説明

内装材

【課題】太陽光が入射される位置に配置される内装材において、内装材から太陽光が入射される側に放熱される熱の量を低減でき、冷却手段を通して冷却可能な熱の量が多い内装材の提供。
【解決手段】ダッシュボード11の上部には第1の補助部材12が配置されている。第1の補助部材12の底面は赤外線反射部材15で覆われている。赤外線反射部材15とダッシュボード11の間に外気通路14が設けられている。太陽光Aは第1の補助部材12及び赤外線反射部材15を通過してダッシュボード11に入射される。太陽光Aは赤外線Cに変換され、ダッシュボード11から放射される。赤外線Cは赤外線反射部材15において反射され、再びダッシュボード11に入射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光が入射される位置に配置された内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の内装材は、太陽光を受けると外気に比べて高温になり、内装材から放射された熱により室内の温度が上昇する。このような問題を解消するため、例えば特許文献1に開示されているヒートパイプ等の冷却手段を備えた内装材が多く用いられている。
【0003】
特許文献1には、複数のヒートパイプが設置されたインストルメントパネルが開示されている。ヒートパイプはインストルメントパネルの裏面側(太陽光が入射される面と反対側)において並列に配置されており、ヒートパイプの一端は車室内空調用のエバポレータに接続されている。ヒートパイプの内部には作動流体が封入されており、太陽光によりインストルメントパネルの熱がヒートパイプに伝わることで、作動流体が蒸発されている。ヒートパイプにおいてエバポレータと接続された箇所にはフィンが配置されており、フィンにより外気と熱交換されることで作動流体が凝縮されている。
【0004】
特許文献2には、太陽光を受光する側の面に受光プレートを備えたダッシュボードが開示されている。受光プレートは波形に形成されており、太陽光を受け止め可能なように窓側に向けて配置された第1斜面と、第1斜面により太陽光が遮られる部位に配置された第2斜面からなる。第1斜面は暗黒材料で形成されている。受光プレートとダッシュボードの間には冷却風路が形成され、冷却風路には外気を供給可能な送風装置が備えられている。太陽光により加熱された受光プレートの熱は、冷風通路を通過する外気により冷却されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−138366号公報
【特許文献2】特表2009−149281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、インストルメントパネルに入射された太陽光のエネルギーは熱に変化し、インストルメントパネルを加熱する。インストルメントパネルの熱は、ヒートパイプにより回収される。しかし、インストルメントパネルの表面(太陽光が入射される側の面)は車室内に露出されており、インストルメントパネルの熱は赤外線として車室内に放射される。そのため、車室内の温度が上昇し、車内用の冷房システムの負荷が大きくなる。
【0007】
特許文献2では、受光プレートの第一斜面において太陽光が反射される。また、第1斜面は暗黒材料で形成されているため、受光プレートに入射された太陽光は第1斜面において熱に変換される。そのため、ダッシュボードに入射される太陽光が少なくなり、ダッシュボードの温度上昇が抑制される。また、受光プレート自体が加熱されるため、受光プレートを介して熱が車室内に放射される。そのため、車室内の温度が上昇し、車内用の冷房システムの負荷が大きくなる。
【0008】
本発明は、太陽光が入射される位置に配置される内装材において、内装材から太陽光が入射される側に放熱される熱の量を低減でき、冷却手段を通して冷却可能な熱の量を多くすることのできる内装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の本発明は、移動体内において太陽光が入射する位置に配置される内装材であって、内装材本体部と、前記内装材本体部の表面に配置され、前記太陽光を透過可能である補助部材と、前記補助部材よりも少なくとも太陽光が入射される側と反対側に配置され、前記内装材本体部と熱的に結合される冷却手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
なお、移動体とは自動車、電車及び航空機等の移動手段を指し、内装材本体部とは移動体の内部に備えられる設備や家具等を指す。
【0011】
また、冷却手段が補助部材よりも少なくとも太陽光が入射される側と反対側に設けられるとは、補助部材と内装材本体部の間に冷却手段が設けられる場合及び、内装材本体部において補助部材が配置される側とは反対側に冷却手段が設けられる場合を指し、内装材本体部に冷却手段が内蔵される場合を含む。
また、補助部材が補助部材の表面から太陽光が入射される側に向いた直線上に複数設けられている場合において、冷却手段が補助部材よりも少なくとも太陽光が入射される側と反対側に設けられるとは、冷却手段の内装材本体部と反対側に少なくとも補助部材が配置されている場合を指し、必ずしも全ての補助部材に対して内装材本体部の側に冷却手段が設けられる場合、すなわち、冷却手段に対して太陽光が入射される側に全ての補助部材が配置される場合に限定されない。
【0012】
また、冷却手段が内装材本体部と熱的に結合して設けられるとは、内装材本体部の熱が冷却手段に伝達され、内装材本体部の熱が冷却手段により冷却可能であればよい。内装材本体部と冷却手段とが少なくとも一部において接触している場合や、内装材本体部の熱が冷却手段に伝達可能である程度に冷却手段と内装材本体部とがわずかな隙間を介して配置されている場合を含む。
【0013】
補助部材を透過して内装材本体部に入射された太陽光は、内装材本体部において熱に変換される。内装材本体部の熱は赤外線として内装材本体部の表面から外側(補助部材が配置される側)に放射され、補助部材に伝熱される。補助部材がない場合と比べて、内装材本体部の熱は補助部材の外側(補助部材において太陽光が入射される側)に放熱されにくい。従って、請求項1に記載の本発明によれば、内装材本体部を高温に加熱できるため、冷却手段を通して冷却可能な熱の量が多くなる。
【0014】
請求項2に記載の本発明は、前記補助部材は赤外線を反射可能である赤外線反射部材を備えることを特徴とする。そのため、内装材本体部から放射された赤外線は赤外線反射部材により内装材本体部の側に反射されるため、内装材本体部が高温に加熱される。
【0015】
請求項3に記載の本発明は、前記補助部材は前記内装材本体部の表面との間に間隔をあけて配置されることを特徴とする。そのため、内装材本体部の熱が間隔である空間を介して補助部材に伝えられにくく、内装材本体部を加熱する熱の量を多くできる。
【0016】
請求項4に記載の本発明は、前記移動体は車両であることを特徴とする。そのため、太陽光により加熱された車両の熱が車室内に放熱されるのを抑制できる。
【0017】
請求項5に記載の本発明は、前記内装材本体部はダッシュボード又はリアトリムであることを特徴とする。そのため、太陽光により加熱された車両の熱が車室内に放熱されるのを抑制できる。
【0018】
請求項6に記載の本発明は、前記補助部材の表面は平坦に形成されることを特徴とする。そのため、補助部材を形成しやすい。
【0019】
請求項7に記載の本発明は、前記補助部材は前記太陽光の透過率が50%以上であることを特徴とする。そのため、入射された太陽光の50%以上が補助部材を透過して内装材本体部に到達されるため、内装材本体部を加熱できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、太陽光が入射される位置に配置される内装材において、内装材から太陽光が入射される側に放熱される熱の量を低減でき、冷却手段を通して冷却可能な熱の量が多くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するダッシュボード11の側面模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を説明するダッシュボード11及び第1の補助部材12の拡大断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を説明するダッシュボード21及び第2の補助部材22の断面模式図である。
【図4】従来の実施形態を説明する断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
第1の実施形態を図1〜図2に基づいて説明する。なお、図示の都合上、一部の寸法を誇張して分かり易くしてある。
【0023】
図1に示すように、移動体としての車両1のフロントガラス10近傍には内装材本体部としてのダッシュボード11が配置されている。太陽の高さあるいは向きにより、太陽光Aはフロントガラス10を透過し、黒体色であるダッシュボード11に入射される。ダッシュボード11の上部(太陽光Aが入射される側)には両面が平坦に形成された板状である第1の補助部材12がダッシュボード11の上側の表面(太陽光Aが入射される側の面、以下上面と省略する)と対向して配置されている。第1の補助部材12は透明な樹脂製であり太陽光Aを透過可能である。第1の補助部材12は樹脂製である固定部材13によって、ダッシュボード11の上面との間に間隔を設けて配置されている。枠体である固定部材13は第1の補助部材12の外周において第1の補助部材12の表面に対して垂直に配置されている。第1の補助部材12と固定部材13の一方の端面とは接着材により固定されている。固定部材13の他方の端面はダッシュボード11の上面と固定されている。第1の補助部材12の底面(ダッシュボード11側の面)には赤外線C(図2において説明する)を反射可能である赤外線反射部材15が配置されている。ダッシュボード11の上面と赤外線反射部材15の間には車外の空気である外気Bが通過可能な空間(第1の補助部材12とダッシュボード11との間の間隔)が設けられており、該空間は外気通路14となっている。冷却手段としての外気通路14は、第1の補助部材12よりも太陽光Aが入射される側と反対側に設けられている。該空間は固定部材13の枠の幅により形成されたものである。外気通路14はダッシュボード11の上面に露出しており、ダッシュボード11と外気通路14は熱的に結合している。車室内18にはハンドル16及びシート17が配置されており、外気通路14と車室内18とは固定部材13により遮断されている。
【0024】
ダッシュボード11の側方には、外気Bが通過可能な外気供給路19が設けられている。外気通路14は外気供給路19を介して車外に連通されており、外気通路14及び外気供給路19に外気Bを供給する図示しないファンが外気供給路19上に設けられている。ファンを運転することで、外気Bは外気供給路19を通して外気通路14に供給され、外気通路14においてダッシュボード11と接触される。外気通路14を通過した外気Bはダッシュボード11と熱的に結合して設けられており、ダッシュボード11の熱は外気Bにより、図示しない通路から車外へ排気される。なお、内装材とは、第1の補助部材12及び冷却手段としての外気通路14が備えられた、内装材本体部としてのダッシュボード11を指す。
【0025】
図2は図1における断面線V−Vの断面図であり、図1における手前側が図2における左側に対応しており、図1における奥側が図2における右側に対応している。図2に示すように、ダッシュボード11の上部(太陽光Aが入射される側)には第1の補助部材12が配置されている。第1の補助部材12の底面(ダッシュボード11側の面)は全面が赤外線反射部材15で覆われている。赤外線反射部材15とダッシュボード11の間に外気通路14が設けられている。
【0026】
図2に示すように、太陽光Aは第1の補助部材12及び赤外線反射部材15を通過してダッシュボード11に入射される。ダッシュボード11に入射された太陽光Aはダッシュボード11において熱に変換される。変換された熱の一部は赤外線Cとしてダッシュボード11から放射される。赤外線Cは外気通路14に存在する空気(外気B)を介して赤外線反射部材15に入射された後、赤外線反射部材15において反射され、再びダッシュボード11に入射される。外気通路14には外気Bが供給されている。
【0027】
第1の実施形態におけるダッシュボード11及び第1の補助部材12の作用を説明する。
図4に特開平5−338434号に開示されるダッシュボード110の構成を示す。ダッシュボード110の上部には図示しない送風装置により外気Bが流されている。ダッシュボード110に入射された太陽光Aは熱に変換された後、ダッシュボード110から赤外線Cとして放射される。図4では、ダッシュボード110の上部(太陽光Aが入射される側)は車室内180に露出されている。すなわち、ダッシュボード110の上部には車室内180とを区切る部材が配置されていない。そのため、赤外線Cとしてダッシュボード110から車室内180に放射された熱は、車室内180を加熱する。
【0028】
一方、図2では、ダッシュボード11の上部(太陽光Aが入射される側)には透明な樹脂製である第1の補助部材12が配置されている。そのため、第1の補助部材12に覆われた分、ダッシュボード11の熱が車室内18に放熱されにくい。従って、車室内18に放熱される熱の量が低減される。また、第1の補助部材12とダッシュボード11の間には外気通路14が設けられている。太陽光Aにより加熱されたダッシュボード11は100℃近くまで加熱される。これに対して外気Bの温度は夏場でも35℃程度であるため、ダッシュボード11に集約された熱は、第1の補助部材12よりも太陽光Aが入射される側とは反対側に設けられた外気通路14において外気Bを加熱し、外気Bを通して車外に排出される。従って、第1の補助部材12がない場合と比べ、ダッシュボード11から車室内18に放熱される熱の量を低減できる。低減できた熱の量の分、ダッシュボード11は高温に加熱される。ダッシュボード11を高温に加熱した熱は、外気通路14を通して車外に排出され、車室内に放熱される熱の量は少なくなる。
【0029】
第1の補助部材12の底面(ダッシュボード11側の面)は赤外線反射部材15で覆われている。赤外線反射部材15は可視光及び紫外光を透過する。また、赤外線反射部材15は任意の片面(第1の補助部材12と当接して配置された面)から入射する赤外線Cを透過するが、もう一方の面(ダッシュボード11側の面)から入射する赤外光Cを反射する。可視光、紫外光及び赤外光からなる太陽光Aは、第1の補助部材12及び赤外線反射部材15を透過してダッシュボード11に入射される。入射された太陽光Aはダッシュボード11において熱に変換される。熱は赤外線Cとしてダッシュボード11から放射される。ダッシュボード11から放射された赤外線Cは外気通路14を介して赤外線反射部材15により反射される。反射された赤外線Cは、再びダッシュボード11に入射されてダッシュボード11において熱となる。このためダッシュボード11が高温に加熱される。さらに、赤外線反射部材15は第1の補助部材の底面(ダッシュボード側の面)に配置されており、ダッシュボード11から放射された赤外線Cが第1の補助部材12に入射されない。そのために、ダッシュボード11から第1の補助部材12への放熱を防止できる。従って、ダッシュボード11に集約される熱の量を多くできる。
【0030】
ダッシュボード11の上面と第1の補助部材12の間には空間が形成されている。空間に存在する空気に対流がない場合、空気の熱伝導率は0.02W/mKと小さい。そのため、ダッシュボード11の熱が空間を介して第1の補助部材12に伝えられにくく、ダッシュボード11を加熱する熱の量を多くできる。また、空間はダッシュボード11の上面全体に形成されている。空間を外気通路14とすることで、ダッシュボード11の上面全体を外気Bと接触できるため、冷却しやすい。
【0031】
内装材本体部として車両1のダッシュボード11を用いている。そのため、フロントガラス10を透過した太陽光Aにより加熱されたダッシュボード11の熱が車室内18に放熱されるのを低減できる。また、ダッシュボード11の熱は外気通路14を流れる外気Bにより冷却されるため、車室内18の空調負荷が低減される。
【0032】
第1の補助部材12の両面は平坦であるため、第1の補助部材12を形成しやすい。さらに、ダッシュボード11の上面に第1の補助部材12を配置しやすい。また、第1の補助部材12の底面に赤外線反射部材15を配置しやすい。
【0033】
冷却手段が外気通路14であるため、外部の冷熱発生装置を用いることなくダッシュボード11を冷却できる。
【0034】
第1の補助部材12は透明な樹脂で形成されている。そのため、車両に入射された太陽光Aの少なくとも一部は第1の補助部材12を透過してダッシュボード11に入射される。従って、ダッシュボード11から車室内18に放熱される熱の量を低減でき、外気通路14を通して冷却可能な熱の量を多くできる
【0035】
前記した実施形態は以下の作用効果を有する。
(1)太陽光Aが入射される位置に配置されたダッシュボード11には、上側(太陽光Aが入射される側)に透明な樹脂である第1の補助部材12が配置され、第1の補助部材12よりも太陽光Aの入射される側とは反対側(ダッシュボード11の側)にかつダッシュボード11と熱的に結合して冷却手段としての外気通路14が設けられている。そのため、ダッシュボード11を高温に加熱でき、外気通路14を通して冷却可能な熱の量が多くなる。また、車室内への放熱量が低減される。
【0036】
(2)第1の補助部材12には赤外線反射部材15が備えられている。ダッシュボード11から放射された赤外線Cは赤外線反射部材15によりダッシュボード11の側に反射されるため、ダッシュボード11から車室内18に放熱される熱の量を低減でき、外気通路14を通して冷却可能な熱の量を多くできる
【0037】
(3)赤外線反射部材15は第1の補助部材12の底面(ダッシュボード11側の面)に配置されている。そのため、ダッシュボード11から第1の補助部材12への放熱を防止できる。
【0038】
(4)ダッシュボード11の上面と第1の補助部材12の間には空間が形成されている。そのため、ダッシュボード11の熱が空間を介して第1の補助部材12に伝えられにくく、ダッシュボード11を加熱する熱の量を多くできる。また、空間に外気通路14を形成することで、ダッシュボード11の上面全体を外気Bと接触できるため、冷却しやすい。
【0039】
(5)内装材本体部が車両のダッシュボード11であるため、車室内18への放熱が低減されることで、車室内18の温度上昇を防止できる。また、車室内18の空調負荷が低減される。
【0040】
(6)第1の補助部材12の両面は平坦であるため、第1の補助部材12を形成しやすい。さらに、ダッシュボード11の上面に第1の補助部材12を配置しやすい。また、第1の補助部材12の底面に赤外線反射部材15を配置しやすい。
【0041】
(7)冷却手段が外気通路14を通過する外気Bであるため、外部の冷熱発生装置を用いることなくダッシュボード11を冷却できる。
【0042】
(第2の実施形態)
図3に示す第2の実施形態は、第1の実施形態における第1の補助部材12の構成及びダッシュボード11における第1の補助部材12の配置を変更したもので、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0043】
図3に示すように、ダッシュボード21の上面(太陽光Aが入射される側の面)には第2の補助部材22が配置されている。ダッシュボード21の上面と第2の補助部材22の間に空間は設けられておらず、ダッシュボード21と第2の補助部材22とは接触している。第2の補助部材は透明の樹脂製であり、両面が平坦な板状である。第2の補助部材22の上面(太陽光Aが入射される側、ダッシュボード21とは反対側)は全面が赤外線反射部材25で覆われている。ダッシュボード21の上面は第2の補助部材22によって隙間なく覆われている。太陽光Aは赤外線反射部材25及び第2の補助部材22を通過してダッシュボード21の表面に入射される。ダッシュボード21に入射した太陽光Aの一部は赤外線Cに変換され、ダッシュボード21の表面から赤外線Cとして放射される。赤外線Cとして放射された熱の一部は第2の補助部材22に伝えられる。また残りの熱は赤外線Cとして赤外線反射部材25で反射される。反射された赤外線Cは第2の補助部材22を介してダッシュボード21に再び入射され、熱に変換される。
【0044】
図3に示すように、第2の補助部材よりも太陽光Aが入射される側とは反対側にヒートパイプ24が設けられている。ダッシュボード21の内部にはダッシュボード21と熱的に結合して冷却手段としてのヒートパイプ24が設けられている。ヒートパイプ24の端部は車室外に設けられている。ヒートパイプ24の内部には作動流体Dが循環されている。ヒートパイプ24においてダッシュボード21の内部に埋設されている箇所(ダッシュボード21と接触されている箇所)において、作動流体Dが熱により蒸発される。蒸発された作動流体Dは、ヒートパイプ24において車室外に設けられた端部において凝縮されることで熱を車室外に放出する。
【0045】
従って、この実施形態によれば、第1の実施形態における(1)〜(7)と同様の効果の他に次の効果を得ることができる。
【0046】
(8)第2の補助部材22はダッシュボード21の上面に接触して配置されている。そのため、固定部材等によりダッシュボード21と第2の補助部材22の間に空間を形成する必要がなく、第2の補助部材22をダッシュボード21の上部(太陽光Aが入射される側)に配置するのが容易である。
【0047】
(9)内部の作動流体Dを高温に加熱することができる。そのため、冷却手段として、作動流体Dの蒸発潜熱を用いて冷却するヒートパイプ24を採用することができる。冷却手段にヒートパイプを用いる場合、冷媒を循環する装置が不要である。また、少ない量の冷媒で冷却できる。
【0048】
(10)ダッシュボード21の内部に冷却手段としてのヒートパイプ24が設けられているため、ダッシュボード21と第2の補助部材22との間に、冷却手段を備えるための空間を形成する必要がない。
【0049】
本発明は、前記した実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、次のように実施することができる。
【0050】
○第1の実施形態において、冷却手段は外気通路14及び外気Bでなくてもよい。例えば、不凍液のような液体の冷媒や、沸騰冷媒であってもよく、外部の冷熱源により冷却された冷風により冷却されてもよい。また、冷却手段が銅、アルミ、銀あるいはダイヤモンド等の高熱伝導材であってもよい。その場合、高熱伝導材の少なくとも一部が例えば車室外に設けられることで、高熱伝導材が外気等により冷却され、ダッシュボード11の熱が高熱伝導材を通じて車室外に排気させる。
【0051】
○第1の実施形態において、外気Bが車外から外気供給路19に供給される供給口にフィルタが設けられていてもよい。この場合、外気Bに混入された塵、油又は水滴といった異物がフィルタにより除去されるため、外気通路14や第1の補助部材の汚染を防止することができる。
【0052】
○第1の実施形態において、外気通路14はダッシュボード11と第1の補助部材12との間の空間に形成されなくてもよい。例えば、外気通路14がダッシュボード11の内部に設けられてもよい。また、ダッシュボード11と第1の補助部材12との間の空間の間隔が変更可能であってもよい。その場合はダッシュボード11から空間に放熱される熱の量を調整することができる。
【0053】
○第1の実施形態において、ダッシュボード11と第1の補助部材12との間の空間が真空であってもよい。ここで真空とは必ずしも0Paを指すのではなく、500Pa以下であることが好ましい。空間が真空である場合、空間に外気が存在しないため、外気に含まれる水滴や粉塵などの物質が空間に混入されない。また、空間が真空である場合には空間が熱伝導しないため、空間を介して第1の補助部材12に伝えられる熱の量を低減できる。また、空間が真空である場合には、ダッシュボード11の内部(ダッシュボード11において第1の補助部材が配置される側と反対側)に冷却手段が設けられていればよい。
【0054】
○第1の実施形態において、第1の補助部材12は樹脂製でなくてもよい。太陽光Aを透過可能であればよく、例えば、ガラスであってもよい。また、第1の補助部材12の太陽光Aの透過率は50%以上であることが好ましく、さらに好ましくは70%以上である。
【0055】
○第1の実施形態において、内装材本体部はダッシュボード11でなくてもよく、例えばリアトリムのように、車両の窓付近に設けられたパネルであってもよい。また、移動体は車両でなくてもよい。例えば、電車、航空機、あるいは船であってもよい。
【0056】
○第1の実施形態において、赤外線反射部材15は第1の補助部材12の底面(ダッシュボード11側の面)に配置されていなくてもよい。例えば、第1の補助部材12の上面(太陽光Aが入射される側の面)に配置されていてもよく、第1の補助部材12内部の所定の位置に配置されていてもよい。また、赤外線反射部材15が第1の補助部材12の表面全体を覆っていなくてもよい。例えば、第1の補助部材12の一部に赤外線反射部材15が配置されていてもよい。
【0057】
○第1の実施形態において、固定部材13が用いられなくてもよい。例えば、第1の補助部材12の周囲に凸部が形成されており、凸部がダッシュボード11側に配置されることでダッシュボード11と第1の補助部材12の間に空間が形成されてもよい。
【0058】
○第1の実施形態において、第1の補助部材12と固定部材13との固定は接着材により成されなくてもよい。例えばビス等の部材で固定されてもよい。また、第1の実施形態及び第2の実施形態において、第1の補助部材及び第2の補助部材は、ダッシュボード11及びダッシュボード21の上部において着脱可能であってもよい。
【0059】
○第1の実施形態及び第2の実施形態において、第1の補助部材12及び第2の補助部材22は、赤外線Cを反射可能な材質で形成されていてもよい。例えば、第1の補助部材12及び第2の補助部材22が赤外線反射部材15あるいは赤外線反射部材25で形成されていてもよい。また、第1の補助部材12及び第2の補助部材22が調光ガラスや調光フィルムで形成されていてもよい。その場合は、太陽光の熱を日射量によって制御することができる。
【0060】
○第1の実施形態及び第2の実施形態において、第1の補助部材12及び第2の補助部材22は複数設けられていてもよい。また、複数設けられる場合はダッシュボード11及びダッシュボード21の上面から太陽光Aが入射される方向に直列に配置されるのが好ましい。
【0061】
○第1の実施形態及び第2の実施形態において、第1の補助部材12及び第2の補助部材22は面が平坦に形成されていなくてもよい。例えば、表面に凹凸が形成されていてもよい。また、第1の補助部材12及び第2の補助部材22は、板状でなくてもよい。例えばビニールのようなシート状であってもよく、両面が平行でなくてもよい。
【0062】
○第1の実施形態及び第2の実施形態において、ダッシュボード11及びダッシュボード12から回収された熱は、車室外に排気されなくてもよい。例えば、車室内あるいは車室内に設けられた蓄熱器に熱が回収されてもよい。
【0063】
○第1の実施形態及び第2の実施形態において、外気Bや作動流体Dの流入を制御してもよい。例えば、冬場で車室内を冷房する必要のない場合には外気Bや作動流体D等の冷媒が流入されなくてもよい。
【0064】
○第2の実施形態において、第2の補助部材22はダッシュボード21と一体に形成されてもよい。例えば、ダッシュボード21の上面(太陽光が入射される側の面)が第2の補助部材22であってもよい。
【0065】
○第2の実施形態において、冷却手段はヒートパイプ24でなくてもよい。例えば、ダッシュボードと接触して設けられた流路を流れる外気や冷媒等であってもよい。また、ヒートパイプ24は第2の実施形態に記載した構成に限らない。例えば、ヒートパイプ24にエバポレータや冷却用のフィン等が備えられていてもよい。
【0066】
○第2の実施形態において、ダッシュボード21と第2の補助部材22の間に空間が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
11 ダッシュボード
A 太陽光
12 第1の補助部材
14 外気通路
15 赤外線反射部材
21 ダッシュボード
22 第2の補助部材
25 赤外線反射部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体内において太陽光が入射する位置に配置される内装材であって、
内装材本体部と、
前記内装材本体部の表面に配置され、前記太陽光を透過可能である補助部材と、
前記補助部材よりも少なくとも太陽光が入射される側と反対側に配置され、前記内装材本体部と熱的に結合される冷却手段とを備えることを特徴とする内装材。
【請求項2】
前記補助部材は赤外線を反射可能である赤外線反射部材を備えることを特徴とする、請求項1に記載の内装材。
【請求項3】
前記補助部材は前記内装材本体部の表面との間に間隔をあけて配置されることを特徴とする、請求項1あるいは2に記載の内装材。
【請求項4】
前記移動体は車両であることを特徴とする、請求項1〜3に記載の内装材。
【請求項5】
前記内装材本体部はダッシュボード又はリアトリムであることを特徴とする、請求項4に記載の内装材。
【請求項6】
前記補助部材の表面は平坦に形成されることを特徴とする、請求項1〜5に記載の内装材。
【請求項7】
前記補助部材は前記太陽光の透過率が50%以上であることを特徴とする、請求項1〜6に記載の内装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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