説明

内装構造及び内装構造用部材

【課題】 地震等によって振動力が加わった場合に、下地ボードに生じる変形を防止することができるとともに、ヨレや剥がれ等のない良好な化粧用シートの維持が可能な内装構造及び隙間許容部材を提供する。
【解決手段】 隙間許容部材1は、下地ボード4の他方近接側の表面4bに固定される固定部10と、該固定部10から下地ボード5の方向に延出して該下地ボード5に当接する弾性変形可能な変形部11とを有してなるもので、該変形部11は固定部10の端部から躯体2側に延出する第1板部16と、該第1板部16の先端側から折り返しつつ下地ボード5側に延出する第2板部17とにより構成され、下地ボード4,5の表面4a,5aに貼着される化粧用シート22,23の端末部が、変形部11の室内側に収められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等により生じる振動によって、下地ボードに貼着された化粧用シートにヨレや剥がれが生じることを防止することのできる内装構造及び内装構造用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、隣り合う下地ボード同士を互いに直交をなすよう配置してなる内装構造として、地震等により生じる振動によって下地ボードが波打ったり割れたりすることを防止するために、下地ボード同士を隙間をあけて躯体に固定することにより間に目地を設けてなる構造が採用されている。このような構造においては、下地ボード同士の隙間の変化を許容した状態で目地の躯体を覆うようにして一方の下地ボード側に内装構造部材が固定されている。この内装構造用部材として、他方の下地ボード側に延出してこの下地ボードに当接する中空の可撓性の変形部を有したものが開示されている。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−228606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように互いに直交をなすよう配置してなる下地ボード同士を隙間をあけた状態で躯体に固定する構造では、両下地ボードの表面に貼着される化粧用シートの一部が目地に巻き込まれるようにして収められる。つまり、一方の下地ボードに設けられた内装構造用部材の変形部と、この変形部が当接する他方の下地ボードとの間に化粧用シートの一部が挟持されることになる。このように、下地ボードと内装構造用部材との間に化粧用シートを挟持すると躯体の微動によって空気の移動が生じた場合に、下地ボードと内装構造用部材との間の通気性を有する化粧用シートを介して通気が行われ、その結果、大気中の浮遊物が化粧用シートに付着し白い化粧用シートが黒ずむ場合がある。また、それと同時に化粧用シートのヨレや剥がれが生じる等の問題があった。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、地震等によって振動力が加わった場合に、下地ボードに生じる変形を防止することができるとともに、ヨレや剥がれ等のない良好な化粧用シートの維持が可能な内装構造及び内装構造用部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明において上記目的を達成するために、まず請求項1に係る発明は、複数の下地ボードを、これら下地ボード間に隙間を設けて躯体に配置するとともに、これら下地ボード同士の隙間の変化を許容した状態でこれら下地ボード間の目地の前記躯体を覆う内装構造用部材を前記下地ボードに固定してなる内装構造において、前記内装構造用部材は、一方の下地ボードの他方近接側の表面に固定される固定部と、該固定部から他方の下地ボードの方向に延出して該他方の下地ボードに当接する弾性変形可能な変形部とを有してなるもので、該変形部は前記固定部の端部から前記躯体側に延出する第1板部と、該第1板部の先端側から折り返しつつ前記他方の下地ボード側に延出する第2板部とにより構成され、前記下地ボードの表面に貼着される化粧用シートの端末部が、前記変形部の室内側に収められることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、複数の下地ボードを、これら下地ボード間に隙間をあけて躯体に固定することにより間に目地を設けてなる内装構造に用いられ、これら下地ボード同士の隙間の変化を許容した状態で前記目地の前記躯体を覆うもので、前記下地ボードとともに化粧用シートが貼着される内装構造用部材であって、一方の下地ボードの他方近接側の表面に固定される固定部と、該固定部から他方の下地ボードの方向に延出して該他方の下地ボードに当接する弾性変形可能な変形部とを有してなり、該変形部は前記固定部の端部から前記躯体側に延出する第1板部と、該第1板部の先端側から折り返しつつ前記他方の下地ボード側に延出する第2板部とにより構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、内装構造用部材を下地ボード間に設けることで、躯体の微動による下地ボード同士の隙間の変化に追従することができるとともに、化粧用シートの端末部を内装構造用部材と下地ボードとの間に挟持させずに変形部の室内側に収めることによって、化粧用シートの通気が遮断されることになるため、空気の移動に伴う化粧用シートの黒ずみを防止することができるとともに隙間ラインでの化粧用シートの貼着状態を良好に保つことができ、つなぎ目部分の目隙きをなくすことができる。さらに、化粧用シートが変形部の弾性変形に追従することになるため躯体の微動等による化粧用シートのヨレや浮き剥がれを防止することができる。また、変形部は、下地ボードに貼着された化粧用シートに当接するのではなく、下地ボードの化粧用シートが貼着されない部分に当接することになるため、化粧用シートにヨレが生じてしまうことがない。よって、外観上良好な化粧用シートの貼着状態を維持することが可能となる。このような効果は、躯体の横或いは縦逸れにより下地ボード同士が平行移動した場合であっても、内装構造用部材取付け側の下地ボードに貼着された化粧用シートと他方の下地ボードに貼着された化粧用シートが変形部で分離されているため、ヨレが発生しない。このことは、内装構造用部材取付け側の他方の下地ボードに貼着された化粧用シートの端末部は、内装構造用部材の第2板部の表面に接着されている状態であり、この部分は下地ボードの表面に貼着した部分よりも接着力が弱く、特に、化粧用シート貼り用の接着剤は合成樹脂表面への接着性が悪い特性から、下地ボード同士が平行方向に振動が加わった際に剥がれることにより、化粧用シート全体に影響が及ばないことから、ヨレの発生防止に作用するものと推測される。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、変形部を下地ボード間に設けることで、躯体の微動による下地ボード同士の隙間の変化に追従することができる。また、化粧用シートの端末部を変形部の室内側に収めることができるので化粧用シートの通気を遮断することができる。これにより、通気に伴う化粧用シートの黒ずみを防止することができるとともに隙間ラインでの化粧用シートの貼着状態を良好に保つことができ、つなぎ目部分の目隙きをなくすことができる。さらに、化粧用シートが変形部の弾性変形に追従することになるため躯体の微動等による化粧用シートのヨレや浮き剥がれを防止できる。また、変形部は、下地ボードに貼着された化粧用シートに当接させるのではなく、下地ボードの化粧用シートが貼着されない部分に当接させることになり、化粧用シートにヨレが生じてしまうことがない。よって、外観上良好な化粧用シートの貼着状態を維持することが可能となる。このような効果は、躯体の横或いは縦逸れにより下地ボード同士が平行移動した場合であっても、内装構造用部材取付け側の下地ボードに貼着された化粧用シートと他方の下地ボードに貼着された化粧用シートが変形部で分離するように設けることにより、ヨレの発生を防止することができる。このことは、内装構造用部材取付け側の他方の下地ボードに貼着された化粧用シートの端末部が内装構造用部材の第2板部の表面に接着されている状態であり、この部分は下地ボードの表面に貼着した部分よりも接着力が弱く、特に、化粧用シート貼り用の接着剤は合成樹脂表面への接着性が悪い特性から、下地ボード同士が平行方向に振動が加わった際に剥がれることにより、化粧用シート全体に影響が及ばないことから、ヨレの発生防止に作用するものと推測される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の第1実施形態を図1から図3を参照して以下に説明する。
図1は、第1実施形態の内装構造を壁構造に適用した例を示すものであって、表側(室内側)が平坦な面部2aと該面部2aに対し垂直をなす平坦な面部2bとされた入隅部6を形成するコンクリートからなる躯体2と、該躯体2の面部2a,2bに固定された隣り合う一対の同厚の下地ボード4,5と、面部2a,2bに各下地ボード4,5を固定するための接着剤30,31とから構成されている。なお、下地ボード4,5は下地構成材にビス止めされているものであっても良い。
【0010】
両下地ボード4,5同士は、躯体2の各面部2a,2bに固定されることにより、略直交をなして配置されており、しかも、この状態で、一方の下地ボード4の室内側の表面4bに対し直交する側面(対向面)4aと他方の下地ボード5の室内側の表面(対向面)5bとを相互に平行に対向させるよう相互に隙間をあけていて、これら側面4a及び表面5bの間に隙間すなわちボード目地Wを形成している。
【0011】
ボード目地Wには、該ボード目地Wの変化すなわち隣り合う下地ボード4,5同士の隙間の変化を許容した状態で躯体2を覆う合成樹脂製の隙間許容部材(内装構造用部材)1が設けられている。この隙間許容部材1は、一方の下地ボード4に固定されるもので、所定肉厚を有する平面視長方形状の固定部10と、該固定部10の幅方向一端から他方の下地ボード5の方向に延出する断面視略V字形状の変形部11とから構成され、これら固定部10及び変形部11は、押出成形で一体的に形成されている。
【0012】
固定部10は、図2に示すように、表面に連続する凹凸45を有するとともに幅方向一端側が先端側ほど薄厚形状となるよう形成されている。また、図3に示すように、長手方向に沿うようにして多数のひし形貫通孔12を幅方向中央部に1列で整列させ、その両側に1列ずつ整列状態で多数の貫通孔13を有している。
【0013】
上記固定部10の幅方向一方の端部から他方の下地ボード5側に延出するようにして設けられる変形部11は、図1に示すように、固定部10の端部から該固定部10に対して垂直をなして躯体2側に側面4aに沿って延出する平板状の第1板部16と、該第1板部16の先端側から折り返しつつ他方の下地ボード5側に延出する平板状の第2板部17とにより断面視略V字形状に構成され、該第2板部17は第1板部16に対して所定の角度θで折り返されている。すなわち、図2に示すように、第1板部16の表面16bと第2板部17の表面17bとのなす角が角度θとなっている。なお、変形部11の第2板部17の板厚は、先端に行くにしたがって薄く形成されている。
【0014】
このような変形部11は、第1板部16及び第2板部17の境界端部とは反対側の端部同士の接離に伴って、第1板部16及び第2板部17のなす角度θが随時可変することにより、その延出方向に弾性的な伸縮性を有したものとなる。変形部11は、その伸縮性から下地ボード4,5の相互接離方向に伸縮変形することで隙間の変化に追従する。またこのことから、変形部11の下地ボード5への当接状態が確実となって、下地ボード4,5間の隙間の躯体2を常に覆うことになる。なお、固定部10の表面には、第1板部16側の端部から表面に形成された凹凸45に続くようにして外方へと突出する突条部19(図2参照)が設けられ、これにより固定部10と第1板部16との連結部分が強化される。
【0015】
そして、この隙間許容部材1は、変形部11の第2板部17の先端を下地ボード5に当接させる程度に下地ボード4,5の間に設けられた状態で、固定部10が下地ボード4の表面4bに接着パテ等で固定される。
【0016】
上記のようにして下地ボード4に固定された隙間許容部材1の固定部10から下地ボード4の表面4bにかけて下地パテ20を塗布して表側を平滑にする。そして、該下地パテ20及び下地ボード4の表面4b側に、化粧用シート22が貼られており、この化粧用シート22は端末部側が隙間許容部材1の固定部10に塗布された下地パテ20を覆って第1板部16に貼着されている。さらに下地ボード5の表面5bにも同様の化粧用シート23が貼られていて、この化粧用シート23は、端末部が隙間許容部材1の第2板部17に貼着されている。その結果、これら化粧用シート22,23の相互近接側の端末部が変形部11の室内側の表面にともに収められている。化粧用シート22,23は、下地ボード4の表面に接着剤を用いて貼着され、これら化粧シートの端末部を変形部11へ巻き込む寸法を見込んでカットされ、各端末部をヘラ等を用いて変形部11に押入れて収める。また、化粧シート貼り用の接着剤は貼り直し可能な性質により、これら化粧用シート22、23を仮貼りして体裁を整えた後、各端末部を変形部11内に収めることも可能である。
このように端末部を変形部11の表面(室内側)に収めることで、化粧用シート22,23を介した躯体2側への通気が遮断されることになる。また、第2板部17の先端を薄く形成しておくことによって化粧用シート22,23の各端末部を挿入する際にヘラが当たってしまうことがない。
【0017】
次に、以上の内装構造の施工について説明する。躯体2の面部2a,2bの適宜の位置に接着剤30,31を塗り、下地ボード5の表面5bに下地ボード4の側面4aを突き合わせ状態にする。そして、下地ボード5の表面5bと下地ボード4の側面4aとの間に隙間許容部材1の変形部11を挿入可能な隙間を設け、これら下地ボード4,5を躯体2に塗られた接着剤30,31に押し当てて固定する。
【0018】
下地ボード5の表面5b及び下地ボード4の側面4aの間の隙間は、隙間許容部材1を下地ボード4に添えて定規代わりにすることで変形部11に沿った隙間を形成することができる。これにより、下地ボード5の表面5b及び下地ボード4の側面4aの間にボード目地Wが形成される。このボード目地Wに変形部11を挿入した状態で固定部10を下地ボード4に接着させる。
【0019】
さらに、隙間許容部材1が下地ボード4に固定された状態で、図1に示すように、固定部10から下地ボード4の表面4bにかけて下地パテ20を塗布して表側を平滑にする。そして、同図に示すように、下地ボード4の表面4b及び下地パテ20の表面に化粧用シート22を、下地ボード5の表面5bに化粧用シート23を、それぞれ貼り付け、これら化粧用シート22,23の近接側の各端末部を変形部11の表面(室内側)上に収める。
【0020】
以上に述べた内装構造及び隙間許容部材1によれば、地震等による振動力が加わった場合にも、隙間許容部材1を下地ボード4,5間に設けることで、躯体2の微動による下地ボード4,5同士の隙間の変化に追従することができる。つまり、微動に伴い第1板部16と第2板部17とのなす角度θが随時変化することによって下地ボード4,5同士の隙間の変化に追従でき、隙間をあけることなく微動を吸収することになる。さらに、微動の吸収は角度θの変動だけでなく、固定部10に対する変形部11の回動によっても可能である。つまり、固定部10は、変形部11と同じ弾性変形可能な材質のため、変形部11の動きに即した変形が可能である。したがって、変形部11が、固定部10に対して境界部分を中心に回動することにより、微動による下地ボード5の側面5aと躯体2の面部2aとの隙間の変化に追従することができるので微動の吸収が可能となる。
【0021】
また、化粧用シート22,23を隙間許容部材1と下地ボード4,5との間に挟持させずに第1板部16及び第2板部17の表面16b,17bに貼着させることによって、化粧用シート22,23の通気が遮断され、空気の移動に伴う化粧用シート22,23の黒ずみを防止することができる。
【0022】
そして、上述のように、各下地ボード4,5に化粧用シート22,23をそれぞれ貼着する場合にも、各化粧用シート22,23の各端末部を変形部11の表面(室内側)に貼着することによって、化粧用シート22,23のつなぎ目部分を外部から目立たなくすることができるので隙間ラインでの化粧用シート22,23の貼着状態を良好に保つことができるとともに、つなぎ目部分の目隙きをなくすことができる。
【0023】
さらに、化粧用シート22,23が変形部11の変形に追従することになるため躯体2の微動等による化粧用シート22,23のヨレや浮き剥がれを防止できる。よって、外観上良好な化粧用シート22,23の貼着状態を維持することが可能となる。
【0024】
また、変形部11は、下地ボード5に貼着された化粧用シート23に当接するのではなく、下地ボード5の化粧用シート23が貼着されない部分に当接することになり、化粧用シート23にヨレが生じてしまうことがない。
【0025】
また、固定部10の表面に設けられた連続する凹凸45によって化粧用シート22を貼着する表面積が増えて接着性が向上し、微動による化粧用シート22のズレを防止することができるのでより確実かつ良好な化粧用シート22の貼着を可能にする。
【0026】
このような効果は、躯体2の横或いは縦逸れにより下地ボード4,5同士が平行移動した場合であっても、隙間許容部材1の取付け側の下地ボード4に貼着された化粧用シート22と他方の下地ボード5に貼着された化粧用シート23が変形部11で分離されているため、ヨレが発生しない。このことは、隙間許容部材1の取付け側の他方の下地ボード4に貼着された化粧用シート22の端末部は、隙間許容部材1の第2板部17の表面17bに接着されている状態であり、この部分は下地ボード4の表面4bに貼着した部分よりも接着力が弱く、特に、化粧用シート貼り用の接着剤は合成樹脂表面への接着性が悪い特性から、下地ボード4,5同士が平行方向に振動が加わった際に剥がれることにより、化粧用シート22,23の全体に影響が及ばないことから、ヨレの発生防止に作用するものと推測される。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態を主に図4を参照して以下に説明する。
図4は、上記内装構造に適応した第2実施形態の隙間許容部材(内装構造用部材)33を示すものである。この隙間許容部材33の変形部34は、上述した固定部10の端部から躯体2側に傾斜しつつ他方の下地ボード5側に延出する第1板部35と、この第1板部35の先端側から折り返しつつ他方の下地ボード5側に延出する第2板部36とによって形成されている。この第2板部36は、その先端が薄く形成されており、他方の下地ボード5の表面5bに沿う状態となっている。そして、第2板部36は第1板部35に対して上記角度θよりも広角となるよう所定の角度θで折り返され、したがって、第1板部35の表面35bと第2板部36の表面36bとのなす角がθとなっている。
【0028】
以上に述べた第2実施形態によれば、第1板部35が固定部10に対して傾斜した状態となっていることから、変形部34が下地ボード5側へとさらに延出することになって、下地ボード4,5の間の隙間をより大きく許容することが可能となる。また、第1板部35の表面35bと第2板部36の表面36bとのなす角度θが広角となることによって、角度θの変動範囲が拡大するとともに、接離可能な第1板部35の端部及び第2板部36の端部同士の接離方向への距離が長くなるため、地震等による振動力が加わった場合に、微動による下地ボード4,5同士の隙間の、より大きな変化に追従できて微動の吸収力を高めることができる。また、微動の吸収は、角度θの変動だけでなく固定部10に対する変形部34の回動によっても可能となる。つまり、この変形部34においても弾性変形可能な固定部10によって、変形部11の動きに即した変形が可能である。したがって、変形部34が、固定部10に対して境界部分を中心に回動することにより、微動による下地ボード5の側面5aと躯体2の面部2aとの隙間の変化に追従することができるので微動の吸収が可能となる。
【0029】
次に、本発明の第3実施形態を主に図5を参照して以下に説明する。
本実施形態は、上記隙間許容部材1,33の使用を可能とする内装構造であって、第1実施形態の内装構造と異なる点は、隣り合う下地ボード4,5同士が略同一平面に配置されている点である。ここでは、隙間許容部材1を使用した場合について述べる。
両下地ボード4,5同士は、相互に隙間許容部材1の変形部11を挿入可能な隙間をあけ、対向する側面4a,5a同士を平行に配置した状態で躯体2の面部2aに接着剤30を介して固定されており、これにより、略同一平面に配置されるとともに、側面4a,5a間に隙間、すなわちボード目地Wを構成している。このボード目地Wに、上記隙間許容部材1を設けることによって下地ボード4,5間の隙間の躯体2を常に覆うことになる。しかし、下地ボード4,5同士が同一平面に配置されていることによって、一方の下地ボード4に隙間許容部材1を設けると、他方の下地ボード5の表面5bとに段差が生じてしまう。したがって、下地ボード4,5の表面高さを揃えるために他方の下地ボード5の表面5bに隙間許容部材1の変形部11を切除した固定部10のみを設けるか、固定部10と同等の厚みを有する板部を設けるかする。図中に示されるように、変形部11の第2板部17を切除したものを用いてもよい。そして、その上から下地パテ20を塗布して表側を平滑にし、化粧用シート23を貼着することによって、下地ボード4上に貼着される化粧用シート22と略同一平面にすることができる。
よって、本実施形態においても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0030】
以上に述べたことから、地震等によって振動力が躯体2に加わった場合でも、下地ボード4,5に生じる変形を防止することができるとともに、ヨレや剥がれ等のない良好な化粧用シート22,23の貼着を維持することができる。
【0031】
なお、以上においては、内装構造として壁構造を例にとり説明したが、天井構造にも適用可能であって壁と天井との境界部分にも勿論使用可能である。また、上記下地ボード4,5としては、石膏ボード、ベニヤ合板、ケイカル板等の種々のボードが適用できる。また、上記第1実施形態においては、略直角の角部を有する内装構造について述べたが、これに限らず、例えば、135度の角度を有する船底天井等にも隙間許容部材1,33の適応が可能である。また、隙間許容部材1は、必要に応じて複数の材料を用いた押出成形による一体成形品であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明における第1実施形態の内装構造及び隙間許容部材を示す平面図である。
【図2】本発明における第1実施形態の隙間許容部材を示す側面図である。
【図3】本発明における第1実施形態の隙間許容部材を示す平面図である。
【図4】本発明における第2実施形態の隙間許容部材を示す平面図である。
【図5】本発明における第3実施形態の内装構造を示す平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1,33 隙間許容部材(内装構造用部材)
2 躯体
4,5 下地ボード
10 固定部
11,34 変形部
16,35 第1板部
17,36 第2板部
22,23 化粧用シート
W ボード目地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の下地ボードを、これら下地ボード間に隙間を設けて躯体に配置するとともに、これら下地ボード同士の隙間の変化を許容した状態でこれら下地ボード間の目地の前記躯体を覆う内装構造用部材を前記下地ボードに固定してなる内装構造において、
前記内装構造用部材は、一方の下地ボードの他方近接側の表面に固定される固定部と、該固定部から他方の下地ボードの方向に延出して該他方の下地ボードに当接する弾性変形可能な変形部とを有してなるもので、
該変形部は前記固定部の端部から前記躯体側に延出する第1板部と、該第1板部の先端側から折り返しつつ前記他方の下地ボード側に延出する第2板部とにより構成され、
前記下地ボードの表面に貼着される化粧用シートの端末部が、前記変形部の室内側に収められることを特徴とする内装構造。
【請求項2】
複数の下地ボードを、これら下地ボード間に隙間をあけて躯体に固定することにより間に目地を設けてなる内装構造に用いられ、これら下地ボード同士の隙間の変化を許容した状態で前記目地の前記躯体を覆うもので、前記下地ボードとともに化粧用シートが貼着される内装構造用部材であって、
一方の下地ボードの他方近接側の表面に固定される固定部と、該固定部から他方の下地ボードの方向に延出して該他方の下地ボードに当接する弾性変形可能な変形部とを有してなり、該変形部は前記固定部の端部から前記躯体側に延出する第1板部と、該第1板部の先端側から折り返しつつ前記他方の下地ボード側に延出する第2板部とにより構成されることを特徴とする内装構造用部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−46326(P2007−46326A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231872(P2005−231872)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】