説明

内視鏡

【課題】 ハレーションの発生を抑えることができ、直視観察と側視観察とが同時に可能な内視鏡を提供すること。
【解決手段】 内視鏡12は、先端硬質部21を有する挿入部20と、先端硬質部21の先端面21aに配設され、先端面21aから前方に向かって突出している第1の突出部51と、第1の突出部51の先端面51aに配設され、挿入部20の挿入方向において第1の突出部51の先端面51aの前方を観察する直視観察窓53と、第1の突出部51の側面51bに配設され、第1の突出部51の側方を観察する側視観察窓55とを有している。また内視鏡12は、先端面21aに配設され、先端面21aから前方に向かって突出し、先端面21aの平面方向において第1の突出部51と隣接している第2の突出部81と、直視観察と側視観察とのために、前方と側方とに向かって照明光を同時に出射する両側照明部である両側照明窓91とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直視観察と側視観察とが可能な内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡には、挿入部の前方を観察する直視観察と、挿入部の側方を観察する側視観察とを行う機能が求められている。そのため内視鏡は、直視観察のための直視観察部と、側視観察のための側視観察部とを備えている。
【0003】
このような内視鏡は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1において、内視鏡は、観察方向を直視観察と側視観察とに切り換えている。また内視鏡において、照明部である3つの照明レンズが直視観察部と側視観察部との間に配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−137512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている内視鏡において、直視観察と側視観察とが同時に行えず、観察が不便である。
【0006】
また例えば直視観察が行われるために、直視観察部と同一面に配設されている1つの照明レンズのみが用いられる虞が生じる。この場合、照明レンズが観察対象物に近接すると、観察対象物から反射した反射光によって、直視観察部においてハレーションが発生し、直視観察が困難となる。この点は、側視観察についても同様である。
【0007】
そのため本発明は、上記課題を鑑みて、ハレーションの発生を抑えることができ、直視観察と側視観察とが同時に可能な内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は目的を達成するために、先端部を有する挿入部と、前記先端部の先端面に配設され、前記先端部の先端面から前方に向かって突出している第1の突出部と、前記第1の突出部の先端面に配設され、前記挿入部の挿入方向において前記第1の突出部の先端面の前方を直視観察する直視観察部と、前記第1の突出部の側面に配設され、前記第1の突出部の側方を側視観察する側視観察部と、前記先端部の先端面に配設され、前記先端部の先端面から前方に向かって突出し、前記先端部の前記先端面の平面方向において第1の突出部と隣接している第2の突出部と、前記第2の突出部の先端面と側面とにおける角部に少なくとも配設され、直視観察と側視観察とのために、前方と側方とに向かって照明光を同時に出射する両側照明部と、を具備することを特徴とする内視鏡を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハレーションの発生を抑えることができ、直視観察と側視観察とが同時に可能な内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明に係る内視鏡システムの概略構成図である。
【図2】図2は、先端硬質部の斜視図である。
【図3】図3は、先端硬質部の正面図である。
【図4】図4は、図3に示す4−4線における断面図である。
【図5】図5は、図3に示す5−5線における断面図である。
【図6A】図6Aは、両側照明部が配設されていない場合の内視鏡画像を示す図である。
【図6B】図6Bは、本実施形態の内視鏡画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2と図3と図4と図5と図6Aと図6Bとを参照して第1の実施形態について説明する。なお例えば図1において第1の突出部51の図示を簡略化するように、一部の図面では図示の簡略化のために部材の一部を省略している。
【0012】
図1に示すように、内視鏡システム10は、例えば所望する観察対象物を撮像する内視鏡12と、内視鏡12と着脱自在に接続する制御装置14(例えばビデオプロセッサ)と、制御装置14と接続し、内視鏡12によって撮像された観察対象物を表示する表示部であるモニタ16と、照明光を出射する光源装置18とを有している。この観察対象物とは、被検体(例えば体腔)内における患部や病変部等である。
【0013】
図1に示すように内視鏡12には、患者の体腔内に挿入される中空の細長い挿入部20と、挿入部20の基端部と連結し、内視鏡12を操作する操作部30とが配設されている。
【0014】
挿入部20は、挿入部20の先端部側から基端部側に向かって、先端硬質部21と、湾曲部23と、可撓管部25とを有している。先端硬質部21の基端部は湾曲部23の先端部と連結し、湾曲部23の基端部は可撓管部25の基端部と連結している。
【0015】
先端硬質部21は、挿入部20の先端部及び内視鏡12の先端部であり、硬い。先端硬質部21の詳細については、後述する。
【0016】
湾曲部23は、後述する湾曲操作部37の操作によって、例えば上下左右といった所望の方向に湾曲する。湾曲部23が湾曲することにより、先端硬質部21の位置と向きとが変わり、観察対象物が観察視野内に捉えられ、照明光が観察対象物に照明される。湾曲部23は、図示しない節輪が挿入部20の長手軸方向に沿って回動可能に連結されていることで、構成されている。節輪は図示しない網状管によって被覆され、図示しない網状管は樹脂やゴム等の図示しない外皮によって被覆されている。
【0017】
可撓管部25は、所望な可撓性を有しており、外力によって曲がる。可撓管部25は、操作部30の後述する本体部31から延出されている管状部材である。
【0018】
操作部30は、可撓管部25が延出している本体部31と、本体部31の基端部と連結し、内視鏡12を操作する操作者によって把持される把持部33と、把持部33と接続しているユニバーサルコード41とを有している。
【0019】
本体部31には、処置具挿入口35aが配設されている。処置具挿入口35aには、処置具挿通チャンネル35の基端部が連結している。処置具挿通チャンネル35は、挿入部20内において、可撓管部25から先端硬質部21に渡って配設されている。処置具挿入口35aは、図示しない内視鏡用処置具を処置具挿通チャンネル35に挿入するための挿入口である。図示しない内視鏡用処置具は、処置具挿入口35aから処置具挿通チャンネル35に挿入され、先端硬質部21側まで押し込まれる。そして内視鏡用処置具は、図2に示すように先端硬質部21に配設されている処置具挿通チャンネル35のチャンネル先端開口部103から突出される。
【0020】
把持部33には、湾曲部23を湾曲操作する湾曲操作部37が配設されている。
【0021】
また把持部33には、吸引スイッチ39aと、送気・送水スイッチ39bとを有するスイッチ部39が配設されている。スイッチ部39は、本体部31が術者に把持された際に、術者の手によって操作される。吸引スイッチ39aは、先端硬質部21に配設されている吸引開口部を兼ねるチャンネル先端開口部103から吸引チャンネルを兼ねる処置具挿通チャンネル35を介して、粘液や流体等を内視鏡12が吸引するときに操作される。送気・送水スイッチ39bは、先端硬質部21において後述する撮像素子67の観察視野(観察窓)を確保するために図示しない送気・送水チャンネルから流体を送気・送水するときに操作される。送気・送水チャンネルは、ユニバーサルコード41と操作部30と挿入部20とを挿通している。送気・送水チャンネルは、後述する直視観察窓53と側視観察窓用ノズル部85とに連通している。流体は、水や気体を含む。
【0022】
ユニバーサルコード41は、把持部33の側面から延出されている。ユニバーサルコード41の端部は分岐しており、それぞれにコネクタ41aが配設されている。コネクタ41aの一方は制御装置14に着脱可能となっており、コネクタ41aの他方は光源装置18に着脱可能となっている。
【0023】
次に先端硬質部21について図2を参照して説明する。
図2に示すように、先端硬質部21の先端面21aには、先端面21aから前方に向かって突出している円筒形状の第1の突出部51と、先端面21aから前方に向かって突出し、先端面21aの平面(径)方向において第1の突出部51と隣接している第2の突出部81とが配設されている。
【0024】
次に図2と図3と図4とを参照して、第1の突出部51について説明する。
第1の突出部51は、例えば、先端面21aの中心から縁側に偏心した位置に配設されている。
図2に示すように、第1の突出部51は、第1の突出部51の先端面51aに配設され、挿入部20の挿入方向において第1の突出部51の先端面51aの前方を観察する直視観察部である直視観察窓53と、第1の突出部51の側面51bに配設され、挿入部20の径方向において第1の突出部51の側方を観察する側視観察部である側視観察窓55とを有している。また第1の突出部51は、側視観察窓55よりも先端面21a側の第1の突出部51の側面51bに配設され、側視観察のために側方に向かって、つまり側視観察窓55の側視視野に向かって、照明光を出射する側視照明部である側視照明窓57をさらに有している。
【0025】
図2に示すように、直視観察窓53は、例えば円形形状を有している。図2と図3と図4とに示すように、直視観察窓53は、光が直視観察のために入射し、観察対象物を直視視野(前方視野)に捉えて、直視画像111を取得するための円形形状の前レンズ53aを有している。直視観察窓53は、前レンズ53aによって、前方を観察視野とする広角の直視視野を形成する。前レンズ53aに入射する光は、第1の突出部51の先端面51a(正面)側から入射する。この光は、例えば観察対象物によって反射した反射光である。
【0026】
図2と図3とに示すように、側視観察窓55は、側方を観察し、側面51bの周方向に沿って側面51bの略全周を観察視野とするために、略円環形状を有している。図4に示すように、側視観察窓55は、光が側視観察のために入射し、観察対象物を側視視野(側方視野)に捉えて、側視画像113を取得するための円環形状のミラーレンズ55aを有している。側視観察窓55は、挿入部20の径方向において、ミラーレンズ55aによって、側方を観察視野とする側方視野を形成する。ミラーレンズ55aに入射する光は、第1の突出部51の側面51b側から入射する。この光は、例えば観察対象物によって反射した反射光である。
【0027】
図2に示すように、側視照明窓57は、挿入部20の長手方向において側視観察窓55と隣接している。側視照明窓57は、側面51bにおいて、図3にて点線で示すように周方向に沿って配設されている。側視照明窓57は、第1の突出部51の下部側(第2の突出部81側)を除く周方向の全域に照明光を出射する。図3に示す角度θ1は、側視照明窓57によって側方に向かって出射される照明光の範囲を示している。なお、図3における側視照明窓57の円周方向の長さが変わることで、図3で示す範囲(角度θ1)が変化する。また側視観察窓55は、照明光を、第2の突出部81側に出射しない構成となっている。
【0028】
図4に示すように、第1の突出部51の内部には、第1の突出部51の中心軸Oと光軸とが一致するように、対物光学系61が配設されている。対物光学系61は、上述した前レンズ53aとミラーレンズ55aと後レンズ群63とを、先端面51a側から順に有している。図4において、直視視野における観察対象物から直視観察窓53における前レンズ53aに入射される光線と、側方視野における観察対象物から側視観察窓55におけるミラーレンズ55aに入射される光線との概略の経路を示している。
【0029】
前レンズ53aとミラーレンズ55aと後レンズ群63とは、第1の突出部51内のレンズ枠に固定されている。
ミラーレンズ55aは、反射光学系として、前レンズ53aの直後に配設されている。ミラーレンズ55aは、2つのレンズが接合することで、形成されている。このようなミラーレンズ55aは、図4に示すように側視方向から入射する光を2回反射し、後レンズ群63側に導光する。
【0030】
また図4に示すように、先端硬質部21には、対物光学系61の結像位置に配設されているCCD等の撮像素子67と、接続回路基板69とが先端面51a側から順に配設されている。撮像素子67は、後レンズ群63の後方に配設されている。撮像素子67の前面には、カバーガラス67aが配設されている。接続回路基板69には、図示しない撮像ケーブルが接続している。撮像ケーブルは、挿入部20と、操作部30と、ユニバーサルコード41とを挿通している。
【0031】
撮像素子67の中央側には、前レンズ53aによって直視視野内の観察対象物の像が結像される。このとき像は、前レンズ53aが円形形状を有しているために、円形形状に結像される。これにより図6Bに示すようにモニタ16の表示画面16aには、円形形状の直視画像111が表示されることとなる。
また撮像素子67の中央側の周囲には、ミラーレンズ55aにより側視視野内の観察対象物の像が結像される。このとき像は、ミラーレンズ55aが円環形状を有しているために、円環形状に結像される。これにより図6Bに示すようにモニタ16の表示画面16aには、円環形状の側視画像113が表示されることになる。この側視画像113は、直視画像111の周りに形成される。このように本実施形態では、側視観察と直視観察とが同時に行われる。
【0032】
なお図4に示すように、第1の突出部51を含む挿入部20と、操作部30と、ユニバーサルコード41との内部には、導光部材であるライトガイド71が配設されている。ライトガイド71は、コネクタ41aが光源装置18と接続した際に、光源装置18で発生した照明光を側視照明窓57と後述する直視照明窓101とに導光する。ライトガイド71の先端部側は例えば挿入部20内で分岐し、一方は側視照明窓57のためのライトガイドとなり、他方は直視照明窓101のための図示しないライトガイドとなる。ライトガイド71の一方は、側視照明窓57の基端部側の縁にまで配設されている。またライトガイド71の一方は、側視照明窓57から側視視野側となる側方に向かって照明光を拡散するように出射し、体腔内における側方の観察対象物を照明する。ライトガイド71の他方は、後述する直視照明窓101から直視視野側となる前方に向かって照明光を拡散するように出射し、体腔内における前方の観察対象物を照明する。
【0033】
図4に示すように、第1の突出部51には、ライトガイド71の一方によって導光された照明光を側視照明窓57に向けて反射する反射部材73が配設されている。
【0034】
次に図2と図3と図5とを参照して第2の突出部81について説明する。
図2に示すように、第2の突出部81は、第1の突出部51を支持している。第2の突出部81は、第1の突出部51と一体であり、第1の突出部51から径方向に膨出した膨出部でもある。第2の突出部81の先端面81aは、第1の突出部51の先端面51aと同一平面となっている。
【0035】
第2の突出部81は、直視観察窓53を洗浄する直視観察窓用ノズル部83を第2の突出部81の先端面81aに有し、側視観察窓55を洗浄する側視観察窓用ノズル部85を第2の突出部81の側面81bに有している。
直視観察窓用ノズル部83は直視観察窓53に向かって開口するように先端面81aに配設されており、第2の突出部81は、直視観察窓用ノズル部83が直視画像111に現れないように、直視観察窓用ノズル部83を保持している。
【0036】
また側視観察窓用ノズル部85は側視観察窓55に向かって開口するように側面81bに配設されており、第2の突出部81は、側視観察窓用ノズル部85が側視画像113に現れないように、側視観察窓用ノズル部85を保持している。側視観察窓用ノズル部85は、2箇所に配設されている。
【0037】
なお先端面21aから突出している第2の突出部81は、本来の観察対象物ではない。そのため、第2の突出部81は、側視観察窓55における側視視野内に現れて、側視画像113に表示されないように、光学的に遮蔽する機能を有している。この機能は、例えば観察対象物から側視視野に入射する光をメカニカルに遮蔽する遮蔽部87である。
【0038】
また図2と図3とに示すように、第2の突出部81には、直視観察と側視観察とのために、前方と側方とに向かって照明光を同時に出射する両側照明部である両側照明窓91が配設されている。両側照明窓91は、直視観察のために前方に向かって、つまり直視観察窓53の直視視野に向かって、照明光を出射する直視照明部と、側視観察のために側視に向かって、つまり側視観察窓55の側視視野に向かって、照明光を出射する側視照明部とを兼ねている。
【0039】
図5に示すように、両側照明窓91は、例えば四角柱形状を有している。このような両側照明窓91は、前方と側方とに向かって照明光を同時に出射するために、両側照明窓91の先端面91a全面が第2の突出部81の先端面81aと同一平面に位置し、両側照明窓91の側面91bが第2の突出部81の側面81bと同一平面に位置するように、第2の突出部81の先端面81aと側面81bとの角部81cに配設されている。先端面81aと側面81bとは、折れ曲がるように繋がっており、連接されている。
【0040】
両側照明窓91は第2の突出部81に配設され、直視観察窓53と側視観察窓55とは第1の突出部51に配設されている。第1の突出部51と第2の突出部81とは先端面21aの平面方向においてずれて配設されているために、両側照明窓91も、直視観察窓53と側視観察窓55とに対して平面方向においてずれて配設されていることとなる。
また側視照明窓57は第1の突出部51の側面51bつまり先端面21aから突出して配設され、後述する直視照明窓101は先端面21aに配設され、両側照明窓91は第2の突出部81の先端面81a側に配設されている。このように直視照明窓101と側視照明窓57と両側照明窓91とは、先端面21aからの高さ位置が異なっている。つまり両側照明窓91は、挿入部20の長手方向において、側視照明窓57と、直視照明窓101とよりも前方に配設されている。
【0041】
一般的に、例えば1つの直視観察部と1つの照明部とが内視鏡12の先端部(先端硬質部21)に配設され、照明部が前方に照明光を出射し、この状態で照明部が観察対象物に近接すると、観察対象物から反射した反射光によって、直視観察部においてハレーションが発生し、観察が困難となる。また、複数の照明部が直視観察部と同一平面に配設され、これら全ての照明部が同一方向、つまり前方にのみ照明光を出射しても、上記同様に、ハレーションが発生しやすく、観察が困難となる。この点は、側視観察においても同様である。
【0042】
しかしながら本実施形態では、両側照明窓91は、前方と側方とに同時に照明光を出射する。これにより、照明光が複数の方向つまり前方と側方とから観察対象物を照射するために、直視観察と側視観察とにおいて、ハレーションの発生が抑えられる。このように、両側照明窓91は、ハレーションの発生を抑えるために、前方と側方とに同時に照明光を出射する。また両側照明窓91は、前方と側方とに同時に照明光を出射するために、上述したように内視鏡12の最先端部である第2の突出部81の先端面81aと側面81bとに配設されている。
【0043】
また両側照明窓91は、上述したように側視照明部として、側視に向かって照明光を出射する。詳細には、図6Bに示すように、両側照明窓91は、側視照明窓57が照明光を出射する側視照明光の範囲(θ1)と一部が重なる範囲(θ3,θ4)に照明光を出射する。
両側照明窓91が配設されていない場合、照明光が両側照明窓91から側視に向かって出射されず、側視照明窓57のみが側方に照明光を出射する。このとき、照明光は、遮蔽部87によって遮光され、結果的に、第1の突出部51の下部側(第2の突出部81側)を除く周方向の全域に照明光を出射される。そのため、図6Aに示すようにモニタ16の表示画面16aに表示される側視画像113において、側視画像113は遮蔽部87によって側視視野の下部側の一部が遮蔽された遮蔽画像115を有することとなる。遮蔽画像115は、黒領域となり、画像が表示されない非出画領域となる。
また本実施形態では、側視照明窓57が照明光を出射する側視照明光の範囲(θ1)は、遮蔽部87によって遮光された遮蔽画像115を除く側視画像113の範囲よりも小さくなる。そのため、側視照明窓57から出射される照明光は、側視画像113全体を均一には照明できない。よって、図6Aに示すように、側視画像113の側視照明光の出射範囲(θ1)の画像に対して、遮蔽画像115付近の画像は、暗画像116として表示される。暗画像116は、画像が表示されるが、明るさが十分に足りず、暗い領域となる。
しかしながら、図2と図3とに示すように、両側照明窓91が配設されることで、さらに第1の突出部51と第2の突出部81とは隣接し、両側照明窓91は側視照明窓57とは先端面81aの平面方向においてずれて配設されている。そのため両側照明窓91は、側視照明窓57から出射された照明光では照明できない範囲にまで照明光を出射することとなる。これにより、図6Aに示す暗画像116における部分には、両側照明窓91から照明光が出射される。そのため暗画像116において明るさが十分に足りることとなり、図6Bに示すように、暗画像116が解消され、側視画像113の配光状態が改善する。
【0044】
両側照明窓91は、第2の突出部81の先端面81aの平面方向において、先端面81aの長手方向を中心に対象となるように2個配設されている。両側照明窓91は、直視観察窓用ノズル部83を中心に対象に配設されている。
【0045】
図5に示すように、両側照明窓91の各基端部91cには、コネクタ41aが光源装置18と接続した際に、光源装置18で発生した照明光を両側照明窓91に導光する導光部材であるライトガイド93が配設されている。ライトガイド93は、第2の突出部81を含む挿入部20と、操作部30と、ユニバーサルコード41との内部に配設されている。ライトガイド93の先端部93a側は例えば挿入部20内で分岐し、それぞれが各基端部91cと当接している。
【0046】
なお図5に示すように、両側照明窓91の基端部91cは、ライトガイド93によって導光された照明光を、両側照明窓91が側視観察のために側方にも向かって出射するために、挿入部20の挿入方向に対して斜めに切り欠けられている。基端部91cが切り欠けられることによって、両側照明窓91における反射効率が上昇する。このような基端部91cは、切り欠けによって傾斜面を有している。
またライトガイド93の先端部93aは、基端部91cの形状と相似の形状を有し、両側照明窓91の基端部91cと当接する。ライトガイド93の先端部93aは、両側照明窓91の基端部91cと相補的な形状を有している。
【0047】
なお傾斜面は、挿入部20の挿入方向において、第2の突出部81の中心軸側の両側照明窓91の側面の長さが第2の突出部81の側面81b側の両側照明窓91の側面の長さよりも短くなるように形成されてもよい、または長くなるように形成されても良い。このように傾斜の角度や向きは、特に限定されない。
【0048】
なお先端面21aには、第1の突出部51と隣り合い、直視観察のために前方に向かって、つまり直視観察窓53の直視視野の観察対象物側に向かって照明光を出射する直視照明部である直視照明窓101と、処置具挿通チャンネル35内に挿通された図示しない処置具を突出させるチャンネル先端開口部103とがさらに配設されている。
【0049】
次に本実施形態における動作方法について説明する。
コネクタ41aは、制御装置14と光源装置18とに接続する。光源装置18は照明光を出射し、照明光はライトガイド93によって導光される。
【0050】
ライトガイド93によって導光された照明光は、両側照明窓91まで導光されて、直視観察と側視観察とのために両側照明窓91から出射される。このとき両側照明窓91が角部81cに配設されているために、照明光は、直視観察のために先端面91aから前方に向かって出射され、側視観察のために側面91bから側方に向かって出射する。
【0051】
挿入部20が体腔内に挿入され、先端硬質部21が観察対象物に近接した際、照明光が複数の方向つまり前方と側方とから観察対象物を照射するために、直視観察部と側視観察部とにおいて、ハレーションの発生が抑えられる。また前方と側方とにおける配光のバランスが向上する。
【0052】
なお本実施形態では、コネクタ41aが光源装置18と接続した際、光源装置18は照明光を出射し、照明光はライトガイド71によっても導光される。ライトガイド71は分岐しており、ライトガイド71の一方は側視照明窓57にまで配設され、ライトガイド71の他方は直視照明窓101にまで配設されている。そのためライトガイド71によって導光された照明光は、直視照明窓101まで導光されて直視観察のために直視照明窓101から出射し、側視照明窓57まで導光されて側視観察のために側視照明窓57から出射する。このとき、直視照明窓101と側視照明窓57と両側照明窓91とは、先端面21aからの高さ位置が異なっている。また両側照明窓91と直視観察窓53と側視観察窓55とは、平面方向においてずれて配設されている。したがって、本実施形態では、照明光は、高さが異なる位置と、平面方向において異なる位置とから、出射される。このように照明光は、様々な方向から観察対象物を照射する。これによりハレーションは、直視観察部と側視観察部とにおいて、より抑えられる。
【0053】
このような状態で、直視観察窓53が直視観察を行い、側視観察窓55が側視観察を行う。対物光学系61において、前レンズ53aは直視観察窓53に配設され、ミラーレンズ55aは側視観察窓55に配設されている。また撮像素子67は、対物光学系61の結像位置に配設されており、直視観察と側視観察とにおいて共用されている。そのため直視観察と直視観察とは同時に行われる。このときのモニタ16の表示画面16aには、図6Bに示すように円形形状の直視画像111と、円環形状の側視画像113が表示される。側視画像113は、直視画像111の周りに形成される。
【0054】
なお第1の突出部51と第2の突出部81とは隣接し、側視照明窓57は第1の突出部51の側面51bに配設され、両側照明窓91は第2の突出部81に配設され、側視照明窓57と両側照明窓91とは先端面21aの平面方向にずれて配設されている。そのため両側照明窓91は、側視において、側視照明窓57から出射された照明光では照明できない範囲にまで照明光を出射することとなる。これにより、図6Bに示すように、暗画像116が解消され、側視画像113の配光状態が改善する。
【0055】
また両側照明窓91の基端部91cは、挿入部20の挿入方向に対して斜めに切り欠けられている。そのため基端部91cが切り欠かれていない場合に比べて、両側照明窓91における照明光の反射効率が上昇し、より多くの照明光が両側照明窓91から側方に向けて出射され、側方における光量が確保される。
【0056】
また両側照明窓91の先端面91aと側面91bとが連接しており第2の突出部81の側面81bなどによって遮蔽されていないために、照明光が漏れることなく直視と側視とのために出射される。
【0057】
このように本実施形態では、両側照明窓91を角部81cに配設し、両側照明窓91によって照明光を出射するために、前方と側方とに向かって照明光を同時に出射でき、照明光を観察対象物に複数の方向つまり前方と側方とから観察対象物を照射でき、直視観察部(直視観察窓53)と側視観察部(側視観察窓55)とにおいて、ハレーションの発生を抑えることができる。
【0058】
また本実施形態では、直視観察部(直視観察窓53)と側視観察部(側視観察窓55)とによって直視観察と側視観察とを同時に行うことができる。
【0059】
また本実施形態では、直視照明窓101と側視観察窓55とが配設され、直視照明窓101と側視照明窓57と両側照明窓91とは先端面21aからの高さ位置が異なり、両側照明窓91と直視観察窓53と側視観察窓55とは平面方向においてずれて配設されている。そのため本実施形態では、高さが異なる位置と、平面方向において異なる位置とから、照明光を出射できる。これにより本実施形態では、照明光を、様々な方向から観察対象物を照射できる。これにより本実施形態では、ハレーションを、直視観察部(直視観察窓53)と側視観察部(側視観察窓55)とにおいて、より抑えることができる。
【0060】
また本実施形態では、第1の突出部51と第2の突出部81とを隣接させ、側視照明窓57を第1の突出部51の側面51bに配設し、両側照明窓91を第2の突出部81に配設し、側視照明窓57と両側照明窓91とを先端面21aの平面方向にずらして配設している。そのため本実施形態では、両側照明窓91によって、側視において、側視照明窓57から出射された照明光では照明できない範囲にまで照明光を出射することができる。これにより本実施形態では、図6Bに示すように、暗画像116を解消でき、側視画像113の配光状態を改善できる。
【0061】
また本実施形態では、両側照明窓91によって前方と側方とに同時に照明光を出射するために、前方と側方とにおける配光のバランスを向上できる。
【0062】
また本実施形態では、基端部91cを挿入部20の挿入方向に対して斜めに切り欠き、ライトガイド93の先端部93aを基端部91cの形状と相似の形状にすることで、基端部91cが切り欠かれていない場合に比べて、両側照明窓91における照明光の反射効率を上昇でき、より多くの照明光を両側照明窓91から側方に向けて出射でき、側方における光量を確保できる。
また本実施形態では、上記によって、両側照明窓91においても側方に照明光を出射できる。これにより本実施形態では、照明光を側方に向けて出射するためにライトガイド93を側方に向けて曲げる必要が無く、また照明光を側方にむけて反射するプリズムなどを不要にできる。よって本実施形態では、挿入部20を細径にすることができる。また本実施形態では、上述したように、ライトガイド93を側方に向けて曲げる必要が無いため、容易にライトガイド93を配設することができ、ライトガイド93を束ねる枠部材を容易に加工できる。
【0063】
また本実施形態では、1つの両側照明窓91によって前方と側方とを両方照明できるために、前方のみのための照明部と側方のみのための照明部とが配設される必要がない。そのため本実施形態では、先端硬質部21を細径にでき、挿入部20が体腔内に挿入される際に、患者への負担を減らすことができる。
【0064】
また本実施形態では、両側照明窓91によって側方の照明を補うことができるために、側方を明るく且つ配光良く照明できる。
【0065】
なお本実施形態では、両側照明窓91を2つ配設しているが、これに限定する必要は無く、両側照明窓91が角部81cに配設されていれば、これら両側照明窓91を先端面81aにて一体にしてもよい。
【0066】
また本実施形態では、ライトガイド93の先端部は各両側照明窓91に向かって分岐しているが、これに限定する必要は無く、1つの両側照明窓91に対して1本のライトガイド93が配設されていてもよい。また本実施形態では、ライトガイド93が両側照明窓91に向かってさらに分岐してもよい。
【0067】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0068】
12…内視鏡、18…光源装置、20…挿入部、21…先端硬質部、21a…先端面、51…第1の突出部、51a…先端面、51b…側面、53…直視観察窓、55…側視観察窓、57…側視照明窓、61…対物光学系、81…第2の突出部、81a…先端面、81b…側面、81c…角部、83…直視観察窓用ノズル部、85…側視観察窓用ノズル部、87…遮蔽部、91…両側照明窓、91a…先端面、91b…側面、91c…基端部、93…ライトガイド、93a…先端部、101…直視照明窓、111…直視画像、113…側視画像、115…遮蔽画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部を有する挿入部と、
前記先端部の先端面に配設され、前記先端部の先端面から前方に向かって突出している第1の突出部と、
前記第1の突出部の先端面に配設され、前記挿入部の挿入方向において前記第1の突出部の先端面の前方を直視観察する直視観察部と、
前記第1の突出部の側面に配設され、前記第1の突出部の側方を側視観察する側視観察部と、
前記先端部の先端面に配設され、前記先端部の先端面から前方に向かって突出し、前記先端部の前記先端面の平面方向において第1の突出部と隣接している第2の突出部と、
前記第2の突出部の先端面と側面とにおける角部に少なくとも配設され、直視観察と側視観察とのために、前方と側方とに向かって照明光を同時に出射する両側照明部と、
を具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記両側照明部の基端部側に配設され、前記照明光を前記両側照明部に導光する導光部材をさらに具備し、
前記両側照明部の基端部は、前記挿入部の挿入方向に対して斜めに切り欠けられ、
前記導光部材の先端部は、斜めに切り欠けられた前記両側照明部の基端部の形状と相似の形状を有し、前記両側照明部の基端部と当接することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記先端部の先端面に配設され、前記第1の突出部と隣り合い、直視観察のために前方に向かって照明光を出射する直視照明部と、
前記第1の突出部の側面に配設され、側視観察のために側方に向かって照明光を出射する側視照明部と、
をさらに具備していることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2012−157577(P2012−157577A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19841(P2011−19841)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】