内視鏡装置
【課題】被検体が長かったり屈曲部を有したりする等、挿入が困難な場合であっても、挿入部の挿入性を高めることができる内視鏡装置を提供する。
【解決手段】先端部に配置され観察機構が設けられた先端構成部を有する挿入部4を備え、被検体内Qに挿入部4を挿入して用いられる内視鏡装置1において、挿入部4に、先端構成部より基端側の範囲に振動を発生させる振動手段5を有する。この振動手段5は、挿入部4の長さ方向又は挿入部4の長さ方向に直交する方向に振動を発生させる。
【解決手段】先端部に配置され観察機構が設けられた先端構成部を有する挿入部4を備え、被検体内Qに挿入部4を挿入して用いられる内視鏡装置1において、挿入部4に、先端構成部より基端側の範囲に振動を発生させる振動手段5を有する。この振動手段5は、挿入部4の長さ方向又は挿入部4の長さ方向に直交する方向に振動を発生させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部を被検体に挿入して用いられる内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、挿入部を被検体に挿入して用いられる内視鏡装置においては、例えば特許文献1に示すような構成のものが用いられていた。この内視鏡装置は、挿入部の先端内に、電磁コイルと、この電磁コイルの軸線方向に可動に配置されて電磁コイルへの通電によって生じる電磁力が作用する錘と、電磁コイルの軸線方向に伸縮するように一端が挿入部に連結されて他端が錘に連結されたコイルスプリングと、を配置したものである。
そして、電磁コイルにコイルスプリングの伸縮動作に対応して電流を通電することにより、錘が共振して挿入部の先端付近が微振動することにより、挿入部を体内にスムーズに挿入することができるという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−237610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような、電磁コイル、錘及びコイルスプリングは、一般に挿入部の先端部に設けられた先端構成部内に配置される。
しかしながら、この内視鏡装置が工業用に用いられる場合には、挿入部を例えば10m以上というように長く被検体に挿入されたり、エルボー等の曲げのきつい屈曲部に挿入されたりすることがある。この場合には、先端構成部が振動し先端構成部の周辺の挿入性が向上しても、挿入部の大部分を占める、挿入部のうち先端構成部より基端側の部分が被検体の内周面に係止され、挿入部全体の挿入性が低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、被検体が長かったり屈曲部を有したりする等、挿入が困難な場合であっても、挿入部の挿入性を高めることができる内視鏡装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の内視鏡装置は、先端部に配置され観察機構が設けられた先端構成部を有する挿入部を備え、被検体内に該挿入部を挿入して用いられる内視鏡装置において、前記挿入部に、前記先端構成部より基端側の範囲に、振動を発生させる振動手段を有することを特徴としている。
【0007】
この発明によれば、一般的に挿入部の長さのうち大部分を占める、挿入部における先端構成部より基端側の範囲に、振動を発生させる振動手段を有する。従って、被検体が長かったり屈曲部を有したりする等、挿入が困難な場合であっても、挿入部に発生する振動のうち挿入部が当接する被検体の面の法線方向の成分により、被検体に対して挿入部を離間させることができ、挿入部を被検体内に挿入するときの摩擦抵抗を低減させ挿入部の挿入性を高めることができる。
【0008】
また、上記の内視鏡装置において、前記振動手段は、前記挿入部の外周面側に設けられ内部に流体を収容するチューブ体と、該チューブ体に対して前記流体を供給/排出可能な流体供給部と、を有することがより好ましい。
この発明によれば、振動手段は、挿入部の外周面側に設けられたチューブ体の内部に流体供給部により流体を供給/排出することにより、チューブ体を膨張/収縮させチューブ体の外周面をその径方向に振動させる。
このため、チューブ体が設けられた部分の挿入部がチューブ体を介して被検体に当接する場合であっても、チューブ体の外周面がその径方向に振動させることで被検体に対してチューブ体と挿入部を離間させることができ、挿入部と被検体との摩擦抵抗を低減させることができる。
【0009】
また、上記の内視鏡装置において、前記振動手段は、前記チューブ体の外側に、該チューブ体内への前記流体の供給/排出によって少なくとも前記挿入部の長さ方向に直交する方向に移動する第1可動部材を有していることがより好ましい。
この発明によれば、第1可動部材により、チューブ体の外周面を被検体から保護することができる。また、チューブ体の外周面に生じるチューブ体の径方向の振動を、第1可動部材の慣性力により確実に被検体に伝達することができる。
【0010】
また、上記の内視鏡装置において、前記チューブ体は、前記流体を収容する一対の収容部が形成され、これら一対の収容部は、前記挿入部の長さ方向に直交する断面において前記挿入部を挟んで互いに対向する位置に設けられ、前記流体供給部により前記一対の収容部のそれぞれに対し独立して前記流体を供給可能とされていることがより好ましい。
この発明によれば、チューブ体に備えられた一対の収容部に、流体供給部により流体を交互に供給/排出することにより、挿入部の長さ方向に直交する断面上において、挿入部を一対の収容部が設けられた方向に交互に振動させることができる。このため、挿入部の振動の振幅を大きくすることができ、挿入部と被検体との摩擦抵抗を効果的に低減させることが可能となる。
【0011】
また、上記の内視鏡装置において、前記一対の収容部は、前記挿入部の外周面側に、該挿入部の長さ方向に螺旋状となるように設けられていることがより好ましい。
この発明によれば、チューブ体の径方向となる挿入部の振動方向を、挿入部の長さ方向の位置により変化させることができる。従って、被検体に対して挿入部を、この挿入部の外周面を螺旋状に廻るより多くの方向に離間させ、挿入部と被検体との摩擦抵抗をより確実に低減させることができる。
【0012】
また、上記の内視鏡装置において、前記振動手段は、前記挿入部の外周面側に、該挿入部の長さ方向及び該挿入部の長さ方向に直交する方向に移動可能に支持された第2可動部材と、該第2可動部材を前記挿入部の長さ方向及び該挿入部の長さ方向に直交する方向に振動させるように操作する振動用ワイヤと、該振動用ワイヤを牽引可能なワイヤ牽引部と、を有することがより好ましい。
この発明によれば、ワイヤ牽引部で振動用ワイヤを操作することにより、第2可動部材を前記挿入部の長さ方向及び挿入部の長さ方向に直交する方向に振動させる。このため、挿入部が第2可動部材を介して被検体に当接する場合であっても、第2可動部材の振動のうち第2可動部材が当接する被検体の面の法線方向の成分により、被検体に対して挿入部を離間させることができ、挿入部と被検体との摩擦抵抗を低減させて挿入部の挿入性を高めることができる。
【0013】
また、上記の内視鏡装置において、前記第2可動部材は、前記挿入部の長さ方向に間隔をおいて複数設けられ、複数の前記第2可動部材には、前記挿入部の長さ方向に向かう貫通孔がそれぞれ形成され、前記振動用ワイヤは、その先端部が前記複数の第2可動部材より先端側の前記挿入部に固定され、前記貫通孔に前記振動用ワイヤが挿通され、前記振動用ワイヤを牽引したときに、前記複数の第2可動部材はこれに追従して少なくとも前記挿入部の長さ方向に直交する方向に移動するように構成されていることがより好ましい。
この発明によれば、振動用ワイヤを牽引することで、複数の第2可動部材をこれに追従して少なくとも挿入部の長さ方向に直交する方向に移動させる。すなわち、振動用ワイヤを牽引するという簡単な操作で、複数の第2可動部材を挿入部の長さ方向に直交する方向に移動させることができる。
【0014】
また、上記の内視鏡装置において、前記振動用ワイヤを牽引したときに、前記挿入部の長さ方向から見て、二つの前記第2可動部材が互いに異なる方向に移動するように構成されていることがより好ましい。
この発明によれば、被検体に対して挿入部を互いに異なるより多くの方向に離間させ、挿入部と被検体との摩擦抵抗をより確実に低減させることができる。
【0015】
また、上記の内視鏡装置において、前記振動手段は、前記挿入部の少なくとも前記先端構成部より基端側の範囲の全体にわたり設けられていることがより好ましい。
この発明によれば、挿入部の少なくとも先端構成部より基端側の範囲の全体にわたり、挿入部と被検体との摩擦抵抗をより低減させ、挿入部の挿入性を高めることができる。
【0016】
また、上記の内視鏡装置において、前記振動手段は、前記挿入部が共振する周波数で振動を発生させることがより好ましい。
この発明によれば、挿入部の振幅を大きくし、挿入部と被検体との摩擦抵抗を効果的に低減させることができる。
【発明の効果】
【0017】
被検体が長かったり屈曲部を有したりする等、挿入が困難な場合であっても、挿入部の挿入性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の内視鏡装置の斜視図である。
【図2】同内視鏡装置の挿入部及び振動手段の断面図である。
【図3】図3(a)は図2における切断線A1−A1の断面図であり、図3(b)は図2における切断線A2−A2の断面図であり、図3(c)は図2における切断線A3−A3の断面図である。
【図4】同内視鏡装置のケース体の断面を模式的に表す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態の内視鏡装置の挿入部及び振動手段の断面図である。
【図6】同内視鏡装置のケース体の断面を模式的に表す説明図である。
【図7】図5におけるB方向から見た各可動リングを振動の基準位置に移動した状態を示す図である。
【図8】牽引モータを他方に回転させた場合の図5におけるB方向から見た各可動リングの状態を挿入部とともに示す図である。
【図9】牽引モータを一方に回転させた場合の図5におけるB方向から見た各可動リングの状態を挿入部とともに示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態の変形例の可動リングの正面図である。
【図11】本発明の第2実施形態の変形例の可動リングの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るAの第1実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の内視鏡装置1の斜視図である。
この内視鏡装置1は、管路や隙間等の被検体の内部に長尺の挿入部4を挿入して観察する装置である。本実施形態では、内視鏡装置1で管路(被検体)の内部を観察する場合を例にとって説明する。なお、被検体は、配管のようなパイプ形状に限ることなく、例えば内部に複雑な形状の貫通孔が形成されたエンジンや発電機装置等でも良い。
図1に示すように、本実施形態の内視鏡装置1は、先端部に配置された先端構成部2と先端構成部2の基端側に設けられ湾曲操作可能な湾曲部3を有する長尺の管状の挿入部4と、挿入部4の湾曲部3より基端側の全範囲にわたり配置された、振動を発生させる振動手段5と、を備えている。
【0020】
本実施形態では、内視鏡装置1は、挿入部4の基端側が取付けられるケース体6と、ケース体6の上面に設けられたLCDモニタ7及び複数の表示ランプ8と、基端部がケース体6の上面に取付けられたリモコン9と、をさらに備えている。
挿入部4は公知の構成のものが用いられ、このリモコン9に設けられた湾曲操作スイッチ9aを操作することにより、不図示の操作ワイヤを不図示のモータにより牽引して湾曲部3を湾曲操作することができるように構成されている。
なお、LCDモニタ7及び表示ランプ8は、リモコン9に設けられるように構成しても良い。
また、先端構成部2には、ケース体6内に備えられた不図示の電源部が接続され照明光を照射する照明機構10と、CCD等の不図示の撮像素子を有しLCDモニタ7に接続された観察機構11とを、それぞれ露出した状態で前方に備えている。
そして、不図示の電源部から供給された電力により照明機構10から照明光が照射され、照射された照明光が管路内周面で反射されて反射光となったものを観察機構11で検出し、観察機構11で検出した映像をLCDモニタ7に表示することができるように構成されている。
【0021】
図2に内視鏡装置1の挿入部4及び振動手段5の断面図を、図3に図2における挿入部4の長さ方向となる方向Dに直交する各切断線の断面図を、図4にケース体6の断面を模式的に表す説明図を示す。なお、説明の便宜上、図2において、挿入部4の一部及び後述するマルチルーメンチューブ(チューブ体)14の収容部18a、18b以外を二点鎖線で示す。
図2から図4に示すように、振動手段5は、挿入部4の外周面側に設けられ内部に圧縮空気(流体)を収容するマルチルーメンチューブ14と、マルチルーメンチューブ14に対して空気を供給/排出可能な流体供給部15と、マルチルーメンチューブ14の外側に複数配置された可動リング(第1可動部材)16と、複数の可動リング16の外側を覆うように設けられた第1被覆チューブ17と、を有する。
【0022】
マルチルーメンチューブ14は、例えばシリコン等の可撓性を有する材料により略管状に形成されている。マルチルーメンチューブ14の延在方向に形成された貫通孔14aの内径は、内視鏡装置1の挿入部4の外径とほぼ等しく形成されている。そして、貫通孔14aを囲むように設けられた壁部14bには、圧縮空気を収容する一対の収容部18a、18bが形成されている。
一対の収容部18a、18bの先端部はマルチルーメンチューブ14の先端側までそれぞれ形成され、一対の収容部18a、18bの基端部はケース体6内まで延びている。一対の収容部18a、18b先端部は、壁部14bにより塞がれている。このように、マルチルーメンチューブ14及び一対の収容部18a、18bは、挿入部4の湾曲部3より基端側の範囲の全体にわたり設けられている。
また、図3に示すように、これら一対の収容部18a、18bは、方向Dに直交する断面において、挿入部4を挟んで互いに対向する位置に設けられるとともに、挿入部4の外周面側に、方向Dに対して螺旋状となるように設けられている。
【0023】
図2及び図3に示すように、挿入部4の外周面には、例えば金属製の板状のコイルに樹脂を含浸させて形成された第2被覆チューブ19が配設され、第2被覆チューブ19はマルチルーメンチューブ14に外嵌されている。
この第2被覆チューブ19は可撓性を有し、その内部には湾曲部3を湾曲操作するための不図示の操作ワイヤや、不図示の信号線や電力線等が挿通される。
【0024】
各可動リング16は一定の重量を有するリング状に形成され、マルチルーメンチューブ14の一対の収容部18a、18bいずれか一方に圧縮空気を供給したときに、マルチルーメンチューブ14の外周面が可動リング16の内周面に当接するように設定されている。
また、各可動リング16には、方向Dに向かい貫通する4つの通し孔16a、16b、16c、16dが周方向に等距離毎にそれぞれ形成されている。
各可動リング16の通し孔16aには、振動用ワイヤ20aがそれぞれ挿通されている。そして、振動用ワイヤ20aの先端部及び基端部は、湾曲部3の基端部に配置された湾曲駒23及び挿入部4の基端側に例えばはんだ付けによりそれぞれ固定されている。振動用ワイヤ20aにおいて、各通し孔16aに挿通された部分の先端側及び基端側には、可動リング16から一定距離離間させて、例えばはんだ付けにより形成されるストッパ部材24がそれぞれ固定されている。
同様に、各可動リング16の通し孔16b、16c、16dに、振動用ワイヤ20b、20c、20dがそれぞれ挿通されていて(振動用ワイヤ20b、20dは不図示)、各振動用ワイヤ20b、20c、20dには、ストッパ部材24がそれぞれ固定されている。
このように構成された各可動リング16は、挿入部4に対して、方向Dに沿って、さらに方向Dに直交する平面上で、それぞれ所定の範囲で移動可能となっている。なお、例えば、可動リング16をストッパ部材24で振動用ワイヤ20a〜20dに固定することにより、各可動リング16が方向Dに直交する方向にのみ移動可能となるように構成しても良い。
【0025】
また、本実施形態では、第1被覆チューブ17は、可撓性を有し表面の摩擦抵抗が小さいポリ4フッ化エチレン樹脂等の材料で形成されている。そして、第1被覆チューブ17の内周面には、各可動リング16が当接している。
【0026】
図4に示すように、流体供給部15は、圧縮空気を供給する空気ボンベ27と、一端が空気ボンベ27に接続された主配管28と、主配管28の他端に接続され圧縮空気の流れを2つに分岐する継手29と、一端が継手29に接続される第1分岐配管30a、30bと、第1分岐配管30a、30bの他端にそれぞれ接続される電磁弁31a、31bと、一端が電磁弁31a、31bにそれぞれ接続され他端が収容部18a、18bの基端部にそれぞれ接続された第2分岐配管32a、32bと、を有する。
【0027】
主配管28及び第2分岐配管32a、32bには、主圧力センサ33及び分岐圧力センサ34a、34bがそれぞれ設けられ、主配管28及び第2分岐配管32a、32b内の圧縮空気の圧力を検出することが可能となっている。そして、これら主圧力センサ33及び分岐圧力センサ34a、34bは、制御部35にそれぞれ接続され、制御部35はさらにリモコン9に接続されている。
空気ボンベ27には、圧力調整バルブ27aが備えられ、内視鏡装置1の使用者は、主圧力センサ33で検出された空気の圧力を確認しながら、圧力調整バルブ27aにより主配管28内の空気の圧力を調整することが可能となっている。
【0028】
電磁弁31a、31bには、ソレノイド36a、36bがそれぞれ備えられるとともに、排出配管37a、37bがそれぞれ接続されている。そして、制御部35がソレノイド36aを駆動することにより電磁弁31aを切替えて、第1分岐配管30aと第2分岐配管32aとを連通させることにより圧縮空気を収容部18aに供給することが可能となり、排出配管37aと第2分岐配管32aとを連通させることにより収容部18aに収容された圧縮空気を排出配管37aから排出することが可能となっている。
同様に、制御部35がソレノイド36bを駆動することにより電磁弁31bを切替えて、第1分岐配管30bと第2分岐配管32bとを連通させることにより圧縮空気を収容部18bに供給することが可能となり、排出配管37bと第2分岐配管32bとを連通させることにより収容部18bに収容された圧縮空気を排出配管37bから排出することが可能となっている。
このように、流体供給部15により、一対の収容部18a、18bのそれぞれに対し独立して圧縮空気を供給可能とされている。
【0029】
圧縮空気が供給される収容部18a、18bは、リモコン9を操作することで、これらに供給される圧縮空気の切替え速度を調節することが可能となっている。
すなわち、例えば、リモコン9を操作して切替え速度を1Hzとすると、収容部18aに圧縮空気が供給され収容部18bから圧縮空気が排出された状態から0.5秒後に、収容部18aから圧縮空気が排出され収容部18bに圧縮空気が供給された状態になり、さらに0.5秒後に、収容部18aに圧縮空気が供給され収容部18bから圧縮空気が排出された状態になる。そして制御部35は、この圧縮空気を供給する収容部18a、18bの切替えを、この一定速度で繰り返し続ける。
また、基端側がケース体6に取付けられ可撓性を有する挿入部4は一定の剛性を有し、ある固有の共振周波数νで振動するときに共振するように構成されている。
【0030】
次に、以上のように構成された内視鏡装置1の動作について、内視鏡装置1の挿入部4を管路に挿入し、管路の内部を観察する場合を例にとって説明する。
まず、使用者は、主圧力センサ33の検出値を確認しながら圧力調整バルブ27aを操作し、主配管28内の圧縮空気の圧力が所定の圧力になるように調整する。そして、内視鏡装置1のリモコン9を操作して、電源部から照明機構10に電力を供給して先端構成部2の前方に照明光を照射させ、観察機構11が検出した映像をLCDモニタ7に表示させる。
次に、LCDモニタ7に表示される映像を確認しながら、図2に二点鎖線で示した管路Qに挿入部4の先端構成部2を挿入する。
【0031】
ここで、使用者は、リモコン9を操作して、制御部35により圧縮空気を供給する収容部18a、18bを所定の周波数で切替える。
より詳しくは、制御部35は、まず、電磁弁31aを切替えて、第1分岐配管30aと第2分岐配管32aとを連通させ収容部18aに圧縮空気を供給するとともに、電磁弁31bを切替えて、排出配管37bと第2分岐配管32bとを連通させ収容部18b内の圧縮空気を排出配管37bから排出する。すると、図2及び図3に示すように、収容部18aが膨張するとともに収容部18bが収縮し、各可動リング16は挿入部4に対して収容部18a側にそれぞれ移動する。
各可動リング16は前述したように一定の重量を有するので、各可動リング16は慣性力により図3(a)〜図3(c)に示す位置よりも収容部18a側に多少移動し、その後収容部18b側に戻される。
【0032】
次に、制御部35は、電磁弁31aを切替えて、排出配管37aと第2分岐配管32aとを連通させ収容部18a内の圧縮空気を排出配管37aから排出するとともに、電磁弁31bを切替えて、第1分岐配管30bと第2分岐配管32bとを連通させ収容部18bに圧縮空気を供給する。すると、収容部18aが収縮するとともに収容部18bが膨張し、図3(a)〜図3(c)に示すように、切断線A1−A1、A2−A2及びA3−A3における第1被覆チューブ17は、位置P1〜P3にそれぞれ移動する。
このときも、第1被覆チューブ17は、各可動リング16の慣性力により図3(a)〜図3(c)に示す位置P1〜P3よりも収容部18b側に多少移動し、その後収容部18a側に戻される。
【0033】
このように、圧縮空気が供給される収容部18a、18bが切替えられることにより、可動リング16及びその可動リング16第を覆う第1被覆チューブ17は、挿入部4の径方向のうちの挿入部4を挟んで一対の収容部18a、18bが互いに対向する方向、すなわち、図3(a)〜図3(c)における方向D1〜方向D3にそれぞれ振動する。そして、収容部18a及び収容部18bが、方向Dに対して螺旋状となるようにそれぞれ設けられているので、図3(a)〜図3(c)から明らかなように、可動リング16及び第1被覆チューブ17が振動する方向は挿入部4の方向Dの位置により変化する。
なお、ストッパ部材24は、可動リング16から一定距離離間させて振動用ワイヤ20a〜20dに固定されているので、可動リング16は方向Dにも振動することとなる。
【0034】
このように、可動リング16及び第1被覆チューブ17は、収容部18a、18bが対向する方向及び方向Dに振動するが、例えば、図3(a)に示す断面図のように、これらの振動のうち、第1被覆チューブ17が当接する管路Qの面の法線方向T1の成分の振動、すなわち方向D1の振動により、管路Qに対して第1被覆チューブ17が離間するように移動する。この管路Qに対する第1被覆チューブ17の振動により、この断面においては、挿入部4を管路Q内に挿入するときの摩擦抵抗が低減される。なお、図3(a)に示す第1被覆チューブ17は方向Dにも振動しているが、この方向Dの振動は上記の摩擦抵抗の低減には寄与しない。
また、図3(c)に示す断面においても、第1被覆チューブ17の振動のうち、第1被覆チューブ17が当接する管路Qの面の法線方向T3の成分の振動、すなわち方向D3の振動により、管路Qに対して第1被覆チューブ17が離間するように移動させることができる。
一方、図3(b)に示す断面のように、第1被覆チューブ17が当接する管路Qの面の法線方向T2が、第1被覆チューブ17が振動する方向D2及び方向Dにそれぞれ直交する場合には、管路Qに対して第1被覆チューブ17が離間するように移動することは少なくなる。その代わりに、第1被覆チューブ17が当接する管路Qの面の法線方向が、法線方向D2に交差する方向である場合に、方向D2の振動により管路Qに対して第1被覆チューブ17が離間するように移動することとなる。
【0035】
以上、説明したように、第1被覆チューブ17が挿入部4の径方向及び方向Dに振動する状態で、使用者は、リモコン9の湾曲操作スイッチ9aを操作して湾曲部3を湾曲操作したり、管路Qの曲がり具合や管路Qの内周面の粗さ等に応じて、リモコン9を操作して挿入部4を振動させる周波数を調節したりしながら、挿入部4の先端構成部2を管路Qに挿入させていく。
管路Qにエルボー等の曲げのきつい不図示の屈曲部が備えられている場合であっても、例えば、挿入部4を共振周波数νで振動させることにより挿入部4を共振させ、挿入部4の振幅をより大きくすることで、第1被覆チューブ17と管路Qとの摩擦抵抗を低減させて、挿入部4を屈曲部に挿入させていく。
そして、使用者は、挿入部4を挿入させながら観察機構11で検出した管路Qの内部の映像をLCDモニタ7で観察する。
なお、制御部35が、主圧力センサ33及び分岐圧力センサ34a、34bにより検出される圧力を監視し、その圧力が所定の圧力範囲から外れた場合には、例えば表示ランプ8に検出結果を表示しても良い。
【0036】
こうして、本発明の第1実施形態の内視鏡装置1によれば、挿入部4の長さのうち大部分を占める、挿入部4における湾曲部3より基端側の範囲に一対の収容部18a、18bが設けられている。従って、管路Qが長かったり屈曲部を有したりする等、挿入が困難な場合であっても、挿入部4に発生する振動のうち挿入部4が当接する管路Qの面の法線方向の成分により、管路Qに対して挿入部4を離間させることができ、挿入部4を管路Q内に挿入するときの摩擦抵抗を低減させ挿入部4の挿入性を高めることができる。
また、振動手段5は、挿入部4の外周面に設けられた一対の収容部18a、18bの内部に流体供給部15により圧縮空気を供給/排出することにより、マルチルーメンチューブ14の一対の収容部18a、18bを膨張/収縮させ一対の収容部18a、18bをその径方向に振動させる。
このため、マルチルーメンチューブ14が設けられた挿入部4がマルチルーメンチューブ14及び第1被覆チューブ17を介して管路Qに当接する場合であっても、一対の収容部18a、18bをその径方向に振動させることで管路Qに対して第1被覆チューブ17や挿入部4等を離間させることができ、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗を低減させることができる。
【0037】
また、振動手段5は、マルチルーメンチューブ14の外側に、略リング状に形成された可動リング16を有しているので、マルチルーメンチューブ14の外周面を管路Qから保護することができる。また、マルチルーメンチューブ14の外周面に生じるマルチルーメンチューブ14の径方向の振動を、可動リング16の慣性力により確実に管路Qに伝達することができる。
また、マルチルーメンチューブ14において、挿入部4を挟んで互いに対向する位置に備えられた一対の収容部18a、18bに流体供給部15により圧縮空気を交互に供給/排出することにより、方向Dに直交する断面上において、挿入部4を一対の収容部18a、18bが設けられた方向に交互に振動させることができる。このため、挿入部4の振動の振幅を大きくすることができ、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗を効果的に低減させることが可能となる。
【0038】
また、一対の収容部18a、18bは、挿入部4の外周面側に、方向Dに対して螺旋状となるように設けられている。このため、マルチルーメンチューブ14の径方向となる挿入部4の振動方向を、方向Dの位置により変化させることができる。従って、管路Qに対して挿入部4を、この挿入部4の外周面を螺旋状に廻るより多くの方向に離間させ、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗をより確実に低減させることができる。そして、挿入部4を湾曲させたために、外力が作用しない自然状態で挿入部4が直線状に戻らない場合、いわゆる、挿入部4に湾曲残りがある場合であっても、挿入部4の振動方向を方向Dの位置により変化させることで、この挿入部4に生じる湾曲残りを低減させることができる。
【0039】
また、振動手段5は、挿入部4が共振する周波数である共振周波数νで振動を発生させることができるので、挿入部4の振幅を大きくし、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗を効果的に低減させることができる。
また、一対の収容部18a、18bは、挿入部4の湾曲部3より基端側の範囲の全体にわたり設けられているので、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗をより低減させ、挿入部4の挿入性を高めることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、振動手段5として可動リング16及び第1被覆チューブ17を備えた。しかし、可動リング16及び第1被覆チューブ17を備えなくても、一対の収容部18a、18bにより挿入部4を径方向に振動させることができる。このため、可動リング16及び第1被覆チューブ17は備えられなくても良い。
また、本実施形態では、マルチルーメンチューブ14に一対の収容部18a、18が形成されていた。しかし、マルチルーメンチューブに形成される収容部の数は、1以上であれば幾つでも良い。また、1つの収容部が形成されたチューブを1つ又は複数、挿入部4の外周面側に設けても良い。
【0041】
また、本実施形態では、方向Dに直交する断面において、一対の収容部18a、18bは、方向Dに直交する断面において挿入部4を挟んで互いに対向する位置に設けられていた。しかし、方向Dに直交する断面において、一対の収容部18a、18bは、任意の位置に配置されていても良い。
また、本実施形態では、一対の収容部18a、18bは、挿入部4の外周面側に方向Dに螺旋状となるように設けられていた。しかし、これに限ることなく、一対の収容部18a、18bは、挿入部4の外周面側に方向Dに沿うように設けられていても良い。
【0042】
また、本実施形態では、一対の収容部18a、18bは、挿入部4の湾曲部3より基端側の範囲の全体にわたり設けられていた。しかし、一対の収容部18a、18bは、挿入部の湾曲部3より基端側の範囲の一部に設けられていても良いし、先端構成部2及び湾曲部3も含めて挿入部4の全体にわたり設けられていても良い。挿入部4の基端側であってケース体6内に配置された部分には、一対の収容部18a、18bは設けられなくても良い。
また、本実施形態では、第1可動部材としてリング状に形成された可動リング16を備えた。しかし、第1可動部材の形状はこれに限ることなく、例えば、第1可動部材の形状が一部を切欠いてC字状に形成されていても、第1可動部材の切欠かれた部分に収容部が入り込んで、収容部18a、18bの振動が第1可動部材に伝わらないことがないように構成すれば良い。すなわち、挿入部4の外周面側において、収容部18a、18bが設けられている部分以外に第1可動部材の切欠かれた部分が配置されるように構成されていれば良い。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5に本実施形態の内視鏡装置41の挿入部4の断面図を、図6にケース体6の断面を模式的に表す説明図を示す。
なお、説明の便宜上、図5において、挿入部4の一部及び後述する振動用ワイヤ51aを二点鎖線で示す。
図5及び図6に示すように、内視鏡装置41は、上記実施形態の内視鏡装置1の振動手段5に代えて振動手段45を備えている。
この振動手段45は、挿入部4の外周面側に、方向D及び方向Dに直交する方向に移動可能に支持された複数の可動リング(第2可動部材)46〜50と、可動リング46〜50を方向D及び方向Dに直交する方向に振動させるように操作する振動用ワイヤ51a〜51dと、振動用ワイヤ51a〜51dを牽引可能なワイヤ牽引部52と、複数の可動リング46〜50の外側を覆うように設けられた第1被覆チューブ17と、を有する。
なお、本実施形態では、挿入部4の第2被覆チューブ19の外周面を覆うように、可撓性を有し表面の摩擦抵抗が小さいポリ4フッ化エチレン樹脂等の材料で形成されたカバーチューブ53が配設されている。
【0044】
図7(a)〜図7(e)は、図5におけるB方向から見た可動リング46〜50を、説明の便宜上、振動の基準位置に移動した状態でそれぞれ示す図である。なお、ここで言う基準位置とは、挿入部4に対して可動リング46〜50が振動するときの振動の中心となる位置であり、可動リング46〜50が基準位置にあるときには、可動リング46〜50と挿入部4との軸線はそれぞれ一致する。
可動リング46〜50は、それぞれに形成された通し孔以外は同形状のリング状に形成されている。そして、可動リング46〜50の内径は、それぞれ挿入部4の外径より大きく形成されている。
【0045】
まず、可動リング46〜50の中でも基本形状となる、図7(c)に示す可動リング48について説明する。可動リング48には、可動リング48と中心O3が一致するように配置された仮想円C3上に、中心O3を基準として等角度毎となるように方向Dに向かう通し孔(貫通孔)48a〜48dがそれぞれ形成されている。
ここで、中心O3から通し孔48aと通し孔48bの中間地点に向かう方向E1及び方向E1の反対方向である方向E2を定め、中心O3を通り方向E1に沿う基準線L31を定める。同様に、中心O3から通し孔48aと通し孔48dの中間地点に向かう方向E3及び方向E3の反対方向である方向E4を定め、中心O3を通り方向E3に沿う基準線L32を定める。これら基準線L31及び基準線L32は、互いに直交するように配置されている。
【0046】
図7(b)に示す可動リング47に、図7(c)の中心O3、仮想円C3及び基準線L31に対応する中心O2、仮想円C2(仮想円C3と半径が同じ)及び基準線L2を記して説明する。さらに、仮想円C2と同じ半径で、仮想円C2を方向E1及び方向E2にそれぞれ一定の距離K1だけ移動した仮想円C21、C22を定める。
同様に、図7(a)に示す可動リング46に、図7(c)の中心O3、仮想円C3及び基準線L31に対応する中心O1、仮想円C1及び基準線L1を記して説明する。さらに、仮想円C1と同じ半径で、仮想円C1を方向E1及び方向E2にそれぞれ距離K1より大きな一定の距離K2だけ移動した仮想円C11、C12を定める。
【0047】
可動リング47及び可動リング46にも、方向Dに向かう通し孔(貫通孔)47a〜47d及び通し孔(貫通孔)46a〜46dがそれぞれ形成されている。
ただし、図7(b)における通し孔47aは、仮想円C21上であって、図7(c)における通し孔48aと基準線L31との距離よりも基準線L2との距離が短くなるように設定されている。また、図7(a)における通し孔46aは、仮想円C11上であって、図7(b)における通し孔47aと基準線L2との距離よりも基準線L1との距離が短くなるように設定されている。
図7(b)における通し孔47bは、仮想円C22上であって、図7(c)における通し孔48bと基準線L31との距離よりも基準線L2との距離が短くなるように設定されている。また、図7(a)における通し孔46bは、仮想円C12上であって、図7(b)における通し孔47bと基準線L2との距離よりも基準線L1との距離が短くなるように設定されている。
図7(b)における通し孔47cは、仮想円C21上であって、図7(c)における通し孔48cと基準線L31との距離よりも基準線L2との距離が短くなるように設定されている。また、図7(a)における通し孔46cは、仮想円C11上であって、図7(b)における通し孔47cと基準線L2との距離よりも基準線L1との距離が短くなるように設定されている。
そして、図7(b)における通し孔47dは、仮想円C22上であって、図7(c)における通し孔48dと基準線L31との距離よりも基準線L2との距離が短くなるように設定されている。また、図7(a)における通し孔46dは、仮想円C12上であって、図7(b)における通し孔47dと基準線L2との距離よりも基準線L1との距離が短くなるように設定されている。
【0048】
続いて、図7(d)に示す可動リング49に、図7(c)の中心O3、仮想円C3及び基準線L32に対応する中心O4、仮想円C4及び基準線L4を記して説明する。さらに、仮想円C4と同じ半径で、仮想円C4を方向E3及び方向E4にそれぞれ前記距離K1だけ移動した仮想円C41、C42を定める。
同様に、図7(e)に示す可動リング50に、図7(c)の中心O3、仮想円C3及び基準線L32に対応する中心O5、仮想円C5及び基準線L5を記して説明する。さらに、仮想円C5と同じ半径で、仮想円C5を方向E3及び方向E4にそれぞれ前記距離K2だけ移動した仮想円C51、C52を定める。
【0049】
可動リング49及び可動リング50にも、方向Dに向かう通し孔(貫通孔)49a〜49d及び通し孔(貫通孔)50a〜50dがそれぞれ形成されている。
ただし、図7(d)における通し孔49aは、仮想円C42上であって、図7(c)における通し孔48aと基準線L32との距離よりも基準線L4との距離が短くなるように設定されている。また、図7(e)における通し孔50aは、仮想円C52上であって、図7(d)における通し孔49aと基準線L4との距離よりも基準線L5との距離が短くなるように設定されている。
図7(d)における通し孔49bは、仮想円C41上であって、図7(c)における通し孔48bと基準線L32との距離よりも基準線L4との距離が短くなるように設定されている。また、図7(e)における通し孔50bは、仮想円C51上であって、図7(d)における通し孔49bと基準線L4との距離よりも基準線L5との距離が短くなるように設定されている。
図7(d)における通し孔49cは、仮想円C42上であって、図7(c)における通し孔48cと基準線L32との距離よりも基準線L4との距離が短くなるように設定されている。また、図7(e)における通し孔50cは、仮想円C52上であって、図7(d)における通し孔49cと基準線L4との距離よりも基準線L5との距離が短くなるように設定されている。
そして、図7(d)における通し孔49dは、仮想円C41上であって、図7(c)における通し孔48dと基準線L32との距離よりも基準線L4との距離が短くなるように設定されている。また、図7(e)における通し孔50dは、仮想円C51上であって、図7(d)における通し孔49dと基準線L4との距離よりも基準線L5との距離が短くなるように設定されている。
【0050】
これら、5種類の可動リング46〜50は、方向Dに、可動リング47、46、47、48、49、50、49、48、47、46、‥、の順で一定の間隔をおいて配置されるように構成されている。
【0051】
図5及び図7に示すように、振動用ワイヤ51aは、通し孔46a、47a、48a、49a、50aを挿通している。同様に、振動用ワイヤ51bは、通し孔46b、47b、48b、49b、50bを、振動用ワイヤ51cは、通し孔46c、47c、48c、49c、50cを、振動用ワイヤ51dは、通し孔46d、47d、48d、49d、50dを、それぞれ挿通している。これら振動用ワイヤ51a〜51dは、挿入部4の外周面において、ほぼ方向Dに沿って延在するとともに、挿入部4の周方向にほぼ等距離毎となるように配置されている。
そして、振動用ワイヤ51a〜51dの先端部は各可動リング46〜50の先端側において湾曲駒23に、振動用ワイヤ51a〜51dの基端部は挿入部4の基端側に、例えばはんだ付けによりそれぞれ固定されている。
振動用ワイヤ51aにおいて、各通し孔46a、47a、48a、49a、50aに挿通された部分の先端側及び基端側には、各可動リング46〜50から一定距離離間させて、例えばはんだ付けにより形成されるストッパ部材24が固定されている。振動用ワイヤ51b〜51dにおいても、同様にストッパ部材24がそれぞれ固定されている。
このように構成された各可動リング46〜50は、挿入部4に対して、方向Dに沿って、さらに方向Dに直交する平面上で、それぞれ所定の範囲で移動可能となっている。なお、例えば、可動リング46〜50をストッパ部材24で振動用ワイヤ51a〜51dに固定することにより、各可動リング46〜50が方向Dに直交する方向のみ移動可能となるように構成しても良い。
【0052】
また、本実施形態では、第1被覆チューブ17の内周面に、可動リング46〜50がそれぞれ当接している。
【0053】
図6に示すように、ワイヤ牽引部52は、振動用ワイヤ51a〜51dを牽引する駆動力を発生する牽引モータ55と、牽引モータ55に固定されたプーリ56と、一端が振動用ワイヤ51a、51cの基端部に取付けられるとともに他端が振動用ワイヤ51b、51dの基端部に取付けられた接続ワイヤ57と、振動用ワイヤ51a〜51dを支持するシース58a〜58dと、を有する。
そして、牽引モータ55は制御部59に接続されて、この制御部59はさらにリモコン9に接続されている。
【0054】
接続ワイヤ57の中央部は、プーリ56に巻回されている。振動用ワイヤ51a〜51dはシース58a〜58dにそれぞれ挿通され、シース58a〜58dの形状は不図示の支持手段によりそれぞれ支持されていて、シース58a〜58d内を振動用ワイヤ51a〜51dが移動してもシース58a〜58dの湾曲形状が変わらないように構成されている。
そして、牽引モータ55を一方に回転させることで、振動用ワイヤ51a及び振動用ワイヤ51cを同時に牽引するとともに振動用ワイヤ51b及び振動用ワイヤ51dの牽引を解除し、牽引モータ55を他方に回転させることで、振動用ワイヤ51b及び振動用ワイヤ51dを同時に牽引するとともに振動用ワイヤ51a及び振動用ワイヤ51cの牽引を解除することが可能となっている。
【0055】
振動用ワイヤ51a〜51dは、リモコン9を操作することで、これらを順に牽引する切替え速度を調節することが可能となっている。
すなわち、例えば、切替え速度を1Hzとすると、振動用ワイヤ51a、51cを同時に牽引するとともに振動用ワイヤ51b、51dの牽引を解除した状態から0.5秒後に、振動用ワイヤ51a、51cの牽引を解除するとともに振動用ワイヤ51b、51dを同時に牽引した状態になり、さらに0.5秒後に、振動用ワイヤ51a、51cを同時に牽引するとともに振動用ワイヤ51b、51dの牽引を解除した状態になる。
そして制御部59は、この牽引する振動用ワイヤ51a〜51dの切替えを、この一定速度で繰り返し続ける。
【0056】
次に、以上のように構成された内視鏡装置41の動作について、内視鏡装置41の挿入部4を管路に挿入し、管路Qの内部を観察する場合を例にとって説明する。
なお、図8(a)〜図8(e)及び図9(a)〜図9(e)中において、第1被覆チューブ17の図示を省略している。
まず、使用者は、内視鏡装置41のリモコン9を操作して、電源部から照明機構10に電力を供給して先端構成部2の前方に照明光を照射させ、観察機構11が検出した映像をLCDモニタ7に表示させる。
次に、LCDモニタ7に表示される映像を確認しながら、図5に二点鎖線で示した管路Qに挿入部4の先端構成部2を挿入する。
【0057】
ここで、使用者は、リモコン9を操作して、制御部59により牽引する振動用ワイヤ51a〜51dを所定の周波数で切替える。
より詳しくは、牽引モータ55を他方に回転させて振動用ワイヤ51b及び振動用ワイヤ51dを同時に牽引した場合には、挿入部4及び振動手段45の断面は、図5に示すようになっている。そしてこの場合において、図5におけるB方向から見た可動リング46〜50を挿入部4とともに図8(a)〜図8(e)に示す。
振動用ワイヤ51b及び振動用ワイヤ51dが同時に牽引されると、各振動用ワイヤ51b、51dは、湾曲駒23に固定されている先端部と接続ワイヤ57に牽引されている基端部との間で緩み無く張られた状態となる。このとき、挿入部4及び可動リング48の位置は変わらないが、振動用ワイヤ51b、51dに追従して、5種類の可動リング46〜50の通し孔46b、47b、48b、49b、50b、及び通し孔46d、47d、48d、49d、50dの位置がそれぞれ挿入部4に沿って並ぶように、4種類の可動リング46、47、49、50がそれぞれ挿入部4の周りを回動したり方向Dに交差する方向に移動したりする。
【0058】
図8(b)に示すように、可動リング47は、通し孔47b、47dがそれぞれ可動リング48の通し孔48b、48dの方向D側に配置されるように、図7(b)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E1に一定の距離M1だけ移動する。
また、図8(a)に示すように、可動リング46は、通し孔46b、46dがそれぞれ可動リング48の通し孔48b、48dの方向D側に配置されるように、図7(a)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E1に、距離M1より大きな一定の距離M2だけ移動する。
同様に、図8(d)に示すように、可動リング49は、通し孔49b、49dがそれぞれ可動リング48の通し孔48b、48dの方向D側に配置されるように、図7(d)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E3に距離M1だけ移動する。
そして、図8(e)に示すように、可動リング50は、通し孔50b、50dがそれぞれ可動リング48の通し孔48b、48dの方向D側に配置されるように、図7(e)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E3に距離M2だけ移動する。
【0059】
次に、牽引モータ55を一方に回転させて振動用ワイヤ51a及び振動用ワイヤ51cを同時に牽引した場合において、図5におけるB方向から見た可動リング46〜50を挿入部4とともに図9(a)〜図9(e)に示す。
振動用ワイヤ51a及び振動用ワイヤ51cが同時に牽引されると、上記と同様に、各振動用ワイヤ51a、51cは、湾曲駒23に固定されている先端部と接続ワイヤ57に牽引されている基端部との間で緩み無く張られた状態となる。このとき、挿入部4及び可動リング48の位置は変わらないが、振動用ワイヤ51a、51cに追従して、5種類の可動リング46〜50の通し孔46a、47a、48a、49a、50a、及び通し孔46c、47c、48c、49c、50cの位置がそれぞれ挿入部4に沿って並ぶように、4種類の可動リング46、47、49、50がそれぞれ挿入部4の周りを回動したり方向Dに交差する方向に移動したりする。
【0060】
図9(b)に示すように、可動リング47は、通し孔47a、47cがそれぞれ可動リング48の通し孔48a、48cの方向D側に配置されるように、図7(b)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E2に距離M1だけ移動する。
また、図9(a)に示すように、可動リング46は、通し孔46a、46cがそれぞれ可動リング48の通し孔48a、48cの方向D側に配置されるように、図7(a)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E2に距離M2だけ移動する。
同様に、図9(d)に示すように、可動リング49は、通し孔49a、49cがそれぞれ可動リング48の通し孔48a、48cの方向D側に配置されるように、図7(d)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E4に距離M1だけ移動する。
そして、図9(e)に示すように、可動リング50は、通し孔50a、50cがそれぞれ可動リング48の通し孔48a、48cの方向D側に配置されるように、図7(e)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E4に距離M2だけ移動する。
【0061】
このように、牽引モータ55を回転させる方向を切替えることにより、それぞれの基準位置を中心にして、可動リング47は方向E1及び方向E2に距離M1の振幅で、可動リング46は方向E1及び方向E2に距離M2の振幅で、可動リング49は方向E3及び方向E4に距離M1の振幅で、可動リング50は方向E3及び方向E4に距離M2の振幅で、それぞれ振動することとなる。
つまり、可動リング46及び可動リング47が振動する方向は方向E1及び方向E2であり、可動リング49及び可動リング50が振動する方向は方向E3及び方向E4である。すなわち可動リング46及び可動リング47は、可動リング49及び可動リング50と互いに異なる方向に振動する。
なお、ストッパ部材24は各可動リング46〜50から一定距離離間させて振動用ワイヤ51a〜51dに固定されているので、可動リング46〜50は方向Dにも振動することとなる。そして、複数の可動リング46〜50の外側を覆う第1被覆チューブ17も、可動リング46〜50と同様に振動する。
【0062】
なお、前記実施形態で詳しく説明したように、本実施形態でも第1被覆チューブ17の振動のうち、第1被覆チューブ17が当接する管路Qの面の法線方向の成分の振動により、管路Qに対して第1被覆チューブ17が離間するように移動する。
【0063】
以上、説明したように、第1被覆チューブ17が挿入部4の径方向及び方向Dに振動する状態で、使用者は、リモコン9の湾曲操作スイッチ9aを操作して湾曲部3を湾曲操作しながら、挿入部4の先端構成部2を管路Qに挿入させていく。
そして、使用者は、観察機構11で検出した管路Qの内部の映像をLCDモニタ7で観察する。
【0064】
こうして、本発明の第2実施形態の内視鏡装置41によれば、ワイヤ牽引部52で振動用ワイヤ51a〜51dを操作することにより、可動リング46〜50を方向D及び方向Dに直交する方向に振動させる。このため、挿入部4が可動リング46〜50び第1被覆チューブ17を介して管路Qに当接する場合であっても、第1被覆チューブ17の振動のうち第1被覆チューブ17が当接する管路Qの面の法線方向の成分により、管路Qに対して挿入部4を離間させることができ、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗を低減させて挿入部4の挿入性を高めることができる。
また、振動用ワイヤ51a〜51dを牽引するという簡単な操作で、複数の可動リング46〜50を方向Dに直交する方向に移動させることができる。
【0065】
また、振動用ワイヤ51a〜51dを牽引したときに、方向Dから見て、可動リング46と可動リング47、可動リング49と可動リング50が互いに異なる方向に移動するように構成されている。従って、管路Qに対して挿入部4を互いに異なるより多くの方向に離間させ、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗をより確実に低減させることができる。
【0066】
なお、本実施形態で備えられた可動リング46〜50は、例えば、図10(a)及び図10(b)に示す可動リング61及び可動リング62のように構成しても良い。
図10(a)に示す可動リング61はリング状に形成されている。そして、可動リング61に形成される一対の通し孔61a、61bは、可動リング61の中心O11を通る基準線L61の一方の側にそれぞれ配置されている。
また、図10(b)に示す可動リング62は、可動リング61と通し孔の位置のみ異なる。すなわち、可動リング62に形成される一対の通し孔62a、62bは、可動リング61の基準線L61に対応する基準線L62の他方の側にそれぞれ配置されている。
これらの可動リング61、62を挿入部4の外周面に、例えば、方向Dに交互に配置し、通し孔61a、62aに一つの振動用ワイヤを挿通し、通し孔61b、62bに他の振動用ワイヤを挿通する。そして、上記実施形態と同様に、これらの振動用ワイヤをそれぞれ牽引することで、挿入部4に対して、可動リング61を方向N1に、可動リング62を方向N2に、それぞれ移動させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、第2可動部材としてリング状に形成された可動リング46〜50を用いた。しかし、図11に示すように、第2可動部材64は、切欠かれた部分64aによって挿入部4から外れないように設定されている限りにおいて、C字状に形成されていても良い。
また、本実施形態では、振動手段45として第1被覆チューブ17を備えた。しかし、第1被覆チューブ17を備えなくても、挿入部4を可動リング46〜50により振動させることができるので、第1被覆チューブ17は備えられなくても良い。
【0068】
また、本実施形態では、可動リング46〜50は、挿入部4の湾曲部3より基端側の範囲の全体にわたり設けられていた。しかし、可動リング46〜50は、挿入部の湾曲部3より基端側の範囲の一部に設けられていても良いし、先端構成部2及び湾曲部3も含めて挿入部4の全体にわたり設けられていても良い。挿入部4の基端側であってケース体6内に配置された部分には、可動リング46〜50は設けられなくても良い。
また、本実施形態では、通し孔に挿通された1つの振動用ワイヤを引張ったり、緩めたりすることでも可動リングを振動させることができる。このため、振動手段45に備えられる振動用ワイヤの数は1つ以上であれば幾つでも良い。
【0069】
また、本実施形態では、5種類の可動リング46〜50を備えたが、振動手段で備える可動リングは1種類以上であれば何種類でも良い。例えば、可動リング46〜50のうち可動リング47〜49のみを備え、これらを挿入部4の外側に可動リング47、48、49、48、47、‥、の順で一定の間隔をおいて配置しても良い。
【0070】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更等も含まれる。
例えば、上記第1実施形態及び第2実施形態では、流体として圧縮空気を用いたが、これに限ることなく、ヘリウム等の気体、水や油等の液体を用いても良い。
また、本実施形態では、先端構成部2の基端側に湾曲部3を備えたが、この湾曲部3は備えられなくても良い。
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、内視鏡装置の湾曲部3を不図示の操作ワイヤを介して不図示のモータにより牽引することで湾曲操作していた。しかし、湾曲部3を湾曲させる方法はこれに限ることなく、モータに代えて、例えば、内部に流体を流入させることにより延在方向に短くなるように変形する公知のアクチュエータを用いても良い。
【符号の説明】
【0071】
1、41 内視鏡装置
2 先端構成部
4 挿入部
5、45 振動手段
11 観察機構
14 マルチルーメンチューブ(チューブ体)
15 流体供給部
16 可動リング(第1可動部材)
18a、18b 収容部
46〜50、61〜63 可動リング(第2可動部材)
64 第2可動部材
46a〜46d、47a〜47d、48a〜48d、49a〜49d、50a〜50d 通し孔(貫通孔)
51a〜51d 振動用ワイヤ
52 ワイヤ牽引部
D 方向
Q 管路(被検体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部を被検体に挿入して用いられる内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、挿入部を被検体に挿入して用いられる内視鏡装置においては、例えば特許文献1に示すような構成のものが用いられていた。この内視鏡装置は、挿入部の先端内に、電磁コイルと、この電磁コイルの軸線方向に可動に配置されて電磁コイルへの通電によって生じる電磁力が作用する錘と、電磁コイルの軸線方向に伸縮するように一端が挿入部に連結されて他端が錘に連結されたコイルスプリングと、を配置したものである。
そして、電磁コイルにコイルスプリングの伸縮動作に対応して電流を通電することにより、錘が共振して挿入部の先端付近が微振動することにより、挿入部を体内にスムーズに挿入することができるという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−237610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような、電磁コイル、錘及びコイルスプリングは、一般に挿入部の先端部に設けられた先端構成部内に配置される。
しかしながら、この内視鏡装置が工業用に用いられる場合には、挿入部を例えば10m以上というように長く被検体に挿入されたり、エルボー等の曲げのきつい屈曲部に挿入されたりすることがある。この場合には、先端構成部が振動し先端構成部の周辺の挿入性が向上しても、挿入部の大部分を占める、挿入部のうち先端構成部より基端側の部分が被検体の内周面に係止され、挿入部全体の挿入性が低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、被検体が長かったり屈曲部を有したりする等、挿入が困難な場合であっても、挿入部の挿入性を高めることができる内視鏡装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の内視鏡装置は、先端部に配置され観察機構が設けられた先端構成部を有する挿入部を備え、被検体内に該挿入部を挿入して用いられる内視鏡装置において、前記挿入部に、前記先端構成部より基端側の範囲に、振動を発生させる振動手段を有することを特徴としている。
【0007】
この発明によれば、一般的に挿入部の長さのうち大部分を占める、挿入部における先端構成部より基端側の範囲に、振動を発生させる振動手段を有する。従って、被検体が長かったり屈曲部を有したりする等、挿入が困難な場合であっても、挿入部に発生する振動のうち挿入部が当接する被検体の面の法線方向の成分により、被検体に対して挿入部を離間させることができ、挿入部を被検体内に挿入するときの摩擦抵抗を低減させ挿入部の挿入性を高めることができる。
【0008】
また、上記の内視鏡装置において、前記振動手段は、前記挿入部の外周面側に設けられ内部に流体を収容するチューブ体と、該チューブ体に対して前記流体を供給/排出可能な流体供給部と、を有することがより好ましい。
この発明によれば、振動手段は、挿入部の外周面側に設けられたチューブ体の内部に流体供給部により流体を供給/排出することにより、チューブ体を膨張/収縮させチューブ体の外周面をその径方向に振動させる。
このため、チューブ体が設けられた部分の挿入部がチューブ体を介して被検体に当接する場合であっても、チューブ体の外周面がその径方向に振動させることで被検体に対してチューブ体と挿入部を離間させることができ、挿入部と被検体との摩擦抵抗を低減させることができる。
【0009】
また、上記の内視鏡装置において、前記振動手段は、前記チューブ体の外側に、該チューブ体内への前記流体の供給/排出によって少なくとも前記挿入部の長さ方向に直交する方向に移動する第1可動部材を有していることがより好ましい。
この発明によれば、第1可動部材により、チューブ体の外周面を被検体から保護することができる。また、チューブ体の外周面に生じるチューブ体の径方向の振動を、第1可動部材の慣性力により確実に被検体に伝達することができる。
【0010】
また、上記の内視鏡装置において、前記チューブ体は、前記流体を収容する一対の収容部が形成され、これら一対の収容部は、前記挿入部の長さ方向に直交する断面において前記挿入部を挟んで互いに対向する位置に設けられ、前記流体供給部により前記一対の収容部のそれぞれに対し独立して前記流体を供給可能とされていることがより好ましい。
この発明によれば、チューブ体に備えられた一対の収容部に、流体供給部により流体を交互に供給/排出することにより、挿入部の長さ方向に直交する断面上において、挿入部を一対の収容部が設けられた方向に交互に振動させることができる。このため、挿入部の振動の振幅を大きくすることができ、挿入部と被検体との摩擦抵抗を効果的に低減させることが可能となる。
【0011】
また、上記の内視鏡装置において、前記一対の収容部は、前記挿入部の外周面側に、該挿入部の長さ方向に螺旋状となるように設けられていることがより好ましい。
この発明によれば、チューブ体の径方向となる挿入部の振動方向を、挿入部の長さ方向の位置により変化させることができる。従って、被検体に対して挿入部を、この挿入部の外周面を螺旋状に廻るより多くの方向に離間させ、挿入部と被検体との摩擦抵抗をより確実に低減させることができる。
【0012】
また、上記の内視鏡装置において、前記振動手段は、前記挿入部の外周面側に、該挿入部の長さ方向及び該挿入部の長さ方向に直交する方向に移動可能に支持された第2可動部材と、該第2可動部材を前記挿入部の長さ方向及び該挿入部の長さ方向に直交する方向に振動させるように操作する振動用ワイヤと、該振動用ワイヤを牽引可能なワイヤ牽引部と、を有することがより好ましい。
この発明によれば、ワイヤ牽引部で振動用ワイヤを操作することにより、第2可動部材を前記挿入部の長さ方向及び挿入部の長さ方向に直交する方向に振動させる。このため、挿入部が第2可動部材を介して被検体に当接する場合であっても、第2可動部材の振動のうち第2可動部材が当接する被検体の面の法線方向の成分により、被検体に対して挿入部を離間させることができ、挿入部と被検体との摩擦抵抗を低減させて挿入部の挿入性を高めることができる。
【0013】
また、上記の内視鏡装置において、前記第2可動部材は、前記挿入部の長さ方向に間隔をおいて複数設けられ、複数の前記第2可動部材には、前記挿入部の長さ方向に向かう貫通孔がそれぞれ形成され、前記振動用ワイヤは、その先端部が前記複数の第2可動部材より先端側の前記挿入部に固定され、前記貫通孔に前記振動用ワイヤが挿通され、前記振動用ワイヤを牽引したときに、前記複数の第2可動部材はこれに追従して少なくとも前記挿入部の長さ方向に直交する方向に移動するように構成されていることがより好ましい。
この発明によれば、振動用ワイヤを牽引することで、複数の第2可動部材をこれに追従して少なくとも挿入部の長さ方向に直交する方向に移動させる。すなわち、振動用ワイヤを牽引するという簡単な操作で、複数の第2可動部材を挿入部の長さ方向に直交する方向に移動させることができる。
【0014】
また、上記の内視鏡装置において、前記振動用ワイヤを牽引したときに、前記挿入部の長さ方向から見て、二つの前記第2可動部材が互いに異なる方向に移動するように構成されていることがより好ましい。
この発明によれば、被検体に対して挿入部を互いに異なるより多くの方向に離間させ、挿入部と被検体との摩擦抵抗をより確実に低減させることができる。
【0015】
また、上記の内視鏡装置において、前記振動手段は、前記挿入部の少なくとも前記先端構成部より基端側の範囲の全体にわたり設けられていることがより好ましい。
この発明によれば、挿入部の少なくとも先端構成部より基端側の範囲の全体にわたり、挿入部と被検体との摩擦抵抗をより低減させ、挿入部の挿入性を高めることができる。
【0016】
また、上記の内視鏡装置において、前記振動手段は、前記挿入部が共振する周波数で振動を発生させることがより好ましい。
この発明によれば、挿入部の振幅を大きくし、挿入部と被検体との摩擦抵抗を効果的に低減させることができる。
【発明の効果】
【0017】
被検体が長かったり屈曲部を有したりする等、挿入が困難な場合であっても、挿入部の挿入性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の内視鏡装置の斜視図である。
【図2】同内視鏡装置の挿入部及び振動手段の断面図である。
【図3】図3(a)は図2における切断線A1−A1の断面図であり、図3(b)は図2における切断線A2−A2の断面図であり、図3(c)は図2における切断線A3−A3の断面図である。
【図4】同内視鏡装置のケース体の断面を模式的に表す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態の内視鏡装置の挿入部及び振動手段の断面図である。
【図6】同内視鏡装置のケース体の断面を模式的に表す説明図である。
【図7】図5におけるB方向から見た各可動リングを振動の基準位置に移動した状態を示す図である。
【図8】牽引モータを他方に回転させた場合の図5におけるB方向から見た各可動リングの状態を挿入部とともに示す図である。
【図9】牽引モータを一方に回転させた場合の図5におけるB方向から見た各可動リングの状態を挿入部とともに示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態の変形例の可動リングの正面図である。
【図11】本発明の第2実施形態の変形例の可動リングの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るAの第1実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の内視鏡装置1の斜視図である。
この内視鏡装置1は、管路や隙間等の被検体の内部に長尺の挿入部4を挿入して観察する装置である。本実施形態では、内視鏡装置1で管路(被検体)の内部を観察する場合を例にとって説明する。なお、被検体は、配管のようなパイプ形状に限ることなく、例えば内部に複雑な形状の貫通孔が形成されたエンジンや発電機装置等でも良い。
図1に示すように、本実施形態の内視鏡装置1は、先端部に配置された先端構成部2と先端構成部2の基端側に設けられ湾曲操作可能な湾曲部3を有する長尺の管状の挿入部4と、挿入部4の湾曲部3より基端側の全範囲にわたり配置された、振動を発生させる振動手段5と、を備えている。
【0020】
本実施形態では、内視鏡装置1は、挿入部4の基端側が取付けられるケース体6と、ケース体6の上面に設けられたLCDモニタ7及び複数の表示ランプ8と、基端部がケース体6の上面に取付けられたリモコン9と、をさらに備えている。
挿入部4は公知の構成のものが用いられ、このリモコン9に設けられた湾曲操作スイッチ9aを操作することにより、不図示の操作ワイヤを不図示のモータにより牽引して湾曲部3を湾曲操作することができるように構成されている。
なお、LCDモニタ7及び表示ランプ8は、リモコン9に設けられるように構成しても良い。
また、先端構成部2には、ケース体6内に備えられた不図示の電源部が接続され照明光を照射する照明機構10と、CCD等の不図示の撮像素子を有しLCDモニタ7に接続された観察機構11とを、それぞれ露出した状態で前方に備えている。
そして、不図示の電源部から供給された電力により照明機構10から照明光が照射され、照射された照明光が管路内周面で反射されて反射光となったものを観察機構11で検出し、観察機構11で検出した映像をLCDモニタ7に表示することができるように構成されている。
【0021】
図2に内視鏡装置1の挿入部4及び振動手段5の断面図を、図3に図2における挿入部4の長さ方向となる方向Dに直交する各切断線の断面図を、図4にケース体6の断面を模式的に表す説明図を示す。なお、説明の便宜上、図2において、挿入部4の一部及び後述するマルチルーメンチューブ(チューブ体)14の収容部18a、18b以外を二点鎖線で示す。
図2から図4に示すように、振動手段5は、挿入部4の外周面側に設けられ内部に圧縮空気(流体)を収容するマルチルーメンチューブ14と、マルチルーメンチューブ14に対して空気を供給/排出可能な流体供給部15と、マルチルーメンチューブ14の外側に複数配置された可動リング(第1可動部材)16と、複数の可動リング16の外側を覆うように設けられた第1被覆チューブ17と、を有する。
【0022】
マルチルーメンチューブ14は、例えばシリコン等の可撓性を有する材料により略管状に形成されている。マルチルーメンチューブ14の延在方向に形成された貫通孔14aの内径は、内視鏡装置1の挿入部4の外径とほぼ等しく形成されている。そして、貫通孔14aを囲むように設けられた壁部14bには、圧縮空気を収容する一対の収容部18a、18bが形成されている。
一対の収容部18a、18bの先端部はマルチルーメンチューブ14の先端側までそれぞれ形成され、一対の収容部18a、18bの基端部はケース体6内まで延びている。一対の収容部18a、18b先端部は、壁部14bにより塞がれている。このように、マルチルーメンチューブ14及び一対の収容部18a、18bは、挿入部4の湾曲部3より基端側の範囲の全体にわたり設けられている。
また、図3に示すように、これら一対の収容部18a、18bは、方向Dに直交する断面において、挿入部4を挟んで互いに対向する位置に設けられるとともに、挿入部4の外周面側に、方向Dに対して螺旋状となるように設けられている。
【0023】
図2及び図3に示すように、挿入部4の外周面には、例えば金属製の板状のコイルに樹脂を含浸させて形成された第2被覆チューブ19が配設され、第2被覆チューブ19はマルチルーメンチューブ14に外嵌されている。
この第2被覆チューブ19は可撓性を有し、その内部には湾曲部3を湾曲操作するための不図示の操作ワイヤや、不図示の信号線や電力線等が挿通される。
【0024】
各可動リング16は一定の重量を有するリング状に形成され、マルチルーメンチューブ14の一対の収容部18a、18bいずれか一方に圧縮空気を供給したときに、マルチルーメンチューブ14の外周面が可動リング16の内周面に当接するように設定されている。
また、各可動リング16には、方向Dに向かい貫通する4つの通し孔16a、16b、16c、16dが周方向に等距離毎にそれぞれ形成されている。
各可動リング16の通し孔16aには、振動用ワイヤ20aがそれぞれ挿通されている。そして、振動用ワイヤ20aの先端部及び基端部は、湾曲部3の基端部に配置された湾曲駒23及び挿入部4の基端側に例えばはんだ付けによりそれぞれ固定されている。振動用ワイヤ20aにおいて、各通し孔16aに挿通された部分の先端側及び基端側には、可動リング16から一定距離離間させて、例えばはんだ付けにより形成されるストッパ部材24がそれぞれ固定されている。
同様に、各可動リング16の通し孔16b、16c、16dに、振動用ワイヤ20b、20c、20dがそれぞれ挿通されていて(振動用ワイヤ20b、20dは不図示)、各振動用ワイヤ20b、20c、20dには、ストッパ部材24がそれぞれ固定されている。
このように構成された各可動リング16は、挿入部4に対して、方向Dに沿って、さらに方向Dに直交する平面上で、それぞれ所定の範囲で移動可能となっている。なお、例えば、可動リング16をストッパ部材24で振動用ワイヤ20a〜20dに固定することにより、各可動リング16が方向Dに直交する方向にのみ移動可能となるように構成しても良い。
【0025】
また、本実施形態では、第1被覆チューブ17は、可撓性を有し表面の摩擦抵抗が小さいポリ4フッ化エチレン樹脂等の材料で形成されている。そして、第1被覆チューブ17の内周面には、各可動リング16が当接している。
【0026】
図4に示すように、流体供給部15は、圧縮空気を供給する空気ボンベ27と、一端が空気ボンベ27に接続された主配管28と、主配管28の他端に接続され圧縮空気の流れを2つに分岐する継手29と、一端が継手29に接続される第1分岐配管30a、30bと、第1分岐配管30a、30bの他端にそれぞれ接続される電磁弁31a、31bと、一端が電磁弁31a、31bにそれぞれ接続され他端が収容部18a、18bの基端部にそれぞれ接続された第2分岐配管32a、32bと、を有する。
【0027】
主配管28及び第2分岐配管32a、32bには、主圧力センサ33及び分岐圧力センサ34a、34bがそれぞれ設けられ、主配管28及び第2分岐配管32a、32b内の圧縮空気の圧力を検出することが可能となっている。そして、これら主圧力センサ33及び分岐圧力センサ34a、34bは、制御部35にそれぞれ接続され、制御部35はさらにリモコン9に接続されている。
空気ボンベ27には、圧力調整バルブ27aが備えられ、内視鏡装置1の使用者は、主圧力センサ33で検出された空気の圧力を確認しながら、圧力調整バルブ27aにより主配管28内の空気の圧力を調整することが可能となっている。
【0028】
電磁弁31a、31bには、ソレノイド36a、36bがそれぞれ備えられるとともに、排出配管37a、37bがそれぞれ接続されている。そして、制御部35がソレノイド36aを駆動することにより電磁弁31aを切替えて、第1分岐配管30aと第2分岐配管32aとを連通させることにより圧縮空気を収容部18aに供給することが可能となり、排出配管37aと第2分岐配管32aとを連通させることにより収容部18aに収容された圧縮空気を排出配管37aから排出することが可能となっている。
同様に、制御部35がソレノイド36bを駆動することにより電磁弁31bを切替えて、第1分岐配管30bと第2分岐配管32bとを連通させることにより圧縮空気を収容部18bに供給することが可能となり、排出配管37bと第2分岐配管32bとを連通させることにより収容部18bに収容された圧縮空気を排出配管37bから排出することが可能となっている。
このように、流体供給部15により、一対の収容部18a、18bのそれぞれに対し独立して圧縮空気を供給可能とされている。
【0029】
圧縮空気が供給される収容部18a、18bは、リモコン9を操作することで、これらに供給される圧縮空気の切替え速度を調節することが可能となっている。
すなわち、例えば、リモコン9を操作して切替え速度を1Hzとすると、収容部18aに圧縮空気が供給され収容部18bから圧縮空気が排出された状態から0.5秒後に、収容部18aから圧縮空気が排出され収容部18bに圧縮空気が供給された状態になり、さらに0.5秒後に、収容部18aに圧縮空気が供給され収容部18bから圧縮空気が排出された状態になる。そして制御部35は、この圧縮空気を供給する収容部18a、18bの切替えを、この一定速度で繰り返し続ける。
また、基端側がケース体6に取付けられ可撓性を有する挿入部4は一定の剛性を有し、ある固有の共振周波数νで振動するときに共振するように構成されている。
【0030】
次に、以上のように構成された内視鏡装置1の動作について、内視鏡装置1の挿入部4を管路に挿入し、管路の内部を観察する場合を例にとって説明する。
まず、使用者は、主圧力センサ33の検出値を確認しながら圧力調整バルブ27aを操作し、主配管28内の圧縮空気の圧力が所定の圧力になるように調整する。そして、内視鏡装置1のリモコン9を操作して、電源部から照明機構10に電力を供給して先端構成部2の前方に照明光を照射させ、観察機構11が検出した映像をLCDモニタ7に表示させる。
次に、LCDモニタ7に表示される映像を確認しながら、図2に二点鎖線で示した管路Qに挿入部4の先端構成部2を挿入する。
【0031】
ここで、使用者は、リモコン9を操作して、制御部35により圧縮空気を供給する収容部18a、18bを所定の周波数で切替える。
より詳しくは、制御部35は、まず、電磁弁31aを切替えて、第1分岐配管30aと第2分岐配管32aとを連通させ収容部18aに圧縮空気を供給するとともに、電磁弁31bを切替えて、排出配管37bと第2分岐配管32bとを連通させ収容部18b内の圧縮空気を排出配管37bから排出する。すると、図2及び図3に示すように、収容部18aが膨張するとともに収容部18bが収縮し、各可動リング16は挿入部4に対して収容部18a側にそれぞれ移動する。
各可動リング16は前述したように一定の重量を有するので、各可動リング16は慣性力により図3(a)〜図3(c)に示す位置よりも収容部18a側に多少移動し、その後収容部18b側に戻される。
【0032】
次に、制御部35は、電磁弁31aを切替えて、排出配管37aと第2分岐配管32aとを連通させ収容部18a内の圧縮空気を排出配管37aから排出するとともに、電磁弁31bを切替えて、第1分岐配管30bと第2分岐配管32bとを連通させ収容部18bに圧縮空気を供給する。すると、収容部18aが収縮するとともに収容部18bが膨張し、図3(a)〜図3(c)に示すように、切断線A1−A1、A2−A2及びA3−A3における第1被覆チューブ17は、位置P1〜P3にそれぞれ移動する。
このときも、第1被覆チューブ17は、各可動リング16の慣性力により図3(a)〜図3(c)に示す位置P1〜P3よりも収容部18b側に多少移動し、その後収容部18a側に戻される。
【0033】
このように、圧縮空気が供給される収容部18a、18bが切替えられることにより、可動リング16及びその可動リング16第を覆う第1被覆チューブ17は、挿入部4の径方向のうちの挿入部4を挟んで一対の収容部18a、18bが互いに対向する方向、すなわち、図3(a)〜図3(c)における方向D1〜方向D3にそれぞれ振動する。そして、収容部18a及び収容部18bが、方向Dに対して螺旋状となるようにそれぞれ設けられているので、図3(a)〜図3(c)から明らかなように、可動リング16及び第1被覆チューブ17が振動する方向は挿入部4の方向Dの位置により変化する。
なお、ストッパ部材24は、可動リング16から一定距離離間させて振動用ワイヤ20a〜20dに固定されているので、可動リング16は方向Dにも振動することとなる。
【0034】
このように、可動リング16及び第1被覆チューブ17は、収容部18a、18bが対向する方向及び方向Dに振動するが、例えば、図3(a)に示す断面図のように、これらの振動のうち、第1被覆チューブ17が当接する管路Qの面の法線方向T1の成分の振動、すなわち方向D1の振動により、管路Qに対して第1被覆チューブ17が離間するように移動する。この管路Qに対する第1被覆チューブ17の振動により、この断面においては、挿入部4を管路Q内に挿入するときの摩擦抵抗が低減される。なお、図3(a)に示す第1被覆チューブ17は方向Dにも振動しているが、この方向Dの振動は上記の摩擦抵抗の低減には寄与しない。
また、図3(c)に示す断面においても、第1被覆チューブ17の振動のうち、第1被覆チューブ17が当接する管路Qの面の法線方向T3の成分の振動、すなわち方向D3の振動により、管路Qに対して第1被覆チューブ17が離間するように移動させることができる。
一方、図3(b)に示す断面のように、第1被覆チューブ17が当接する管路Qの面の法線方向T2が、第1被覆チューブ17が振動する方向D2及び方向Dにそれぞれ直交する場合には、管路Qに対して第1被覆チューブ17が離間するように移動することは少なくなる。その代わりに、第1被覆チューブ17が当接する管路Qの面の法線方向が、法線方向D2に交差する方向である場合に、方向D2の振動により管路Qに対して第1被覆チューブ17が離間するように移動することとなる。
【0035】
以上、説明したように、第1被覆チューブ17が挿入部4の径方向及び方向Dに振動する状態で、使用者は、リモコン9の湾曲操作スイッチ9aを操作して湾曲部3を湾曲操作したり、管路Qの曲がり具合や管路Qの内周面の粗さ等に応じて、リモコン9を操作して挿入部4を振動させる周波数を調節したりしながら、挿入部4の先端構成部2を管路Qに挿入させていく。
管路Qにエルボー等の曲げのきつい不図示の屈曲部が備えられている場合であっても、例えば、挿入部4を共振周波数νで振動させることにより挿入部4を共振させ、挿入部4の振幅をより大きくすることで、第1被覆チューブ17と管路Qとの摩擦抵抗を低減させて、挿入部4を屈曲部に挿入させていく。
そして、使用者は、挿入部4を挿入させながら観察機構11で検出した管路Qの内部の映像をLCDモニタ7で観察する。
なお、制御部35が、主圧力センサ33及び分岐圧力センサ34a、34bにより検出される圧力を監視し、その圧力が所定の圧力範囲から外れた場合には、例えば表示ランプ8に検出結果を表示しても良い。
【0036】
こうして、本発明の第1実施形態の内視鏡装置1によれば、挿入部4の長さのうち大部分を占める、挿入部4における湾曲部3より基端側の範囲に一対の収容部18a、18bが設けられている。従って、管路Qが長かったり屈曲部を有したりする等、挿入が困難な場合であっても、挿入部4に発生する振動のうち挿入部4が当接する管路Qの面の法線方向の成分により、管路Qに対して挿入部4を離間させることができ、挿入部4を管路Q内に挿入するときの摩擦抵抗を低減させ挿入部4の挿入性を高めることができる。
また、振動手段5は、挿入部4の外周面に設けられた一対の収容部18a、18bの内部に流体供給部15により圧縮空気を供給/排出することにより、マルチルーメンチューブ14の一対の収容部18a、18bを膨張/収縮させ一対の収容部18a、18bをその径方向に振動させる。
このため、マルチルーメンチューブ14が設けられた挿入部4がマルチルーメンチューブ14及び第1被覆チューブ17を介して管路Qに当接する場合であっても、一対の収容部18a、18bをその径方向に振動させることで管路Qに対して第1被覆チューブ17や挿入部4等を離間させることができ、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗を低減させることができる。
【0037】
また、振動手段5は、マルチルーメンチューブ14の外側に、略リング状に形成された可動リング16を有しているので、マルチルーメンチューブ14の外周面を管路Qから保護することができる。また、マルチルーメンチューブ14の外周面に生じるマルチルーメンチューブ14の径方向の振動を、可動リング16の慣性力により確実に管路Qに伝達することができる。
また、マルチルーメンチューブ14において、挿入部4を挟んで互いに対向する位置に備えられた一対の収容部18a、18bに流体供給部15により圧縮空気を交互に供給/排出することにより、方向Dに直交する断面上において、挿入部4を一対の収容部18a、18bが設けられた方向に交互に振動させることができる。このため、挿入部4の振動の振幅を大きくすることができ、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗を効果的に低減させることが可能となる。
【0038】
また、一対の収容部18a、18bは、挿入部4の外周面側に、方向Dに対して螺旋状となるように設けられている。このため、マルチルーメンチューブ14の径方向となる挿入部4の振動方向を、方向Dの位置により変化させることができる。従って、管路Qに対して挿入部4を、この挿入部4の外周面を螺旋状に廻るより多くの方向に離間させ、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗をより確実に低減させることができる。そして、挿入部4を湾曲させたために、外力が作用しない自然状態で挿入部4が直線状に戻らない場合、いわゆる、挿入部4に湾曲残りがある場合であっても、挿入部4の振動方向を方向Dの位置により変化させることで、この挿入部4に生じる湾曲残りを低減させることができる。
【0039】
また、振動手段5は、挿入部4が共振する周波数である共振周波数νで振動を発生させることができるので、挿入部4の振幅を大きくし、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗を効果的に低減させることができる。
また、一対の収容部18a、18bは、挿入部4の湾曲部3より基端側の範囲の全体にわたり設けられているので、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗をより低減させ、挿入部4の挿入性を高めることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、振動手段5として可動リング16及び第1被覆チューブ17を備えた。しかし、可動リング16及び第1被覆チューブ17を備えなくても、一対の収容部18a、18bにより挿入部4を径方向に振動させることができる。このため、可動リング16及び第1被覆チューブ17は備えられなくても良い。
また、本実施形態では、マルチルーメンチューブ14に一対の収容部18a、18が形成されていた。しかし、マルチルーメンチューブに形成される収容部の数は、1以上であれば幾つでも良い。また、1つの収容部が形成されたチューブを1つ又は複数、挿入部4の外周面側に設けても良い。
【0041】
また、本実施形態では、方向Dに直交する断面において、一対の収容部18a、18bは、方向Dに直交する断面において挿入部4を挟んで互いに対向する位置に設けられていた。しかし、方向Dに直交する断面において、一対の収容部18a、18bは、任意の位置に配置されていても良い。
また、本実施形態では、一対の収容部18a、18bは、挿入部4の外周面側に方向Dに螺旋状となるように設けられていた。しかし、これに限ることなく、一対の収容部18a、18bは、挿入部4の外周面側に方向Dに沿うように設けられていても良い。
【0042】
また、本実施形態では、一対の収容部18a、18bは、挿入部4の湾曲部3より基端側の範囲の全体にわたり設けられていた。しかし、一対の収容部18a、18bは、挿入部の湾曲部3より基端側の範囲の一部に設けられていても良いし、先端構成部2及び湾曲部3も含めて挿入部4の全体にわたり設けられていても良い。挿入部4の基端側であってケース体6内に配置された部分には、一対の収容部18a、18bは設けられなくても良い。
また、本実施形態では、第1可動部材としてリング状に形成された可動リング16を備えた。しかし、第1可動部材の形状はこれに限ることなく、例えば、第1可動部材の形状が一部を切欠いてC字状に形成されていても、第1可動部材の切欠かれた部分に収容部が入り込んで、収容部18a、18bの振動が第1可動部材に伝わらないことがないように構成すれば良い。すなわち、挿入部4の外周面側において、収容部18a、18bが設けられている部分以外に第1可動部材の切欠かれた部分が配置されるように構成されていれば良い。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5に本実施形態の内視鏡装置41の挿入部4の断面図を、図6にケース体6の断面を模式的に表す説明図を示す。
なお、説明の便宜上、図5において、挿入部4の一部及び後述する振動用ワイヤ51aを二点鎖線で示す。
図5及び図6に示すように、内視鏡装置41は、上記実施形態の内視鏡装置1の振動手段5に代えて振動手段45を備えている。
この振動手段45は、挿入部4の外周面側に、方向D及び方向Dに直交する方向に移動可能に支持された複数の可動リング(第2可動部材)46〜50と、可動リング46〜50を方向D及び方向Dに直交する方向に振動させるように操作する振動用ワイヤ51a〜51dと、振動用ワイヤ51a〜51dを牽引可能なワイヤ牽引部52と、複数の可動リング46〜50の外側を覆うように設けられた第1被覆チューブ17と、を有する。
なお、本実施形態では、挿入部4の第2被覆チューブ19の外周面を覆うように、可撓性を有し表面の摩擦抵抗が小さいポリ4フッ化エチレン樹脂等の材料で形成されたカバーチューブ53が配設されている。
【0044】
図7(a)〜図7(e)は、図5におけるB方向から見た可動リング46〜50を、説明の便宜上、振動の基準位置に移動した状態でそれぞれ示す図である。なお、ここで言う基準位置とは、挿入部4に対して可動リング46〜50が振動するときの振動の中心となる位置であり、可動リング46〜50が基準位置にあるときには、可動リング46〜50と挿入部4との軸線はそれぞれ一致する。
可動リング46〜50は、それぞれに形成された通し孔以外は同形状のリング状に形成されている。そして、可動リング46〜50の内径は、それぞれ挿入部4の外径より大きく形成されている。
【0045】
まず、可動リング46〜50の中でも基本形状となる、図7(c)に示す可動リング48について説明する。可動リング48には、可動リング48と中心O3が一致するように配置された仮想円C3上に、中心O3を基準として等角度毎となるように方向Dに向かう通し孔(貫通孔)48a〜48dがそれぞれ形成されている。
ここで、中心O3から通し孔48aと通し孔48bの中間地点に向かう方向E1及び方向E1の反対方向である方向E2を定め、中心O3を通り方向E1に沿う基準線L31を定める。同様に、中心O3から通し孔48aと通し孔48dの中間地点に向かう方向E3及び方向E3の反対方向である方向E4を定め、中心O3を通り方向E3に沿う基準線L32を定める。これら基準線L31及び基準線L32は、互いに直交するように配置されている。
【0046】
図7(b)に示す可動リング47に、図7(c)の中心O3、仮想円C3及び基準線L31に対応する中心O2、仮想円C2(仮想円C3と半径が同じ)及び基準線L2を記して説明する。さらに、仮想円C2と同じ半径で、仮想円C2を方向E1及び方向E2にそれぞれ一定の距離K1だけ移動した仮想円C21、C22を定める。
同様に、図7(a)に示す可動リング46に、図7(c)の中心O3、仮想円C3及び基準線L31に対応する中心O1、仮想円C1及び基準線L1を記して説明する。さらに、仮想円C1と同じ半径で、仮想円C1を方向E1及び方向E2にそれぞれ距離K1より大きな一定の距離K2だけ移動した仮想円C11、C12を定める。
【0047】
可動リング47及び可動リング46にも、方向Dに向かう通し孔(貫通孔)47a〜47d及び通し孔(貫通孔)46a〜46dがそれぞれ形成されている。
ただし、図7(b)における通し孔47aは、仮想円C21上であって、図7(c)における通し孔48aと基準線L31との距離よりも基準線L2との距離が短くなるように設定されている。また、図7(a)における通し孔46aは、仮想円C11上であって、図7(b)における通し孔47aと基準線L2との距離よりも基準線L1との距離が短くなるように設定されている。
図7(b)における通し孔47bは、仮想円C22上であって、図7(c)における通し孔48bと基準線L31との距離よりも基準線L2との距離が短くなるように設定されている。また、図7(a)における通し孔46bは、仮想円C12上であって、図7(b)における通し孔47bと基準線L2との距離よりも基準線L1との距離が短くなるように設定されている。
図7(b)における通し孔47cは、仮想円C21上であって、図7(c)における通し孔48cと基準線L31との距離よりも基準線L2との距離が短くなるように設定されている。また、図7(a)における通し孔46cは、仮想円C11上であって、図7(b)における通し孔47cと基準線L2との距離よりも基準線L1との距離が短くなるように設定されている。
そして、図7(b)における通し孔47dは、仮想円C22上であって、図7(c)における通し孔48dと基準線L31との距離よりも基準線L2との距離が短くなるように設定されている。また、図7(a)における通し孔46dは、仮想円C12上であって、図7(b)における通し孔47dと基準線L2との距離よりも基準線L1との距離が短くなるように設定されている。
【0048】
続いて、図7(d)に示す可動リング49に、図7(c)の中心O3、仮想円C3及び基準線L32に対応する中心O4、仮想円C4及び基準線L4を記して説明する。さらに、仮想円C4と同じ半径で、仮想円C4を方向E3及び方向E4にそれぞれ前記距離K1だけ移動した仮想円C41、C42を定める。
同様に、図7(e)に示す可動リング50に、図7(c)の中心O3、仮想円C3及び基準線L32に対応する中心O5、仮想円C5及び基準線L5を記して説明する。さらに、仮想円C5と同じ半径で、仮想円C5を方向E3及び方向E4にそれぞれ前記距離K2だけ移動した仮想円C51、C52を定める。
【0049】
可動リング49及び可動リング50にも、方向Dに向かう通し孔(貫通孔)49a〜49d及び通し孔(貫通孔)50a〜50dがそれぞれ形成されている。
ただし、図7(d)における通し孔49aは、仮想円C42上であって、図7(c)における通し孔48aと基準線L32との距離よりも基準線L4との距離が短くなるように設定されている。また、図7(e)における通し孔50aは、仮想円C52上であって、図7(d)における通し孔49aと基準線L4との距離よりも基準線L5との距離が短くなるように設定されている。
図7(d)における通し孔49bは、仮想円C41上であって、図7(c)における通し孔48bと基準線L32との距離よりも基準線L4との距離が短くなるように設定されている。また、図7(e)における通し孔50bは、仮想円C51上であって、図7(d)における通し孔49bと基準線L4との距離よりも基準線L5との距離が短くなるように設定されている。
図7(d)における通し孔49cは、仮想円C42上であって、図7(c)における通し孔48cと基準線L32との距離よりも基準線L4との距離が短くなるように設定されている。また、図7(e)における通し孔50cは、仮想円C52上であって、図7(d)における通し孔49cと基準線L4との距離よりも基準線L5との距離が短くなるように設定されている。
そして、図7(d)における通し孔49dは、仮想円C41上であって、図7(c)における通し孔48dと基準線L32との距離よりも基準線L4との距離が短くなるように設定されている。また、図7(e)における通し孔50dは、仮想円C51上であって、図7(d)における通し孔49dと基準線L4との距離よりも基準線L5との距離が短くなるように設定されている。
【0050】
これら、5種類の可動リング46〜50は、方向Dに、可動リング47、46、47、48、49、50、49、48、47、46、‥、の順で一定の間隔をおいて配置されるように構成されている。
【0051】
図5及び図7に示すように、振動用ワイヤ51aは、通し孔46a、47a、48a、49a、50aを挿通している。同様に、振動用ワイヤ51bは、通し孔46b、47b、48b、49b、50bを、振動用ワイヤ51cは、通し孔46c、47c、48c、49c、50cを、振動用ワイヤ51dは、通し孔46d、47d、48d、49d、50dを、それぞれ挿通している。これら振動用ワイヤ51a〜51dは、挿入部4の外周面において、ほぼ方向Dに沿って延在するとともに、挿入部4の周方向にほぼ等距離毎となるように配置されている。
そして、振動用ワイヤ51a〜51dの先端部は各可動リング46〜50の先端側において湾曲駒23に、振動用ワイヤ51a〜51dの基端部は挿入部4の基端側に、例えばはんだ付けによりそれぞれ固定されている。
振動用ワイヤ51aにおいて、各通し孔46a、47a、48a、49a、50aに挿通された部分の先端側及び基端側には、各可動リング46〜50から一定距離離間させて、例えばはんだ付けにより形成されるストッパ部材24が固定されている。振動用ワイヤ51b〜51dにおいても、同様にストッパ部材24がそれぞれ固定されている。
このように構成された各可動リング46〜50は、挿入部4に対して、方向Dに沿って、さらに方向Dに直交する平面上で、それぞれ所定の範囲で移動可能となっている。なお、例えば、可動リング46〜50をストッパ部材24で振動用ワイヤ51a〜51dに固定することにより、各可動リング46〜50が方向Dに直交する方向のみ移動可能となるように構成しても良い。
【0052】
また、本実施形態では、第1被覆チューブ17の内周面に、可動リング46〜50がそれぞれ当接している。
【0053】
図6に示すように、ワイヤ牽引部52は、振動用ワイヤ51a〜51dを牽引する駆動力を発生する牽引モータ55と、牽引モータ55に固定されたプーリ56と、一端が振動用ワイヤ51a、51cの基端部に取付けられるとともに他端が振動用ワイヤ51b、51dの基端部に取付けられた接続ワイヤ57と、振動用ワイヤ51a〜51dを支持するシース58a〜58dと、を有する。
そして、牽引モータ55は制御部59に接続されて、この制御部59はさらにリモコン9に接続されている。
【0054】
接続ワイヤ57の中央部は、プーリ56に巻回されている。振動用ワイヤ51a〜51dはシース58a〜58dにそれぞれ挿通され、シース58a〜58dの形状は不図示の支持手段によりそれぞれ支持されていて、シース58a〜58d内を振動用ワイヤ51a〜51dが移動してもシース58a〜58dの湾曲形状が変わらないように構成されている。
そして、牽引モータ55を一方に回転させることで、振動用ワイヤ51a及び振動用ワイヤ51cを同時に牽引するとともに振動用ワイヤ51b及び振動用ワイヤ51dの牽引を解除し、牽引モータ55を他方に回転させることで、振動用ワイヤ51b及び振動用ワイヤ51dを同時に牽引するとともに振動用ワイヤ51a及び振動用ワイヤ51cの牽引を解除することが可能となっている。
【0055】
振動用ワイヤ51a〜51dは、リモコン9を操作することで、これらを順に牽引する切替え速度を調節することが可能となっている。
すなわち、例えば、切替え速度を1Hzとすると、振動用ワイヤ51a、51cを同時に牽引するとともに振動用ワイヤ51b、51dの牽引を解除した状態から0.5秒後に、振動用ワイヤ51a、51cの牽引を解除するとともに振動用ワイヤ51b、51dを同時に牽引した状態になり、さらに0.5秒後に、振動用ワイヤ51a、51cを同時に牽引するとともに振動用ワイヤ51b、51dの牽引を解除した状態になる。
そして制御部59は、この牽引する振動用ワイヤ51a〜51dの切替えを、この一定速度で繰り返し続ける。
【0056】
次に、以上のように構成された内視鏡装置41の動作について、内視鏡装置41の挿入部4を管路に挿入し、管路Qの内部を観察する場合を例にとって説明する。
なお、図8(a)〜図8(e)及び図9(a)〜図9(e)中において、第1被覆チューブ17の図示を省略している。
まず、使用者は、内視鏡装置41のリモコン9を操作して、電源部から照明機構10に電力を供給して先端構成部2の前方に照明光を照射させ、観察機構11が検出した映像をLCDモニタ7に表示させる。
次に、LCDモニタ7に表示される映像を確認しながら、図5に二点鎖線で示した管路Qに挿入部4の先端構成部2を挿入する。
【0057】
ここで、使用者は、リモコン9を操作して、制御部59により牽引する振動用ワイヤ51a〜51dを所定の周波数で切替える。
より詳しくは、牽引モータ55を他方に回転させて振動用ワイヤ51b及び振動用ワイヤ51dを同時に牽引した場合には、挿入部4及び振動手段45の断面は、図5に示すようになっている。そしてこの場合において、図5におけるB方向から見た可動リング46〜50を挿入部4とともに図8(a)〜図8(e)に示す。
振動用ワイヤ51b及び振動用ワイヤ51dが同時に牽引されると、各振動用ワイヤ51b、51dは、湾曲駒23に固定されている先端部と接続ワイヤ57に牽引されている基端部との間で緩み無く張られた状態となる。このとき、挿入部4及び可動リング48の位置は変わらないが、振動用ワイヤ51b、51dに追従して、5種類の可動リング46〜50の通し孔46b、47b、48b、49b、50b、及び通し孔46d、47d、48d、49d、50dの位置がそれぞれ挿入部4に沿って並ぶように、4種類の可動リング46、47、49、50がそれぞれ挿入部4の周りを回動したり方向Dに交差する方向に移動したりする。
【0058】
図8(b)に示すように、可動リング47は、通し孔47b、47dがそれぞれ可動リング48の通し孔48b、48dの方向D側に配置されるように、図7(b)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E1に一定の距離M1だけ移動する。
また、図8(a)に示すように、可動リング46は、通し孔46b、46dがそれぞれ可動リング48の通し孔48b、48dの方向D側に配置されるように、図7(a)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E1に、距離M1より大きな一定の距離M2だけ移動する。
同様に、図8(d)に示すように、可動リング49は、通し孔49b、49dがそれぞれ可動リング48の通し孔48b、48dの方向D側に配置されるように、図7(d)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E3に距離M1だけ移動する。
そして、図8(e)に示すように、可動リング50は、通し孔50b、50dがそれぞれ可動リング48の通し孔48b、48dの方向D側に配置されるように、図7(e)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E3に距離M2だけ移動する。
【0059】
次に、牽引モータ55を一方に回転させて振動用ワイヤ51a及び振動用ワイヤ51cを同時に牽引した場合において、図5におけるB方向から見た可動リング46〜50を挿入部4とともに図9(a)〜図9(e)に示す。
振動用ワイヤ51a及び振動用ワイヤ51cが同時に牽引されると、上記と同様に、各振動用ワイヤ51a、51cは、湾曲駒23に固定されている先端部と接続ワイヤ57に牽引されている基端部との間で緩み無く張られた状態となる。このとき、挿入部4及び可動リング48の位置は変わらないが、振動用ワイヤ51a、51cに追従して、5種類の可動リング46〜50の通し孔46a、47a、48a、49a、50a、及び通し孔46c、47c、48c、49c、50cの位置がそれぞれ挿入部4に沿って並ぶように、4種類の可動リング46、47、49、50がそれぞれ挿入部4の周りを回動したり方向Dに交差する方向に移動したりする。
【0060】
図9(b)に示すように、可動リング47は、通し孔47a、47cがそれぞれ可動リング48の通し孔48a、48cの方向D側に配置されるように、図7(b)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E2に距離M1だけ移動する。
また、図9(a)に示すように、可動リング46は、通し孔46a、46cがそれぞれ可動リング48の通し孔48a、48cの方向D側に配置されるように、図7(a)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E2に距離M2だけ移動する。
同様に、図9(d)に示すように、可動リング49は、通し孔49a、49cがそれぞれ可動リング48の通し孔48a、48cの方向D側に配置されるように、図7(d)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E4に距離M1だけ移動する。
そして、図9(e)に示すように、可動リング50は、通し孔50a、50cがそれぞれ可動リング48の通し孔48a、48cの方向D側に配置されるように、図7(e)に示す基準位置から挿入部4回りに回転するとともに方向E4に距離M2だけ移動する。
【0061】
このように、牽引モータ55を回転させる方向を切替えることにより、それぞれの基準位置を中心にして、可動リング47は方向E1及び方向E2に距離M1の振幅で、可動リング46は方向E1及び方向E2に距離M2の振幅で、可動リング49は方向E3及び方向E4に距離M1の振幅で、可動リング50は方向E3及び方向E4に距離M2の振幅で、それぞれ振動することとなる。
つまり、可動リング46及び可動リング47が振動する方向は方向E1及び方向E2であり、可動リング49及び可動リング50が振動する方向は方向E3及び方向E4である。すなわち可動リング46及び可動リング47は、可動リング49及び可動リング50と互いに異なる方向に振動する。
なお、ストッパ部材24は各可動リング46〜50から一定距離離間させて振動用ワイヤ51a〜51dに固定されているので、可動リング46〜50は方向Dにも振動することとなる。そして、複数の可動リング46〜50の外側を覆う第1被覆チューブ17も、可動リング46〜50と同様に振動する。
【0062】
なお、前記実施形態で詳しく説明したように、本実施形態でも第1被覆チューブ17の振動のうち、第1被覆チューブ17が当接する管路Qの面の法線方向の成分の振動により、管路Qに対して第1被覆チューブ17が離間するように移動する。
【0063】
以上、説明したように、第1被覆チューブ17が挿入部4の径方向及び方向Dに振動する状態で、使用者は、リモコン9の湾曲操作スイッチ9aを操作して湾曲部3を湾曲操作しながら、挿入部4の先端構成部2を管路Qに挿入させていく。
そして、使用者は、観察機構11で検出した管路Qの内部の映像をLCDモニタ7で観察する。
【0064】
こうして、本発明の第2実施形態の内視鏡装置41によれば、ワイヤ牽引部52で振動用ワイヤ51a〜51dを操作することにより、可動リング46〜50を方向D及び方向Dに直交する方向に振動させる。このため、挿入部4が可動リング46〜50び第1被覆チューブ17を介して管路Qに当接する場合であっても、第1被覆チューブ17の振動のうち第1被覆チューブ17が当接する管路Qの面の法線方向の成分により、管路Qに対して挿入部4を離間させることができ、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗を低減させて挿入部4の挿入性を高めることができる。
また、振動用ワイヤ51a〜51dを牽引するという簡単な操作で、複数の可動リング46〜50を方向Dに直交する方向に移動させることができる。
【0065】
また、振動用ワイヤ51a〜51dを牽引したときに、方向Dから見て、可動リング46と可動リング47、可動リング49と可動リング50が互いに異なる方向に移動するように構成されている。従って、管路Qに対して挿入部4を互いに異なるより多くの方向に離間させ、挿入部4と管路Qとの摩擦抵抗をより確実に低減させることができる。
【0066】
なお、本実施形態で備えられた可動リング46〜50は、例えば、図10(a)及び図10(b)に示す可動リング61及び可動リング62のように構成しても良い。
図10(a)に示す可動リング61はリング状に形成されている。そして、可動リング61に形成される一対の通し孔61a、61bは、可動リング61の中心O11を通る基準線L61の一方の側にそれぞれ配置されている。
また、図10(b)に示す可動リング62は、可動リング61と通し孔の位置のみ異なる。すなわち、可動リング62に形成される一対の通し孔62a、62bは、可動リング61の基準線L61に対応する基準線L62の他方の側にそれぞれ配置されている。
これらの可動リング61、62を挿入部4の外周面に、例えば、方向Dに交互に配置し、通し孔61a、62aに一つの振動用ワイヤを挿通し、通し孔61b、62bに他の振動用ワイヤを挿通する。そして、上記実施形態と同様に、これらの振動用ワイヤをそれぞれ牽引することで、挿入部4に対して、可動リング61を方向N1に、可動リング62を方向N2に、それぞれ移動させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、第2可動部材としてリング状に形成された可動リング46〜50を用いた。しかし、図11に示すように、第2可動部材64は、切欠かれた部分64aによって挿入部4から外れないように設定されている限りにおいて、C字状に形成されていても良い。
また、本実施形態では、振動手段45として第1被覆チューブ17を備えた。しかし、第1被覆チューブ17を備えなくても、挿入部4を可動リング46〜50により振動させることができるので、第1被覆チューブ17は備えられなくても良い。
【0068】
また、本実施形態では、可動リング46〜50は、挿入部4の湾曲部3より基端側の範囲の全体にわたり設けられていた。しかし、可動リング46〜50は、挿入部の湾曲部3より基端側の範囲の一部に設けられていても良いし、先端構成部2及び湾曲部3も含めて挿入部4の全体にわたり設けられていても良い。挿入部4の基端側であってケース体6内に配置された部分には、可動リング46〜50は設けられなくても良い。
また、本実施形態では、通し孔に挿通された1つの振動用ワイヤを引張ったり、緩めたりすることでも可動リングを振動させることができる。このため、振動手段45に備えられる振動用ワイヤの数は1つ以上であれば幾つでも良い。
【0069】
また、本実施形態では、5種類の可動リング46〜50を備えたが、振動手段で備える可動リングは1種類以上であれば何種類でも良い。例えば、可動リング46〜50のうち可動リング47〜49のみを備え、これらを挿入部4の外側に可動リング47、48、49、48、47、‥、の順で一定の間隔をおいて配置しても良い。
【0070】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更等も含まれる。
例えば、上記第1実施形態及び第2実施形態では、流体として圧縮空気を用いたが、これに限ることなく、ヘリウム等の気体、水や油等の液体を用いても良い。
また、本実施形態では、先端構成部2の基端側に湾曲部3を備えたが、この湾曲部3は備えられなくても良い。
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、内視鏡装置の湾曲部3を不図示の操作ワイヤを介して不図示のモータにより牽引することで湾曲操作していた。しかし、湾曲部3を湾曲させる方法はこれに限ることなく、モータに代えて、例えば、内部に流体を流入させることにより延在方向に短くなるように変形する公知のアクチュエータを用いても良い。
【符号の説明】
【0071】
1、41 内視鏡装置
2 先端構成部
4 挿入部
5、45 振動手段
11 観察機構
14 マルチルーメンチューブ(チューブ体)
15 流体供給部
16 可動リング(第1可動部材)
18a、18b 収容部
46〜50、61〜63 可動リング(第2可動部材)
64 第2可動部材
46a〜46d、47a〜47d、48a〜48d、49a〜49d、50a〜50d 通し孔(貫通孔)
51a〜51d 振動用ワイヤ
52 ワイヤ牽引部
D 方向
Q 管路(被検体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に配置され観察機構が設けられた先端構成部を有する挿入部を備え、被検体内に該挿入部を挿入して用いられる内視鏡装置において、
前記挿入部に、前記先端構成部より基端側の範囲に、振動を発生させる振動手段を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡装置において、
前記振動手段は、前記挿入部の外周面側に設けられ内部に流体を収容するチューブ体と、該チューブ体に対して前記流体を供給/排出可能な流体供給部と、を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項3】
請求項2に記載の内視鏡装置において、
前記振動手段は、前記チューブ体の外側に、該チューブ体内への前記流体の供給/排出によって少なくとも前記挿入部の長さ方向に直交する方向に移動する第1可動部材を有していることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の内視鏡装置において、
前記チューブ体は、前記流体を収容する一対の収容部が形成され、
これら一対の収容部は、前記挿入部の長さ方向に直交する断面において前記挿入部を挟んで互いに対向する位置に設けられ、前記流体供給部により前記一対の収容部のそれぞれに対し独立して前記流体を供給可能とされていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項5】
請求項4に記載の内視鏡装置において、
前記一対の収容部は、前記挿入部の外周面側に、該挿入部の長さ方向に螺旋状となるように設けられていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項6】
請求項1に記載の内視鏡装置において、
前記振動手段は、前記挿入部の外周面側に、該挿入部の長さ方向及び該挿入部の長さ方向に直交する方向に移動可能に支持された第2可動部材と、
該第2可動部材を前記挿入部の長さ方向及び該挿入部の長さ方向に直交する方向に振動させるように操作する振動用ワイヤと、
該振動用ワイヤを牽引可能なワイヤ牽引部と、
を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項7】
請求項6に記載の内視鏡装置において、
前記第2可動部材は、前記挿入部の長さ方向に間隔をおいて複数設けられ、
複数の前記第2可動部材には、前記挿入部の長さ方向に向かう貫通孔がそれぞれ形成され、
前記振動用ワイヤは、その先端部が前記複数の第2可動部材より先端側の前記挿入部に固定され、
前記貫通孔に前記振動用ワイヤが挿通され、
前記振動用ワイヤを牽引したときに、前記複数の第2可動部材はこれに追従して少なくとも前記挿入部の長さ方向に直交する方向に移動するように構成されていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項8】
請求項7に記載の内視鏡装置において、
前記振動用ワイヤを牽引したときに、前記挿入部の長さ方向から見て、二つの前記第2可動部材が互いに異なる方向に移動するように構成されていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の内視鏡装置において、
前記振動手段は、前記挿入部の少なくとも前記先端構成部より基端側の範囲の全体にわたり設けられていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の内視鏡装置において、
前記振動手段は、前記挿入部が共振する周波数で振動を発生させることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項1】
先端部に配置され観察機構が設けられた先端構成部を有する挿入部を備え、被検体内に該挿入部を挿入して用いられる内視鏡装置において、
前記挿入部に、前記先端構成部より基端側の範囲に、振動を発生させる振動手段を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡装置において、
前記振動手段は、前記挿入部の外周面側に設けられ内部に流体を収容するチューブ体と、該チューブ体に対して前記流体を供給/排出可能な流体供給部と、を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項3】
請求項2に記載の内視鏡装置において、
前記振動手段は、前記チューブ体の外側に、該チューブ体内への前記流体の供給/排出によって少なくとも前記挿入部の長さ方向に直交する方向に移動する第1可動部材を有していることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の内視鏡装置において、
前記チューブ体は、前記流体を収容する一対の収容部が形成され、
これら一対の収容部は、前記挿入部の長さ方向に直交する断面において前記挿入部を挟んで互いに対向する位置に設けられ、前記流体供給部により前記一対の収容部のそれぞれに対し独立して前記流体を供給可能とされていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項5】
請求項4に記載の内視鏡装置において、
前記一対の収容部は、前記挿入部の外周面側に、該挿入部の長さ方向に螺旋状となるように設けられていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項6】
請求項1に記載の内視鏡装置において、
前記振動手段は、前記挿入部の外周面側に、該挿入部の長さ方向及び該挿入部の長さ方向に直交する方向に移動可能に支持された第2可動部材と、
該第2可動部材を前記挿入部の長さ方向及び該挿入部の長さ方向に直交する方向に振動させるように操作する振動用ワイヤと、
該振動用ワイヤを牽引可能なワイヤ牽引部と、
を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項7】
請求項6に記載の内視鏡装置において、
前記第2可動部材は、前記挿入部の長さ方向に間隔をおいて複数設けられ、
複数の前記第2可動部材には、前記挿入部の長さ方向に向かう貫通孔がそれぞれ形成され、
前記振動用ワイヤは、その先端部が前記複数の第2可動部材より先端側の前記挿入部に固定され、
前記貫通孔に前記振動用ワイヤが挿通され、
前記振動用ワイヤを牽引したときに、前記複数の第2可動部材はこれに追従して少なくとも前記挿入部の長さ方向に直交する方向に移動するように構成されていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項8】
請求項7に記載の内視鏡装置において、
前記振動用ワイヤを牽引したときに、前記挿入部の長さ方向から見て、二つの前記第2可動部材が互いに異なる方向に移動するように構成されていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の内視鏡装置において、
前記振動手段は、前記挿入部の少なくとも前記先端構成部より基端側の範囲の全体にわたり設けられていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の内視鏡装置において、
前記振動手段は、前記挿入部が共振する周波数で振動を発生させることを特徴とする内視鏡装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−201011(P2010−201011A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50551(P2009−50551)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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