説明

再帰反射部材

【課題】宇宙空間から到来する太陽光のような、特定の方向から入射する入射光のみを対象として再帰反射性を発揮する。
【解決手段】再帰反射部材210は、平面に沿って配列されたシリンドリカルレンズアレイと、シリンドリカルレンズアレイの各々のシリンドリカルレンズ252に対応して、シリンドリカルレンズの曲率中心軸と平行であって一致しない中心軸を有する円筒反射鏡面を含む円筒反射鏡面アレイとを備え、対応するシリンドリカルレンズと円筒反射鏡の光軸に沿った特定の方向から入射する入射光は、シリンドリカルレンズアレイを透過して、円筒反射鏡面アレイで反射されることにより、特定の方向へ再帰反射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再帰反射部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コーナーキューブ、ビーズ等を平面的に配列して、入射する光線を入射方向へ反射させる再帰反射シートが知られている。再帰反射シートは、例えば道路標識などの保安用品に活用されている。一方、再帰反射部材をビルの壁材に用い、太陽光線を地面方向へ反射させることなく入射方向へ反射することにより、地球の温暖化を防ぐ提案もなされている(例えば特許文献1)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2006−317648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の再帰反射シートは、さまざまな方向から入射する入射光をその方向へ反射するので、例えばビルの壁材として用いた場合、照り返しなど地面方向からビルの壁面へ入射する光を再び地面方向へ反射してしまい、かえって地表温度を上昇させてしまう。すなわち、従来の再帰反射シートは、宇宙空間から到来する太陽光のような、特定の方向から入射する入射光のみを対象として再帰反射性を発揮することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様における再帰反射部材は、平面に沿って配列されたシリンドリカルレンズアレイと、シリンドリカルレンズアレイの各々のシリンドリカルレンズに対応して、シリンドリカルレンズの曲率中心軸と平行であって一致しない中心軸を有する円筒反射鏡面を含む円筒反射鏡面アレイとを備え、対応するシリンドリカルレンズと円筒反射鏡の光軸に沿った特定の方向から入射する入射光は、シリンドリカルレンズアレイを透過して、円筒反射鏡面アレイで反射されることにより、特定の方向へ再帰反射される。ここで、特定の方向とは、シリンドリカルレンズの母線に垂直な断面において、反射される光線の角度方向であって、この面内で入射光線と同一角度の角度方向であり、この断面内において再帰反射されることになる。
【0005】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様における再帰反射部材は、板状のベース部材の表裏の平面にそれぞれの曲率中心軸が平行であって一致しないように対で設けられる入射側シリンドリカルレンズと射出側シリンドリカルレンズとを有する集光レンズを配列してなる集光レンズアレイと、集光レンズの各々に対応して、集光レンズの光軸に沿った特定の方向から入射する入射光の焦点面をそれぞれ鏡面とする円筒反射鏡面を有する円筒反射鏡面アレイとを備え、特定の方向から入射される入射光は、集光レンズアレイを透過して、円筒反射鏡面アレイで反射されることにより、特定の方向へ再帰反射される。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係る再帰反射部材を、ビルの壁面に適用した場合を示す図である。
【図2】本実施形態に係る再帰反射部材が入射光線を再帰反射する方向を示す説明図である。
【図3】実施例1に係る再帰反射部材の一部を示す外観斜視図である。
【図4】実施例1に係る再帰反射部材を、図2における平面Pで切断した場合の断面図である。
【図5】実施例1に係る再帰反射部材の、光学的関係を示す説明図である。
【図6】実施例2に係る再帰反射部材の、光学的関係を示す説明図である。
【図7】実施例3に係る再帰反射部材の断面図である。
【図8】実施例3に係る再帰反射部材の、光学的関係を示す説明図である。
【図9】実施例4に係る再帰反射部材の断面図である。
【図10】実施例4に係る再帰反射部材の、光学的関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態に係る再帰反射部材10を、ビル20の壁面に適用した場合を示す図である。再帰反射部材10は、ビル20の外壁材の一部として利用される。
【0010】
本実施形態に係る再帰反射部材10は、特定の方向から入射する光線についてはその特定の方向に向けて反射し、他の方向から入射する光線については拡散させる性質を備える。つまり、特定の方向に対して再帰反射性を発揮し、他の方向に対しては再帰反射性を有さない。また、特定の方向から多少傾いた方向から入射する光線については、傾き角分だけ正反射し、2方向の成分については再帰反射と同様に反射する。再帰反射部材10をビルの外壁材として利用する目的のひとつは、照射される太陽光を地面方向へ反射させることを防ぐことである。
【0011】
近時のビルの外壁は、ガラスなどの反射部材で覆われることが多くなってきており、太陽光が反射部材で正反射されることにより、強烈な光と熱が地面方向へ照射されることが社会問題化している。特に、地面に蓄積された熱エネルギーがヒートアイランド現象を引き起こし、さらには地球温暖化の原因のひとつとなっていることは周知の事実である。そこで、本実施形態に係る再帰反射部材10は、ビルに照射される太陽光を地面方向へ反射させず、宇宙空間の方向へ反射させて太陽光エネルギーを放出させる。
【0012】
具体的には、再帰反射部材10に直交する鉛直面内で相対する太陽131の太陽光である入射光101がビル20の壁面に敷き詰められた再帰反射部材10に入射すると、反射光102として、入射方向に沿って太陽に向けて反射される。反射された反射光102のエネルギーは、一部が大気に吸収されながら、やがて宇宙空間へ放出される。
【0013】
一方で、地面による太陽光の照り返しもヒートアイランド現象の原因のひとつとなっている。したがって、再帰反射部材が入射方向に関わらず入射方向へ入射光を反射させると、地面による照り返しを再び地面方向へ反射させることになり、地面による蓄熱をより加速する結果となる。
【0014】
そこで、本実施形態に係る再帰反射部材10は、太陽131から地面に照射される入射光103の照り返し光104が入射した場合は、乱反射させて拡散する性質を有する。つまり再帰反射部材10は、太陽131の太陽光が直接入射する方向からの入射光に対しては再帰反射性を備え、その他の方向から入射する入射光に対しては再帰反射させずに拡散する。
【0015】
入射する太陽光は、季節、時間によってその方向が変化する。再帰反射部材10は、後述するように、ある特定の方向から入射する光線を最も効率よく反射するように設定されている。しかしながら、その特定の入射角から若干傾いた入射光線に対しても、再帰反射に準ずる反射性を発揮する。具体的には、例えば太陽131が図示する太陽132の位置へ移動した場合、再帰反射部材10へ直接入射する入射光105は、再帰反射部材10に直交する鉛直面から傾いた角度分だけ正反射し、反射光106となって宇宙空間の方向へ放出される。つまり、再帰反射部材10の法線方向と、鉛直面内で法線に直交する方向の成分については、再帰反射と同様にベクトルを反転させて反射し、鉛直面に直交する水平面内で法線に直交する方向の成分については正反射する。このような再帰反射に準ずる反射を、ここでは準再帰反射と呼ぶ。
【0016】
図2は、本実施形態に係る再帰反射部材10が入射光線を再帰反射する方向を示す説明図である。再帰反射部材10は、ビル20の南側壁面に敷き詰められているが、最も効率よく再帰反射する特定の方向が夏至の南中高度となるように設置されることが好ましい。この場合、所定の再帰反射率の得られる太陽の方角は、夏至の太陽行路111と冬至の太陽行路112に挟まれた、南方の一定の方角に含まれる実効方角110である。つまり、夏至の南中時刻で最も強く再帰反射され、これに準ずる一定の方角に太陽が位置する場合も所定の再帰反射効果を発揮する。なお、ここで言う再帰反射効果とは、図1を用いて説明した準再帰反射による効果を含む。したがって、太陽光を反射して宇宙空間に放出する効果は、広範な入射角に対して得られる。
【0017】
次に、再帰反射部材10の構造について説明する。再帰反射部材10は様々な構造を採り得るので、いくつかの実施例に分けて説明する。
【0018】
(実施例1)
図3は、実施例1に係る再帰反射部材210の一部を示す外観斜視図である。再帰反射部材210は、所定の大きさでユニット化されており、上述のようにビル20の壁面に敷き詰める場合には、複数のユニットを並べて取り付ける。
【0019】
ベース部材250の表面は、平面部251と、平面部251に沿って互いに平行であるアレイ状に配列された複数のシリンドリカルレンズ252から構成される。シリンドリカルレンズ252は、入射光を集光する集光レンズである。シリンドリカルレンズ252はベース部材250に対して一体的に形成されており、その素材として、透明性が高くて屈折率の大きい、例えばポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などの有機ガラスが用いられる。なお、再帰反射部材210の用途によっても異なるが、壁材として利用する場合におけるシリンドリカルレンズ252の凸レンズ断面における半径は2mm程度に設定される。
【0020】
実施例1における再帰反射部材210においては、シリンドリカルレンズ252のレンズ面で入射光が効果的に屈折するように、シリンドリカルレンズ252のレンズ面は空気層240の空気と接するように構成されている。一方、シリンドリカルレンズ252が外界に対して露出していると、その凹凸性から、汚れが付着しやすく清掃がしにくいという不都合を招く。そこで、シリンドリカルレンズ252が配列されていない平面部251の所々に支柱231を複数設置し、保護板ガラス230を表面に配置して支持する。これによりシリンドリカルレンズ252を保護することができ、清掃も容易となる。保護板ガラス230は、石英ガラスの他に、耐久性の高いポリカーボネートなどの有機ガラスを用いることもできる。
【0021】
ベース部材250の裏面は、後述するように凹凸面である。そこで、取り扱い性、設置性などを考慮して、再帰反射部材210の裏面が平坦となるように、平坦化層270を設ける。平坦化層270は、ベース部材250の裏面の凹凸を埋めて平坦にする充填材等からなる。
【0022】
また、再帰反射部材210には、図示はしていないが、保護板ガラス230とベース部材250の周縁部において、空気層240を外界から密封する封止材が設けられている。さらに、再帰反射部材210は、壁材等として利用できるように、ビス穴等の取付け部を周辺部に備える。
【0023】
図4は、実施例1に係る再帰反射部材210を、図3における平面P、即ちシリンドリカルレンズ252の母線に垂直な面で切断した場合の断面図である。ここで、図示する入射光101は、平面部251の法線を含む断面平面である平面Pに沿い、かつ法線に対して斜交して入射する、最も再帰反射率の高い特定の方向からの入射光を表す。
【0024】
上述のように、ベース部材250の表面側にはシリンドリカルレンズ252がアレイ状に一体形成されているが、裏面側には各々のシリンドリカルレンズ252に対応して円筒反射鏡面253と、円筒反射鏡面253の各々を接続する接続面254が形成されている。円筒反射鏡面253は、ベース部材250に対してシリンドリカルレンズ252の凸方向と同じ向きとなるように成形された円筒形状の一部をなす凸面に、高反射塗料が塗布されて、シリンドリカルレンズ252側から見たときに鏡面として機能するように形成されている。円筒反射鏡面253は、シリンドリカルレンズ252に対して特定の入射角およびこれに準ずる入射角で入射する入射光を再帰反射または準再帰反射させる面であるので、これらの入射角に対応する有効面を含むように、円筒面の一部がベース部材250に成形される。シリンドリカルレンズ252と円筒反射鏡面253の光軸は、最も効率よく反射させたい特定の方向の入射光に沿うように設定される。なお、円筒反射鏡面253は、対応するシリンドリカルレンズ252と対となって機能するので、円筒反射鏡面253も、ベース部材250に対してアレイ状に配列される。このとき、シリンドリカルレンズ252の円筒軸である曲率中心軸と、円筒反射鏡面253の円筒軸である曲率中心軸とは平行である。しかし、後述するように、特定の方向の入射光に対して最も効率よく再帰反射させるべく、これらの曲率中心軸は一致しないように配置されている。
【0025】
また、実施例1に係る再帰反射部材210は、特定の方向から入射する太陽光を再帰反射させることを目的としているので、入射光は平行光と考えることができる。したがって、対となるシリンドリカルレンズ252と円筒反射鏡面253が、その相対関係を維持しながら繰り返し構造を採ることで、それぞれシリンドリカルレンズ252のアレイと円筒反射鏡面253のアレイが形成される。再帰反射させる対象光が平行光ではなく、シリンドリカルレンズ252ごとに入射光の入射角が異なる場合は、それぞれの入射光に対応するように、対となるシリンドリカルレンズ252と円筒反射鏡面253の相対関係を修正しながらアレイを形成すれば良い。
【0026】
円筒面の一部として成形された円筒反射鏡面253のそれぞれを接続する接続面254は、入射光が入射する特定の方向とは異なる方向を向く、平面または曲面として成形されている。特定の方向以外の方向から入射する入射光は、シリンドリカルレンズ252または平面部251を透過して、直接にまたは円筒反射鏡面253で反射して、接続面254に到達する。接続面254は光拡散加工が施されており、接続面254に到達する入射光は拡散される。つまり、このように入射された入射光は、再帰反射されることなく拡散される。光拡散加工は、円筒反射鏡面253をマスクした上で、例えばブラスト処理により接続面254を粗化する加工である。
【0027】
なお、接続面254に光拡散加工を施すことに代えて、平坦化層270を形成する充填材として光拡散させることのできる素材を用いても良い。このように構成すれば、接続面を透過した入射光が充填材で光拡散されるので、接続面254に光拡散加工を施す場合と同等の効果を発揮する。
【0028】
接続面254には、光拡散加工を施した上に、色彩塗装を施しても良い。接続面254は入射光が入射する特定の方向とは異なる方向を向いており、例えばビル20付近を歩く歩行者は、再帰反射部材210を見上げたときに、塗装が施された色彩を視認する。したがって、再帰反射部材210は、特定の方向から入射する入射光については効率的な再帰反射性を発揮しつつ、他の方向から観察者により観察されるときには、任意の色彩、模様を視認させることができる。なお、接続面254に色彩塗装を施すことに代えて、平坦化層270を形成する充填材に塗料を混ぜることにより、観察者に色彩、模様を視認させることもできる。
【0029】
平坦化層270は、上述のように形成された円筒反射鏡面253の円筒面、および接続面254によるベース部材250の裏面側の凹凸を充填材で埋めて、再帰反射部材210として裏面を平坦にする役割を担う。これにより、円筒反射鏡面253と接続面254を保護すると共に、再帰反射部材210の取扱い性を向上させることができる。
【0030】
図5は、実施例1に係る再帰反射部材210の、光学的関係を示す説明図であり、図3に示した平面P、即ちシリンドリカルレンズ252の母線に垂直な面で切断した場合の断面光路図である。特に、対となるシリンドリカルレンズ252と円筒反射鏡面253の関係を示す。図において、入射点bは入射光101がシリンドリカルレンズ252の境界と交わる点であり、焦点dは入射光101に対するシリンドリカルレンズ252の焦点である。また、中心cはシリンドリカルレンズ252のレンズ面の曲率中心であり、半径rはシリンドリカルレンズ252の半径である。シリンドリカルレンズ252は、中心cを通る紙面に垂直なラインを曲率中心軸とする。
【0031】
入射点bと焦点dの距離は焦点距離fであり、点線で示す焦点面257は、入射点bを中心とする半径fの曲線を表す。円筒反射鏡面253を含む円筒面258は、焦点dを中心とする半径qの円筒面である。したがって、円筒反射鏡面253は、焦点dを通る紙面に垂直なラインを曲率中心軸とする。
【0032】
屈折率n1は入射光101が入射点bに入射する手前の媒質における屈折率であり、実施例1においては空気層240の屈折率であるのでn1=1.0である。屈折率n2は入射光101が入射点bに入射してからの媒質における屈折率であり、実施例1においては、シリンドリカルレンズ252が一体的に形成されるベース部材250の屈折率である。ベース部材250としてポリカーボネートを用いた場合の屈折率は、n2=1.585である。入射点b、中心cおよび焦点dを結ぶ直線は、シリンドリカルレンズ252と円筒反射鏡面253の光軸であり、実施例1において入射光101は、この光軸に沿った特定の方向から入射する太陽光を想定している。
【0033】
球面レンズ境界の前後において近軸領域の範囲で成立するアッベの不変量によれば、物体の位置からレンズ境界までの距離をs、レンズ境界から像の位置までの距離をs'、物体側の媒質の屈折率をn1、像側の媒質の屈折率をn2、球面レンズの半径をrとすると、
n1(1/r−1/s)=n2(1/r−1/s') (1)
が成立する。ここで、実施例1においては、断面内における光線の挙動に対してアッベの不変量が適用でき、また、太陽光を入射光として扱うので、s→∞、s'→fとなる。すると、焦点距離fは、
f=(n2/n2−n1)r (2)
が成り立つ。
【0034】
したがって、入射点bを中心とする半径fの円筒面である焦点面257のうち、焦点dの近傍を鏡面とすれば、入射光101を再帰反射させることができる。しかし、このように鏡面を設定すると、凹面に焦点が存在することになり、太陽光を集光して過熱する場合がある。そこで実施例1においては、焦点面を鏡面とすることを避けて、焦点dを中心とする半径qの円筒面258上に円筒反射鏡面253を設定する。このように円筒反射鏡面253を設定すると、入射光101とその近傍の光線は、いずれも円筒反射鏡面253に対して直交して入射するので、入射する方向にそのまま反射する。すなわち、再帰反射させることができる。さらに、半径qは光学的に一意に定まるものではないので、集光による許容発熱量、再帰反射部材210の厚さ、再帰反射率、有効入射角等のパラメータに応じて適宜設定することができる。
【0035】
実施例1におけるシリンドリカルレンズ252の焦点距離fは、シリンドリカルレンズ252の半径rと一致させない。焦点距離fが半径rと一致すると、シリンドリカルレンズ252のレンズ面と円筒反射鏡面253は同心となるので、特定の方向からの入射光を再帰反射させるのではなく、シリンドリカルレンズ252へ垂直に入射するすべての入射光を再帰反射させてしまう。したがって、特定方向の入射光を再帰反射させるには、シリンドリカルレンズ252のレンズ面曲率中心cと円筒反射鏡面253の中心dが異なる位置となるように、シリンドリカルレンズ252の焦点距離fを設定する。そして、この場合、最も効率よく再帰反射される特定の方向とは、シリンドリカルレンズ252の曲率中心cと円筒反射鏡面253の曲率中心dとで定義される光軸(図5では、中心光線101、102に一致)の方向となる。以下の実施例においても同様である。
【0036】
(実施例2)
上記実施例1においてはシリンドリカルレンズ252の凸方向と同じ向きとなるように円筒反射鏡面253の凸面を設定したが、円筒反射鏡面253は逆向きに凸面を設けても良い。図6は、円筒反射鏡面253の凸面を逆向きに設けた、実施例2に係る再帰反射部材の光学的関係を示す説明図である。図5と同一の要素については同一の符番を付して説明を省略する。
【0037】
上述のように、焦点dを中心とする半径qの円筒面258上に鏡面を設ければ、焦点面を鏡面とすることを避けられる。したがって、焦点sよりシリンドリカルレンズ252側の円筒面258上に鏡面を設けるだけでなく、焦点sより後方側の円筒面258上に鏡面を設けても良い。すなわち、シリンドリカルレンズ252側から見れば凹面となる領域に円筒反射鏡面353を設ける。この場合、高反射塗料を塗布する面が凸面となるので鏡面を形成しやすい。
【0038】
上述のいずれの実施例においても、シリンドリカルレンズ252と、これに対応する円筒反射鏡面253または円筒反射鏡面353とは対として、ベース部材250に対してそれぞれアレイ状に配列される。再帰反射率を調整したい場合は、配列させるアレイの密度を変更すればよい。この場合、各々の大きさを小さくして密に配列させることもできる。
【0039】
(実施例3)
図7は、実施例3に係る再帰反射部材410を、図3における平面Pと同様の断面で切断した場合の断面図である。図示するように、本実施例では、第1実施例および第2実施例と、円筒反射鏡面の配置が若干異なる。以下に共通する部分の説明を省略しつつ、本実施例の特徴部分を中心に説明する。
【0040】
図示する入射光101は、平面部451の法線を含む断面平面に沿い、かつ法線に対して斜交して入射する、最も再帰反射率の高い特定の方向からの入射光を表す。ベース部材450の表面側にはシリンドリカルレンズ452がアレイ状に一体形成されているが、裏面側には各々のシリンドリカルレンズ452に対応して円筒反射鏡面453と、円筒反射鏡面453の各々を接続する接続面454が形成されている。円筒反射鏡面453は、ベース部材450に対してシリンドリカルレンズ452の凸方向と逆向きとなるように成形された球形状の一部をなす凸面に、高反射塗料が塗布されて、シリンドリカルレンズ452側から見たときに鏡面として機能するように形成されている。円筒反射鏡面453は、シリンドリカルレンズ452に対して特定の入射角およびこれに準ずる入射角で入射する入射光を再帰反射または準再帰反射させる面であるので、これらの入射角に対応する有効面を含むように、円筒面の一部がベース部材450に成形される。シリンドリカルレンズ452と円筒反射鏡面453の光軸は、最も効率よく反射させたい特定の方向の入射光に沿うように設定される。なお、円筒反射鏡面453は、対応するシリンドリカルレンズ452と対となって機能するので、円筒反射鏡面453も、ベース部材450に対してアレイ状に配列される。このとき、シリンドリカルレンズ452の円筒軸である曲率中心軸と、円筒反射鏡面453の円筒軸である曲率中心軸とは平行である。しかし、特定の方向の入射光に対して最も効率よく再帰反射させるべく、これらの曲率中心軸は一致しないように配置されているのは実施例1および実施例2と同様である。
【0041】
図8は、実施例3に係る再帰反射部材410の、光学的関係を示す説明図である。特に、対となるシリンドリカルレンズ452と円筒反射鏡面453の関係を示す。図において、入射点bは入射光101がシリンドリカルレンズ452の境界と交わる点であり、焦点dは入射光101に対するシリンドリカルレンズ452の焦点である。また、中心cはシリンドリカルレンズ452の曲率中心であり、半径rはシリンドリカルレンズ452の半径である。シリンドリカルレンズ452は、中心cを通る紙面に垂直なラインを曲率中心軸とする。
【0042】
入射点bと焦点dの距離は焦点距離fであり、点線で示す焦点面457は、入射点bを中心とする半径fの曲面を表す。上述のようにアッベの不変量を適用すると、入射点bを中心とする半径fの曲面である焦点面457のうち、焦点dの近傍を鏡面とすれば、入射光101とその近傍の光線は、いずれもこの鏡面に対して直交して入射するので、入射する方向にそのまま反射させることができる。すなわち、再帰反射させることができる。そこで実施例3においては、この入射点bを中心とする半径fの円筒面に沿って円筒反射鏡面453を設けている。したがって、円筒反射鏡面453は、入射点bを通る紙面に垂直なラインを曲率中心軸とする。実施例1および実施例2の構成においては、焦点面を鏡面とすることによる過熱を避けたが、本実施例においては、積極的に焦点面を鏡面とすることにより熱エネルギーを獲得することを意図する。
【0043】
シリンドリカルレンズ452の半径rを変更すれば焦点距離fを変更することができるので、再帰反射部材410の厚さ、再帰反射率、有効入射角等のパラメータに応じて適宜設定することができる。また、円筒反射鏡面453の鏡面として焦点面457に沿って設ける有効面の大きさを変更することによっても、再帰反射率、有効入射角等を適宜設定することができる。
【0044】
上述のように、シリンドリカルレンズ452とこれに対応する円筒反射鏡面453は対として、ベース部材450に対してそれぞれアレイ状に配列される。再帰反射部材410全体としての再帰反射率を調整したい場合は、配列させるアレイの密度を変更しても良い。この場合、各々の大きさを小さくして密に配列させることもできる。
【0045】
(実施例4)
図9は、実施例4に係る再帰反射部材510を、図3における平面Pと同様の平面で切断した場合の断面図である。図示するように、本実施例では、シリンドリカルレンズアレイと円筒反射鏡面アレイの間にもう1つのシリンドリカルレンズアレイと空気層を備える点で上記の実施例とは異なる。以下に共通する部分の説明を省略しつつ、本実施例の特徴部分を中心に説明する。
【0046】
図示する入射光101は、平面部551の法線を含む断面平面に沿い、かつ法線に対して斜交して入射する、最も再帰反射率の高い特定の方向からの入射光を表す。第1ベース部材550の表面側には第1シリンドリカルレンズ552がアレイ状に一体形成されているが、裏面側にも各々の第1シリンドリカルレンズ552に対応して、射出側レンズとしての第2シリンドリカルレンズ553がアレイ状に一体形成されている。対応するそれぞれの第1シリンドリカルレンズ552と第2シリンドリカルレンズ553は、対となって集光レンズを構成し、アレイ状に形成された集光レンズは集光レンズアレイを構成する。このとき、第1シリンドリカルレンズ552の円筒軸である曲率中心軸と、第2シリンドリカルレンズ553の円筒軸である曲率中心軸とは平行である。しかし、特定の方向の入射光に対して最も効率よく再帰反射させるべく、これらの曲率中心軸は一致しないように配置されている。
【0047】
集光レンズの光軸に沿って入射する入射光は、集光レンズによって集光され、第2ベース部材570に形成された円筒反射鏡面571で結像する。円筒反射鏡面571は、第1ベース部材550に対して第2シリンドリカルレンズ553の凸方向と同じ向きとなるように第2ベース部材570に成形された円筒形状の一部をなす凹面に、高反射塗料が塗布されて、集光レンズ側から見たときに鏡面として機能するように形成されている。円筒反射鏡面571は、集光レンズに対して特定の入射角およびこれに準ずる入射角で入射する入射光を再帰反射または準再帰反射させる面であるので、これらの入射角に対応する有効面を含むように、円筒面の一部が第2ベース部材570に成形される。集光レンズおよび円筒反射鏡面571の光軸は、最も効率よく反射させたい特定の方向の入射光に沿うように設定される。なお、円筒反射鏡面571は、対応する集光レンズと対となって機能するので、円筒反射鏡面571も、第2ベース部材570に対してアレイ状に配列される。
【0048】
第2ベース部材570には、円筒反射鏡面571の各々を接続する接続面572が形成されている。また、接続面572の一部には平面部573が形成されている。平面部573は、第1ベース部材550の裏面側に形成された第2シリンドリカルレンズ553のアレイ間を接続する平面部559と互いに平行に対向している。なお、共に第1ベース部材550に設けられた平面部551と平面部559も互いに平行な面である。
【0049】
対向する平面部559と平面部573の間の所々には複数のスペーサ561が設けられており、これらのスペーサ561は、第1ベース部材550と第2ベース部材570を接着により一体化すると共に、入射光101が円筒反射鏡面571で結像するように、第1ベース部材550と第2ベース部材570の間隔を定める。第1ベース部材550と第2ベース部材570の間には、第2空気層560が形成される。なお、本実施例においては、支柱531で支持される保護板ガラス530と第1ベース部材550の間に形成される空気層は、第1空気層540として機能する。
【0050】
上述の実施例1から3と同様に、接続面572に光拡散加工を施しても良い。また、本実施例においては、接続面572に光拡散加工を施すことに代えて、第2ベース部材570の裏面に光拡散加工を施しても良い。このように構成すれば、円筒反射鏡面571で再帰反射されずに第2ベース部材に入射した入射光を拡散させることができる。また、円筒反射鏡面571を個別にマスクする必要がないので、光拡散加工が容易である。
【0051】
さらに、上述の実施例1から3と同様に、接続面572に色彩塗装を施しても良い。また、本実施例においては、接続面572に色彩塗装を施すことに代えて、第2ベース部材570の裏面に色彩塗装を施すことにより、観察者に色彩、模様を視認させることもできる。円筒反射鏡面571の領域に高反射塗料が塗布できる素材であれば、第2ベース部材570自体を有色とすることもできる。
【0052】
図10は、実施例4に係る再帰反射部材510の、光学的関係を示す説明図である。特に、対となる第1シリンドリカルレンズ552、第2シリンドリカルレンズ553および円筒反射鏡面571の関係を示す。図において、入射点bは入射光101が第1シリンドリカルレンズ552の境界と交わる点であり、射出点eは入射光101が第2シリンドリカルレンズ553の境界と交わる点である。焦点gは、第1シリンドリカルレンズ552と第2シリンドリカルレンズ553からなる集光レンズの入射光101に対する焦点である。また、中心cは第1シリンドリカルレンズ552のレンズ面曲率中心であり、半径r1は第1シリンドリカルレンズ552の半径である。同様に、中心dは第2シリンドリカルレンズ553のレンズ面曲率中心であり、半径r2は第2シリンドリカルレンズ553の半径である。第1シリンドリカルレンズ552は、中心cを通る紙面に垂直なラインを曲率中心軸とし、第2シリンドリカルレンズ553は、中心dを通る紙面に垂直なラインを曲率中心軸とする。
【0053】
焦点距離fは、集光レンズの焦点距離であり、点線で示す焦点面577は、後側主点hを中心とする半径fの円筒面を表す。屈折率n1は入射光101が入射点bに入射する手前の媒質における屈折率であり、本実施例においては第1空気層540の屈折率であるのでn1=1.0である。屈折率n2は入射光101が入射点bに入射してからの媒質における屈折率であり、本実施例においては、第1シリンドリカルレンズ552が一体的に形成される第1ベース部材550の屈折率である。第1ベース部材550としてポリカーボネートを用いた場合の屈折率は、n2=1.585である。屈折率n3は入射光101が射出点eから射出した後の媒質における屈折率であり、本実施例においては第2空気層560の屈折率であるのでn3=1.0である。入射点b、中心c、中心d、射出点eおよび焦点gを結ぶ直線は、第1シリンドリカルレンズ552、第2シリンドリカルレンズ553および円筒反射鏡面571の光軸であり、本実施例において入射光101は、この光軸に沿った特定の方向から入射する太陽光を想定している。
【0054】
大気中に置かれたレンズにおいて近軸領域の範囲で成立するレンズ・メーカーの式によれば、各面の曲率半径をr、r、レンズの屈折率をn、レンズの面間隔をDとすると、焦点距離fは、
f=nr/{(n−1)D+n(n−1)(r−r)} (3)
が成立する。
【0055】
したがって、後側主点hを中心とする半径fの曲面である焦点面577のうち、焦点gの近傍を鏡面とすれば、入射光101とその近傍の光線は、いずれもこの鏡面に対して直交して入射するので、入射する方向にそのまま反射させることができる。すなわち、再帰反射させることができる。そこで本実施例においては、この後側主点hを中心とする半径fの曲面に沿って円筒反射鏡面571を設けている。なお、レンズの面間隔Dは、入射点bと射出点eの距離である。
【0056】
第1シリンドリカルレンズ552の半径r1および第2シリンドリカルレンズ553の半径r2を変更すれば焦点距離fを変更することができるので、再帰反射部材510の厚さ、再帰反射率、有効入射角等のパラメータに応じて適宜設定することができる。半径r1およびr2は、異なる値であっても同じ値であっても良い。また、円筒反射鏡面571の鏡面として焦点面577に沿って設ける有効面の大きさを変更することによっても、再帰反射率、有効入射角等を適宜設定することができる。
【0057】
上述のように、第1シリンドリカルレンズ552、第2シリンドリカルレンズ553および円筒反射鏡面571はそれぞれアレイ状に配列される。再帰反射部材10全体としての再帰反射率を調整したい場合は、配列させるアレイの密度を変更しても良い。この場合、各々の大きさを小さくして密に配列させることもできる。
【0058】
上述の各実施例においては、集光レンズの例として断面が円弧である凸シリンドリカルレンズを採用したが、集光レンズの断面は円弧に限らない。所定の再帰反射率を得る入射角の範囲を調整する、入射光の波長依存性を軽減する等を目的として、円弧以外の曲線を採用することもできる。また、反射鏡面についても、断面として円弧以外の曲線を採用することができる。円弧以外の曲線としては、2次曲線(放物線・双曲線・楕円)または、高次多項式で表される非球面が挙げられる。また、シリンドリカルレンズの短手断面がフレネルレンズ形状であるシリンドリカルフレネルレンズも採用できる。
【0059】
以上の実施形態においては、ビル20に適用する壁材として、太陽光を再帰反射させる再帰反射部材を例に説明したが、適用事例は壁材に限らない。例えば、人工衛星の外装部材に用いて、熱吸収を押さえることも可能と考えられる。あるいは、シート状など小型薄型に形成して、キャラクターシールなどの装飾材に用いることもできる。
【0060】
また、自動車、鉄道車両、船舶、航空機などの外装、ガスタンク、燃料タンクなどの外装にも再帰反射部材を利用することができる。例えば、自動車の屋根に再帰反射部材を取り付ける場合、たとえ特定の時間の太陽を想定しても太陽の方向は自動車の姿勢により変化するので、最も効果を発揮する再帰反射させる特定の方向として、屋根に垂直な方向を設定すると良い。このとき、それぞれ対応する集光しリンドリカルレンズと円筒反射鏡の光軸は、ベース部材の平面に対する法線と平行になる。
【0061】
また、以上の実施形態においては、取扱い性を考慮して、表面を保護板ガラスで覆い、裏面を平坦化層で埋める構成を採用した。しかし、このような形態に限らず、集光レンズアレイおよび円筒反射面鏡アレイが形成されたベース部材を2枚のガラスの間に配置、封入する構成であっても良い。このように構成すれば、再帰反射部材の一部の領域に透過性を持たせることができ、再帰反射部材を設置する設置面の装飾を視認させたり、設置面からの照明を実現することができる。また、鏡面自体に着色することでより装飾性を高めることもできる。さらには、シリンドリカルレンズのベースとなる透明樹脂部材に塗料を混ぜて着色することもできる。透過率は落ちるものの、装飾性をより高めることができる。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0063】
10 再帰反射部材、20 ビル、101 入射光、102 反射光、103 入射光、104 照り返し光、105 入射光、106 反射光、110 実効方角、111 夏至の太陽行路、112 冬至の太陽行路、131、132 太陽、210 再帰反射部材、230 保護板ガラス、231 支柱、240 空気層、250 ベース部材、251 平面部、252 シリンドリカルレンズ、253 円筒反射鏡面、254 接続面、257 焦点面、258 円筒面、270 平坦化層、353 円筒反射鏡面、410 再帰反射部材、450 ベース部材、451 平面部、452 シリンドリカルレンズ、453 円筒反射鏡面、454 接続面、530 保護板ガラス、540 第1空気層、550 第1ベース部材、551 平面部、552 第1シリンドリカルレンズ、553 第2シリンドリカルレンズ、559 平面部、560 第2空気層、561 スペーサ、570 第2ベース部材、571 円筒反射鏡面、572 接続面、573 平面部、577 焦点面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面に沿って配列されたシリンドリカルレンズアレイと、
前記シリンドリカルレンズアレイの各々のシリンドリカルレンズに対応して、前記シリンドリカルレンズの曲率中心軸と平行であって一致しない中心軸を有する円筒反射鏡面を含む円筒反射鏡面アレイと
を備え、
対応する前記シリンドリカルレンズと前記円筒反射鏡の光軸に沿った特定の方向から入射する入射光は、前記シリンドリカルレンズアレイを透過して、前記円筒反射鏡面アレイで反射されることにより、前記特定の方向へ再帰反射される再帰反射部材。
【請求項2】
前記円筒反射鏡面の中心軸は、対応する前記シリンドリカルレンズの焦点面上に配置される請求項1に記載の再帰反射部材。
【請求項3】
前記円筒反射鏡面は、円筒の凸面側に鏡面を備える請求項1または2に記載の再帰反射部材。
【請求項4】
前記円筒反射鏡面は、対応する前記シリンドリカルレンズの焦点面上に配置される請求項1に記載の再帰反射部材。
【請求項5】
板状のベース部材の表裏の平面にそれぞれの曲率中心軸が平行であって一致しないように対で設けられる入射側シリンドリカルレンズと射出側シリンドリカルレンズとを有する集光レンズを配列してなる集光レンズアレイと、
前記集光レンズの各々に対応して、前記集光レンズの光軸に沿った特定の方向から入射する入射光の焦点面をそれぞれ鏡面とする円筒反射鏡面を有する円筒反射鏡面アレイと
を備え、
前記特定の方向から入射される入射光は、前記集光レンズアレイを透過して、前記円筒反射鏡面アレイで反射されることにより、前記特定の方向へ再帰反射される再帰反射部材。
【請求項6】
前記特定の方向は、前記平面の法線に対して斜交する請求項1から5のいずれか1項に記載の再帰反射部材。
【請求項7】
前記再帰反射部材は、前記円筒反射鏡面の各々を接続し、前記特定の方向とは異なる方向を向く接続面を備える請求項6に記載の再帰反射部材。
【請求項8】
前記接続面は塗装されている請求項7に記載の再帰反射部材。
【請求項9】
前記接続面は光拡散加工されている請求項7または8に記載の再帰反射部材。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の再帰反射部材を表面に備える壁材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−203499(P2011−203499A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70796(P2010−70796)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】