説明

内燃機関を潤滑する方法

本発明は、内燃機関を潤滑する方法を提供し、この方法は、上記機関に分散剤を供給する工程を包含し、この分散剤は、(a)金属塩基;(b)界面活性剤;および(c)上記金属塩基が物理的プロセスによって中に均一に分散される有機媒体を含み、ここで、上記金属塩基は、少なくとも10nm〜1μm未満の平均粒子サイズを有し、そして上記分散剤は、15重量%を超える固体含有率を有する。本発明は、上記分散剤を含有する潤滑組成物を、さらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、内燃機関を潤滑する方法を提供し、この方法は、有機媒体中に分散された金属塩基を上記機関に供給する工程を包含する。この金属塩基は、高い固体含有率および1μm未満の粒子サイズを有する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
内燃機関に適した潤滑組成物は、移動部品を潤滑するため、ならびに高温および高圧の下で作動するために必要とされる。機関が作動する際、燃焼の間に、スラッジおよび他の沈殿物と共に、腐食性の酸が形成される。代表的に、スルホネート、サリチレートもしくはフェネートのような洗剤が、腐食性の酸を中性化するために使用されている。この洗剤は、多くの場合、10〜500の範囲の総塩基数(TBN)を有する。さらに、従来の洗剤は、限られたTBNを運ぶ。このTBNは処理速度に対応している。したがって、以下から選択される少なくとも1つの特性を有する潤滑剤を内燃機関に提供することは、有利である:低レベルで処理可能なTBNの供給源を提供すること、燃料の燃焼の間に形成される腐食性の酸を中性化可能であるTBNの供給源を提供すること、および潤滑剤中で安定的であるTBNの供給源を提供すること。本発明は、上記の特性のうちの少なくとも1つを付与可能である潤滑剤を内燃機関に提供する。
【0003】
特許文献1は、ミリング(milling)によって調製される、分散されたアルカリ土類金属化合物を含む潤滑組成物を開示する。このアルカリ土類金属化合物は、非脂溶性であり、1〜30ミクロンの粒子サイズを有し、そして潤滑組成物の20〜80重量%分散される。このアルカリ土類金属化合物は、金属水酸化物もしくはアルカン酸のアルカリ土類金属カルボキシレートと組み合わせた金属水酸化物の混合物である。
【0004】
特許文献2は、水酸化アンモニウムの存在下における、多価金属カーボネートの油中の透明コロイド状分散剤の調製のためのプロセスを開示する。
【特許文献1】英国特許第1,096,008号明細書
【特許文献2】英国特許第1,034,970号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、1つの実施形態において、内燃機関を潤滑する方法を提供し、該方法は、該機関に分散剤を供給する工程を包含し、該分散剤は、(a)金属塩基;(b)界面活性剤;および(c)該金属塩基が物理的プロセスによって中に均一に分散される有機媒体を含み、ここで、該金属塩基は、少なくとも10nm〜1μm未満の平均粒子サイズを有し、そして該分散剤は、15重量%を超える固体含有率を有する。
【0006】
1つの実施形態において、本発明は、(i)分散剤;(ii)潤滑粘性の油;および(iii)他の性能付加剤を含む潤滑組成物を提供し、該分散剤は、(a)金属塩基;(b)界面活性剤;および(c)該金属塩基が物理的プロセスによって中に均一に分散される有機媒体を含み、ここで、該金属塩基は、少なくとも10nm〜1μm未満の相加平均粒子サイズを有し;そして該分散剤は、15重量%を超える固体含有量を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明は、上で議論したように、潤滑組成物および内燃機関を潤滑する方法を提供する。
【0008】
1つの実施形態において、本発明は、水含有エマルジョン以外である。
【0009】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、用語「〜を含まない」は、不純物として存在する量(例えば、微量もしくは有効でない量)を除いて、ある材料が存在しないことを規定する。代表的に、この実施形態において、上記存在する量は、分散剤の重量の0.05重量%未満もしくは0.005重量%未満である。
【0010】
1つの実施形態において、上記分散剤は、金属カルボキシレート(例えば酢酸カルシウム)を実質的に含まないか、含まない。
【0011】
上記分散剤は、20〜2000、200〜1750、400〜1500、または600〜1300の範囲の総塩基数(TBN)を有し得る。
【0012】
異なる実施形態において、上記分散剤は、不透明(opaque)であっても、半不透明(semi−translucent)であっても、半透明(translucent)であっても、透明(transparent)であっても、またはこのような記載の間の任意の段階であってもよい。
【0013】
上記分散剤は、物理的プロセス(すなわち、物理的プロセシング工程)によって調製され得る。物理的プロセスの例としては、ミリング、グラインディング(grinding)、もしくはクラッシング(crushing)が挙げられる。代表的に、上記ミリングプロセスは、金属塩基を少なくとも10nm〜1μm未満の相加平均粒子サイズまで粉砕(grind)する。ミリングプロセスは、ローターステーターミキサー、垂直ビーズミル、水平ビーズミル、バスケットミリング、ボールミル、パールミリングもしくはこれらの混合の使用を包含する。1つの実施形態において、上記分散剤を調整するための上記物理的プロセスは、垂直ビーズミルもしくは水平ビーズミルを使用する工程を包含する。1つの実施形態において、上記物理的プロセスは、化学的手段以外(例えば、水酸化アンモニウムを必要としない手段)である。
【0014】
異なる実施形態において、上記ミリングプロセスは、垂直ビーズミル中もしくは水平ビーズミル中で実施され得る。どちらかのビーズミルプロセスは、上記金属塩基と、少なくとも1つのビーズ;および/または他の金属塩基塊(agglomerate)、凝集体(aggregate)、固体粒子;またはこれらの混合物との高エネルギー衝突によって、上記金属塩基の粒子サイズの低下を引き起こす。上記ビーズは、代表的に、所望の平均粒子サイズの上記金属塩基よりも大きな平均粒子サイズおよび質量を有する。いくつかの場合、上記ビーズは、異なる平均粒子サイズの混合物である。上記グラインディングに使用される上記ビーズは、当業者に公知の材料(例えば、金属セラミック、ガラス、石もしくは混成材料)であり得る。
【0015】
上記ミルは、代表的に、該ミルの少なくとも40容量%、もしくは少なくとも60容量%存在するビーズを含む。範囲は、例えば、60容量%〜95容量%を含む。上記分散剤の作製のより詳細な記載は、米国特許出願第05/010631号に開示される。
【0016】
(金属塩基)
上記金属塩基の上記分散剤は、一価金属、二価金属、三価金属、もしくは四価金属またはこれらの混合物を含む。代表的に、上記金属塩基の金属は、一価金属もしくは二価金属である。1つの実施形態において、上記金属塩基は、一価金属に由来し、この一価金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、銅、亜鉛、またはこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態において、上記金属塩基は、二価金属に由来し、この二価金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、またはこれらの混合物が挙げられる。上記金属はまた、多数の価(例えば、例として、銅もしくは鉄の一価もしくは二価もしくは三価)を有し得る。1つの実施形態において、上記金属塩基は、四価金属(セリウムが挙げられる)に由来する。上記金属塩基は、必要に応じて、水化もしくは結晶化の水を含み得る。1つの実施形態において、上記金属塩基は、結晶である。種々の実施形態において、上記金属は、カルシウムもしくはマグネシウムを含む。
【0017】
上記分散剤中に存在する金属塩基の量(すなわち、固体含有率)は、該分散剤の15重量%より高く、そして17重量%〜90重量%、もしくは25重量%〜80重量%、もしくは35重量%〜70重量%、もしくは40重量%〜65重量%の範囲に及び得る。この量は、元の分散剤に基づいて決定され、さらなる希釈剤(該希釈剤中に該分散剤がその後混合されて、例えば完全に処方された潤滑組成物を形成するような希釈剤)を何ら含まず、また、他の供給源からの固体成分もしくは非揮発性成分を含むこともない。
【0018】
上記金属塩基は、代表的に、固体の形態であり、そして上記有機媒体中にあまり可溶性ではない。いくつかの実施形態において、上記金属塩基は、上記分散剤中で、20nm〜1μm未満、もしくは30nm〜0.7μm、もしくは50nm〜0.4μm、もしくは80nm〜0.3μmの範囲に及ぶ平均粒子サイズを有する。
【0019】
上記金属塩基は、一般に、酸化物、水酸化物もしくはカーボネートの少なくとも1つを含む。適切な金属塩基の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、無水水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化リチウム、酸化セリウム、酸化鉄もしくはこれらの混合物が挙げられる。本発明の1つの実施形態において、上記金属塩基は、混合物(例えば、市販のドロミテ石灰(dolmitic lime))中に存在する。いくつかの実施形態において、上記金属塩基は、水酸化カルシウムもしくは酸化カルシウムである。
【0020】
(界面活性剤)
上記界面活性剤としては、無機(カチオン性もしくはアニオン性)化合物または非イオン性化合物が挙げられる。一般に、該界面活性剤は、上記有機媒体中の上記金属塩基の上記分散剤を安定化させる。
【0021】
好適な界面活性剤化合物としては、1〜40、1〜20、1〜18、2〜16もしくは2.5〜15の範囲内の親水性親油性バランス(HLB)を有する界面活性剤化合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、上記HLBは、11〜14であるか、または10未満(例えば、1〜8もしくは2.5〜6)である。当業者は、最終的な界面活性剤混成物の組成物が上記の範囲内であると云う条件で、個々のHLB値が上記の範囲外である界面活性剤の組み合わせが使用され得ることを理解する。上記界面活性剤が、利用可能な酸性基を有する場合、該界面活性剤は、該酸性基の金属塩になり得、ここで、該金属は、上記金属塩基に由来する。
【0022】
本発明に適する界面活性剤の例は、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,1993,North American & International Edition中に開示される。一般的な例としては、アルカノールアミド、アルキルアリールスルホネート、酸化アミン、ポリ(オキシアルキレン)化合物(酸化アルキレン反復単位を含むブロックコポリマー(例えば、PluronicTM)が挙げられる)、カルボキシル化アルコールエトキシレート、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化アミンおよびエトキシル化アミド、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪エステルおよびエトキシル化油、脂肪エステル、グリセロールエステル、グリコールエステル、イミダゾリン誘導体、フェネート、レシチンおよび誘導体、リグニンおよび誘導体、モノグリセリドおよび誘導体、オレフィンスルホネート、リン酸エステルおよび誘導体、プロポキシル化脂肪酸およびエトキシル化脂肪酸、プロポキシル化アルコールおよびエトキシル化アルコール、またはプロポキシル化アルキルフェノールおよびエトキシル化アルキルフェノール、ソルビタン誘導体、スクロースエステルおよび誘導体(スルフェート、アルコール、エトキシル化アルコールもしくは脂肪エステル)、ポリイソブチレンスクシンイミドおよび誘導体が挙げられる。
【0023】
1つの実施形態において、上記界面活性剤は、US 3,778,287の第2欄44行目〜第3欄39行目において規定されるポリエステルが挙げられる。適切なポリエステル界面活性剤の例は、US 3,778,287中で、Polyester Examples A〜F(その塩を含む)として開示されるように調製される。
【0024】
1つの実施形態において、上記界面活性剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属もしくはそれらの混合物の、ヒドロカルビル置換アリールスルホン酸(またはスルホネート)である。該アリールスルホン酸のアリール基は、フェニルもしくはナフチルであり得る。1つの実施形態において、上記ヒドロカルビル置換アリールスルホン酸は、アルキル置換ベンゼンスルホン酸を含む。
【0025】
上記ヒドロカルビル(特にアルキル)基は、代表的に、8〜30個、10〜26個もしくは10〜15個の炭素原子を含む。1つの実施形態において、上記界面活性剤は、C10〜C15アルキルベンゼンスルホン酸の混合物である。スルホネートの例としては、ドデシルベンゼンスルホネートおよびトリデシルベンゼンスルホネートまたは縮合ナフタレンもしくは石油スルホネート、ならびにスルホスクシネートおよび誘導体が挙げられる。
【0026】
1つの実施形態において、上記界面活性剤は、中性界面活性剤もしくは過塩基性(overbased)界面活性剤の形態であり、代表的には、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属によって塩形成(salted)されている。上記アルカリ金属としては、リチウム、カリウムもしくはナトリウムが挙げられる;そして上記アルカリ土類金属としては、カルシウムもしくはマグネシウムが挙げられる。1つの実施形態において、上記アルカリ金属は、ナトリウムである。1つの実施形態において、上記アルカリ土類金属は、カルシウムである。
【0027】
1つの実施形態において、上記界面活性剤は、ポリオレフィンの誘導体である。ポリオレフィンの代表的な例としては、ポリイソブテン;ポリプロピレン;ポリエチレン;イソブテンとブタジエンとから誘導されるコポリマー;イソブテンとイソプレンとから誘導されるコポリマー;またはこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
代表的に、ポリオレフィンの誘導体は、ポリオレフィン置換アシル化剤を含み、これは、必要に応じてさらに反応して、エステルおよび/またはアミノアステルを形成する。上記アシル化剤は、1つ以上の酸官能基(例えば、カルボン酸もしくはその無水物)を有する化合物であり得る。アシル化剤の例としては、α−不飽和モノカルボン酸、β−不飽和モノカルボン酸、α−不飽和ポリカルボン酸、もしくはβ−不飽和ポリカルボン酸、それらの無水物または誘導体が挙げられる。したがって、アシル化剤の例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、マレイン酸もしくは無水物、フマル酸、イタコン酸もしくは無水物、またはこれらの混合物が挙げられ、これらの各々は、代表的に、ポリオレフィンとの反応後に、飽和物質の形態(例えば、無水コハク酸)であり得る。
【0029】
1つの実施形態において、上記ポリオレフィンは、少なくとも250、300、500、600、700、もしくは800、〜5000またはそれより大きい、多くの場合3000未満、2500未満、1600未満、1300未満、もしくは1200未満の平均分子量を有するポリイソブテンの誘導体である。代表的に、5重量%未満のポリイソブチレンが、250未満の
【0030】
【数1】

を有する誘導体分子を作製するために使用され、より多くの場合、ポリイソブチレンが少なくとも800の
【0031】
【数2】

を有する誘導体を作製するために使用される。ポリイソブチレンが、このましくは少なくとも30%の末端ビニリデン基を含む誘導体、より多くの場合少なくとも60%、または少なくとも75%もしくは85%の末端ビニリデン基を含む誘導体を作製するために使用される。上記誘導体を作製するために使用されるポリイソブチレンは、
5より大きい
【0032】
【数3】

(多分散度)、より多くの場合6〜20の多分散度を有し得る誘導体を作製するために使用される。
【0033】
種々の実施形態において、ポリイソブテンは、無水コハク酸で置換され、このポリイソブテン置換基は、1,500〜3,000、1,800〜2,300、700〜1700または800〜1000の範囲内の平均分子量を有する。等重量のポリイソブテンあたりのコハク酸基の比は、代表的に、1.3〜2.5、1.7〜2.1、1.0〜1.3、もしくは1.0〜1.2の範囲である。
【0034】
1つの実施形態において、上記界面活性剤は、ペンタエリトリトールを有するポリイソブテニル−ジヒドロ−2,5−フランジオンエステルまたはそれらの混合物である。1つの実施形態において、上記界面活性剤は、ポリイソブチレン無水コハク酸誘導体(例えば、ポリイソブチレンスクシンイミドもしくはそれらの誘導体)である。1つの実施形態において、上記界面活性剤は、塩基性窒素を実質的に含まないか、含まない。
【0035】
ポリイソブチレン無水コハク酸の他の代表的な誘導体としては、加水分解された無水コハク酸、エステルもしくは二酸が挙げられる。ポリイソブチレン無水コハク酸誘導体は、上記金属塩基分散剤を作製するために好ましい。ポリイソブチレン無水コハク酸誘導体の大きな群は、US 4,708,753およびUS 4,234,435において教示されている。
【0036】
別の実施形態において、上記界面活性剤は、サリキサレン(または金属塩の形態である場合、サリキサレート)を含む。このサリキサレンは、サリキサレートの有機基質として規定される。上記サリキサレンは、以下の式(I)もしくは式(II)の少なくとも1つの単位を含む、実質的に直鎖状の化合物によって表され得る:
【0037】
【化1】

もしくは
【0038】
【化2】

、上記化合物の各末端は、以下の式(III)もしくは式(IV)を有する:
【0039】
【化3】

このような基は、二価架橋基によって連結されており、この二価架橋基は、各連結について同じであっても異なっていてもよい;ここで、fは、1、2もしくは3であり、1つの局面において、1もしくは2である;Rは、ヒドロキシル基もしくはヒドロカルビル基であり、そしてjは、0.1もしくは2である;Rは、水素もしくはヒドロカルビル基である;Rは、ヒドロカルビル基もしくは置換ヒドロカルビル基である;gは、1、2もしくは3であり、但し、R基の少なくとも1つは、8以上の原子を含む;そしてここで、該化合物は、平均して、少なくとも1単位の(I)もしくは(III)、および少なくとも1単位の(II)もしくは(IV)を含み、かつ該組成物中の(I)および(III)の総単位数:(II)および(IV)の総単位数の比は、約0.1:1〜約2:1である。
【0040】
式(I)および式(III)におけるU基は、−COOR基に対してオルト位、メタ位、もしくはパラ位で位置する、−OH基、−NH基、−NHR基、もしくは−N(R基であり得る。Rは、1〜5個の炭素原子を含むヒドロカルビル基である。上記U基が−OH基を含む場合、式(I)および式(III)は、2−ヒドロキシ安息香酸(多くの場合、サリチル酸と呼ばれる)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸もしくはこれらの混合物から誘導される。Uが−NH基である場合、式(I)および式(III)は、2−アミノ安息香酸(多くの場合、アントラニル酸と呼ばれる)、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸もしくはこれらの混合物から誘導される。
【0041】
二価架橋基(各出現において同じであっても異なっていてもよい)としては、アルキレン架橋またはメチレン架橋(例えば、−CH−もしくは−CH(R)−である)、およびエーテル架橋(例えば、−CHOCH−もしくは−CH(R)OCH(R)−であり、ここで、Rは、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基である)が挙げられ、そしてここで、該メチレン架橋およびエーテル架橋は、ホルムアルデヒドもしくは2〜6個の炭素原子を有するアルデヒドから誘導される。
【0042】
多くの場合、式(III)もしくは式(IV)の末端基は、ヒドロキシ基に対してオルトである1個もしくは2個のヒドロキシメチル基をさらに含む。本発明の1つの実施形態において、ヒドロキシメチル基が、存在する。本発明の1つの実施形態において、ヒドロキシメチル基は、存在しない。サリキサレンおよびサリキサレート化学のより詳細な記載は、EP 1 419 226 B1において開示され、実施例1〜23(11頁42行目〜13頁47行目)において規定されるような調製の方法を包含する。
【0043】
1つの実施形態において、上記界面活性剤は、脂肪酸もしくはその誘導体(例えば、エステル)を実質的に含まないか、または含まない。1つの実施形態において、該界面活性剤は、脂肪酸もしくはその誘導体以外である。
【0044】
1つの実施形態において、上記界面活性剤は、少なくとも、ヒドロカルビル置換アリールスルホン酸、ポリオレフィンの誘導体、ポリエステルまたはサリキサレン(もしくはサリキサレート)を含む。
【0045】
異なる実施形態において、上記界面活性剤は、リン脂質(例えばレシチン)および/またはアミノ酸(例えばサルコシン)を実質的に含まないか、含まない。
【0046】
1つの実施形態において、上記界面活性剤は、1000未満の分子量を有し、別の実施形態において、950未満、例えば、250未満、300未満、500未満、600未満、700未満、もしくは800未満の分子量を有する。
【0047】
上記分散剤における界面活性剤および金属塩基の量は、表1に示すように変動し得、残りは、有機媒体および必要に応じて水である。1つの実施形態において、該分散剤中に存在する油の量は、25重量%から55重量%まで変動する。
【0048】
【表1】

(有機媒体)
上記有機媒体は、潤滑粘性の油、液体燃料、炭化水素溶媒もしくはこれらの混合物を含み得る。代表的に、該有機溶媒は、潤滑粘性の油を含む。
【0049】
必要に応じて、該有機媒体は、水(代表的に、上記分散剤の1重量%まで、2重量%まで、もしくは3重量%まで)を含む。異なる実施形態において、該有機媒体は、む図を実質的に含まないか、または含まない。
【0050】
(潤滑粘性の油)
1つの実施形態において、上記有機媒体は、潤滑粘性の油を含む。このような油としては、天然の油および合成の油、水素添加分解法、水素添加および水素化仕上げ(hydrofinishing)から誘導される油、未精製油(unfined oil)、精製油(refined oil)および再精製油(re−refined oil)、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
未精製油は、一般的に、さらなる精製処理をせずに(もしくは僅かな精製処理のみしかせずに)、天然供給源もしくは合成供給源から直接得られる油である。
【0052】
精製油は、1つ以上の特性を改善するための1回以上のさらなる精製工程においてさらに処理されていることを除いて、未精製油と類似である。精製技術は、当該分野で公知であり、溶媒抽出、二次蒸留、酸抽出もしくは塩基抽出、ろ過、パーコレーションなどが挙げられる。
【0053】
再精製油は、再生油(reclaimed oil)もしくは再処理油(reprocessed oil)としても公知であり、精製油を得るために使用されるプロセスと類似のプロセスによって得られ、そして多くの場合、さらに、使用済み付加物および油分解生成物の除去に取り組む技術によって処理される。
【0054】
天然油は、本発明の潤滑剤を作製する際に有用であり、動物油、植物油(例えば、ヒマシ油、ラード油)、潤滑性鉱油(例えば、液体石油、および溶媒処理もしくは酸処理されたパラフィン型、ナフテン型もしくはパラフィン−ナフテン混合型の潤滑性鉱油)、ならびに石炭もしくは頁岩に由来する油、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
合成潤滑油は、有用であり、これらとしては、炭化水素油(例えば、ポリマー化オレフィンもしくはインターポリマー化オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレンイソブチレンコポリマー);ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)、およびこれらの混合物;アルキル−ベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)−ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、テルフェニル、アルキル化ポリフェニル);アルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィドならびにそれらの誘導体、類似化合物および同族化合物(homolog)または混合物が挙げられる。
【0056】
他の合成潤滑油としては、リン含有酸(例えば、リン酸トリクレシル、リン酸トリオクチル、およびデカンホスホン酸のジエチルエステル)、およびポリマー化テトラヒドロフランが挙げられる。合成油は、フィッシャー−トロプシュ反応によって産生され得、そして代表的に、ヒドロ異性体化(hydroisomerised)フィッシャー−トロプシュ炭化水素もしくはヒドロ異性体化フィッシャー−トロプシュろうであり得る。
【0057】
潤滑粘性の油はまた、American Petroleum Institute(API)Base Oil Interchangeability Guidelinesにおいて特定されるように規定され得る。5塩基油は、以下である:第I群(硫黄含有量>0.03重量%、かつ/または<90重量%飽和、粘度指数80〜120);第II群(硫黄含有量<0.03重量%、かつ>90重量%飽和、粘度指数80〜120);第III群(硫黄含有量<0.03重量%、かつ>90重量%飽和、粘度指数>120);第IV群(全てのポリαオレフィン(PAO));ならびに第V群(第I群、第II群、第III群、もしくは第IV群に含まれる全ての他の油)。潤滑粘性の油は、API第I群の油、第II群の油、第III群の油、第IV群の油、第V群の油、およびこれらの混合物を含む。多くの場合、潤滑粘性の油は、API第I群の油、第II群の油、第III群の油、第IV群の油、またはこれらの混合物である。あるいは、潤滑粘性の油は、多くの場合、API第I群の油、第II群の油、第III群の油、またはこれらの混合物である。
【0058】
代替の実施形態において、上記有機媒体は、液体燃料を含む。該液体燃料は、内燃機関もしくは開炎燃焼システムに燃料を供給するために有用である。液体燃料は、通常、周囲条件で液体である。該液体燃料としては、炭化水素燃料、非炭化水素燃料、またはこれらの混合物が挙げられる。該炭化水素燃料は、石油留出物(例えば、ASTM(American Society for Testing and Materials)specification D4814によって規定されるガソリンまたはASTM specification D975によって規定されるディーゼル燃料)であり得る。1つの実施形態において、上記液体燃料は、ガソリンであり、別の実施形態において、該液体燃料は、加鉛ガソリンであるか、または非加鉛ガソリンである。別の実施形態において、該液体燃料は、ディーゼル燃料である。炭化水素燃料としては、気体から液体へのプロセスによって調製される炭化水素(例えば、フィッシャー−トロプシュプロセスのようなプロセスによって調製される炭化水素)が挙げられる。非炭化水素燃料としては、酸素含有組成物(多くの場合、酸素添加物(oxygenate)と呼ばれる)、アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸のエステル、ニトロアルカン、またはこれらの混合物が挙げられる。非炭化水素燃料としては、メタノール、エタノール、メチルt−ブチルエステル、メチルエチルケトン、植物および動物由来のエステル交換油および/またはエステル交換脂肪(例えば、菜種メチルエステルおよび大豆メチルエステル)ならびにニトロメタンが挙げられる。炭化水素燃料および非炭化水素燃料の混合物としては、ガソリンとメタノールおよび/またはエタノールとの混合物、ディーゼル燃料とエタノールとの混合物、ならびにディーゼル燃料とエステル交換植物油(例えば菜種メチルエステル)との混合物が挙げられる。1つの実施形態において、該液体燃料は、非炭化水素燃料もしくはそれらの混合物である。
【0059】
上記分散剤は、上記内燃機関を潤滑する潤滑組成物のための唯一の添加剤として使用され得る。1つの実施形態において、上記分散剤は、上記内燃機関を潤滑する潤滑組成物を提供するために、他の性能付加剤と組み合わせた1種の添加剤として使用される。1つの実施形態において、本発明は、(i)分散剤;(ii)潤滑粘性の油;および(iii)他の性能付加剤を含む潤滑組成物を提供し、該分散剤は、(a)金属塩基;(b)界面活性剤;および(c)該金属塩基が中に分散される有機媒体を含む。
【0060】
したがって、上記潤滑組成物は、上記分散剤の有機媒体として存在し得る量に加えて、上で規定されるような潤滑粘性の油を含み得る。
【0061】
(他の性能付加剤)
上記潤滑組成物は、必要に応じて、他の性能付加剤を含む。該他の性能付加剤は、金属脱活性化剤、洗剤、分散剤、粘性調節剤、摩擦調節剤、腐食阻害剤、分散剤粘性調節剤、極圧剤、抗スカフィング剤、抗酸化剤、発泡阻害剤、デマルシファイアー、流動点降下剤、シール膨張剤およびこれらの混合物の少なくとも1種を含む。代表的に、完全に配合された潤滑油は、これらの性能付加剤の1種以上を含む。
【0062】
(分散剤)
分散剤は、多くの場合、灰非含有型(ashless type)分散剤として公知である。何故なら、これらは、潤滑油組成物中に混合する前には、灰形成金属を含まないからであり、そしてこれらは、通常、潤滑剤に添加された際にいかなる灰形成金属にも寄与しない。分散剤はまた、ポリマー分散剤をも含む。灰非含有型分散剤は、比較的高分子量の炭化水素鎖に結合した極性基によって特徴付けられる。代表的な灰非含有分散剤としては、N−置換長鎖アルケニルスクシンイミドが挙げられる。N−置換長鎖アルケニルスクシンイミドとしては、350〜5000、もしくは500〜3000の範囲内の平均分子量のポリイソブチレン置換基を有するポリイソブチレンスクシンイミドが挙げられる。スクシンイミド分散剤およびその調製は、例えば、米国特許第4,234,435号において開示される。スクシンイミド分散剤は、代表的に、ポリアミンから(代表的に、ポリ(エチレンアミン)から)形成されるイミドである。
【0063】
1つの実施形態において、本発明は、50〜5000、もしくは500〜3000の範囲内の平均分子量を有するポリイソブチレンスクシンイミドから誘導される少なくとも1種の分散剤を、さらに含む。該ポリイソブチレンスクシンイミドは、単独で使用されても、他の分散剤と組み合わせて使用されてもよい。
【0064】
1つの実施形態において、本発明は、ポリイソブチレンから誘導される少なくとも1種の分散剤、アミンおよび酸化亜鉛をさらに含み、亜鉛を有するポリイソブチレンスクシンイミド複合体を形成する。該亜鉛を有するポリイソブチレンスクシンイミド複合体は、単独で使用されても、組み合わせて使用されてもよい。
【0065】
灰非含有分散剤の別のクラスは、マンニッヒ塩基である。マンニッヒ分散剤は、アルキルフェノールとアルデヒド(特にホルムアルデヒド)とアミン(特にポリアルキレンポリアミン)との反応生成物である。該アルキル基は、代表的に、少なくとも20個の炭素原子を含む。
【0066】
分散剤はまた、任意の種々の薬剤との反応による従来方法による処理後の分散剤であり得る。これらの中でとりわけ、ホウ素供給源(例えばホウ酸もしくはボラート)、尿素、チオ尿素、ジメルカプトチアジアゾール、炭素ジスルフィド、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素置換無水コハク酸、無水マレイン酸、ニトリル、エポキシドおよびリン化合物である。
【0067】
(洗剤)
上記潤滑組成物は、必要に応じて、中性洗剤もしくは過塩基性洗剤をさらに含む。好適な洗剤基質としては、スルホネート、サリキサレート、サリチレート、カルボキシレート、リン酸塩、モノチオリン酸塩および/もしくはジチオリン酸塩、フェネート(アルキルフェネートおよび硫黄結合アルキルフェネートが挙げられる)、またはサリゲニンが挙げられる。
【0068】
異なる実施形態において、上記潤滑組成物は、スルホネートおよびフェネートの少なくとも1種をさらに含む。存在する場合、上記洗剤は、代表的に、過塩基性洗剤である。上記洗剤によって運ばれるTBNの比は、1:99〜99:1、もしくは15:85〜85:15の範囲であり得る。
【0069】
(抗酸化剤)
抗酸化剤化合物は、公知であり、これらとしては、アミン抗酸化剤(例えば、アルキル化ジフェニルアミン)、ヒンダードフェノール(hindered phenol)、モリブデンジチオカルバメート、およびこれらの混合物が挙げられる。抗酸化剤化合物は、単独で使用されても組み合わせて使用されてもよい。
【0070】
ヒンダードフェノール抗酸化剤は、多くの場合、第二ブチル基および/または第三ブチル基を、立体障害基(sterically hindering group)として含む。上記フェノール基は、多くの場合、ヒドロカルビル基および/または第二芳香族基に結合する架橋基によってさらに置換される。好適なヒンダードフェノール抗酸化剤の例としては、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−メチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−エチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−プロピル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノールもしくは4−ブチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール2,6−ジ−tert−ブチルフェノールが挙げられる。1つの実施形態において、該ヒンダードフェノール抗酸化剤は、エステルであり、例えば、CibaからのIrganoxTM L−135を含み得る。好適なエステル含有ヒンダードフェノール抗酸化剤化学のより詳細な記載は、米国特許第6,559,105号において見出される。
【0071】
抗酸化剤として使用され得るモリブデンジチオカルバメートの好適な例としては、例えば、例えば、R.T.Vanderbilt Co.,Ltd.からのVanlube 822TMおよびMolyvanTM A、ならびにAsahi Denka Kogyo K.KからのAdeka Sakura−LubeTM S−100、S−165およびS−600の商品名で市販されている材料、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0072】
(粘性調節剤)
粘性調節剤としては、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンコポリマー、水素添加スチレン−イソプレンポリマー、水素添加ラジカルイソプレンポリマー、ポリ(メタ)アクリレート酸エステル、ポリアルキルスチレン、ポリオレフィン、ポリアルキルメタクリレートおよび無水マレイン酸−スチレンコポリマーのエステル、またはこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態において、該粘性調節剤(もしくはポリマー増粘剤)は、ポリ(メタ)アクリレートである。
【0073】
(抗磨耗剤)
上記潤滑組成物は、必要に応じて、少なくとも1種の抗磨耗剤をさらに含む。好適な抗磨耗剤の例としては、硫化オレフィン、硫黄含有灰非含有抗磨耗付加剤、金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート(例えば、亜鉛ジアルキルジチオホスフェート)、チオカルバメート含有化合物(例えば、チオカルバメートエステル、チオカルバメートアミド、チオカルバミン酸エステル、アルキレン結合チオカルバメート、およびビス(S−アルキルジチオカルバミル)ジスルフィドが挙げられる。
【0074】
上記ジチオカルバメート含有化合物は、ジチオカルバミン酸もしくはジチオカルバミン酸塩を不飽和化合物と反応させることによって調製され得る。該ジチオカルバメート含有化合物はまた、アミン、炭素ジスルフィドおよび不飽和化合物を同時に反応させることによっても調製され得る。一般に、該反応は、25℃〜125℃の温度で起こる。米国特許第4,758,362号および同第4,997,969号は、ジチオカルバメート化合物およびこれらを作製する方法を記載する。
【0075】
硫化されて硫化オレフィンを形成し得る好適なオレフィンの例としては、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクタン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ウンデシル、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、オクタデセネン、ノノデセン、エイコセンもしくはこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態において、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、オクタデセネン、ノノデセン、エイコセンもしくはこれらの混合物およびその二量体、三量体および四量体は、特に有用なオレフィンである。あるいは、該オレフィンは、ジエン(例えば、1,3−ブタジエン)と不飽和エステル(例えば、ブチル(メタ)アクリレート)とのディールス−アルダー付加物であり得る。
【0076】
硫化オレフィンの別のクラスとしては、脂肪酸およびそのエステルが挙げられる。上記脂肪酸は、多くの場合、植物油もしくは動物油から得られ、そして代表的には、4〜22個の炭素原子を含む。好適な脂肪酸およびそのエステルの例としては、トリグリセリド、オレイン酸、リノレイン酸、パルミトイル酸もしくはこれらの混合物が挙げられる。多くの場合、該脂肪酸は、ラード油、トール油、落花生油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油もしくはこれらの混合物から得られる。1つの実施形態において、脂肪酸および/またはエステルが、オレフィンと混合される。
【0077】
代替の実施形態において、灰非含有抗磨耗剤は、ポリオールと脂肪族カルボン酸(多くの場合、12〜24個の炭素原子を含む酸)とのモノエステルであり得る。多くの場合、ポリオールと脂肪族カルボン酸とのモノエステルは、ヒマワリ油など(該摩擦調節剤混合物中に該混合物の5〜95重量%で、いくつかの実施形態において10〜90重量%で、もしくは20〜85重量%で、もしくは20〜80重量%で存在し得る)との混合物の形態である。エステルを形成する該脂肪族カルボン酸(特に、モノカルボン酸)は、代表的に、12〜24個もしくは14〜20個の炭素原子を含む酸である。カルボン酸の例としては、ドデカン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ベヘン酸、およびオレイン酸が挙げられる。
【0078】
ポリオールとしては、ジオール、トリオールおよびより多数のアルコールOH基を有するアルコールが挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールが挙げられる);プロピレングリコール(ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびテトラプロピレングリコールが挙げられる);グリセロール;ブタンジオール;ヘキセンジオール;ソルビトール;アラビトール;マンニトール;スクロース;フルクトース;グルコース;シクロヘキセンジオール;エリトリトール;およびペンタエリトリトール(ジペンタエリトリトールおよびトリペンタエリトリトールが挙げられる)が挙げられる。多くの場合、上記ポリオールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリトリトールもしくはジペンタエリトリトールである。
【0079】
「グリセロールモノオレート」として公知である市販のモノエステルは、60±5重量%のグリセロールモノオレート化学種を、35±5重量%のグリセロールジオレート、ならびに5重量%未満のトリオレートおよびオレイン酸と共に含むと考えられる。
【0080】
(抗スカフィング剤)
上記潤滑組成物はまた、抗スカフィング剤を含み得る。抗スカフィング剤化合物は、接着性磨耗(adhesive wear)を低下させると考えられ、そして多くの場合硫黄含有化合物であると考えられる。代表的に、硫黄含有化合物としては、有機スルフィドおよびポリスルフィド(例えば、ジベンジルジスルフィド、ビス−(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、ジ−第三ブチルポリスルフィド、オレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジペンテン、硫化テルペン、硫化ディールス−アルダー付加物、アルキルスルフェニルN’N−ジアルキルジチオカルバメート、ポリアミンとポリ塩基性酸エステルとの反応性生物、2,3−ジブロモプロポキシイソ酪酸のクロロブチルエステル、ジアルキルジチオカルバミン酸のアセトキシメチルエステルおよびキサントゲン酸のアシロキシアルキルエステルならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0081】
(極圧剤)
油中で可溶性である極圧(Extreme Pressure)(EP)剤としては、硫黄含有EP剤およびクロロ硫黄含有EP剤、塩素化炭化水素EP剤ならびにリンEP剤が挙げられる。このようなEP剤の例としては、塩素化ろう;有機スルフィドおよびポリスルフィド(例えばジベンジルジスルフィド、ビス−(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、オレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジペンテン、硫化テルペン、および硫化ディールス−アルダー付加物);ホスホ硫化炭化水素(例えば、リンスルフィドとテレビンもしくはメチルオレートとの反応生成物);リンエステル(例えば、亜リン酸ジヒドロ炭素および亜リン酸トリヒドロ炭素(例えば、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジヘプチル、亜リン酸ジシクロヘキシル、亜リン酸ペンチルフェニル;亜リン酸ジペンチルフェニル、亜リン酸トリデシル、亜リン酸ジステアリル、およびポリプロピレン置換亜リン酸フェノール));金属チオカルバメート(例えば、亜鉛ジオクチルジチオカルバメートおよびバリウムヘプチルフェノール二酸);ホスホロジチオン酸の亜鉛塩;アルキルリン酸のアミン塩およびジアルキルリン酸のアミン塩(例えば、ジアルキルジチオリン酸と酸化プロピレンとの反応生成物);ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0082】
他の性能付加剤(例えば、腐食阻害剤としては、オクチルアミンオクタノエート、ドデセニルコハク酸もしくは無水物および脂肪酸(例えばオレイン酸)とポリアミンとの縮合生成物;金属脱活性化剤としては、ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンズイミダゾール、2−アルキルジチオベンズイミダゾールもしくは2−アルキルジチオベンゾチアゾールの誘導体が挙げられる;発泡阻害剤としては、エチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートならびに必要に応じて酢酸ビニルのコポリマーが挙げられる;デマルシファイアーとしては、トリアルキルホスフェート、ポリエチレングリコール、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレンおよび(酸化エチレン−酸化プロピレン)ポリマーが挙げられる;流動点降下剤としては、無水マレイン酸−スチレンのエステル、ポリメタクリレート、ポリアクリレートもしくはポリアクリルアミドが挙げられる;ならびに摩擦調節剤としては、脂肪酸誘導体(例えば、アミン、エステル、エポキシド、脂肪イミダゾリン、カルボン酸とポリアルキレン−ポリアミンとの縮合生成物、およびアルキルリン酸のアミン塩)が挙げられる)もまた、上記潤滑組成物中で使用され得る。
【0083】
(産業用途)
上記分散剤は、内燃機関(例えば、ディーゼル燃料機関、ガソリン燃料機関、天然ガス燃料機関、またはガソリン/アルコール混合燃料機関)のために有用である。1つの実施形態において、上記内燃機関は、ディーゼル燃料機関であり、そして別の実施形態において、ガソリン燃料機関である。
【0084】
上記内燃機関は、2サイクル機関もしくは4サイクル機関であり得る。好適な内燃機関としては、海洋ディーゼル機関、航空ピストン機関、低荷重ディーゼル機関、自動車機関およびトラック機関が挙げられる。
【0085】
いくつかの実施形態において、好適な潤滑組成物は、表2に示される範囲内の活性ベースに基づいて存在する添加剤を含む。
【0086】
【表2】

1つの実施形態において、本発明は、内燃機関を潤滑する方法を提供し、この方法は、該内燃機関に、本明細書中に記載される分散剤を含む潤滑剤を供給する工程を包含する。内燃機関における上記分散剤の使用は、1種以上の特性を付与し得る(例えば、TBNを提供し、そして酸中性化を提供する。
【0087】
以下の実施例は、本発明の説明を提供する。これらの例は、他を排するものではなく、そして本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0088】
(分散剤の調製実施例)
金属塩基、有機媒体および界面活性剤を含む一連の分散剤が、40重量%〜50重量%の該金属塩基、6重量%〜15重量%の界面活性剤を含むスラリーから調製され、そして炭化水素流体(代表的には、中性100鉱油)のままである。2kg〜5トンのスラリーを、操作の規模のために適切な好適な大きさのミリングチャンバを有する水平ビーズミル中でミリングする。該チャンバを満たす(代表的に65容量%の)ビーズサイズは、代表的に、直径0.7mm〜0.1mm(例えば、0.3mm+/−0.05mmビーズ)の範囲内である。好適な量のミリング(代表的に、4分間〜20分間の滞留時間)(すなわち、ミル中での該分散剤の実時間)の後、Coulter(登録商標)LS230 Particle Size Analyserによって決定されるように、所望の粒子サイズ(すなわち、≦1μm)が達成される。上記分散剤は、注ぐことが容易であり、かつ−20℃と+60℃との間で数週間安定であり、層に分かれる傾向もゲルを形成する傾向も見せない。調製した調製実施例は、表4に示される。
【0089】
調製実施例15は、調製実施例14の分散剤を用い、そして0.05mmビーズを用いて30〜60分間の滞留時間で処理を続けることによって調製される。調製実施例15は、25%の<100nmの粒子を有する。
【0090】
【表4】

表4に対する脚注
Prep Exは、調製実施例である;
Res.Timeは、ミル中で調製された分散剤の滞留時間である;
Disp.TBNは、該分散剤のTBN(mg KOH/g)である;
Meanは、平均粒子サイズである;
界面活性剤Aは、アルキルベンゼンスルホン酸である;
界面活性剤Bおよび界面活性剤Cは、それぞれトリエチレンテトラアミンおよびポリエチレンアミンから調製されたポリイソブチレンスクシンイミドである;
界面活性剤Dは、2−(ジメチルアミノ)エタノールと反応させたポリイソブチレン無水マレイン酸から調製されたエステルである;
界面活性剤Eおよび界面活性剤Fは、それぞれEP1 419 226からの実施例7および実施例5である;
界面活性剤Gは、フェネートである;そして
界面活性剤Hおよび界面活性剤Jは、それぞれ、ポリエステルA(US 3,778,287、第3欄、55〜65行目に開示される)およびポリエステルB(US 3,778,287、第3欄69行目〜第4欄7行目に開示される)である。
【0091】
(機関油潤滑剤1〜120)
一連のSAE 30(機関油例1〜60)およびSAE 15W−40(機関油例61〜120)の機関油潤滑剤が、調製実施例1〜15の生成物の各々に混ぜることによって調製される。機関潤滑剤は、従来量の亜鉛ジアルキルジチオホスフェート、スクシンイミド分散剤および必要に応じて一定量のスルホネート洗剤を、表示のようにさらに含む。機関潤滑剤は、11.4mg KOH/gのTBNを有するように配合される。代表的に、約200nm未満もしくは約300nm未満の粒子サイズを有する分散剤で調製された機関潤滑剤は、半不透明〜半透明である。該機関油は、表5に示される。
【0092】
【表5】

比較機関油潤滑剤は、従来量のスルホネート洗剤およびフェネート洗剤を本発明の分散剤の代わりに含んで調製される。比較機関油のTBNは、11.4になるように配合される。
【0093】
次いで、機関潤滑剤は、Panel Coker試験(310℃で4時間保持する間の交互周期でのはねかけ(splashed)および加熱処理(cooked)のパネルを用いた)を用いて酸化安定性について評価される。このパネルは取り除かれ、そして視覚的に評価されて、1〜10の欠点スケールに等級付けられる。平均欠点ランク付けは、試験した例に基づく1つの有意数に対する1平均ランク付けに基づく。代表的に、よりよい結果は、低い欠点ランク付けを有するサンプルについて得られる。得られた結果は、以下である:
【0094】
【表6】

(海洋潤滑剤1〜120)
海洋ディーゼル筒型ピストン機関潤滑剤は、40のTBNおよび60のTBNを有するように、各々調製実施例1〜15を用いて調製される。該海洋潤滑剤は、従来の海洋潤滑剤と比較して、より少ない量の過塩基性カルシウムスルホネート洗剤および過塩基性カルシウムフェネート洗剤を含む。
【0095】
海洋潤滑剤配合物の一例は、(i)5重量%の水酸化カルシウム分散剤(調製実施例2〜10もしくは13より)、(ii)約1重量%のスクシンイミド分散剤、および(iii)カルシウムフェネートおよびカルシウムスルホネートの洗剤パッケージ(合わせて3.5重量%)、ならびに計100重量%になるように残りの基油を含む。該海洋潤滑剤は、周囲温度および60℃で、12週間にわたって保存安定性を試験される。海洋潤滑剤の全ては、3ヵ月後に安定である。
【0096】
本明細書中で使用される場合、用語「ヒドロカルビル置換基」もしくは「ヒドロカルビル基」は、その通常の意味で使用され、この意味は、当業者に周知である。具体的には、この用語は、分子の残りの部分に直接結合した炭素原子を有する基であって、優勢に炭化水素特性を有する基をいう。ヒドロカルビル基の例は、以下である:
(i)炭化水素置換基、すなわち脂肪族置換基(例えば、アルキルもしくはアルケニル)、脂環式置換基(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)、ならびに芳香族置換芳香族置換基、脂肪族置換芳香族置換基および脂環式置換芳香族置換基、ならびに、環が分子の別の部分を介して完了する(例えば、2つの置換基が一緒になって環を形成する)環式置換基;
(ii)置換炭化水素置換基、すなわち、非炭化水素基を含む置換基であって、この非炭化水素基は、本発明の文脈において、この置換基の優勢な炭化水素特性を変更しない(例えば、ハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ);
(iii)ヘテロ置換基、すなわち、本発明の文脈において優勢な炭化水素特性を有する置換基であるが、環もしくは鎖中に炭素以外を含む(この環もしくは鎖はそれ以外は炭素原子で構成される)。ヘテロ原子としては、硫黄、酸素、窒素が挙げられ、そしてピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基を包含する。一般に、該ヒドロカルビル基中に、炭素原子10個につき2つを超えない、好ましくは1つを超えない、非炭化水素置換基が、存在する;代表的に、該ヒドロカルビル基中には、非炭化水素置換基は存在しない。
【0097】
上で記載された材料のうちのいくつかは、最終配合物中で相互作用し得、その結果、最終配合物の成分は、最初に加えた成分とは異なり得ることが、公知である。したがって、形成された生成物(本発明の潤滑組成物をその意図する用途で使用して形成された生成物を含む)を容易に説明することは困難であり得る。しかし、全てのそのような改変および反応性生物は、本発明の範囲内に含まれる。本発明は、上で説明した成分を混合することによって調製される潤滑組成物を包含する。
【0098】
上で参照した各文献は、本明細書中で参考として援用される。実施例におけるものを除き、または特にそうでないことが記載されていない限り、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを特定する本明細書中の全ての数量は、語「約」によって修飾されると理解されるべきである。そうでないことが示されない限り、本明細書中で言及される各化学物質もしくは組成物は、市販等級の材料(異性体、副生成物、誘導体および市販等級で存在することが通常理解されるそのような他の材料を含み得る)として解釈されるべきである。しかし、各化学物質成分の量は、特にそうでないことが記載されない限り、いかなる溶媒もしくは希釈油(一般的に市販材料中に存在し得る)をも排除して提示される。本明細書中で示される量、範囲および比の上限および下限は、独立して合わせされ得るこよが理解されるべきである。同様に、本発明の各要素についての範囲および量は、他の要素のいずれかについての範囲もしくは量と一緒に使用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を潤滑する方法であって、該方法は、該機関に分散剤を供給する工程を包含し、該分散剤は、(a)金属塩基;(b)界面活性剤;および(c)該金属塩基が物理的プロセスによって中に均一に分散される有機媒体を含み、ここで、該金属塩基は、少なくとも10nm〜1μm未満の平均粒子サイズを有し、そして該分散剤は、15重量%を超える固体含有率を有する、方法。
【請求項2】
前記分散剤が、200〜1750の範囲の総塩基数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分散剤が、半不透明〜半透明もしくは透明である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記分散剤を調製するための前記物理的プロセスは、垂直ビーズミル中もしくは水平ビーズミル中でのミリングを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属塩基は、前記分散剤の25重量%〜80重量%、または35重量%〜70重量%で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属塩基の金属は、一価金属もしくは二価金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属は、リチウム、カリウム、ナトリウム、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウムもしくはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記金属は、カルシウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記金属塩基は、30nm〜0.7μmの相加平均粒子サイズを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記金属塩基の塩基は、少なくとも1つの酸化物、水酸化物もしくはカーボネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記金属塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、無水水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、酢酸銅、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化リチウム、酸化セリウム、酸化鉄もしくはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記界面活性剤は、1〜40の範囲の親水性平衡(HLB)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記界面活性剤は、ヒドロカルビル置換アリールスルホン酸、ポリオレフィン置換アシル化剤、またはサリキサレンの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記有機媒体は、潤滑粘性の油を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記分散剤は、(a)40〜65重量%の金属塩基;(b)5〜25重量%の界面活性剤;および(c)該金属塩基が物理的プロセスによって中に均一に分散される有機媒体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
(i)分散剤;(ii)潤滑粘性の油;および(iii)他の性能付加剤を含む潤滑組成物であって、該分散剤は、(a)金属塩基;(b)界面活性剤;および(c)該金属塩基が物理的プロセスによって中に均一に分散される有機媒体を含み、ここで、該金属塩基は、少なくとも10nm〜1μm未満の相加平均粒子サイズを有し;そして該分散剤は、15重量%を超える固体含有量を有する、潤滑組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の潤滑組成物であって、前記他の性能付加剤は、金属脱活性化剤、洗剤、分散剤、粘性調節剤、摩擦調節剤、腐食阻害剤、分散剤粘性調節剤、極圧剤、抗スカフィング剤、抗酸化剤、発泡阻害剤、デマルシファイアー、流動点降下剤、シール膨張剤およびこれらの混合物の少なくとも1種を含む、潤滑組成物。
【請求項18】
(i)前記分散剤は、該潤滑組成物の0.5〜10重量%で存在し、(ii)前記潤滑粘性の油は、該潤滑組成物の70〜99.4重量%で存在し;そして(iii)前記他の性能付加剤は、該潤滑組成物の0.01〜25重量%で存在する、請求項16に記載の潤滑組成物。

【公表番号】特表2009−509027(P2009−509027A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532302(P2008−532302)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/036273
【国際公開番号】WO2007/035626
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】