説明

内燃機関用ピストンリング

摺動面(2)、上側面(3)および下側面ならびに内側環状面(4)を備えると共に、これらの面(2〜4)の少なくとも1つに、マトリクス型構造になる少なくとも1つのマーキング(6)を施した内燃機関用ピストンリングにおいて、
前記マーキング(6)を含み、前記マトリクス(6)の背景面をなす面領域(7)を、前記ピストンリング(1)の、少なくとも前記マトリクス(6)の外側で直接隣接する面領域よりも強い光沢を持たせてなることを特徴とする、内燃機関用ピストンリング。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に従う内燃機関用ピストンリングに関する。
【背景技術】
【0002】
摺動面、上側面および下側面ならびに内側環状面を備えると共に、これらの面の少なくとも1つに、マトリクス型構造になるマーキングを施した内燃機関用ピストンリングを特許文献1に見出すことができる。
【0003】
特許文献2には、構成部品を識別するための刻印を備える構成部品、より好ましくは内燃機関用ピストンリングが開示されている。刻印は、構成部品における、負荷が小さく、従って摩耗の少ない表面部分に付与される。刻印には、文字のみならず、必要に応じ暗号化した形態で与えられるバーコードも含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国実用新案第202007002756(U1)号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202005010612(U1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在までにピストンリングに付与されているマーキング、特にデータマトリクスコード(DMC)は、機械加工がなされていない表面領域に直接付与するものであるため、マーキング、特にデータマトリクスコードの読み出しがしばしば困難となる。
【0006】
本発明は、ピストンリングにおけるマーキング、特にデータマトリクスコードの視認性の向上をもたらすという目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的は、マーキングを含み、マトリクスの背景面をなす面領域を、ピストンリングの、少なくともマトリクスの外側で直接隣接する面領域よりも強い光沢を持たせてなることで達成される。
【0008】
先行技術に対し本発明では、残りの面領域と比較して光沢を強めた領域を、マトリクスを施すピストンリングの各表面を平滑化することによって形成することができるため、この光沢を強めた領域にマーキング、特にデータマトリクスコードを付与することにより、マトリクスの読み出し精度を向上せしめることができる。
【0009】
本発明のさらなる技術思想によれば、背景面をレーザーを用いて作り出す、すなわち実際のコードを同様にレーザーを用いて付与する前に作り出す。例えば、この背景面は、平行な直線によって付与することができる。背景パターンに矩形の断面形状を与える場合、例えば直線を斜めに付与することができる。しかしながら、様々な種類の表面構造(水平または垂直の平行な直線、交差構造など)が同様に考えられる。
【0010】
本発明の要旨を、例示的な実施形態を用いて図面に示すと共に、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に従うピストンリングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、摺動面2、本図面に表れた上側面3、および内側環状面4を有するピストンリング1を示す。さらに、ピストンリング1のジョイント5が本図面に表れている。上側面3に、概略的にのみ表示するマーキング6、本例ではジョイント5の領域における上側面3に付与するマーキング6を配置する。マーキング6を、機械的に読出し可能なデータマトリクスコードとして設ける。マーキング6を含む面領域7に、マーキング6の付与に先立ってレーザー処理を施すことにより、ピストンリング1の隣接面領域と比較してより強い光沢を持たせた背景面を形成する。その後にマーキング6を付与すればこれを視覚的により検出しやすく、より容易に読み出し可能とすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺動面(2)、上側面(3)および下側面ならびに内側環状面(4)を備えると共に、これらの面(2〜4)の少なくとも1つに、マトリクス型構造になる少なくとも1つのマーキング(6)を施した内燃機関用ピストンリングにおいて、
前記マーキング(6)を含み、前記マトリクス(6)の背景面をなす面領域(7)を、前記ピストンリング(1)の、少なくとも前記マトリクス(6)の外側で直接隣接する面領域よりも強い光沢を持たせてなることを特徴とする、内燃機関用ピストンリング。
【請求項2】
請求項1に記載のピストンリングにおいて、前記背景面(7)を平滑化により形成することを特徴とするピストンリング。
【請求項3】
請求項1または2に記載のピストンリングにおいて、前記背景面(7)をレーザー平滑化により形成することを特徴とするピストンリング。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のピストンリングにおいて、前記背景面(7)を互いに平行に延びる直線により成形することを特徴とするピストンリング。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のピストンリングにおいて、前記直線が、略矩形構造になる背景面(7)に対し斜めに延びることを特徴とするピストンリング。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のピストンリングにおいて、データマトリクスコードとして設けた前記マーキングを、レーザーを用いて前記背景面(7)に付与することを特徴とするピストンリング。

【図1】
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【公表番号】特表2012−508852(P2012−508852A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535867(P2011−535867)
【出願日】平成21年10月12日(2009.10.12)
【国際出願番号】PCT/DE2009/001419
【国際公開番号】WO2010/054612
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(509340078)フェデラル−モーグル ブルシェイド ゲーエムベーハー (16)
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL BURSCHEID GMBH
【Fターム(参考)】