説明

内視鏡システム

【課題】異常なスコープ情報を読込んだ場合でも、内視鏡画像の劣化を抑制して、十分な画質の内視鏡画像を出力する。
【解決手段】 内視鏡システムは、内視鏡装置とビデオプロセッサとを具備し、内視鏡装置は、内視鏡装置に固有なスコープ情報を格納するメモリと、スコープ情報をメモリから読出してビデオプロセッサに送信する送信部と、具備し、ビデオプロセッサは、スコープ情報が正常に受信されたか否かの通信異常を判定する第1の判定部と、受信されたスコープ情報にデータ異常が生じているか否かを判定する第2の判定部と、映像処理設定初期パラメータを記憶する初期値メモリと、第1及び第2の判定部の判定結果に基づいて、映像処理設定パラメータとして、スコープ情報に基づく映像処理設定パラメータを設定するか又は初期値メモリに記憶された映像処理設定初期パラメータを設定する制御部と、を具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像部からの内視鏡画像を処理する内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡は医療分野における診断や処置具を用いた治療等に広く用いられるようになった。電荷結合素子(CCD)等の撮像素子を内視鏡先端に設け、CCDを用いて撮像した観察像をビデオプロセッサによってテレビモニタに映出する電子内視鏡装置が普及している。
【0003】
このような電子内視鏡装置において、内視鏡(以下、スコープともいう)に、挿入部先端に設けられた撮像素子から読み出される画像信号を処理するための画像処理回路が集積回路として設けられているものがある。撮像素子からの画像信号は画像処理回路において画像処理された後、ビデオプロセッサに出力される。
【0004】
ビデオプロセッサは、スコープからの画像信号に対して、種々の画像信号処理を施して、モニタに出力する。例えば、ビデオプロセッサにおいては、表示位置の補正、色ばらつきの補正、ガンマ補正、ホワイトバランス補正等の種々の補正が行われる。これらの補正の中には、スコープ及び撮像素子毎に固有の補正値を用いることで、最適な補正が可能となるものがある。このため、これらの補正値を保持するためのROMがスコープ内に設けられることがある。
【0005】
例えば、特許文献1においては、製造上の理由等によりスコープに設けたROMに補正値が書き込まれていない場合において、平均的初期データを電子内視鏡装置の初期設定時、すなわち工場における電子内視鏡装置製造時等にメモリに書き込む装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−284685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スコープ内に設けたROMから読み出したデータに異常がある場合には、ビデオプロセッサにおいて正しく画像処理を行うことができず、モニタに表示する内視鏡画像が著しく劣化してしまうことがあるという問題があった。
【0008】
なお、特許文献1の装置においては、ROMから読み出したデータに異常がある場合には、その旨を表示することはできるが、この場合でも、内視鏡画像が著しく劣化することを防止することはできない。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、スコープ内に設けたメモリから読み出したデータに異常がある場合でも、内視鏡画像の劣化を抑制して、十分な画質の内視鏡画像を出力することができる内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る内視鏡システムは、被検体の光学像を撮像する撮像部によって得た内視鏡画像に基づく映像信号を出力する内視鏡装置と、前記内視鏡装置が着脱自在に接続されて、前記内視鏡装置からの映像信号に対して映像信号処理を施す映像処理部を有するビデオプロセッサとを具備する内視鏡システムであって、前記内視鏡装置は、前記内視鏡装置に固有なスコープ情報を格納するメモリと、前記スコープ情報を前記メモリから読出して前記ビデオプロセッサに送信する送信部と、具備し、前記ビデオプロセッサは、前記送信部から出力された前記スコープ情報を受信するための受信部と、前記受信部において前記スコープ情報が正常に受信されたか否かの通信異常を判定する第1の判定部と、前記受信部において受信された前記スコープ情報にデータ異常が生じているか否かを判定する第2の判定部と、前記映像処理部の前記映像信号処理に用いる映像処理設定パラメータの初期値である映像処理設定初期パラメータを記憶する初期値メモリと、前記第1及び第2の判定部の判定結果に基づいて、前記映像処理設定パラメータとして、前記スコープ情報に基づく映像処理設定パラメータを設定するか又は前記初期値メモリに記憶された映像処理設定初期パラメータを設定する制御部と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スコープ内に設けたメモリから読み出したデータに異常がある場合でも、内視鏡画像の劣化を抑制して、十分な画質の内視鏡画像を出力することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡システムを示すブロック図。
【図2】図1中のビデオプロセッサ3の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】送信回路25からの通信データの一例を示す説明図。
【図4】図1中の多板CCD貼り合わせ位置ずれ補正回路53として採用可能な補正回路の一例としての補正回路71を示すブロック図。
【図5】図1中の多板CCD貼り合わせ位置ずれ補正回路53として採用可能な補正回路の他の例としての補正回路80を示すブロック図。
【図6】図5中の遅延部82R〜82B及び選択部83R〜83Bの具体的な構成の一例を示すブロック図。
【図7】位置ずれの補正回路80の動作を説明するための説明図。
【図8】ズーム時における偏芯補正を説明するための説明図。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示すブロック図。
【図10】ROM104に記憶されているCPU暴走時の設定値の一例を示す説明図。
【図11】本発明の第3の実施の形態を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡システムを示すブロック図である。また、図2は図1中のビデオプロセッサ3の具体的な構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示す内視鏡システム1は、各種内視鏡装置2−1,2−2,…(以下、代表して内視鏡装置2という)のうちの1つとビデオプロセッサ3とによって構成される。内視鏡装置2としては、内視鏡11と撮像部21−1を有するカメラヘッド12とによって構成される内視鏡装置2−1や、細長の挿入部の先端側に撮像部21−2を備えた内視鏡装置2−2等の種々の装置を採用することができる。以下、内視鏡装置2に内蔵される固体撮像素子としての撮像部21−1,21−2,…を代表して撮像部21という。
【0016】
これらの内視鏡装置2には、撮像部21からの撮像信号を画像処理する信号処理回路部22が設けられている。信号処理回路部22は、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)やDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等によって構成されており、画像処理回路23、レジスタ24及び送信回路25を有する。
【0017】
また、内視鏡装置2−1,2−2,…には、夫々内視鏡装置2−1,2−2,…に関するスコープ情報を記述したROM26−1,26−2,…(以下、代表してROM26という)が設けられている。なお、ROM26に記憶されるスコープ情報は、各内視鏡装置2の種類やケーブル長の情報、各内視鏡装置2に内蔵される撮像部2に関する情報であり、撮像部2からの撮像信号に対する各種映像処理に必要な映像処理設定パラメータを含む。なお、各内視鏡装置2内のROM26には、各スコープ2毎及び撮像部21毎に最適なスコープ情報が工場出荷時に記憶されている。
【0018】
各内視鏡装置2においては、ROM26に記憶されたスコープ情報は、信号処理回路部22のレジスタ24に夫々与えられる。各内視鏡装置2の画像処理回路23は、撮像部2からの撮像信号に対して、レジスタ24に保持された画像処理情報を用いて画像処理する。画像処理回路23からの映像信号はビデオプロセッサ3の映像処理部35に供給される。
【0019】
また、送信回路25は、レジスタ24に保持されたスコープ情報を読み出して、ビデオプロセッサ3に通信データとして送信する。こうして、ビデオプロセッサ3には、内視鏡装置2から映像信号とスコープ情報とが入力される。
【0020】
ビデオプロセッサ3には、内視鏡装置2からの映像信号に対して各種映像信号処理を施す映像信号処理部35が設けられている。映像信号処理部35は制御部34により制御されて、映像信号処理を行う。また、ビデオプロセッサ3には受信回路31が設けられており、受信回路31は、内視鏡装置2の送信回路25から送信された通信データを受信する。受信回路31は通信データからスコープ情報を抽出してバッファ33に出力する。バッファ33に蓄積されたスコープ情報は、制御部34に供給される。
【0021】
図3は送信回路25からの通信データの一例を示す説明図である。図3の例では、先頭に、ヘッダーデータとそのチェックサム(Check Sum)によって構成されるヘッダーが配置される。次に、スコープ情報である映像処理設定パラメータが配置され、1パケット毎にチェックサムが配置される。以後、必要な数だけの映像処理設定パラメータが配置される。例えば、映像処理設定パラメータとしては、多板CCD張り合わせ位置ズレ補正の設定パラメータ、左右反転、上下反転処理回路の設定パラメータ、ライン濃淡補正の設定パラメータ等がある。
【0022】
本実施の形態においては、受信回路31の出力は判定部32にも供給される。判定部32は受信回路31における通信データの受信が正常に行われたか否かを判定する。判定部32は、内視鏡装置2とビデオプロセッサ3との間を接続するためのコネクタの不良や接触不良、ケーブルの切断、ノイズ、通受信回路の不良等による電気的な通信不良があったか否かを判定する。例えば、判定部32は、ハードウェアによって図3のヘッダーのサムチェックを行うことで、データ受信の不良を検出することができる。判定回路32は判定結果を示す判定情報を制御部34に出力する。
【0023】
本実施の形態においては、図2に示すように、制御部34は、判定部34aを有している。判定部34aは、バッファ33から読み出したスコープ情報が正常な情報であるか否かを判定するようになっている。例えば、判定部34aは、スコープ情報に含まれるチェックサムを利用して、スコープ情報に誤りが存在するか否かを判定する。図3の例では、判定部34aは、パケット毎の誤り判定が可能である。
【0024】
制御部34は、CPU等によって構成することができ、映像処理部35内の各処理回路に、バッファ33から読み出した映像処理設定パラメータを夫々設定することで、映像処理部35の動作を制御するようになっている。この場合において、制御部34は、判定回路32からの判定情報によって受信不良と判定された映像処理設定パラメータ及び判定部34aによって誤りがあると判定された映像処理設定パラメータについては、異常があることを示すフラグを設定するようになっている。
【0025】
図2では、映像処理部35内の各処理回路のうち映像処理設定パラメータが設定される処理回路としては、左右反転上下反転補正回路51、ライン濃淡補正回路52、多板CCD貼り合わせ位置ずれ補正回路53、フィルタ色バラツキ補正回路54及び偏芯補正回路55が採用されている。これらの補正回路51〜55は、夫々レジスタ51a〜55aを備えており、これらのレジスタ51a〜55aに制御部34によって対応する映像処理設定パラメータが設定保持される。補正回路51〜55は、各レジスタ51a〜55aに保持されている映像処理設定パラメータを用いて映像信号処理を行うようになっている。
【0026】
内視鏡装置2からの映像信号は、映像処理部35のA/D変換回路41に与えられる。A/D変換回路41は、入力された映像信号をデジタル信号に変換して左右反転上下反転補正回路51に出力する。内視鏡装置2においては細径化が促進されており、撮像部の配置スペースの制限から、被写体光学像をプリズムを介して撮像部2に結像させるものがある。この場合には、撮像部2に結像する被写体光学像が通常時に対して左右反転、上下反転した画像となることがある。そこで、内視鏡装置2のROM26には、左右上下反転した画像が出力されるか否かを示す左右上下反転情報が映像処理設定パラメータとして記憶されている。制御部34は、この左右上下反転情報に基づく映像処理設定パラメータをセレクタ51bを介してレジスタ51aに設定する。なお、制御部34は、他の各映像処理設定パラメータについても、対応する補正回路52〜55のレジスタ52a〜55aにセレクタ52b〜55bを介して与えて設定する。
【0027】
左右反転上下反転補正回路51は、レジスタ51aに保持された左右上下反転情報に基づく映像処理設定パラメータを用いて、入力映像を左右上下を反転させた映像に補正して出力する。例えば、左右反転上下反転補正回路51は、フレームメモリに書き込んだ映像信号の読出しを制御することによって、左右上下反転補正を行うことができる。
【0028】
内視鏡装置2の撮像部21としては、例えば、単板のCCDと補色フィルタ等のカラーフィルタとを用いてカラー画像を得るもの(以下、単板CCDという)と、原色光を光電変換する2板又は3板のCCDによってカラー画像を得るもの(以下、多板CCDという)とがある。
【0029】
後述するように、単板CCDを用いた場合には、カラーフィルタに基づくライン濃淡を補正することが考えられ、多板CCDを用いた場合には、各CCDの位置ずれを補正することが考えられる。そこで、単板CCDを採用した内視鏡装置2からの映像信号については、補正回路51の出力をY/C分離回路42に与え、多板CCDを採用した内視鏡装置2からの映像信号については、補正回路51の出力を多板CCD貼り合わせ位置ずれ補正回路53に与える。
【0030】
Y/C分離回路42は、入力された映像信号を輝度信号と色信号とに分離してライン濃淡補正回路52に出力する。ライン濃淡補正回路52は、レジスタ52aに保持された映像処理設定パラメータを用いて、カラーフィルタに基づくライン濃淡を補正してフィルタ色バラツキ補正回路54に出力するものである。
【0031】
撮像部21には製造バラツキによる特性差によって、画像にばらつきが生じる。例えば、カラーフィルタの特性のばらつきによって輝度、色にバラツキが生じることがある。単板CCDにおいては、一般的に補色フィルタが採用されることが多い。補色フィルタは、2ライン毎に同一色配列を有する。従って、補色フィルタを用いた場合には、ライン濃淡と呼ばれるライン毎のバラツキが生じることがある。そこで、内視鏡装置2のROM26には、ライン濃淡を補正するためのライン濃淡補正情報が格納されている。補正回路52のレジスタ52aには、このライン濃淡補正情報に基づく映像処理設定パラメータが格納されている。
【0032】
補色フィルタは、2ライン毎に同一色配列となるので、ライン濃淡補正情報に基づく映像処理設定パラメータは、奇数フィールドの奇数ライン用及び偶数ライン用、偶数フィールドの奇数ライン用及び偶数ライン用の4種類である。補正回路52は、入力される輝度信号及び色信号の各ライン毎に、対応する映像処理設定パラメータを適用して、ライン濃淡を補正する。こうして、補正回路52からはライン濃淡が補正された輝度信号及び色信号が出力される。
【0033】
多板CCDを採用した内視鏡装置2からの映像信号についての補正回路51の出力は、R,G,B映像信号である。補正回路53は、レジスタ53aに保持された映像処理設定パラメータを用いて、多板CCDの貼り合わせ位置ずれによるR,G,B画像のずれを補正し、補正したR,G,B映像信号をY/C変換回路43に出力する。Y/C変換回路43は、入力されたR,G,B映像信号を輝度信号と色信号とに変換してフィルタ色バラツキ補正回路54に出力する。
【0034】
図4は図1中の多板CCD貼り合わせ位置ずれ補正回路53として採用可能な補正回路の一例としての補正回路71を示すブロック図である。撮像部2として、多板CCDを採用する場合には、被写体から受光した光をプリズムを用いて分光し、各色光毎に設けられたCCDにより撮像する。各CCDのプリズムに対する貼り合わせ位置は光軸がCCDの有効画素の中心を通るように精度良く位置決めされる必要がある。しかし、近年、CCDの小型化に伴い各ピクセルサイズが小さくなってきたため、製造工程において精度良くCCDの貼り合わせを行うことが困難になってきており、この位置合わせ精度向上には設備の増設や熟練した作業者により作業が必要であった。また、組立後、画像を出画すると水平・垂直方向2画素程度のずれが発生してしまうこともあった。
【0035】
このような位置ずれが生じているR,G,B映像信号が補正回路71(53)に入力される。ROM26には、R,G,B画像の位置ずれを補正するための位置ずれ補正情報が格納されている。補正回路71(53)には、この位置ずれ補正情報に基づく映像処理設定パラメータが格納される。
【0036】
入力されたR,G,B映像信号は、夫々図4の映像入力信号CH1,CH2,CH3として、遅延部72CH1〜72CH3に供給される。遅延部72CH1〜72CH3は相互に同一構成であり、遅延部72CH1のみについて説明する。
【0037】
遅延部72CH1は映像入力信号CH1を1ライン遅延部73a〜73cによって、1〜3ライン遅延させることができる。即ち、映像入力信号CH1に基づく画像を、画面上で1〜3ラインずらすことが可能である。また、遅延部72CH1は、1ライン遅延部73aの出力を1画素遅延部74a,75aによって、1又は2画素遅延させることができる。同様に、遅延部72CH1は、1ライン遅延部73bの出力を1画素遅延部74b,75bによって、1又は2画素遅延させることができ、1ライン遅延部73cの出力を1画素遅延部74c,75cによって、1又は2画素遅延させることができる。即ち、1画素遅延部74a〜74c,75a〜75cによって、映像入力信号CH1に基づく画像を、画面上で1又は2画素水平方向にずらすことが可能である。
【0038】
1ライン遅延部73a〜73c、1画素遅延部74a〜74c及び1画素遅延部75a〜75cの出力は、MUX76に供給される。補正回路71はレジスタ53aに格納された位置ずれ補正情報に基づく映像処理設定パラメータによって、R映像信号に相当する映像入力信号CH1の位置ずれ補正量(遅延量)を求め、遅延制御信号によってMUX76に指示する。これにより、MUX76は、指定された遅延量の映像出力信号CH1を出力する。
【0039】
同様に、遅延部72CH1〜72CH3によって、映像入力信号CH2,CH3についても、位置ずれ補正情報に基づく遅延量で出力される。こうして、R,G,B映像信号の位置を1画素単位で移動させて、位置ずれを補正することができる。
【0040】
なお、遅延部72CH1〜72CH3に、1ライン遅延部及び1画素遅延部を適宜の数だけ設けることにより、所望の画素数の位置ずれを補正することが可能である。
【0041】
図5は図1中の多板CCD貼り合わせ位置ずれ補正回路53として採用可能な補正回路の他の例としての補正回路80を示すブロック図である。図4の補正回路71は1画素単位での位置ずれ補正が可能であった。図5の補正回路80は1画素よりも小さい位置ずれを補正可能である。例えば1/4画素単位での補正の例について説明するが、適宜の画素単位での補正が可能である。
【0042】
R,G,B映像信号は図4と同一構成の1画素単位補正回路71に与えられて、1画素単位で位置ずれ補正される。1画素単位補正回路71からのR,G,B映像信号は、夫々、アップコンバータ81R〜81Bを介して遅延部82R〜82Bに供給される。
【0043】
一方、クロックジェネレータ86からのクロックはPLL回路87に与えられて4逓倍される。クロックジェネレータ86からのクロック及びPLL回路87によって4逓倍されたクロックは、アップコンバータ81R〜81Bに供給される。これらのクロックを用いることで、アップコンバータ81R〜81Bは、夫々入力されたR,G,B映像信号の1画素を4画素にするアップコンバート処理を行う。アップコンバータ81R〜81Bの出力は夫々遅延部82R〜82Bに与えられる。遅延部82R〜82Rの出力は夫々選択部83R〜83Bに与えられる。
【0044】
図6は図5中の遅延部82R〜82B及び選択部83R〜83Bの具体的な構成の一例を示すブロック図である。遅延部82R〜82Bは相互に同一構成であり、選択部83R〜83Bも相互に同一構成であり、遅延部82R及び選択部82Rのみについて説明する。
【0045】
遅延部82Rは1/4画素遅延部(D)82a〜82dを有している。遅延部82Rは入力されたR映像信号を1/4画素遅延部82a〜82dによって1/4画素分ずつ順次遅延させる。遅延部82Rに入力されたR映像信号及び各1/4画素遅延部82a〜82dの出力が選択部83Rを構成するMUX83aに供給される。
【0046】
選択部83R〜83Bを構成するMUX83aには、選択部制御回路88から遅延制御信号が与えられる。選択部制御回路88は、PLL回路87からの4逓倍クロックが与えられて動作し、レジスタ53aから位置ずれ補正情報に基づく映像処理設定パラメータが与えられて、位置ずれ補正情報に基づく遅延制御信号を発生している。MUX83aは、遅延制御信号に基づいて、アップコンバータ81Rの出力、1/4画素遅延部82a〜82dの出力のいずれか1つを選択する。これにより、遅延部82R及び選択部83Rは、アップコンバータ81RからのR映像信号を、遅延量0、1/4画素遅延、1/2画素遅延、3/4画素遅延又は1画素遅延させて出力することができる。即ち、R映像信号を0から1画素分の範囲で、1/4画素単位で、遅延制御信号に応じて水平方向にずらすことができる。
【0047】
遅延部82G,82B及び選択部83G,83Bも図6と同一構成であり、G,B映像信号を0から1画素分の範囲で、1/4画素単位で、遅延制御信号に応じて水平方向にずらすことができる。
【0048】
選択部83R〜83Bの出力は夫々ダウンコンバータ84R〜84Bに供給される。クロックジェネレータ86からのクロックはPLL回路89にも供給されており、PLL回路89はクロックを2逓倍する。ダウンコンバータ84R〜84Bには、PLL回路87,89からの2逓倍及び4逓倍クロックが入力されており、ダウンコンバータ84R〜84Bは、夫々入力されたR,G,B映像信号の4画素を2画素にするダウンコンバート処理を行う。ダウンコンバータ84R〜84Bの出力はDSP85に供給される。
【0049】
従来、3板CCDを採用した撮像装置においては、G用CCDに対して、R用、B用CCDを水平方向に1/2画素ずらした状態でプリズムに貼り合わせする手法が採用されることがある。このような3板CCDから得られた撮像信号を画素ずらし処理することで、水平解像度を向上させるのである。DSP85はこのような1/2画素ずらし処理を行うものである。DSP85は1/2画素ずらし処理後のR,G,B映像信号を出力する。図5の位置ずれ補正においては、位置ずれ補正のためにアップコンバートしており、DSP85における1/2画素ずらし処理においてアップコンバートは不要である。
【0050】
なお、位置ずれ補正のみを行う場合には、DSP85は不要である。
【0051】
次に、図7を参照して位置ずれの補正回路80の動作について説明する。図7においては、四角で囲って画素信号を示しており、R,G,Bは、夫々R信号、G信号、B信号を示し、添え字の1桁目が同一の信号は、同一画素に基づく信号であることを示している。
【0052】
いま、補正回路80に入力されるR,G,B映像信号が図7の状態S1に示すように、水平方向に、G信号とR信号とが1/4画素ずれ、G信号とB信号とが3/4画素ずれているものとする。アップコンバータ81R〜81Bは、4逓倍クロック(CLK(x4))を用いて、1画素を4画素にアップコンバートする。これにより、G信号、R信号及びB信号は、状態S2となる。遅延部82R〜82B及び選択部83R〜83Bは、4逓倍クロックを用いて、位置ずれ補正情報に基づく遅延制御信号によって、G信号を3/4画素遅延させ、R信号を1/2画素遅延させ、B信号をそのまま出力することにより、図7の状態S3にする。
【0053】
ダウンコンバータ84R〜84Bは、状態S3のR,G,B信号の4画素を2画素にするダウンコンバート処理によって、状態S4を得る。こうして、補正回路80は、1画素よりも小さい位置ずれを確実に補正することができる。
【0054】
フィルタ色バラツキ補正回路54は、レジスタ54aに保持された映像処理設定パラメータを用いて、色バラツキを補正し、補正した輝度信号及び色信号をRGB変換回路44に出力する。上述したように、撮像部21には製造バラツキによる特性差によって、画像にばらつきが生じる。そこで、内視鏡装置2のROM26には、色バラツキを補正するための色バラツキ補正情報に基づく映像処理設定パラメータが格納されている。補正回路54のレジスタ54aには、この色バラツキ補正情報に基づく映像処理設定パラメータが格納されている。
【0055】
補正回路54は、入力される輝度信号及び色信号に対して、映像処理設定パラメータを適用して色バラツキを補正する。こうして、補正回路54からは色バラツキが補正された輝度信号及び色信号が出力される。
【0056】
RGB変換回路44は、入力された輝度信号及び色信号をR,G,B映像信号に変換してWB回路45に出力する。WB回路45は、入力されたR,G,B映像信号のホワイトバランスを調整して、偏芯補正回路55に出力する。
【0057】
内視鏡装置2−1においては、機械的な精度上の問題によって、内視鏡11の光軸中心と撮像部21−1の撮像面中心とが一致しないことがある。偏芯量は内視鏡装置2毎に異なる。そこで、内視鏡装置2のROM26には、偏芯量補正情報に基づく映像処理設定パラメータが記憶されている。
【0058】
偏芯補正回路55は、レジスタ55aに保持された偏芯量補正情報に基づく映像処理設定パラメータを用いて、映像の中心と画面中心とを一致させるように、偏芯補正を行う。
【0059】
図8はズーム時における偏芯補正を説明するための説明図である。領域91は撮像部2の画素領域を示している。撮像部2から読み出された画像領域(以下、切出し領域という)92は、内視鏡11の光軸中心と撮像部21−1の撮像面との中心が一致していないことから、中心P1が偏芯している。この偏芯量を補正するための偏芯量補正情報に基づく映像処理設定パラメータがROM26−1に記述されている。図8の例では、偏芯補正回路55は、偏芯量補正情報に基づく映像処理設定パラメータを用いて、切出し領域92の中心P1をP2の位置まで偏芯補正し、切出し領域93を設定する補正を行う。
【0060】
このような偏芯補正によって、カメラヘッド毎に異なる中心軸の補正を自動的に適切に行うことが可能となる。偏芯補正回路55からの映像信号はポスト映像処理回路46に与えられる。
【0061】
ポスト映像処理回路46は、入力された映像信号に対して各種映像信号処理を施して出力する。例えば、ポスト映像処理回路46は、ズーム処理、エンハンス処理、γ補正処理等の映像処理を行う。ポスト映像処理回路46からの映像信号はモニタ4に供給される。こうして、モニタ4の表示画面上において、内視鏡装置2によって撮像された内視鏡画像が表示される。
【0062】
上述したように、制御部34からの映像処理設定パラメータは、セレクタ51b〜55bを介してレジスタ51a〜55aに供給されるようになっている。本実施の形態においては、セレクタ51b〜55bには、初期値メモリとしてのROM51c〜55cからの映像処理設定初期パラメータも与えられる。
【0063】
ROM51c〜55cには、夫々補正回路51〜55における補正処理に用いる映像処理設定初期パラメータが記憶されている。各内視鏡装置2のROM26に記憶されているスコープ情報は、各内視鏡装置及び撮像部毎の映像処理設定パラメータを含んでいるのに対し、ROM51c〜55cに記憶される映像処理設定初期パラメータは、内視鏡装置2の種類毎の情報であり、各補正回路51〜55における補正処理によって画像が著しく劣化することを防止する値に設定されている。例えば、左右反転上下反転補正回路51に対する映像処理設定初期パラメータとしては、左右及び上限反転を行わないようにするための値が設定される。
【0064】
制御部34は、各映像処理設定パラメータに異常があることを示すフラグを設定した場合には、当該映像処理設定パラメータを出力するセレクタ51b〜55bに、ROM51c〜55cからの映像処理設定初期パラメータを選択させて、レジスタ51a〜55aに映像処理設定パラメータとして設定するようになっている。これにより、補正回路51〜55は、映像処理設定パラメータに異常がない場合には、制御部34からの映像処理設定パラメータを用いて補正処理を行い、映像処理設定パラメータに異常がある場合には、ROM51c〜55cからの映像処理設定初期パラメータを用いて補正処理を行う。
【0065】
次に、このように構成された実施の形態の動作について説明する。
【0066】
内視鏡装置2とビデオプロセッサ3とを接続して、内視鏡装置2及びビデオプロセッサ3の電源を投入する。これにより、内視鏡装置2は、撮像部21からの撮像信号を画像処理回路23において画像処理した後、映像信号をビデオプロセッサ3に出力する。
【0067】
また、内視鏡装置2の送信回路25は、レジスタ24に保持されているスコープ情報を送信する。このスコープ情報は、ビデオプロセッサ3の受信回路31において受信される。判定回路32は、通信異常の有無を判定して判定情報を制御部34に出力する。また、受信回路31からのスコープ情報は、バッファ33を介して制御部34に供給される。
【0068】
制御部34の判定部34aは、バッファ33から入力されたスコープ情報の異常を、例えば通信データ中のチェックサムを利用することで判定する。制御部34は、バッファ33からのスコープ情報中の映像処理設定パラメータをセレクタ51b〜55bに出力する。この場合には、制御部34は、判定回路32及び判定部34aによって通信異常又はデータ異常により異常があると判定された映像処理設定パラメータについては異常があることを示すフラグを設定する。
【0069】
いま、判定回路32及び判定部34aによって、通信異常及びデータ異常が発生しておらず、制御部34に取り込まれた映像処理設定パラメータには異常が発生していないものとする。この場合には、制御部34はセレクタ51b〜55bを制御して、制御部34からの映像処理設定パラメータを対応するレジスタ51a〜55aに与えて記憶させる。こうして、この場合には、各補正回路51〜55は、内視鏡装置2のROM26に記憶されている映像処理設定パラメータを用いて補正処理を行う。これにより、各補正回路51〜55は、内視鏡装置2及び撮像部21の種類に応じた最適な補正が可能である。
【0070】
こうして、モニタ4には、内視鏡装置2及び撮像部21の種類に応じて最適に補正された内視鏡画像が映出される。
【0071】
ここで、判定回路32及び判定部34aによって、通信異常又はデータ異常が検出されるものとする。この場合には、制御部34は、異常が検出されたスコープ情報に基づく映像処理設定パラメータに異常があることを示すフラグを設定する。制御部34は、セレクタ51b〜55bのうち異常があることを示すフラグが設定された映像処理設定パラメータが供給されるセレクタについては、対応するROM51c〜55cに記憶されている映像処理設定初期パラメータを選択させて、対応するレジスタ51a〜55aに与える。
【0072】
こうして、この場合には、各補正回路51〜55は、異常が検出されたスコープ情報に基づく映像処理設定パラメータに代えて、ROM51c〜55cに記憶されている映像処理設定初期パラメータを用いて補正を行う。これにより、各補正回路51〜55において異常な映像処理設定パラメータを用いた補正処理が行われることはなく、各補正回路51〜55から異常な映像出力が出力されることを防止することができる。これにより、ビデオプロセッサ3の制御部34に異常なスコープ情報が取り込まれた場合でも、必要な最低限の補正は行われることになり、モニタ4に表示される内視鏡画像が著しく劣化することを防止することができる。
【0073】
このように本実施の形態においては、通信異常及びデータ異常が生じているスコープ情報が取り込まれたことを検出した場合には、各補正回路に映像処理設定パラメータに代えて映像処理設定初期パラメータを設定することで、各補正回路において異常な補正が行われることを防止することができる。これにより、ビデオプロセッサが異常なスコープ情報を受信した場合でも、モニタに表示される内視鏡画像が著しく劣化することを防止することができる。
【0074】
図9は本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。図9において図2と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
本実施の形態はビデオプロセッサ3に代えてビデオプロセッサ100を採用した点が第1の実施の形態と異なる。ビデオプロセッサ100は、ウォッチドックタイマ(WDT)101、設定ROM102、レジスタ切換回路103、ROM104及び各種制御回路111〜115を設けた点がビデオプロセッサ3と異なる。
【0076】
フリーズ制御回路111は、レジスタ111aに記憶された設定値に従って、内視鏡画像をフリーズさせて表示させるか否かを制御する。カラーバー制御回路112は、レジスタ112aに記憶された設定値に従って、モニタ4上にカラーバーを表示するか否かを制御する。光源制御回路113は、レジスタ113aに記憶された設定値に従って、内視鏡の光源として用いる光の選択を制御する。モニタ出力制御回路114は、レジスタ114aに記憶された設定値に従って、モニタ4の出力画像の方式等を制御する。記録装置制御回路115は、レジスタ115aに記憶された設定値に従って、図示しない記録装置への出力画像の記録方式等を制御する。
【0077】
制御部34は、これらの制御回路111〜115に設定すべき設定値を設定値ROM102からオペレータの操作に基づいて選択して読み出し、レジスタ切換回路103を介して各レジスタ111a〜115aに設定する。
【0078】
ビデオプロセッサ100には、各制御回路111〜115に対して設定可能な複数の設定値を夫々有する設定ROM102以外に、暴走時の設定値を保持するROM104が設けられている。また、本実施の形態においては、制御部34を構成するCPUの暴走を監視するWDT101が設けられている。WDT101は、制御部34を構成するCPUの出力を監視することで、制御部34の暴走を検出する。WDT101は、制御部34の暴走を検出すると、レジスタ切換回路103を制御して、暴走時設定メモリであるROM104に記憶されているCPU暴走時の設定値を各レジスタ111a〜115aに設定するようになっている。
【0079】
このように構成された実施の形態においては、制御部34が暴走していない場合には、制御部34は、オペレータの操作に応じた設定値を設定値ROM102から読み出して、各制御回路111〜115のレジスタ111a〜115aに設定する。これにより、内視鏡システムは、オペレータの操作に応じて動作を行う。
【0080】
ここで、制御部34を構成するCPUが暴走するものとする。この場合には、この暴走がWDT101によって検出される。そうすると、WDT101は、レジスタ切換回路103を制御して、ROM104に記憶されている設定値を選択させて、各制御回路111〜115のレジスタ111a〜115aに設定させる。
【0081】
図10はROM104に記憶されているCPU暴走時の設定値の一例を示す説明図である。図10に示すように、CPU(制御部34)の暴走時には、フリーズ及びカラーバーが解除されて、通常光により照明された動画の内視鏡画像が表示されることになる。これにより、例えば内視鏡を体腔内から抜き出すこと等を行う場合に、比較的観察がし易い通常の動画像の内視鏡像を表示させることができる。また、モニタ4には、内視鏡画像が標準画質の形式で画像表示され、記録装置には標準画質の形式で画像が記録される。これにより、内視鏡画像の表示の確実性が向上し、モニタ4の表示画面上において、内視鏡画像の観察を確実に継続させることができる。
【0082】
このように本実施の形態においては、制御部を構成するCPUが暴走した場合に、ウォッチドックタイマを利用してCPU暴走時の設定値を自動的に各制御回路のレジスタに設定することにより、制御部が暴走した場合でも、観察しやすく且つ表示や記録の確実性が高い内視鏡画像を得ることができる。
【0083】
図11は本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。図11において図2と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0084】
本実施の形態はビデオプロセッサ3に代えてビデオプロセッサ120を採用した点が第1の実施の形態と異なる。ビデオプロセッサ120は、判定ROM121及びセレクタ122を設けた点がビデオプロセッサ3と異なる。
【0085】
ビデオプロセッサ120には複数種類の内視鏡装置2を接続することができる。しかし、内視鏡装置2については、フォントデータやビデオフォーマット等の相違を考慮して、地域別に使用可能な種類が制限されていることがある。従って、内視鏡システムの性能を保証するために、本実施の形態においては、当該地域でサポートされている内視鏡装置以外の内視鏡装置がビデオプロセッサ120に接続された場合には、内視鏡画像を出画させないようにする。
【0086】
内視鏡装置2のROM26には、地域毎の出画制限情報が記憶されている。一方、判定ROM121には、ビデオプロセッサ120が使用される地域についての地域情報が記憶されている。
【0087】
制御部34は、接続された内視鏡装置2のROM26から読み出したスコープ情報中の出画制限情報を取得すると、判定ROM121に記憶されている地域情報と比較し、地域情報で規定されている地域が出画制限情報によって使用が制限されている地域であるか否かを判定する。制御部34は使用が制限されていない場合にのみ、出画許可信号をセレクタ122に出力する。この出画許可信号によって、セレクタ122はポスト映像処理回路46からの映像信号をモニタ4に出力する。
【0088】
このように構成された実施の形態においては、内視鏡装置2とビデオプロセッサ120とが接続されて電源が投入されると、内視鏡装置2のROM26からのスコープ情報がビデオプロセッサ120の制御部34に読込まれる。制御部34はスコープ情報に含まれる出画制限情報と、判定ROM121に記憶されている地域情報とを比較する。制御部34は、地域情報によって規定されている地域が出画制限情報によって使用が制限されている地域であるか否かを判定し、使用が制限されている地域でない場合にのみ、セレクタ122に出画許可信号を出力する。これにより、セレクタ122はポスト映像処理回路46からの内視鏡画像の映像信号を出力する。
【0089】
内視鏡装置2が使用が制限されている地域においてビデオプロセッサ120に接続された場合には、出画制限情報によって使用が制限されている地域中に、判定ROM121に記憶されている地域情報に規定された地域が含まれる。この場合には、制御部34はセレクタ122に出画許可信号を出力せず、セレクタ122はポスト映像処理回路46からの内視鏡画像の映像信号を出力しない。
【0090】
このように本実施の形態においては、内視鏡装置のROMからの出画制限情報を読み出して、判定ROM内の地域情報と比較することにより、使用が制限された地域において内視鏡装置を使用した場合に、出画を制限することができる。これにより、性能が保証された内視鏡装置による内視鏡画像のみを表示させることができる。
【0091】
なお、本実施の形態においては、使用が制限された地域において内視鏡装置を使用した場合には出画を制限するようにしたが、出画の禁止に際して、使用が制限された地域用の内視鏡装置が接続されていることを示すメッセージを表示させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…内視鏡システム、2−1,2−2…内視鏡装置、3…ビデオプロセッサ、4…モニタ、21−1,21−2…撮像部、22…信号処理回路部、26−1,26−2…ROM、31…受信回路、32…判定回路、34…制御部、34a…判定部、51〜55…補正回路、51a〜55a…レジスタ、51b〜55b…セレクタ、51c〜55c…ROM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の光学像を撮像する撮像部によって得た内視鏡画像に基づく映像信号を出力する内視鏡装置と、前記内視鏡装置が着脱自在に接続されて、前記内視鏡装置からの映像信号に対して映像信号処理を施す映像処理部を有するビデオプロセッサとを具備する内視鏡システムであって、
前記内視鏡装置は、
前記内視鏡装置に固有なスコープ情報を格納するメモリと、
前記スコープ情報を前記メモリから読出して前記ビデオプロセッサに送信する送信部と、
を具備し、
前記ビデオプロセッサは、
前記送信部から出力された前記スコープ情報を受信するための受信部と、
前記受信部において前記スコープ情報が正常に受信されたか否かの通信異常を判定する第1の判定部と、
前記受信部において受信された前記スコープ情報にデータ異常が生じているか否かを判定する第2の判定部と、
前記映像処理部の前記映像信号処理に用いる映像処理設定パラメータの初期値である映像処理設定初期パラメータを記憶する初期値メモリと、
前記第1及び第2の判定部の判定結果に基づいて、前記映像処理設定パラメータとして、前記スコープ情報に基づく映像処理設定パラメータを設定するか又は前記初期値メモリに記憶された映像処理設定初期パラメータを設定する制御部と、
を具備したことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記内視鏡装置は、内視鏡と前記撮像部を有するカメラヘッドとによって構成され、
前記スコープ情報は、前記内視鏡の光軸と前記撮像部の中心とのずれを補正するための偏芯補正量の情報を含み、
前記映像処理部は、前記偏芯補正量の情報に基づく前記映像処理設定パラメータを用いて、前記内視鏡装置から出力された映像信号に基づく画像の中心位置を補正することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記内視鏡装置は、前記撮像部が多板式の複数の撮像素子によって構成され、
前記スコープ情報は、前記複数の撮像素子同士の位置ずれを補正するための位置ずれ補正情報を含み、
前記映像処理部は、前記位置ずれ補正情報に基づく前記映像処理設定パラメータを用いて、前記内視鏡装置から出力された前記各撮像素子からの各映像信号の遅延量を制御することで、前記位置ずれを補正することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記映像処理部は、アップコンバータを具備し、前記位置ずれ補正情報に基づく前記映像処理設定パラメータを用いて、前記内視鏡装置から出力された前記各撮像素子からの各映像信号の遅延量を1画素以内で制御することで、1画素よりも小さい前記位置ずれを補正することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記制御部の暴走を検出する暴走検出部と、
オペレータの操作によって変更可能な前記ビデオプロセッサからの出画に関する設定値であって、前記制御部の暴走時に設定する設定値を記憶する暴走時設定メモリと、
を具備し、
前記制御部は、前記暴走検出部が前記制御部の暴走を検出すると、前記暴走時設定メモリに記憶された設定値を前記映像処理部に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記設定値は、フリーズ制御、カラーバー表示制御、光源制御、モニタ出力制御及び記録制御のうちの少なくとも1つを制御するためのものである
ことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−16406(P2012−16406A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154230(P2010−154230)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】