説明

内視鏡用管路切換え装置

【課題】 本発明は、シール部材の劣化を防止すると共に、シリンダの管路空間と外部空間の気密・水密を保ち、かつ、ピストンの摺動抵抗を低減し、操作性を向上させることができる内視鏡用管路切換え装置を提供することである。
【解決手段】 内視鏡1に配設された管路を切換える内視鏡用管路切換え装置のシリンダ35とピストン本体45間の空間をシールするシール部材65を弾性体である伸縮部65cによって形成し、伸縮部65cの一端の第1固定部65aが上記ピストン本体45に固定されるとともに、前記伸縮部65cの他端の第2固定部65bが上記シリンダ部31に固定される。そして、伸縮部65cの付勢力でピストン本体45が非押し込み位置である第1位置に保持され、伸縮部65cの付勢力に抗してピストン本体45が第1位置から押し込み位置である第2位置に押し込み操作される押し込み操作時に伸縮部65cが弾性変形し、ピストン本体45による管路の切換えが行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に設けられる送気送水管路等の流体管路において管路切換えを行う内視鏡用管路切換え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内視鏡は、挿入部の先端に観察窓が設けられており、観察窓を介して体腔の内部を観察できるようになっている。特に医療用の内視鏡では、使用中に観察窓は体液等により汚れる場合がある。このような場合は、観察窓の汚れを落とすために観察窓に洗浄液を噴射して観察窓の洗浄を行う必要がある。また、体腔内の観察視野を確保するために、体腔内に空気を供給して体腔を膨らませる場合がある。これらの作業を行なうために挿入部の先端部には観察窓に向けて送気、送水を行う送気送水ノズルが設けられている。この送気送水ノズルには、流体管路を介して洗浄水や加圧空気等が供給され、挿入部の先端の送気送水ノズルから空気や洗浄用液体を観察窓に向けて噴出できるようになっている。
【0003】
流体管路を備えた内視鏡では、一般的に、操作部近傍に送気管路や、送水管路の切換えを行うバルブ等からなる管路切換え装置が設けられている。この管路切換え装置を操作することによって送気と、送水の動作の切り換えなどを行えるようになっている。
このような内視鏡用管路切換え装置としては、例えば特許文献1に示されているように、シリンダとピストンとを有してなるバルブによって構成されたものがある。この従来の管路切換え装置では、ピストンの周囲に設けられたシール部材をシリンダの内周面に押し当て、シリンダとピストンとの間の通路の水密、気密を保持する方式をとっている。
【0004】
このようにピストンのシール部材をシリンダの内周面に押し当てる方式では、ピストンの押し込み操作時にシリンダとの摩擦によるシール部材の変形が起こる。そのため、シール部材にはリブ状の強度補強部を設けることで、変形を抑制し、気密・水密を保持している。
【0005】
また、バルブには、ピストンの操作時に、ピストンを押し込み位置から自然状態の位置(非押し込み位置)に戻せるように、ピストンにリターンばねを設け、復元力を与えている。
また、内視鏡の使用後は、流体管路の洗浄が行われる。この流体管路の洗浄時には、一般的にシリンダからピストンを取り外した状態で、シリンダに洗浄補助具を取付けて洗浄作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−122069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のような従来の管路切換え装置では、シリンダの内周面にピストンの周囲に設けられたシール部材を押し当てることで、シリンダとの間の通路の気密・水密を保持している。ところで、シリンダの開口部の内面は、ピストンの挿脱が行われる際に、ピストンの先端部が当たり易い。同様に、管路洗浄時における洗浄補助具の取付け取り外しをする際も補助具の取付け時にシリンダの開口部の内面に補助具の先端部が当たり易い。そのため、シリンダの開口部には傷が付き易くなる可能性がある。
【0008】
しかしながら、従来のピストンのシール部材をシリンダの内周面に押し当てる方式では、シリンダの内周面に傷等により凹凸が生じた場合に傷部の凹凸部分から流体が漏出してしまう可能性がある。さらに、管路の切換え操作時にシール部材がシリンダの内周面を摺動するときの摩擦により、シール部がよじれた状態となり、シール部材の劣化が生じる可能性がある。このような場合は、ピストンのシール部材とシリンダの内周面との間のシール性が弱くなり、極端な場合は、充分な送気・送水が行われなくなる可能性がある。
【0009】
また、ピストンの押し込み操作時には、ピストンのシール部材によって摺動抵抗が発生する。そのため、ピストンを押し込み位置から自然状態の位置(非押し込み位置)に戻す場合にはリターンばねにこのときの摺動抵抗を補うだけのばね力が必要となり、バルブのボタン操作に比較的大きな力を要する可能性がある。
【0010】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、シール部材の劣化を防止すると共に、シリンダの管路空間と外部空間の気密・水密を保ち、かつ、ピストンの摺動抵抗を低減し、操作性を向上させることができる内視鏡用管路切換え装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面の態様は、内視鏡筐体に配設されたシリンダと、このシリンダに進退自在に嵌挿されたピストンを前記ピストンの移動方向に沿って非押し込み位置である第1位置と押し込み位置である第2位置との間で移動させることにより内視鏡に配設された管路を切換える内視鏡用管路切換え装置において、上記ピストンに固定される第1固定部と、上記シリンダに固定される第2固定部と、上記第1固定部と第2固定部との間に設けられた弾性体である伸縮部とからなるシール部材を設け、上記シリンダと上記ピストン間の空間を上記シール部材でシールするとともに、前記伸縮部の付勢力で前記ピストンが前記第1位置に保持され、前記伸縮部の付勢力に抗して前記ピストンが前記第1位置から前記第2位置に押し込み操作される押し込み操作時に前記伸縮部が弾性変形することを特徴とする内視鏡用管路切換え装置である。
そして、上記構成では、ピストンを非押し込み位置である第1位置と押し込み位置である第2位置との間で移動させる際に、シール部材の伸縮部の弾性変形によってシリンダとピストン間の空間のシールを保持することにより、シール部材をシリンダに当て付けた状態で摺動させることをなくすことができる。そのため、シール部材の磨耗を低減することができ、シール部の耐久性が向上すると共に、シリンダの内周面に凹凸が生じた場合にも送気・送水が保持できる。さらに、送気・送水の切換え操作時にピストンのシール部材とシリンダ内周面との摺動がなくなるため、摺動抵抗を減らすことができる。そのため、ピストンの押し込み状態から自然状態に戻すばね力を減らせることで、ピストンの操作力量を減らせ操作性を良好にすることができ、使用者の労力が軽減されるようにしたものである。
【0012】
好ましくは、上記シール部材は、ゴムまたはエラストマーである。
好ましくは、上記シール部材は、折りたたみ構造のばね部材からなる。
好ましくは、上記ばね部材は、金属あるいは樹脂である。
好ましくは、上記ピストンは、上記ピストンの本体を前記シリンダに取り外し可能に取付ける取付け部を有し、上記取付け部は、上記ピストン本体の外側に配置された円筒状の硬質部材と、この硬質部材の外周面を覆う弾性部材の取付け部材とを有する。
好ましくは、前記第2固定部は、前記シリンダと接触する接触面に凸部を有し、上記シリンダは、前記第2固定部の前記凸部と対応する部位に前記凸部と嵌合する凹部を有し、上記硬質部材は、上記ピストン本体の前記取付け部を前記シリンダに取付け、かつ前記第2固定部の前記凸部を上記シリンダの前記凹部に嵌合させた状態で、前記第2固定部を前記シリンダに対して加圧状態で前記シリンダに当て付ける当て付け部を有する。
好ましくは、前記第2固定部は、前記シリンダの上部外周面に面接触状態で接する面接触部を有し、
上記硬質部材は、上記ピストン本体の前記取付け部を前記シリンダに取付けた状態で、前記第2固定部の前記面接触部を前記シリンダの上部外周面に対して圧接状態で前記シリンダに当て付ける当て付け面を有する。
好ましくは、前記第2固定部は、前記シリンダの上面に面接触状態で接する第1の面接触部と、前記シリンダの上部外周面に面接触状態で接する第2の面接触部とを有し、上記取付け部は、前記シール部材と一体に形成される弾性部材を有し、上記硬質部材は、上記ピストン本体の前記取付け部を前記シリンダに取付けた状態で、前記第2固定部の前記第1の面接触部を前記シリンダの上面に面接触状態で当て付ける当て付け部と、前記第2の面接触部を前記シリンダの上部外周面に面接触状態で当て付ける当て付け面を有する。
好ましくは、上記硬質部材は、前記第2固定部に対して上記シリンダと反対側から接触する押し当て部を備えた硬質部材本体と、硬質部材本体の内周面に形成された雌ネジ部に対して螺合するネジ部を有する押さえ部材とを有し、前記ネジ部材を前記押し当て部と反対側から前記硬質部材本体の雌ネジ部に螺合することにより、前記第2固定部を前記押し当て部と前記ネジ部材との間に挾持させる状態で固定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シール部材の劣化を防止すると共に、シリンダの管路空間と外部空間の気密・水密を保ち、かつ、ピストンの摺動抵抗を低減し、操作性を向上させることができる内視鏡用管路切換え装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態の内視鏡のシステム全体の概略構成図。
【図2】第1の実施の形態の内視鏡用管路切換え装置としての送気送水バルブのピストン本体が自然状態の位置(非押し込み位置)に保持されている状態を示す縦断面図。
【図3】第1の実施の形態の送気送水バルブのピストン本体をシリンダ部に挿入する前の状態を示す縦断面図。
【図4】第1の実施の形態の送気送水バルブのシリンダ部とピストン部の取付け部との装着部の拡大図であり、(A)はピストン部の取付け部とシリンダ部との装着前の状態を示す要部の縦断面図、(B)はピストン部の取付け部とシリンダ部との装着後の状態を示す要部の縦断面図。
【図5】第1の実施の形態の送気送水バルブのピストン本体を押し込み操作した状態を示す縦断面図。
【図6】第1の実施の形態の送気送水バルブのピストン本体が自然状態の位置(非押し込み位置)に保持されている場合のシール部の状態を示す縦断面図。
【図7】第1の実施の形態の送気送水バルブのピストン本体を押し込み操作した場合のシール部の状態を示す縦断面図。
【図8】第1の実施の形態の送気送水バルブの変形例を示す縦断面図。
【図9】第1の実施の形態の送気送水バルブのシール部材の固定方法を変えた第1の変形例を示すもので、(A)はピストンの取付けゴムをシリンダの口金に取付ける前の状態を示す要部の縦断面図、(B)はピストンの取付けゴムをシリンダの口金に取付けた状態を示す要部の縦断面図。
【図10】第1の実施の形態の送気送水バルブのシール部材の固定方法を変えた第2の変形例におけるピストンの取付けゴムをシリンダの口金に取付ける前の状態を示す要部の縦断面図。
【図11】第1の実施の形態の送気送水バルブの第2の変形例における取付け部を示す斜視図。
【図12】第1の実施の形態の送気送水バルブの第2の変形例における取付け部の硬質部材の配置状態を示す要部の横断面図。
【図13】第1の実施の形態の送気送水バルブの第2の変形例におけるピストンの取付けゴムをシリンダの口金に取付けた状態を示す要部の縦断面図。
【図14】第1の実施の形態の送気送水バルブのシール部材の固定方法を変えた第3の変形例におけるピストンの取付けゴムをシリンダの口金に取付ける前の状態を示す要部の縦断面図。
【図15】第1の実施の形態の送気送水バルブのシール部材の固定方法を変えた第3の変形例におけるピストンの取付けゴムをシリンダの口金に取付けた状態を示す要部の縦断面図。
【図16】本発明の第2の実施の形態を示すもので、(A)は内視鏡用管路切換え装置としての送気送水バルブのピストン本体が自然状態の位置(非押し込み位置)に保持されている状態を示す縦断面図、(B)はシール部材を示す斜視図。
【図17】第2の実施の形態の送気送水バルブのピストン本体を押し込み操作した状態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
(構成)
図1乃至図7は、本発明の第1の実施の形態を示す。図1は内視鏡装置のシステム全体の構成を示す構成説明図である。図1に示すように、内視鏡装置に設けられる内視鏡1は、細長の挿入部2と、使用者が把持して操作を行う操作部3と、光源装置5と、ビデオプロセッサ6と接続するための連結コード4とを有して構成されている。挿入部2は、ポリウレタン等の樹脂で被覆されるとともに、先端部分には軟らかい弾性体で被覆された湾曲自在な湾曲部7が設けられている。
【0016】
湾曲部7の先端には、先端硬質部8が設けられている。この先端硬質部8には、観察光学系と、撮像素子と、照明光学系と、送気送水ノズル等が設けられている。また、先端硬質部8には、挿入部2の内部に延設された鉗子チャンネルの一方の開口が設けられ、一方操作部3の鉗子口カバー9には鉗子チャンネルの他方の開口が鉗子開口部10として設けられている。この鉗子開口部10には必要に応じて鉗子栓11が取付けられるようになっている。
【0017】
操作部3には、吸引を行う際に操作する吸引管路切換え装置12と、送気送水を行う際に操作する送気送水管路切換え装置(送気送水バルブとも呼ぶ)13と、先端の撮像素子で得られた映像信号の各種処理を行うためのリモートスイッチ14とが設けられている。さらに、操作部3には、硬い樹脂製のアングルノブ15が設けられており、これらを操作することによって湾曲部7を上下左右方向に湾曲させることができるようになっている。またアングルノブ15の上部には、湾曲部7を湾曲固定状態に保ったり、湾曲固定状態を開放するときに使用する硬い樹脂製のエンゲージレバー16が設けられている。
【0018】
連結コード4は、ポリウレタン等の樹脂で被覆されており、その先端には硬い樹脂で形成されるコネクタ17が取付けられている。コネクタ17には、コード側の側周部に高周波漏れ電流を焼灼装置電源に戻すためのアース端子18と、送水タンク19に接続して送水を行うための金属製の加圧管20と、送水管21と、図示していない吸引ポンプに接続して吸引を行うための吸引口金22とが設けられると共に、先端側に電気接点23と、ライトガイド端部24とが設けられている。コネクタ17を光源装置5のコネクタ受け25に接続することにより、光源装置5からの照明光が内視鏡内部に延設されたライトガイドに伝達され、先端硬質部8の照明光学系から出射されるようになっている。
【0019】
また、コネクタ17の先端側には、ライトガイド端部24と略並行して送気管26が突設されており、この送気管26に光源装置5内のポンプからの加圧空気が送られるようになっている。
さらに、コネクタ17の側面には、電気コネタク部27が設けられている。この電気コネタク部27にビデオプロセッサ6から延出した接続コード28のコネクタ受け29を接続してビデオプロセッサ6と接続することにより、内視鏡先端部の撮像素子から出力された電気信号をビデオプロセッサ6で信号処理してモニタ30上に内視鏡画像として映出できるようになっている。
【0020】
次に、送気送水管路切換え装置としての送気送水バルブ13の詳細構成を、図2、図3を基にして説明する。送気送水バルブ13は、シリンダ部31とピストン部32とから構成されている。図2は、送気送水バルブ13のピストン部32が自然状態の位置(非押し込み位置)に保持されている状態を示す縦断面図、図3は、送気送水バルブ13のピストン部32をシリンダ部31に挿入する前の状態を示す縦断面図である。
【0021】
操作部3のケーシング33には、取付け孔34が穿設されており、この取付け孔34にはシリンダ部31が後述する固定手段によって固定されている。このシリンダ部31に対してピストン部32が着脱自在に嵌挿されて取り外し可能に取付けられている。
シリンダ部31は、段差のある金属製の略円筒状のシリンダ35を有している。このシリンダ35の側壁には、開口側から底部側に向かって順に、4つのポート(第1ポート36、第2ポート37、第3ポート38、第4ポート39が設けられている。第1ポート36には、内視鏡先端部の図示しない送気送水ノズルに連通する気体出口である送気管路が連結されている。第2ポート37には、前記連結コード4の端部のコネクタ17に連通する気体入口である送気管路が連結されている。第3ポート38には、前記送気送水ノズルに連通する液体出口である送水管路が連結されている。第4ポート39には、前記送水タンク19及び送水管21に連通する液体入口である送水管路が連結されている。
【0022】
前記シリンダ35の開口部の端部外周面には、ネジ部40が形成されている。シリンダ35の外周面には、ネジ部40よりも下側にケーシング33の内面に当接する当接部42が設けられている。そして、シリンダ35のネジ部40に操作部3のケーシング33の外側から口金41をねじ込むことにより、ケーシング33の内面に当接する当接部42と、ケーシング33の外面に当接する口金41との間でケーシング33を内外両側から挟み込む形でシリンダ35がケーシング33に固定されている。さらに、図4(A)に示すようにシリンダ35の開口部の端面には、後述するシール用の溝35aが形成されている。
【0023】
前記口金41は、上部フランジ41aと下部フランジ41bを有している。口金41の下部フランジ41bによって取付け孔34の内周面に形成された環状溝43の内部のOリング44を圧縮し、取付け孔34を密封することにより、操作部3の内部への気体、液体の侵入を防止している。
【0024】
ピストン部32は、ピストン軸部32aと円筒状の取付け部32bとから構成されている。ピストン軸部32aは、金属または合成樹脂等の剛性を有する材料からなる略円筒状のピストン本体45を有する。このピストン本体45の内部の軸心部には、ピストン本体45の軸方向に連通路46が設けられている。連通路46の下端部にはピストン本体45の軸方向と直交する方向に貫通する貫通孔47が形成されている。貫通孔47の両側には、ピストン本体45の側方向に開口する開口部47aがそれぞれ形成されている。
【0025】
前記ピストン本体45の前記貫通孔47の上部には、弾性材からなる弁体48が成形されている。ピストン本体45の前記貫通孔47の下部には、シリンダ35の内壁に沿ってスライドする下部スライダ57が形成されている。この下部スライダ57の外周面には、弾性材からなる上シール部材58と下シール部材56とが設けられている。
【0026】
ピストン本体45の上部には、上部スライダ軸49が螺合されている。上部スライダ軸49の上部には、指当て部材であるキャップ50が螺合されている。さらに、ピストン本体45の上端部には、指標51が設けられている。キャップ50の中央部には、ピストン本体45の連通路46と連通したリーク孔64が設けられている。
【0027】
取付け部32bは、前記ピストン本体45の上部スライダ軸49の外側に設けられている。図4(A),(B)に示すようにこの取付け部32bには、円筒状の硬質部材62と、この硬質部材62の外周に配置された絶縁部材である取付けゴム60とが一体的に設けられている。硬質部材62の内周面には、内部側に向けて当て付け部62aが突設されている。取付けゴム60の下端部内周面には、内部側に突出する爪状の内面突起部60aが形成されている。この内面突起部60aの内径は、シリンダ35の口金41の上部フランジ41aの外径よりも小さくなるように設定されている。
【0028】
前記ピストン軸部32aと取付け部32bとの間は、弾性体であるリング状のシール部材65にて連結されている。シール部材65の一端部(内端部)には、ピストン軸部32aの上部スライダ軸49の外周面に固定される第1固定部65aが設けられている。このシール部材65の他端部(外端部)には、取付け部32bの硬質部材62の当て付け部62aの下面に固定される第2固定部65bが設けられている。そして、上記第1固定部65aと第2固定部65bとの間には、弾性変形可能な伸縮部65cが設けられている。また、シール部材65の第2固定部65bの下面には、下向きに突出する突起65dが設けられている。この突起65dは、シリンダ35の開口部の端面の溝35aと係脱可能に係合するようになっている。ここで、突起65dは、シリンダ35の開口部の端面の溝35aより大きく設定されている。
【0029】
図4(A),(B)は、シリンダ部31とピストン部32との装着部の拡大図であり、図4(A)は装着前の状態を示す要部の縦断面図、図4(B)は装着後の状態を示す要部の縦断面図である。シリンダ部31とピストン部32との装着時には、ピストン部32のピストン軸部32aが下部スライダ57側からシリンダ35の開口部に挿入される。このとき、図4(A)中に矢印で示すようにピストン部32をシリンダ35内に押し込むことにより、取付け部32bの取付けゴム60の内面突起部60aは、口金41の上部フランジ41aと当接して外向きに拡開される状態に弾性変形する。このままさらにピストン部32をシリンダ35内に押し込むことにより、取付けゴム60の内面突起部60aは、口金41の上部フランジ41aを乗り越えて図4(B)に示すように口金41の上部フランジ41aの下側に噛みこむ状態で係合され、シリンダ部31にピストン部32が装着される。このとき、取付け部32bの硬質部材62の下端部は、口金41の上部フランジ41aの上面に押し当てられている。これにより、取付け部32bの軸方向位置が決まる。また、シリンダ部31とピストン部32との装着時には、シール部材65の第2固定部65bは、シリンダ35の開口部の端面に押し当てられる。このとき、シール部材65の第2固定部65bの突起65dは、シリンダ35の開口部の端面の溝35aに挿入される状態で、係脱可能に係合することでシリンダ部31とピストン部32との間が固定される。
【0030】
また、本実施の形態では、送気送水バルブ13のピストン部32は、ピストン本体45のキャップ50が押し込み操作されていない通常状態では、シール部材65の伸縮部65cの付勢力によって図2および図6に示すようにピストン本体45が自然状態の位置(非押し込み位置)である第1位置に保持されている。このとき、シール部材65の伸縮部65cは、真っ直ぐに直線状に延びた自然形状で保持されている。この第1の位置では、下側のシール部材56によってシリンダ35の第3ポート38と、第4ポート39との間が遮断され、送水タンク19及び送水管21に連通する送水管路から送気送水ノズルに連通する送水管路に向かう流体の流れが遮断されている。
【0031】
そして、送気送水バルブ13のピストン部32を押し込み操作する場合には、リーク孔64に指を添えて塞ぐ。この状態で、シール部材65の伸縮部65cの付勢力に抗して図5および図7に示すようにピストン本体45が押し込み位置である第2位置に移動される。このとき、シール部材65の伸縮部65cの弾性体は、第1の位置から第2の位置まで伸びる状態に弾性変形する。この第2の位置では、後述するように内視鏡1に配設された管路が切換えられる。また、ピストン部32の押し込み操作時には、シール部材65の伸縮部65cは、シリンダ35の内壁に接触することなく、シリンダ35内に伸びており、シリンダ35内の気密・水密を保持している。
【0032】
また、第2の位置からピストン部32の押し込み操作を止めた場合(ピストン部32から手を離した場合)は、シール部材65の伸縮部65cの付勢力により、ピストン部32が第2の位置から第1の位置に戻されるようになっている。このように、シール部材65の伸縮部65cは、第1の位置から第2の位置まで戻す力を発生させる伸び率及び反発弾性を有したものである。
【0033】
(作用)
次に、上記構成の本実施形態の送気・送水バルブ13の作用について説明する。送気送水バルブ13は、ピストン本体45のキャップ50が押し込み操作されていない通常状態では、シール部材65の伸縮部65cの付勢力によって図2および図6に示すようにピストン本体45が自然状態の位置(非押し込み位置)である第1位置に保持されている。この第1の位置では、下側のシール部材56によってシリンダ35の第3ポート38と、第4ポート39との間が遮断され、送水タンク19及び送水管21に連通する送水管路から送気送水ノズルに連通する送水管路に向かう流体の流れが遮断されている。
【0034】
さらに、第1の位置では、同時に中間のシール部材58と弁体48によってシリンダ35内に気体の流路が形成されている。光源装置5内のポンプから送気管路を介して送出される気体は、シリンダ35の第2ポート37を経てピストン本体45の側面に位置する貫通孔47に流入し、ピストン本体45の連通路46を通ってキャップ50のリーク孔64から大気に流出している。
【0035】
この第1の位置において、キャップ50のリーク孔64に操作者が指を添えて塞ぐと、弁体48が光源装置5からの気体の送出圧力によって内側に折り曲げられて、シリンダ35の内壁面から弁体48が離間する。この結果、送気管路からシリンダ35の第2ポート37に流入した気体は、シール部材58とシール部材65とによって形成されるシリンダ35内の流路を通過してシリンダ35の第1ポート36から送気管路に流出する。これにより、挿入部先端の送気送水ノズルから送気が行われる。
【0036】
また、キャップ50を指で押し、ピストン本体45を図5に示す第2の位置まで押し込んだ場合には、前記リーク孔64に指を添えて塞ぐと、前記弁体48はシリンダ35のテーパ面35bに圧接されて、中間のシール部材58との間が気密となり、光源装置5からの気体は流路を遮断される。このピストン本体45の押し込み操作時には、シール部材65はシリンダ35の内壁に接触することなくシリンダ35内に伸びており、シリンダ35内の気密・水密を保持している。
【0037】
このとき、下側のシール部材56は、シリンダ35の下側の太径部35cに移動し、シリンダ35の内壁面と隙間が生じている。この結果、送水管路から第4ポート39を通してシリンダ35の下側の太径部35cに流入した液体は中間のシール部材58によって形成されるシリンダ35内の流路を通過して第3ポート38から送気送水ノズルに連通する液体出口である送水管路に流出する。これにより、挿入部先端の送気送水ノズルから送水が行われる。
【0038】
また、第2の位置まで押し込んだ状態で、ピストン本体45のキャップ50から指を離すと、シール部材65の伸縮部65cの復元力によりピストン本体45が図2および図6に示す第1の位置に戻る。
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の内視鏡1の送気・送水バルブ13では、ピストン本体45を非押し込み位置である第1位置と押し込み位置である第2位置との間で移動させる際に、シール部材65の伸縮部65cの弾性変形によってシリンダ35とピストン本体45間の空間のシールを保持することができる。これにより、ピストン本体45の移動時に、シール部材65をシリンダ35に当て付けた状態で摺動させることをなくすことができるので、シール部材65の磨耗を低減することができ、ピストン本体45のシール部分の耐久性が向上する。
【0039】
さらに、ピストン本体45の移動時には、シール部材65の伸縮部65cの弾性変形部分によってシリンダ35の開口部を隙間なく塞いでいる。これより、シリンダ35の内面に傷等による凹凸が生じた場合にも送気・送水が保持できる効果がある。
さらに、送気・送水の切換え操作時にピストン本体45のシール部材65とシリンダ35の内周面との摺動がなくなるため、ピストン本体45の移動時の摺動抵抗を減らすことができる。そのため、送気・送水バルブ13のピストン本体45を押し込み状態(第2位置)から自然状態(第1位置)に戻すばね力を減らして、ピストン本体45の操作力量を減らすことができ、操作性を良好にして使用者の労力を軽減させることができる。
【0040】
また、本実施の形態では、シール部材65の伸縮部65cの弾性変形部分が元の自然状態に戻る際の復元力によって、ピストン本体45を押し込み位置である第2位置から非押し込み位置である第1位置に戻すことができる。そのため、シリンダ35とピストン本体45間の空間のシールを保持するシール部材65と、ピストン本体45のリターンスプリングの機能とを一体化することができるので、部品点数を減らすことも可能であり、組立性も向上する。
【0041】
なお、図8に示す変形例のように第1の実施形態の送気送水バルブ13のピストン部32の取付け部32bにピストン本体45が自然状態に戻る際の反応性をあげるために、リターンばね71を設けてもよい。このリターンばね71は、ピストン本体45の上部スライダ軸49の周囲に配置される圧縮コイルばねによって形成されている。このリターンばね71は、取付け部32bの硬質部材62の当て付け部62aの上面と、キャップ50との間に介装されている。そして、本変形例では、ピストン本体45を押し込み位置である第2位置から非押し込み位置である第1位置に戻す際に、シール部材65の伸縮部65cの弾性変形部分が元の自然状態に戻る際の復元力と、リターンばね71のばね力とを同時に作用させることができるので、ピストン本体45が自然状態に戻る際の反応性を高めることができる。
【0042】
[第1の実施の形態の第1変形例]
(構成)
図9(A),(B)は、第1の実施形態の送気送水バルブ13のシール部材65の固定方法を変えた第1変形例を示す。図9(A)は、ピストン部32の取付け部32bの取付けゴム60をシリンダ35の口金41に取付ける前の状態を示す要部の縦断面図、(B)は取付けゴム60をシリンダ35の口金41に取付けた状態を示す要部の縦断面図である。
【0043】
本変形例は、シール部材65の第2固定部65bは、図9(B)に示すようにシリンダ35の上部外周面に面接触状態で接する面接触部81を有する。また、取付け部32bの硬質部材62は、ピストン本体45の取付け部32bをシリンダ35に取付けた状態で、第2固定部65bの面接触部81をシリンダ35の上部外周面に対して圧接状態でシリンダ35に当て付ける当て付け面82を有する。
【0044】
ここで、本変形例では、図9(A)に示すように口金41の上端部は、シリンダ35の開口部よりもピストン本体45の軸方向に低くなるように形成されている。そして、ピストン本体45の取付け部32bをシリンダ35に取付けた状態では、図9(B)に示すように口金41の上端部と、シリンダ35の上部外周面との間にシール部材65の面接触部81が挿入された状態で、硬質部材62の当て付け面82によってシール部材65の面接触部81がシリンダ35の上部外周面に対して圧接状態でシリンダ35に当て付けるようになっている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0045】
(作用・効果)
本変形例では、シール部材65の第2固定部65bの面接触部81の厚さは、シリンダ35の開口部外周面と硬質部材62の当て付け面82との間の隙間よりも大きい。そのため、図9(B)の装着時には、シール部材65の面接触部81がシリンダ35の開口部外周面と硬質部材62の当て付け面82との間で挟まれた際に、加圧された状態で配設される。その結果、硬質部材62の当て付け面82によってシール部材65の第2固定部65bの面接触部81をシリンダ35の開口部外周面に押圧する力を直接加えられるため、第1の実施の形態よりも、シール部材65のシール性が向上する効果がある。
【0046】
[第1の実施の形態の第2変形例]
(構成)
図10〜図13は、第1の実施形態の送気送水バルブ13のシール部材65の固定方法を変えた第2変形例を示す。図10は、ピストン部32の取付け部32bの取付けゴム60をシリンダ35の口金41に取付ける前の状態を示す要部の縦断面図、図13は取付けゴム60をシリンダ35の口金41に取付けた状態を示す要部の縦断面図である。また、図11は、取付け部32bを示す斜視図、図12は、取付け部32bの硬質部材62の配置状態を示す要部の横断面図である。
【0047】
第2変形例は、取付け部32bの取付けゴム60とシール部材65とを一体化した弾性部材91を有する。シール部材65の第2固定部65bには、シリンダ35の上面に面接触状態で接する第1の面接触部92と、シリンダ35の上部外周面に面接触状態で接する第2の面接触部93とを有する。
【0048】
上記硬質部材62は、上記ピストン本体45の取付け部32bをシリンダ35に取付けた状態で、第2固定部65bの第1の面接触部92をシリンダ35の上面に面接触状態で当て付ける当て付け部94と、第2の面接触部93をシリンダ35の上部外周面に面接触状態で当て付ける当て付け面95とを有する。
【0049】
ここで、本変形例では、第1変形例と同様に、図10に示すように口金41の上端部は、シリンダ35の開口部よりもピストン本体45の軸方向に低くなるように形成されている。そして、ピストン本体45の取付け部32bをシリンダ35に取付けた状態では、図13に示すように口金41の上端部と、シリンダ35の上部外周面との間にシール部材65の第2の面接触部93が挿入された状態で、硬質部材62の当て付け面95によってシール部材65の第2の面接触部93がシリンダ35の上部外周面に対して圧接状態でシリンダ35に当て付けるようになっている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0050】
(作用・効果)
そして、本変形例の弾性部材91の第1の面接触部92は、シリンダ35の上部フランジに係合する。さらに、第2の面接触部93は、シリンダ35の開口部外周面と硬質部材62の当て付け面95との間に挟まれる状態で固定される。また、ピストン部32の取付け部32bをシリンダ35の上部に装着させた状態においてピストン本体45の位置を決めるため、取付け部32bの下部は、図11および図12に示すように硬質部材62の端面62bが配置されている。その他の作用は第1実施形態と同様である。
【0051】
本変形例では、シール部材65の第2固定部65bの第2の面接触部93の厚さは、シリンダ35の開口部外周面と硬質部材62の当て付け面95との間の隙間よりも大きい。そのため、図13の装着時には、シール部材65の第2の面接触部93がシリンダ35の開口部外周面と硬質部材62の当て付け面95との間で挟まれた際に、加圧された状態で配設される。その結果、硬質部材62の当て付け面95によってシール部材65の第2固定部65bの第2の面接触部93をシリンダ35の開口部外周面に押圧する力を直接加えられるため、第1変形例と同様に、第1の実施の形態よりも、シール部材65のシール性が向上する効果がある。
【0052】
さらに、本変形例では、取付け部32bの取付けゴム60とシール部材65とを一体化した弾性部材91を設けたので、第1実施形態、第1変形例に比べ、部品点数が減少し、組み立て性を向上させることができる。
[第1の実施の形態の第3変形例]
(構成)
図14および図15は、第1の実施形態の送気送水バルブ13のシール部材65の固定方法を変えた第3変形例を示す。図14は、ピストン部32の取付け部32bの取付けゴム60をシリンダ35の口金41に取付ける前の状態を示す要部の縦断面図、図15は取付けゴム60をシリンダ35の口金41に取付けた状態を示す要部の縦断面図である。
【0053】
本変形例では、ピストン本体45の取付け部32bの硬質部材62の内周面における当て付け部62aよりも下方部分に雌ネジ部101を設けている。さらに、硬質部材62の雌ネジ部101に対して螺合するネジ部102を有するリング状の押さえ部材103を設けている。
【0054】
そして、シール部材65の第2固定部65bをシリンダ35と反対側から硬質部材62の当て付け部62aに押し当てた状態で、当て付け部62aと反対側から押さえ部材103のネジ部102を硬質部材62の雌ネジ部101に螺合させる。これにより、硬質部材62の当て付け部62aと押さえ部材103との間にシール部材65の第2固定部65bを挾持させる状態で固定することができる。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0055】
(作用・効果)
本変形例の押さえ部材103は、硬質部材62の内周面に形成された雌ネジ部101と螺合される。押さえ部材103と硬質部材62の当て付け部62aとの間には、シール部材65の第2固定部65bが挟み込まれており、押さえ部材103を螺進回転させて捻じ込むことにより、押さえ部材103がシール部材65の第2固定部65bを硬質部材62の当て付け部62aに圧接する。
【0056】
そこで、上記構成では、硬質部材62とシール部材65は接合されておらず、押さえ部材103のネジ部102と硬質部材62の内周面の雌ネジ部101との螺合部のねじ止め部で、硬質部材62とシール部材65の第2固定部65bとの間が着脱可能に固定される構造になっている。そのため、押さえ部材103を固定方向(ねじ込み方向)と逆回転させて押さえ部材103のネジ部102と硬質部材62の内周面の雌ネジ部101との螺合を外すことにより、簡易に硬質部材62とシール部材65とを取り外すことができるため、シール部材65の交換が容易になる。
【0057】
[第2の実施の形態]
(構成)
図16(A),(B)および図17は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態(図1乃至図7参照)の送気送水バルブ13の構成を次の通り変更した変形例である。
すなわち、本実施の形態の送気送水バルブ13は、第1の実施の形態のシール部材65に変えて折りたたみ構造のばね部材111に変更したものである。図16(A)は、送気送水バルブ13のピストン本体45が自然状態の位置(非押し込み位置)に保持されている状態を示す縦断面図、(B)は折りたたみ構造のばね部材111を示す斜視図である。図17は、ピストン本体45を押し込み操作した状態を示す縦断面図である。
【0058】
本実施の形態の折りたたみ構造のばね部材111は、図16(B)に示すように円環状の凸部112と凹部113とが交互に設けられている。この折りたたみ構造のばね部材111の上下の両端間には、弾性変形可能な伸縮部111aが形成されている。折りたたみ構造のばね部材111の下端部は、第1の接合部材114に接合されている。この第1の接合部材114には、ピストン軸部32aの上部スライダ軸49の外周面に螺合状態で固定される第1固定部115が設けられている。
【0059】
同様に、折りたたみ構造のばね部材111の上端部は、第2の接合部材116に接合されている。この第2の接合部材116には、取付け部32bの硬質部材62の当て付け部62aの内周面と螺合状態で固定される第2固定部117が設けられている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0060】
(作用・効果)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態は、第1実施形態のゴムやエラストマー等からなるシール部材65を折りたたみ構造のばね部材111に変更したものであり、作用については第1の実施形態と同様である。そのため、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0061】
そして、本実施の形態の折りたたみ構造のばね部材111では、金属や樹脂等で弾性変形可能な伸縮部111aを構成できるため、第1の実施形態のシール部材65に比べ、耐久性が向上し、安定した復元力を得られ、操作力量の調整がしやすくなる。
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。

(付記項1) 内視鏡筐体に配設されたシリンダと、このシリンダに進退自在に嵌挿されたピストンの移動により管路を切換える内視鏡用管路切換え装置において、上記ピストンに固定される第1固定部と、上記シリンダに固定される第2固定部と、上記第1固定部と第2固定部の間に設けられた伸縮部とからなる、上記シリンダと上記ピストン間の空間を長手方向にシールするシール部材を設けたことを特徴とする内視鏡用管路切換え装置。
【0062】
(付記項2) 上記伸縮部は弾性体であり、シリンダ内でのピストンが第1の位置から第2の位置に移動することより変形する付記項1に記載の内視鏡用管路切換え装置。
(付記項3) 上記伸縮部は、ゴムまたはエラストマーであることを特徴とする付記項2に記載の内視鏡管路切換え装置。
【0063】
(付記項4) 上記伸縮部は、折りたたみ構造からなることを特徴とする付記項2に記載の内視鏡管路切換え装置。
(付記項5) 上記伸縮部は金属あるいは樹脂であることを特徴とする付記項4に記載の内視鏡用管路切換え装置。
(付記項6) 前記第1固定部は凸部を有しており、この凸部を前記シリンダの上部に設けられた凹部に挿入し、前記第1固定部を前記シリンダの上部に対して加圧する弾性部材(取付けゴム)が設けられていることを特徴とする付記項1に記載の内視鏡用管路切換え装置。
【0064】
(付記項7) 前記第1固定部は、前記シリンダの上部および内周面に接して設けられており、前記第1固定部を前記シリンダの上部及び内周面に対して加圧する弾性部材(取付けゴム)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用管路切換え装置。
【0065】
(付記項8) 前記第1固定部は、前記シリンダの上部および内周面に接して設けられており、前記第1固定部と一体に形成された、前記第1固定部を前記シリンダの上部及び内周面に対して加圧する弾性部(取付けゴム)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用管路切換え装置。
【0066】
(付記項9) 前記第1固定部を前記シリンダの上部に対して加圧する弾性部材と前記第1固定部との間に硬質部材が設けられており、この硬質部材に設けられたネジ部に対して嵌合することにより前記第1固定部を前記硬質部材に圧着する押さえ部材が設けられたことを特徴とする付記項6に記載の内視鏡管路切り替え装置。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、内視鏡の操作部に組み付けられる内視鏡用管路切換え装置を使用する技術分野や、これを製造する技術分野に有効である。
【符号の説明】
【0068】
1…内視鏡、31…シリンダ部、35…シリンダ、45…ピストン本体、65…シール部材、65a…第1固定部、65b…第2固定部、65c…伸縮部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡筐体に配設されたシリンダと、
このシリンダに進退自在に嵌挿されたピストンを前記ピストンの移動方向に沿って非押し込み位置である第1位置と押し込み位置である第2位置との間で移動させることにより内視鏡に配設された管路を切換える内視鏡用管路切換え装置において、
上記ピストンに固定される第1固定部と、上記シリンダに固定される第2固定部と、上記第1固定部と第2固定部との間に設けられた弾性体である伸縮部とからなるシール部材を設け、上記シリンダと上記ピストン間の空間を上記シール部材でシールするとともに、
前記伸縮部の付勢力で前記ピストンが前記第1位置に保持され、前記伸縮部の付勢力に抗して前記ピストンが前記第1位置から前記第2位置に押し込み操作される押し込み操作時に前記伸縮部が弾性変形する
ことを特徴とする内視鏡用管路切換え装置。
【請求項2】
上記シール部材は、ゴムまたはエラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用管路切換え装置。
【請求項3】
上記シール部材は、折りたたみ構造のばね部材からなることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用管路切換え装置。
【請求項4】
上記ばね部材は、金属あるいは樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡用管路切換え装置。
【請求項5】
上記ピストンは、上記ピストンの本体を前記シリンダに取り外し可能に取付ける取付け部を有し、
上記取付け部は、上記ピストン本体の外側に配置された円筒状の硬質部材と、この硬質部材の外周面を覆う弾性部材の取付け部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用管路切換え装置。
【請求項6】
前記第2固定部は、前記シリンダと接触する接触面に凸部を有し、
上記シリンダは、前記第2固定部の前記凸部と対応する部位に前記凸部と嵌合する凹部を有し、
上記硬質部材は、上記ピストン本体の前記取付け部を前記シリンダに取付け、かつ前記第2固定部の前記凸部を上記シリンダの前記凹部に嵌合させた状態で、前記第2固定部を前記シリンダに対して加圧状態で前記シリンダに当て付ける当て付け部を有することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡用管路切換え装置。
【請求項7】
前記第2固定部は、前記シリンダの上部外周面に面接触状態で接する面接触部を有し、
上記硬質部材は、上記ピストン本体の前記取付け部を前記シリンダに取付けた状態で、前記第2固定部の前記面接触部を前記シリンダの上部外周面に対して圧接状態で前記シリンダに当て付ける当て付け面を有することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡用管路切換え装置。
【請求項8】
前記第2固定部は、前記シリンダの上面に面接触状態で接する第1の面接触部と、前記シリンダの上部外周面に面接触状態で接する第2の面接触部とを有し、
上記取付け部は、前記シール部材と一体に形成される弾性部材を有し、
上記硬質部材は、上記ピストン本体の前記取付け部を前記シリンダに取付けた状態で、前記第2固定部の前記第1の面接触部を前記シリンダの上面に面接触状態で当て付ける当て付け部と、前記第2の面接触部を前記シリンダの上部外周面に面接触状態で当て付ける当て付け面を有することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡用管路切換え装置。
【請求項9】
上記硬質部材は、前記第2固定部に対して上記シリンダと反対側から接触する押し当て部を備えた硬質部材本体と、
硬質部材本体の内周面に形成された雌ネジ部に対して螺合するネジ部を有する押さえ部材とを有し、
前記ネジ部材を前記押し当て部と反対側から前記硬質部材本体の雌ネジ部に螺合することにより、前記第2固定部を前記押し当て部と前記ネジ部材との間に挾持させる状態で固定する
ことを特徴とする請求項6に記載の内視鏡用管路切換え装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−85680(P2012−85680A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232562(P2010−232562)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】