説明

内視鏡コントロールシステム、内視鏡プロセッサ、内視鏡ユニット、および内視鏡

【課題】複雑な操作を必要とすることなく入力機器を減じる。
【解決手段】電子内視鏡ユニット10は内視鏡プロセッサ20および電子内視鏡30を有する。内視鏡プロセッサ20は画像処理回路22およびシステムコントローラ24を有する。電子内視鏡30はジャイロセンサユニット33を有する。拡大観察機能の実行時、システムコントローラ24は画像の拡大率および拡大領域の位置を設定する。画像処理回路22は設定された拡大率および拡大領域となるように画像処理を施す。ジャイロセンサユニット33は操作部37の姿勢の変化を検出する。システムコントローラ24は操作部37の姿勢変化に応じて拡大率および位置を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡ユニットにおいて実行可能な機能に対する操作入力を容易にする内視鏡コントロールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
光が照射されない内部構造を観察するために、内視鏡ユニットが用いられている。内視鏡ユニットは多様な機能を有しており、これらの機能は使用者による操作入力により実行される。
【0003】
使用者は内視鏡ユニットを構成する内視鏡を持ちながら内視鏡ユニットを操作するので、内視鏡を構成する操作部に複数のボタンやダイヤルなどの入力機器が設けられる。
【0004】
多数の機能の操作入力を行うために、多くの入力機器を設ける必要があった(特許文献1参照)。しかし、大型化が望まれない操作部に多数の入力機器を設けることには限界があり、さらに使用者による操作性が低下することが問題であった。
【0005】
または、多数の機能の操作入力を行うために、それぞれの入力機器への操作入力パターンを変えることにより異なる機能を実行させることも提案されていた(特許文献2参照)。しかし、そのような操作パターンを使用者が覚える必要があるので、このような操作入力方法は好まれていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−204014号公報
【特許文献2】特公平07−063443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明では、容易な操作入力方法で内視鏡ユニットの機能を実行させる内視鏡コントロールシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡コントロールシステムは、内視鏡の操作部内に設けられ内視鏡において定められる第1の方向に沿った姿勢の変化または第1の方向を軸とした回転に応じて変わる第1の変数を検出する第1の姿勢センサと、第1の変数に基づいて内視鏡を含む内視鏡ユニットにおいて実行可能な第1の機能を実行させる入力コントローラとを備えることを特徴としている。
【0009】
また、内視鏡は電子内視鏡であって、第1の機能は電子内視鏡が撮影した画像に相当する画像信号への信号処理により画像の一部を拡大する拡大表示における設定変更機能であることが好ましい。
【0010】
また、第1の機能は拡大表示における拡大率を変更する第1の変更機能または拡大表示される画像の一部の全体における位置を変更する第2の変更機能であることが好ましい。
【0011】
また、入力コントローラは内視鏡ユニットに含まれ画像を表示するモニタに静止画像を表示するときに拡大表示を開始させることが好ましい。
【0012】
また、入力コントローラは内視鏡の挿入管の被写体の領域への挿脱を停止するときに拡大表示を開始させることが好ましい。
【0013】
また、内視鏡のオレドメ内に設けられ挿入管の挿脱状態を検出する第1のセンサを備えることが好ましい。
【0014】
また、第1のセンサはジャイロセンサであってオレドメの姿勢が変化しているときを挿脱状態として検出することが好ましい。
【0015】
また、第1のセンサはオレドメが把持されるとき圧力を検出する圧力センサであって、第1のセンサにより検出された圧力が閾値未満であるときを挿脱状態として検出することが好ましい。
【0016】
また、操作部に設けられ拡大表示を開始させるスイッチを備えることが好ましい。
【0017】
また、操作部内に設けられ第1の方向と異なる方向に定められた第2の方向に沿った姿勢の変化または第2の方向を軸とした回転に応じて変わる第2の変数を検出する第2の姿勢センサを備え、入力コントローラは内視鏡ユニットにおいて実行可能な機能であって第1の機能とは異なる第2の機能を第2の変数に基づいて実行させることが好ましい。
【0018】
また、第1の機能は第1、第2の変更機能のいずれか一方であり、第2の機能は他方であることが好ましい。
【0019】
また、第1の機能は第1の変更機能に、第2の機能は第2の変更機能に予め固定されていることが好ましい。
【0020】
また、第1の機能は第1、第2の変更機能のいずれか一方に変更可能であり、第2の機能は他方に変更可能であることが好ましい。
【0021】
また、本発明の内視鏡プロセッサは内視鏡の操作部内に設けられ内視鏡において定められる第1の方向に沿った姿勢の変化または第1の方向を軸とした回転に応じて変わる第1の変数を検出する第1の姿勢センサを操作部内に有する内視鏡が接続される内視鏡プロセッサであって、第1の変数を受信する受信部と、第1の変数に基づいて内視鏡を含む内視鏡ユニットにおいて実行可能な第1の機能を実行させる入力コントローラとを備えることを特徴としている。
【0022】
また、本発明の内視鏡ユニットは、内視鏡において定められる第1の方向に沿った姿勢の変化または第1の方向を軸とした回転に応じて変わる第1の変数を検出する第1の姿勢センサが操作部内に設けられた内視鏡と、内視鏡に接続され第1の変数に基づいて実行可能な第1の機能を実行させる入力コントローラを有する内視鏡プロセッサとを備えることを特徴としている。
【0023】
また、本発明の内視鏡は、操作部内に設けられ内視鏡において定められる第1の方向に沿った姿勢の変化または第1の方向を軸とした回転に応じて変わる第1の変数を検出する第1の姿勢センサと、第1の変数を第1の変数に基づいて内視鏡を含む内視鏡ユニットにおいて実行可能な第1の機能を実行させる入力コントローラを有する内視鏡プロセッサに送信する送信部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、操作部の姿勢を変化させることで第1の機能を実行させることが可能となる。したがって、操作部に設ける入力機器を減少させることが可能であり、製造の簡略化および製造コストの低減化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態を適用した内視鏡コントロールシステムを含む内視鏡ユニットの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】操作部に対して定められる第1〜第3の方向を説明するために、操作部が使用者に把持されている状態を示す外観図である。
【図3】画像全体における拡大領域の大きさと位置とを説明するための図である。
【図4】システムコントローラにより実行される拡大観察処理の第1のフローチャートである。
【図5】システムコントローラにより実行される拡大観察処理の第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を適用した内視鏡コントロールシステムを有する内視鏡ユニットの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【0027】
内視鏡ユニット10は、内視鏡プロセッサ20、電子内視鏡30、およびモニタ11によって構成される。内視鏡プロセッサ20は、電子内視鏡30、およびモニタ11に接続される。
【0028】
内視鏡プロセッサ20から被写体を照明するための照明光が電子内視鏡30に供給される。照明光を照射された被写体が電子内視鏡30により撮像される。電子内視鏡30の撮像により生成する画像信号が内視鏡プロセッサ20に送られる。
【0029】
内視鏡プロセッサ20では、電子内視鏡30から得られた画像信号に対して所定の信号処理が施される。所定の信号処理を施した画像信号はモニタ11に送信され、送信された画像信号に相当する画像がモニタ11に表示される。
【0030】
次に、内視鏡プロセッサ20の構成について説明する。内視鏡プロセッサ20には光源システム21、画像処理回路22、SDRAM23、およびシステムコントローラ24(入力コントローラ)などが設けられる。
【0031】
光源システム21からは、電子内視鏡30に供給する照明光が出射される。後述するように、画像処理回路22では、電子内視鏡30が生成する画像信号に対して所定の信号処理が施される。後述するように、SDRAM23は画像処理回路22のワークメモリとして用いられる。後述するように、システムコントローラ24により内視鏡ユニット10の各部位の動作が制御される。
【0032】
内視鏡プロセッサ20と電子内視鏡30とを接続すると、光源システム21と電子内視鏡30に設けられるライトガイド31とが光学的に接続される。また、内視鏡プロセッサ20と電子内視鏡30とを接続すると、画像処理回路22と電子内視鏡30に設けられる撮像素子32とが、システムコントローラ24と電子内視鏡30に設けられるジャイロセンサユニット33(第1の姿勢センサ、送信部)および圧力センサ34(第1のセンサ)とが電気的に接続される。
【0033】
次に電子内視鏡30の構成について説明する。電子内視鏡30には、ライトガイド31、撮像素子32、ジャイロセンサユニット33、圧力センサ34などが設けられる。
【0034】
ライトガイド31は、内視鏡プロセッサ20と接続されるコネクタ35から挿入管36の先端まで延設される。光源システム21から出射した照明光がライトガイド31の入射端に入射される。入射端に入射した照明光は出射端まで伝達される。出射端に伝達された照明光が挿入管36の先端方向の被写体に照射される。
【0035】
照明光が照射された被写体の反射光による光学像が、挿入管36の先端に設けられた対物レンズ(図示せず)により、撮像素子32の受光面に結像する。撮像素子32は一定の周期、例えば、1/60秒毎に受光面に結像した光学像に相当する1フレームの画像信号を生成するように駆動される。生成された画像信号は、画像処理回路22に送信される。
【0036】
ジャイロセンサユニット33は、操作部37内に設けられる。ジャイロセンサユニット33により、操作部37の姿勢が検出される。操作部37には、互いに直交する第1〜第3の方向(図1において図示せず)が定められている。ジャイロセンサユニット33により、第1〜第3の方向それぞれを基準軸とした操作部37の回転時の第1〜第3の角速度が検出される。検出された第1〜第3の角速度はシステムコントローラ24に信号として送信される。
【0037】
なお、図2に示すように、操作部37の長手方向が第1の方向d1に定められる。第1の方向d1に垂直で、互いに垂直な2方向が第2、第3の方向d2、d3に定められる。
【0038】
なお、操作部37には適した把持姿勢が定められており、使用者には定められた把持姿勢で操作部37を把持するように推奨されている。操作部37の長手方向と使用者の人差し指から小指までが並ぶ方向とが平行であって、操作ダイヤル38が設けられた面の反対面が掌と相対する姿勢が、適した把持姿勢として定められる。
【0039】
使用者が手首を伸ばした状態すなわち上腕から手首を屈曲させていない状態において、定められた把持姿勢で操作部37が把持されるときに、上腕と平行で上腕から手首に向かう方向である方向が第2の方向d2、上腕と垂直で上腕側から見て右方向が第3の方向d3に定められる。
【0040】
圧力センサ34は、オレドメ39内に設けられる。オレドメ39は可撓性を有しており、使用者がオレドメ39を把持すると、圧力センサ34が押圧される。圧力センサ34が押圧されると、押圧状態を示す圧力信号がシステムコントローラ24に送信される。
【0041】
第1〜第3の角速度信号および圧力信号の送信時に、システムコントローラ24により実行される機能については、後述する。
【0042】
前述のように、撮像素子32により生成された画像信号は、画像信号処理回路22に送信される。画像信号処理回路22に受信された画像信号は、SDRAM23に格納される。画像信号処理回路22により、SDRAM23に格納された画像信号に対して所定の画像処理が施される。
【0043】
画像処理が施された画像信号はモニタ11に送信される。モニタ11には、受信した画像信号に相当する画像が表示される。前述のように、撮像素子32は1/60秒毎に画像信号を生成するように駆動され、モニタ11にも1/60秒毎に画像信号が送信される。1/60秒毎に表示する画像を切換えることにより、モニタ11には動画像が表示される。
【0044】
前述のように、内視鏡ユニット10では、モニタ11にリアルタイムの動画像が表示されるが、静止画を表示させることも可能である。操作部37に設けられるフリーズボタン(図示せず)をONすると、システムコントローラ24によって静止画表示のための制御が開始される。静止画表示では、同一のフレームの画像信号が画像処理回路22を介してSDRAM23から読出され、モニタ11に送信されることにより、受信した画像信号に相当する画像が表示され続ける。
【0045】
内視鏡ユニット10には、拡大観察機能が設けられる。拡大観察機能は、静止画表示時または圧力センサ34からの圧力信号の受信時に、システムコントローラ24により拡大観察の制御が実行される。
【0046】
拡大観察機能を実行すると、図3に示すように拡大画像として表示する領域である拡大領域PAの大きさと受光した画像全体EAにおける位置とがシステムコントローラ24により定められる。
【0047】
拡大観察機能の実行開始時には、拡大領域PAの大きさは画像全体EAと同じ大きさに定められ、画像全体EAの中心位置が拡大領域PAの中心位置に定められる。拡大領域PAの大きさと位置とが、データとして画像処理回路22に送信される。なお、拡大領域PAの大きさおよび位置は、使用者の操作により変更可能である。また、前回の拡大観察機能の終了時の大きさや位置に定められてもよい。
【0048】
画像処理回路22によって、SDRAM23に格納された画像信号から、拡大領域PAに相当する信号成分が抽出される。さらに、画像処理回路22では、抽出した信号成分に拡大処理が施される。拡大処理により、抽出された信号成分に相当する部分画像が全体画像と同じ大きさになるように拡大される。
【0049】
拡大処理が施された信号成分がモニタ11に送信される。モニタ11には、受信した信号成分に相当する画像が表示される。
【0050】
次に、拡大領域PAの大きさおよび位置の変更について説明する。前述のように、ジャイロセンサユニット33により、第1〜第3の角速度が検出される。
【0051】
拡大領域PAの大きさは、第1の角速度が検出されるとき、すなわち第1の方向d1を軸として操作部37を回動させるときに変更される。なお、時計回りに回転させるときに拡大率が増加され、反時計回りに回転させるときに拡大率が減少される(図2参照)。
【0052】
拡大領域PAの位置は第2、第3の角速度が検出されるとき、すなわち第2、第3の方向d2、d3を軸として操作部37を回動させるときに変更される。なお、第2の方向d2を軸として時計回りに回転させるときに、拡大領域PAの位置は右方向に移動する(図2参照)。第2の方向d2を軸として反時計回りに回転させるときに、拡大領域PAの位置は左方向に移動する。また、第3の方向d3を軸として反時計回りに回転させるときに、拡大領域PAの位置は上方に移動する。第3の方向d3を軸として時計回りに回転させるときに、拡大領域PAの位置は下方に移動する。
【0053】
なお、第1、第2、および第3の方向d1、d2、d3を軸とした操作部37の回動による調整対象は、使用者により変更することも可能である。例えば、第3の方向d3を軸とした回動により拡大率が変更されるように、設定を変更することが可能である。
【0054】
次に、システムコントローラ24により実行される拡大観察処理を図4、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、拡大観察処理は、例えば1/60秒間隔で実行される割り込み処理である。
【0055】
ステップS100では、フリーズボタンが押されたか否かを判別する。フリーズボタンが押されていない場合には、拡大観察処理を終了する。フリーズボタンが押された場合には、ステップS101に進む。
【0056】
ステップS101では、静止画像を表示するように画像処理回路22を制御する。静止画像表示の制御後、ステップS102に進む。
【0057】
ステップS102では、圧力センサ34により検出された圧力が閾値を超えるか否かを判別する。圧力が閾値以下である場合には、拡大観察処理を終了する。圧力が閾値を超える場合には、ステップS103に進む。
【0058】
ステップS103では、現在の操作部37の姿勢を基準姿勢として記憶する。記憶した基準姿勢は、後の処理における拡大率や位置の変更に用いられる。基準姿勢の記憶後、ステップS104に進む。
【0059】
ステップS104では、拡大表示を行う画像の拡大率および拡大領域PAの全体における位置を初期設定値に定める。なお、前述のように、拡大率および位置の初期設定値はそれぞれ、1倍および全体画像の中心である。初期設定の終了後、ステップS105に進む。
【0060】
ステップS105では、設定した拡大率および位置の信号成分の抽出と拡大処理を、画像信号処理回路22に実行させる。拡大処理を施した信号成分を画像信号としてモニタ11に送信させる。画像信号の送信後、ステップS106に進む。
【0061】
ステップS106では、第1の角速度が検出されているか否かを判別する。第1の角速度が検出されない場合には、操作部37が第1の方向d1を軸に回動していないと判別し、ステップS110に進む。第1の角速度が検出された場合には、操作部37が第1の方向d1を軸に回動したと判別し、ステップS107に進む。
【0062】
ステップS107では、検出された第1の角速度に基づいて、操作部37の基準姿勢から第1の方向d1を軸とした回転角度を算出する。算出した回転角度に基づいて、拡大率の設定値を変更する。拡大率の変更後、ステップS108に進む。
【0063】
ステップS108では、第2、第3の角速度が検出されているか否かを判別する。第2、第3の角速度のいずれもが検出されない場合には、操作部37が第2、第3の方向d2、d3を軸に回動していないと判別し、ステップS110に進む。第2、第3の角速度の少なくとも一方が検出された場合には、操作部37が第2、第3の方向d2、d3の少なくとも一方を軸に回動していると判別し、ステップS109に進む。
【0064】
ステップS109では、検出された第2、第3の角速度に基づいて、操作部37の基準姿勢から第2、第3の方向d2、d3を軸とした回転角度を算出する。算出した回転角度に基づいて、位置の設定値を変更する。位置の変更後、ステップS110に進む。
【0065】
ステップS110では、圧力センサ34により検出された圧力が閾値を超えるか否かを判別する。圧力が閾値を超える場合には、ステップS105に戻る。圧力が閾値以下である場合には、ステップS111に進む。
【0066】
ステップS111では、フリーズボタンが押されたか否かを判別する。フリーズボタンが押されていない場合には、ステップS105に戻る。フリーズボタンが押された場合には、ステップS112に進む。
【0067】
ステップS112では、動画像を表示するように画像処理回路22を制御する。静止画像表示の制御後、拡大観察処理を終了する。
【0068】
以上のように本実施形態を適用した内視鏡コントロースシステムによれば、操作部37の姿勢を変化させることにより、拡大表示時の拡大率や拡大領域PAの位置を容易に変更することが可能である。
【0069】
したがって、本実施形態によれば、従来必要とされていた拡大率や位置の変更のためのボタンやレバーなどを操作部37に設ける必要がなくなる。それゆえ、従来に比べて操作部37の軽量化および小型化が可能である。
【0070】
また、本実施形態では、動画の観察中であっても、オレドメ39を強く把持することにより拡大観察表示が望まれるときを自動的に検知し、拡大観察機能を実行することが可能である。
【0071】
通常、挿入管36の挿脱時以外に拡大観察表示が望まれる。一般的に、オレドメ39が、挿入管36の挿脱時に弱く、挿脱時以外では強く把持される。そこで、本実施形態では、オレドメ39の把持の強弱に基づいて挿入管36が挿脱されていないことを判別し、容易に拡大観察機能を実行することが可能である。
【0072】
なお、本実施形態において、操作部37の姿勢変化に応じて実行される機能は、拡大率変更機能と拡大領域位置変更機能であるが、他の機能の実行に使われる構成であってもよい。例えば、自家蛍光内視鏡ユニットに適用して、操作部37の姿勢変化により被写体に照射する光の切替を行う構成であってもよい。また、操作部37の姿勢変化により静止画と動画との表示切替を行う構成であってもよい。
【0073】
また、本実施形態において、圧力センサ34の押圧状態に基づいて挿入管36の挿脱状態を判別する構成であるが、他の方法により判別してもよい。例えば、挿入管36の挿脱時にはオレドメ39が動かされることが一般的である。そこで、オレドメ39内にジャイロセンサや加速度センサを設け、オレドメ39が実質的に変位していない、すなわちジャイロセンサなどの検出値が所定の閾値未満であるときに、拡大観察機能を実行する構成であってもよい。
【0074】
また、本実施形態において、挿入管36の挿脱状態に基づいて、拡大観察機能の実行を自動的に判別する構成であるが、操作部37に拡大観察機能実行用のスイッチを設ける構成であってもよい。
【0075】
また、本実施形態において、静止画の表示時および挿入管36の挿脱状態以外のときに拡大観察機能が実行される構成であるが、いずれか一方のときに実行される構成であってもよい。
【0076】
また、本実施形態において、第1〜第3の方向d1〜d3を軸とした操作部37の姿勢変化をジャイロセンサユニット33により検出する構成であるが、傾斜センサを用いて検出してもよい。
【0077】
また、本実施形態において、第1〜第3の方向d1〜d3を軸とした操作部37の回動に基づいて拡大率および拡大領域PAの位置の変更が実行される構成であるが、第1〜第3の方向d1〜d3に沿った移動に基づいてこれらの変更が実行される構成であってもよい。例えば、ジャイロセンサユニット33の代わりに、第1〜第3の方向d1〜d3に沿った操作部37の変位を検出可能な加速度センサを用いてもよい。
【0078】
また、本実施形態において、第1〜第3の方向d1〜d3を軸とした回動に基づいて複数の機能、すなわち拡大率変更機能および位置変更機能が実行される構成であるが、いずれか単一の方向を軸とした回動に基づいて単一の機能が実行される構成であってもよい。
【0079】
また、本実施形態において、第1〜第3の方向d1〜d3を軸とした操作部37の回動による調整対象を使用者により変更可能な構成であるが、固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 内視鏡ユニット
20 内視鏡プロセッサ
22 画像処理回路
23 SDRAM
24 システムコントローラ
30 電子内視鏡
33 ジャイロセンサユニット
34 圧力センサ
37 操作部
39 オレドメ
d1〜d3 第1〜第3の方向
PA 拡大領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の操作部内に設けられ、前記内視鏡において定められる第1の方向に沿った姿勢の変化または前記第1の方向を軸とした回転に応じて変わる第1の変数を検出する第1の姿勢センサと、
前記第1の変数に基づいて、前記内視鏡を含む内視鏡ユニットにおいて実行可能な第1の機能を実行させる入力コントローラとを備える
ことを特徴とする内視鏡コントロールシステム。
【請求項2】
前記内視鏡は電子内視鏡であって、前記第1の機能は、前記電子内視鏡が撮影した画像に相当する画像信号への信号処理により前記画像の一部を拡大する拡大表示における設定変更機能であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡コントロールシステム。
【請求項3】
前記第1の機能は、前記拡大表示における拡大率を変更する第1の変更機能または拡大表示される前記画像の一部の全体における位置を変更する第2の変更機能であることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡コントロールシステム。
【請求項4】
前記入力コントローラは、前記内視鏡ユニットに含まれ前記画像を表示するモニタに静止画像を表示するときに前記拡大表示を開始させることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内視鏡コントロールシステム。
【請求項5】
前記入力コントローラは、前記内視鏡の挿入管の被写体の領域への挿脱を停止するときに前記拡大表示を開始させることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内視鏡コントロールシステム。
【請求項6】
前記内視鏡のオレドメ内に設けられ前記挿入管の挿脱状態を検出する第1のセンサを備えることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡コントロールシステム。
【請求項7】
前記第1のセンサはジャイロセンサであって、前記オレドメの姿勢が変化しているときを前記挿脱状態として検出することを特徴とする請求項6に記載の内視鏡コントロールシステム。
【請求項8】
前記第1のセンサは前記オレドメが把持されるとき圧力を検出する圧力センサであって、前記第1のセンサにより検出された圧力が閾値未満であるときを前記挿脱状態として検出することを特徴とする請求項6に記載の内視鏡コントロールシステム。
【請求項9】
前記操作部に設けられ前記拡大表示を開始させるスイッチを備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内視鏡コントロールシステム。
【請求項10】
前記操作部内に設けられ、前記第1の方向と異なる方向に定められた第2の方向に沿った姿勢の変化または前記第2の方向を軸とした回転に応じて変わる第2の変数を検出する第2の姿勢センサを備え、
前記入力コントローラは、前記内視鏡ユニットにおいて実行可能な機能であって前記第1の機能とは異なる第2の機能を前記第2の変数に基づいて実行させる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の内視鏡コントロールシステム。
【請求項11】
前記第1の機能は前記第1、第2の変更機能のいずれか一方であり、前記第2の機能は他方であることを特徴とする請求項10に記載の内視鏡コントロールシステム。
【請求項12】
前記第1の機能は前記第1の変更機能に、前記第2の機能は前記第2の変更機能に予め固定されていることを特徴とする請求項11に記載の内視鏡コントロールシステム。
【請求項13】
前記第1の機能は前記第1、第2の変更機能のいずれか一方に変更可能であり、前記第2の機能は他方に変更可能であることを特徴とする請求項11に記載の内視鏡コントロールシステム。
【請求項14】
内視鏡の操作部内に設けられ、前記内視鏡において定められる第1の方向に沿った姿勢の変化または前記第1の方向を軸とした回転に応じて変わる第1の変数を検出する第1の姿勢センサを前記操作部内に有する前記内視鏡が接続される内視鏡プロセッサであって、
前記第1の変数を受信する受信部と、
前記第1の変数に基づいて、前記内視鏡を含む内視鏡ユニットにおいて実行可能な第1の機能を実行させる入力コントローラとを備える
ことを特徴とする内視鏡プロセッサ。
【請求項15】
内視鏡において定められる第1の方向に沿った姿勢の変化または前記第1の方向を軸とした回転に応じて変わる第1の変数を検出する第1の姿勢センサが操作部内に設けられた内視鏡と、
前記内視鏡に接続され、前記第1の変数に基づいて実行可能な第1の機能を実行させる入力コントローラを有する内視鏡プロセッサとを備える
ことを特徴とする内視鏡ユニット。
【請求項16】
操作部内に設けられ、内視鏡において定められる第1の方向に沿った姿勢の変化または前記第1の方向を軸とした回転に応じて変わる第1の変数を検出する第1の姿勢センサと、
前記第1の変数を、前記第1の変数に基づいて前記内視鏡を含む内視鏡ユニットにおいて実行可能な第1の機能を実行させる入力コントローラを有する内視鏡プロセッサに送信する送信部とを備える
ことを特徴とする内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−200303(P2011−200303A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68364(P2010−68364)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】