されることにより、噴出分量が高圧燃料貯蔵部を通って流れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する噴射システムのインジェクタの温度を制御する方法であって、燃料が少なくとも1つの予送出ポンプによってタンクから少なくとも1つの高圧ポンプまで送られ、高圧ポンプによって送られる高圧燃料がインジェクタに送給され、インジェクタの内部に高圧燃料貯蔵部が設けられ、インジェクタがノズル前室内において軸方向に変位自在であるノズル・ニードルを有する噴射ノズルを備え、このノズル・ニードルが、高圧燃料を送給され得る、かつ、少なくとも1つの燃料用注入チャネル又は燃料用排出チャネルを開閉する制御弁により圧力が制御される制御室内に嵌め込まれる、方法と、前記方法を実施するデバイスとに関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭において述べたタイプのインジェクタは、蓄圧式噴射システムにおいて使用されることが多い。内燃機関の燃焼室内に高粘度燃料を噴射する蓄圧式システムのインジェクタとして、様々な構成のものが知られている。重油の場合には、必要な燃料粘度を実現するために150℃まで加熱することが必要となる。
【0003】
元来、蓄圧式噴射システム用のインジェクタは、種々の部品を備えているため、これらの部品は、ノズル留めナットによって一体的に保持されることが普通である。インジェクタノズルは、ノズル・ニードルを備えている。ノズル・ニードルは、インジェクタノズルのノズル本体の中を軸方向に変位自在な態様で案内され、ノズル前室からニードルの先端部まで燃料が流れることを可能にする複数の空所を有する。ノズル・ニードル自体は、圧縮ばねを支持するつばを有し、加圧燃料を送給され得る制御室内まで達している。制御室には、注入スロットルを介して注入チャネルを連結し、かつ、排出スロットルを介して排出チャネルを連結することが可能である。制御室内で蓄積された各圧力が、圧縮ばねの力と共に、ノズル・ニードルを閉位置に維持する。制御室内の圧力は、制御弁によって制御可能であり、制御弁は殆どの場合に電磁石によって作動される。適切に配線した場合には、電磁弁が開くことによって、制御室内に達するノズル・ニードル端面に対する油圧保持力が低下することによってノズル・ニードルが開いて、スロットルを介して燃料が排出されることとなる。このようにして、その後、燃料は、噴射開口を介して内燃機関の燃焼室に進入することが可能となる。
【0004】
殆どの場合では、排出スロットルに加えて、注入スロットルがさらに設けられ、ノズル・ニードルの開口速度が、注入スロットルと排出スロットルとの間の流量差により決定される。電磁弁が閉鎖された状態では、燃料の出口経路は、排出スロットルにより遮断され、注入スロットルにより制御室内において新たに圧力が蓄積され、これによりノズル・ニードルが閉鎖される。
【0005】
国際公開第2009/023887号によれば、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する方法及び装置が公知となっている。このデバイスでは、燃焼室内に燃料を噴射するインジェクタを、適温の燃料によって予熱することができる。これは、例えば、大容量ディーゼル機関において多くの場合にそうであるように、内燃機関が重質燃料で作動される場合に必要となる。このようにインジェクタを加熱することは、以下のような理由によって必要となる。すなわち、内燃機関が停止状態にある際の温度の低下によりインジェクタ及びラインの内部で重質燃料の粘度が高くなり、その結果、インジェクタ及びラインが凝固した燃料により遮断されて、内燃機関の再始動が容易には可能でなくなるためである。
【0006】
したがって、国際公開第2009/023887号の方法においては、燃料の一部が、噴射システムの予送出ポンプと高圧ポンプとの間で回収され、熱交換器を通して送られ、インジェクタ内に設けられた別個のチャネルを介して制御弁に噴出分量として送給される。したがって、噴出分量は、制御弁の可動鉄片室を通って流れ、それによって噴出分量がある程度の高温に保たれる。
【0007】
国際公開第2009/023887号によれば、使用されるインジェクタは、共同噴射原理によって作動する。この原理によれば、共有の高圧燃料貯蔵部、すなわちコモン・レール内の燃料は、高圧に維持される。インジェクタは、高圧ラインを介してコモン・レールに連結され、各インジェクタ内の制御弁が作動すると、弁座からノズル・ニードルが引き上げられて、それによって各インジェクタにおいて燃焼室内への噴射が生じる。各噴射分量は、コモン・レールによって供給される。特に、大型の機関では、各インジェクタがかなりの相互間距離を置いて配置される場合があるため、インジェクタにコモン・レールを使用することは無意味となる。なぜなら、機関のサイズが大きいと、レールからインジェクタまでのラインの長さが非常に長くならざるを得ず、噴射の際に圧力が大きく降下するためである。しかし、インジェクタノズルを開閉するノズル・ニードルの移動が、ノズル・ニードルの弁座に加えられる圧力と噴射ノズルから離れる方向に向く内方ニードル上の制御室内の制御弁により制御可能である圧力とによっても制御されるような機関の場合には、インジェクタの内部に高圧燃料貯蔵部が設けられる。このような構造様式は、各インジェクタが固有の高圧燃料貯蔵部を有し、したがって独立モジュールとして使用され得るため、モジュール式構造と呼ばれる。この場合には、高圧燃料貯蔵部は、通常のラインを意味するものではなく、代わりに送出ライン及び排出ラインを有する耐圧容器を指す。この容器の直径は、通常の高圧ラインから噴射分量を得る場合のように急速な圧力降下を生じさせることなく、高圧燃料貯蔵部からの特定量の噴射分量の送達を可能にするように、高圧ラインと比べてかなり大きい。このように圧力制御されるインジェクタにおいては、噴射分量に加えて、制御分量が、噴射ノズルから離れる方向に向く制御ニードル端部上の制御室内の圧力を制御する開放された制御弁を通って低圧領域に搬送される。
【0008】
先行技術においてなされているように、適切に温度制御された噴出分量が、内燃機関が停止状態にある間にインジェクタを加熱するために制御弁に送出されるだけである場合には、比較的大型寸法の高圧燃料貯蔵部内の燃料分量を十分に高い温度に維持して、高温燃料貯蔵部内及びインジェクタの他の構成要素内の燃料の凝固を安全に防ぐことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2009/023887号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、モジュール式構造を有する内燃機関のインジェクタ内に存在する燃料が凝固するのを防ぐことが可能な方法及びデバイスを提示することにある。この目的を解決するために、本発明によれば、冒頭で述べたタイプの方法は、内燃機関が停止状態にある際に、燃料の一部が、予送出ポンプと高圧ポンプとの間に噴出分量として分岐され、燃料を加熱するために熱交換器を通して送られ、高圧燃料貯蔵部に送給されることによって、噴出分量が高圧燃料貯蔵部を通って流れるようになる。内燃機関が停止状態にある間に、高圧ポンプは、休止状態にあり、システム内の圧力は、予送出ポンプの予送出圧力未満まで降下するので、高圧燃料貯蔵部内に燃料を送るためには、予送出ポンプの圧力で十分に事足りる。本発明によれば、この目的用の燃料は、予送出ポンプと高圧ポンプとの間で取り出され、熱交換器内で加熱され、高圧燃料貯蔵部に直接的に送給される。高圧燃料貯蔵部は、高圧燃料貯蔵部が適切な温度に維持される場合に、インジェクタ全体が十分に加熱されるように、インジェクタの内部において比較的大きな容積を占める。
【課題を解決するための手段】
【0011】
重油によって作動する大型ディーゼル機関においては、当然ながらライン経路が比較的に長くなる。したがって、本発明によれば、有利には、燃料が、予送出ポンプによって0.5〜1.0MPa(5〜10バール)の超過圧力になされて、ライン長による圧力損失が安全に解消され、全てのインジェクタの確実な噴出と調整とが確保されるようになる。
【0012】
高圧燃料貯蔵部内に調整された燃料を導入した後には、この燃料は、インジェクタから流出することが可能でなければならない。これに関して、好ましくは、この流出は、噴出分量がインジェクタから噴射システムの高圧燃料ラインのための連結部を経由して排出されるように行われる。モジュール式構造を有する内燃機関における、上記において既に指摘したように内燃機関が停止状態にある間に高圧下にはない高圧燃料ラインは、任意には介在する収集主管を介して、噴射システムの低圧領域に連結され、それにより、噴出分量は、これらのラインを通って排出され得るようになる。
【0013】
これに関して、この排出は、好ましくは、噴出分量が、タンク又は予送出ポンプに戻され、この場合でも、これに応じた高温レベルが維持されることにより、この領域におけるラインの遮断が防止されるように、行われる。
【0014】
停止状態では、内燃機関の温度は、継続的に低下し、燃料の流動性を維持するためにインジェクタ内に導入されるべき熱の量は、停止時間に伴って増加する。機関が、燃料を液体状態に維持させるのに十分高温であるため、噴出分量の送出は、ある特定の限界温度までは全く不要である。そして、前記限界温度未満に温度が低下した場合には、加熱が必要となり、インジェクタにおける内燃機関の温度が絶えず低下するのを補償するために、時間の経過に伴って、分岐される噴出分量を増加させることが必要となる。したがって、本発明による方法は、有利には、予送出ポンプと高圧ポンプとの間において分岐される噴出分量が制御されるようにされる。
【0015】
本発明の好ましい実施例によれば、さらに別の噴出分量がインジェクタの制御弁に直接的に送出される。これによって、通常はノズル前室と連通状態にあってノズル前室と共にインジェクタの高圧側を形成する高圧燃料貯蔵部に加えて、制御弁及び制御弁と接続された排出部により形成されるインジェクタの低圧側が、調整された噴出分量によって高温に維持される。これによって、特に、インジェクタ全体を十分な温かさに維持することが可能となるため、特に大型サイズのインジェクタの場合に必要となる場合がある。
【0016】
停止段階後に再び内燃機関が作動され、さらに高温ポンプも再び作動し始めると、高圧燃料貯蔵部内の圧力は著しく上昇し、噴出分量のための分岐ラインの全体に圧力損失が生ずる。したがって、本発明による方法は、有利には、高圧燃料貯蔵部までの噴出分量の送出ラインが、内燃機関の作動中に逆止弁によって閉じられるようにされる。
【0017】
本発明による方法を実施するための、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するためのデバイスは、タンクから燃料を送出するための少なくとも1つの予送出ポンプと、少なくとも1つの高圧ポンプと、少なくとも1つのインジェクタとを備え、予送出ポンプによって送出される燃料が、高圧ポンプに送給され、高圧ポンプによって送出される高圧燃料が、インジェクタに送給され、高圧燃料貯蔵部が、インジェクタの内部に設けられ、インジェクタは、ノズル前室内において軸方向に変位自在なノズル・ニードルを有する噴射ノズルを備え、このノズル・ニードルは、高圧燃料を送給され得る、かつ、少なくとも1つの燃料用注入チャネル又は燃料用排出チャネルを開閉する制御弁により圧力が制御される制御室内に嵌め込まれる。かかる噴射システムは、モジュール式蓄圧式システムと呼ばれるが、その理由は、各インジェクタが、レールの機能を呈するが、他の点においては蓄圧式機関の従来的なインジェクタにおけるのと同様に噴射を行う、固有の高圧燃料貯蔵部を備えることによるものである。上記において既に指摘したように、高圧燃料貯蔵部の圧力は、ノズル前室に対して絶えず印加され、軸方向に変位自在なノズル・ニードルが、このノズル前室内に噴射ノズルを密閉し、噴射ノズルから離れる方向に向くノズル・ニードル端部上には、制御室が設けられ、制御室は、任意にはやはりこの圧力下にあり、この圧力は、制御弁の作動により一時的に緩和され得る。制御室内の制御圧力が降下すると、ノズル・ニードルに対して作用する開放力が、閉鎖力を上回り、噴射穴が開放されることとなる。かかるデバイスにおいては、本発明によれば、噴出分量のための分岐ラインが、少なくとも1つの予送出ポンプと少なくとも1つの高圧ポンプとの間に連結され、前記分岐ラインが、熱交換器を通ってインジェクタの高圧燃料貯蔵部内に通じているため、噴出分量が高圧燃料貯蔵部を通って流れる。この措置によって、高圧燃料貯蔵部が燃料の凝固を防ぐのに十分な高温に維持されることが可能となる。
【0018】
大型機関の比較的長いラインにおいて生ずる圧力損失を解消するために、本発明によるデバイスは、有利には、燃料を送出する予送出ポンプは0.5MPa〜1.0MPa(5〜10bar)用に設計される。
【0019】
インジェクタから送出される噴出分量を排出する特に好ましい方法によれば、T継手がインジェクタに連結され、高圧ラインが、高圧燃料貯蔵部及び/又は第1のインジェクタのノズル前室、並びに他のインジェクタのT継手に連結されることによって、内燃機関の作動中に必要となる高圧燃料用の高圧ラインを介して噴出分量を排出することができる。
【0020】
噴出分量の予熱によって予送出ポンプを加熱するために、本発明によるデバイスには、好ましくは、予送出ポンプに噴出分量を戻す低圧ラインが設けられる。
【0021】
予送出ポンプのポンプ速度とは無関係に噴出分量を制御するために、このデバイスは、好ましくは、スロット及び/又は制御弁が、噴出分量を制御するために分岐ライン中に設けられる。
【0022】
インジェクタがとりわけ大型になるように設計される場合には、噴出分量によって高圧燃料貯蔵部を加温するだけでなく、さらにインジェクタの低圧側を加熱することが有利となる場合がある。このために、本発明によるデバイスは、インジェクタの制御弁と直接的に連通する連結部が、他の噴出分量のためにインジェクタの上に設けられる。
【0023】
高圧燃料貯蔵部内において圧力の著しい上昇を生じさせる、内燃機関の作動中の分岐ラインを介した圧力損失を防止するために、本発明によるデバイスは、有利には、逆止弁が噴出分量のために分岐ライン中に設けられ、逆止弁が噴出分量の送出方向に逆らう流れを止めるようになっている。
【0024】
次に、図に概略的に示す例示的な実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の方法を実施するための、本発明による噴射システムの概略的な構造を示す図である。
【図2】本発明において使用されるようなインジェクタの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1においては、燃料タンクが1で示され、燃料が、燃料タンクから予送出ポンプ2及びフィルタ3を経由して他の予送出ポンプ2まで搬送される。この機関が平常作動している間には、燃料は、他のフィルタ3を経由して高圧ポンプ4に送給され、この高圧ポンプ4は、燃料を収集器5に送出する。6により示す低圧ラインは、高圧送出の際に生じる漏出燃料を噴射システムの低圧領域内に戻す。高圧燃料は、高圧ライン7及びT継手8を経由して概略的に図示するインジェクタ9に送給される。インジェクタ9の高圧燃料貯蔵部は、14で示す。
【0027】
機関が停止状態にあるときに、温度が低下し、ライン及びインジェクタ内の重油が凝固の危険にさらされると、燃料が第2の予送出ポンプ2の下流の分岐ライン11及び高圧ポンプの上流の熱交換器10を経由して分岐され、各インジェクタ9の高圧燃料貯蔵部14に送給される。噴出分量の排出は、共有収集主管15に通じる高圧ライン7を介して行われ、フラッシュ弁12により高圧領域が低圧領域から分離される。代替として、又は追加として、噴出分量が、ライン11及びT継手8を経由して、制御弁及び接続された排出ラインによって形成されるインジェクタ9の低圧領域にさらに送出され得る。各排出チャネルは、その後、低圧ライン6を経由して、噴射システムの例えば収集主管15内になどの低圧領域内に進む。
【0028】
予送出ポンプ4が機関の作動と共に再び作動し始めると、高圧燃料貯蔵部14内の圧力が著しく上昇して、ライン11を介した逆流、すなわち圧力損失が生ずる。これを防ぐために、概略的に図示する逆止弁13が、分岐ライン11がインジェクタの高圧燃料貯蔵部に通じている領域に配置される。逆止弁は、矢印16の方向において閉じることにより、分岐ライン11を介した高圧燃料の逆流が防止される。同様の弁が、さらにT継手8内にも配設され得る。
【0029】
図2から分かるように、インジェクタノズル自体は、インジェクタ9のノズル本体15内において軸方向に変位自在な態様で案内(guide)され、複数の空所17を備える、ノズル・ニードル16を備える。燃料は、これらの空所17通って、ノズル前室18からニードルの先端部まで流れることが可能となる。ノズル・ニードル16自体は、圧縮ばね20を支持するつば19を担持し、加圧下にある燃料を送給され得る制御室21内に嵌め込まれる。制御室21には、注入スロットル23を介して注入チャネル22が連結され、排出スロットル25を介して排出チャネル24が連結されるが、制御室21内で蓄積された各圧力が、圧縮ばね20の力と共に、ノズル・ニードル16を閉位置に維持する。この制御室21内の圧力は、電磁石27により作動される制御弁又は電磁弁26によって制御される。電磁弁26が開いて、制御室21内に嵌め込まれるノズル・ニードル16の端面28に作用する油圧保持力が低下することによってノズル・ニードル16が開いて、排出スロットル25を介して燃料が排出される。このようにすることで、燃料は、噴射開口29を介して機関の燃焼室に到達する。
【0030】
排出スロットル25に加えて、注入スロットル23が設けられ、ノズル・ニードル16の開口速度が、注入スロットルと排出スロットルとの間の流量差により決定される。電磁弁26が閉鎖されると、排出スロットル25を介した燃料の出口経路は遮断され、圧力が注入スロットル23により制御室21内において再び蓄積され、これにより、ノズル・ニードル16が閉鎖される。他の参照符号は、図1と同様である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する噴射システムのインジェクタの温度を制御する方法であって、
前記燃料は、少なくとも1つの予送出ポンプによってタンクから少なくとも1つの高圧ポンプまで送られ、
前記高圧ポンプによって送られた高圧燃料は、前記インジェクタに送給され、
高圧燃料貯蔵部が、前記インジェクタの内部に設けられ、
前記インジェクタは、ノズル前室内において軸線方向に変位自在であるノズル・ニードルを有する噴射ノズルを備え、
前記ノズル・ニードルは、高圧燃料を送給され得る、かつ、少なくとも1つの燃料用注入チャネル又は燃料用排出チャネルを開閉する制御弁によって圧力が制御される、制御室内に嵌め込まれ、
前記内燃機関の停止中に、前記燃料の一部が、前記予送出ポンプと前記高圧ポンプとの間で噴出分量として分岐され、前記燃料を加熱する熱交換器を通して送られ、前記高圧燃料貯蔵部に送給されることによって、前記噴出分量が前記高圧燃料貯蔵部を通って流れるようにすることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記燃料は、前記予送出ポンプによって超過圧力0.5MPa〜1.0MPaに加圧されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記噴出分量は、前記インジェクタから前記噴射システムの高圧燃料ラインへの連結部を経由して排出されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記噴出分量は、前記タンク又は前記予送出ポンプに戻されることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記予送出ポンプと前記高圧ポンプとの間で分岐された前記噴出分量は、制御されることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
さらに別の噴出分量が、前記インジェクタの前記制御弁に直接的に送出されることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記高圧燃料貯蔵部までの前記噴出分量の送出ラインは、前記内燃機関の作動中には逆止弁によって閉じられることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
特に請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の前記方法を実施するための、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する噴射装置であって、
タンク(1)から燃料を送出する少なくとも1つの予送出ポンプ(3)と、
少なくとも1つの高圧ポンプ(4)と、
少なくとも1つのインジェクタ(9)とを備え、
前記予送出ポンプ(3)によって送出される前記燃料が、前記高圧ポンプ(4)に送給され、
前記高圧ポンプ(4)によって送給される高圧燃料が、前記インジェクタ(9)に送給され、
高圧燃料貯蔵部(14)が、前記インジェクタ(9)の内部に設けられ、
前記インジェクタ(9)は、ノズル前室内において軸方向に変位自在なノズル・ニードル(16)を有する噴射ノズルを備え、
前記ノズル・ニードルは、高圧燃料を送給され得る、かつ、少なくとも1つの燃料用注入チャネル(22)又は燃料用排出チャネル(24)を開閉する制御弁(26)によって圧力が制御される制御室(21)内に浸漬され、
噴出分量用の分岐ライン(11)が、前記少なくとも1つの予送出ポンプ(3)と前記少なくとも1つの高圧ポンプ(4)との間に接続され、前記分岐ライン(11)は、熱交換器(10)を通って前記インジェクタ(9)の前記高圧燃料貯蔵部(14)内に通じており、それによって、前記噴出分量が前記高圧燃料貯蔵部を通って流れるようになっていることを特徴とする噴射装置。
【請求項9】
前記燃料を送出する前記予送出ポンプ(3)は、0.5MPa〜1.0MPa用に設計されることを特徴とする、請求項8に記載の噴射装置。
【請求項10】
T継手(8)が、前記インジェクタ(9)に接続されることによって、高圧ライン(7)が、前記高圧燃料貯蔵部(14)及び/又は第1のインジェクタ(9)のノズル前室(21)、並びに別のインジェクタ(9)のT継手(8)に連結されるようになっていることを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載の噴射装置。
【請求項11】
前記予送出ポンプ(3)に前記噴出分量を戻す低圧ライン(15、6)をさらに備えることを特徴とする、請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載の噴射装置。
【請求項12】
スロット及び/又は制御弁が、前記噴出分量を制御する前記分岐ライン(11)中に設けられることを特徴とする、請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載の噴射装置。
【請求項13】
前記インジェクタ(9)の前記制御弁(26)と直接的に連通する連結部が、別の噴出分量のために前記インジェクタ(9)の上に設けられることを特徴とする、請求項8乃至請求項12のいずれか一項に記載の噴射装置。
【請求項14】
逆止弁(13)が、前記噴出分量用の前記分岐ライン(11)中に設けられ、前記逆止弁は、前記噴出分量の送出方向に逆らう流れを止めるようになっていることを特徴とする、請求項8乃至請求項13のいずれか一項に記載の噴射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2013−512388(P2013−512388A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541279(P2012−541279)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/AT2011/000031
【国際公開番号】WO2011/088490
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(503471891)ロバート ボッシュ ゲーエムベーハー (15)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】