説明

円筒型遮水層

【課題】複数分割した粘土系遮水材からなるブロックを隙間無く定置する。また廃棄物を正確な位置に搬送する。
【解決手段】トンネル1の覆工10の内周面にトンネル軸方向に延在するガイドレール4を設け、当該ガイドレール4によって粘土系遮水材2における遮水材ブロックを支持する。このため、粘土系遮水材2の円筒状を維持するとともに、トンネル1の内部の所定位置に正確に配置できる。特に、ガイドレール4は、遮水材ブロックとして、収容部21を周方向に分割した収容部ブロック211を円筒状に組み合わせた外周面を支持して当該円筒状を維持する。このため、各収容部ブロック211間にズレを生じることなく収容部21の円筒状を維持できる。また、遮水材ブロックを支持するガイドレール4によって廃棄物搬送装置をトンネル軸方向に移動可能に案内すれば、廃棄物3を収容部21の内部空間の所定位置に迅速かつ正確に配置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物や放射性廃棄物を埋設処理する際に用いられる円筒型遮水層に関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物や放射性廃棄物を地中に埋設処理する場合においては、地下水に毒性物質を漏出させない遮水層を構築し、この遮水層内に前記廃棄物を収容する。遮水層の外壁には、ベントナイトあるいはベントナイトと骨材とを混練した高密度な粘土系遮水材が使われている。
【0003】
従来、事前に高い密度に成型した粘土系遮水材をブロック形状にして、定位置に積み上げて遮水層を構築する方法が提案されている。ここでは、粘土系土質材料をプレスすることで高密度な成型体に形成したり、分割した寸法形状のブロックに予め成型したりすることで、円筒型廃棄物の周囲に組み合わせて設置する例も報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、予めブロック状に成型した高密度な粘土系遮水材を、円筒型廃棄物の周囲に組み合わせて設置する方法が提案されている。具体的には、円形型トンネルを構成している支保工の内側に円筒型遮水層を構築する際に、トンネルの軸方向に分割した円筒型をさらに円周方向に複数分割した粘土系遮水材からなるブロックを用いている。そして、支保工の下半分にブロックを設置して円筒型遮水層の下半部分を構築し、次いで、構築された円筒型遮水層の下半部分の上(内側)に中空状の内空支持円筒体を配置し、しかる後に、内空支持円筒体の上(外側)に支保工の上半分のブロックを設置することで円筒型遮水層の上半部分を構築する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【非特許文献1】核燃料サイクル開発機構、「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性総論レポート」平成11年11月26日発行、p.IV−52
【特許文献1】特開2005−144278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1参照の発明のように、トンネルの軸方向に分割した円筒型をさらに円周方向に複数分割した粘土系遮水材からなるブロックを用いる場合、分割したブロックを円筒型に配置するためには、当該円筒型の外径寸法が支保工の内径寸法に合致するように構成する必要がある。しかし、実際には、支保工内にブロックを搬送して定位置に定置するために、支保工の内径を円筒型遮水層の外径よりも大きくして支保工の内壁面と円筒型遮水層の外壁面との間に隙間を設ける必要がある。すなわち、ブロックを円筒型とした外周面の曲率は、支保工の内周面の曲率よりも小さい。このため、分割したブロックを円筒型に組み合わせることができず各ブロック間に隙間が生じてしまうことになる。
【0007】
また、円筒型遮水層に収容する廃棄物は遮蔽機能を有する円筒状の容器に装填された形態で円筒型廃棄物をなす。この円筒型廃棄物は、一般に数10トンの重量を有する。しかし、円形型トンネルにおいて、このように重量の嵩む円筒型廃棄物を、損傷しやすい粘土系遮水材からなる円筒型遮水層の中空部に挿入するには、高い精度および重量に耐える剛性を要し、搬送装置が大型な重量物になってしまう。しかも、廃棄物が毒性物質であり、搬送装置を遠隔操作する必要性があるが、上記のごとく高い搬送精度を要するために、短時間で作業を行うことが困難である。このように、廃棄物を正確な位置に搬送することは難しい。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、複数分割した粘土系遮水材からなるブロックを隙間無く定置することができ、また廃棄物を正確な位置に搬送することができる円筒型遮水層を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る円筒型遮水層は、略円形断面のトンネルの内部に粘土系遮水材を円筒状に配置し、当該粘土系遮水材からなる円筒内に廃棄物を収容する円筒型遮水層において、前記粘土系遮水材の円筒状をトンネルの軸方向で分割した円環状をさらに円周方向で複数分割して成型した遮水材ブロックと、前記遮水材ブロックを円筒状に組み合わせた外周面を支持して当該円筒状を維持する態様で前記トンネルの軸方向に延在して配置したガイドレールとを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2に係る円筒型遮水層は、略円形断面のトンネルの内部に粘土系遮水材を円筒状に配置し、当該粘土系遮水材からなる円筒内に廃棄物を収容する円筒型遮水層において、前記粘土系遮水材の円筒状の外周面を支持する態様で前記トンネルの軸方向に延在して配置してあり、かつ、前記粘土系遮水材の円筒内に廃棄物を搬送する廃棄物搬送装置を延在方向に移動可能に案内するガイドレールを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る円筒型遮水層は、遮水材ブロックを円筒状に組み合わせた外周面を支持して当該円筒状を維持する態様で前記トンネルの軸方向に延在して配置したガイドレールを備えた。このため、粘土系遮水材の円筒状を維持するとともに、この粘土系遮水材をトンネルの内部の所定位置に正確に配置することができる。特に、ガイドレールは、粘土系遮水材の円筒状をトンネルの軸方向で分割した円環状をさらに円周方向で複数分割して成型した遮水材ブロックを円筒状に組み合わせた外周面を支持して当該円筒状を維持する。このため、各遮水材ブロック間にズレを生じることなく円筒状を維持することができる。この結果、廃棄物を収容する空間を適宜形成して、地下水に廃棄物の毒性物質を漏出させることのない遮水層を構築することができる。
【0012】
また、ガイドレールの上で遮水材ブロックを支持するので、フォークリフトなどで運搬した遮水材ブロックを直接ガイドレール上に置くことができ、さらにガイドレールの上で遮水材ブロックをガイドレールの延在方向(トンネル軸方向)に押して搬送することができる。この結果、損傷しやすく強度が小さい粘土系遮水材を所定位置に配置するための位置決めを容易に行うことができる。また、遮水材ブロックをトンネル軸方向Xに押して搬送できるので、トンネル内にガイドレールの高さよりも大きいスペースを必要としない。
【0013】
また、廃棄物の収容は、放射線量が高い空間での作業となるため、正確な位置に定置することが容易でない。しかし、放射線量が高線量環境となる以前の円筒型遮水層の構築時に、トンネルの覆工の内周面にガイドレールを予め精度良く設置することは容易であるため、その後の廃棄物の収容における定置精度を確保することができる。
【0014】
本発明に係る円筒型遮水層は、粘土系遮水材の円筒状の外周面を支持する態様で前記トンネルの軸方向に延在して配置してあり、かつ、粘土系遮水材の円筒内に廃棄物を搬送する廃棄物搬送装置を延在方向に移動可能に案内するガイドレールを備えた。このため、廃棄物搬送装置の移動および停止や、廃棄物の搬送を正確に行うことができ、廃棄物を粘土系遮水材の円筒状の内部空間の所定位置に迅速かつ正確に配置することができる。また、ガイドレールで廃棄物搬送装置を支持しているので、廃棄物搬送装置の構成部材を軽微にすることができ、廃棄物搬送装置の軽量化を図ることができる。特に、フォークリフト型の搬送装置では、カウンターウェイトを多く必要とするが、ガイドレールに転倒防止機構を設ければカウンターウェイトのような重量物を備える必要がないので廃棄物搬送装置の軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る円筒型遮水層の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図1は本発明に係る円筒型遮水層の実施の形態を示す正面視断面図、図2は図1で示す円筒型遮水層の側面視断面図である。
【0017】
図1および図2に示すように本実施の形態における円筒型遮水層は、略円形断面のトンネル1の内部に粘土系遮水材2を円筒状に配置し、当該粘土系遮水材2からなる円筒内に円柱状の廃棄物3を収容するものである。廃棄物3としては、例えば放射性廃棄物がある。
【0018】
粘土系遮水材2は、ベントナイトあるいはベントナイトと骨材とを混練して高密度に押し固めて成型したものである。この粘土系遮水材2は、円筒状をトンネル軸方向Xで分割した遮水材ブロックとして、円環状の収容部21と、円盤状の壁部22とからなる。収容部21は、トンネル軸方向Xに複数(本実施の形態では3つ)並設することによって形成された内部空間に廃棄物3を収容する。壁部22は、収容部21のトンネル軸方向Xにおける両端部に並設することによって収容部21の内部空間を閉塞する。さらに、粘土系遮水材2は、遮水材ブロックとして円環状の収容部21をさらに円周方向で複数分割(本実施の形態では6分割)した収容部ブロック211を備えている。なお、粘土系遮水材2は、図には明示しないが遮水材ブロックとして円盤状の壁部22をさらに円周方向で複数分割した壁部ブロックを備えていてもよい。
【0019】
このように、粘土系遮水材2は、円筒状をトンネル軸方向Xで分割した遮水材ブロックとして、円環状の収容部21と、円盤状の壁部22とからなり、さらに、円環状の収容部21をさらに円周方向で複数分割した収容部ブロック211を備えている。このため、トンネル1の内部において粘土系遮水材2の搬送を容易に行うことが可能である。
【0020】
また、トンネル1における覆工10の内周径は、粘土系遮水材2(収容部21および壁部22)の外周径よりも大きくなるように形成してある。このため、トンネル1の内部において収容部ブロック211の組み立てを容易に行うことが可能である。
【0021】
しかし、トンネル1における覆工10の内周径が、粘土系遮水材2の外周径よりも大きく形成してある場合、このままで収容部ブロック211の組み立てると、図3に示すように各収容部ブロック211間にズレが生じて円環状が維持できなくなり、各収容部ブロック211間に隙間ができる、あるいは収容部21の内部空間が変形することで廃棄物3の収容が困難になる。この場合、地下水に廃棄物3の毒性物質を漏出させるおそれがある。
【0022】
そこで、図1および図2に示すように本実施の形態では、遮水材ブロック(収容部21および壁部22)を円筒状に組み合わせた外周面を支持して、当該円筒状を維持する態様でトンネル軸方向Xに延在してガイドレール4をトンネル1の覆工10の内周面に配置してある。
【0023】
図1に示すようにガイドレール4は、本実施の形態において粘土系遮水材2の外周(周曲面)に当接する態様で4箇所に設けてある。また、図1に示すように本実施の形態におけるガイドレール4は、略コ字形の断面形状を呈した鋼材からなり、その開口を覆工10の内周面に向けて配置することで、平坦部を粘土系遮水材2の周曲面に当接してある。
【0024】
より詳細にガイドレール4は、6分割した収容部ブロック211における円環状の下半分の3個を共に支持するように、最下中央の収容部ブロック211と、その両側の収容部ブロック211との境部位の2箇所において2つの収容部ブロック211に共に当接する2つのガイドレール4、および両側の収容部ブロック211の上側部にそれぞれ当接する2つのガイドレール4の計4つ設けてある。すなわち、ガイドレール4は、6分割した収容部ブロック211における円環状の下半分の3個を支持することで、当該下半分によって残りの円環状の上半分の収容部ブロック211を支持して、遮水材ブロック(収容部21および壁部22)を組み合わせた円筒状を維持するとともに、当該円筒状を略円形断面のトンネル1の内部中央に配置する。
【0025】
すなわち、収容部ブロック211をトンネル1の内部に配置する際には、円環状の下半分の収容部ブロック211の3個を、ガイドレール4で支持するように載置し、その後下半分の上に円環状の上半分の収容部ブロック211を載置して収容部21を円環状に配置する。また、同様に、壁部22をガイドレール4で支持するように載置することで、収容部21とともに粘土系遮水材2をトンネル1の内部の所定位置に正確に配置する。
【0026】
このように、上述した円筒型遮水層は、トンネル1の覆工10の内周面にトンネル軸方向Xに延在するガイドレール4を設け、当該ガイドレール4によって粘土系遮水材2における遮水材ブロックとしての円環状の収容部21と、円盤状の壁部22とを支持している。このため、粘土系遮水材2の円筒状を維持するとともに、トンネル1の内部の所定位置に正確に配置することが可能になる。特に、ガイドレール4は、遮水材ブロックとして、収容部21を周方向に分割した収容部ブロック211を円筒状に組み合わせた外周面を支持して当該円筒状を維持する。このため、各収容部ブロック211間にズレを生じることなく収容部21の円筒状を維持することが可能になる。この結果、廃棄物3を収容する収容部21の内部空間を適宜形成して、地下水に廃棄物3の毒性物質を漏出させることのない遮水層を構築することが可能になる。
【0027】
また、図1に示すようにガイドレール4は、略コ字形の断面形状を呈した鋼材からなり、その開口を覆工10の内周面に向けて配置することで、平坦部を粘土系遮水材2の周曲面に当接する。すなわち、ガイドレール4の平坦部の上で収容部21および壁部22を支持するので、フォークリフトなどで運搬した収容部21および壁部22を直接ガイドレール4上に置くことができ、さらにガイドレール4の平坦部の上で収容部21および壁部22を支持するので、収容部21および壁部22をトンネル軸方向Xに押して搬送することが可能である。この結果、粘土系遮水材2は、ベントナイトあるいはベントナイトと骨材とを混練して高密度に押し固めて成型したもので損傷しやすく強度が小さいが、この強度の小さい粘土系遮水材2を所定位置に配置するための位置決めを容易に行うことが可能になる。また、収容部21および壁部22をトンネル軸方向Xに押して搬送できるので、ガイドレール4の高さよりも大きいスペースを必要としない。
【0028】
また、廃棄物3の収容は、放射線量が高い空間での作業となるため、正確な位置に定置することが容易でない。しかし、放射線量が高線量環境となる以前の円筒型遮水層の構築時に、トンネル1の覆工10の内周面にガイドレール4を予め精度良く設置することは容易であるため、その後の廃棄物3の収容における定置精度を確保することが可能になる。
【0029】
なお、最下中央の収容部ブロック211と、その両側の収容部ブロック211との境部位の2箇所において2つの収容部ブロック211に共に当接する2つのガイドレール4のみでも6分割した収容部ブロック211の下半分の3個を支持することが可能であるため、本実施の形態におけるガイドレール4は少なくとも2つあればよい。また、ガイドレール4は、断面略コ字形に限らず、例えば断面略L字形や断面略H字形であってもよく、さらに前記断面形状に限定する必要はない。また、収容部ブロック211は、6分割に限らず複数分割であってもよく、この分割に対応して遮水材ブロック(収容部21および壁部22)を組み合わせた円筒状を維持する態様でガイドレール4を設ければよい。
【0030】
ここで、図4は本発明に係る円筒型遮水層の他の実施の形態を示す正面視断面図、図5は図4で示す円筒型遮水層の側面視断面図である。
【0031】
図4および図5に示すように他の実施の形態においては、収容部21を周方向に分割していない。そして、収容部21の周曲面である外周端縁および内周端縁には、鋼材からなる補強材23が設けてある。また、壁部22の周曲面である外周端縁にも補強材23が設けてある。
【0032】
このように、補強材23を設けたことで収容部21および壁部22の強度が増す。このため、図4および図5に示すように収容部21および壁部22を台車5によって搬送することが可能になる。
【0033】
なお、図4において台車5は、一対で収容部21を載せて搬送する構成として示してあるが、複数もしくは単一の台車5で収容部21および壁部22を搬送する形態としてもよい。また、図5において台車5は、1つの収容部21を搬送する構成として示してあるが、複数の収容部21および壁部22を搬送する形態でトンネル軸方向Xに長手状に形成してあってもよい。
【0034】
以下、上述した円筒型遮水層における廃棄物3の収容に関して説明する。図6は廃棄物搬送装置を示す正面図、図7は図6で示す廃棄物搬送装置を示す側面図である。
【0035】
図6および図7に示すように廃棄物搬送装置6は、保持した廃棄物3を収容部21の内部空間の内部に挿入して定置するものである。この廃棄物搬送装置6は、鋼材からなる枠体61に、車輪62、遮蔽容器63、蓋開閉機構64、廃棄物案内機構65、廃棄物押出機構66を備えてなる。
【0036】
車輪62は、上述したガイドレール4に載るように配置してある。この車輪62は、ガイドレール4上を輪転する。すなわち、枠体61(廃棄物搬送装置6)は、車輪62およびガイドレール4によって、当該ガイドレール4の延在方向であるトンネル軸方向Xに移動可能に構成してある。
【0037】
遮蔽容器63は、廃棄物3を収容するためのものであって、廃棄物3の放射線を遮る材質からなる。遮蔽容器63は、円柱状の廃棄物3を横向きにして収容する態様で円筒状に形成してある。円筒状の一端部は閉塞して形成してあり、他端部には収容部21の内部空間に向けて蓋部631が設けてある。
【0038】
蓋開閉機構64は、遮蔽容器63の蓋部631を開閉するためのものである。蓋開閉機構64は、本実施の形態では蓋部631を上下に移動するように構成してあり、蓋部631を上方に移動することによって遮蔽容器63の他端部を開放する(開放位置)一方、蓋部631を下方に移動することによって遮蔽容器63の他端部を閉塞する(閉塞位置)。なお、蓋部631の開閉における移動方向は上下に限定されない。
【0039】
廃棄物案内機構65は、例えばローラーコンベア651を有し、遮蔽容器63に収容した廃棄物3を支持しつつ、円柱状の延在方向(トンネル軸方向X)への移動を案内するためのものである。この廃棄物案内機構65は、油圧ピストン652などによってローラーコンベア651の位置をトンネル軸方向Xとは直交する方向に移動させることによって廃棄物3を所望とする位置にミリ単位で微調整して支持しつつ、その移動を円滑に案内する。
【0040】
廃棄物押出機構66は、遮蔽容器63の一端部側に配置してあり、当該遮蔽容器63に収容した廃棄物3を遮蔽容器63の他端部側(トンネル軸方向X)に押し出すためのものである。廃棄物押出機構66は、例えば油圧ピストンなどからなる。
【0041】
上記廃棄物搬送装置6は、遠隔操作で稼働する。この廃棄物搬送装置6は、廃棄物3を遮蔽容器63に収容して蓋部631を閉塞位置に移動した状態で、車輪62およびガイドレール4に案内されてトンネル軸方向Xに移動する。次いで、廃棄物搬送装置6は、収容部21の内部空間の前であって廃棄物3の搬送位置に移動したとき、蓋開閉機構64によって蓋部631を開放位置に移動して遮蔽容器63の他端側を開放する。次いで、廃棄物搬送装置6は、廃棄物押出機構66によって廃棄物3を遮蔽容器63の外部に押し出して収容部21の内部空間に搬送する。この際廃棄物3は、廃棄物案内機構65によって移動を案内される。
【0042】
このように、上述した円筒型遮水層では、遮水材ブロックを支持するガイドレール4によって廃棄物搬送装置6をトンネル軸方向Xに移動可能に案内している。このため、廃棄物搬送装置6の移動および停止や、廃棄物3の搬送を正確に行うことができ、廃棄物3を収容部21の内部空間の所定位置に迅速かつ正確に配置することが可能になる。また、ガイドレール4上に複数の車輪62によって廃棄物搬送装置6を支持しているので、廃棄物搬送装置6の構成部材を軽微にすることができ、廃棄物搬送装置6の軽量化を図ることが可能になる。特に、フォークリフト型の搬送装置では、カウンターウェイトを多く必要とするが、ガイドレール4に車輪62を保持する転倒防止機構を設ければカウンターウェイトのような重量物を備える必要がないので廃棄物搬送装置6の軽量化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る円筒型遮水層の実施の形態を示す正面視断面図である。
【図2】図1で示す円筒型遮水層の側面視断面図である。
【図3】図1に示す円筒型遮水層においてガイドレールを設けない場合を示す正面視断面図である。
【図4】本発明に係る円筒型遮水層の他の実施の形態を示す正面視断面図である。
【図5】図4で示す円筒型遮水層の側面視断面図である。
【図6】廃棄物搬送装置を示す正面図である。
【図7】図6で示す廃棄物搬送装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 トンネル
10 覆工
2 粘土系遮水材
21 収容部
211 収容部ブロック
22 壁部
23 補強材
3 廃棄物
4 ガイドレール
5 台車
6 廃棄物搬送装置
61 枠体
62 車輪
63 遮蔽容器
631 蓋部
64 蓋開閉機構
65 廃棄物案内機構
651 ローラーコンベア
652 油圧ピストン
66 廃棄物押出機構
X トンネル軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円形断面のトンネルの内部に粘土系遮水材を円筒状に配置し、当該粘土系遮水材からなる円筒内に廃棄物を収容する円筒型遮水層において、
前記粘土系遮水材の円筒状をトンネルの軸方向で分割した円環状をさらに円周方向で複数分割して成型した遮水材ブロックと、
前記遮水材ブロックを円筒状に組み合わせた外周面を支持して当該円筒状を維持する態様で前記トンネルの軸方向に延在して配置したガイドレールと
を備えたことを特徴とする円筒型遮水層。
【請求項2】
略円形断面のトンネルの内部に粘土系遮水材を円筒状に配置し、当該粘土系遮水材からなる円筒内に廃棄物を収容する円筒型遮水層において、
前記粘土系遮水材の円筒状の外周面を支持する態様で前記トンネルの軸方向に延在して配置してあり、かつ、前記粘土系遮水材の円筒内に廃棄物を搬送する廃棄物搬送装置を延在方向に移動可能に案内するガイドレールを備えたことを特徴とする円筒型遮水層。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−69111(P2007−69111A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258189(P2005−258189)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】