説明

内部コア及び少なくとも2層のコーティング層を有する剤形

開示は、内部コア及び少なくとも2層の周囲の層を含む組成物に関する。この組成物はヒト及びその他の哺乳類に用いるのに好適であり、特に内部コアの構成成分が湿気に敏感である場合に好適である。
特に、開示された組成物は次のものを含む:
(a)1以上の構成成分を含む内部コア;
(b)内部コアを取り囲む内層であって、その際内層が、pH約3以下で不溶性である連続コーティング、約3mg/cm2〜約25mg/cm2のコーティング重量を有する連続コーティング、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される内層;並びに
(c)内層を取り囲む外層であって、その際外層が疎水性である外層。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト及びその他の哺乳類に投与するのに有用な組成物に関する。湿気に敏感であるか、又はさもなければ環境要因により影響を受ける場合がある構成成分を組成物が含む場合には、この組成物は特に有用である。この組成物は、内部コア及び少なくとも2層の周囲の層を含み、その際周囲の層は内部コアを湿気、又はこうした他の要因から保護する。
【背景技術】
【0002】
湿気に敏感であるか、又はさもなければ環境要因により影響を受ける生物活性構成成分の送達は、こうした構成成分を安定な製品中に配合するという課題を提示された者にとって、継続する問題であった。実際、多様な機構、例えば吸湿性物質の封入、又は乾燥剤(dessicants)のような剤の包含が提案されてきた。しかしながら、これらの機構は、それ自体では用いるのに常に好適又は有効でない場合もある。
【0003】
より更には、多くの構成成分は、哺乳類の組織の特定の場所、例えば腸管内の空腸(jejunem)、回腸、又はその他の場所への送達のために望ましい。こうした構成成分は多くの場合、目標とする腸内への送達のために、及び胃などの酸性環境中での分解を防ぐために腸溶性にコーティングされている。しかしながらこうした腸溶性のコーティングは、敏感な構成成分に湿気が影響する又は接触するのを防止するのには有効でない場合がある。
【0004】
例えば、健康な胃腸管から単離された特定のプロバイオティク構成成分は、炎症性腸疾患、又は過敏性腸症候群のような炎症性の症状を治療するのに有用であることが最近報告された。実際、こうした構成成分の胃腸管の炎症部分、例えば腸への送達の成功は、これらの症状を治療する際の重要な進歩となり得る。しかしながら、こうしたプロバイオティク構成成分は、胃腸管のそれらが本来存在しない場所、例えばプロバイオティク構成成分が迅速に分解し得る胃の酸性環境を必ずしも通過しないために、こうした構成成分の経口投与は難しいことが示されてきた。その上、こうした構成成分の貯蔵安定性は、主に湿気に敏感であることのために、おそらく製品製造には好適でない又は実用的でない場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結果として、敏感なプロバイオティクス菌、並びにその他の構成成分、例えばビタミン及び特定のその他の敏感な生物活性剤の完全性を保持するために有用な組成物への継続的要求がある。驚くべきことに、本発明の発明者は、1以上のこうした敏感な構成成分の有効な送達に好適な組成物を発見した。本発明者は、構成成分を含有するコアを取り囲む少なくとも2つの層を含む組成物であって、その際この層がそれぞれ腸溶性層及び疎水性層である組成物は、驚くほど最適化された安定性を提供することを発見した。こうした組成物は、長い貯蔵寿命が商業用の配送に必要な場合でさえも、敏感な構成成分、例えばプロバイオティクス菌と共に用いるのに好適である。本発明のこれらの及びその他の利益は本明細書の以下に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内部コア及び少なくとも2つの周囲の層を含有する組成物に関する。この組成物は、特に内部コアの構成成分が湿気に敏感である場合、ヒト及びその他の哺乳類に用いるのに好適である。特に本発明は次のものを含む組成物に関する:
(a)1以上の構成成分を含む内部コア;
(b)内部コアを取り囲む内層であって、その際内層が、pH約3以下で不溶性である連続コーティング、約3mg/cm2〜約25mg/cm2のコーティング重量を有する連続コーティング、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される内層;並びに
(c)内層を取り囲む外層であって、その際外層が疎水性である外層。
【0007】
本発明の好ましい実施形態では、内部コアは細菌を含む。本明細書に用いるのに好ましい細菌には、乳酸菌、ビフィズス菌、及びこれらの混合物から選択されるもの、並びに湿気に敏感であるか、又はさもなければ環境要因により影響を受ける場合があるその他の細菌が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
例えば刊行物及び特許が挙げられる様々な文献が、本開示を通して引用される。このようなすべての文献は参考として本明細書に組み込まれる。いずれの所与の文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるという承認として解釈されるべきでない。
百分率及び比率はすべて、特に指示しない限り、重量で計算される。百分率及び比率はすべて、特に指示しない限り、総組成物を基準にして計算される。
【0009】
本明細書で参照するのは、本発明で使用する様々な成分を包含する構成成分の商品名である。本発明者は本明細書において、ある特定の商品名の物質に限定することを意図していない。商品名により参照されているものと同等の物質(例えば、異なる名称又は参照番号の異なる供給源から得られるもの)は、本明細書の記載において置き換えられてもよく、及び使用されてもよい。
【0010】
本発明の説明において、様々な実施形態又は個々の特徴が開示される。当業者には明らかであるが、これらの実施形態及び特徴のあらゆる組み合わせが可能であり、並びに結果として本発明の好ましい実施となり得る。
【0011】
本明細書の組成物は、本明細書に記載されるようないずれかの特徴若しくは実施形態を含んでもよく、本質的に成ってもよく、又は成ってもよい。
本発明の様々な実施形態及び個々の特徴を説明及び記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正が可能である。これも明らかであろうが、前述の開示で教示された実施形態及び特徴のあらゆる組み合わせが可能であり、並びに結果として本発明の好ましい実施となり得る。
【0012】
(本発明の組成物)
本発明は、ヒト及びその他の哺乳類に投与するのに有用な組成物に関する。湿気に敏感であるか、又はさもなければ環境要因により影響を受ける場合がある構成成分を組成物の内部コアが含む場合には、この組成物は特に有用である。この組成物は、内部コア及び少なくとも2つの周囲の層を含み、その際周囲の層は内部コアを湿気、又はこうした他の要因から保護する。
【0013】
本発明の組成物は次のものを含む:
(a)1以上の構成成分を含む内部コア;
(b)内部コアに隣接する内層であって、その際内層が、pH約3以下で不溶性である連続コーティング、約3mg/cm2〜約25mg/cm2のコーティング重量を有する連続コーティング、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される内層;並びに
(c)内層を取り囲む外層であって、その際外層が疎水性である外層。
【0014】
本明細書で使用する時、内層及び外層は互いに異なる組成物であり、即ち内層は、外層と同じ全体的化学組成を持たない。好ましい実施形態を包含する本発明の要素の各々は、次のように本明細書に記載される。
【0015】
(定義)
本明細書の層は各々内部コアに結合している。本明細書で使用する時、「結合している」、「内部コアに結合している」、又は同様の用語は、層が内部コア自体か、前の層か、又は後の層のいずれかに隣接するような方式で内部コアを取り囲むことを意味する。その他の物質(例えば別の前の層又は後の層)が介在するとしても、層は内部コア、前の層、又は後の層に「結合する」場合がある。それ故に、内部コアに「結合する」層は、実際に内部コアに隣接する必要はない。
【0016】
本明細書で使用する時、「隣接する」という用語は、介在する物質が本質的に存在せず、物理的力によって直接に結合されることを意味する。例えば、内層は、内部コア、並びに後の層(その際後の層は別の層であるか又は外層であるかのいずれかである)に隣接してもよい。別の例として、外層は内層又は別の層に隣接してもよい。内層は、外層に対して前の層であるため、外層は内部コアに隣接しない。
【0017】
本明細書で使用する時、「前の層」という用語は、内部コアに結合する層であって、及び同じ内部コアに結合する参照層に対して内部コアの近傍により近い層を意味する。例えば、内層は外層に対して前の層である。
【0018】
本明細書で使用する時、「後の層」という用語は、内部コアに結合する層であるが、しかし同じ内部コアに結合する参照層に対して内部コアの近傍からより遠くにある層を意味する。例えば、外層は内層に対して後の層である。
【0019】
本明細書で使用する時、コーティング重量は、参照層の平方センチメートル(cm2)当たりの参照層のミリグラム(mg)を示す、mg/cm2により表される。
【0020】
(内部コア)
内部コアは、1以上の構成成分を含む。構成成分は、多様な物質のいずれであってもよい。構成成分は、例えば薬品物質、店頭販売の薬品、栄養補給食品、栄養補助食品、及びこれらの組み合わせが挙げられる生物活性構成成分から選択されてもよい。特に構成成分は、例えば細菌、ビタミン、ミネラル、繊維、及びその他の生物活性構成成分から選択されてもよい。構成成分はまた賦形剤であってもよく、組成物中に生物活性構成成分と組み合わされるものが挙げられる。
【0021】
好ましくは構成成分の少なくとも1つは湿気に敏感であるか、又はさもなければ環境要因により通常影響を受ける。本発明は不透水性障壁を創造するために非常に好適であることが発見されたために、例えば1以上の吸湿性の物質が使用されてもよい。本明細書の別の好ましい実施形態としては、少なくとも1つの構成成分が、約20℃〜約25℃の温度で測定される場合に約0.3未満、あるいは約0.2未満の水分活性を有する。水分活性の測定は、当該技術分野において標準的なものである。例えば水分活性の測定に用いるためのキットは、オーストラリアの豪州科学・工業研究機構(Csiro)から市販されている水分活性キットのように容易に入手可能である。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、内部コアの少なくとも1つの構成成分は、内部コアが低い水系であるように調製される。例えば構成成分の少なくとも1つは冷凍乾燥(freeze-dried)、凍結乾燥(lyophilized)、又は噴霧乾燥されてもよい。
構成成分はまた、十二指腸、空腸(jejunem)、回腸、又は結腸を包含する胃腸管の中央部及び低部への送達に好ましくは望ましい。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、内部コアは細菌を含む。好ましくは、細菌はプロバイオティク微生物である。プロバイオティク微生物は典型的にはヒト又はその他の哺乳類の正常な又は健康な腸の中に生じ、及びこうした哺乳類の障害のある、病気の、及び更には健康な胃腸管に有益な効果を持つことが示された。しかしながらプロバイオティク微生物は、湿気又は他の環境要因に敏感である場合がある。本発明は、貯蔵中又は哺乳類に投与されるときのいずれかにおける微生物の分解に対して防御する場合があるため、本発明は、本発明の組成物中のこれらの微生物の送達及び有効性を援助する。
【0024】
好ましくは、プロバイオティク微生物は、乳酸菌、ビフィズス菌、連鎖球菌、及びこれらの混合物から選択される。最も好ましくはプロバイオティク微生物は、乳酸菌、ビフィズス菌、及びこれらの混合物、例えばラクトバシルス・サリバリウス、ラクトバシルス・カゼイ、ラクトバシラス・アシドフィルス、ラクトバシラス・プランタラム、ラクトバシラス・ラムノーサス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、及びこれらの混合物から成る群から選択される。これらの例の中では、ラクトバシルス・サリバリウス、ビフィドバクテリウム・インファンティス、又はこれらの混合物が特に好ましい。
【0025】
非限定例としては、PCT国際公開特許WO00/42168(コリンズ(Collins)ら、2000年7月20日公開)に記載される切除及び洗浄されたヒトの胃腸管から単離されたビフィズス菌の株が特に好ましい。UCC35624として指定されるビフィドバクテリウム・インファンティスの株は特に好ましく、ナショナル・コレクションズ・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア・リミテッド(National Collections of Industrial and Marine Bacteria Limited)(MCIMB)に1999年1月13日に保管され、及び受託番号NCIMB41003を認定されたとして記載されている。
【0026】
別の非限定例としては、PCT国際公開特許WO98/35014(コリンズ(Collins)ら、1998年8月13日公開)に記載される切除及び洗浄されたヒトの胃腸管から単離されたラクトバシルス・サリバリウスの株が特に好ましい。UCC1及びUCC118として指定されるラクトバシルス・サリバリウスの株は各々特に好ましく、ナショナル・コレクションズ・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア・リミテッド(National Collections of Industrial and Marine Bacteria Limited)(MCIMB)に1996年11月27日に保管され、及びそれぞれ受託番号NCIMB40830及び40829を認定されたとして記載されている。
【0027】
本発明の一つの実施形態では、組成物(最も好ましくは内部コア)は、内部コアのグラム当たり少なくとも約106cfu、より好ましくは約106cfu〜約1015cfu、更により好ましくは約107〜約1013cfu、及び最も好ましくは約108〜約1012cfuの細菌を含む。
【0028】
内部コア構成成分のその他の例として、1以上のビタミンが使用されもよい。ビタミンの安定性は多くの場合、その他の環境要因に加えて水分活性により影響される。例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、及びこれらの混合物を使用してもよい。脂溶性ビタミン、例えばβ−カロチン、及びその他のビタミンA供給源は、それらが湿気に敏感であることのために内部コアへの組み込みに特に有用である場合がある。ビタミンC、ビタミンE、及びこれらの混合物もまた特に有用である。
【0029】
内部コア構成成分の更に別の例として、1以上の酵素が使用されもよい。例えば、タンパク質分解酵素(例えば、パンクレアチン)が使用されもよい。
内部コアに有用な構成成分のその他の非限定例には、ジクロフェナク、ナプロキセン、アスピリン、インドメタシン、オメプラゾール、強心配糖体、ナトリウム、カリウム、又はマグネシウム塩による電解質製剤、並びにカルシウム及び鉄製剤、ビサコジル製剤、バルプロ酸、5−ASA、ステロイド、例えばヒドロコルチゾン、ブデソニド、下剤、オクトレオチド、シサプリド、抗コリン剤(anticholinergies)、カルシウムチャネル遮断薬、5HT3拮抗薬、例えばオンダンセトロン及びインスリンのようなペプチドが挙げられる。
【0030】
前述のように、内部コアの構成成分は賦形剤であってもよい。賦形剤は、当該技術分野においてことのほか周知である。賦形剤の非限定例には、甘味剤(例えば以下に記載されるようなもの);着香剤及び/又は着色剤(例えば以下に記載されるようなもの)、デンプン、例えばトウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及びメチルセルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;固体潤滑剤、例えばステアリン酸及びステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;植物油、例えば落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びカカオ油;多価アルコール、例えばプロピレングリコール、グリセリン、及びポリエチレングリコール;アルギン酸;乳化剤、例えばトウィーンズ(TWEENS);湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム;錠剤化剤、例えば結合剤、安定剤;酸化防止剤;並びに防腐剤が挙げられる。
内部コアは、任意に錠剤中又はその他の圧縮されたビヒクル中に形成されてもよい。更に又は別の方法としては内部コアはカプセル化されてもよく、その際組成物はカプセルである。内部コアを取り囲むカプセル層は、これは本発明の好ましい実施形態であるが、本明細書の以下に詳述される。
【0031】
(任意のカプセル層)
任意ではあるが、好ましい本発明の実施形態では、組成物は内部コアを取り囲む、及び内部コアに結合するカプセル層を含む。最も好ましくはこのカプセル層は、内部コアに隣接し、及び内層及び外層に対して前の層である。この実施形態では、組成物は錠剤、カプセル、又は同様のものの形態、好ましくはカプセルの形態により提供される。
【0032】
好ましくはカプセル層は、ゼラチン(改質ゼラチン、例えばゼラチンフタラート又はゼラチンサクシネートを包含する)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、デンプン、セルロース系ポリマー、その他の同様なポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択される構成成分を含む。最も好ましくは、カプセル層はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。本発明の組成物の特に好ましい実施形態では、カプセル層は更に可塑剤を含む。
【0033】
カプセル層は、標準的技術によって内部コアにより充填されてもよいし、又はさもなければ内部コアに結合されてもよい。例えばカプセル層は提供され、内部コアにより充填され、所望であれば密封され、次いで内層及び外層により更にコーティングされてもよい。例えば硬い二部分から成るカプセルは密封されてもよく、例えばバンディング、又はカプスゲル(Capsugel)(ワーナー・ランバート社の一部門(Division of Warner-Lambert Company)(米国、サウスカロライナ州グリーンウッド))より市販されているLEMS(微小噴霧による液体封入(liquid encapsulation micro-spray)を介して密封されてもよい。
【0034】
(内層)
内層は、内部コアを取り囲み、及び内部コアに結合する。内層は、pH約3以下で不溶性である連続コーティング、約3mg/cm2〜約25mg/cm2のコーティング重量を有する連続コーティング、及びこれらの組み合わせから選択される。本明細書で使用する時、「連続」という用語は、層がどの地点においても空間によって中断しないことを意味する。
【0035】
好ましくは内層は、pH約3以下、あるいは約4以下、あるいは約5以下で不溶性である連続コーティングである。より好ましくはこうした内層は、pH約5以上、あるいは約5.2以上、あるいは約5.5以上で可溶性である。最も好ましくは、内層は、pH約5〜約7、あるいは約5.2〜約6.8、あるいは約5.5〜約6.5で可溶性である連続コーティングである。本明細書で使用する時、「不溶性」という用語は、参照層の重量において、少なくとも約75重量%の参照層が25℃の温度の水に溶解しないことを意味する。本明細書で使用する時、「可溶性」という用語は、両方共参照層の重量において、少なくとも約50重量%の参照層が、より好ましくは少なくとも約75重量%の参照層が、25℃の温度の水に溶解することを意味する。
【0036】
内層の厚さは、内層が、したがって内部コアが、この形態が所望の送達部位、例えば腸管の中央部又は低部に到達するまでは原型を保つことを確実にするために重要である場合がある。その際内層は、約3mg/cm2〜約25mg/cm2のコーティング重量を有する連続コーティングであり、内部コーティング重量はpH約3以下で不溶性であってもよいし、又はなくてもよい。しかしながら、好ましくは内層がこのコーティング重量を有する場合、内層はまた本明細書で上に記載されたような不溶性又は可溶性を示す。更に又は別の方法としては、内層が約4mg/cm2〜約20mg/cm2のコーティング重量を有することは好ましい場合がある。
【0037】
理論に束縛されることを意図しないが、放出が胃腸管の中央部又は低部の場所で達成されるように、内層が内部コアの制御放出を提供することは好ましい。内層は、敏感な内部コア構成成分の口腔、咽頭、食道、及び胃、並びにこれらの組織に関連した酵素及びその他の構成成分への暴露を防止又は最小化してもよい。
【0038】
内層は、1以上の物質を含む。好ましい物質の非限定例には、ゼイン、セラック、セルロース系ポリマー及びコポリマー、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースメチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートトリメリチエート(cellulose acetate trimellitiate)(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPMCP)、セルロースアセテートフタラート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。ビニルポリマー及びコポリマー、例えばポリビニルアセテートフタラート(PVAP)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ビニルアセテートクロトン酸コポリマー、及びエチレンビニルアセテートコポリマー。
【0039】
好ましくは、内層はアニオン性ポリマーを含む。内層に用いるのに最も好ましい物質には、メタクリル酸、メタクリレート、アクリル酸、又はアクリレートのコポリマーが挙げられる。こうしたコポリマーの非限定例には、ローム・ファーマ(Rohm Pharma)(ドイツ)から市販されている、オイドラギット(EUDRAGIT)の名前で販売されているものが挙げられる。これらのポリマー及びコポリマーは、胃腸管の中央部又は低部への目標とする送達に特に有用である。例えば、オイドラギット(EUDRAGIT)L100−55、オイドラギット(EUDRAGIT)L30−D55(pH約5.5以上で可溶性)、オイドラギット(EUDRAGIT)L100(pH約6以上で可溶性)、及びオイドラギット(EUDRAGIT)S100(pH約7以上で可溶性)、及び同様のポリマーである。オイドラギット(EUDRAGIT)Sはそれ自体で(即ちその他のオイドラギット(EUDRAGIT)又はその他の同様な物質を含まずに)結腸への目標とする送達に用いることができる。あるいはオイドラギット(EUDRAGIT)SはpH約7未満の腸の流体にあまり可溶性ではないため、内部コア構成成分を腸管の様々な部分に送達してもよい遅延放出組成物を提供するために、例えばオイドラギット(EUDRAGIT)L−30D(pH約5.5以上を有する腸の流体に可溶性)と組み合わせて用いることができる。例えばより多くのオイドラギット(EUDRAGIT)L−30Dが用いられる場合、送達は小腸のより近い部分で開始する場合があるが、より多くのオイドラギット(EUDRAGIT)Sが用いられる場合、送達は小腸のより遠い部分で開始する場合がある。この例では、オイドラギット(EUDRAGIT)L−30D及びオイドラギット(EUDRAGIT)Sの両方が、類似の溶解特性を有するその他のポリマー又はコポリマーにより置き換えられてもよいことは当業者には容易に理解される。
【0040】
内層は、外層に対して前の層である(即ち外層は内層に対して後の層である)。1層以上のその他の層が内層に対して前の層であってもよいが、内層は任意に内部コアに隣接してもよい。好ましくは内層は(任意の)カプセル層に隣接し、その際カプセル層はまた内部コアに隣接する(即ち内層はカプセル層に対して後の層である)。
【0041】
1層以上のその他の層が内層に対して後の層であってもよいが、内層は任意に外層に隣接してもよい。好ましくは内層は外層に隣接する。
最も好ましくは内層はカプセル層に隣接し(及びカプセル層に対して後の層である)、及びまた外層に隣接する(及び外層に対して前の層である)。本明細書の最も好ましい実施形態では、組成物は、内部コア、カプセル層、内層、及び外層を含む。
【0042】
(外層)
外層は連続疎水性コーティングである。本明細書で使用する時、「連続」という用語は、層がどの地点においても空間によって中断しないことを意味する。
そのため外層は、外層が疎水性であるように1以上の物質を含む。
【0043】
本発明の好ましいが任意の実施形態では、外層に関して疎水性という用語は、国際標準化機構国際規格(ISO International Standard)の名称「シート材料 − 水蒸気透過度の測定 − 重量(ディッシュ(Dish))法」(参照番号ISO2528:1995(E))を用いて測定した場合に、外層が、約200mg/m2/24時間未満の水蒸気透過度(WVTR)を示すことを意味する。別の実施形態では、外層に関して疎水性という用語は、外層が、この規格(Standard)を用いて約100mg/m2/24時間未満の水蒸気透過度(WVTR)を有することを意味する。
【0044】
外層に包含されてもよい好ましい物質の非限定例には、脂肪酸、脂肪酸誘導体、ポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。最も好ましくはこれらの物質は疎水性であり、その結果外層はこの物質の包含により疎水性にされる。例えば外層はスリップ助剤(本明細書に後述するように)を含んでもよい。
【0045】
脂肪酸誘導体には、脂肪(例えば、脂肪酸グリセリルエステル、例えば硬化植物油)、及びワックス(例えば動物、化石、植物、鉱物、又は合成ワックス、例えばカルナバ、蜜蝋、カロブ、キャンデリラ、オゾケライト、ポリエチレンワックス、石蝋、これらの混合物など)を挙げることができる。ワックスは、特に好ましい。ポリマーには、ポリビニルピロリドン、ビニルアセテート、エチルセルロース、セルロースアセテートフタラート(例えばアクアテリック(AQUATERIC))、セルロースアセテートトリメリエート(cellulose acetate trimelliate)、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、これらの混合物などを挙げることができる。最も好ましくは外層は、脂肪酸、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物から成る群から選択される物質を含む。
【0046】
本明細書の任意の実施形態では、外層は、約3mg/cm2〜約25mg/cm2、より好ましくは約4mg/cm2〜約20mg/cm2のコーティング重量を有する連続コーティングである。
【0047】
外層は、内部コア及び内層の両方に結合する。外層は、内層に対して後の層である(即ち内層は外層に対して前の層である)。外層は内部コアに隣接しない。外層は前の層に隣接し、その際前の層は好ましくは内層である。したがって1以上の層が外層と内層との間に任意に介在してもよい。また任意に外層は、内部コアの近傍から更に遠い層に対して前の層であってもよい。しかしながら最も好ましくは、外層は内部コアに対して最外層である。
【0048】
(本発明の組成物の任意構成成分)
本発明の組成物はそれらの性能を高めるために、追加の任意構成成分を独立して含んでもよい。例えば、1以上の可塑剤、着色剤、着香剤、甘味剤、酸化防止剤、緩衝剤、スリップ助剤、その他の賦形剤などが本明細書の組成物中に任意に包含されることができる。任意構成成分の非限定例が以下に示される:
(可塑剤)
理論に束縛されることを意図しないが、可塑剤により組成物はより容易に変形され、より脆性でなく、及び/又は機械的損傷をより受けにくくなる。したがって、1以上の可塑剤が本発明の組成物、特に組成物の層に、層の連続性を中断し得るクラッキング(空間の創造)を層が受けにくいように任意に添加されてもよい。
【0049】
可塑剤の非限定例には、フタラート(例えば、ジエチルフタラート、ジブチルフタラート、ジオクチルフタラート)、シトレート(例えば、トリエチルシトレート(例えば、シトロフレックス(CITROFLEX)2)、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、及びアセチルトリブチルシトレート)、多価アルコール(例えば、ソルビトール、グリセロール)、トリアセチン(グリセリルトリアセテート)、ポリエチレングリコール(例えば、カーボワックス(CARBOWAX)400)、ポリソルベート80、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、プロピレングリコール、脂肪酸エステル、界面活性剤ポリマー、カンファー、シリコーンオイル、ヒマシ油、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
用いられる可塑剤の量は、例えば用いられる可塑剤、及び最終層の所望の特徴(例えば、柔らかいゼラチン層か、又は硬いゼラチン層か)に依存して変化する。例えば本発明の組成物の好ましい実施形態では、可塑剤を含む層は、好ましくは、可塑剤を含む層の約1重量%〜約60重量%、より好ましくは約5重量%〜約40重量%の可塑剤を含み、及び最も好ましくは約10重量%〜約35重量%の可塑剤を含む。
【0051】
(着色剤)
1以上の顔料又は他の好適な着色剤、例えば染料及びレーキが組成物中に組み込まれてもよい。米国FD&C染料(例えば、黄5号、青2号、赤40号)、及び/又は米国FD&Cレーキが好ましくは用いられる。本発明に用いられてもよい好ましいレーキには、例えばレーキ赤40号、黄6号、青1号などが挙げられる。更に、米国FD&C染料及び/又は米国FD&Cレーキの混合物が、その他の従来の食品及び食品着色剤との組み合わせにおいて用いられてもよい。更なる例として、リボフラビン及びβ−カロチンもまた用いられてもよい。更に、例えば、果実、野菜、及び/又はブドウ、黒すぐり、アロニア、ニンジン、ビートの根、赤キャベツ、及びハイビスカスなどの植物抽出物を包含する他の天然着色剤もまた使用されてもよい。
【0052】
本明細書で用いられる着色剤は、内部コア、内層、外層、及び/又はいずれかのその他の層若しくは本発明の組成物の構成成分(例えば、存在する場合カプセル層)に独立して使用されてもよい。例えば1以上の着色剤が、所望の外観を最終組成物に付与するために内部コアに最も近くない層に用いられてもよい。
用いられる着色剤の量は、用いられる剤及び最終組成物における所望の特徴又は強度に依存して変化する。当業者は容易にこうした決定をする。
【0053】
(着香剤)
1以上の着香剤が、それらの口当たりの良さを高めるために、特に内部コアから最も遠い層の構成成分として本発明の組成物中に組み込まれてもよい。いずれの天然又は合成着香剤も本発明に用いることができる。本明細書で使用する時、こうした香味は合成又は天然の香味であってもよい。
【0054】
例えば、1以上の植物及び/又は果実の香味を本明細書に使用してもよい。特に好ましい果実の香味は、例えばパッションフルーツの香味、マンゴの香味、パイナップルの香味、クプアクの香味、グァバの香味、ココアの香味、パパイヤの香味、ピーチの香味、及びアプリコットの香味などの異国風の香味及び乳製風の香味である。これらの香味の他に、例えばリンゴの香味、柑橘類の香味、ブドウの香味、ラズベリーの香味、クランベリーの香味、チェリーの香味、グレープフルーツの香味などの様々な他の果実の香味を使用することができる。これらの果実の香味は果汁及び香味油などの天然資源から得られるか、又は別の方法としては合成的に調製されてもよい。
【0055】
本明細書で用いられる着香剤は、内部コア、内層、外層、及び/又はいずれかのその他の層若しくは本発明の組成物の構成成分(例えば、存在する場合カプセル層)に独立して使用されてもよい。例えば1以上の着香剤が、所望の香味を最終組成物に付与するために内部コアから最も遠い層に用いられてもよい。
用いられる着香剤の量は、用いられる剤及び最終組成物における所望の特徴又は強度に依存して変化する。当業者は容易にこうした決定をする。
【0056】
(甘味剤)
例えば炭水化物甘味剤、並びに天然及び/又は人工のカロリー無し/低カロリーの甘味剤を包含する1以上の甘味剤が、本明細書に任意に用いられてもよい。例えば本発明の組成物は、炭水化物甘味剤のいずれか、好ましくは単糖類及び/又は二糖類によって甘味付けすることができる。本発明の組成物中に用いる好ましい糖甘味剤は、スクロース、フルクトース、グルコース、マルトース、及びこれらの混合物である。
【0057】
1以上の非常に強い甘味剤が、特に内部コアに最も近くない層の構成成分として使用されてもよい。例えば、1以上の次の甘味剤:サッカリン、シクラメート、L−アスパルチル−L−フェニルアラニン低級アルキルエステル甘味剤(例えば、アスパルテーム);L−アスパルチル−D−アラニンアミド(米国特許第4,411,925号に開示);L−アスパルチル−D−セリンアミド(米国特許第4,399,163号に開示);L−アスパルチル−L−1−ヒドロキシメチルアルカンアミド甘味剤(米国特許第4,338,346号に開示);L−アスパルチル−1−ヒドロキシエチルアルカンアミド(hydroxyethyalkaneamide)甘味剤(米国特許第4,423,029号に開示);L−アスパルチル−D−フェニルグリシンエステル及びアミド甘味剤(欧州特許出願168,112(1986年1月15日公開)に開示);N−[N−3,3−ジメチルブチル)−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステル甘味剤(PCT国際公開特許WO99/30576に開示);タウマチン;ジヒドロカルコン;シクラメート;ステビオシド;グリチルリチン、合成アルコキシ芳香族;スクラロース;スオサン(suosan);ミラクリン;モネリン;ソルビトール、キシリトール;タリン(talin);スルファミン酸シクロヘキシル;置換イミダゾリン;合成スルファミン酸、例えば、アセスルファム、アセスルファムK、及びn−置換スルファミン酸;オキシム、例えば、ペリラルチン(perilartine);ペプチド、例えば、マロン酸アスパルチル及びサッカニリン酸(succanilic acid);ジペプチド;アミノ酸系甘味剤、例えば、gem−ジアミノアルカン、m−アミノ安息香酸、L−アミノジカルボン酸アルカン、並びに特定のα−アミノジカルボン酸及びgem−ジアミンのアミド;並びに3−ヒドロキシ−4−アルキルオキシフェニル脂肪族カルボキシレート又は複素環式芳香族カルボキシレート;エリスリトール;並びにこれらの混合物が使用されてもよい。アスパルテームは特に好ましい。
【0058】
本明細書に用いられる甘味剤は、内部コア、内層、外層、及び/又はいずれかのその他の層若しくは本発明の組成物の構成成分(例えば、存在する場合カプセル層)に独立して使用されてもよい。例えば1以上の甘味剤が、所望の甘味の特徴を最終組成物に付与するために、内部コアから最も遠い層に用いられてもよい。更なる例として甘味剤は、内部コアの構成成分として、例えば賦形剤として独立して使用されてもよい。
用いられる甘味剤の量は、用いられる剤及び最終組成物における所望の特徴又は強度に依存して変化する。当業者は容易にこうした決定をする。
【0059】
(酸化防止剤)
1以上の酸化防止剤が、本発明の組成物中に使用されてもよい。天然起源並びに合成の酸化防止剤が用いられてもよい。天然の酸化防止剤の非限定例には、トコフェロール(例えば、ビタミンE)、アスコルビン酸(例えば、ビタミンC)、ビタミンA(例えば、β−カロチン)、ブドウの種の抽出物、セレン、及び捕酵素Q10が挙げられる。合成酸化防止剤の非限定例には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、及び没食子酸プロピルが挙げられる。最も好ましくは酸化防止剤は、内部コアの構成成分と混合される。
【0060】
(緩衝剤)
1以上の緩衝剤が、環境内の一定のpHを保持するために、本発明の組成物中に用いられてもよい。例えば、アセテート緩衝剤、シトレート緩衝剤、及びホスフェート緩衝剤が用いられてもよい。非限定例には、酢酸、酢酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムが挙げられる。最も好ましくは緩衝剤は、内部コアの構成成分と混合される。
【0061】
(スリップ助剤)
1以上のスリップ助剤が、組成物の表面摩擦、耐水性、磨耗耐性、及び/又はその他の機械的特性を改善するために、本発明の組成物中に任意に包含されてもよい。例えば、スリップ助剤は、内部コアから最も遠い層に包含されてもよく、その結果哺乳類は経口投与される場合に、より容易に組成物を飲み込むことができる。
【0062】
用いられてもよいスリップ助剤の非限定例には、例えば動物、化石、植物、鉱物、又は合成ワックスを包含するワックス添加物が挙げられる。好ましいワックス添加物には、カルナバ、蜜蝋、カロブ、キャンデリラ、オゾケライト、ポリエチレンワックス、石蝋、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。その他の非限定例には、界面活性剤、グリセリン、油、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0063】
本明細書で用いられるスリップ助剤は、内部コア、内層、外層、及び/又はいずれかのその他の層若しくは本発明の組成物の構成成分(例えば、存在する場合カプセル層)に独立して使用されてもよい。例えば1以上のスリップ助剤が、内部コアから最も遠い層に好ましくは用いられる。前述のように、外層は好ましくはこの最も遠い層であり、及びスリップ助剤は多くの場合、投与の容易さを高めるために、並びに所望の疎水性を付与するためにその中に使用される構成成分である。
スリップ助剤の量は、用いられる助剤及び助剤の具体的な目的に依存して変化する。当業者は容易にこうした決定をする。
【0064】
(印刷物質)
本明細書の組成物は任意に印刷物質を含んでもよい。例えば組成物は、製造者及び/又は消費者に有用な情報を伝えてもよいし、又は伝えなくてもよい文、言葉、絵、記号、及び/又はその他の可視画像を含んでもよい。例えば、カプセルは、生物活性構成成分の投薬量レベルを表示してもよいし、又は商標若しくはその他の同様の記述子を表示してもよい。典型的には用いられる場合、こうした印刷物質は、内部コアに対して最も遠い層の表面上に印刷される。物質は本明細書の組成物の表面上に、多様な周知の方法、例えば物質をカプセルに移動するエンボスローラー上にカプセルを通過させることを介して印刷される。
【0065】
(本発明の組成物の使用方法)
本発明の組成物の使用方法は、様々な健康上の利益を提供するために、本発明の組成物を哺乳類、好ましくはヒトに経口投与する(即ち摂取により)ことを含む。提供される具体的な健康上の利益は、典型的には、内部コアの特徴、並びに内層の特徴に依存する。投与の頻度は限定されず、並びに組成物の具体的な特徴及び所望の健康上の利益に依存してもよい。例えば内部コアが細菌を含む場合には、特定の健康上の利益、例えば炎症、望ましくない胃腸活性、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、感染性大腸炎(post-infection colitis)、及び回腸嚢炎の治療が結果としてもたらされ及び好ましい場合がある。例えば、PCT国際公開特許WO00/42618、及びPCT国際公開特許WO00/41707を参照のこと。
【0066】
本明細書で使用する時、哺乳類(好ましくは、ヒト)に関して、「経口投与する」という用語は、哺乳類が1以上の本発明の組成物を摂取する、又は摂取するように導かれることを意味する。哺乳動物が1以上の組成物を摂取するように導かれる場合、こうした指導は、ユーザーに組成物の使用によって1以上の一般的な健康上の利益が提供される場合があること及び/又は提供されることを教え及び/又は知らせるものであってもよい。例えば、そのような指導は、口頭指導(例:例えば、医師、保健専門家、専門販売員、又は協会による口頭での指示、及び/又はラジオやテレビ媒体(即ち、広告)を通じて)、又は書面での指導(例:例えば、医師又は他の保健専門家(例:手書きメモ)、専門販売員、又は協会(例:例えば、広告用チラシ、パンフレット、又はその他教育的備品を通じて)による書面指示を通じて)、文字媒体(例:インターネット、電子メール、その他コンピュータ関連媒体)、及び/又は本組成物に関連する包装(例:本組成物を収容する包装上に存在するラベル)であってもよい。本明細書で使用する時、「書面での(written)」とは、文、言葉、絵、記号、及び/又はその他の可視画像によることを意味する。
【0067】
(本発明の組成物の製造方法)
本発明の組成物は、この開示の手引きを前提として、当該技術分野においてよく理解されている方法にしたがって製造されてもよい。コーティングされた剤形を調製するための物質、装置、及び方法に関する詳細な情報は、「薬剤剤形:錠剤(Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets)」、リーバーマン(Lieberman)ら編集(ニューヨーク、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker,Inc.)、1989年)、及び「薬剤剤形及び薬品送達システム(Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems)」第6版、アンセル(Ansel)ら、(メディア(Media)、ペンシルバニア州、ウィリアムズ・アンド・ウィルキンズ(Williams & Wilkins)、1995年)に見出されてもよい。例えば様々な層の調製及びカプセルのコーティングはよく文書化されており、及び多くの場合次のように分類されてもよい:
(a)エアサスペンション・コーティング(例えば流動床乾燥を使用する);
(b)パンコーティング(例えば回転ドラムを使用する);及び
(c)ディップコーティング(例えば、カプセルを物質の溶液又は融解物中に浸漬する)。
【0068】
本明細書に記載される層は、溶液として適用されてもよく、その際溶媒は蒸発させられそれにより乾燥した被覆を残すか、又は融解物を使用することにより適用されてもよく、その場合この層は温かい状態で適用され及び冷却される。
【0069】
しかしながら、本発明の多層組成物の調製に関しては、注意深く幾つかの考慮をすることが必要である。例えば外層が内層に隣接する場合には、外層は、構築された内層に著しい影響又は障害を与えずに適用されることが必要である。例えば内層が、外層を適用するために用いられる溶媒により可溶化される可能性がある場合には、外層は、溶液が内層と接触する前にこの溶媒の大部分が除去されるように適用されることが必要である。これは外層を、連続内層(これは内部コア、及び任意にカプセル層を取り囲む)上に噴霧することにより達成されてもよい。溶媒は、こうした噴霧中に実質的に蒸発する。別の方法としては又は更には、例えば内層が外層の適用中に機械的に損傷されないことを確実にしてもよい。こうした損傷は、エアサスペンション又はパンコーティング中に生じる場合があり、その際個々の剤形が共に崩れる及び/又はコーティング装置の壁に接触する場合がある。これらの状況では、1以上の可塑剤を内層の一部として包含することは、脆性を軽減し及び層をより機械的に強くできるために有利である場合がある。
【0070】
別の方法としては又は更には、本発明の組成物の様々な層を適用するために使用される温度では、内部コアが融解しない及び流動化しないことを確実にしてもよい。こうした融解の可能性がある場合には、コーティングプロセス(複数)は、内部コアの流動化を最小にするために迅速に実行されることが必要である。
【実施例】
【0071】
次のものは従来の方法を使用して調製される本発明の組成物の非限定的な実施例である。以下の実施例は本発明を説明するために提供され、及びいかなる方式においても本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0072】
(実施例1)
本発明にしたがう組成物は次のように調製される。5kgの硬い、バンディングされた二部分から成るヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル(サイズ3)であって、各々が約180mgの冷凍乾燥プロバイオティク製剤(約1010cfuのビフィドバクテリウム・インファンティスを含む)を含む内部コアを含有するものが得られる。カプセルは、内径約63.5cm(25インチ)を有するパンの中で回転される。カプセル床の温度がおよそ25℃に保持される一方で、第1のコーティング製剤がカプセル上に、プロセス中の蒸発速度が少なくとも約2.5g/分/kgカプセル、において噴霧され、この噴霧は内層を形成する。コーティング製剤は約40℃の温度に保持され、並びにオイドラギット(EUDRAGIT)L30D55(第1コーティング製剤の約70重量%)、トリエチルシトレート(第1コーティング製剤の約5重量%)、トウィーン(TWEEN)80(約30重量%水溶液)(第1コーティング製剤の約1重量%)、及び約24%の水を含む。約8mg/cm2のコーティング重量を達成する際に、内層でコーティングされたカプセルは、最終乾燥を約40℃で約5分間受ける。
【0073】
次に外層が次のように適用される。コーティングされたカプセルは、約35℃〜約40℃の温度で、内径約63.5cm(25インチ)を有する別のパンの中で回転される。微細粉末カルナバ蝋(約100μm〜約150μmの粒径を有する)が、約10mg/cm2のコーティング重量が達成されるまで回転するカプセルにゆっくりと添加される。この実施例の組成物はそのため、内部コア、カプセル層、内層、及び外層を含む。
【0074】
(実施例2〜5)
内層を調製するために用いられるコーティング製剤が次のように修正されることを除いて、視覚的に魅力的なカプセルが実施例1にしたがって調製される(すべての濃度はコーティング製剤の重量による重量百分率により表される):
【0075】
【表1】

結果として得られる内層は、視覚的に魅力的なコーティングにより、消費者又は患者の受容性を高め及び投与の順守を増加する組成物をもたらす。
【0076】
(実施例6〜9)
外層を調製するために用いられるコーティング製剤が次のように修正されることを除いて、官能的に魅力のあるカプセルが、実施例1、2、3、4、又は5にしたがって調製される(すべての濃度は外層を調製するために用いられるコーティング製剤の重量による重量百分率により表される):
【0077】
【表2】

結果として得られる外層は、官能的に魅力的なコーティングにより、消費者又は患者の受容性を高め及び投与の順守を増加する組成物をもたらす。
【0078】
(実施例10)
実施例1に記載されるプロセスの修正では、外層はディップコーティングプロセスを用いてカプセルに適用される。内部コア、カプセル層、及び内層を含むカプセルが融解したワックス中に沈められる。取り出された後、ワックスは固化される。このプロセスは、連続コーティングが生成されるまで繰り返される。
【0079】
(実施例11)
実施例10にしたがって用いられたディップコーティングプロセスの具体例では、内部コアは、アセチルサリチル酸を含み、及びHPMCカプセル層によりカプセル化される。内層が、カプセル層を取り囲んで調製され、そして乾燥される。このカプセルが次に約90℃の温度の蜜蝋中でディップコーティングされ、次に冷却される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1以上の構成成分を含む内部コア;
(b)前記内部コアに結合する内層であって、その際前記内層が、pH約3以下で不溶性である連続コーティング、約3mg/cm2〜約25mg/cm2のコーティング重量を有する連続コーティング、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される内層;並びに
(c)前記内部コアに結合する外層であって、その際前記外層が連続疎水性コーティングである外層;
(その際前記内層が、前記外層に対して先に施した層である)を特徴とする組成物。
【請求項2】
前記内層が、pH約5以上で可溶性の連続コーティングである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記外層が、約200mg/m2/24時間未満の水蒸気透過度を示し、並びに、脂肪酸、脂肪酸誘導体、ポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択される物質を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
更にカプセル層を含み、その際前記内層が前記カプセル層に隣接しており、前記カプセル層が前記内部コアに隣接している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記内層がアニオン性ポリマーを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記アニオン性ポリマーが、メタクリル酸、メタクリレート、アクリル酸、又はアクリレートのコポリマーである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記外層が、脂肪酸、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物から成る群から選択される物質を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記内層及び外層の少なくとも1層が可塑剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記内部コアが細菌を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記内部コアが細菌を含み、その際少なくとも複数の前記細菌が、乳酸菌、ビフィズス菌、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2006−507259(P2006−507259A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541890(P2004−541890)
【出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2003/030817
【国際公開番号】WO2004/030652
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【出願人】(504031045)アリメンタリー・ヘルス・リミテッド (4)
【Fターム(参考)】