説明

内視鏡装置および計測方法

【課題】挿入部が細径化された内視鏡装置を提供すること。
【解決手段】被検物に縞パターンが投影されたパターン投影画像を用いて被検物の計測を行う内視鏡装置1であって、長尺の挿入部10と、挿入部10の先端部に設けられ、被検物の画像を取得する撮像部30と、挿入部10の先端部に設けられ、撮像部30の観察視野を照明する照明光を発する照明部40と、挿入部10の先端部に設けられ、被検物に縞パターンを投影するパターン投影部50と、を備え、挿入部10の先端面10aには、撮像部30に被検物の像を結像させる対物光学系32と、照明光を出射する1つ以上の照明窓12と、パターン投影部50から被検物へ縞パターンを投影する1つの投影窓13と、が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置および計測方法、より詳しくは、被検物に縞等のパターンを投影して被検物表面の三次元形状を計測する内視鏡装置、および被検物に縞等のパターンを投影して被検物表面の三次元形状を計測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検物を検査するために、長尺の挿入部を備え、挿入部の先端に光学系や撮像素子等の観察手段を有する内視鏡が使用されている。このような内視鏡の中には、被検物に対して縞を投影した縞画像を、当該縞の位相をずらしつつ複数取得し、これら複数の縞画像を用いた公知の位相シフト法により被検物の三次元形状を算出するものが知られている。例えば、特許文献1には、縞を投影するための2つの投影窓が挿入部の先端面に設けられた内視鏡装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0225321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の内視鏡装置では、縞投影用の光源から外部へ光を出射するための窓が、内視鏡装置の挿入部の先端面の2箇所に設けられているので、内視鏡装置の挿入部を細径化するのに限界があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、挿入部が細径化された内視鏡装置を提供すること、および、挿入部が細径化された内視鏡装置であっても精度良く三次元形状を計測することができる計測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の内視鏡装置は、光の明暗パターンが投影された被検物のパターン投影画像を用いて前記被検物の計測を行う内視鏡装置であって、挿入部と、前記挿入部の先端部に設けられ、前記被検物の画像を取得する撮像部と、前記撮像部の観察視野を照明する照明光を発する照明部と、前記被検物に前記明暗パターンを投影するパターン投影部と、を備え、前記挿入部の先端面には、前記撮像部に前記被検物の像を結像させる対物光学系と、前記照明光を出射する1つ以上の照明窓と、前記パターン投影部から前記被検物へ前記明暗パターンを投影する1つの投影窓と、が設けられていることを特徴とする内視鏡装置である。
【0007】
また、前記対物光学系は、前記対物光学系の光軸のうち前記対物光学系から前記撮像部に向かう出射側の光軸が、前記挿入部の中心軸線に対して平行かつ偏心するように配置されててもよい。
【0008】
また、前記対物光学系は入射側の光軸と出射側の光軸とがともに前記中心軸線と平行な直視型対物光学系であって、前記対物光学系は、前記挿入部の先端部の先端面に設けられ、前記中心軸線に対して偏心した位置に配置されていてもよい。
【0009】
また、前記投影窓は、前記先端面に設けられ、前記挿入部の中心軸線に対して偏心した位置に配置されていてもよい。
【0010】
また、前記対物光学系は、前記挿入部の先端部の外周面に露出され、入射側の光軸が前記中心軸線に対してねじれの位置に配置された側視型対物光学系であってもよい。
【0011】
また、前記投影窓は、前記挿入部の先端部の外周面に露出され、前記投影窓の厚さ方向から前記投影窓を見たときの前記投影窓の中心を通り前記投影窓の厚さ方向に延びる中心線は、前記挿入部の中心軸線に対してねじれのに配置されていてもよい。
【0012】
また、前記対物光学系は、前記挿入部の先端部の外周面に露出され、入射側の光軸が前記挿入部の中心軸線に対して交差して配置された側視型対物光学系であって、前記投影窓は、前記投影窓の厚さ方向から前記投影窓を見たときの前記投影窓の中心が、前記挿入部の中心軸線と前記入射側の光軸とによって規定される平面内に存するように前記挿入部の先端部の外周面に配置されていてもよい。
【0013】
また、前記パターン投影部は、ライン状の1本以上の平行するパターンを有していることが好ましい。
【0014】
また、前記パターン投影部は、投影用光源と、前記投影用光源から出射される光の強度分布を変更し、前記明暗パターンを生成するパターン生成部とを備えていることが好ましい。
【0015】
また、前記投影用光源から出射される光を前記パターン生成部に導く光ファイバーを備え、前記投影用光源は、前記挿入部の基端側に設けられ、前記パターン生成部は、前記挿入部の先端部に設けられていてもよい。
【0016】
また、前記投影用光源及び前記パターン生成部は、前記挿入部の先端部に設けられていてもよい。
【0017】
また、前記投影用光源から出射され、前記パターン生成部によって生成された前記明暗パターンを前記挿入部の先端側まで導く光ファイバーを備え、前記投影用光源及び前記パターン生成部は、前記挿入部の基端側に設けられていてもよい。
【0018】
また、本発明の内視鏡装置は、前記挿入部の先端部に着脱自在に装着可能な光学アダプタを備え、前記パターン生成部は、前記光学アダプタに設けられていてもよい。
【0019】
また、前記投影用光源は、前記光学アダプタに設けられていてもよい。
【0020】
また、また、本発明の内視鏡装置は、前記明暗パターンを投影するための光と前記照明光とを切り替える切り替え手段を備えていてもよい。
【0021】
本発明の計測方法は、被検物の三次元形状を内視鏡を用いて計測する計測方法であって、所定の明暗パターンを前記内視鏡の一箇所から前記被検物に投影し、前記被検物において前記明暗パターンが投影された部分を撮像して少なくとも1枚のパターン投影画像を取得し、前記明暗パターンが投影された部分の三次元形状を前記パターン投影画像を用いて計測することを特徴とする計測方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の内視鏡装置によれば、挿入部を細径化することができる。
また、本発明の計測方法によれば、挿入部が細径化された内視鏡装置であっても精度良く三次元形状を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態の内視鏡装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同内視鏡装置によって投影される明暗パターンを示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態の計測方法を示すフローチャートである。
【図4】同内視鏡装置の挿入部の先端面の配置の一例を示す模式図である。
【図5】同内視鏡装置の挿入部の先端面の配置の他の例を示す模式図である。
【図6】同内視鏡装置の挿入部の先端面の配置のさらに他の例を示す模式図である。
【図7】同内視鏡装置の挿入部の先端近傍の構成の一例を示す模式図である。
【図8】同内視鏡装置の挿入部の先端近傍の構成の他の例を示す模式図である。
【図9】同実施形態の変形例の内視鏡装置によって投影される明暗パターンを示す模式図である。
【図10】同内視鏡装置の他の変形例における挿入部の先端面の配置を示す模式図である。
【図11】同内視鏡装置のさらに他の変形例における挿入部の構成を示す図で、挿入部の中心軸に対して垂直方向を観察可能な内視鏡装置における挿入部の模式図である。
【図12】図10に示した変形例におけるプリズムのカバー部材が置かれた先端面を上から見た図である
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態の内視鏡装置1および計測方法について説明する。
まず、本実施形態の内視鏡装置1の構成について説明する。図1は、本実施形態の内視鏡装置1の構成を示すブロック図である。図2は、内視鏡装置1によって投影される明暗パターンを示す模式図である。
内視鏡装置1は、被検物の内部観察や、通常の観察装置がアクセス困難な位置にある被検物の観察などに使用されるものであり、長尺の挿入部10と、挿入部10の基端が接続された本体部20とを備える。
【0025】
図1に示すように、挿入部10は、管状に形成されており、被検物の内部または被検物へのアクセス経路に挿入される。挿入部10には、被検物の画像を取得する撮像部30と、挿入部10前方の観察視野を照明する照明部40と、被検物に明暗パターンを投影するパターン投影部50とが設けられている。本実施形態では、パターン投影部50は明暗パターンとして、縞パターンを披検物に投影するものとする。
また、挿入部10の先端面10aには、撮像部30の対物光学系32に外光を入射させるための開口11と、照明部40からの照明光を挿入部の前方に照射するための照明窓12と、パターン投影部50からの縞を挿入部の前方に照射するための投影窓13とが設けられている。
【0026】
撮像部30は、挿入部10の先端付近に配置されたイメージャー31と、イメージャー31の前方に配置された対物光学系32と、イメージャー31と接続されたイメージャー制御部33とを備える。
【0027】
イメージャー31としては、CCD、CMOS等の各種イメージセンサを含む公知の各種構成を適宜選択して用いることができる。
【0028】
対物光学系32は、挿入部10の開口11内に配置されている。所定の画角を有し、当該画角により規定される観察視野内の反射光をイメージャー31に入射させ、被検物の像を結像させる。また、対物光学系32は、開口11を封止する光透過性のカバー部材32aを有する。
【0029】
イメージャー制御部33は、本体部20内に設けられており、挿入部10内を延びる配線34によりイメージャー31と接続されている。イメージャー制御部33は、イメージャー31の駆動および映像信号を取得する設定等の各種制御を行う。
【0030】
照明部40は、第一光源41と、照明光学系42と、第一光源41の光を照明光学系42に導く第一ファイバーバンドル43と、第一光源41と第一ファイバーバンドル43との間に配置される第一入射光学系44とを備える。
【0031】
第一光源41は、一般的な白色光源であり、本体部20の内部に配置されている。第一光源41としては、LEDやレーザーなどの発光素子や、ハロゲンランプ等を採用することができる。
【0032】
照明光学系42は、挿入部10の先端または先端付近に取り付けられている。照明光学系42は、挿入部10の照明窓12内に設けられた光透過性のカバー部材42aと、図示しないレンズ群とを有する。照明光学系42は、第一光源41から照射された光を対物光学系32の画角に適した視野範囲に広げて照明窓12から出射させ、観察視野をまんべんなく照明する。
【0033】
第一ファイバーバンドル43は、照明光学系42の近傍から挿入部10を通って本体部20内の第一光源41近傍まで延びている。第一ファイバーバンドル43の種類には特に制限はなく、一般的なライトガイドを使用可能である。
【0034】
第一入射光学系44は、第一光源41から発せられる光を第一ファイバーバンドル43の径と同程度まで収束させて効率よく第一ファイバーバンドル43内に導入する。
【0035】
パターン投影部50は、第二光源51(投影用光源)と、投影光学系52と、第二光源51の光を投影光学系52に導く第二ファイバーバンドル53と、第二光源51と第二ファイバーバンドル53との間に配置される第二入射光学系54と、第二光源51から出射された光の光路上に配置されたパターン生成部55とを備える。
【0036】
第二光源51は、第一光源41と同様の白色光源であり、本体部20の内部に配置されている。なお、第二光源51は、第一光源41と波長が異なる光を発する光源であってもよい。
【0037】
投影光学系52は、挿入部10の先端または先端付近に取り付けられている。投影光学系52は、挿入部10の投影窓13内に設けられた光透過性のカバー部材52aを有する。なお、投影窓13に設けられたカバー部材52aはレンズ形状であっても構わない。投影光学系52は、第二光源51から照射された光を、対物光学系32の画角に適した視野範囲に広げて1つの投影窓13から観察視野内に投影する。
【0038】
第二ファイバーバンドル53は、投影光学系52の近傍から挿入部10を通って本体部20内の第二光源51近傍まで延びている。第二ファイバーバンドル53としては、第一ファイバーバンドル43と同様に一般的なライトガイドを使用することができる。
【0039】
第二入射光学系54は、第二光源51から発せられた光を、第二ファイバーバンドル53の径と同程度まで収束させて効率よく第二ファイバーバンドル53内に導入する。
【0040】
パターン生成部55は、位相がずれた複数の縞パターンを形成可能なもので、例えば複数のスリットを有するスリット板をアクチュエータで移動させるものや、ガラスや樹脂等からなる透明な板に互いに位相のずれた複数の縞パターンが描かれたものをアクチュエータで移動させる公知の構成を用いることができる。
【0041】
このほか、素子ごとに光の透過と不透過を切り替え可能な液晶シャッターモジュールや、素子ごとに微細な反射ミラーを備えるMEMS(マイクロ電子機器システム)ミラーモジュール等がパターン生成部55として用いられてもよい。この場合、素子ごとの制御を行うので、パターン生成部55全体を移動させずに位相がずれた複数の縞パターンを形成することができるため、パターン投影部50の構成を簡素にすることができる利点がある。縞パターンの切り替えは、パターン生成部55に接続されたパターン制御部56によって行われる。
また、明暗パターンの形状としては、縞パターンに限らず、図2に示すようなライン状の複数の平行する線でもよいし、その他の例としては、例えば、図9に示すような1本の線(後述)でもよいし、複数の点や、複数の縦線と横線が交差した格子状のパターン、あるいは同心円状のパターンなどであってもよい。
【0042】
本体部20内に設けられた他の機構について説明する。第一光源41および第二光源51は、これらの光源のオン/オフを制御する光源制御部21に接続されている。イメージャー制御部33、パターン制御部56、および光源制御部21は、内視鏡装置1全体の制御を行うメイン制御部22に接続されている。メイン制御部22には、使用者が内視鏡装置1に各種入力を行うための操作部23が接続されている。また、メイン制御部22は、主記憶装置(RAM24)と接続されている。また、本実施形態では、たとえば書き換え可能な不揮発メモリを有する記憶装置や磁気記憶装置などの補助記憶装置25がメイン制御部22に電気的に接続されている。
なお、必要に応じて、ファームウェア等を記録したROM26(あるいはEPROMやEEPROMなど)がメイン制御部22に接続されていてもよい。
【0043】
さらに、イメージャー31の取得した映像信号を処理するビデオプロセッサー27が、イメージャー制御部33およびメイン制御部22に接続されており、ビデオプロセッサー27によって処理された映像信号を画像として表示するモニター28がビデオプロセッサー27に接続されている。
【0044】
次に、本実施形態の計測方法について、上述の内視鏡装置1を用いて計測する例で説明する。
本実施形態の計測方法は、被検物の三次元形状を内視鏡装置1を用いて計測する計測方法である。内視鏡装置1の使用時には、まず、使用者は、挿入部10を被検物の内部や管路等の被検物へのアクセス経路等に挿入し、所定の観察部位まで挿入部10の先端を進める。使用者は、被検物の所望の部位を観察する観察モードと、当該部位の三次元形状を計測する計測モードとを必要に応じて切り替えることにより、被検物の検査等を行う。
【0045】
観察モードでは、メイン制御部22の指令を受けて光源制御部21が第一光源41をオン制御し、第二光源51をオフ制御する。その結果、パターン投影部50からは縞パターンが投影されずに照明部40から観察視野に白色光が照射され、観察視野が照明される(以下、この照明状態を「観察状態」と称する。)。照明された被検物の像は、対物光学系32を通してイメージャー31に結像される。イメージャー31から送られた映像信号は、ビデオプロセッサー27で処理されてモニター28に表示される。使用者は、モニター28に表示される被検物の画像により被検物を観察したり、必要に応じて画像を保存したりすることができる。
【0046】
観察モードから計測モードへ切り替える場合には、モードを切り替える指示を使用者が入力する。モードを切り替えるための指示を入力するためには、操作部23にスイッチを設けたり、モニター28をタッチパネルとしてソフトウェアスイッチを構成するなどの公知の入力装置を採用することができる。
観察モードから計測モードへ切り替える入力が使用者によって行われると、メイン制御部22において、計測画像撮影処理(図3参照)が開始される。
【0047】
計測画像撮影処理では、まず、内視鏡装置1が観察状態となっているか否かを判定する(図3に示すステップS1)。
ステップS1において観察状態となっていると判定された場合にはステップS3へ進み、ステップS1において観察状態以外(例えば後述する計測状態)となっている場合にはステップS2へ進む。
これでステップS1は終了する。
【0048】
ステップS2は、内視鏡装置1を観察状態に切り替えるステップである。
ステップS2では、第一光源41をオン制御し、第二光源51をオフ制御する。これにより、パターン投影部50からは縞パターンが投影されずに照明部40から観察視野に白色光が照射され、観察視野が照明される。
これでステップS2は終了し、ステップS3へ進む。
【0049】
ステップS3は、縞パターンが投影されず、照明部40からの白色光によって照明された被検物の画像を撮影するステップである。
ステップS3では、照明部40からの白色光によって被検物を照明している状態で撮像部30のイメージャー31によって画像を取得する(以下、観察状態で撮影された画像を「明視野画像」と称する。)。
ステップS3において撮影された明視野画像は、RAM24に一時記憶される。
これでステップS3は終了し、ステップS4へ進む。
【0050】
ステップS4は、所望の枚数のパターン投影画像を撮影するための分岐ステップである。
ステップS4では、予め定められたパターン投影画像の撮影予定枚数Nと現時点でRAM24に記憶されたパターン投影画像の枚数とを比較し、RAM24に記憶されたパターン投影画像の枚数が撮影予定枚数N未満である場合にはステップS5へ進む。また、RAM24に記憶されたパターン投影画像の枚数が撮影予定枚数Nである場合にはステップS7へ進む。
これでステップS4は終了する。
【0051】
ステップS5は、縞パターンを被検物に投影するステップである。
ステップS5では、メイン制御部22の指令に基づいて、第一光源41をオフ制御し、第二光源51をオン制御する。すると、照明部40から照射されていた白色光は消灯し、パターン投影部50から縞パターンが被検物へ投影される。被検物に投影される縞パターンは、図2に示すように、白色光源による明部R1と、パターン生成部55によって遮光された暗部R2とが交互に並べられたパターンとなる。また、パターン生成部55は、アクチュエータを動作させ、縞パターンの位相を適切な位相に設定する。これにより、適切な縞が1ヶ所から被検物に投影されている状態(以下、この状態を「パターン投影状態」と称する。)となる。
これでステップS5は終了し、ステップS6へ進む。
【0052】
ステップS6は、パターン投影状態でパターン投影画像を撮影するステップである。
ステップS6では、被検物に投影された縞パターンは、被検物の三次元形状に応じて変化したパターンとなっている。この状態で、撮像部30のイメージャー31によって画像を取得する(以下、パターン投影状態で撮影された画像を「パターン投影画像」と称する。)。
ステップS6において撮影されたパターン投影画像は、RAM24に一時記憶される。
これでステップS6は終了し、ステップS4へ進む。
ステップS4からステップS6は、パターン投影画像の撮影枚数が撮影予定枚数Nとなるまで繰り返される。このとき、ステップS5において、縞パターンの位相を適宜変更し、位相が異なる縞が投影された被検物の画像をたとえば1枚ずつ合計N枚撮影する。
【0053】
ステップS7は、内視鏡装置1を観察状態に切り替えるステップである。
ステップS7では、第一光源41をオン制御し、第二光源51をオフ制御する。これにより、パターン投影部50からは縞パターンが投影されずに照明部40から観察視野に白色光が照射され、観察視野が照明される。
これでステップS7は終了し、ステップS8へ進む。
【0054】
ステップS8は、縞パターンが投影されず、照明部40からの白色光によって照明された被検物の画像を撮影するステップである。
ステップS8では、照明部40からの白色光によって被検物を照明している状態で撮像部30のイメージャー31によって明視野画像を撮影する。
ステップS8において撮影された明視野画像は、RAM24に一時記憶される。
これでステップS8は終了し、ステップS9へ進む。
【0055】
ステップS9は、ステップS3からステップS8までの間に撮影された画像(明視野画像とパターン投影画像)に基づいて、ステップS3からステップS8までの間における挿入部10と被検体との相対移動(以下「ブレ」と称する。)を検出するステップである。
ステップS9では、まず、RAM24に記憶された明視野画像と縞画像との少なくともいずれかから、2枚の画像を選択する。たとえば、本実施形態では、N枚のパターン投影画像を撮影する前に撮影された明視野画像と、N枚のパターン投影画像を撮影した後に撮影された明視野画像とを選択する。
続いて、選択された2枚の画像から同一の特徴点を検出し、2枚の画像における特徴点の座標を算出する。
これでステップS9は終了し、ステップS10に進む。
【0056】
ステップS10は、ステップS9において検出された特徴点を用いて2つの画像のブレを判定して処理を分岐するステップである。
ステップS10では、2枚の画像における特徴点の座標がそれぞれの画像において同一の座標にあれば、最初の画像と後の画像とにブレは生じていないと判定し、ステップS11へ進む。逆に、2枚の画像における特徴点の座標がそれぞれの画像において異なる座標にあれば、最初の画像と後の画像とにブレが生じていると判定し、ブレが生じているので再度の撮影が必要であることを示すメッセージをモニター28に表示し(ステップS14)、一連の処理を終了する。
これでステップS10は終了する。
【0057】
ステップS11は、撮影したパターン投影画像を用いた三次元計測を今行うか後で行うかを使用者に選択させるステップである。
ステップS11では、例えば「計測を実施?」などの問い合わせをモニター28に表示し、撮影したパターン投影画像を用いた三次元計測の実施の可否の入力を使用者に促す。
計測の実施が可であるとの入力があった場合には、ステップS12へ進む。
計測の実施が否であるとの入力があった場合には、ステップS15へ進む。
これでステップS11は終了する。
【0058】
ステップS12は、三次元計測を行うための解析をするステップである。
ステップS12では、RAM24に記憶されたパターン投影画像に基づいて、三次元形状の解析を行う。たとえば、本実施形態では、位相が異なるN枚のパターン投影画像を用いて、例えば公知の時間的位相シフト法によって被検物の三次元形状を解析する。
三次元形状の解析結果は、テキストファイルあるいはバイナリーファイルとして生成され、N枚のパターン投影画像とともに補助記憶装置25に保存される。なお、ステップS12は、ステップS11の開始と同時にステップS11のバックグラウンド処理として行われてもよい。
これでステップS12は終了し、ステップS13へ進む。
【0059】
ステップS13は、モニター28上の表示を各種計測モードの画面に移行させ、ステップS12で保存された情報を用いてモニター28上に計測結果を表示するステップである。
ステップS13では、ステップS3において取得した明視野画像(あるいはステップS8において取得した明視野画像)上に、ステップS12において解析された結果をオーバーレイ表示する等、明視野画像に表示された被検物の三次元形状をモニター28に表示する。これにより、使用者は、被検物の三次元形状を知ることができる。
これでステップS13は終了し、一連の処理は終了する。
【0060】
ステップS15は、上記ステップS11から分岐したステップであり、計測結果の表示を後で行うために必要な情報処理を行うステップである。
ステップS15では、上記ステップS12と同様に、RAM24に記憶されたパターン投影画像に基づいて、三次元形状の解析を行う。たとえば、本実施形態では、位相が異なるN枚のパターン投影画像を用いて、時間的位相シフト法によって被検物の三次元形状を解析する。
また、明視野画像、パターン投影画像、三次元形状の解析結果、および解析に用いた光学的パラメータを、それぞれバイナリーファイルあるいはテキストファイルとして補助記憶装置25に保存する。この場合、例えばファイル名の一部を共通としたり、1つのディレクトリ(フォルダ)にこれらのファイルをまとめて保存したりすることにより、後で一括して読み出すことができるように補助記憶装置25にこれらのファイルが保存される。
これでステップS15は終了し、一連の処理は終了する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の内視鏡装置1および計測方法によれば、パターン投影部50の投影窓13が挿入部10の先端面10aの1箇所に設けられているので、挿入部10の先端面10aに投影窓13を2つ設ける場合と比較して挿入部10を細径化することができる。
【0062】
また、従来のように縞パターンを投影するための投影窓13を複数個所に設けると、内視鏡装置1の挿入部10の先端面10aにおいて投影窓13が占有する面積が大きく、照明窓12や対物光学系32の占有面積を大きくしにくい。例えば照明窓12の占有面積が小さいと、照明光の光量が不足するおそれがあり、対物光学系32の占有面積が小さいと、レンズの口径を大きくすることが難しく画像が暗くなるおそれがある。
これに対して、本実施形態の内視鏡装置1では、縞パターンを投影する投影窓13が1つであるので、照明窓12や対物光学系32の占有面積を大きくすることができる。その結果、従来と同等の太さの挿入部10でもより明るい画像を取得することができ、また従来より細径化された挿入部10でも従来と同等以上の明るさの画像を取得することができる。
【0063】
また、本実施形態の計測方法によれば、挿入部10が細径化された内視鏡装置1であって縞パターンが1つの投影窓13から投影される環境であっても精度良く三次元形状を計測することができる。
【0064】
また、本実施形態の計測方法では、パターン投影画像を撮影する前後の明視野画像を用いてブレを検出し、ブレがないと判定された場合に三次元形状の解析を行うので、複数のパターン投影画像上の縞パターンがずれたまま解析が行われることがない。このため、三次元形状の解析精度を高めることができる。さらに、パターン投影画像を用いた計測結果を明視野画像上にオーバーレイ表示させるときの位置ずれを抑えることもできる。
【0065】
(変形例1)
次に、上述の実施形態で説明した内視鏡装置1および計測方法の変形例について説明する。
本変形例では、パターン生成部55に代えてパターン生成部55A(図1参照)を備える点で上述の実施形態と構成が異なっている。パターン生成部55Aは、位相の異なる明暗パターンを投影することはできず、特定の位相の明暗パターンを被検物に対して投影することができるようになっている。すなわち、本変形例のパターン生成部55Aは、スリット板などを移動させるアクチュエータを備えず小型に構成されている。
【0066】
本変形例では、被検物の三次元形状の計測方法も異なっている。以下、上述の実施形態と処理内容が異なる点を中心に本変形例の計測方法を説明する。
本変形例の計測方法では、ステップS4における撮影予定枚数Nは1であり、上述の実施形態におけるステップS4ないしステップS6までの繰り返しはなく1枚のパターン投影画像を撮影してステップS7へ進む。
【0067】
また、ステップS12、ステップS15における三次元形状の解析方法も上述の実施形態と異なっている。本変形例では、ステップS12およびステップS15において、1枚のパターン投影画像を用いて空間位相シフト法あるいはフーリエ変換法によって三次元形状の解析を行う。
【0068】
本変形例では、1枚のパターン投影画像を用いて三次元形状の解析を行うので、上述の実施形態においてN枚の縞画像を取得する場合と比較して、画像の撮影を開始してから解析結果を得るまでの時間を短縮することができる。
【0069】
なお、本変形例の計測方法は、スリット板などを移動させるアクチュエータを備えるパターン生成部55を有していても同様に適用できる方法であり、複数枚のパターン投影画像を用いる時間的位相シフト法に比べて三次元形状を迅速に解析することができる。
【0070】
(変形例2)
次に、上述の実施形態で説明した内視鏡装置1および計測方法の別の変形例について説明する。
本変形例では、パターン生成部55A(図1参照)を備えており、パターン投影部50は、図9に示すような明または暗のライン状の1本のパターンを被検物に対して投影することができるようになっている。図9には、明部R1内に1本のすじ状の暗部R2が投影された場合が示されている。なお、暗部R2内に1本のすじ状の明部R1が投影されるようになっていてもよい。
パターン投影部50から投影されるこの1本のパターン自体は、投影場所や方向が移動したり、形状が変形したりしない。
すなわち、本変形例のパターン生成部55Aは、スリット板などを移動させるアクチュエータを備えず小型に構成されている。
【0071】
本変形例では、被検物の三次元形状の計測方法も異なっている。以下、上述の変形例1の実施形態と処理内容が異なる点を中心に本変形例の計測方法を説明する。
【0072】
本変形例では、ステップS12およびステップS15において、1枚のパターン投影画像を用いて、光切断法によって三次元形状の解析を行う。本変形例では、1枚のパターン投影画像を用いて、1本のパターン上において三次元形状の解析を行うので、上述の実施形態において1枚のパターン投影画像の全面に対して解析する場合と比較して、三次元形状が測定できる部分は限定されるものの、解析時間を大幅に短縮することができる。
【0073】
なお、本変形例の計測方法は、スリット板などを移動させるアクチュエータを備えるパターン生成部55を有していても同様に適用できる方法である。複数枚のパターン投影画像を用いることで、視野範囲(画面上)の一部分だけでなく、複数の異なる部分(位置)においても三次元形状を迅速に解析することができる。
【0074】
(変形例3)
次に、上述の実施形態で説明した内視鏡装置1の他の変形例について説明する。
本変形例では、第二光源51を備えておらず、第一光源41から発せられた光を第二ファイバーバンドル53へ入射させる切り替え手段を備えている。
切り替え手段としては、たとえばMEMSミラーモジュールなど、第一光源41から発せられた光の光路を複数の方向に切り替えるデバイスを採用することができる。
このような構成であっても上述の実施形態で説明した内視鏡装置1と同様の効果を奏する。また、光源が1つでよいので内視鏡装置1の部品点数を削減することができる。
【0075】
(変形例4)
次に、上述の実施形態で説明した内視鏡装置1のさらに他の変形例について説明する。
本変形例では、内視鏡装置1の先端面10aの構成が上述の実施形態と異なっている。
図4ないし図6は、照明窓12や投影窓13等を先端面10aに備える直視型の挿入部10の構成を示す図である。
図4ないし図6に示すように、内視鏡装置1の挿入部10の先端面10aにおける各構成要素の配置には種々の態様がある。
【0076】
例えば図4に示すように、挿入部10の中心軸線O上に対物光学系32が配置され、対物光学系32の外周の半周分だけ対物光学系32を囲むように照明窓12が設けられ、対物光学系32に対して照明窓12と反対側に投影窓13が配置されている。このような配置の場合には、照明窓12の占有面積を大きくすることができる。また、対物光学系32の形状は一般的に円または円に近い形状であるため、対物光学系32の周囲に照明窓12と投影窓13を配置することで、配置面積が限られている内視鏡の先端部に効率よく配置することができ、内視鏡の先端部を細径化しやすい。さらに、内視鏡画像の中心と挿入部10の中心軸線Oとが一致しているので、操作者が被検体の映像をモニターで観察しながら、違和感なく内視鏡を挿入することができる。
【0077】
また、投影窓13の奥側に、パターン生成部55が設けられている。このパターン生成部55は、投影窓13と対物光学系との配置方向に対して垂直な方向にライン状のパターンが位置するように配置されている。このような配置は、対物光学系の中心点からライン状のパターンに対する垂線の距離(以下、基線長という)をできるだけ長く確保しつつ、投影窓と対物光学系の配置間隔を最も近づけた配置関係になっている。基線長が長いほど計測精度が向上するので、本変形例によれば、挿入部が細径化された内視鏡装置であっても精度良く三次元形状を計測することができる。
【0078】
また、図5に示すように、図4に示した配置と異なり対物光学系32が挿入部10の中心軸線Oに対して偏心した位置に配置され、対物光学系32および投影窓13を間に挟む二箇所に照明窓12が設けられた配置とすることもできる。対物光学系32は、観察視野内の反射光を対物光学系32からイメージャー31に向かう出射側の光軸が、中心軸線Oに平行で、かつ偏心するように配置されている。
【0079】
また、図6に示すように、挿入部10の先端面10aにおいて、対物光学系32が配置される開口11、照明窓12、および投影窓13は、挿入部10の中心軸線Oに対して偏心した位置に配置されていてもよい。また、対物光学系32の光軸Lを通る上下軸P1および左右軸Q1が、挿入部10の中心軸を通る上下軸P2および左右軸Q2と重ならない位置に配置されていてもよい。
【0080】
開口11、照明窓12、および投影窓13が挿入部10の中心軸線Oに対して偏心した位置に設けられているので、例えば対物光学系32が挿入部10の中心軸線O上にあるような従来の内視鏡装置と比較して、挿入部10をさらに細径化することができる。
【0081】
(変形例5)
次に、上述の実施形態で説明した内視鏡装置1のさらに他の変形例について説明する。
本変形例では、第一光源41および第二光源51が挿入部10の先端近傍に配置されている。
【0082】
例えば図7に示すように、本変形例では、第一ファイバーバンドル43を備えず、第一光源41からの光は直接照明窓12へ向けて照射され、第二ファイバーバンドル53を備えず、第二光源51からの光は直接縞パターン生成部55へ向けて照射される。
【0083】
また、図8に示すように、挿入部10の先端近傍に第一光源41、第二光源51、およびイメージャー31を有し、挿入部10の先端部分に着脱可能な光学アダプター10Aを有する構成とすることもできる。
【0084】
光学アダプター10Aには、照明窓12、投影窓13、および対物光学系32の一部が収容されており、光学アダプター10Aの先端面10aが上述の実施形態における挿入部10の先端面10aに相当する。
第一光源41と照明窓12とは、光学アダプター10A内に配置された光ファイバー43Aによって接続され、第二光源51とパターン生成部55とは光学アダプター10A内に配置された光ファイバー53Aによって接続されている。
【0085】
図7および図8に示すような構成であっても、上述の実施形態で説明したのと同様の効果を奏する。
また、挿入部10の先端近傍に第一光源41および第二光源51が設けられているので、挿入部10をたとえば数十メートルの長さを超える長さとした場合に、第一ファイバーバンドル43および第二ファイバーバンドル53を用いる場合よりも光の損失が少なく、明るい画像を取得することができる。
【0086】
(変形例6)
次に、上述の実施形態で説明した内視鏡装置1のさらに他の変形例について説明する。図10は、図6の配置を更に変形した別の配置の変形例である。この変形例は、光学アダプタ10Aを有する構成の内視鏡装置の例であり、図10は光学アダプタの先端面の図を示している。
【0087】
挿入部10の中心軸線O上に対物光学系32が配置され、対物光学系32の両側にそれぞれ照明窓12と投影窓13が配置されている。そして、光学アダプタ10Aの裏側に、第一光源や第二光源に本体側から電力を供給するための接点ピン14が設けられている。
【0088】
また、光学アダプタ10Aを挿入部10の先端部に取り付ける際、挿入部の中心軸に対する回転方向の位置決めを行うために、光学アダプタ10Aの裏側に、位置決め用の溝15、あるいはそれに代わる構造が設けられている。
【0089】
このような、接点ピン14や位置決め用の溝15が、対物光学系32に対して、照明窓12と投影窓13が配置されていない側にそれぞれ設けられている。これによって、光学アダプタ式であっても、接点ピン14、位置決め用の溝15、照明窓12、投影窓13がお互いに干渉することなく、それぞれを細径の内視鏡先端部に配置することをできる。
【0090】
(変形例7)
次に、上述の実施形態で説明した内視鏡装置1のさらに他の変形例について説明する。図11は、挿入部の中心軸に対して垂直方向を観察可能な内視鏡装置における先端部の変形例である。
本変形例では、先端面10aに代えて、挿入部10の中心軸線に直交する直線が法線となる先端面10bが挿入部10の先端部の外周面の一部に形成されている。照明窓12と投影窓13とカバー部材32aは、何れも先端面10bに配置されている。
対物光学系32は、入射側の光軸L1を、対物光学系32からイメージャー31へ向かう出射側の光軸L2に対して交差した方向に向けるプリズム16を有する。本変形例では、プリズム16は対物光学系32を構成する光学素子の一つである。
なお、入射側の光軸L1は、観察視野内の反射光がプリズム16に入射するときの光軸であり、出射側の光軸L2は、観察視野内の反射光がプリズム16からイメージャー31に入射するときの光軸である。
本変形例では、入射側の光軸L1は、挿入部10の中心軸線Oに対してねじれの位置にある。さらに、出射側の光軸L2は、挿入部10の中心軸線Oと平行である。
【0091】
図12(a)(b)は、図11の内視鏡における先端面10bを、先端面10bに垂直な方向から見た図であり、照明窓12と投影窓13と対物光学系32の配置例を示す平面図である。
【0092】
図11および図12(a)に示すように、先端面10bは、略平坦な平面となっている。図12(a)に示すように、本変形例では、対物光学系32と投影窓13が、平面視で挿入部10の中心軸線O上に配置され、2つの照明窓12がカバー部材32aの側面に配置されている。対物光学系32および投影窓13は、何れも挿入部の先端部の外周面である先端面10bに露出している。本変形例では、中心軸線Oを先端面10bに対して垂直に投影した線を仮想中心線PLとする。つまり、図12(a)では対物光学系32と投影窓13とは、それらの中心と仮想中心線PLとが交わる位置に配置されている。この場合、投影窓13は、投影窓13の厚さ方向から投影窓13を見たときの投影窓の中心が、挿入部10の中心軸線Oと入射側の光軸L1とによって規定される平面内に存する位置関係となっている。
また、図12(b)に示すように、カバー部材32aは、その中心が仮想中心線PLと交わらない位置に配置され、照明窓12は挿入部10の仮想中心線PL上に配置され、さらに投影窓13はその中心が仮想中心線PLと交わらない位置に配置されていてもよい。このとき、カバー部材32aの中心とプリズム16の光軸L1とが一致するように配置されており、対物光学系32はその光軸L1と仮想中心線PLとが交わらないように配置されている。
図12(c)(d)はそれぞれ、図12(a)(b)に符号Dで示す方向から挿入部10を見たときの図であり、挿入部10の正面図である。図12(c)(d)に示すように、本変形例では観察視野内の反射光がプリズム16からイメージャー31に入射するときの光軸L2と挿入部10の中心軸線Oが偏心するように対物光学系32及びイメージャー31が配置されている。
【0093】
これらに示したとおり、側面方向を観察する内視鏡の例であっても、従来のように明暗パターンを投影するための投影窓13を複数個所に設けた場合と比べると、投影窓が1つであることで先端部を細径化しやすい。
なお、先端面に配置された各構成要素の形状や配置位置については、図12(a)(b)の例だけに限らない。たとえば、本変形例では光軸L1と光軸L2とが直交している場合について例示したが、光軸L1と光軸L2とが直交以外の角度で交差している構成であってもよい。
【0094】
(変形例8)
次に、上述の実施形態で説明した内視鏡装置1のさらに他の変形例について説明する。本変形例では、メイン制御部22による制御動作が上述の実施形態および変形例と異なっている。
【0095】
本変形例では、第二光源51は、図7に示すように挿入部10の先端側に設けられており、たとえばレーザー等のような高輝度な光源である。この場合、ステップS5では、メイン制御部22の指令に基づいて、第一光源41をオン制御したままで、第二光源51をオン制御して、適切な縞が1ヶ所から被検物に投影されている状態を「縞投影状態」としてもよい。また、上述のステップS5では、撮像された画像がn番目の時とn+1番目の時では、明暗パターンの位相は変化させずに、第二光源51を制御することで光量を変化させて、縞の輝度が異なる縞画像を撮影するようにしてもよい。
【0096】
(変形例9)
次に、上述の実施形態で説明した内視鏡装置1のさらに他の変形例について説明する。本変形例では、メイン制御部22による制御動作が上述の実施形態および変形例と異なっている。
【0097】
本変形例では、上述のステップS9では、N枚の縞画像を撮影する前に撮影された明視野画像と、N枚の縞画像を撮影した後に撮影された明視野画像とを選択し、これら2枚の画像間における輝度値の差分の合計を計算する。
さらに、上述のステップS10では、ステップS9において計算した輝度値の差分の合計が、しきい値よりも小さかったら、最初の画像と後の画像とにブレは生じていないと判定し、ステップS11へ進む。逆に、ステップS9において計算した輝度値の差分の合計がしきい値よりも大きかったら、最初の画像と後の画像とにブレが生じていると判定し、ブレが生じているので再度の撮影が必要であることを示すメッセージをモニター28に表示し(ステップS14)、一連の処理を終了する。
上記の例は、画像一面に渡って差分を計算した例である。なお、画像のうちのある一部分のみだけを対象として処理を行ってもよい。また、1枚の明視野画像と1枚の縞画像とを用いて輝度の差分を計算してもよい。
【0098】
(変形例10)
次に、上述の実施形態で説明した内視鏡装置1のさらに他の変形例について説明する。本変形例では、メイン制御部22による制御動作が上述の実施形態および変形例と異なっている。
本変形例では、第二光源51(図7参照)が、複数の微小な発光素子で構成されている。第二光源51に設けられた複数の発光素子は、2つ以上のグループ毎に点灯制御される。
【0099】
たとえば、発光素子による複数のグループが、明暗パターン生成部55上に設けられる縞模様の位相方向に配置されていれば、明暗パターン生成部55が縞の位相を任意に変化させることはできない単なるスリットが付いている板、あるいは、それに類似するものであってもよい。この場合、ステップS5では、点灯させる発光素子のグループを順番に切り替えることで異なる複数の縞が被検物に投影される。さらに、ステップS6では、これら各々の縞画像を撮影できる。
【0100】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
たとえば、上述の実施形態では、ブレを検出するために用いる画像として2枚の明視野画像を選択する例を示したが、ブレを検出するために用いる画像として縞画像を用いても構わない。また、明視野画像を2枚より多く撮影することもでき、2枚より多くの明視野画像がある場合には必要に応じてこれらの明視野画像から必要枚数の画像を選択してブレを検出することができる。
また、上述の実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 内視鏡装置
10 挿入部
10a 先端面
11 開口
12 照明窓
13 投影窓
20 操作部
30 撮像部
32 対物光学系
40 照明部
50 パターン投影部
O 中心軸線
PL 仮想中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の明暗パターンが投影された被検物のパターン投影画像を用いて前記被検物の計測を行う内視鏡装置であって、
挿入部と、
前記挿入部の先端部に設けられ、前記被検物の画像を取得する撮像部と、
前記撮像部の観察視野を照明する照明光を発する照明部と、
前記被検物に前記明暗パターンを投影するパターン投影部と、
を備え、
前記挿入部の先端面には、
前記撮像部に前記被検物の像を結像させる対物光学系と、
前記照明光を出射する1つ以上の照明窓と、
前記パターン投影部から前記被検物へ前記明暗パターンを投影する1つの投影窓と、
が設けられている
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記対物光学系は、前記対物光学系の光軸のうち前記対物光学系から前記撮像部に向かう出射側の光軸が、前記挿入部の中心軸線に対して平行かつ偏心するように配置されていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項3】
請求項2に記載の内視鏡装置であって、
前記対物光学系は入射側の光軸と出射側の光軸とがともに前記中心軸線と平行な直視型対物光学系であって、
前記対物光学系は、前記挿入部の先端部の先端面に設けられ、前記中心軸線に対して偏心した位置に配置されていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項4】
請求項3に記載の内視鏡装置であって、
前記投影窓は、前記先端面に設けられ、前記挿入部の中心軸線に対して偏心した位置に配置されていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項5】
請求項2に記載の内視鏡装置であって、
前記対物光学系は、前記挿入部の先端部の外周面に露出され、入射側の光軸が前記中心軸線に対してねじれの位置に配置された側視型対物光学系である
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項6】
請求項5に記載の内視鏡装置であって、
前記投影窓は、前記挿入部の先端部の外周面に露出され、
前記投影窓の厚さ方向から前記投影窓を見たときの前記投影窓の中心を通り前記投影窓の厚さ方向に延びる中心線は、前記挿入部の中心軸線に対してねじれの位置に配置されていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項7】
請求項2に記載の内視鏡装置であって、
前記対物光学系は、前記挿入部の先端部の外周面に露出され、入射側の光軸が前記挿入部の中心軸線に対して交差して配置された側視型対物光学系であって、
前記投影窓は、前記投影窓の厚さ方向から前記投影窓を見たときの前記投影窓の中心が、前記挿入部の中心軸線と前記入射側の光軸とによって規定される平面内に存するように前記挿入部の先端部の外周面に配置されていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項8】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記パターン投影部は、ライン状の1本以上の平行するパターンを有していることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項9】
請求項1に記載の内視鏡装置であって、
前記パターン投影部は、投影用光源と、前記投影用光源から出射される光の強度分布を変更し、前記明暗パターンを生成するパターン生成部とを備えていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項10】
請求項9に記載の内視鏡装置であって、
前記投影用光源から出射される光を前記パターン生成部に導く光ファイバーを備え、
前記投影用光源は、前記挿入部の基端側に設けられ、
前記パターン生成部は、前記挿入部の先端部に設けられていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項11】
請求項9に記載の内視鏡装置であって、
前記投影用光源及び前記パターン生成部は、前記挿入部の先端部に設けられていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項12】
請求項9に記載の内視鏡装置であって、
前記投影用光源から出射され、前記パターン生成部によって生成された前記明暗パターンを前記挿入部の先端側まで導く光ファイバーを備え、
前記投影用光源及び前記パターン生成部は、前記挿入部の基端側に設けられていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項13】
請求項9に記載の内視鏡装置であって、
前記挿入部の先端部に着脱自在に装着可能な光学アダプタを備え、
前記パターン生成部は、前記光学アダプタに設けられていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項14】
請求項13に記載の内視鏡装置であって、
前記投影用光源は、前記光学アダプタに設けられていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項15】
請求項1〜請求項14の何れか1項に記載の内視鏡装置であって、
前記明暗パターンを投影するための光と前記照明光とを切り替える切り替え手段を備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項16】
被検物の三次元形状を内視鏡を用いて計測する計測方法であって、
所定の明暗パターンを前記内視鏡の一箇所から前記被検物に投影し、
前記被検物において前記明暗パターンが投影された部分を撮像して少なくとも1枚のパターン投影画像を取得し、
前記明暗パターンが投影された部分の三次元形状を前記パターン投影画像を用いて計測する
ことを特徴とする計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−228459(P2012−228459A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99889(P2011−99889)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】