説明

内袋およびそれを用いた二重エアゾール製品

【課題】原液の充填量を多くしなくても最初の吐出のときに原液が飛散しない内袋および二重エアゾール製品を提供する。
【解決手段】上端近辺にバルブ嵌合部15を有し、下方に原液を充填する胴部12を備え、嵌合部と胴部の間に首部14を備えた二重エアゾール製品の内袋10であって、前記首部にバルブのマウンティングカップを載置して押し下げたとき、前記首部の容積が減少する二重エアゾール製品の内袋10。前記首部14が、胴部上端から上に向かって次第に縮径する縮径部20と、その縮径部の上端から外向きに拡がり、バルブの底面の外周と当接する受け座21とを備えている。この内袋10を容器本体に収容し、内袋に原液を充填し、内袋10と容器本体の間に噴射剤をアンダーカップ充填し、内袋10と容器本体の上端開口をバルブで塞いだ二重エアゾール製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二重エアゾール製品に用いる内袋およびその内袋を用いた二重エアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、有底筒状の容器本体内に合成樹脂製の内袋を収容した二重エアゾール製品を開示している(特許文献1参照)。特許文献1の図12には、スパウトを備えた2重エアゾール製品が開示されている。そして図13には、容器本体にバルブを保持させるため、上端よりいくらか下側に内向きに突出する環状突起を備えた容器本体と、その環状突起と係合する段部を備えたマウンティングカップとが記載されている。さらに内袋は容器本体の環状突起とマウンティングカップの段部の間に挟着される段部を備え、その段部より下方は略円筒状の首部である。
【0003】
また、特許文献1の図1には、円錐状の肩部を有し、肩部の上端にビード部を備えた容器本体と、上端に前記ビード部と係合するフランジを備えた内袋が記載されている。この内袋は、首部の径を容器本体の開口部の径に合せており、胴部の径も容器本体の径よりいくらか小さくなるように定めている。そして首部と胴部の間には、容器本体の肩部とほぼ同じ傾きのテーパ状の肩部を設けている。
【0004】
特許文献2には、胴部と首部の間に蛇腹を備えた内袋が開示されている。この内袋は、容器本体に収容して2液混合型の染毛剤のフォームを噴出する2連型エアゾール製品に用いる。特許文献3には、バルブを容器本体にクリンチするときに、バルブのマウンティングカップの底部で内袋の肩部(受け座)を押し下げることが開示されている。ただし特許文献1〜3のいずれの場合も、首部はほぼ円筒状であり、押し下げによって径方向に収縮することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4194752号公報
【特許文献2】特許第4354713号公報
【特許文献3】特表2009−530208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
二重エアゾール製品を製造するとき、内袋に原液を充填する工程では、内袋の上端にバルブを挿入するための空間を残す。その後、バルブを内袋の上端内に嵌合させるときに空間の大部分が埋められるが、それでもいくらか空間が残る。そして粘度が高い原液を用いる場合は内袋と原液の間に空間が残りやすく、前記空間の空気が噴射剤の圧力により圧縮されて原液中に気泡として混入し、使用者が最初にバルブを開いて吐出させたときに気泡に蓄積されたエネルギによって原液が勢いよく吹き出て周囲に飛散し、汚すことがある。
【0007】
この問題を防ぐため、内袋に充填する原液の液面をできるだけ高くし、残す空間をできるだけ小さくすることが考えられる。しかしバルブを内袋に嵌合させるときに原液が飛び出すおそれがあり、しかも充填量が増大するので不経済である。本発明は原液の充填量を多くしなくても原液の飛散を防ぐことができる内袋およびエアゾール製品を提供することを技術課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の二重エアゾール製品の内袋は、上端近辺にバルブのマウンティングカップの外周面と嵌合する嵌合部を有し、下方に原液を充填する胴部を備え、前記嵌合部と胴部の間にそれらを連通する首部を備えた二重エアゾール製品の内袋であって、前記首部にバルブのマウンティングカップを載置して押し下げたとき、前記首部の容積が減少することを特徴としている(請求項1)。
【0009】
このような内袋においては、前記首部が、胴部上端から上に向かって次第に縮径する縮径部と、その縮径部の上端から外向きに拡がり、バルブのマウンティングカップの底面の外周と当接する受け座とを備えているものが好ましい(請求項2)。また、前記胴部の上端と縮径部の下端の間に上下方向に伸縮する蛇腹が介在しているものが好ましく(請求項3)、前記嵌合部の上端が真っ直ぐ上に延びているものでもよく(請求項4)、前記嵌合部の上端から外向きにフランジが延びているものであってもよい(請求項5)。さらに前記嵌合部が胴部より小径であり、前記縮径部が肩部を兼ねているものであってもよい(請求項6)。
【0010】
本発明の二重エアゾール製品は、上端に開口部を備えた有底筒状の容器本体と、その容器本体に収容される前記いずれかの内袋と、その内袋に充填される原液と、前記容器と内袋の間に充填される噴射剤と、前記内袋の上端開口および容器の上端開口を塞ぐバルブとを備えていることを特徴としている(請求項7)。
【発明の効果】
【0011】
本発明の内袋(請求項1)は、原液を充填した後、首部にバルブのマウンティングカップを載置して押し下げると首部の容積が減少する。そして原液を首部まで充填した状態で液面とマウンティングカップの間の空間が残っていても、バルブを押し下げるときに空間内の空気が外部に排出されるため、使用時に原液の飛び散りを防止できる。
【0012】
このような内袋において、首部が上に向かって縮径する縮径部を備えている場合(請求項2)は、原液を首部まで充填し、バルブを嵌合させたときに残る空間が小さい。さらにマウンティングカップの外周面を内袋の嵌合部に嵌合するためにバルブを下方に押し下げると、マウンティングカップの底面の外周が内袋の受け座と係合し、内袋の縮径部が絞られるように変形して首部の容積が減少し、原液中に混在した空気などのガスを上方に移動させて内袋の外部に排出することができる。なお、マウンティングカップと内袋の嵌合部間の密着性が高く、その隙間からガスが逃げることが期待できない場合は、ステムを押し下げながらマウンティングカップの外周面を内袋に嵌合させればステムを通じてガスを逃がすことができる。そのため、充填する原液の量を多くしなくても、たとえば嵌合部付近まで充填しなくても、使用初期に原液を飛散させずにスムーズに吐出することができる。
【0013】
また、前記胴部の上端と縮径部の下端の間に上下方向に伸縮する蛇腹が介在しているもの(請求項3)は、クリンチのため、バルブを押し下げるときに内袋の容積を圧縮するので、一層気泡を逃がしやすい。また、前記嵌合部の上端が真っ直ぐ上に延びているもの(請求項4)は、ビードを有しない容器本体に好適に用いることができる。また、前記嵌合部の上端から外向きにフランジが延びているもの(請求項5)は、開口部の周囲にビード部を備えた容器本体に好適に用いることができる。さらに前記嵌合部が胴部より小径で縮径部が肩部を兼ねているもの(請求項6)は、バルブをクリンチするとき、内袋の容積を一層圧縮する。
【0014】
本発明の二重エアゾール製品は、前述の内袋を備えているので、原液の量を多くしなくても初期の使用時に内容物を飛散させない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1aは本発明の内袋の一実施形態を示す一部切り欠き正面図、図1bはその内袋の要部拡大断面図である。
【図2】図1の内袋を備えたエアゾール製品のバルブを嵌合させる前の状態を示す断面図である。
【図3】図1の内袋にバルブを嵌合させた状態を示す要部拡大断面図である。
【図4】図1の内袋にバルブを嵌合させ、内袋内に残った空気を外部に排出していく手順を示す要部拡大断面図である。
【図5】図1の内袋を備えたエアゾール製品の実施形態を示す断面図である。
【図6】図6aは本発明の内袋のさらに他の実施形態を容器本体と共に示す要部断面図、図6bはその内袋をバルブと共に容器本体にクリンプした状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1aに示す内袋10は、底部11とその周囲から立ち上がる円筒状の胴部12と、その胴部の上端から連続する蛇腹13と、その蛇腹の上端から上に延びる首部14と、その首部の上端からさらに上に延びる円筒状のバルブ嵌合部15とを備えている。底部11の下面にはピンチオフ部16が形成されている。胴部12には表面側がへこみ、内面側が突出する縦方向の溝17が複数本形成されている。
【0017】
図1bに示すように、蛇腹13は胴部12の上端から内側に傾斜して延びる円錐台状の第1内斜面18aと、その上端から外側に傾斜して延びる逆円錐台状の第1外斜面19aと、その上端から内側に傾斜して延びる第2内斜面18bと、その上端から外側に傾斜して延びる第2外斜面19bとからなる。従来の内袋では、首部は、この第2外斜面19bの外縁から真っ直ぐに上側に延びる円筒状に形成されているが、この内袋10では、首部は上に向かって次第に縮径する縮径部20と、その縮径部の上端から外向きに延びる受け座21とから構成されている。
【0018】
受け座21はバルブのマウンティングカップの下端外周コーナの形状に合わせて縦断面で略円弧状とされている。そして受け座21の上端には、上側に向かって次第に拡がる拡径部22が連続しており、その上端にマウンティングカップの外周面と密接する前述のバルブ嵌合部15が連続している。バルブ嵌合部15の上端は平坦である。さらにこの内袋10は、首部14の下端近辺、すなわち縮径部20の下端近辺の外周縁に沿って環状に(平面視で放射状に)、好ましくは等間隔で配列される複数個(たとえば3〜8個、とくに4個)のリブ23が設けられている。リブ23は縦方向に延びる薄い板状(図1aの中央のリブ23参照)で、側面視では略矩形状である(図1b参照)。これらのリブ23は内袋10のブロー成形のときに同時に成形することができる。
【0019】
この実施形態では、蛇腹13のそれぞれの傾斜面18a、19a、18b、19bの傾斜角度は約45度程度である。ただし水平面(縦軸に対して直角の面)に対し、30〜60度程度とすることができる。蛇腹13の最も外側の部位の外径は、容器本体(図2の符号25参照)の内径に合せており、通常は胴部12の外径よりいくらか小さい。また、バルブ嵌合部15の外径も胴部12の内径より小さい。ただし前述のリブ23の外側の端縁は、内袋10を容器本体25に収容したときに容器本体25の内面と当接する程度としている。
【0020】
縮径部20の傾斜角度は、水平面に対して通常は、35〜80度程度、好ましくは40〜70度程度である。すなわち縮径部20は蛇腹13の斜面より立ち上がっている。そして縮径部20の最も小径の上端近辺の内径は、蛇腹13の内径とほぼ等しい。
【0021】
このような内袋20は、従来の内袋と同様の熱可塑性樹脂からブロー成形によって有底筒状の袋体に製造される。ただし他の製造法で製造することもできる。使用される合成樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン(NY)などである。これらは単層あるいは2種以上の積層体として使用される。充填する原液によっても異なるが、耐薬品性に優れたポリエチレンなどの耐薬品層とガスバリア性に優れたエチレンビニルアルコール共重合体やナイロンなどのガスバリア層を設けるのが好ましい。内袋10の厚さは従来の内袋と同じ程度でよく、0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.8mm程度である。
【0022】
上記のように構成される内袋10は、図2に示すように容器本体25に収容される。そのとき、リブ23が容器本体25の内面と当接するので内袋10が安定する。そして内袋10の内部に原液が首部14の縮径部20まで充填される(図4参照)。なお、内袋10を容器本体25に収容したとき、さらに内袋10の上端のバルブ嵌合部15にバルブ26が載置され、押し下げられる(図3および図4参照)。その後、従来公知のアンダーカップ充填の方法により、内袋10と容器本体25の間の空間Sにプロペラントが充填され、最後にバルブ26が容器本体25に対して固着される(図5参照)。
【0023】
容器本体25としては、金属製の有底筒状のものが用いられる。たとえば、アルミニウムの絞りしごき缶(DI缶)や、インパクト成形缶、ブリキ缶などが用いられる。容器本体25は底部27と、その底部の周囲から立ち上がる円筒状の胴部28と、胴部上端から縮径しながら上に延びる肩部29と、肩部上端からさらに上に延びる略円筒状の首部30とからなる。首部30の途中には、バルブ26を係止するための内向きに突出する環状突起31が設けられている。
【0024】
首部30の上端はガスケットと当接するため、平坦にしている。この実施形態では、容器本体25の高さは、内袋10を収容したときに内袋10の上端近辺(たとえば嵌合部15から拡径部22、さらには受け座21まで)が容器本体25の上端からいくらか突出する程度である。内袋10を容器本体25に収容すると、内袋10は薄いピンチオフ部16で立つことになるので不安定であり、そのため内袋10の首部の下端を容器本体25の環状突起31に当接させて支えるようにするのが好ましい。たとえば、図1bに示すように、首部14の縮径部20の下端外周に複数個のリブ23を設け、それらのリブ23を容器本体25の環状突起31の内面と当接させることにより、噴射剤を充填するための隙間を確保しつつ、内袋の位置を安定させることができる。それにより噴射剤を充填しやすくなり、液面の高さが安定するため、空気を排出する効果が高くなる。
【0025】
バルブ26は、筒状のハウジング32と、下部がハウジング内に上下動自在に収容されるステム33と、そのステムを常時上向きに付勢するバネと、ハウジング32を保持すると共に、容器本体25および内袋10の蓋としても機能するマウンティングカップ34と、マウンティングカップの上面に設けられるカバー35と、マウンティングカップ34の外周に設けられる環状のガスケット36とからなる。図3に示すように、マウンティングカップ34は逆カップ状のハウジング保持部37と、そのハウジング保持部との間に環状の深溝38を介して設けられる外周部39と、その外周部の上端のフランジ40とからなる。深溝38はハウジングを嵌合させるときの弾性を得るために、さらには外周部39に撓みを持たせバルブを取り付けたときにシール性を高くするために設けられる。
【0026】
外周部39の下端のコーナ部41は断面円弧状に形成されて底面42に連続している。この円弧状のコーナ部41は、内袋10の受け座21が当接する部位である。外周部39には、内袋10のバルブ嵌合部15が密に嵌入される円筒面(外周面)を備えた環状突起43が形成されている。環状突起43の下端の角部44はバルブを取り付けたときに内袋10の内面に食い込んでシール性を高くする。
【0027】
図4の左端の原液充填工程S1に示すように、原液Gは液面Pの高さが内袋の縮径部20に来るまで充填する。この場合でも受け座21およびバルブ嵌合部15があるので、液面Pは内袋10の上端より下側であり、容器本体25をコンベアなどで搬送する場合でも原液がこぼれるおそれは少ない。
【0028】
そして内袋10の上端にバルブ26を嵌合させるバルブ装着工程S2のとき、バルブ26を内袋10に載置した後で下方に押し下げるが、このとき内袋10の受け座21がマウンティングカップ34の角部41と当接して下方に押し下げられ、縮径部20は水平面に対する角度が小さくなるように上端が押し下げられる。縮径部20は上に向かって縮径するように傾いているので、上端が押し下げられると下端を中心にして内向きに傾こうとする。そのため内袋10の首部14の容積が減少し、原液Gが加圧される。そのため、原液内に混在していた空気が上昇し、マウンティングカップ34の下面と液面Pとの間の空間Rに出て行く。そして液面Pが上昇するので、空間Rの空気がマウンティングカップ34と内袋10の間やステム孔を通して外部に逃げる。それにより内袋10内に残留している空気を大幅に減少させることができる。なお、マウンティングカップ34の外周面が内袋10のバルブ嵌合面15と気密に嵌合する場合は、ステムを押し下げながらバルブ26を押し下げることにより空間Rの空気を排出することができ、しかも嵌合後に外部から空気が入りにくい。
【0029】
次いで、バルブの外周および容器本体の肩部をシールし、内袋10の上部と容器本体25の上端の間から公知のアンダーカップ充填の方法により噴射剤が充填される。噴射剤としては、窒素、二酸化炭素、空気などの圧縮ガス、液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガスなどが用いられる
【0030】
噴射剤を充填した後、バルブ26を容器本体25に固着するため、バルブ26が再度押し下げられる(バルブ固着工程S3)。この状態で、カバー35の下端を複数のクリンプ爪で内向きに押し付けて塑性変形させ、容器本体25の首部の環状突起31の外面側の溝31aに強く係合させる。それによりカバー35が容器本体25に固着され、ガスケット36の作用で容器本体25の気密性が保持される。このとき、内袋10のバルブ嵌合部15はマウンティングカップ34の環状突起43の下端の角部44と容器本体25の首部の間に強く挟着され、シール作用が付与される。
【0031】
上記のようにして原液および噴射剤の充填とバルブ26の固着が完了した二重エアゾール製品は、図5に示すように、容器本体25の上部に原液に適合する噴射部材45が取り付けられて最終の二重エアゾール製品46となる。この実施形態では、噴射部材45は容器本体25の環状突起の外側の溝31a(図2参照)に弾力的に装着される有底筒状の肩カバー47と、その肩カバーに対して樹脂ヒンジで揺動自在に設けられるスパウト48と、そのスパウトの基部から横向きに突出し、スパウトを揺動操作するための操作レバー49とを備えている。スパウト48はバルブ26のステム33内と連通している。なお、図5の符号50はオーバーキャップである。
【0032】
前記内袋10に充填する原液はとくに限定されないが、たとえば医薬品、医薬部外品、化粧品、雑品などの種々の用途の原液を充填することができる。前記医薬品としては、たとえば消炎鎮痛剤、点鼻薬、点眼薬、傷薬などがあり、医薬部外品としては、染毛剤、口内清涼剤、腋臭防止剤、制汗剤、育毛剤、パーマネントウェーブ剤、浴用剤、薬用化粧品、薬用歯磨き、忌避剤、殺虫剤などが挙げられる。化粧品としては、ヘアクリーム、ヘアスプレー、ヘアフォーム、ヘアトニック、染毛料などの頭髪用、アフターシェービングローション、一般化粧品、オーデコロン、日焼け(止め)ローションなどの化粧水、クレンジングクリーム、シェービングクリーム、乳液、コールドクリーム、ハンドクリームなどのクリーム類、ベビーオイルなどの化粧用油、パック用化粧品などが挙げられる。雑品としては、工業用品、車用品、消臭剤やガラスクリーナなどの家庭用品が挙げられる。特に、2液式染毛剤のように、エアゾール製品を2本連結し、2種類の原液を同時に吐出する2液吐出型エアゾール製品に好適に用いることができる。
【0033】
前記製品の圧力は、噴射剤として圧縮ガスを用いた場合は0.3〜1.0MPa(35℃)、液化ガスを用いた場合は0.8MPa(35℃)以下が好ましい。前記原液の性状は液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、フォーム状ととくに限定されないが、本発明の特性を特に生かせることから、クリーム状、ペースト状、ゲル状といった粘度を有する原液を用いることが好ましい。また金属と接触すると金属を腐食しやすい原液、たとえば染毛剤なども好適に使用できる。
【0034】
この二重エアゾール製品46は、前述の内袋10を用いて組み立てられているので、内袋10内に空気がほとんど残っていない。また、内袋10内の原液にも気泡が混在していない。そのため、消費者が最初に操作レバー49を押して原液を吐出させたときに、気泡が急激に膨脹して原液が飛び散ることがない。また空気(酸素)により酸化され、効果が低下しやすい2液式染毛剤を長期間安定に保存することができる。
【0035】
図6a、図6bに示す二重エアゾール製品52は、胴部53の上部から上に向かって縮径しながら延びる肩部54を備え、その肩部の上端に外向きにカーリング加工されたビード部55を有する容器本体56を採用している。そして内袋57は、略円筒状の胴部58と、その胴部の上端から上に向かって縮径して延びる縮径部59と、その縮径部の上端からいくらか外向きに拡がる受け座60と、その受け座の外縁から上向きに延びる円筒状のバルブ嵌合部61と、そのバルブ嵌合部の上端から外向きに拡がるフランジ62とを備えている。この内袋57は蛇腹を備えていない。ただし蛇腹を設けてもよい。
【0036】
また、この二重エアゾール製品52に用いられるバルブ64は、バルブ本体65と、そのバルブ本体を容器本体56に取り付けるためのマウンティングカップ66とを有する。このマウンティングカップ66は、ビード部55に被せられる断面略半円状の被せ部67と、ビード部55の内面側に嵌合される外周壁68と、バルブ本体65を保持するハウジング保持部69と、そのハウジング保持部69と外周壁68とを連結する底部70とを備えている。マウンティングカップ66はアルミニウムなどの金属薄板製の公知のものである。
【0037】
この二重エアゾール製品52では、内袋57への原液の充填や、内袋57と容器本体56の隙間へのプロペラントのアンダーカップ充填は、従来と同様に行われる。そして原液充填の後、バルブ64を容器本体56に取り付けるとき、図6bに示すように、マウンティングカップ66の外周壁68を内袋57のバルブ嵌合部61内に嵌入する。それによりバルブ64の底部70が内袋57の受け座60に当接し、縮径部59を変形させながら押し下げられる。このとき、内袋57の内部の空気が内袋57とマウンティングカップ66の隙間またはステム孔から外部に逃げる。なお、内袋57の嵌合部61とマウンティングカップ66の外周壁68とが密着して空気が逃げにくい場合は、バルブ64のステムを押し下げて内袋57内と外部とを連通させることにより空気の逃げ道を確保しながらバルブ64を装着するようにしてもよい。
【0038】
その後は内袋のフランジ62とビード部55の間から噴射剤をアンダーカップ充填し、次いでマウンティングカップ66の外周壁68を外向きに拡げるようにクリンチし、容器本体の肩部54の内面に押し付けて係合させることにより、バルブ58の取付けと容器本体56の密閉とが完了する。この二重エアゾール製品52も、図5に示す噴射部材45と同様の噴射部材が取り付けられて最終製品となり、最初の吐出時の原液の飛び散りが防止される。
【0039】
図1の内袋10では、首部14と胴部12の間に蛇腹13を介在させているが、蛇腹を省略することもできる。また、図5の二重エアゾール製品46では、スパウト48と肩カバー47を一体にしているが、別部品とすることもできる。さらにスパウト48に代えて、噴霧ノズルも採用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 内袋
11 底部(内袋)
12 胴部
13 蛇腹
14 首部
15 バルブ嵌合部
16 ピンチオフ部
17 溝
18a 第1内斜面
18b 第2内斜面
19a 第1外斜面
19b 第2外斜面
20 縮径部
21 受け座
22 拡径部
23 リブ
25 容器本体
26 バルブ
S 内袋と容器本体の間の空間
27 底部(容器本体)
28 胴部
29 肩部
30 首部
31 環状突起(容器本体)
32 ハウジング
33 ステム
34 マウンティングカップ
35 カバー
36 ガスケット
37 ハウジング保持部
38 深溝
39 外周部
40 フランジ
41 コーナ部
42 底面(マウンティングカップ)
43 環状突起(マウンティングカップ)
44 角部
S1 原液充填工程
G 原液
P 液面
S2 バルブ装着工程
S3 バルブ固着工程
45 噴射部材
46 二重エアゾール製品
47 肩カバー
48 スパウト
49 操作レバー
50 オーバーキャップ
52 二重エアゾール製品
53 胴部
54 肩部
55 ビード部
56 容器本体
57 内袋
58 胴部
59 縮径部
60 受け座
61 バルブ嵌合部
62 フランジ
64 バルブ
65 バルブ本体
66 マウンティングカップ
67 被せ部
68 外周壁
69 ハウジング保持部
70 底部(マウンティングカップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端近辺にバルブのマウンティングカップの外周面と嵌合する嵌合部を有し、下方に原液を充填する胴部を備え、前記嵌合部と胴部の間にそれらを連通する首部を備えた二重エアゾール製品の内袋であって、
前記首部にバルブのマウンティングカップを載置して押し下げたとき、前記首部の容積が減少する、二重エアゾール製品の内袋。
【請求項2】
前記首部が、胴部上端から上に向かって次第に縮径する縮径部と、その縮径部の上端から外向きに拡がり、バルブのマウンティングカップの底面の外周と当接する受け座とを備えている、請求項1記載の二重エアゾール製品の内袋。
【請求項3】
前記胴部の上端と縮径部の下端の間に上下方向に伸縮する蛇腹が介在している請求項1記載の内袋。
【請求項4】
前記嵌合部の上端が真っ直ぐ上に延びている請求項1〜3のいずれかに記載の内袋。
【請求項5】
前記嵌合部の上端から外向きにフランジが延びている請求項1〜3のいずれかに記載の内袋。
【請求項6】
前記嵌合部が胴部より小径であり、前記縮径部が肩部を兼ねている請求項1〜5のいずれかに記載の内袋。
【請求項7】
上端に開口部を備えた有底筒状の容器本体と、その容器本体に収容される請求項1〜6のいずれかに記載の内袋と、その内袋に充填される原液と、前記容器と内袋の間に充填される噴射剤と、前記内袋の上端開口および容器の上端開口を塞ぐバルブとを備えている二重エアゾール製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−136747(P2011−136747A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299183(P2009−299183)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】