内視鏡システム及び画像生成方法
【課題】被写体距離などの観察条件が内視鏡診断中に変化したとしても、波長が異なる複数種類の照明光を照射したときに生ずる配光分布の違いを確実に補正する。
【解決手段】被検体からの反射光等は、波長可変素子によって、酸化ヘモグロビン(HbO2)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸光係数に違いがある波長を有する狭帯域光に分光されるとともに、酸化ヘモグロビン(HbO2)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸光係数が等しい波長を有する狭帯域光に分光される。分光毎に撮像素子で撮像して3以上の画像信号を得る。これら画像信号のうち、酸素飽和度画像の生成に用いられる画像信号は、各狭帯域光間の配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように補正される。補正は、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が等しい波長の画像信号から得られる補正データを用いて行われるため、画像信号に乗っている酸素飽和度の情報を消すことが無い。
【解決手段】被検体からの反射光等は、波長可変素子によって、酸化ヘモグロビン(HbO2)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸光係数に違いがある波長を有する狭帯域光に分光されるとともに、酸化ヘモグロビン(HbO2)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸光係数が等しい波長を有する狭帯域光に分光される。分光毎に撮像素子で撮像して3以上の画像信号を得る。これら画像信号のうち、酸素飽和度画像の生成に用いられる画像信号は、各狭帯域光間の配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように補正される。補正は、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が等しい波長の画像信号から得られる補正データを用いて行われるため、画像信号に乗っている酸素飽和度の情報を消すことが無い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に関する情報を画像化する内視鏡システム及び画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の医療においては、内視鏡装置を用いた診断等が広く行われている。内視鏡装置による被検体内の観察としては、照明光として広帯域光の白色光を用いる通常光観察の他、波長を狭帯域化した狭帯域光を用いて、被検体内の血管を強調表示等させる特殊光観察も行われるようになってきている。
【0003】
また、特殊光観察の他に、血中ヘモグロビンの酸素飽和度などの被検体の機能情報を画像化することも行われている。例えば、特許文献1では、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて光吸収が変化する波長の光を被検体に照射し、それぞれの光の反射光等を撮像したときの画像信号に基づいて疑似カラーで酸素飽和度を表示している。この特許文献1では、酸素飽和度により光吸収が変化する波長の光の他に、光吸収が変化しない波長の光を含む複数波長の光を、それぞれ時系列で順に被検体内に照射している(面順次方式)。
【0004】
このように波長が異なる光が被検体内に順次照射されることで、例えば、酸素飽和度により光吸収が変化する波長の光を照射したときの配光分布と、光吸収が変化しない波長の光を照射したときの配光分布に違いがでることがある。この配光分布の違いは正確な酸素飽和度の表示を妨げるものとなり、特に画像辺縁部分での酸素飽和度の表示が不適切になる可能性が高い。
【0005】
配光分布の違いを補正する方法としては、特許文献2に、広帯域光の白色光を照射したときの配光分布とその白色光と波長域が異なる励起光を照射したときの配光分布の違いを補正する方法が示されている。この特許文献2の方法は、上述したような、酸素飽和度により光吸収が変化する波長の光の配光分布と変化しない波長の光の配光分布の違いを補正する場合にも適用できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許2648494号公報
【特許文献2】特開2005−349007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2では、白色光と励起光における配光分布の違いを補正するために用いられる補正データを求める際、標準被写体を内面に備えたキャップを内視鏡スコープ先端部に装着した状態で、白色光を照射及び撮像したときの標準被写体の白色光画像と、励起光を照射及び撮像したときの励起光画像とを取得し、取得した画像から補正データを求めている。そして、実際の内視鏡診断時(自家蛍光観察時)には、その予め算出した補正データを用いて画像の補正を行っている。
【0008】
したがって、補正データは、キャップを装着したときの配光光学系とキャップ内面の標準被写体の位置関係の場合の配光分布の違いに基づいて得られるものであるため、実際に被検体内の被写体組織を観察する時のように、スコープと被写体組織との位置関係が距離・角度とともに様々に変化する場合には、予め求めた補正データでは配光分布の違いを正しく補正できない可能性がある。
【0009】
本発明は、スコープと被写体組織との位置関係が距離・角度などの観察条件が内視鏡診断中に様々に変化したとしても、波長が異なる複数種類の照明光を照射したときに生ずる配光分布の違いを確実に補正することができる内視鏡システム及び画像生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の内視鏡システムは、特定波長の狭帯域光を含む被検体の像光を撮像することにより、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数に違いがある波長を有する狭帯域光に対応する第1の画像信号及び酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が等しい波長を有する狭帯域光に対応する第2の画像信号を合計で3つ以上取得する画像信号取得手段と、前記第2の画像信号を用いて得られる補正データに基づき、各狭帯域光間の配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように、前記第1または第2の画像信号を補正する信号補正手段と、補正後の第1及び第2の画像信号に基づいて、血中ヘモグロビンの酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度画像を生成する酸素飽和度画像生成手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
前記信号補正手段は、前記3つ以上の画像信号のうち、各狭帯域光の中で波長が中間にある狭帯域光に対応する中間画像信号以外の画像信号を、前記中間画像信号の信号分布に合わせるように補正する。
【0012】
前記画像信号取得手段は、前記第1の画像信号として、中心波長440nmの狭帯域光に対応する画像信号S440と、中心波長475nmの狭帯域光に対応する画像信号S475と、中心波長540nmの狭帯域光に対応する画像信号S540を取得するとともに、前記第2の画像信号として、中心波長450nmの狭帯域光に対応する画像信号S450と、中心波長500nmの狭帯域光に対応する画像信号S500を取得し、前記信号補正手段は、画像信号S500と画像信号S450とを用いて得られる補正データC440に基づいて、画像信号S440を補正し、画像信号S500と画像信号S540とを用いて得られる補正データC540に基づいて、画像信号S540を補正し、前記酸素飽和度生成手段は、補正後の画像信号S´440、S´540と画像信号S475に基づいて酸素飽和度画像を生成してもよい。
【0013】
前記画像信号取得手段は、前記第1の画像信号として、中心波長440nmの狭帯域光に対応する画像信号S440と、中心波長475nmの狭帯域光に対応する画像信号S475と、中心波長560nmの狭帯域光に対応する画像信号S560を取得するとともに、前記第2の画像信号として、中心波長450nmの狭帯域光に対応する画像信号S450と、中心波長500nmの狭帯域光に対応する画像信号S500と、中心波長570nmの狭帯域光に対応する画像信号S570を取得し、前記信号補正手段は、画像信号S500と画像信号S450とを用いて得られる補正データC440に基づいて、画像信号S440を補正し、画像信号S570と画像信号S500とを用いて得られる補正データC560に基づいて、画像信号S560を補正し、前記酸素飽和度画像生成手段は、補正後の画像信号S´440、S´560と画像信号S475に基づいて酸素飽和度画像を生成してもよい。
【0014】
前記補正データは、前記第2の画像信号の低周波成分を用いて得られる。前記信号補正手段は、前記画像信号のうち、画像中心は補正を行わなくてもよい。各狭帯域光は、被検体からの広帯域光を波長可変素子で分光することにより生成してもよい。各狭帯域光は、広帯域光からそれぞれの狭帯域光のみを透過させる複数の透過部を有する回転フィルタを用いて生成してもよい。前記画像信号取得手段は、モノクロの撮像素子で撮像を行う。
【0015】
本発明の画像生成方法は、特定波長の狭帯域光を含む被検体の像光を撮像面で撮像することにより、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数に違いがある波長を有する狭帯域光に対応する第1の画像信号及び酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が等しい波長を有する狭帯域光に対応する第2の画像信号を合計で3つ以上取得し、前記第2の画像信号を用いて得られる補正データに基づき、各狭帯域光間の配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように、前記第1または第2の画像信号を補正し、補正後の第1及び第2の画像信号に基づいて、血中ヘモグロビンの酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、酸素飽和度画像の生成に用いられる第1及び第2の画像信号を順次撮像素子によって取得し、その取得した第1または第2の画像信号について、酸素飽和度の情報が乗った信号を維持した状態で、各狭帯域光間の配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように補正していることから、実際の内視鏡診断時において、スコープと被写体組織との位置関係等の観察条件によらないリアルタイムな補正が可能となる。また、このように補正された画像信号に基づいて生成される酸素飽和度画像は、配光分布の違いによる偽色表示が起きないため、診断能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の内視鏡システムの外観図である。
【図2】内視鏡システムの内部構成を表すブロック図である。
【図3】白色光の発光スペクトルを表すグラフである。
【図4】波長可変素子の概略図である。
【図5】第1実施形態における波長可変素子及び撮像素子の駆動制御を説明するための説明図である。
【図6】ヘモグロビンの吸光係数を示すグラフである。
【図7】本発明の作用を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態における波長可変素子及び撮像素子の駆動制御を説明するための説明図である。
【図9】第3実施形態の内視鏡システムの内部構成を表すブロック図である。
【図10】回転フィルタの正面図である。
【図11】各透過部における透過特性が図10の回転フィルタと異なる回転フィルタの正面図である。
【図12】第4実施形態の内視鏡システムの内部構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び2に示すように、第1実施形態の内視鏡システム10は、被検体への照明光を発生する光源装置11と、光源装置11から発せられる光を導光して被検体の被観察領域に照明光を照射し、その反射光等を撮像する内視鏡装置12と、内視鏡装置12で得られた画像信号を画像処理するプロセッサ装置13と、画像処理によって得られた内視鏡画像等を表示する表示装置14と、キーボード等で構成される入力装置15とを備えている。
【0019】
光源装置11は、図3に示すような青色〜赤色までのブロードな波長の光である白色光を発するキセノンランプ18を備えている。このキセノンランプ18から発せられる白色光は、集光レンズ(図示省略)を介して光ファイバ24に入射する。なお、キセノンランプの他、ハロゲンランプや白色LED(Light Emitting Diode)を用いてもよい。また、キセノンランプに光量制御部を接続し、この光量制御部によって白色光の光量を制御してもよい。
【0020】
コンバイナ21は、光ファイバ24からの光を合波させる。合波した光は、分波器であるカプラ22によって2系統の光に分波される。分波された2系統の光は、ライトガイド28,29で伝送される。ライトガイド28,29は多数の光ファイバを束ねたバンドルファイバなどから構成される。なお、コンバイナ21及びカプラ22を用いずに、キセノンランプ18からの白色光を直接ライトガイド28,29に入れる構成としてもよい。
【0021】
内視鏡装置12は電子内視鏡から構成され、内視鏡スコープ32と、ライトガイド28,29で伝送される2系統(2灯)の光を照射する照明部33と、被観察領域を撮像する1系統の撮像部34と、内視鏡スコープ32の先端部の湾曲操作や観察のための操作を行う操作部35と、内視鏡スコープ32と光源装置11及びプロセッサ装置13とを着脱自在に接続するコネクタ部36を備えている。
【0022】
内視鏡スコープ32には、操作部35側から順に、軟性部38、湾曲部39、スコープ先端部40が設けられている。軟性部38は、可撓性を有しているため、内視鏡スコープ挿入時には被検体内で屈曲自在にすることができる。湾曲部39は、操作部35に配置されたアングルノブ35aの回動操作により湾曲自在に構成されている。この湾曲部39は、被検体の部位等に応じて、任意の方向、任意の角度に湾曲させることができるため、スコープ先端部40を所望の観察部位に向けることができる。
【0023】
スコープ先端部40には照明部33と撮像部34が設けられている。撮像部34は、スコープ先端部40の略中心位置に、被写体領域からの反射光等を撮像する1つの観察窓42を備えている。照明部33は、撮像部34の両脇に設けられた2つの照明窓43,44を備えており、各照明窓43,44は、白色光を被観察領域に向けて照射する。
【0024】
観察窓42の奥には、被検体の被観察領域の像光を取り込むための対物レンズ48が設けられている。さらにその奥には、対物レンズ48を経た光のうち特定の波長帯域の光を選択的に透過させ、且つ透過させる光の波長帯域を変更することができる波長可変素子50と、波長可変素子50を経た光を受光して被観察領域を撮像する撮像素子60とが設けられている。
【0025】
波長可変素子50はエタロンから構成され、図4に示すように、対物レンズ48と撮像素子60との光路L上に設けられた2枚の高反射光フィルタ51,52と、一方の高反射光フィルタ52を光路Lに沿って移動させる圧電アクチュエータ53とを備えている。波長可変素子50は、2枚の高反射光フィルタ51,52間の面間隔(エアギャップ)dを圧電アクチュエータ53によって変更することによって、白色光のうち特定波長を有する狭帯域光を分光する。
【0026】
撮像素子60はCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)などのモノクロ撮像素子から構成され、波長可変素子からの光を受光面(撮像面)で受光し、受光した光を光電変換して撮像信号(アナログ信号)を出力する。撮像素子60から出力される撮像信号(アナログ信号)は、スコープケーブル67を通じてA/D変換器68に入力される。A/D変換器68は、撮像信号(アナログ信号)をその電圧レベルに対応する画像信号(デジタル信号)に変換する。変換後の画像信号は、コネクタ部36を介して、プロセッサ装置13の画像処理部73に入力される。
【0027】
スコープ制御部70は波長可変素子50及び撮像素子60の制御を行う。第1実施形態では、図5に示すように、波長可変素子50は、スコープ制御部70の駆動制御によって、中心波長440nmの狭帯域光と、中心波長450nmの狭帯域光と、中心波長475nmの狭帯域光と、中心波長500nmの狭帯域光と、中心波長540nmの狭帯域光とを、1フレームの期間毎に順に分光する。そして、各狭帯域光が分光される毎に、撮像素子60は、スコープ制御部70の駆動制御によって、各狭帯域光を光電変換して得られる電荷を蓄積し、蓄積した電荷を読み出す。これら合計5フレーム分の駆動制御は、繰り返し行われる。
【0028】
ここで、中心波長440nmの狭帯域光を撮像したときに得られる画像信号をS440と、中心波長450nmの狭帯域光を撮像したときに得られる画像信号をS450と、中心波長475nmの狭帯域光を撮像したときに得られる画像信号をS475と、中心波長500nmの狭帯域光を撮像したときに得られる画像信号をS500と、中心波長540nmの狭帯域光を撮像したときに得られる画像信号をS540とする。
【0029】
なお、図示はしていないが、内視鏡装置12における操作部35及び内視鏡スコープ32の内部には、組織採取用処置具等を挿入する鉗子チャンネルや、送気・送水用のチャンネル等、各種のチャンネルが設けられている。
【0030】
プロセッサ装置13は、制御部72と、画像処理部73と、記憶部74とを備えており、制御部72には表示装置14及び入力装置15が接続されている。制御部72は、画像処理部73、内視鏡装置12のスコープ制御部70、及び表示装置14の動作を制御する。画像処理部73は、内視鏡装置12から入力される画像信号を補正する信号補正部80と、補正された画像信号に基づいて、血中ヘモグロビンの酸素飽和度を画像化する酸素飽和度画像生成部81とを備えている。
【0031】
信号補正部80は、各フレーム間における配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように、画像信号を補正する。配光分布の違いは、各フレームで波長が異なる狭帯域光が照射されることにより生ずるものであり、照明及び撮像光学系による影響のため、画像中心が一番が少なく、画像周辺に向かうに従い徐々に大きくなることが分かっている。したがって、配光分布の違いによる信号分布の違いを補正せずにそのまま酸素飽和度画像の生成を行った場合には、酸素飽和度画像で表示される酸素飽和度の正確性は低下する可能性が高い。
【0032】
そこで、第1実施形態では、酸素飽和度画像の生成に用いる画像信号S440、S475、S540のうちS440とS540について、酸素飽和度の情報が乗った低周波成分の信号を維持した状態で、中間波長のS475の信号分布に合わせるように補正する。S440の補正には、S440に近い波長の画像信号S450、S500の低周波成分L(S450)、L(S500)を用いる。これらL(S450)、L(S500)に基づき、以下の式により補正データC440を生成する。
C440=L(S500)−L(S450)+F440(d)
この式においてF440(d)は、画像中心からの距離dに依存する値であり、画像中心でC440を「0」にするためのオフセット値である。なお、L(S500)、L(S450)は画像信号S500、S450に所定サイズの平均値フィルタを掛け合わせることで得られる。
【0033】
補正データC440を求めたら、以下の式によりS440に補正データC440を足し合わせることにより、補正信号S´440を得る。
S´440=S440+C440
この式において、S440に加算される補正データC440自体は、酸化ヘモグロビン(HbO2)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸光係数が同じである波長450nm、500nm(等吸収波長(図6参照))の画像信号S450、S500を元に作成していることから、補正後のS´440は、S440に乗っている可能性のある低周波の酸素飽和度の信号を消すことなく、中間波長のS475の信号分布に近づけた信号となっている。
【0034】
一方、S540の補正には、S540の低周波成分L(S540)と、S540に近い波長の画像信号S500の低周波成分L(S500)を用いる。これらL(S540)、L(S500)に基づき、以下の式により補正データC540を生成する。
C540=L(S500)−L(S540)+F540(d)
この式においてF540(d)は、前記F440(d)と同様のオフセット値である。
【0035】
補正データC540を求めたら、以下の式によりS540に補正データC540を足し合わせることにより、補正信号S´540を得る。
S´540=S540+C540
このS´540は、中間波長のS475の信号分布に近づいた信号となっている。なお、上記式において、補正データC540は等吸収波長の画像信号に基づいて生成され、またS540自体も等吸収波長の画像であるので、S´540は酸素飽和度の変化によって信号値に変化は生じない。
【0036】
酸素飽和度画像生成部は、補正後のS´440、S´540とS475に基づいて、酸素飽和度画像を生成する。酸素飽和度画像はRGBチャンネルからなる映像信号であり、RGBのチャンネルのそれぞれにS´440、S475、S´540が割り当てられる。生成された酸素飽和度画像は表示装置14に表示される。表示装置14に表示される酸素飽和度画像は、酸素飽和度に応じて色調が変化する。
【0037】
以上のように、本発明では、酸素飽和度画像の生成に用いられる画像信号のうちS´440、S´540は、酸素飽和度の情報が乗った信号を維持した状態で、S475の信号分布に合うように補正されているため、各フレーム間で配光分布に違いがあったとしても、それにより酸素飽和度の情報(酸素飽和度に応じて変化する色調情報)が不正確に表示装置14に表示されることはない。
【0038】
次に、本発明の作用を図7のフローチャートに沿って説明する。まず、波長可変素子50は、被検体からの反射光等から中心波長440nmの狭帯域光を分光する。分光された中心波長440nmの狭帯域光は、モノクロの撮像素子60で撮像される。これにより、画像信号S440が得られる。
【0039】
同様にして、波長可変素子50によって、中心波長450nmの狭帯域光、中心波長475nmの狭帯域光、中心波長500nmの狭帯域光、中心波長540nmの狭帯域光を分光し、分光する毎に撮像素子60で撮像を行う。これにより、画像信号S450、画像信号S475、画像信号S500、画像信号S540が得られる。
【0040】
上記5種類の画像信号が得られたら、S440の信号補正を行うために、等吸収波長の画像信号S500とS450とを用いて補正データC440を生成する。この補正データC440を画像信号S440に加算することにより、画像信号S´440が得られる。S´440は、S440に乗っている可能性のある低周波の酸素飽和度の信号を維持した状態で、S475の信号分布に近づいた信号となっている。
【0041】
また、S540の信号補正を行うために、等吸収波長の画像信号S540とS500とを用いて補正データC540を生成する。この補正データC540を画像信号S540に加算することにより、画像信号S´540が得られる。S´540は、S475の信号分布に近づいた信号となっている。
【0042】
そして、補正後の画像信号S´440及びS´540と画像信号S475から酸素飽和度画像を生成し、生成した酸素飽和度画像を表示装置14に表示する。表示装置14に表示される酸素飽和度画像は、酸素飽和度の変化に応じて色調が変化する。
【0043】
第2実施形態では、酸素飽和度画像の生成に、中心波長440nmの狭帯域光の画像信号S440と、中心波長475nmの狭帯域光の画像信号S475と、中心波長560nmの狭帯域光の画像信号S560を用い、画像信号の補正に、中心波長450nmの狭帯域光の画像信号S450と、中心波長500nmの狭帯域光の画像信号と、中心波長570nmの狭帯域光の画像信号S570を用いる。
【0044】
この第2実施形態は、酸素飽和度画像の生成及び画像信号の補正に用いる画像信号の種類が6に増える以外は、第1実施形態と同様である。したがって、図8に示すように、各狭帯域光は、1フレーム期間毎に、被検体からの反射光等を波長可変素子50で分光することにより生成され、また、各狭帯域光を分光する毎に撮像素子60によって撮像が行われる。
【0045】
画像信号の補正は、酸素飽和度画像の生成に用いられる画像信号S440、S475、S570のうちS440とS570に対して行う。S440とS570は、酸素飽和度の情報が乗った低周波成分の信号を維持した状態で、中間波長の画像信号S475の信号分布に合わせるように補正する。ここで、S440の信号補正は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
一方、S570の補正には、S440に近い波長の画像信号S570、S500の低周波成分L(S570)、L(S500)を用いる。これらL(S570)、L(S500)に基づき、以下の式により補正データC570を生成する。
C570=L(S500)−L(S570)+F570(d)
この式においてF570(d)は、第1実施形態で示したF440(d)、F540(d)と同様のオフセット値である。なお、L(S500)、L(S570)は画像信号S500、S570に所定サイズの平均値フィルタを掛け合わせることで得られる。
【0047】
補正データC570を求めたら、以下の式によりS570に補正データC570を足し合わせることにより、補正信号S´570を得る。
S´570=S570+C570
この式において、S570に加算される補正データC570自体は、等吸収波長の500nm、570nm(図6参照)の画像信号S500、S570を元に作成していることから、補正後のS´570は、S570に乗っている可能性のある低周波の酸素飽和度の信号を消すことなく、中間波長のS475の信号分布に近づけた信号となっている。
【0048】
そして、S440とS570の補正が完了したら、補正後のS´440及びS´570とS475を用いて酸素飽和度画像を生成し、生成した酸素飽和度画像を表示装置14に表示する。
【0049】
第3実施形態では、第1及び第2実施形態において狭帯域光の生成に用いた波長可変素子に代えて、図9に示すように、回転フィルタ110を用いて狭帯域光の生成を行う。回転フィルタ110は、内視鏡システム100内の光源装置11内において、キセノンランプ18と光ファイバ24との間に設けられている。回転フィルタ110は、周方向に沿って、キセノンランプ18からの白色光のうち特定波長の狭帯域光を透過させる透過部が複数設けられている。各透過部の透過波長範囲はそれぞれ異なっている。したがって、回転フィルタが回転することで、波長が異なる狭帯域光が順次透過する。透過した狭帯域光は、ライトガイド28,29を介して被検体内に照射される。そして、各狭帯域光が照射される毎に撮像素子60によて撮像が行われる。
【0050】
第1実施形態のように、5種類の狭帯域光(440nm、450nm、475nm、500nm、540nm)が必要な場合には、図10に示すように、回転フィルタ110に各狭帯域光のみを透過させる第1〜5透過部111〜115を設ける。また、第2実施形態のように、6種類の狭帯域光(440nm、450nm、475nm、500nm、560nm、570nm)が必要な場合には、回転フィルタ110に代えて、図11に示すような、各狭帯域光のみを透過させる第1〜6透過部121〜126が設けられた回転フィルタ120を用いる。
【0051】
第4実施形態では、波長可変素子を撮像素子の手前に設けた第1及び第2実施形態と異なり、図12に示すように、光源装置11内のキセノンランプ18と光ファイバ24の間に、波長可変素子50を設置する。したがって、第4実施形態の内視鏡システム200においては、キセノンランプ18からの白色光を波長可変素子50で分光し、その分光により得られる狭帯域光を被検体内に照射する。そして、各狭帯域光が分光される毎に、撮像素子60で撮像を行う。なお、第4実施形態は、光源装置11側で分光を行うこと以外は、第1実施形態と同様である。
【0052】
なお、上記実施形態では、波長可変素子としてエタロンを用いたが、その代わりに液晶チューナブルフィルタを用いてもよい。液晶チューナブルフィルタは、偏光フィルタ間に複屈折フィルタとネマティック液晶セルを挟んで構成され、液晶セルへの印加電圧を変更することで透過光の波長帯域を制御するものである。
【符号の説明】
【0053】
10,100,200 内視鏡システム
14 表示装置
50 波長可変素子
60 撮像素子
73 画像処理部
80 信号補正部
81 酸素飽和度画像生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に関する情報を画像化する内視鏡システム及び画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の医療においては、内視鏡装置を用いた診断等が広く行われている。内視鏡装置による被検体内の観察としては、照明光として広帯域光の白色光を用いる通常光観察の他、波長を狭帯域化した狭帯域光を用いて、被検体内の血管を強調表示等させる特殊光観察も行われるようになってきている。
【0003】
また、特殊光観察の他に、血中ヘモグロビンの酸素飽和度などの被検体の機能情報を画像化することも行われている。例えば、特許文献1では、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて光吸収が変化する波長の光を被検体に照射し、それぞれの光の反射光等を撮像したときの画像信号に基づいて疑似カラーで酸素飽和度を表示している。この特許文献1では、酸素飽和度により光吸収が変化する波長の光の他に、光吸収が変化しない波長の光を含む複数波長の光を、それぞれ時系列で順に被検体内に照射している(面順次方式)。
【0004】
このように波長が異なる光が被検体内に順次照射されることで、例えば、酸素飽和度により光吸収が変化する波長の光を照射したときの配光分布と、光吸収が変化しない波長の光を照射したときの配光分布に違いがでることがある。この配光分布の違いは正確な酸素飽和度の表示を妨げるものとなり、特に画像辺縁部分での酸素飽和度の表示が不適切になる可能性が高い。
【0005】
配光分布の違いを補正する方法としては、特許文献2に、広帯域光の白色光を照射したときの配光分布とその白色光と波長域が異なる励起光を照射したときの配光分布の違いを補正する方法が示されている。この特許文献2の方法は、上述したような、酸素飽和度により光吸収が変化する波長の光の配光分布と変化しない波長の光の配光分布の違いを補正する場合にも適用できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許2648494号公報
【特許文献2】特開2005−349007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2では、白色光と励起光における配光分布の違いを補正するために用いられる補正データを求める際、標準被写体を内面に備えたキャップを内視鏡スコープ先端部に装着した状態で、白色光を照射及び撮像したときの標準被写体の白色光画像と、励起光を照射及び撮像したときの励起光画像とを取得し、取得した画像から補正データを求めている。そして、実際の内視鏡診断時(自家蛍光観察時)には、その予め算出した補正データを用いて画像の補正を行っている。
【0008】
したがって、補正データは、キャップを装着したときの配光光学系とキャップ内面の標準被写体の位置関係の場合の配光分布の違いに基づいて得られるものであるため、実際に被検体内の被写体組織を観察する時のように、スコープと被写体組織との位置関係が距離・角度とともに様々に変化する場合には、予め求めた補正データでは配光分布の違いを正しく補正できない可能性がある。
【0009】
本発明は、スコープと被写体組織との位置関係が距離・角度などの観察条件が内視鏡診断中に様々に変化したとしても、波長が異なる複数種類の照明光を照射したときに生ずる配光分布の違いを確実に補正することができる内視鏡システム及び画像生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の内視鏡システムは、特定波長の狭帯域光を含む被検体の像光を撮像することにより、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数に違いがある波長を有する狭帯域光に対応する第1の画像信号及び酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が等しい波長を有する狭帯域光に対応する第2の画像信号を合計で3つ以上取得する画像信号取得手段と、前記第2の画像信号を用いて得られる補正データに基づき、各狭帯域光間の配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように、前記第1または第2の画像信号を補正する信号補正手段と、補正後の第1及び第2の画像信号に基づいて、血中ヘモグロビンの酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度画像を生成する酸素飽和度画像生成手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
前記信号補正手段は、前記3つ以上の画像信号のうち、各狭帯域光の中で波長が中間にある狭帯域光に対応する中間画像信号以外の画像信号を、前記中間画像信号の信号分布に合わせるように補正する。
【0012】
前記画像信号取得手段は、前記第1の画像信号として、中心波長440nmの狭帯域光に対応する画像信号S440と、中心波長475nmの狭帯域光に対応する画像信号S475と、中心波長540nmの狭帯域光に対応する画像信号S540を取得するとともに、前記第2の画像信号として、中心波長450nmの狭帯域光に対応する画像信号S450と、中心波長500nmの狭帯域光に対応する画像信号S500を取得し、前記信号補正手段は、画像信号S500と画像信号S450とを用いて得られる補正データC440に基づいて、画像信号S440を補正し、画像信号S500と画像信号S540とを用いて得られる補正データC540に基づいて、画像信号S540を補正し、前記酸素飽和度生成手段は、補正後の画像信号S´440、S´540と画像信号S475に基づいて酸素飽和度画像を生成してもよい。
【0013】
前記画像信号取得手段は、前記第1の画像信号として、中心波長440nmの狭帯域光に対応する画像信号S440と、中心波長475nmの狭帯域光に対応する画像信号S475と、中心波長560nmの狭帯域光に対応する画像信号S560を取得するとともに、前記第2の画像信号として、中心波長450nmの狭帯域光に対応する画像信号S450と、中心波長500nmの狭帯域光に対応する画像信号S500と、中心波長570nmの狭帯域光に対応する画像信号S570を取得し、前記信号補正手段は、画像信号S500と画像信号S450とを用いて得られる補正データC440に基づいて、画像信号S440を補正し、画像信号S570と画像信号S500とを用いて得られる補正データC560に基づいて、画像信号S560を補正し、前記酸素飽和度画像生成手段は、補正後の画像信号S´440、S´560と画像信号S475に基づいて酸素飽和度画像を生成してもよい。
【0014】
前記補正データは、前記第2の画像信号の低周波成分を用いて得られる。前記信号補正手段は、前記画像信号のうち、画像中心は補正を行わなくてもよい。各狭帯域光は、被検体からの広帯域光を波長可変素子で分光することにより生成してもよい。各狭帯域光は、広帯域光からそれぞれの狭帯域光のみを透過させる複数の透過部を有する回転フィルタを用いて生成してもよい。前記画像信号取得手段は、モノクロの撮像素子で撮像を行う。
【0015】
本発明の画像生成方法は、特定波長の狭帯域光を含む被検体の像光を撮像面で撮像することにより、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数に違いがある波長を有する狭帯域光に対応する第1の画像信号及び酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が等しい波長を有する狭帯域光に対応する第2の画像信号を合計で3つ以上取得し、前記第2の画像信号を用いて得られる補正データに基づき、各狭帯域光間の配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように、前記第1または第2の画像信号を補正し、補正後の第1及び第2の画像信号に基づいて、血中ヘモグロビンの酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、酸素飽和度画像の生成に用いられる第1及び第2の画像信号を順次撮像素子によって取得し、その取得した第1または第2の画像信号について、酸素飽和度の情報が乗った信号を維持した状態で、各狭帯域光間の配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように補正していることから、実際の内視鏡診断時において、スコープと被写体組織との位置関係等の観察条件によらないリアルタイムな補正が可能となる。また、このように補正された画像信号に基づいて生成される酸素飽和度画像は、配光分布の違いによる偽色表示が起きないため、診断能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の内視鏡システムの外観図である。
【図2】内視鏡システムの内部構成を表すブロック図である。
【図3】白色光の発光スペクトルを表すグラフである。
【図4】波長可変素子の概略図である。
【図5】第1実施形態における波長可変素子及び撮像素子の駆動制御を説明するための説明図である。
【図6】ヘモグロビンの吸光係数を示すグラフである。
【図7】本発明の作用を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態における波長可変素子及び撮像素子の駆動制御を説明するための説明図である。
【図9】第3実施形態の内視鏡システムの内部構成を表すブロック図である。
【図10】回転フィルタの正面図である。
【図11】各透過部における透過特性が図10の回転フィルタと異なる回転フィルタの正面図である。
【図12】第4実施形態の内視鏡システムの内部構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び2に示すように、第1実施形態の内視鏡システム10は、被検体への照明光を発生する光源装置11と、光源装置11から発せられる光を導光して被検体の被観察領域に照明光を照射し、その反射光等を撮像する内視鏡装置12と、内視鏡装置12で得られた画像信号を画像処理するプロセッサ装置13と、画像処理によって得られた内視鏡画像等を表示する表示装置14と、キーボード等で構成される入力装置15とを備えている。
【0019】
光源装置11は、図3に示すような青色〜赤色までのブロードな波長の光である白色光を発するキセノンランプ18を備えている。このキセノンランプ18から発せられる白色光は、集光レンズ(図示省略)を介して光ファイバ24に入射する。なお、キセノンランプの他、ハロゲンランプや白色LED(Light Emitting Diode)を用いてもよい。また、キセノンランプに光量制御部を接続し、この光量制御部によって白色光の光量を制御してもよい。
【0020】
コンバイナ21は、光ファイバ24からの光を合波させる。合波した光は、分波器であるカプラ22によって2系統の光に分波される。分波された2系統の光は、ライトガイド28,29で伝送される。ライトガイド28,29は多数の光ファイバを束ねたバンドルファイバなどから構成される。なお、コンバイナ21及びカプラ22を用いずに、キセノンランプ18からの白色光を直接ライトガイド28,29に入れる構成としてもよい。
【0021】
内視鏡装置12は電子内視鏡から構成され、内視鏡スコープ32と、ライトガイド28,29で伝送される2系統(2灯)の光を照射する照明部33と、被観察領域を撮像する1系統の撮像部34と、内視鏡スコープ32の先端部の湾曲操作や観察のための操作を行う操作部35と、内視鏡スコープ32と光源装置11及びプロセッサ装置13とを着脱自在に接続するコネクタ部36を備えている。
【0022】
内視鏡スコープ32には、操作部35側から順に、軟性部38、湾曲部39、スコープ先端部40が設けられている。軟性部38は、可撓性を有しているため、内視鏡スコープ挿入時には被検体内で屈曲自在にすることができる。湾曲部39は、操作部35に配置されたアングルノブ35aの回動操作により湾曲自在に構成されている。この湾曲部39は、被検体の部位等に応じて、任意の方向、任意の角度に湾曲させることができるため、スコープ先端部40を所望の観察部位に向けることができる。
【0023】
スコープ先端部40には照明部33と撮像部34が設けられている。撮像部34は、スコープ先端部40の略中心位置に、被写体領域からの反射光等を撮像する1つの観察窓42を備えている。照明部33は、撮像部34の両脇に設けられた2つの照明窓43,44を備えており、各照明窓43,44は、白色光を被観察領域に向けて照射する。
【0024】
観察窓42の奥には、被検体の被観察領域の像光を取り込むための対物レンズ48が設けられている。さらにその奥には、対物レンズ48を経た光のうち特定の波長帯域の光を選択的に透過させ、且つ透過させる光の波長帯域を変更することができる波長可変素子50と、波長可変素子50を経た光を受光して被観察領域を撮像する撮像素子60とが設けられている。
【0025】
波長可変素子50はエタロンから構成され、図4に示すように、対物レンズ48と撮像素子60との光路L上に設けられた2枚の高反射光フィルタ51,52と、一方の高反射光フィルタ52を光路Lに沿って移動させる圧電アクチュエータ53とを備えている。波長可変素子50は、2枚の高反射光フィルタ51,52間の面間隔(エアギャップ)dを圧電アクチュエータ53によって変更することによって、白色光のうち特定波長を有する狭帯域光を分光する。
【0026】
撮像素子60はCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)などのモノクロ撮像素子から構成され、波長可変素子からの光を受光面(撮像面)で受光し、受光した光を光電変換して撮像信号(アナログ信号)を出力する。撮像素子60から出力される撮像信号(アナログ信号)は、スコープケーブル67を通じてA/D変換器68に入力される。A/D変換器68は、撮像信号(アナログ信号)をその電圧レベルに対応する画像信号(デジタル信号)に変換する。変換後の画像信号は、コネクタ部36を介して、プロセッサ装置13の画像処理部73に入力される。
【0027】
スコープ制御部70は波長可変素子50及び撮像素子60の制御を行う。第1実施形態では、図5に示すように、波長可変素子50は、スコープ制御部70の駆動制御によって、中心波長440nmの狭帯域光と、中心波長450nmの狭帯域光と、中心波長475nmの狭帯域光と、中心波長500nmの狭帯域光と、中心波長540nmの狭帯域光とを、1フレームの期間毎に順に分光する。そして、各狭帯域光が分光される毎に、撮像素子60は、スコープ制御部70の駆動制御によって、各狭帯域光を光電変換して得られる電荷を蓄積し、蓄積した電荷を読み出す。これら合計5フレーム分の駆動制御は、繰り返し行われる。
【0028】
ここで、中心波長440nmの狭帯域光を撮像したときに得られる画像信号をS440と、中心波長450nmの狭帯域光を撮像したときに得られる画像信号をS450と、中心波長475nmの狭帯域光を撮像したときに得られる画像信号をS475と、中心波長500nmの狭帯域光を撮像したときに得られる画像信号をS500と、中心波長540nmの狭帯域光を撮像したときに得られる画像信号をS540とする。
【0029】
なお、図示はしていないが、内視鏡装置12における操作部35及び内視鏡スコープ32の内部には、組織採取用処置具等を挿入する鉗子チャンネルや、送気・送水用のチャンネル等、各種のチャンネルが設けられている。
【0030】
プロセッサ装置13は、制御部72と、画像処理部73と、記憶部74とを備えており、制御部72には表示装置14及び入力装置15が接続されている。制御部72は、画像処理部73、内視鏡装置12のスコープ制御部70、及び表示装置14の動作を制御する。画像処理部73は、内視鏡装置12から入力される画像信号を補正する信号補正部80と、補正された画像信号に基づいて、血中ヘモグロビンの酸素飽和度を画像化する酸素飽和度画像生成部81とを備えている。
【0031】
信号補正部80は、各フレーム間における配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように、画像信号を補正する。配光分布の違いは、各フレームで波長が異なる狭帯域光が照射されることにより生ずるものであり、照明及び撮像光学系による影響のため、画像中心が一番が少なく、画像周辺に向かうに従い徐々に大きくなることが分かっている。したがって、配光分布の違いによる信号分布の違いを補正せずにそのまま酸素飽和度画像の生成を行った場合には、酸素飽和度画像で表示される酸素飽和度の正確性は低下する可能性が高い。
【0032】
そこで、第1実施形態では、酸素飽和度画像の生成に用いる画像信号S440、S475、S540のうちS440とS540について、酸素飽和度の情報が乗った低周波成分の信号を維持した状態で、中間波長のS475の信号分布に合わせるように補正する。S440の補正には、S440に近い波長の画像信号S450、S500の低周波成分L(S450)、L(S500)を用いる。これらL(S450)、L(S500)に基づき、以下の式により補正データC440を生成する。
C440=L(S500)−L(S450)+F440(d)
この式においてF440(d)は、画像中心からの距離dに依存する値であり、画像中心でC440を「0」にするためのオフセット値である。なお、L(S500)、L(S450)は画像信号S500、S450に所定サイズの平均値フィルタを掛け合わせることで得られる。
【0033】
補正データC440を求めたら、以下の式によりS440に補正データC440を足し合わせることにより、補正信号S´440を得る。
S´440=S440+C440
この式において、S440に加算される補正データC440自体は、酸化ヘモグロビン(HbO2)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸光係数が同じである波長450nm、500nm(等吸収波長(図6参照))の画像信号S450、S500を元に作成していることから、補正後のS´440は、S440に乗っている可能性のある低周波の酸素飽和度の信号を消すことなく、中間波長のS475の信号分布に近づけた信号となっている。
【0034】
一方、S540の補正には、S540の低周波成分L(S540)と、S540に近い波長の画像信号S500の低周波成分L(S500)を用いる。これらL(S540)、L(S500)に基づき、以下の式により補正データC540を生成する。
C540=L(S500)−L(S540)+F540(d)
この式においてF540(d)は、前記F440(d)と同様のオフセット値である。
【0035】
補正データC540を求めたら、以下の式によりS540に補正データC540を足し合わせることにより、補正信号S´540を得る。
S´540=S540+C540
このS´540は、中間波長のS475の信号分布に近づいた信号となっている。なお、上記式において、補正データC540は等吸収波長の画像信号に基づいて生成され、またS540自体も等吸収波長の画像であるので、S´540は酸素飽和度の変化によって信号値に変化は生じない。
【0036】
酸素飽和度画像生成部は、補正後のS´440、S´540とS475に基づいて、酸素飽和度画像を生成する。酸素飽和度画像はRGBチャンネルからなる映像信号であり、RGBのチャンネルのそれぞれにS´440、S475、S´540が割り当てられる。生成された酸素飽和度画像は表示装置14に表示される。表示装置14に表示される酸素飽和度画像は、酸素飽和度に応じて色調が変化する。
【0037】
以上のように、本発明では、酸素飽和度画像の生成に用いられる画像信号のうちS´440、S´540は、酸素飽和度の情報が乗った信号を維持した状態で、S475の信号分布に合うように補正されているため、各フレーム間で配光分布に違いがあったとしても、それにより酸素飽和度の情報(酸素飽和度に応じて変化する色調情報)が不正確に表示装置14に表示されることはない。
【0038】
次に、本発明の作用を図7のフローチャートに沿って説明する。まず、波長可変素子50は、被検体からの反射光等から中心波長440nmの狭帯域光を分光する。分光された中心波長440nmの狭帯域光は、モノクロの撮像素子60で撮像される。これにより、画像信号S440が得られる。
【0039】
同様にして、波長可変素子50によって、中心波長450nmの狭帯域光、中心波長475nmの狭帯域光、中心波長500nmの狭帯域光、中心波長540nmの狭帯域光を分光し、分光する毎に撮像素子60で撮像を行う。これにより、画像信号S450、画像信号S475、画像信号S500、画像信号S540が得られる。
【0040】
上記5種類の画像信号が得られたら、S440の信号補正を行うために、等吸収波長の画像信号S500とS450とを用いて補正データC440を生成する。この補正データC440を画像信号S440に加算することにより、画像信号S´440が得られる。S´440は、S440に乗っている可能性のある低周波の酸素飽和度の信号を維持した状態で、S475の信号分布に近づいた信号となっている。
【0041】
また、S540の信号補正を行うために、等吸収波長の画像信号S540とS500とを用いて補正データC540を生成する。この補正データC540を画像信号S540に加算することにより、画像信号S´540が得られる。S´540は、S475の信号分布に近づいた信号となっている。
【0042】
そして、補正後の画像信号S´440及びS´540と画像信号S475から酸素飽和度画像を生成し、生成した酸素飽和度画像を表示装置14に表示する。表示装置14に表示される酸素飽和度画像は、酸素飽和度の変化に応じて色調が変化する。
【0043】
第2実施形態では、酸素飽和度画像の生成に、中心波長440nmの狭帯域光の画像信号S440と、中心波長475nmの狭帯域光の画像信号S475と、中心波長560nmの狭帯域光の画像信号S560を用い、画像信号の補正に、中心波長450nmの狭帯域光の画像信号S450と、中心波長500nmの狭帯域光の画像信号と、中心波長570nmの狭帯域光の画像信号S570を用いる。
【0044】
この第2実施形態は、酸素飽和度画像の生成及び画像信号の補正に用いる画像信号の種類が6に増える以外は、第1実施形態と同様である。したがって、図8に示すように、各狭帯域光は、1フレーム期間毎に、被検体からの反射光等を波長可変素子50で分光することにより生成され、また、各狭帯域光を分光する毎に撮像素子60によって撮像が行われる。
【0045】
画像信号の補正は、酸素飽和度画像の生成に用いられる画像信号S440、S475、S570のうちS440とS570に対して行う。S440とS570は、酸素飽和度の情報が乗った低周波成分の信号を維持した状態で、中間波長の画像信号S475の信号分布に合わせるように補正する。ここで、S440の信号補正は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
一方、S570の補正には、S440に近い波長の画像信号S570、S500の低周波成分L(S570)、L(S500)を用いる。これらL(S570)、L(S500)に基づき、以下の式により補正データC570を生成する。
C570=L(S500)−L(S570)+F570(d)
この式においてF570(d)は、第1実施形態で示したF440(d)、F540(d)と同様のオフセット値である。なお、L(S500)、L(S570)は画像信号S500、S570に所定サイズの平均値フィルタを掛け合わせることで得られる。
【0047】
補正データC570を求めたら、以下の式によりS570に補正データC570を足し合わせることにより、補正信号S´570を得る。
S´570=S570+C570
この式において、S570に加算される補正データC570自体は、等吸収波長の500nm、570nm(図6参照)の画像信号S500、S570を元に作成していることから、補正後のS´570は、S570に乗っている可能性のある低周波の酸素飽和度の信号を消すことなく、中間波長のS475の信号分布に近づけた信号となっている。
【0048】
そして、S440とS570の補正が完了したら、補正後のS´440及びS´570とS475を用いて酸素飽和度画像を生成し、生成した酸素飽和度画像を表示装置14に表示する。
【0049】
第3実施形態では、第1及び第2実施形態において狭帯域光の生成に用いた波長可変素子に代えて、図9に示すように、回転フィルタ110を用いて狭帯域光の生成を行う。回転フィルタ110は、内視鏡システム100内の光源装置11内において、キセノンランプ18と光ファイバ24との間に設けられている。回転フィルタ110は、周方向に沿って、キセノンランプ18からの白色光のうち特定波長の狭帯域光を透過させる透過部が複数設けられている。各透過部の透過波長範囲はそれぞれ異なっている。したがって、回転フィルタが回転することで、波長が異なる狭帯域光が順次透過する。透過した狭帯域光は、ライトガイド28,29を介して被検体内に照射される。そして、各狭帯域光が照射される毎に撮像素子60によて撮像が行われる。
【0050】
第1実施形態のように、5種類の狭帯域光(440nm、450nm、475nm、500nm、540nm)が必要な場合には、図10に示すように、回転フィルタ110に各狭帯域光のみを透過させる第1〜5透過部111〜115を設ける。また、第2実施形態のように、6種類の狭帯域光(440nm、450nm、475nm、500nm、560nm、570nm)が必要な場合には、回転フィルタ110に代えて、図11に示すような、各狭帯域光のみを透過させる第1〜6透過部121〜126が設けられた回転フィルタ120を用いる。
【0051】
第4実施形態では、波長可変素子を撮像素子の手前に設けた第1及び第2実施形態と異なり、図12に示すように、光源装置11内のキセノンランプ18と光ファイバ24の間に、波長可変素子50を設置する。したがって、第4実施形態の内視鏡システム200においては、キセノンランプ18からの白色光を波長可変素子50で分光し、その分光により得られる狭帯域光を被検体内に照射する。そして、各狭帯域光が分光される毎に、撮像素子60で撮像を行う。なお、第4実施形態は、光源装置11側で分光を行うこと以外は、第1実施形態と同様である。
【0052】
なお、上記実施形態では、波長可変素子としてエタロンを用いたが、その代わりに液晶チューナブルフィルタを用いてもよい。液晶チューナブルフィルタは、偏光フィルタ間に複屈折フィルタとネマティック液晶セルを挟んで構成され、液晶セルへの印加電圧を変更することで透過光の波長帯域を制御するものである。
【符号の説明】
【0053】
10,100,200 内視鏡システム
14 表示装置
50 波長可変素子
60 撮像素子
73 画像処理部
80 信号補正部
81 酸素飽和度画像生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定波長の狭帯域光を含む被検体の像光を撮像することにより、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数に違いがある波長を有する狭帯域光に対応する第1の画像信号及び酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が等しい波長を有する狭帯域光に対応する第2の画像信号を合計で3つ以上取得する画像信号取得手段と、
前記第2の画像信号を用いて得られる補正データに基づき、各狭帯域光間の配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように、前記第1または第2の画像信号を補正する信号補正手段と、
補正後の第1及び第2の画像信号に基づいて、血中ヘモグロビンの酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度画像を生成する酸素飽和度画像生成手段とを備えることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記信号補正手段は、
前記3つ以上の画像信号のうち、各狭帯域光の中で波長が中間にある狭帯域光に対応する中間画像信号以外の画像信号を、前記中間画像信号の信号分布に合わせるように補正することを特徴とする請求項1記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記画像信号取得手段は、
前記第1の画像信号として、中心波長440nmの狭帯域光に対応する画像信号S440と、中心波長475nmの狭帯域光に対応する画像信号S475と、中心波長540nmの狭帯域光に対応する画像信号S540を取得するとともに、
前記第2の画像信号として、中心波長450nmの狭帯域光に対応する画像信号S450と、中心波長500nmの狭帯域光に対応する画像信号S500を取得し、
前記信号補正手段は、
画像信号S500と画像信号S450とを用いて得られる補正データC440に基づいて、画像信号S440を補正し、
画像信号S500と画像信号S540とを用いて得られる補正データC540に基づいて、画像信号S540を補正し、
前記酸素飽和度生成手段は、補正後の画像信号S´440、S´540と画像信号S475に基づいて酸素飽和度画像を生成することを特徴とする請求項1または2記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記画像信号取得手段は、
前記第1の画像信号として、中心波長440nmの狭帯域光に対応する画像信号S440と、中心波長475nmの狭帯域光に対応する画像信号S475と、中心波長560nmの狭帯域光に対応する画像信号S560を取得するとともに、
前記第2の画像信号として、中心波長450nmの狭帯域光に対応する画像信号S450と、中心波長500nmの狭帯域光に対応する画像信号S500と、中心波長570nmの狭帯域光に対応する画像信号S570を取得し、
前記信号補正手段は、
画像信号S500と画像信号S450とを用いて得られる補正データC440に基づいて、画像信号S440を補正し、
画像信号S570と画像信号S500とを用いて得られる補正データC560に基づいて、画像信号S560を補正し、
前記酸素飽和度画像生成手段は、補正後の画像信号S´440、S´560と画像信号S475に基づいて酸素飽和度画像を生成することを特徴とする請求項1または2記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記補正データは、前記第2の画像信号の低周波成分を用いて得られることを特徴とする請求項3または4記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記信号補正手段は、前記画像信号のうち、画像中心は補正を行わないことを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項7】
各狭帯域光は、被検体からの広帯域光を波長可変素子で分光することにより得られることを特徴とする請求項1〜6記載の内視鏡システム。
【請求項8】
各狭帯域光は、広帯域光からそれぞれの狭帯域光のみを透過させる複数の透過部を有する回転フィルタを用いて得られることを特徴とする請求項1〜6記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記画像信号取得手段は、モノクロの撮像素子で撮像を行うことを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項10】
特定波長の狭帯域光を含む被検体の像光を撮像面で撮像することにより、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数に違いがある波長を有する狭帯域光に対応する第1の画像信号及び酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が等しい波長を有する狭帯域光に対応する第2の画像信号を合計で3つ以上取得し、
前記第2の画像信号を用いて得られる補正データに基づき、各狭帯域光間の配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように、前記第1または第2の画像信号を補正し、
補正後の第1及び第2の画像信号に基づいて、血中ヘモグロビンの酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度画像を生成することを特徴とする画像生成方法。
【請求項1】
特定波長の狭帯域光を含む被検体の像光を撮像することにより、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数に違いがある波長を有する狭帯域光に対応する第1の画像信号及び酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が等しい波長を有する狭帯域光に対応する第2の画像信号を合計で3つ以上取得する画像信号取得手段と、
前記第2の画像信号を用いて得られる補正データに基づき、各狭帯域光間の配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように、前記第1または第2の画像信号を補正する信号補正手段と、
補正後の第1及び第2の画像信号に基づいて、血中ヘモグロビンの酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度画像を生成する酸素飽和度画像生成手段とを備えることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記信号補正手段は、
前記3つ以上の画像信号のうち、各狭帯域光の中で波長が中間にある狭帯域光に対応する中間画像信号以外の画像信号を、前記中間画像信号の信号分布に合わせるように補正することを特徴とする請求項1記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記画像信号取得手段は、
前記第1の画像信号として、中心波長440nmの狭帯域光に対応する画像信号S440と、中心波長475nmの狭帯域光に対応する画像信号S475と、中心波長540nmの狭帯域光に対応する画像信号S540を取得するとともに、
前記第2の画像信号として、中心波長450nmの狭帯域光に対応する画像信号S450と、中心波長500nmの狭帯域光に対応する画像信号S500を取得し、
前記信号補正手段は、
画像信号S500と画像信号S450とを用いて得られる補正データC440に基づいて、画像信号S440を補正し、
画像信号S500と画像信号S540とを用いて得られる補正データC540に基づいて、画像信号S540を補正し、
前記酸素飽和度生成手段は、補正後の画像信号S´440、S´540と画像信号S475に基づいて酸素飽和度画像を生成することを特徴とする請求項1または2記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記画像信号取得手段は、
前記第1の画像信号として、中心波長440nmの狭帯域光に対応する画像信号S440と、中心波長475nmの狭帯域光に対応する画像信号S475と、中心波長560nmの狭帯域光に対応する画像信号S560を取得するとともに、
前記第2の画像信号として、中心波長450nmの狭帯域光に対応する画像信号S450と、中心波長500nmの狭帯域光に対応する画像信号S500と、中心波長570nmの狭帯域光に対応する画像信号S570を取得し、
前記信号補正手段は、
画像信号S500と画像信号S450とを用いて得られる補正データC440に基づいて、画像信号S440を補正し、
画像信号S570と画像信号S500とを用いて得られる補正データC560に基づいて、画像信号S560を補正し、
前記酸素飽和度画像生成手段は、補正後の画像信号S´440、S´560と画像信号S475に基づいて酸素飽和度画像を生成することを特徴とする請求項1または2記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記補正データは、前記第2の画像信号の低周波成分を用いて得られることを特徴とする請求項3または4記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記信号補正手段は、前記画像信号のうち、画像中心は補正を行わないことを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項7】
各狭帯域光は、被検体からの広帯域光を波長可変素子で分光することにより得られることを特徴とする請求項1〜6記載の内視鏡システム。
【請求項8】
各狭帯域光は、広帯域光からそれぞれの狭帯域光のみを透過させる複数の透過部を有する回転フィルタを用いて得られることを特徴とする請求項1〜6記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記画像信号取得手段は、モノクロの撮像素子で撮像を行うことを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項10】
特定波長の狭帯域光を含む被検体の像光を撮像面で撮像することにより、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数に違いがある波長を有する狭帯域光に対応する第1の画像信号及び酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が等しい波長を有する狭帯域光に対応する第2の画像信号を合計で3つ以上取得し、
前記第2の画像信号を用いて得られる補正データに基づき、各狭帯域光間の配光分布の違いによる信号分布の違いが無くなるように、前記第1または第2の画像信号を補正し、
補正後の第1及び第2の画像信号に基づいて、血中ヘモグロビンの酸素飽和度の分布を示す酸素飽和度画像を生成することを特徴とする画像生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−143398(P2012−143398A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4194(P2011−4194)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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