説明

内装ボードの取付構造及び取付方法

【課題】建物躯体の内壁面に対する接着剤を利用した石膏ボード等の内装ボードの取り付けにおいて、取付施工を極めて容易に効率よく行え、接着剤を無駄なく使用でき、均一で大きな固定強度が得られる手段を提供する。
【解決手段】内装ボード1の背面1b側複数箇所に、多孔板状の接着剤受け片2…が内装ボード1の背面1bにほぼ沿うように止着され、接着剤受け片2…に盛り付けられた接着剤3…を介して内装ボード1が建物躯体4の内壁面41aに固着されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物躯体のRC、ALC、モルタル、ブロック等よりなる内壁に対する石膏ボード等の内装ボードの取付構造及び取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物躯体のコンクリート内壁等に内装用の石膏ボードを取り付ける手段として、GL(Gypsum Lining)工法が多用されている。このGL工法では、セメント系の接着剤粉末を水で練り合わせ、これを団子状にして建物内壁面の要所に付着させ、その上から石膏ボードを押し付けて該接着剤の硬化によって固定するから、下地骨組みが不要であり、それだけ施工が簡素化されるという利点がある。
【0003】
しかしながら、このようなGL工法では、水練りした接着剤を建物内壁面に団子状に付着させるのに非常に労力を要する上、付着させた接着剤が垂れ落ちし易いことから、その修正にも手間がかかると共に、垂れ落ち分の補充によって接着剤使用量が多くなり、しかも付着状態、つまり付着量、団子状の高さ、付着間隔等を均一にすることが困難であるため、固定強度のバラツキが大きいという難点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の情況に鑑み、建物躯体の内壁面に対する接着剤を利用した石膏ボード等の内装ボードの取り付けにおいて、取付施工を極めて容易に効率よく行え、且つ接着剤を無駄なく使用できる上に均一で大きな固定強度が得られる手段を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る内装ボードの取付構造は、図面の参照符号を付して示せば、内装ボード1の背面1b側複数箇所に、多孔板状の接着剤受け片2…が該内装ボード1の背面1bにほぼ沿うように止着され、これら接着剤受け片2…に盛り付けられた接着剤3…を介して当該内装ボード1が建物躯体4の内壁面41aに固着されてなるものとしている。
【0006】
また、本発明の請求項2に係る内装ボードの取付構造は、建物躯体4の内壁面41aに軽量鉄骨下地5を介して内装ボード1が取り付けられた構造において、前記軽量鉄骨下地5のフレーム51,52の背面51b,52b側複数箇所に、多孔板状の接着剤受け片2…が該フレーム51,52の背面51b,52bにほぼ沿うように止着され、これら接着剤受け片2…に盛り付けられた接着剤3…を介して当該フレーム51,52が建物躯体4の内壁面41aに固着されてなるものとしている。
【0007】
請求項3の発明は、上記請求項1又は2の内装ボードの取付構造において、接着剤受け片2が感圧接着層6を介して止着されてなる構成としている。
【0008】
請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれかの内装ボードの取付構造において、接着剤受け片2…は下部2bが接着剤3盛付け側へ迫り出した形状としている。
【0009】
請求項5の発明は、上記請求項4の内装ボードの取付構造において、接着剤受け片2は、下部2b側の孔径が上部2a側の孔径よりも平均的に小さく設定されてなる構成としている。
【0010】
一方、本発明の請求項6に係る内装ボードの取付方法は、内装ボード1の背面側複数箇所に、多孔板状の接着剤受け片2…を該内装ボード1の背面にほぼ沿うように止着し、これら接着剤受け片2…にパテ状の接着剤3を盛り付けた上で、この内装ボード1の背面1b側を建物躯体4の内壁面41aに押接することにより、各接着剤受け片2の接着剤3を該内壁面41aと内装ボード背面1bとに被着させる共に、その接着剤3が硬化するまでの間の内装ボード1を、床部42と天井部43との間に突っ張り固定させたスライド伸縮定規7の当接によって直立状態に保持することを特徴としている。
【0011】
更に請求項7に係る内装ボードの取付方法は、内装ボード1を取り付ける建物躯体4の内壁面41aに臨む床部42と天井部43に軽量鉄骨下地5用のランナー53,54を固着し、これら上下のランナー53,54間に嵌装する軽量鉄骨下地5のフレーム51,52の背面51b,52b側複数箇所に、多孔板状の接着剤受け片2…を該フレーム51,52の背面51b,52bにほぼ沿うように止着し、これら接着剤受け片2…にパテ状の接着剤3を盛り付けた上で、このフレーム51,52を上下ランナー53,54間に嵌装すると共に、該フレーム51,52の背面51b,52b側を建物躯体4の内壁面41aに押接することにより、各接着剤受け片2の接着剤3を該内壁面41aとフレーム背面51b,52bとに被着させ、その接着剤3の硬化後に当該軽量鉄骨下地の前面に内装ボード1を取り付けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明に係る内装ボードの取付構造では、内装ボードが接着剤を介して建物躯体の内壁面に固定されるが、該接着剤は内装ボードの背面側複数箇所に止着された接着剤受け片に盛り付けられる構成であり、この接着剤受け片が多孔板状で該接着剤を付着させ易いため、盛り付け操作を極めて容易に効率よく行えると共に付着状態を均一に設定でき、しかも盛り付けた接着剤の保持性がよく垂れ落ちを防止できるので、接着剤の無駄がなく補充の手間も要さない上、内装ボードを内壁面に押し付けた際に、接着剤受け片の孔部を通して接着剤が内装ボードの背面にも直接に被着するから、建物躯体の内壁と内装ボードとが硬化した接着剤層によって直接に接合され、且つ各接合部で強固に固着された状態となり、ボード全体に均一で大きな固定強度が得られる。
【0013】
請求項2の発明に係る内装ボードの取付構造では、建物躯体の内壁面に軽量鉄骨下地を介して内装ボードが取り付けられるが、その軽量鉄骨下地のフレームの背面側複数箇所に多孔板状の接着剤受け片が止着され、これら接着剤受け片に盛り付けられた接着剤を介して当該フレームが建物躯体の内壁面に固着される構成であるから、建物躯体に対する軽量鉄骨下地の取付施工が極めて容易になる上、前記フレームを内壁面に押し付けた際に、接着剤受け片の孔部を通して接着剤が当該フレームの背面にも直接に被着するから、建物躯体の内壁と当該フレームとが硬化した接着剤層によって直接に接合され、軽量鉄骨下地ひいてはこれに取り付けられる内装ボードとして均一で大きな固定強度が得られる。
【0014】
請求項3の発明によれば、接着剤受け片が感圧接着層を介して止着される構成であるから、前記内装ボードの背面あるいは前記軽量鉄骨下地のフレームの背面に対し、当該接着剤受け片の止着を極めて容易に行える。
【0015】
請求項4の発明によれば、接着剤受け片の下部が接着剤盛付け側へ迫り出した形状であるから、この上に盛り付けた接着剤の垂れ落ちがより生じにくくなる。また、この場合に、請求項5の発明のように接着剤受け片の下部側の孔径が上部側の孔径よりも平均的に小さくなる構成とすれば、迫り出した形状で接着剤の重みが加わる下部側において、その孔部を通した接着剤の垂れ落ちがより生じにくくなると共に、前記内装ボードあるいは前記軽量鉄骨下地のフレームを建物躯体の内壁面に押し付けた際に、下部側での孔部を通した接着剤の裏側(反接着剤盛付け側)への移動過多が抑えられ、もって接着剤受け片全体に表裏の接着剤量配分が均等化し、上部側の接着剤不足による固着力低下が防止される。
【0016】
請求項6に係る内装ボードの取付方法によれば、該内装ボードを接着剤を介して建物躯体の内壁面に固定する際、パテ状の該接着剤を内装ボードの背面側複数箇所に止着された多孔板状の接着剤受け片に盛り付け、この内装ボードの背面側を建物躯体の内壁面に押接することから、その盛り付け操作を極めて容易に効率よく行えると共に付着状態を均一に設定でき、盛り付けた接着剤の垂れ落ちが防止されるので、接着剤の無駄がなく補充の手間も要さない上、内装ボードを内壁面に押し付けた際に、接着剤受け片の孔部を通して接着剤が内装ボードの背面にも直接に被着するため、建物躯体の壁体と内装ボードとが硬化した接着剤層によって直接に接合され、且つ各接合部で強固に固着された状態となり、ボード全体に均一で大きな固定強度が得られる。しかして、この押し付けた内装ボードを直立状態に保持するのにスライド伸縮定規を用いるため、その保持操作と接着剤硬化後の保持具の除去を極めて簡単に行える。
【0017】
請求項7に係る内装ボードの取付方法によれば、該内装ボードを軽量鉄骨下地を介して建物躯体の内壁面に取り付ける際、床部と天井部に軽量鉄骨下地用のランナーを固着し、軽量鉄骨下地のフレームの背面側複数箇所に止着された多孔板状の接着剤受け片にパテ状の盛り付け、このフレームを上下ランナー間に嵌装すると共に、該フレームの背面側を建物躯体の内壁面に押接することから、建物躯体に対する軽量鉄骨下地の取付施工が極めて容易になる上、前記フレームを内壁面に押し付けた際に、接着剤受け片の孔部を通して接着剤が当該フレームの背面にも直接に被着するから、建物躯体の内壁と当該フレームとが硬化した接着剤層によって直接に接合され、軽量鉄骨下地ひいてはこれに取り付けられる内装ボードとして均一で大きな固定強度が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る内装ボードの取付構造及び取付方法の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1(A)(B)は、内装ボードの取付構造の第一実施形態を示す。図中、1は布張りや化粧紙張りの石膏ボード等よりなる縦長矩形の内装ボードであり、ほぼ建物躯体4の床部42から天井部43に至る高さを備えており、該建物躯体4の壁体41の内面側に沿って並列状態に配設されている。そして、各内装ボード1は、その背面側に縦横一定間隔置きに止着した多数の接着剤受け片2…が止着されており、これら接着剤受け片2…に盛り付けた接着剤3…を介して、壁体41のRC、ALC、モルタル、ブロック等よりなる内壁面41aに固着している。
【0020】
図2(A)(B)に示すように、各接着剤受け片2は、略正方形の多孔板状であり、全体の略2/3を占める上部2aに対し、略1/3の下部2bが前方へ迫り出すように屈曲すると共に、この迫り出し側とは反対側である裏面側の上部には、厚地の両面粘着テープが貼着されて感圧接着層6を形成している。なお、図示を省略しているが、未使用状態では感圧接着層6の表面に剥離紙が貼着されている。しかして、この接着剤受け片2には、径が種々異なる多数の孔21〜26を設けているが、下部2b側の孔径が上部2a側の孔径よりも平均的に小さく設定されている。
【0021】
図示の場合、例えば接着剤受け片2の縦横寸法が60mmであるとき、最上段の感圧接着層6の両側位置に8.5mm径の孔24が各1個、上から2段目では両側に14mm径の孔21が各1個と中央側に12.5mm径の孔22が2個、同3段目では両側に6mm径の孔25が各1個と中央側に10mm径の孔23が3個、同4段目では10mm径の孔23が5個、同5段目では6mm径の孔25が5個、最下段には5mm径の孔26が4個、それぞれ略等間隔で横並びに配置している。そして、接着剤受け片2は、上から4段目の位置で、5個の孔23…の径を通る横方向の折曲線で上部2aと下部2bとにくの字状に折曲している。
【0022】
内装ボード1の取付施工においては、まず図3(A)に示すように、その背面1b側の要所に、接着剤受け片2を感圧接着層6側が上になる状態で当該感圧接着層6の粘着力によって止着する。これにより、各接着剤受け片2は、上部2aが内装ボード1の背面1bに略平行に沿う形で、該背面1bから浮き離れた状態になる。次に、図3(B)に示すように、各接着剤受け片2の前面側に、パテ状の接着剤3を塊状、好ましくは半球状に盛り付ける。なお、この盛り付け作業には、アイスクリームやポテトサラダ等を掬って皿や器に半球状に盛り付けるのに汎用されているディッパー(Dipper)、もしくはそれに似た構造の適当な盛付け具を使用すれば、操作が極めて簡単になり、作業能率が上がる。しかして、その盛り付け量は、最大厚さが20〜40mmになる程度が好ましい。
【0023】
また、パテ状の接着剤3としては、塊状に付着可能な粘性及び保形性を有するものであればよく、従来のGL工法で使われているのと同様なセメント系の接着剤(水練り状態)も使用可能であるが、所謂水性ボンドとして樹脂系や樹脂−セメント混合系のものも好適に使用できる。なお、特に好適な接着剤の市販品としては、日東ポリマー工業社製の商品名きんねだボンド(水性、アクリル系エマルジョン主体)がある。
【0024】
接着剤受け片2上に盛り付けられたパテ状の接着剤3は、該接着剤受け片2が多孔板状であることによる係止(引っ掛かり)作用と、その下部2bが前方へ迫り出した形態であることによる受け止め作用により、垂れ落ちを生じにくく安定した付着状態となる。また、該接着剤3の一部は孔21〜26から裏側へはみ出すが、接着剤3の重みが加わる接着剤受け片2の下部2b側では、その孔径が上部2a側の孔径よりも平均的に小さくなっているから、孔部の通り抜けによる垂れ落ちも生じにくくなっている。従って、接着剤3の付着状態を均一に設定できる上、垂れ落ちによる無駄がなく、補充の手間も省けるので高い作業能率が得られる。
【0025】
かくして、各接着剤受け片2上に接着剤3を盛り付けた内装ボード1は、図3(C)に示すように、その背面側を建物躯体4の壁体41の内壁面41aへ押し付けることにより、各接着剤受け片2上に盛り付けられていた接着剤3が該内壁面41aに被着すると共に、その押接力によって接着剤受け片2の孔21〜26を通って裏側へ回り、図示のように内装ボード1の背面にも被着するから、各接着剤受け片2の止着位置において壁体41に対して接着剤3で直接に接着固定される。また、この場合、接着剤受け片2の下部2b側の孔径が上部2a側の孔径よりも平均的に小さくなっているため、内装ボード1を壁体41の内壁面41aへ押し付けた際、下部2b側での孔部を通した接着剤3の裏側への移動過多が抑えられ、もって接着剤受け片2全体に表裏の接着剤量配分が均等化し、上部2a側の接着剤不足による固着力低下が防止される。従って、内装ボード1の全体に均一で大きな固定強度が得られる。
【0026】
なお、この内装ボード1の取付施工では、接着剤3…が硬化するまでの間、該内装ボード1を内壁面41aに押し付けた垂直状態のままで保持する必要があるが、その保持用として図4(A)(B)に示すようなスライド伸縮定規7を用いるのが便利である。
【0027】
このスライド伸縮定規7は、共にアルミ押出型材からなる偏平角筒状の下側部材7aと上側部材7bとからなる2段式であり、両部材7a,7bの互いに対向面の一側縁側に設けた長手方向に沿う断面T字形の突条部71を、他側縁側に設けた長手方向に沿うガイド溝72に挿嵌することにより、両部材7a,7bのスライドによって全長を自在に調整できると共に、下側部材7bに側方から螺挿した蝶ねじ8,8の先端を上側部材7bの側面に圧接することにより、任意長さに固定できる。
【0028】
従って、内壁面41aに押し付けた垂直状態の内装ボード1の前面1aにスライド伸縮定規7の側面を当てがい、その下端を床部42に着けて上側部材7bを天井部43に達するまで伸ばし、上下端で天井部43と床部42に突っ張った状態で両部材7a,7bを蝶ねじ8,8にて固定することにより、当該内装ボード1を接着剤3…が硬化するまで垂直状態に安定に保持できる。また、接着剤3…の硬化後には、スライド伸縮定規7を収縮させるだけで極めて簡単に除去できる。
【0029】
図5(A)(B)は、建物躯体4の梁部44の下面44a及び前面44bに、それぞれ内装ボード11,12を取り付ける場合の施工例を示す。しかして、これら内装ボード11,12は、梁部44の下面44a及び前面44bの寸法に対応した帯板状をなすが、その幅を下面44aの前後幅及び前面44bの上下幅よりも若干大きく設定しておく。そして、既述の壁面用の内装ボード1と同様に、各々背面側の要所に接着剤受け片2…を止着し、その各接着剤受け片2上にパテ状の接着剤3を盛り付けた状態として用いる。
【0030】
まず、梁下面用の内装ボード11は、梁部44の下面44aに背面側の各接着剤3が被着するように押し付け、この状態で壁側の後縁部を壁面用の内装ボード1の上端に支承させると共に、前縁部を立設した一対のスライド伸縮定規7,7の上端間に横架した角筒状の支持バー9で支承する。このとき、壁面用の内装ボード1の接着剤3…が未硬化であれば、図示のように、後縁部を該内装ボード1と一緒にスライド伸縮定規7…で支えるようにする。そして、梁44の前面44bよりも若干前方へ突出した該内装ボード11の前縁部の上に、梁前面用の内装ボード12を載せ、同様に該内装ボード12を梁部44の前面44bに押し付けて背面側の各接着剤3を被着させる。なお、前縁部を支える各スライド伸縮定規7は、上側部材7bの上端に支持バー9を嵌合支持するための受け溝73を備えている。
【0031】
次に、本発明の第二実施形態として、内装ボードを軽量鉄骨下地を介して建物躯体の内壁面に取り付ける構造について、図6及び図7を参照して説明する。
【0032】
図6(A)は、建物躯体4のRC、ALC、モルタル、ブロック等よりなる壁体41の内壁面41aに、軽量鉄骨下地5を固着した状態を示す。この軽量鉄骨下地5は、内壁面41aに臨む床部42と天井部43に各々固着したランナー53,54と、これら上下のランナー53,54間に所定間隔置きに交互に垂直状態に嵌装した広幅及び狭幅のフレーム51…,52…とで構成されている。図6(B)(C)はフレーム51,52のそれぞれの断面を示す。
【0033】
しかして、フレーム51,52は、図7(A)に示すように、その背面51b,52b側の上下方向一定間隔置きの複数箇所に、予め前記第一実施形態で用いたものと同様の多孔板状の接着剤受け片2…を感圧接着層6を介して止着し、各接着剤受け片2にパテ状の接着剤3を盛り付けた状態で、上下ランナー53,54間に嵌装すると共に、その背面51b,52b側を建物躯体4の内壁面41aに押接する。なお、ランナー53,54は、チャンネル状をなし、コンクリート釘55…によって天井部43と床部42に固着されるが、フレーム51,52を撓ませて嵌め込み易いように、前側条片53a,54aの上下幅が背側条片53b,54bよりも小さく設定されている。
【0034】
上記のようにフレーム51,52を建物躯体4の内壁面41aに押接することにより、各接着剤受け片2の接着剤3が該内壁面41aと孔部を通して自身の背面51b,52bとに被着するから、建物躯体4の壁体41とフレーム51,52とが接着剤3の硬化層によって直接に接合され、軽量鉄骨下地5が全体として内壁面41aに強固に固着した状態になる。従って、建物躯体4に対する軽量鉄骨下地5の取付施工が極めて容易になる上、図7(B)に示すように、この軽量鉄骨下地5の前面に内装ボード1をビス56…等によって取り付けることにより、該内装ボード1は強固で安定した取付状態となる。
【0035】
本発明においては、接着剤受け片の形状、孔部の配列パターン、孔径の分布、内装ボードに対する接着剤受け片の止着位置と止着密度、内装ボードの形状、スライド伸縮定規のスライド構造とスライド段数、軽量鉄骨下地のフレーム構造、ランナー及びフレームの断面形状等、細部構成については実施形態以外に種々設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第一実施形態に係る内装ボードの取付構造を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のイーイ線の断面図である。
【図2】同取付構造に用いる接着剤受け片を示し、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【図3】同第一実施形態における内装ボードの取付操作を示し、(A)は内装ボードに接着剤受け片を止着した状態の縦断側面図、(B)は止着した接着剤受け片にパテ状の接着剤を盛り付けた状態の縦断側面図、(C)は同内装ボードを建物躯体の内壁面に押し付けた状態の縦断側面図である。
【図4】同第一実施形態における接着剤硬化までの内装ボードの保持状態を示し、(A)は縦断側面図、(B)は(A)のローロ線の断面図である。
【図5】建物躯体の梁部に対する内装ボードの取付構造を示し、(A)は縦断側面図、(B)は縦断正面図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る内装ボードの取付構造を示し、(A)は建物躯体の内壁面に軽量鉄骨下地を固着した状態の斜視図、(B)及び(C)は同軽量鉄骨下地のフレームの断面図である。
【図7】同第二実施形態における内装ボードの取付操作を示し、(A)は建物躯体の内壁面に軽量鉄骨下地を固着した段階の縦断側面図、(B)は該軽量鉄骨下地に内装ボードを取り付けた状態の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 内装ボード
1b 背面
2 接着剤受け片
2a 上部
2b 下部
21〜26 孔
3 接着剤
4 建物躯体
41 壁体
41a 内壁面
42 床部
43 天井部
5 軽量鉄骨下地
51,52 フレーム
51b,52b 背面
53,54 ライナー
6 感圧接着層
7 スライド伸縮定規

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内装ボードの背面側複数箇所に、多孔板状の接着剤受け片が該内装ボードの背面にほぼ沿うように止着され、これら接着剤受け片に盛り付けられた接着剤を介して当該内装ボードが建物躯体の内壁面に固着されてなる内装ボードの取付構造。
【請求項2】
建物躯体の内壁面に軽量鉄骨下地を介して内装ボードが取り付けられた構造において、前記軽量鉄骨下地のフレームの背面側複数箇所に、多孔板状の接着剤受け片が該フレームの背面にほぼ沿うように止着され、これら接着剤受け片に盛り付けられた接着剤を介して当該フレームが建物躯体の内壁面に固着されてなる内装ボードの取付構造。
【請求項3】
接着剤受け片が感圧接着層を介して止着されてなる請求項1又は2に記載の内装ボードの取付構造。
【請求項4】
接着剤受け片は下部が接着剤盛付け側へ迫り出した形状である請求項1〜3のいずれかに記載の内装ボードの取付構造。
【請求項5】
接着剤受け片は、下部側の孔径が上部側の孔径よりも平均的に小さく設定されてなる請求項4記載の内装ボードの取付構造。
【請求項6】
内装ボードの背面側複数箇所に、多孔板状の接着剤受け片を該内装ボードの背面にほぼ沿うように止着し、これら接着剤受け片にパテ状の接着剤を盛り付けた上で、この内装ボードの背面側を建物躯体の内壁面に押接することにより、各接着剤受け片の接着剤を該内壁面と内装ボード背面とに被着させる共に、その接着剤が硬化するまでの間の内装ボードを、床部と天井部との間に突っ張り固定させたスライド伸縮定規の当接によって直立状態に保持することを特徴とする内装ボードの取付方法。
【請求項7】
内装ボードを取り付ける建物躯体の内壁面に臨む床部と天井部に軽量鉄骨下地用のランナーを固着し、これら上下のランナー間に嵌装する軽量鉄骨下地のフレームの背面側複数箇所に、多孔板状の接着剤受け片を該フレームの背面にほぼ沿うように止着し、これら接着剤受け片にパテ状の接着剤を盛り付けた上で、このフレームを上下ランナー間に嵌装すると共に、該フレームの背面側を建物躯体の内壁面に押接することにより、各接着剤受け片の接着剤を該内壁面とフレーム背面とに被着させ、その接着剤の硬化後に当該軽量鉄骨下地の前面に内装ボードを取り付けることを特徴とする内装ボードの取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−132012(P2007−132012A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323502(P2005−323502)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000130662)株式会社サワタ建材社 (14)
【Fターム(参考)】