説明

再帰反射バッチ

【課題】彩度の高い鮮やかな色からパステルカラー等の淡い色まで幅広く美しい印刷表現が可能な再帰反射性バッチを提供する。
【解決手段】印刷面を有する透明な材質からなる表示部の表面からの入射する光801を反射する反射部2、該反射部を構成するオープン型ガラスビーズ201には白色を反射する基材220を有しており、白色からなる反射機能を有して表示部を鮮明とする再帰反射バッチであって、入射光は、該オープン型ガラスビーズをレンズとして反射するように屈折率を定め、且つオープン型ガラスビーズの下層には白色を反射する機能を有する白色の基材220を備えたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服や帽子、靴、靴下、ベルト、鞄等や建造物の壁面、柱、天井、床、窓、階段、手すり、自動車、バイク等に適用可能な再帰反射バッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一方、再帰反射材は交通標識等の表示装置や、工事現場にて着用される反射ベスト等の保安用品として多く使われ、電気照明を用いずに自動車のヘッドライトや周辺の光源等に明るく反射させ視認性を確保し安全性を向上させている。
【0003】
再帰反射性能を備えた表示装置は一般に切り文字加工や印刷を施した再帰反射シートを板状の支持体に貼り付けて表示面としている。再帰反射シートは図5で示す道路標識だけでなく、図6や図7で示す活用例のように、その反射性能を活かし工事現場の看板、バリケード、テープや自動車等にも使われている。小物類としては、図2に示すように、バッチに取付けるものも使用されている。
【0004】
再帰反射材の材料となる再帰反射シートは、大きくわけて2種類に別れる。1つは樹脂を型で三角錐に成型したプリズム型というものであり、1つはガラスビーズを光学的凸レンズとして用いたものである。
更にガラスビーズタイプの再帰反射シートは図4の封入レンズ(320)とオープンビーズ型の2つに大別される。
【0005】
従来周知のオープンビーズ型再帰反射シートの仕組みは、図2の(2)で示すように、光学的凸レンズの役割を担うガラスビーズ(201)が入射光(801)を屈折させ(306)、ガラスビーズの底面(308)において焦点を結ぶように1点に集光させる。焦点を結ぶまでの光が通る距離は、ガラスビーズに用いるガラスの光の屈折率によって導き出される。
【0006】
次にガラスビーズの下の外周に設けられたアルミ蒸着や光反射率の高い塗料、樹脂、金属、紙、布等の基材(220)が反射鏡の役割をして、焦点を結んだ光を反射する。即ち、ガラスビーズ(201)の屈折率は1.92ないし、1.93として用いるのが従来の技術であった。
【0007】
この場合、基材(220)で反射した光が再び屈折して(310)、光源(8)の方向へ向かって帰される(802)再帰反射という仕組みになっている。
【0008】
オープンビーズ型再帰反射シートは、製造コストの低さや施工性の良さを始め、反射材装着時の視認性の向上に欠かせない広角再帰反射性にも優れている。
【0009】
そこで本発明では、より白色度の高い光を反射するオープンビーズ型再帰反射シートによる、表示面の色彩の鮮やかさを高めた再帰反射バッチを考案した。
【特許文献1】特開2002−67208号公報
【特許文献2】特開2004−301977号公報
【特許文献3】特開2004−36161号公報
【特許文献2】特開2005−181484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の従来技術には、次のような問題があり指摘されていた。
【0011】
従来の再帰反射バッチには、印刷親和性の高い封入レンズ型再帰反射シート(320)が用いられていたが、封入レンズ型再帰反射シート(320)は、図4で示すように光学的凸レンズの役割を担うガラスビーズ(301)が入射光(801)を屈折させ(306)、バインダー層(302)の外周に設けられたアルミ蒸着層(304)で焦点(308)を結ぶように1点に集光させ、アルミ蒸着層(304)を反射鏡の役割にしてガラスビーズ(301)へ反射させてから、再びガラスビーズ(301)の屈折によって光源(8)の方向へ向かって帰させる(802)、再帰反射の仕組みになっている。再帰反射した光の色はアルミ蒸着層(304)の銀色を含んでいるため、表示面に設けられた印刷インク層(501)の色の鮮やかさが失われ、色彩色が決められているキャラクター等の色鮮やかな印刷表現が出来ないことが指摘されていた。
【0012】
他方、従来のオープンビーズ型再帰反射シートが設けられている再帰反射バッチは、図7に示すように、オープンビーズ型再帰反射シートの表面に直接印刷を行うと、ガラスビーズ(301)の屈折率が変わってしまい、再帰反射性能が失われてしまうので、結果印刷することが実質的にできなかった。
従って、印刷せずに、オープンビーズ型再帰反射シートの基材の色をそのまま表示面の色として、単に色だけを示すバッチとして用いただけの、単調なものしか出来ない事が指摘されていた。
【0013】
さらに、図8に示すように、従来のオープンビーズ型再帰反射シートが設けられている再帰反射バッチは、前記したように、表面がオープンビーズ型再帰反射シートであると、その表面が水に濡れてしまうと、やはりガラスビーズ(301)の屈折率が変わってしまうので、交通事故が発生しやすい雨の場合、特に夜間に再帰反射性能が失われてしまう点が問題とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決する為に、印刷可能な透明樹脂を表示部に設け、白色度の高い反射光を発生させる部材を有する反射部を備え、さらに取付の為の上部接合部と下部接合部からなる、色鮮やかな表示部を有する再帰反射バッチを提供する。
【0015】
前記反射部はオープンビーズ型レンズで再帰反射するように屈折率を定め、且つ、オープンビーズには白色度の高い反射をする機能を有する基材を備えたオープンビーズ型再帰反射シートを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は白色度の高い再帰反射により、色鮮やかな表示部の表現が可能な再帰反射バッチとした。即ち、従来の再帰反射バッチに比べ、彩度の高い鮮やかな色からパステルカラー等の淡い色まで幅広く美しい印刷表現が可能となり、同時にイラストや写真、文字等の再現性も向上させた。
【0017】
更に、本発明は、透光性を有するフィルムに印刷を行い表示部として設けるため、従来のように反射部のオープンビーズ型レンズに直接印刷を行う必要が無くなった。さらに表示部のフィルムがオープンビーズ型レンズの汚れや、水などに濡れたりすることを防ぐ役割も果たすことになり、複雑な印刷も可能となり、しかも表面が濡れても再帰反射性能が失わず長期に亘り劣化しない、全天候型の、オープンビーズ型再帰反射シートを用いた再帰反射バッチが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、オープンビーズ型再帰反射シートを適用した1例として図1に示す再帰反射バッチがある。その再帰反射バッチの表示面には、印刷面を有する透明材からなる表示部(1)、反射部(2)、上部接合部(6)、下部接合部(7)から構成されている。反射部(2)には本発明の特徴である白色度の高い反射光を発生させるオープンビーズ型再帰反射シートが設けられている。
表示部(1)は文字やマーク、模様、写真、イラスト、絵画、テキスタイル等が裏面、もしくは表面に印刷されたPETやアクリル、塩ビ、オレフィン等の透明樹脂層が採用されるであろう。該表示部(1)は雨に濡れても可となるような透明な合成樹脂等の材質で製作されていることがより好ましいのは、この場合には、雨天でも使用が可能となるのが理解されるであろう。勿論印刷可能である材質で透明であれば当業者によって様々な材質が可能であるのは勿論である。
さらに、必要に応じてラミネート加工等の表面保護層を設けることも可能である。
【0019】
反射部(2)の構成は、図2、図3に示すように、複数のガラスビーズ(201)からなり、透明性のある接着層(210)により、ガラスビーズ(201)の基部は、基材(220)と固定されている。従来の再帰反射バッチに用いられていた図4の封入レンズ型再帰反射シート(320)の表示面(5)の鮮やかさを低下させるようなアルミ蒸着反射層(304)は設けず、ガラスビーズ(201)で再帰反射を実現するように、屈折率を設定している(この場合、屈折率1.93)。
その為に、光(8)は、ガラスビーズ(201)内で図4に示すように、入射光(801)は、ガラスビーズ(201)内へ入り、反射点(308)より反射する反射光(802)となっている。
なお、図3は、バッチとして形成された状況を示している。空間があるのは、上部接合部(6)、下部接合部(7)との間に,図1の(3)(4)に示すように空間が形成されるからである。
【0020】
そして図1の(2)で示すように、表示部(1)と反射部(2)を上部接合部(6)の上に重ね、表示部(1)と反射部(2)の小口を上部接合部(6)の裏側へ巻き込み、図1の(3)のように下部接合部(7)を上部接合部(6)の内側に押し込んで、図1の(4)の結合部(9)によって表示部(1)、反射部(2)、上部接合部(6)、下部接合部(7)の全てが固定される。
【0021】
上部接合部(6)と下部接合部(7)には、スチール、アルミ、ステンレス等の金属の他、PET、アクリル、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩ビ、ポリカーボネイト、オレフィン等の樹脂(601)(701)を用いる。
【0022】
本発明ではガラスビーズ(201)の持つ光学的凸レンズの効果による焦点距離を再帰反射に必要な全反射の入射角の最小値として屈折率などを設定し応用した。さらにガラスビーズ(201)が焦点を結ぶ地点(210)おいて反射効果を高めるため、白色度が高く反射率の高い基材(220)を透明度の高い接着層(210)によってガラスビーズ(201)と固定している。このため基材(220)の白色も白色光として反射するので、白色度の高い再帰反射が可能となる。
基材(220)にガラスビーズを取付ける方法は、様々な手段が用いられるが、1例として、基材に工程用のフイルムにガラスビーズを均一に吹き付け仮接着する。次に、該工程用フイルムのガラスビーズ面と白色の布を透明のアクリル系やウレタン系等の接着剤で貼り合わせる。次いで、仮接着されていた工程用フイルムを剥がすことで形成できる。
【0023】
したがって、印刷面を有する表示面(1)は、その白色によって鮮明に浮き出るようになるのである。本発明は再帰反射材の反射輝度を上げる為に用いられてきたアルミ蒸着を思い切って削除することで、予期せぬ白色度の高い色鮮やかな印刷再現が可能となる再帰反射バッチが得られたのである。基材(220)は白色の布状のものでも可であり、その他、紙、樹脂、金属等が採用できる。テストの結果でも鮮明な反射機能を有することが得られた。
【0024】
即ち、ガラスビーズ(201)を固定する基材(220)は白色であるので、その場合は、に示すアルミ蒸着反射層(305)が表面まで透けて見える従来の封入レンズ型再帰反射シート(320)を用いた再帰反射バッチに比べ、表示面の地色の白色度を高めることができ、鮮やかで美しい色の印刷等が施された再帰反射バッチを製作することができる。
【0025】
以上説明をしてきたが、本発明は上記実施例に限定されることなく、本発明の技術思想の範囲内で当事業者により、種々の変化が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の再帰反射シートのバッジへの適用例を示し、取り付け順序を説明する。
【図2】本発明の再帰反射シートの原理及び構造を示す。
【図3】本発明の再帰反射シートの詳細な原理及び構造を示す。
【図4】従来の再帰反射シートの詳細な原理及び構造を示す
【図5】従来の再帰反射シート利用した道路標識を示す。
【図6】従来の再帰反射シート利用した工事現場の利用を示す。
【図7】従来の再帰反射シート利用した自動車背部の利用を示す。
【図8】従来の再帰反射シート利用したバッチの製作状況を示す。
【符号の説明】
【0027】
1 表示部
2 反射部
201 ガラスビーズ
220 基材
6 上部接合部
7 下部接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷面を有する透明材からなる表示部、表面からの入射光を再帰反射し且つ白色を発する部材を有する反射部、該表示部と反射部を取り付ける上部接合部と下部接合部を備え、白色からなる再帰反射機能を有して表示部を鮮明とすることを特徴とする再帰反射バッチ
【請求項2】
前記反射部は、オープンビーズタイプのガラスレンズ型反射層であって、入射光は、該ガラスレンズで再帰反射するように屈折率を定め、該ガラスレンズには白色の反射光を生む機能を有する基材を備えたことを特徴とする請求項1記載の再帰反射バッチ

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−247465(P2009−247465A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96682(P2008−96682)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(503120128)株式会社 広仁社 (4)
【出願人】(592077811)株式会社ダイキ (6)
【出願人】(000115223)ユニチカスパークライト株式会社 (3)
【Fターム(参考)】