説明

円筒状印刷原版成形装置

【課題】円筒状支持体上にシート状樹脂を接着し、円筒状印刷原版を生産性高く、しかも厚み精度高く製造するための円筒状印刷原版成形装置を提供すること。
【解決手段】円筒状支持体(a)上にシート状樹脂を接着するための円筒状印刷原版成形装置であって、
(1)前記円筒状支持体(a)を保持し、周方向に回転させる機構と、
(2)レーザー光透過性の板状物または円筒状物を保持し、前記円筒状支持体(a)の表面との間隔を変化させる機構と、
(3)前記機構(2)内に配設されるレーザー光源と、
(4)前記板状物または円筒状物と前記円筒状支持体(a)の間に前記シート状樹脂を挟み、前記板状物または円筒状物を通して、前記シート状樹脂とレーザー光を吸収する前記円筒状支持体(a)との界面に、レーザー光を照射するための光学系と、
(5)レーザー光の照射される位置を前記円筒状支持体(a)の長軸方向に移動させる機構と、を備える円筒状印刷原版成形装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光を用いて円筒状支持体上にシート状樹脂を接着する円筒状印刷原版成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、およびレタープレス印刷といった樹脂凸版を製造する場合や、エンボス加工等の表面加工を行う場合において、樹脂層表面にレーザー光を照射して照射された部分の樹脂が除去されることにより表面に凹凸パターンを形成するレーザー彫刻法が用いられるようになってきた。
レーザー彫刻法に適用される印刷版の材料としては、加硫ゴム、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物および熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させて得られる熱硬化性樹脂硬化物が用いられている。特に、近年、処理時間の短縮の観点から、感光性樹脂硬化物をレーザー彫刻する技術が増えてきた。
【0003】
特許文献1には、2枚のシート状樹脂を接着する方法が記載されている。また、特許文献1には、2つのシート状樹脂の端部を接着させる方法の記載がされている。
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/021245号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、円筒状支持体上にシート状樹脂を接着する方法に関しては、一切記載がない。
円筒状支持体上にシート状樹脂を接着する装置は、2つのシート状樹脂を接着させるための装置とは、全く異なる機構が必要となる。また、円筒状支持体上にシート状樹脂を、厚み精度を確保しながら接着させて円筒状物を作製することが求められる。特に印刷技術分野においては、版の厚み精度を確保することが極めて重要となる。
【0006】
円筒状支持体上にシート状樹脂を接着し、円筒状印刷原版を生産性高く、しかも厚み精度高く製造するための装置が強く求められていたが、従来技術では、そのような装置は存在していなかった。
本発明が解決しようとする課題は、円筒状支持体上にシート状樹脂を接着し、円筒状印刷原版を生産性高く、しかも厚み精度高く製造するための円筒状印刷原版成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、円筒状支持体(a)上にシート状樹脂を接着するための円筒状印刷原版成形装置であって、(1)前記円筒状支持体(a)を保持し、周方向に回転させる機構と、(2)レーザー光透過性の板状物または円筒状物を保持し、前記円筒状支持体の(a)表面との間隔を変化させる機構と、(3)レーザー光源と、(4)前記板状物または円筒状物と前記円筒状支持体(a)の間に前記シート状樹脂を挟み、前記板状物または円筒状物を通して、前記シート状樹脂とレーザー光を吸収する前記円筒状支持体(a)との界面に、レーザー光を照射するための光学系と、(5)レーザー光の照射される位置を前記円筒状支持体(a)の長軸方向に移動させる機構と、を備えることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明は下記の通りである。
1.
円筒状支持体(a)上にシート状樹脂を接着するための円筒状印刷原版成形装置であって、
(1)前記円筒状支持体(a)を保持し、周方向に回転させる機構と、
(2)レーザー光透過性の板状物または円筒状物を保持し、前記円筒状支持体(a)の表面との間隔を変化させる機構と、
(3)前記機構(2)内に配設されるレーザー光源と、
(4)前記板状物または円筒状物と前記円筒状支持体(a)の間に前記シート状樹脂を挟み、前記板状物または円筒状物を通して、前記シート状樹脂とレーザー光を吸収する前記円筒状支持体(a)との界面に、レーザー光を照射するための光学系と、
(5)レーザー光の照射される位置を前記円筒状支持体(a)の長軸方向に移動させる機構と、を備える円筒状印刷原版成形装置。
2.
前記レーザー光源が、波長700nm以上3μm以下のレーザー光を発する光源である、1.に記載の円筒状印刷原版成形装置。
3.
前記円筒状支持体(a)が、繊維強化プラスチック製または金属製の中空円筒状支持体であり、
前記機構(1)が、金属、ゴム、およびプラスチックからなる群から選ばれる少なくとも1種の材料からなるシリンダー状物を有する、1.または2.に記載の円筒状印刷原版成形装置。
4.
前記光学系(4)が、集光レンズと、該集光レンズと前記円筒状支持体(a)の表面との距離を変化させる機構と、を有する、1.から3.のいずれか1項に記載の円筒状印刷原版成形装置。
5.
前記機構(5)が、前記光学系(4)を長軸方向に位置を変える機構、またはレーザー光を長軸方向に走査する機構を有する、1.から4.のいずれか1項に記載の円筒状印刷原版成形装置。
6.
前記レーザー光が、パルス状であり、パルスの周波数が1kHz以上500MHz以下であり、パルス時間半値幅が1ナノ秒以上50ミリ秒以下であり、かつ平均出力が0.1W以上200W以下である、1.から5.のいずれか1項に記載の円筒状印刷原版成形装置。
7.
前記板状物または円筒状物の材質が、ガラスおよびプラスチックからなる群から選ばれる少なくとも1種の材料であり、使用するレーザー光の波長での光線透過率が50%以上100%以下である、1.から6.のいずれか1項に記載の円筒状印刷原版成形装置。
8.
前記円筒状支持体(a)と、前記板状物または円筒状物と、が同期して動き、
前記円筒状支持体(a)と、前記シート状樹脂と、が常時接触している部分を有し、該接触している部分にレーザー光が照射される、1.から7.のいずれか1項に記載の円筒状印刷原版成形装置。
9.
前記シート状樹脂が、熱可塑性樹脂、感光性樹脂組成物、および熱硬化性樹脂組成物からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料からなる、1.から8.のいずれかに記載の円筒状印刷原版成形装置。
10.
前記シート状樹脂が、前記熱可塑性樹脂からなるシート状支持体上に、感光性樹脂硬化物または熱硬化性樹脂硬化物が積層されるシート状積層体である、9.に記載の円筒状印刷原版成形装置。
11.
前記感光性樹脂組成物または熱硬化性樹脂組成物が、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルポリオール、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、およびスチレン−イソプレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む、9.に記載の円筒状印刷原版成形装置。
12.
フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、またはグラビア印刷用途で使用される円筒状印刷原版または円筒状印刷版を製造するための装置である、1.から11.のいずれか1項に記載の円筒状印刷原版成形装置。
13.
前記円筒状印刷原版が、レーザー彫刻法で表面にパターンを形成するレーザー彫刻用円筒状印刷原版である、12.に記載の円筒状印刷原版成形装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、円筒状支持体上にシート状樹脂を接着し、円筒状印刷原版を生産性高く、しかも厚み精度高く製造するための円筒状印刷原版成形装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0011】
[円筒状印刷原版成形装置の概要]
本実施の形態の円筒状印刷原版成形装置は、円筒状支持体(a)上にシート状樹脂を接着するための装置であって、
(1)前記円筒状支持体(a)を保持し、周方向に回転させる機構と、
(2)レーザー光透過性の板状物または円筒状物を保持し、前記円筒状支持体(a)の表面との間隔を変化させる機構と、
(3)前記機構(2)内に配設されるレーザー光源と、
(4)前記板状物または円筒状物と前記円筒状支持体(a)の間に前記シート状樹脂を挟み、前記板状物または円筒状物を通して、前記シート状樹脂とレーザー光を吸収する前記円筒状支持体(a)との界面に、レーザー光を照射するための光学系と、
(5)レーザー光の照射される位置を前記円筒状支持体(a)の長軸方向に移動させる機構と、を備える円筒状印刷原版成形装置である。
【0012】
円筒状印刷原版成形体は、円筒状支持体(a)上にシート状樹脂を設置して、その界面にレーザー光を照射することにより熱溶着させることによって、両者を接着させる装置である。
【0013】
円筒状支持体(a)を保持し、周方向に回転させる機構(1)として、金属、ゴムおよびプラスチックからなる群から選ばれる少なくとも1種の材料からなるシリンダー状物を有することが好ましい。
該シリンダー状物として、円筒状支持体(a)が中空円筒状支持体の場合、エアーシリンダー、および円筒の外径を変化させる機構を有するエアーシャフト等の治具を挙げることができる。該治具を用いて円筒状支持体(a)を保持する。また、該冶具は、中空円筒状支持体を周方向へ回転させるための軸を有し、この軸を保持して該中空円筒状支持体を周方向へ回転させることが好ましい。
冶具にジャーナル等の軸部分が存在し、軸部分を保持して回転させるための回転機構を円筒状印刷原版成形装置が備えることが好ましい。回転機構としては、位置精度を確保するためにエンコーダーを有するステッピングモーターを挙げることができる。
【0014】
円筒状支持体成形装置は、円筒状印刷原版の厚み精度を確保する観点から、レーザー光透過性の板状物または円筒状物を保持し、円筒状支持体(a)の表面との間隔を変化させる機構(2)を備える。
機構(2)は、円筒状支持体(a)とシート状樹脂が接触するように、板状物または円筒状物と円筒状支持体(a)の表面との間隔を変化させて、板状物または円筒状物と、円筒状支持体(a)とで、シート状樹脂を挟んで接触させる機構である。また、作業性の観点から円筒状支持体(a)と、板状物または円筒状物の間の距離を変化させることができる機構を備える。
【0015】
使用する円筒状支持体(a)の外径およびシート状樹脂の厚さは、用途や印刷物のリピート長によって変える必要がある。円筒状支持体(a)の外径およびシート状樹脂の厚みに応じて、円筒状支持体(a)の表面と板状物または円筒状物との間隔を機構(2)により変化させることが好ましい。
レーザー溶着によって両者を接合する際、円筒状支持体(a)の表面とシート状樹脂との間隔が一定に保てるように保持する必要があるので、機構(2)として、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーター等を用いて微妙な調整ができるようにすることが好ましい。
円筒状支持体(a)の表面とシート状樹脂との間隔を変化させるにあたり、円筒状支持体(a)側を動かしても、板状物または円筒状物を動かしてもよい。
【0016】
レーザー光透過性の板状物または円筒状物は、使用するレーザー光の波長において光線透過率が、50%以上100%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以上100%以下であり、さらに好ましくは80%以上100%以下である。
板状物または円筒状物の光線透過率が上記範囲内にあれば、板状物または円筒状物が吸収するレーザー光エネルギーが少なく、効率よくレーザー光を接着に用いることができる。
【0017】
円筒状物は、中空円筒状のものが好ましい。板状物または円筒状物の厚さは、0.1mm以上50mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mm以上10mm以下であり、さらに好ましくは1mm以上5mm以下である。
板状物または円筒状物の厚さが上記範囲内にあれば、機械的な強度を十分に確保でき、過度に重量が重たくなく、板状物または円筒状物を使用することができる。板状物または円筒状物の材質は、ガラスまたはプラスチックが好ましい。
レーザー光として近赤外線レーザー光を用いる場合には、光線吸収の少ないプラスチックを用いることが軽量化の観点からより好ましい。
【0018】
機構(2)内に配設されるレーザー光源(3)は、特に限定されるものではないが、円筒状支持体(a)とシート状樹脂を接着させることができるものである。
円筒状支持体(a)の表面がレーザー光を吸収し、光を熱に変換するためには、波長700nm以上の近赤外線または赤外線領域のレーザー光が好ましい。その中でも、板状物または円筒状物の光線吸収特性の観点から波長3μm以下の近赤外線領域のレーザー光が好ましい。
【0019】
レーザー光源として、半導体レーザー、YAGレーザー、YVO4レーザー、ErまたはYbをドープしたファイバーレーザー、Tiサファイアレーザー、およびアレキサンドライトレーザー等を挙げることができる。レーザー光は、連続発振レーザー光であっても、パルス発振レーザー光であってもよい。
【0020】
レーザー光源の平均出力は、0.1W以上200W以下であることが好ましく、より好ましくは0.5W以上100W以下であり、さらに好ましくは1W以上100W以下である。
【0021】
レーザー光源の平均出力が比較的小さくても尖頭出力が大きく、接着工程に用いることができる観点から、パルス発振レーザー光が好ましい。
パルス発振レーザー光のパルス時間半値幅が、1ナノ秒以上50ミリ秒以下であることが好ましく、より好ましくは5ナノ秒以上1ミリ秒以下であり、さらに好ましくは10ナノ秒以上50マイクロ秒以下である。
パルス発振レーザー光のパルス時間半値幅が上記範囲内にあれば、高出力のレーザー光を使用しなくても充分に接着工程に使用することができる。
パルス発振レーザー光の発振周波数は、1kHz以上500MHz以下であることが好ましく、より好ましくは10kHz以上100MHz以下である。
パルス発振レーザー光の発振周波数が上記範囲内にあれば、充分に尖頭出力の高いパルスを接着工程において使用することができる。
【0022】
円筒状支持体(a)とシート状樹脂の接触界面に照射されるレーザービーム径は、レーザービームは集光レンズを用いて小径に絞ることができるので、1μm以上5mm以下であることが好ましく、10μm以上4mm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは0.1mm以上3mm以下である。
【0023】
レーザー光(α)の焦点部でのビーム径は、接着速度を向上させる観点で、1μm以上5mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mm以上4mm以下であり、さらに好ましくは0.1mm以上3mm以下である。
【0024】
円筒状印刷原版成形装置は、板状物または円筒状物と円筒状支持体(a)の間にシート状樹脂を挟み、板状物または円筒状物を通して、シート状樹脂とレーザー光を吸収する円筒状支持体(a)との界面に、レーザー光を照射するための光学系(4)を備える。
光学系(4)は、集光レンズを有し、該集光レンズと円筒状支持体(a)の表面との距離を変える機構を有することが好ましい。光学系(4)は、レーザー光源内に配設されていてもよく、当該レーザー光源の表面に設置されていてもよい。
円筒状印刷原版成形装置は、集光レンズとレーザー光源とを配設するレーザーヘッドを有していてもよい。
【0025】
レーザービームは集光レンズを用いて小径に絞ることができる。
集光レンズを用いて、円筒状支持体(a)とシート状樹脂の接触界面近傍にレーザービームの焦点を絞ることが好ましい。光学系(4)の集光レンズの距離を変化させる機構や、円筒状支持体(a)の位置を変化させる機構で、円筒状支持体(a)の表面と集光レンズとの間の距離を制御することが好ましい。
【0026】
円筒状支持体(a)とシート状樹脂を接着する箇所は、複数であることが好ましいため、円筒状印刷原版成形装置は、レーザー光の照射される位置を円筒状支持体(a)の長軸方向に移動させる機構(5)を備える。
機構(5)として、集光レンズが光学系の最後に配置されていることが一般的であるので、機構(5)として、集光レンズ等の光学系(4)の位置を円筒状支持体(a)の長軸方向に動かす機構、およびレーザー光を長軸方向に走査する機構、具体的には、集光レンズの前にレーザービームを走査するためのガルバノミラーやポリゴンミラーを配置する機構等を挙げることができる。
レーザービームは、正確に長軸に沿って動かす必要はなく、概ね長軸方向に動かせればよい。
【0027】
円筒状支持体(a)は回転させて、周方向にレーザー光が照射される位置を変えることができる。レーザー光が照射される箇所は、円筒面内で隙間なく実施されても、少し間を空けて実施されてもよい。
【0028】
機構(5)により円筒状支持体(a)の長軸方向にレーザー照射して円筒状支持体(a)とシート状樹脂とを接着させることができ、円筒状支持体(a)を機構(1)により周方向に回転させることにより、円筒状支持体(a)の周方向でレーザー照射する位置を変更して、円筒状支持体(a)とシート状樹脂とを接着させることができる。
このように接着することにより、シート状樹脂全面を接着することができる。また、間隔を空けて接着することによって、接着工程に要する時間を短縮化することができる。
【0029】
本実施の形態において、レーザー光透過性の板状物または円筒状物と円筒状支持体(a)とが、同期して動くことが好ましい。両者が同期して動くことによって、円筒状支持体(a)と、シート状樹脂と、を、常時、接触させることができるので、円筒状支持体(a)とシート状樹脂との間にボイドが入ることを防ぐことができる。
本実施の形態において、円筒状支持体(a)と、シート状樹脂と、が常時接触している部分を有し、該接触している部分にレーザー光が照射されることが好ましい。円筒状樹脂(a)と、シート状樹脂と、が常時、接触していることにより、厚み精度高く、円筒状支持体上にシート状樹脂を接着させることができる。
【0030】
本実施の形態の円筒状印刷原版成形装置を用いることにより、円筒状支持体(a)上にシート状樹脂を接着することができる。本実施の形態において、以下に記載する円筒状支持体(a)とシート状樹脂とを用いることが好適である。
【0031】
[円筒状支持体(a)]
円筒状支持体(a)としては、金属製、ゴム製、またはプラスチック製のシリンダー、および金属製、プラスチック製、または繊維強化プラスチック製のスリーブ等の中空円筒状支持体等を挙げることができ、重量や取り扱いの観点から、中空円筒状支持体であることが好ましい。
金属性シリンダーまたは金属製スリーブを構成する材料として、アルミニウム、ニッケル、および鉄等の材料を挙げることができる。
プラスチック製シリンダーまたはプラスチック製スリーブを構成する材料として、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンチオエーテル、ポリスルホン、およびエポキシ樹脂等の材料を挙げることができる。
繊維強化プラスチック製スリーブを構成する繊維材料として、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、セルロース繊維、ガラス繊維、金属繊維、セラミックス繊維、および炭素繊維等の材料を挙げることができる。
ゴム製シリンダーを構成する材料として、EPDMゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、およびSBゴム等の材料を挙げることができる。
【0032】
円筒状支持体(a)が中空円筒状支持体の場合、中空円筒状支持体の厚さは0.2mm以上2mm以下であることが好ましい。中円筒状支持体の厚さは、より好ましくは0.3mm以上1.5mm以下であり、さらに好ましくは0.4mm以上1mm以下である。
中空円筒状支持体の厚さが上記範囲内にあれば、前記機構(1)への装着が容易であり、折れたり割れたりせずに、充分に機械的強度を確保することができる。
【0033】
円筒状支持体(a)の表面に、レーザー光吸収層が積層されていることが好ましい。レーザー光吸収層の厚さは10μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは80μm以上200μm以下である。
レーザー光吸収層には、用いるレーザー光を吸収する染料や顔料を含有していることが好ましい。積層するシート状樹脂の成分と類似成分が含有されていることが好ましい。レーザー光を吸収する染料や顔料は特に限定されるものではないが、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブ、およびフラーレン等の黒色顔料、酸化鉄および酸化銅等の金属酸化物顔料、ならびにフタロシアニン等の有機系顔料および染料を挙げることができる。
【0034】
「熱収縮性チューブ」
熱収縮性チューブを用いてレーザー光吸収層を形成することもできる。
熱収縮性チューブとして、加熱することによって収縮する性質と、レーザー光を吸収する性質を併せ持つ熱収縮性チューブである。
熱収縮性チューブの収縮特性に関しては、80℃における熱収縮率が10%以上50%以下であることが好ましい。より好ましくは20%以上50%以下であり、さらに好ましくは20%以上40%以下である。
熱収縮率が上記範囲内にあれば、円筒状支持体(a)に確実に固定することができ、印刷工程においても周方向にずれることが防げ、機械的強度も充分確保することが可能である。
【0035】
熱収縮性チューブの厚さは、10μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以上250μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上150μm以下である。
熱収縮性チューブの厚みが上記範囲内にあれば、チューブを成形することが容易に実施でき、機械的強度を充分に確保することも可能である。
【0036】
レーザー光は熱収縮性チューブとシート状樹脂との接触界面に照射するため、熱収縮性チューブは、溶着に使用するレーザー光を吸収する必要がある。
熱収縮性チューブは、レーザー光を吸収するために、レーザー光吸収剤を含有していることが好ましい。レーザー光として、近赤外線領域に発振波長を有するレーザー光が好ましいので、レーザー光吸収剤としては、近赤外線領域に光吸収特性のある染料や顔料を含むことが好ましい。
【0037】
レーザー光吸収剤として、好ましい化合物としては、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブ、フラーレン等の黒色顔料、フタロシアニン系、アゾ系、ペリノン系、アントラキノン系等の有機染料や有機顔料、酸化鉄、酸化銅等の金属酸化物、クロム酸塩、硫化物、ケイ酸塩、炭酸塩、フェロシアン化物等の無機顔料を挙げることができる。
【0038】
熱収縮性チューブの光線透過率は、使用するレーザー光の波長において、10%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以下であり、さらに好まくは0.1%以下である。
熱収縮性チューブの光線透過率が上記範囲内にあれば、充分にレーザー光を吸収することが可能である。
【0039】
熱収縮性チューブは、フィルムの両端部を溶着したチューブであっても、継ぎ目のないシームレスチューブであってもよい。フィルムの両端部を溶着して形成する場合、フィルムは押し出し成形やキャスト法などの手法を用いて成形し、その後延伸することによって作製することができる。また、サーキュラーダイやリングダイを使用し、インフレーションすることによって、継ぎ目のないチューブを作製することができる。
【0040】
熱収縮性チューブの材料としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル等の材料を挙げることができる。
【0041】
熱収縮性チューブの表面粗さは、円筒状支持体との接着強度確保、表面平坦性確保の観点で、0.5μm以下であることが好ましい。
【0042】
[シート状樹脂]
シート状樹脂は、熱可塑性樹脂、感光性樹脂組成物、および熱硬化性樹脂組成物からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料からなることが好ましい。
シート状樹脂として、レーザー彫刻性、画像形成性、フレキシビリティー、機械的強度確保等の観点で、熱可塑性樹脂からなるシート状支持体上に、感光性樹脂硬化物または熱硬化性樹脂硬化物が積層されるシート状積層体であることが好ましい。
【0043】
本実施の形態において、感光性樹脂硬化物は感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる樹脂硬化物であり、熱硬化性樹脂硬化物は、熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させて得られる樹脂硬化物を意味する(以下、単に、感光性樹脂組成物および熱硬化性樹脂組成物を、「樹脂組成物」と、感光性樹脂硬化物および熱硬化性樹脂硬化物を、「樹脂硬化物」と記載する場合がある。)。
樹脂組成物として、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルポリオール、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、およびスチレン−イソプレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有していることが好ましい。
【0044】
円筒状印刷原版がフレキソ印刷用である場合には、樹脂組成物が、比較的硬度の低いポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルポリオール、スチレン−ブタジエン共重合体、およびスチレン−イソプレン共重合体等の材料を含有していることが好ましい。
円筒状印刷原版がドライオフセット印刷またはグラビア印刷用である場合には、樹脂組成物が、比較的硬度の高いポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、およびポリカーボネート等の材料を含有していることが好ましい。
【0045】
シート状支持体としては、寸法安定性、軽量性、フレキシビリティー、平面平滑性の観点で、厚みが10μm以上500μm以下であることが好ましい。シート状支持体の厚みは、より好ましくは50μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上200μm以下である。
シート状支持体の材料として、ニッケル、アルミニウム、および鉄等の金属と、ポリエステル、ポリアミド、およびポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である熱可塑性樹脂と、を挙げることができる。
【0046】
シート状樹脂は、用いるレーザー光を透過する材料であることが好ましく、使用するレーザー光の波長におけるシート状樹脂の光線透過率は、50%以上100%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以上100%以下であり、さらに好ましくは80%以上100%以下である。
【0047】
シート状樹脂の厚さは、0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。
シート状樹脂の厚みがこの範囲であれば、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷等の印刷用途で使用することが可能となる。
【0048】
本実施の形態において、シート状樹脂を形成する樹脂組成物としては、樹脂(b)および有機化合物(c)を含有していることが好ましい。
【0049】
[樹脂(b)]
樹脂(b)の数平均分子量は、1000以上30万以下であることが好ましく、より好ましくは2000以上20万以下であり、さらに好ましくは5000以上15万以下である。
樹脂(b)の数平均分子量は1000以上であれば、後に架橋して作成する樹脂硬化物が強度を保ち、繰り返しの使用にも耐えられる。
樹脂(b)の数平均分子量が30万以下であれば、押し出し成形時に樹脂組成物の溶融粘度が過度に上昇することもなく成形することができる。
本実施の形態において、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。
【0050】
樹脂(b)は、分子内に重合性不飽和基を有していてもよい。
樹脂(b)として、好適には、1分子あたり平均で0.7以上の重合性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。
重合性不飽和基の数が1分子あたり平均で0.7以上であれば、樹脂硬化物の機械強度に優れ、耐久性も良好で、特に印刷用基材として繰り返しの使用にも耐えられるものとなり好ましい。
樹脂硬化物の機械強度の観点で、樹脂(b)の重合性不飽和基の数は1分子あたり0.7以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、より好ましくは1以上10以下であり、さらに好ましくは1以上5以下である。
樹脂(b)の1分子あたりの重合性不飽和基の数の上限については特に限定されるものではないが、1分子あたりの重合性不飽和基の数は20以下であることが好ましい。樹脂(b)の1分子あたりの重合性不飽和基の数が20以下であれば、硬化時の収縮を低く抑えることができ、また表面近傍でのクラック等の発生も抑制することができる。
【0051】
本実施の形態において、分子内に重合性不飽和基を有するとは高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端、高分子主鎖中、および高分子側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合等も含まれる。
【0052】
樹脂(b)として、下記に示すようなポリマーを骨格として、分子内に重合性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。
ポリマーの例として、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン類;ポリブタジエンおよびポリイソプレン等のポリジエン類;ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニリデン等のポリハロオレフィン類;ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリエーテルポリオール、およびポリイミド等の主鎖にヘテロ原子を有する高分子、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、およびスチレン−イソプレン共重合体等からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のポリマーをもちいることができる。複数の高分子を用いる場合の形態としては共重合体、ブレンドどちらでもよい。
【0053】
フレキソ印刷版用途のように柔軟なレリーフ画像が必要な場合には、樹脂(b)の一部として、ガラス転移温度が20℃以下の液状樹脂、好ましくはガラス転移温度が0℃以下の液状樹脂を添加することもできる。
液状樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、および水添ポイソプレン等の炭化水素類;アジペートおよびポリカプロラクトン等のポリエステル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル類;脂肪族ポリカーボネート;ポリジメチルシロキサン等のシリコーン類;(メタ)アクリル酸および/またはその誘導体の重合体ならびにこれらの混合物やコポリマー類を挙げることができる。
液状樹脂の含有量は、樹脂(b)全体に対して30質量%以上100質量%以下含有することが好ましい。
液状樹脂として、耐候性の観点から、ポリカーボネート構造を有する不飽和ポリウレタン類が好ましい。不飽和ポリウレタン類として、ポリウレタン分子鎖の末端にアクリレート基やメタクリレート基等の重合性不飽和基を有する樹脂およびポリウレタン分子鎖中に二重結合を有する樹脂等を挙げることができる。
【0054】
樹脂(b)の分子中に重合性不飽和基を導入する方法として、例えば、直接、重合性の不飽和基をその分子末端または分子鎖中に導入した単量体を用いて重合する方法を挙げることができる。
別法として、樹脂(ポリマー)と、重合性不飽和基を有する化合物と、を反応させて樹脂の末端に重合性不飽和基を導入する方法も挙げることができる。具体的には、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、およびエステル基等の反応性基を複数有する化合物に、反応性基と結合しうる官能基を複数有する結合剤(例えば、反応性基が水酸基またはアミノ基である場合、結合剤としてポリイソシアネート等を挙げることができる。)を反応させ、分子量の調節、および末端の結合性基への変換を行った後に、該反応によって得られた樹脂と、該樹脂の末端結合性基と反応する官能基および重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて、該樹脂の末端に重合性不飽和基を導入する方法である。
【0055】
樹脂硬化物をレーザー彫刻用印刷基材として使用する場合、樹脂(b)として、熱分解性の高いポリマーを使用することが好ましい。例えば、α−メチルスチレン、メタクリル酸エステル、およびアクリル酸エステルの単位、またはカーボネート結合、およびカーバメート結合等を分子内に有するポリマーは、熱分解性の高い化合物として知られている。
熱分解性の指標として、不活性ガス雰囲気中でサンプルを加熱した際の重量減少を測定した熱重量分析法のデータを用いることができる。
樹脂(b)の重量が半減する時点の温度が、150℃以上450℃以下の範囲内であることが好ましい。樹脂(b)の重量が半減する時点の温度は、より好ましくは250℃以上400℃以下の範囲内であり、さらに好ましくは250℃以上380℃以下の範囲内である。
【0056】
樹脂(b)として、熱分解が狭い温度範囲で起こる化合物が好ましい。熱分解が狭い温度範囲で起こることの指標として、熱重量分析において、重量が初期重量の80%に減少する温度と、重量が初期重量の20%に減少する温度との差が、100℃以下であることが好ましい。温度差がより好ましくは80℃以下であり、さらに好ましくは60℃以下である。
【0057】
[有機化合物(c)]
有機化合物(c)は、ラジカル重合反応または開環重合反応に関与する重合性不飽和基を有した化合物であり、樹脂(b)との希釈のし易さを考慮すると数平均分子量は1000以下であることが好ましい。
有機化合物(c)として、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類;アセチレン類;(メタ)アクリル酸およびその誘導体;ハロオレフィン類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体;アリルアルコールおよびアリルイソシアネート等のアリル化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸等の不飽和ジカルボン酸ならびにそれらの誘導体;酢酸ビニル類;N−ビニルピロリドン;N−ビニルカルバゾール;シアネートエステル類等を挙げることができる。
有機化合物(b)として、種類の豊富さおよび価格等の観点から、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステル等の誘導体が好ましい。
【0058】
上記誘導体として、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン基、およびビシクロアルケン基等の官能基を有する脂環族化合物ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、メチルスチリル基、およびスチリル基等の官能基を有する芳香族化合物;アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、およびグリシジル基等の官能基を有する化合物等のエステル化合物またはアミド化合物、ならびにアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコールやトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル化合物等を挙げることができる。
【0059】
重合性不飽和基を有する有機化合物(c)は、その目的に応じて1種または2種以上の化合物を選択できる。例えば、円筒状印刷原版を印刷版として用いる場合、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤に対する膨潤を押さえるため、有機化合物(C)として、長鎖脂肪族、脂環族、または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上を選択することが好ましい。
【0060】
樹脂硬化物の機械強度を高めるためには、有機化合物(c)として、脂環族基または芳香族基等の置換基(官能基)を有する化合物を少なくとも1種類以上を選択することが好ましく、脂環族基または芳香族基等の置換基を有する化合物が、有機化合物(c)の全体量の20質量%以上100質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
【0061】
シート状樹脂は感光性樹脂組成物を光硬化させて作製することができる。感光性樹脂組成物に光を照射して硬化させてシート状樹脂としてレーザー彫刻層を形成する。
【0062】
[光重合開始剤]
感光性樹脂組成物を光硬化する際の光として、紫外線、可視光線、電子線、およびX線等の高エネルギー線を用いることができる。
紫外線または可視光線を用いて光硬化させる場合、感光性樹脂組成物に光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤として、水素引き抜き型光重合開始剤(d)および/または崩壊型光重合開始剤(e)を挙げることができる。
【0063】
[水素引き抜き型光重合開始剤(d)]
水素引き抜き型光重合開始剤(d)として、特に限定されるものではないが、芳香族ケトンを挙げることができる。
芳香族ケトンは、光励起により効率よく励起三重項状態になる。この励起三重項状態として、周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化学反応機構が提案されている。生成したラジカルが光架橋反応に関与すると考えられる。
【0064】
水素引き抜き型光重合開始剤(d)として、励起三重項状態を経て周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化合物であれば特に限定されない。
芳香族ケトンとして、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、およびアントラキノン類を挙げることができ、前述した化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。
【0065】
ベンゾフェノン類として、ベンゾフェノンおよびその誘導体を挙げることができ、具体的には、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
ミヒラーケトン類として、ミヒラーケトンおよびその誘導体を挙げることができる。
キサンテン類として、キサンテンおよびアルキル基、フェニル基、またはハロゲン基で置換された誘導体を挙げることができる。
チオキサントン類として、チオキサントンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体を挙げることができ、具体的には、エチルチオキサントン、メチルチオキサントン、およびクロロチオキサントン等を挙げることができる。
アントラキノン類として、アントラキノンおよびアルキル基、フェニル基、またはハロゲン基等で置換された誘導体を挙げることができる。
【0066】
水素引き抜き型光重合開始剤(d)の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。
水素引き抜き型光重合開始剤(d)の添加量が、上記範囲内にあれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物表面の硬化性は充分に確保でき、また、硬化物として、長期保存時に表面にクラック等が発生せず、耐候性を確保することができる。
【0067】
「崩壊型光重合開始剤(e)」
崩壊型光重合開始剤(e)として、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し活性なラジカルが生成する化合物を意味し、特に限定されるものではない。
具体的には、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、アシルホスフィンオキシド類、およびジケトン類等を挙げることができる。
崩壊型光重合開始剤(e)として、前述した化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。
【0068】
ベンゾインアルキルエーテル類として、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンゾインイソブチルエーテル等を挙げることができる。
2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンおよび2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等を挙げることができる。
アセトフェノン類として、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、および2,2−ジエトキシアセトフェノン等を挙げることができる。
アシルオキシムエステル類として、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等を挙げることができる。
アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、およびテトラゼン化合物等を挙げることができる。
ジケトン類としては、ベンジルおよびメチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。
【0069】
崩壊型光重合開始剤(e)の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。
崩壊型光重合開始剤(e)の添加量が、上記範囲内にあれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物内部の硬化性を充分に確保することができる。
【0070】
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物を、光重合開始剤として用いることもできる。
該光合開始剤として、α−アミノアセトフェノン類を挙げることができる。
α−アミノアセトフェノン類として、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン等を挙げることができる。
【0071】
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。
該光重合開始剤の添加量が上記範囲内にあれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合であっても、硬化物の機械的物性を充分に確保することができる。
【0072】
本実施の形態におけるシート樹脂は、熱硬化性樹脂組成物または熱硬化性樹脂硬化物であってもよく、熱硬化性樹脂組成物中に熱重合開始剤を含有していることが好ましい。
【0073】
[熱重合開始剤]
熱重合開始剤として、好適な化合物は、ラジカル重合反応または開環重合反応に使用できる全ての熱重合開始剤である。
ラジカル重合反応に用いられる熱重合開始剤として、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機珪素過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、チオール化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ハロゲン化合物、およびアルデヒド化合物等を挙げることができる。
開環重合反応に用いられる熱重合開始剤としては、マイクロカプセル中に熱重合開始剤を入れた潜在性熱重合開始剤を挙げることができる。
【0074】
熱重合開始剤は、樹脂(b)または有機化合物(c)との混合の容易性の観点から、20℃において液状であることが好ましい。
熱重合開始剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体量に対し、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
熱重合開始剤の含有量が上記範囲内にあれば、熱硬化性樹脂組成物を十分に硬化させることができ、熱硬化物の表面の粘着性を低減することが可能となる。
【0075】
本実施の形態において、好適に熱重合を行うためには、熱重合開始剤の選択は重要である。熱重合開始剤の熱安定性は、通常、10時間半減期温度(10h−t1/2)の方法によって、すなわち、熱重合開始剤の当初の量の50%が、10時間後に分解してフリーラジカルを形成する温度で示される。
10時間半減期温度に関する詳細については、「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」,11巻、1頁以降、John Wiley & Sons,ニューヨーク,1988年、に示されている。
熱重合開始剤の10時間半減期温度が、少なくとも60℃であることが好ましく、より好ましくは少なくとも70℃であり、さらに好ましくは80℃〜150℃である。
【0076】
熱重合開始剤として、熱硬化性の観点および熱硬化性樹脂組成物との相溶性の観点から、有機過酸化物が特に好ましい。
熱重合開始剤として、例えば、過オクタン酸t−ブチル、過オクタン酸t−アミル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、ペルオキシマレイン酸t−ブチル、過安息香酸t−アミル、ジペルオキシフタール酸ジ−t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル、および2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン等のペルオキシエステル類;1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、およびエチル3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチレート等のジペルオキシケタール類;ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、および2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン等のジアルキルぺルオキシド;ジベンゾイルペルオキシドおよびジアセチルペルオキシド等のジアシルペルオキシド;t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、およびクミルヒドロペルオキシド等のt−アルキルヒドロペルオキシド類等を挙げることができる。
【0077】
熱重合性開始剤として、気泡を含有させるクッション層を形成する際に好ましい化合物として、アゾ化合物を挙げることができる。
アゾ化合物として、例えば、1−(t−ブチルアゾ)ホルムアミド、2−(t−ブチルアゾ)イソブチロニトリル、1−(t−ブチルアゾ)シクロヘキサンカルボニトリル、2−(t−ブチルアゾ)−2−メチルブタンニトリル、2,2’−アゾビス(2−アセトキシプロパン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、および2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)等を挙げることができる。
【0078】
[微粒子]
シート状樹脂に無機系微粒子、有機系微粒子、および/または有機無機複合微粒子を添加することができる。これらの微粒子を添加することにより硬化させて得られるシート状樹脂の機械的物性の向上、シート状樹脂表面の濡れ性改善、また、シート状樹脂の粘弾性特性の調整等が可能となる。
無機系微粒子または有機系微粒子として、その材質は特に限定されるものではなく、公知の微粒子を用いることができる。
有機無機複合微粒子として、無機系微粒子の表面に有機物層もしくは有機系微粒子を形成した微粒子、または有機系微粒子表面に無機物層もしくは無機微粒子を形成した微粒子等を挙げることができる。
【0079】
微粒子として、シート状樹脂の機械的物性を向上させる目的で、窒化珪素、窒化ホウ素、および炭化珪素等の剛性の高い無機系微粒子またはポリイミド等の有機系微粒子を用いることができる。
得られたシート状樹脂の耐溶剤特性を向上させる目的で、無機系微粒子や、使用する溶剤への膨潤特性の良好な材質で形成された有機系微粒子を添加することもできる。
【0080】
レーザー彫刻法により円筒状印刷原版表面に凹凸パターンを形成する際に、レーザー彫刻過程で発生する粘稠性液状残渣の吸着除去特性に優れる無機多孔質微粒子を添加してもよい。
【0081】
微粒子として、特に限定されるものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、および多孔質ガラス等を挙げることができる。
【0082】
微粒子の数平均粒子径が0.01〜100μmであることが好ましい。微粒子の数平均粒子径は、好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは1〜10μmである。数平均粒子径の範囲が上記範囲内にある微粒子を用いた場合、樹脂(b)および有機化合物(c)との混合を行う際に粘度の上昇、気泡の巻き込み、粉塵の大量発生等の不都合を生じることなく、シート状樹脂表面に凹凸が発生することもない。
【0083】
本実施の形態において、微粒子の平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した値を意味する。
【0084】
微粒子の粒子形状は特に限定されるものではなく、微粒子として、球状、扁平状、針状、無定形、または表面に突起のある粒子等を用いることができ、耐磨耗性の観点からは、球状粒子であることが好ましい。
【0085】
微粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、およびその他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化または疎水性化した微粒子を用いることもできる。
本実施の形態において、これらの微粒子は1種または2種以上のものを選択することができる。
【0086】
[樹脂組成物の組成比率]
樹脂組成物における樹脂(b)、有機化合物(c)、微粒子の割合は、樹脂(b)100質量部に対して、有機化合物(c)は5〜200質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。
樹脂(b)100質量部に対して、微粒子は1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜50質量部であり、さらに好ましくは2〜20質量部である。
有機化合物(c)の割合が、上記範囲内にある場合、得られる樹脂硬化物の硬度と引張強伸度のバランスがとりやすく、硬化時の収縮も小さい範囲に収まり、厚み精度を確保することができる。
【0087】
樹脂組成物には用途や目的に応じて、重合禁止剤、紫外線吸収剤、滑剤、界面活性剤、可塑剤、および香料等を添加することができる。
【0088】
[シート状樹脂の製造方法]
シート状樹脂の製造方法として、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。
シート状樹脂製造方法として、例えば、注型法、ポンプまたは押し出し機等の機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる方法、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法、およびスプレー等を用いて噴霧する方法等を挙げることができる。
シート状樹脂を成形する際、熱分解を起こさない範囲で加熱しながら成形を行うことも可能であり、必要に応じて、圧延処理および研削処理等をほどこしてもよい。
【0089】
[光硬化方法]
成形された感光性樹脂組成物は、光照射により架橋せしめ、感光性樹脂硬化物を形成する。
感光性樹脂組成物を成形しながら光照射により架橋させて感光性樹脂硬化物を形成することもできる。
光硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、およびメタルハライドランプ等を挙げることができる。
感光性樹脂組成物に照射される光は、200nmから400nmの波長の光を有することが好ましい。
水素引き抜き型光重合開始剤は、この波長領域に強い光吸収を有するものが多いため、200nmから400nmの波長の光を有する場合、感光性樹脂硬化物の表面の硬化性を充分に確保することができる。光硬化に用いる光源は、1種類でもよいが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも好ましい。
【0090】
[熱硬化方法]
硬化性樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合、加熱処理により、熱硬化性樹脂硬化物とする。
加熱方法は、赤外線を照射する方法、オーブン等で加熱した雰囲気に曝す方法、および加熱した金属等の物体と接触する方法等が挙げられる。加熱温度は、熱重合開始剤の種類に応じて選択する。
【0091】
[クッション層]
シート状樹脂にクッション層を形成することもできる。シート状樹脂の下部(円筒状支持体(a)と接触する側)にクッション層を設けることができる。
クッション層としては、ショアA硬度が10以上70度以下の、またはASKER−C型硬度計で測定したASKER−C硬度が20度以上85度以下のエラストマー層であることが好ましい。
ショアA硬度が10度以上またはASKER−C硬度が20度以上である場合、適度に変形するため、印刷品質を確保することができる。
ショアA硬度が70度以下またはASKER−C硬度が85度以下である場合、クッション層としての役割を果たすことができる。
ショアA硬度は20〜60度またはASKER−C硬度は45〜75度であることが好ましい。ショアA硬度とASKER−C硬度は、クッション層に使用する材質により使い分けることが好ましい。2種類の硬度の違いは、測定に用いる硬度計の押針形状の違いに由来する。均一な樹脂組成の場合、ショアA硬度を用いることが好ましく、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の発泡性基材のように不均一な樹脂組成の場合には、ASKER−C硬度を用いることが好ましい。ASKER−C硬度は、JIS K7312規格に準拠する測定法である。
【0092】
クッション層の材料として、特に限定されるものではなく、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、および熱硬化型エラストマー等のゴム弾性を有するエラストマーを挙げることができる。
円筒状印刷版への加工性の観点から、光で硬化する液状感光性樹脂組成物を用い、硬化後にエラストマー化する材料を用いることが簡便であり好ましい。
【0093】
クッション層が、樹脂硬化物を含み、且つ気泡または有機系微粒子を含有することが好ましい。有機系微粒子が中空マイクロカプセルであって、中空マイクロカプセルの表面に無機系微粒子が付着しているものを用いることが好ましい。有機系微粒子の平均粒子径が1μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは80μm以上200μm以下である。
【0094】
クッション層の密度は、0.1g/cm3以上0.9g/cm3以下であることが好ましく、より好ましくは0.3g/cm3以上0.7g/cm3以下であり、さらに好ましくは0.4g/cm3以上0.6g/cm3以下である。
クッション層の密度が上記範囲内にあれば、印刷工程においてレーザー彫刻層にかかる衝撃を充分に吸収することができる。
【0095】
クッション層に用いる熱可塑性エラストマーとしては、例えば、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、およびSEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等のスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコン系熱可塑性エラストマー、ならびにフッ素系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0096】
クッション層に用いる光硬化型エラストマーとしては、熱可塑性エラストマーに光重合性モノマー、可塑剤、および光重合開始剤等を混合した組成物、液状樹脂に光重合性モノマーおよび光重合開始剤等を混合した組成物等を挙げることができる。
微細パターンの形成機能が重要な要素である感光性樹脂組成物の設計思想とは異なり、光を用いて微細なパターンの形成を行う必要がなく、全面露光により硬化させることにより、必要な機械的強度を確保できれば良いため、材料の選定において自由度が極めて高い。
【0097】
クッション層に用いるエラストマーとしては、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、およびチオ尿素等の化合物を架橋剤として用いる非硫黄架橋型ゴムでもよい。テレケリック液状ゴムを反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものを使用することもできる。
【0098】
クッション層として、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の材質で、独立または連続気泡を層内に有するクッション層であってもよく、市販品として入手可能なクッション材、クッションテープを使用することもでき、クッション層の片面または両面に、接着剤または粘着剤が塗布されたものであってもよい。
【0099】
[レーザー彫刻]
本実施の形態において樹脂硬化物を、レーザー彫刻法を用いてパターンを形成する印刷基材として使用する場合、レーザー彫刻法においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、印刷基材にレリーフ画像を作成する。レーザー彫刻に用いるレーザー光は、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行うためには出力の高いものが好ましく、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、および半導体レーザー等の赤外線または赤外線放出固体レーザーを挙げることができる。
可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザーの第2高調波、銅蒸気レーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3または第4高調波へ波長変換したYAGレーザーは、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でもよい。
【0100】
レーザーによる彫刻は酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。彫刻終了後、レリーフ印刷版面にわずかに発生する粉末状もしくは液状の物質は適当な方法、例えば溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、または高圧スチームを照射する方法等を用いて除去してもよい。
【0101】
本実施の形態において、レーザー光を照射し凹パターンを形成する彫刻後に、版表面に残存する粉末状または粘性のある液状カスを除去する工程に引き続き、パターンを形成した印刷版表面に波長200nm〜450nmの光を照射する後露光を実施することもできる。表面のタック除去に効果がある方法である。後露光は大気中、不活性ガス雰囲気中、水中のいずれの環境で行ってもよい。用いる感光性樹脂組成物中に水素引き抜き型光重合開始剤が含まれている場合、特に効果的である。さらに、後露光工程前に印刷版表面を、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液で処理し露光してもよい。また、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液中に印刷版を浸漬した状態で露光してもよい。
【0102】
本実施の形態の円筒状印刷原版成形装置により製造される円筒状印刷原版は、その用途として、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷等の印刷技術において用いられる印刷原版または印刷版を挙げることができる。特に精度の高い印刷物が要求されるフレキソ印刷のラベル印刷等のナローウェッブや、缶印刷やチューブ印刷等のドライオフセット印刷の曲面印刷が、好ましい用途である。
【0103】
印刷においてインキが脂肪族炭化水素および/または芳香族炭化水素を含む場合、シート状樹脂にポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体を含有することが好ましい。これらの樹脂材料は、上記の溶剤に対する耐性を有するため好ましい。
脂肪族炭化水素として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ジペンテン、ゴム揮発油、ミネラルスピリット、および高沸点石油溶剤(インキオイル)等の化合物を挙げることができる。
芳香族炭化水素として、トルエン、キシレン、ジメチルベンゼン、ジクロロベンゼン、ソルベントナフタ、およびテトラリン等の化合物を挙げることができる。
【実施例】
【0104】
以下、本実施の形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる測定方法および評価方法は以下のとおりである。
【0105】
[測定方法]
(1)レーザー彫刻
レーザー彫刻は炭酸ガスレーザー彫刻機(ZED−mini−1000、英国、ZED社製、米国、コヒーレント社製、出力250W炭酸ガスレーザーを搭載、レーザー光の発振波長は10.6μm)を用いて行った。彫刻は、網点(120線/インチ、面積率10%)パターンを作成して実施した。彫刻深さは0.55mmとした。
【0106】
(2)粘度
樹脂組成物の粘度は、B型粘度計(商標、B8H型;日本国、東京計器社製)を用い、20℃で測定した。
【0107】
(3)数平均分子量の測定
樹脂(b)、有機化合物(c)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(日本国、東ソー社製、HLC−8020)とポリスチレン充填カラム(TSKgel GMHXL;日本国、東ソー社製)を用い、テトラヒドロフランで展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1質量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、注入量10μLとした。検出器としては、示差屈折計を用いた。
【0108】
(実施例1)
[円筒状印刷原版製造装置1]
エアーシリンダーを保持し回転できる機構として、三つ爪チャックと芯押しテールストックを有する小型旋盤を改造し、回転機構としてエンコーダーの付いたステッピングモーターを取り付け、低速回転できるようにした。繊維強化プラスチック製スリーブや金属製スリーブは、エアーシリンダーの細孔から空気を噴出させることによって装着し、空気の噴出を止めることによって固定することができる。
図1に示したようにエアーシリンダー10の上部に、ガラス製中空円筒15を支える2本のロール(16、17)を設置し、ロール16は、エアーシリンダー10の回転に同期して回転できる機構を取り付けた。もう一方のロール17は、周方向に自由回転できるように支える機構とした。この2本のロール(16、17)の上にガラス製中空円筒15を保持した。2本のロール(16、17)は、上下に移動できるようにステッピングモーターで駆動する上下動機構を取り付けた。シート状樹脂12を円筒状支持体(a)11上に置き、ガラス製中空円筒15がシート状樹脂12の上に接し、動かないように、2本のロール(16、17)の位置を決める。ガラス製中空円筒15の内径は300mm、厚み5mmのものを使用した。用いたガラス製中空円筒15のレーザー光の波長である1064nmにおける光線透過率は95%以上であった。
レーザー光源として、平均出力20Wの連続発振ファイバーレーザー(英国、SPI社製、「redENERGY」)(発振波長:1064nm、ビーム径が3mm、発振周波数:125kHz、時間半値幅:20ナノ秒)を使用し、ファイバーレーザーの出力ヘッドに、集光レンズを取り付けたレーザーヘッド14を作製した。レーザーヘッド14をガラス製中空円筒15の内側に設置し、レーザーヘッド14がガラス製中空円筒15内で、長軸方向にリニアモーター23で滑らかに動くように、レーザーヘッド14とリニアモーター23の接続治具24を有する1軸の駆動系を導入した。また、レーザーヘッド14を上下動させることにより、円筒状支持体(a)11とシート状樹脂12との界面に焦点が合うように調整できる駆動機構にレーザーヘッド14を取り付けた。レーザーヘッド14の上下方向の駆動についてもステッピングモーターを採用した。焦点部でのレーザービーム(13)径を2mmとした。
レーザーヘッド14をガラス製中空円筒15の長軸方向に移動させながら、レーザー光を照射することによって、円筒状支持体(a)11とシート状樹脂12の界面部を線状に溶着した。レーザーで溶着している間は、円筒状支持体(a)11は動かないように固定した。次に、円筒状支持体(a)11を所定量回転させ、同じように溶着を行い、シート状樹脂の全面を円筒状支持体(a)11に溶着させた。円筒状支持体(a)11の回転と同期させてガラス製中空円筒15が同じだけ回転するように、ロール16の回転で調整した。レーザーで溶着する部分において、円筒状支持体(a)11とシート状樹脂12が常に接触しているようにして、レーザー溶着を実施した。
【0109】
[シート状樹脂の作製]
樹脂(b)として、数平均分子量が約10万のポリカーボネートポリウレタン(大日精化社製、「レザミン(登録商標)P890」) 70質量部、有機化合物(c)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190) 30質量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート(分子量338) 1質量部、微粒子として、多孔質性微粉末シリカ(富士シリシア化学社製、「サイロスフェア(登録商標)C−1504」) 5質量部、光重合開始剤として、ベンゾフェノン 0.5質量部および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン 0.6質量部、安定剤として、2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン 0.5質量部を、小容量加圧型ニーダー(モリヤマ社製、「D1−5」)を用いて温度130℃で混合し、感光性樹脂組成物を調製した。得られた感光性樹脂組成物を2軸押し出し装置(テクノベル社製、「KZW−TW」を用いて、ウレタン接着剤が表面に薄く塗布されている厚さ50μmのPETフィルム(東レ社製)上に、厚さ0.4mmで押し出し、さらにシリコーン離型処理した厚み50μmのPETカバーシート(藤森工業社製)で挟み、シート状樹脂を形成した。シート状樹脂の感光性樹脂組成物は、20℃において固体状であった。
得られたシート状樹脂を幅180mm、長さ710mmにカットした。中空円筒状支持体上に巻きつける前に、ガラス平板上でケミカルランプ(蘭国、フィリップス社製、「10R」)から発する紫外線で4000mJ/cm2(350nmにおける積算光量)照射し、光硬化させたシート状樹脂を得た。
【0110】
[円筒状印刷原版の製造]
エアーシリンダーに装着された内径225mm、厚み1mm、幅200mmのガラス繊維強化プラスチック製スリーブ(独国、ポリベスト社製)上に、カーボンブラック(東海カーボン社製)を練り込んだPETから成形したシュリンクチューブを被覆し、加熱してチューブを収縮させガラス繊維強化プラスチック製スリーブに密着させた。その後、シート状樹脂を巻き付け、円筒状印刷原版製造装置を用いて両者を溶着させて、円筒状印刷原版を作製した。
得られた円筒状印刷原版の外径を同一周上で5箇所、長軸方向に5箇所についてレーザー測長器(キーエンス社製、「LS−5120」)を用いて測定した。ただし、シート状樹脂の継ぎ目部が入らない部分を測定に選定した。外径精度は、±15μmであった。
【0111】
(実施例2)
[円筒状印刷原版製造装置1]
図2に示したように、円筒状支持体(a)11の上部に厚み5mmのアクリル板18を設置して、円筒状支持体(a)11とアクリル板18の間にシート状樹脂を挟む装置とした。ロール19およびロール20は、アクリル板18を支え、かつ円筒状支持体(a)11の回転に合わせてアクリル板18を左右に動かせるように回転機構を有する。また、ロール21とロール22は、アクリル板18が上に動かないように保持するためのロールであり、自由回転するようになっている。アクリル板18の波長1064nmにおける光線透過率は95%以上であった。
レーザーヘッド14は、実施例1と同じものを使用した。レーザーヘッド14を円筒状支持体(a)11の長軸方向に移動させる機構についても、実施例1で用いた機構を利用した。
【0112】
[シート状樹脂の作製]
樹脂(b)として、数平均分子量が約10万のポリカーボネートポリウレタン(大日精化社製、「レザミン(登録商標)P890」) 70質量部、有機化合物(c)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190) 30質量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート(分子量338) 1質量部、微粒子として、多孔質性微粉末シリカ(富士シリシア化学社製、「サイロスフェア(登録商標)C−1504」) 5質量部、安定剤として、2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン 0.5質量部を、小容量加圧型ニーダー(モリヤマ社製、「D1−5」)を用いて温度130℃で混合し、その後、70℃まで冷却し、熱重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製 「パーブチルE(登録商標)」) 1質量部を添加して、熱硬化性樹脂組成物を調製した。得られた熱硬化性樹脂組成物を、表面にウレタン接着剤層が塗布されている厚み50μmのPETフィルム(東レ社製)とシリコーン離型処理されたPETフィルム(藤森工業社製)の間に挿入し、2枚の金属板で熱プレスした。2枚の金属板の間には厚み0.5mmの金属製スペーサーを挿入してあり、130℃において30分間熱処理を行い、熱硬化させたシート状樹脂を得た。
【0113】
[円筒状印刷原版の製造]
円筒状支持体(a)として厚み0.4mmのアラミド繊維強化プラスチック(エポキシ樹脂)製スリーブを用い、金属製エアーシリンダーに装着した。実施例1と同じシュリンクチューブをスリーブに装着し密着させた。作製したシート状樹脂を円筒状支持体(a)とアクリル板の間に挟み、レーザー溶着によって円筒状支持体(a)に接着し、円筒状印刷原版を作製した。得られた円筒状印刷原版の外径精度は、±15μm以内であった。
【0114】
[円筒状印刷版の製造と印刷〕
得られた円筒状印刷原版表面に炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて線速度10m/秒で凹凸パターンを形成し、円筒状印刷版とした。その後、フレキソ印刷機に装着し、溶剤インキを用いて毎分200mの印刷速度でポリエチレンフィルムへの印刷を行った。レーザー彫刻工程、印刷工程において、シート状樹脂が円筒状支持体(a)から剥がれることはなかった。また、得られた印刷物の網点部の印刷品質も良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、円筒状支持体上にシート状樹脂を接着し、円筒状印刷原版を生産性高く、しかも厚み精度高く製造するための円筒状印刷原版成形装置を提供することができる。
本発明は、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、およびグラビア印刷等の印刷分野において産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】実施例1における円筒状印刷原版製造装置の概略側面図を示す。
【図2】実施例2における円筒状印刷原版製造装置の概略側面図を示す。
【符号の説明】
【0117】
1:円筒状印刷原版成形装置
10:エアーシリンダー
11:円筒状支持体(a)
12:シート状樹脂
13:レーザービーム
14:レーザーヘッド
15:円筒状物(例えば、ガラス製中空円筒)
16:ロール
17:ロール
18:板状物(例えば、アクリル板)
19:ロール
20:ロール
21:ロール
22:ロール
23:リニアモーター
24:レーザーヘッドとリニアモーターの接続治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状支持体(a)上にシート状樹脂を接着するための円筒状印刷原版成形装置であって、
(1)前記円筒状支持体(a)を保持し、周方向に回転させる機構と、
(2)レーザー光透過性の板状物または円筒状物を保持し、前記円筒状支持体(a)の表面との間隔を変化させる機構と、
(3)前記機構(2)内に配設されるレーザー光源と、
(4)前記板状物または円筒状物と前記円筒状支持体(a)の間に前記シート状樹脂を挟み、前記板状物または円筒状物を通して、前記シート状樹脂とレーザー光を吸収する前記円筒状支持体(a)との界面に、レーザー光を照射するための光学系と、
(5)レーザー光の照射される位置を前記円筒状支持体(a)の長軸方向に移動させる機構と、を備える円筒状印刷原版成形装置。
【請求項2】
前記レーザー光源が、波長700nm以上3μm以下のレーザー光を発する光源である、請求項1に記載の円筒状印刷原版成形装置。
【請求項3】
前記円筒状支持体(a)が、繊維強化プラスチック製または金属製の中空円筒状支持体であり、
前記機構(1)が、金属、ゴム、およびプラスチックからなる群から選ばれる少なくとも1種の材料からなるシリンダー状物を有する、請求項1または2に記載の円筒状印刷原版成形装置。
【請求項4】
前記光学系(4)が、集光レンズと、該集光レンズと前記円筒状支持体(a)の表面との距離を変化させる機構と、を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の円筒状印刷原版成形装置。
【請求項5】
前記機構(5)が、前記光学系(4)を長軸方向に位置を変える機構、またはレーザー光を長軸方向に走査する機構を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の円筒状印刷原版成形装置。
【請求項6】
前記レーザー光が、パルス状であり、パルスの周波数が1kHz以上500MHz以下であり、パルス時間半値幅が1ナノ秒以上50ミリ秒以下であり、かつ平均出力が0.1W以上200W以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載の円筒状印刷原版成形装置。
【請求項7】
前記板状物または円筒状物の材質が、ガラスおよびプラスチックからなる群から選ばれる少なくとも1種の材料であり、使用するレーザー光の波長での光線透過率が50%以上100%以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の円筒状印刷原版成形装置。
【請求項8】
前記円筒状支持体(a)と、前記板状物または円筒状物と、が同期して動き、
前記円筒状支持体(a)と、前記シート状樹脂と、が常時接触している部分を有し、該接触している部分にレーザー光が照射される、請求項1から7のいずれか1項に記載の円筒状印刷原版成形装置。
【請求項9】
前記シート状樹脂が、熱可塑性樹脂、感光性樹脂組成物、および熱硬化性樹脂組成物からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料からなる、請求項1から8のいずれかに記載の円筒状印刷原版成形装置。
【請求項10】
前記シート状樹脂が、前記熱可塑性樹脂からなるシート状支持体上に、感光性樹脂硬化物または熱硬化性樹脂硬化物が積層されるシート状積層体である、請求項9に記載の円筒状印刷原版成形装置。
【請求項11】
前記感光性樹脂組成物または熱硬化性樹脂組成物が、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルポリオール、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、およびスチレン−イソプレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む、請求項9に記載の円筒状印刷原版成形装置。
【請求項12】
フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、またはグラビア印刷用途で使用される円筒状印刷原版または円筒状印刷版を製造するための装置である、請求項1から11のいずれか1項に記載の円筒状印刷原版成形装置。
【請求項13】
前記円筒状印刷原版が、レーザー彫刻法で表面にパターンを形成するレーザー彫刻用円筒状印刷原版である、請求項12に記載の円筒状印刷原版成形装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−76383(P2010−76383A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250596(P2008−250596)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】