説明

再生のためのエネルギー必要量が低減された、二酸化炭素吸収剤および気体流から二酸化炭素を除去するための方法

【課題】流体流からの二酸化炭素の十分な除去を行ない、かつその際に、吸収剤の再生を比較的僅かなエネルギー費用で可能にする方法を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1のアミン、および少なくとも1のアミノカルボン酸および/またはアミノスルホン酸の水溶液を含む、気体流から二酸化炭素を除去するための吸収剤に関する。アミノカルボン酸もしくはアミノスルホン酸を併用することによって、吸収剤を再生するために必要とされるエネルギーが低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収剤および気体流から二酸化炭素を除去するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸性ガス、たとえばCO2、H2S、SO2、CS2、HCN、COSまたはメルカプタンを、流体流、たとえば天然ガス、ラフィネートガス、合成ガスから除去することは、種々の理由から重要である。二酸化炭素はたとえば天然ガスから除去されなくてはならない。というのも、高濃度のCO2は、気体の燃焼値を低下させるからである。さらに、CO2は流体流中でしばしば連行される水分と結合して、導管および部品の腐食につながりうる。天然ガスの硫黄化合物の含有率は、適切な後処理措置によって直接に天然ガス源で減少させなければならない。というのも、硫黄化合物は、天然ガスからしばしば連行される水の中で、腐食作用を有する酸を形成するからである。従って、天然ガスをパイプラインで輸送するためには、硫黄含有不純物を所定の限界値に維持しなければならない。さらに、多数の硫黄化合物はすでに低い濃度で悪臭を有しており、かつ特に二酸化硫黄は毒性である。
【0003】
煙道ガスからの二酸化炭素の除去は、種々の理由から、しかし殊にいわゆる温室効果の主要原因とみなされている二酸化炭素の放出を減少させるために望まれている。
【0004】
工業的規模で流体流から酸性ガス、たとえば二酸化炭素を除去するために、しばしば、有機塩基、たとえばアルカノールアミンの水溶液が吸収剤として使用されている。この場合、酸性ガスを溶解する際に、塩基および酸性ガス成分からイオン生成物が形成される。吸収剤は、加熱、低圧への放圧またはストリッピングによって再生することができ、その際、イオン生成物は、酸性ガスに再反応されおよび/または酸性ガスは、蒸気により留去される。再生工程の後、吸収剤は、再使用することができる。
【0005】
煙道ガスは、極めて低い二酸化炭素分圧を有する。というのも、この煙道ガスは、通常、大気圧付近の圧力で生じ、典型的には、二酸化炭素3〜13体積%を含有するからである。二酸化炭素の有効な除去を達成するために、吸収剤は、高い酸性ガス親和性を有しなければならず、このことは、一般に二酸化炭素の吸収が著しく発熱的に進行することを意味する。他方、吸収反応エンタルピーの高い総和は、吸収剤の再生の際に高められたエネルギー費用を条件付ける。
【0006】
従って、Dan G. Chapelらは、その講演 "Recovery of CO2 from Flue Gases:Commercial Trends" (Canadian Society of Chemical Engineersの年次会合における講演、10月4〜6日、1999年、Saskatoon, Saskatchewan, Kanada)において、必要とされる再生エネルギーを最小化するために、比較的低い反応エンタルピーを有する吸収剤を選択することを推奨している。
【0007】
その他のガス洗浄の適用においても、必要とされる再生エネルギーの最小化は望ましい。
【0008】
特許文献1(GB1543748は、N−ジアルキル−α−アミノモノカルボン酸、たとえばジメチルグリシンのアルカリ金属塩の水溶液の使用下に、分解ガスからのCO2およびH2Sを除去するための方法を記載している。
【0009】
特許文献2(US−A4,094,957は、塩基性アルカリ金属塩、立体障害アミンおよびアミノ酸、たとえばN,N−ジメチルグリシンを含有する吸収剤溶液を用いて気体流からCO2を除去することを開示している。
【0010】
特許文献3(EP−A671200は、アミノ酸金属塩およびピペラジンの水溶液を用いて大気圧で燃料ガスからCO2を除去することを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】英国特許第1543748号明細書
【特許文献2】米国特許第4094957号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第671200号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、流体流からの二酸化炭素の十分な除去を行ない、かつその際に、吸収剤の再生を比較的僅かなエネルギー費用で可能にする方法を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、
(A)少なくとも1のアミンおよび
(B)少なくとも1のアミノカルボン酸および/またはアミノスルホン酸
の水溶液を含む吸収剤によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明による方法の実施に適した装置を示す略図である。
【図2】図2は、本発明による方法を実施するための、放圧段階および脱着段階を有する装置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
前記課題は、
(A)少なくとも1のアミンおよび
(B)少なくとも1のアミノカルボン酸および/またはアミノスルホン酸
の水溶液を含む吸収剤によって解決される。
【0016】
一般に該吸収剤は、吸収剤の質量に対して、
(A)1のアミンまたは複数のアミンの組み合わせを10〜65質量%、有利には20〜40質量%および
(B)少なくとも1のアミノカルボン酸および/またはアミノスルホン酸を1〜40質量%、有利には10〜30質量%を含有している。
【0017】
本発明は、流体流、たとえばガス流から二酸化炭素を除去するための方法にも関し、この場合、流体流を前記で定義した吸収剤と接触させる。
【0018】
本方法の有利な1実施態様では、気体流中の二酸化炭素の分圧は、200ミリバールよりも小さく、多くの場合20〜150ミリバールである。
【0019】
一般に吸収工程における全圧力(絶対圧力)は、1〜120バールである。本方法の有利な実施態様では、吸収工程における全圧力は、少なくとも5バール、特に有利には10〜100バールである。
【0020】
アミノカルボン酸および/またはアミノスルホン酸は、水溶液中で遊離の形で(つまり両性イオンの形で)存在しているか、またはアミン(A)のアンモニウム塩として存在している。該水溶液は実質的に、アミノカルボン酸もしくはアミノスルホン酸の金属塩を含有していない。
【0021】
該水溶液は、実質的に無機の塩基性塩を含有していない、つまり該水溶液は無機の塩基性塩を、有利には約10質量%未満、特に約5質量%未満含有する。無機の塩基性塩は、たとえばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩または炭酸水素塩、たとえば特に炭酸カリウム(カリ)である。
【0022】
アミノカルボン酸もしくはアミノスルホン酸の併用による再生エネルギーの低減は、おそらくは以下の関係に起因する:アミノ酸は、両性化合物である。その酸強度(pKs値により記載される)は、温度依存性であり、その際、アミノ酸は高温では、低温におけるよりも強酸性の作用を有する。吸収剤の再生は通常、CO2の吸収よりも低い温度で行われるので、アミノ酸の強酸性特性は、負荷された吸収剤からのCO2放出を促進し、このことにより再生のために必要とされるエネルギー必要量が低減される。アミノ酸は低温では中性であるか、または弱酸性であるため、吸収容量は低温では影響を受けないか、またはわずかに影響を受けるのみである。
【0023】
アミノカルボン酸は少なくとも1のアミノ基および少なくとも1のカルボキシル基をその分子構造中に有している。相応して、アミノスルホン酸は少なくとも1のアミノ基および少なくとも1のスルホン酸基をその分子構造中に有している。アミノ基の窒素原子は、置換されていなくてもよいし、またはたとえばC1〜C4−アルキル基またはヒドロキシ−C2〜C4−アルキル基により1置換もしくは2置換されていてもよい。適切なアミノカルボン酸は通常、2〜12個の炭素原子、たとえば4〜12個の炭素原子を有しており、適切なアミノスルホン酸は、1〜6個の炭素原子を有する。
【0024】
適切なアミノカルボン酸は、たとえば
α−アミノ酸、たとえばグリシン(アミノ酢酸)、N−メチルグリシン(N−メチルアミノ酢酸、サルコシン)、N,N−ジメチルグリシン(ジメチルアミノ酢酸)、N−エチルグリシン、N,N−ジエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(BICINE)、アラニン(2−アミノプロピオン酸)、N−メチルアラニン(2−(メチルアミノ)−プロピオン酸)、N,N−ジメチルアラニン、N−エチルアラニン、2−メチルアラニン(2−アミノイソ酪酸)、レシチン(2−アミノ−4−メチルペンタン−1−酸)、N−メチルロイシン、N,N−ジメチルロイシン、イソロイシン(2−アミノ−3−メチルペンタン酸)、N−メチルイソロイシン、N,N−ジメチルイソロイシン、バリン(2−アミノイソ吉草酸)、α−メチルバリン(2−アミノ−2−メチルイソ吉草酸)、N−メチルバリン(2−メチルアミノイソ吉草酸)、N,N−ジメチルバリン、プロリン(ピロリジン−2−カルボン酸)、N−メチルプロリン、セリン(2−アミノ−3−ヒドロキシ−プロパン−1−酸)、N−メチルセリン、N,N−ジメチルセリン、2−(メチルアミノ)イソ酪酸、ピペリジン−2−カルボン酸、N−メチル−ピペリジン−2−カルボン酸、
β−アミノ酸、たとえば3−アミノプロピオン酸(β−アラニン)、3−メチルアミノプロピオン酸、3−ジメチルアミノプロピオン酸、イミノジプロピオン酸、N−メチルイミノジプロピオン酸、ピペリジン−3−カルボン酸、N−メチル−ピペリジン−3−カルボン酸、
またはアミノカルボン酸、たとえばピペリジン−4−カルボン酸、N−メチル−ピペリジン−4−カルボン酸、4−アミノ酪酸、4−メチルアミノ酪酸、4−ジメチルアミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸である。
【0025】
適切なアミノスルホン酸はたとえば
アミノメタンスルホン酸、タウリン(2−アミノエタンスルホン酸)、N−メチルタウリン(2(メチルアミノ)エタンスルホン酸)である。
【0026】
アミノカルボン酸またはアミノスルホン酸が、1もしくは複数のキラルな炭素原子を有している場合、立体配置は重要ではなく、純粋なエナンチオマー/ジアステレオマーを使用することも、任意の混合物またはラセミ体を使用することもできる。
【0027】
アミノカルボン酸は有利には、α−アミノ酸またはβ−アミノ酸である。アミノスルホン酸は有利には、α−アミノスルホン酸またはβ−アミノスルホン酸である。これらの中から、α−アミノ酸およびβ−アミノスルホン酸が特に有利である。「α」もしくは「β」の名称は、通常の命名法と一致しており、アミノ基が、1もしくは2の炭素原子によって、カルボキシル基またはスルホン酸基から分離されていることを意味する。
【0028】
N−モノ−C1〜C4−アルキル−アミノカルボン酸およびN,N−ジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボン酸、特にN−モノ−C1〜C4−アルキル−α−アミノカルボン酸およびN,N−ジ−C1〜C4−アルキル−α−アミノカルボン酸が特に適切である。これらには、たとえばN,N−ジメチルグリシンまたはN−メチルアラニンが挙げられる。
【0029】
特に適切であるのは、さらにα−炭素原子が水素以外の置換基のみを有するα−アミノ酸、たとえば2−アミノイソ酪酸である。
【0030】
アミン(A)として、通常、流体流からの酸性ガスの除去のために使用される全てのアミンまたは複数のアミンの組み合わせが適切である。適切なアミンは一般に、標準圧力(1.013バール絶対圧)で少なくとも120℃の沸点により特徴付けられる。有利にはアミン(A)は、20℃で0.02バール絶対未満の蒸気圧を有する。これは通常、1もしくは複数の窒素原子および炭化水素基以外に、1もしくは複数の酸素原子をヒドロキシル基の形で、および/またはエーテル結合中に有している飽和化合物である。
【0031】
適切なアミン(A)には特に以下のものが挙げられる:
アルカノールアミン(アミノアルコール)、たとえば
2−アミノエタノール(モノエタノールアミン、MEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(ジエタノールアミン、DEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(ジイソプロパノールアミン、DIPA)、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン(トリエタノールアミン、TEA)、トリブタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアミン(メチルジエタノールアミン、MDEA)、2−ジエチルアミノエタノール(ジエチルエタノールアミン、DEEA)、2−ジメチルアミノエタノール(ジメチルエタノールアミン、DMEA)、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール(N,N−ジメチルプロパノールアミン)、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール(DIEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)メチルアミン(メチルジイソプロパノールアミン、MDIPA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、1−アミノ−2−メチル−プロパン−2−オール、2−アミノ−1−ブタノール(2−AB)、
アミノエーテル、たとえば
2−(2−アミノエトキシ)エタノール(AEE)、2−(2−t−ブチルアミノエトキシ)エタノール(EETB)、3−メトキシプロピルジメチルアミン、
2第三級ジアミン、たとえば
N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチル−N′,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロパンジアミン(TMPDA)、N,N,N′,N′−テトラエチルプロパンジアミン(TEPDA)、N,N−ジメチル−N′,N′−ジエチルエチレンジアミン(DMDEEDA)、1−ジメチルアミノ−2−ジメチルアミノエトキシエタン(ビス[2−(ジメチルアミノ)エチル]エーテル)、
脂環式アミン、たとえば
シクロヘキシルメチルジメチルアミン、
およびこれらの混合物である。
【0032】
アミン(A)としてトリエタノールアミンの単独使用は有利ではない。
【0033】
本発明の有利な実施態様では、吸収剤は以下のものから選択される少なくとも1のアミン(A)を含有する。
【0034】
A1)第三級アミン
たとえば一般式
N(Ra2-n(Rb1+nまたは(Ra2-n(RbnN−X−N(Ra2-m(Rbm
[式中、Raは、アルキル基を表し、Rbは、ヒドロキシアルキル基を表し、Xは、1もしくは複数の酸素により中断されていてもよいアルキレン基を表し、かつnおよびmは、0〜2の整数を表す。Raは、たとえば1〜10個の炭素原子を有するアルキル基(C1〜C10−アルキル)、有利には1〜6個の炭素原子を有するアルキル基(C1〜C6−アルキル)、および特に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基(C1〜C4−アルキル)を表し、Rbは、たとえば2〜10個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ−C2〜C10−アルキル)、有利にはヒドロキシ−C2〜C6−アルキル、および特にヒドロキシ−C2〜C4−アルキルを表し、Xは、たとえば1〜10個、有利には2〜6個、および特に2、3または4個の炭素原子を有するアルキレン基を表し、該基は、1もしくは複数の、たとえば2個または3個の酸素原子によって中断されていてもよい]の第三級アミン。
【0035】
特に有利であるのは、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン(トリエタノールアミン、TEA)、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(トリイソプロパノール)、トリブタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−メチルアミン(メチルジエタノールアミン、MDEA)、2−ジエチルアミノエタノール(ジエチルエタノールアミン、DEEA)、2−ジメチルアミノエタノール(ジメチルエタノールアミン、DMEA)、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、3−ジエチルアミノ−1ープロパノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール(DIEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)メチルアミン(メチルジイソプロパノールアミン、MDIPA)、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチル−N′,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロパンジアミン(TMPDA)、N,N,N′,N′−テトラエチルプロパンジアミン(TEPDA)、N,N−ジメチル−N′,N′−ジエチルエチレンジアミン(DMDEEDA)および2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−N,N−ジメチルエタンアミン(ビス[2−(ジメチルアミノ)エチル]エーテルから選択される第三級アミン、
および
A2)以下のものから選択される立体障害アミン
(i)第三級炭素原子に結合している第一級アミノ基を有するアミン、たとえば2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)
(ii)第二級または第三級炭素原子に結合している第二級アミノ基を有するアミン、および
(iii)第三級または第四級炭素原子がアミノ基に対してβ−位に配置されているアミン、たとえば1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール。
【0036】
第三級および/または立体障害アミン以外に、該吸収剤は有利には少なくとも1の活性化剤を含有している。活性化剤は通常、第一級または第二級アミンであり、かつカルバマート構造の中間的な形成によって二酸化炭素の吸収を促進する。活性化剤は有利には以下のものから選択される:
C1)環中に少なくとも1のNH基を有し、さらに環中に窒素および酸素から選択されるヘテロ原子を1個または2個有する5員、6員または7員の飽和複素環、
たとえばピペラジン、2−メチルピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、ホモピペラジン、ピペリジンおよびモルホリン、
C2)第一級または第二級アルカノールアミン、
たとえば2−アミノエタノール(モノエタノールアミン、MEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(ジエタノールアミン、DEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(ジイソプロパノールアミン、DIPA)、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(n−ブチルアミノ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール(2−AB)、3−アミノ−1−プロパノールおよび5−アミノ−1−ペンタノール、
C3)式
2N−R2−NH2
[式中、R2は、C2〜C6−アルキレンを表す]のアルキレンジアミン、
たとえばヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノプロパン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、

1−NH−R2−NH2
[式中、R1は、C1〜C6−アルキルを表し、かつR2は、C2〜C6−アルキレンを表す]のアルキレンジアミン、
たとえば3−メチルアミノプロピルアミン、
(R12N−R2−NH2
[式中、R1は、C1〜C6−アルキルを表し、かつR2は、C2〜C6−アルキレンを表す]のアルキレンジアミン、
3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン(DMAPA)および3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、
C4)ポリアルキレンポリアミン
たとえばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびテトラエチレンペンタミン
好ましい活性剤の例は、ピペラジン、2−メチルピペラジン、N−メチルピペラジン、ホモピペラジン、ピペリジンおよびモルホリンならびに3−メチルアミノプロピルアミンである。
【0037】
その他の適切な活性化剤は、トリス(3−アミノプロピル)アミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびN,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンである。
【0038】
一般に、アミンA1)およびA2)から選択されるアミン(A)対活性化剤の質量比は、1:1〜50:1、有利には1:1〜25:1である。
【0039】
成分(B)として、N−非置換アミノカルボン酸、N−モノ置換アミノカルボン酸、たとえばN−モノ−C1〜C4−アルキル−アミノカルボン酸、N−非置換アミノスルホン酸および/またはN−モノ置換アミノスルホン酸を使用する場合、これらはその第一級または第二級アミノ官能基に基づいて、それ自体活性化剤として作用し、かつ別の活性化剤の併用は不要となりうる。N−非置換アミノカルボン酸の例は、2−アミノ酢酸(グリシン)、2−アミノプロピオン酸(アラニン)、2−アミノイソ酪酸(2−メチルグリシン)、2−アミノ−3−メチル−酪酸(バリン)、2−アミノ−4−メチル−ペンタン酸(ロイシン)、2−アミノ−3−メチル−ペンタン酸(イソロイシン)、β−アミノ酪酸、3−アミノプロピオン酸(β−アラニン)および2−アミノ−4−メチルスルファニル−ブタン酸(メチオニン)である。N−モノ置換アミノカルボン酸の例は、N−メチルアラニン、N−メチルグリシン(サルコシン)、ピペリジン−4−カルボン酸(イソニペコチン酸)、ピペリジン−3−カルボン酸(ニペコチン酸)、ピペリジン−2−カルボン酸(ピペコリン酸)およびN−メチルアミノイソ酪酸である。有利なN−非置換アミノスルホン酸およびN−モノ置換アミノスルホン酸の例は、2−アミノエタンスルホン酸(タウリン)ならびに2−(メチルアミノ)エタンスルホン酸(メチルタウリン)である。
【0040】
本発明のさらに有利な実施態様では、吸収剤は以下のものから選択される少なくとも1のアミン(A)を含有する:
A′1)環中に少なくとも1のNH基を有し、さらに環中に窒素および酸素から選択されるヘテロ原子を1個または2個有する5員、6員または7員の飽和複素環、
たとえばピペラジン、2−メチルピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、ホモピペラジン、ピペリジンおよびモルホリン、
A′2)第一級または第二級アルカノールアミン、
たとえば2−アミノエタノール(モノエタノールアミン、MEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(ジエタノールアミン、DEA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(ジイソプロパノールアミン、DIPA)、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(n−ブチルアミノ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール(2−AB)、3−アミノ−1−プロパノールおよび5−アミノ−1−ペンタノールである。
【0041】
A′3)式
2N−R2−NH2
[式中、R2は、C2〜C6−アルキレンを表す]のアルキレンジアミン、たとえばヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノプロパン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、

1−NH−R2−NH2
[式中、R1は、C1〜C6−アルキルを表し、かつR2は、C2〜C6−アルキレンを表す]のアルキレンジアミン
たとえば3−メチルアミノプロピルアミン、
(R12N−R2−NH2
[式中、R1は、C1〜C6−アルキルを表し、かつR2は、C2〜C6−アルキレンを表す]
3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン(DMAPA)および3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、
A′4)ポリアルキレンポリアミン、
たとえばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびテトラエチレンペンタミン
A′5)アミノエーテル
たとえば2−(2−アミノエトキシ)エタノール(AEE)、2−(2−t−ブチルアミノエトキシ)エタノール(EETB)および3−メトキシプロピルジメチルアミン、
アミン(A)をアミンA′1)、A′2)、A′3)、A′4)およびA′5)から選択する場合、1実施態様では、成分(B)として、特にN,N−二置換アミノカルボン酸、たとえばN−ジ−C1−アルキル−アミノカルボン酸が適切である。有利なN,N−二置換アミノカルボン酸の例は、N,N−ジメチルグリシン、3−ジメチルアミノプロピオン酸およびジメチルアミノイソ酪酸である。同様に特に適切であるのは、α−炭素原子が水素以外の置換基のみを有するα−アミノ酸、たとえば2−アミノイソ酪酸(2−メチルアラニン)である。
【0042】
アミン(A)が、アミンA′1)、A′2)、A′3)、A′4)およびA′5)から選択されている場合、別の1実施態様では、成分(B)として、特にN−非置換アミノカルボン酸、N−モノ置換アミノカルボン酸、N−非置換アミノスルホン酸および/またはN−モノ置換アミノスルホン酸が適切である。このような吸収剤は特に迅速なCO2物質移行を有する。これらは、処理すべき気体が、極めて低いCO2分圧を有するか、かつ/または極めて低い残留濃度へのCO2除去が望まれる適用において有利である。
【0043】
アミンは、水溶液の形で使用される。吸収剤は、さらに、たとえばシクロテトラメチレンスルホン(スルホラン)およびその誘導体、脂肪族酸アミド(アセチルモルホリン、N−ホルミルモルホリン)、N−アルキル化ピロリドンおよび相応するピペリドン、たとえばN−メチルピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート、メタノール、ポリエチレングリコールのジアルキルエーテルおよびその混合物から選択される物理的溶剤を含有することができる。
【0044】
吸収剤は、他の機能性成分、たとえば安定剤、殊に酸化防止剤(ドイツ国特許第102004011427号明細書参照)、または腐食防止剤を含有していてもよい。
【0045】
本発明による方法の場合には、存在する限り、二酸化炭素と共に、通常、別の酸性ガス、たとえばH2S、SO2、CS2、HCN、COS、NO2、HCl、ジスルフィドまたはメルカプタンが、ガス流から除去される。
【0046】
本発明による方法もしくは吸収剤は、流体、特にあらゆる種類の気体流を処理するために適切である。酸性のガスを含有する流体は、一方ではガス、たとえば天然ガス、合成ガス、コークス炉ガス、石炭液化ガス、循環ガス、廃棄物処理からのガスおよび燃焼ガスであり、他方では、吸収剤と本質的に非混和性の流体、たとえばLPG(液化石油ガス Liquefied Petroleum Gas)またはNGL(天然ガス液 Natural Gas Liquids)である。本発明による方法もしくは吸収剤は、炭化水素含有流体流の処理のために適切である。含有されている炭化水素はたとえば脂肪族炭化水素、たとえばC1〜C4−炭化水素、たとえばメタンであるか、または芳香族炭化水素、たとえばベンゼン、トルエンまたはキシレンである。
【0047】
ガス流は、次の方法で形成されるガス流であってもよい:
a)有機物質、たとえば煙道ガスの酸化、
b)有機物質を含有する廃棄物の堆肥化および貯蔵、
または
c)有機物質の細菌による分解。
【0048】
酸化は、火炎現象下で、即ち従来の燃焼として実施されてよいし、火炎現象なしの酸化として、たとえば接触酸化または部分酸化の形で実施されてよい。燃焼に供される有機物質は、通常、化石燃料、たとえば石炭、天然ガス、石油、ガソリン、ディーゼル油、ラフィネートまたは灯油、バイオディーゼル油(Biodiesel)または有機物質を含有する廃棄物である。接触(部分)酸化の出発物質は、たとえば蟻酸またはホルムアルデヒドに変換されうるメタノールまたはメタンである。
【0049】
酸化、堆肥化または貯蔵に供される廃棄物は、典型的には家庭ゴミ、プラスチック廃棄物または包装容器のゴミである。
【0050】
有機物質の燃焼は、多くの場合に通常の燃焼装置中で空気で行なわれる。有機物質を含有する廃棄物の堆肥化および貯蔵は、一般にゴミ堆積場で行なわれる。この種のプラントの排ガスまたは排気は、好ましくは本発明による方法により処理されうる。
【0051】
細菌による分解のための有機物質としては、通常、肥料、わら、肥やし、透明汚泥、発酵残留物等が使用される。細菌による分解は、たとえば通常のバイオガスプラント中で行なわれる。この種のプラントの排気は、好ましくは本発明による方法により処理されうる。
【0052】
この方法は、有機物質の(部分)酸化に使用される、燃料電池または化学合成プラントの排ガスを処理するために適している。
【0053】
その他に、本発明による方法は当然のことながら、未燃焼の化石ガス、たとえば天然ガス、たとえばいわゆる炭層ガス、つまり石炭を運搬する際に生じ、回収され、かつ圧縮されるガスを処理するために適用することができる。
【0054】
一般に、前記ガス流は、通常の条件下で二酸化硫黄50mg/m3未満を含有する。
【0055】
本発明による方法を実施するのに適している装置は、少なくとも1つの洗浄塔、たとえば不規則充填物を有する充填塔、規則充填物を有する充填塔および棚段塔、および/またはその他の吸収装置、たとえば膜接触式装置(Membrankontaktoren)、放射状流型洗浄器、放射型洗浄器、ベンチュリ型洗浄器および回転噴霧型洗浄器を含む。この場合、吸収剤を用いてのガス流の処理は、有利に洗浄塔内で向流で行なわれる。この場合、前記ガス流は、一般に塔の下方領域に供給され、吸収剤は、塔の情報領域に供給される。
【0056】
また、本発明による方法を実施するのに適当なのは、プラスチック、たとえばポリオレフィンまたはポリテトラフルオロエチレンからなる洗浄塔、または内部表面が全部または部分的にプラスチックまたはゴムで被覆されている洗浄塔である。更に、プラスチックケーシングを有する膜接触式装置が適している。
【0057】
吸収剤の温度は、吸収工程で一般に約30〜100℃であり、塔を使用する場合には、たとえば塔の頭頂部で30〜70℃であり、塔の塔底部で40〜100℃である。酸性のガス成分の乏しい、即ちこの成分の含量が減少された生成ガス(Beigas 付加ガス)および酸性のガス成分が負荷された吸収剤が得られる。
【0058】
一般に、負荷された吸収剤の再生は
a)たとえば70〜110℃への加熱、
b)放圧、または
c)不活性流体を用いたストリッピング
またはこれらの措置の2つもしくは全ての組み合わせによって行われる。
【0059】
一般に、負荷された吸収剤は、再生のために加熱され、遊離された二酸化炭素は、たとえば脱着塔中で分離される。再生された吸収剤が吸収装置中に導入される前に、この吸収剤は、適当な吸収温度に冷却される。熱時に再生された吸収剤中に含有されているエネルギーを利用するために、吸収装置からの負荷された吸収剤を熱時に再生された吸収剤との熱交換によって予熱することは好ましい。熱交換によって、負荷された吸収剤は、高温になり、したがって再生工程で必要とされるエネルギーは、僅かになる。熱交換によって既に、負荷された吸収剤の部分的な再生は、二酸化炭素の放出下に行なわれうる。得られた気液混合相の流れは、相分離容器中に導入され、この相分離容器から二酸化炭素は取り出され、液相は、吸収剤の完全な再生のために脱着塔中に導入される。
【0060】
引続き、しばしば、脱着塔中で遊離された二酸化炭素は、圧縮され、たとえば圧力タンクまたは金属イオン封鎖部に供給される。この場合には、吸収剤の再生を高い圧力、たとえば2〜10バール、特に2.5〜7バールで実施することは、好ましい。このために、負荷された吸収剤は、ポンプにより再生圧力に圧縮され、脱着塔中に導入される。二酸化炭素は、こうして高い圧力水準で発生する。圧力タンクの圧力水準に対する圧力差は僅かであり、場合によっては圧縮工程を省略することができる。再生の際の高い圧力は、高い再生温度を必要とする。高い再生温度の場合には、吸収剤の僅かな残留負荷が達成されうる。再生温度は、一般に吸収剤の熱安定性によってのみ制限されている。
【0061】
処理すべきガスが、煙道ガスである場合、該ガスは本発明による吸収剤による処理の前に有利には、水性の液体により、特に水により洗浄して、煙道ガスを冷却し、かつ湿分を含ませる(クエンチング)。洗浄の際に、ダストまたはガス状の不純物、たとえば二酸化硫黄を除去することができる。
【0062】
本発明を添付の図面につき詳説する。
【0063】
図1は、本発明による方法の実施に適した、たとえば煙道ガスの処理のために適切な装置を示す略図である。
【0064】
図2は、放圧段階および脱着段階を有する、たとえば本発明による天然ガスの処理のために適切な、本発明による方法を実施するための装置の略図である。
【0065】
図1によれば、吸収装置2中で、導管1を介して適切な、前処理された二酸化炭素含有ガスを、吸収剤導管3を介して供給される、再生された吸収剤と向流で接触させる。吸収剤は、吸収によってガスから二酸化炭素を除去し、その際、排ガス導管4を介して、二酸化炭素の乏しい純粋ガスが取得される。吸収装置2は、吸収剤入口の上方で、有利に充填物が装備されている背面洗浄床または背面洗浄区間を有していてもよく(図示されていない)、この背面洗浄床または背面洗浄区間で水または凝縮液により連行される吸収剤は、CO2の含量が減少されたガスから分離される。背面洗浄床上の液体は、外部冷却器を介して適切に再循環される。
【0066】
吸収剤導管5、ポンプ12、脱着塔7の塔底から排出される再生された吸収剤の熱により、酸性ガスで負荷された吸収剤がその中で加熱される溶剤熱交換器11、および絞り弁6を介して、二酸化炭素で負荷された吸収剤が、脱着塔7に供給される。脱着塔7の下部で、負荷された吸収剤は、(図示されていない)加熱器により加熱され、再生される。その際に遊離された二酸化炭素は、排ガス導管8を介して脱着塔7を離れる。脱着装置7は、吸収剤入口の上方で、有利に充填物が装備されている背面洗浄床または背面洗浄区間を有していてもよく(図示されていない)、この背面洗浄床または背面洗浄区間で水または凝縮液により連行される吸収剤は、遊離するCO2から分離される。導管8には、塔頂分配器または凝縮器を有する熱交換器が設けられていてよい。引き続き、再生される吸収剤を、ポンプ9により、その中で再生される吸収剤が、酸性ガスにより負荷されている吸収剤を加熱し、かつそれ自体がその際に冷却される溶剤−溶剤−熱交換器11を介して、および熱交換器10を介して、再び吸収塔2に供給される。再生の際に排出されないか、または完全には排出されない、吸収された物質の蓄積、または吸収剤中での分解生成物の蓄積を回避するために、脱着塔7から取り出された吸収剤の部分流を蒸発器に供給することができ、この蒸発器中で難揮発性の副生成物および分解生成物は、残留物として生じ、純粋な吸収剤は、蒸気して取り出される。凝縮された蒸気は、再び吸収剤循環路に供給される。好ましくは、部分流に塩基、たとえば水酸化カリウムが添加され、該水酸化カリウムは、たとえば硫酸イオンまたは塩化物イオンと一緒に難揮発性塩を形成し、この難揮発性塩は、蒸発器残留物と一緒に系から排出される。
【0067】
図2によれば、供給ガスは導管1を介して、吸収装置2の下方領域に供給される。吸収剤は、導管3を介して、供給ガスに対して向流で、吸収装置2の塔頂に添加される。酸性ガスの含量が減少されたガスは、頭頂部(導管4)を介して吸収装置2を去る。酸性ガスで富化された吸収剤は、導管5を介して底部において吸収装置2を離れ、かつ放圧タービン19により、一般に吸収装置の供給される粗製ガスのCO2分圧より高い圧力で高圧放圧塔6の上部領域に導通される。放圧時に、溶解された非酸性ガスの大部分ならびに酸性ガスの少量が放出される。前記ガスは、導管7を介して高圧放圧塔6から塔頂部を経て排出される。放圧タービン19において生じるエネルギーは、たとえばポンプ16を運転するために使用することができる。
【0068】
依然として酸性ガスの大部分によって負荷されている吸収剤は、導管8を介して高圧放圧塔を離れ、かつ熱交換器9中で、間接的な熱交換によって再生され、導管15を介して供給される吸収剤によって加熱される。
【0069】
加熱された、負荷された吸収剤は、脱着塔10の上部領域へ導入される。塔10は、熱交換器18を介する間接的な塔底加熱部を有する。塔10中で、CO2およびH2Sの一部は、フラッシュにより放出され、残部は塔10の下部でストリッピングにより実質的に完全に排出される。塔10の塔頂部には、還流冷却器11および捕集容器12が設けられており、放出された酸性ガスを冷却し、蒸気の一部分を凝縮させる。酸性ガスの主要量は、導管13を介して還流冷却器11を離れる。凝縮液は、ポンプ14により、塔10の塔頂へポンプで返送される。再生された吸収剤は、導管15を介して底部で塔10を離れ、かつ熱交換器9を介して、ポンプ16により導管3を経由して吸収装置2の頭部へ供給される。新しい水は、ガスで搬出される水との平衡のために導管17を介して供給されてよい。
【実施例】
【0070】
実施例:CO2の吸収容量および再生エネルギー必要量
以下に記載される結果は、40℃および120℃での以下の系の平衡測定に基づいている:
CO2/N,N−ジメチルグリシン/MEA(モノエタノールアミン)/水
CO2/2−メチルアラニン(α−アミノイソ酪酸)/MEA/水
これらの測定は、以下のとおりに実施した:
ガラス製耐圧容器(容量=110cm3もしくは230cm3)中に、定義された量のアミン・水混合物もしくはアミン・アミノ酸・水混合物を装入し、排気し、かつ一定の温度で二酸化炭素を段階的に定義された気体体積を超えて計量供給した。液相中に溶解された量の二酸化炭素を気相のガス空間補正後に計算した。
【0071】
CO2/MEA/水系のための平衡データは、Chen等による電解質NRTLバッチ (Chen CC、Evans, L.B.、 A Local Composition Model for the Excess Gibbs Energy of aqueous electrolyte Solutions AICHE J.、1986年、32(3)、第444〜454頁、パラメータは測定データに適合させた)により計算した。
【0072】
平衡データに基づいて、CO2の吸収に関する種々の溶剤混合物の容量を確認し、かつストリッピング塔中での溶剤の再生の際のエネルギー消費に関する傾向を記載することができるために、該系に関する評価を実施した。
【0073】
その際、次のように行った:
全ての溶剤混合物に関して、全圧力1バールで0.13バールのCO2分圧を有するCO2含有煙道ガス(=13%CO2含有率)を用いて処理した吸収装置中で使用することを前提とした。評価のために、吸収装置の塔底において、40℃の温度が存在することを前提とした。再生の際に、脱着装置の塔底において、約120℃の温度が優勢である。容量の評価のために、吸収装置の塔底において、平衡状態が達成されている、つまり平衡分圧が、供給ガスの分圧である13kPaと同じであることが前提とされる。脱着は通常、約200kPaで運転される。純粋な水は120℃で約198kPaの分圧を有する。アミン溶液中で、水の分圧は若干低いので、この場合、脱着装置の塔底において5kPaのCO2分圧が前提とされる。ここでも平衡の達成は、近似値として仮定される。従って、種々の溶液の容量は、以下のとおりに確認される:
a)供給ガスのCO2分圧は13kPaの一定のラインで、40℃の平衡曲線の交点における溶液1kgあたりのCO2のモルでの負荷から(平衡状態で吸収装置の塔底での負荷された溶液)および
b)5kPaの一定のCO2分圧のラインで、120℃の平衡曲線での交点から(平衡状態において脱着装置の塔底における再生溶液)。
【0074】
2つの負荷量の差は、それぞれの溶剤の循環容量である。大きな容量とは、僅かな溶剤を循環させなくてはならず、したがって装置、たとえばポンプ、熱交換器、あるいはまた管路も小型に寸法決定することができることを意味する。更に、循環量は、再生に必要なエネルギーにも影響を及ぼす。
【0075】
このためのもう1つの基準は、ストリッピング塔の運転直線の上昇である。これは脱着装置中の液体量L対気体量Gとの比L/Gに比例する。この運転直線は、脱着装置の塔底において、通常平衡線に極めて近いので、第一の近似値において、平衡曲線の上昇は、運転ラインの上昇と同視することができる。脱着装置の塔底において、大部分のCO2はすでにストリッピングにより除去されているので、溶液のストリッピングすべきガス量は、気化器中で生じなくてはならない蒸気必要量に相応する。一定の液体負荷において、溶剤に関して平衡曲線の大きな上昇とともに、必要とされるストリッピング蒸気の量は低減する。ストリッピング蒸気を発生させるためのエネルギーは、CO2吸収プロセスの本質的なエネルギーである。しかし、第一の評価のために、ストリッパー塔底における平衡曲線の上昇は、溶剤の相対的な比較に関して証言力がある。
【0076】
上昇よりも、相関的な上昇はさらに適切である。というのも、これらは溶剤1キログラムあたりに必要とされる蒸気量に直接比例するからである。この相関的な上昇を溶剤の容量で除する場合には、吸収されたCO2量ごとに必要とされる蒸気量についての相対的な証明を直接に可能にする比較値を得ることができる。これらの値は、標準化されて第1表に記載されている。
【0077】
第1表には、MEA混合物の値に関する値が標準化されている。本発明による吸収剤に関して、比較可能な容量における蒸気必要量は(相応するMEA溶液に対する)より少ないことがわかる。
【0078】
【表1】

【符号の説明】
【0079】
図1: 1 導管、 2 吸収装置、 3 導管、 4 導管、 5 導管、 6 絞り弁、 7 脱着塔、 8 導管、 9 ポンプ、 10 熱交換器、 11 熱交換器、 12 ポンプ
図2: 1 導管、 2 吸収装置、 3 導管、 4 導管、 5 導管、 6 高圧放圧塔、 7 導管、 8 導管、 9 熱交換器、 10 脱着塔、 11 熱交換器、 12 捕集容器、 13 導管、 14 ポンプ、 15 導管、 16 ポンプ、 17 導管、 18 熱交換器、 19 放圧タービン、 20 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) 少なくとも1のアミンおよび
(B) 少なくとも1のアミノカルボン酸および/またはアミノスルホン酸
の水溶液を含む吸収剤であって、その際、該吸収剤は実質的に無機の塩基性塩を含有していない、流体流から二酸化炭素を除去するための吸収剤。
【請求項2】
(A) 1のアミンまたは複数のアミンの組み合わせ10〜65質量%および
(B) アミノカルボン酸および/またはアミノスルホン酸1〜40質量%
を含む、請求項1記載の吸収剤。
【請求項3】
アミン(A)が、標準圧力で少なくとも120℃の沸点を有する、請求項1または2記載の吸収剤。
【請求項4】
アミノカルボン酸が、α−アミノ酸またはβ−アミノ酸である、請求項1から3までのいずれか1項記載の吸収剤。
【請求項5】
アミノカルボン酸が、N−モノ−C1〜C4−アルキルアミノカルボン酸およびN,N−ジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボン酸から選択されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の吸収剤。
【請求項6】
アミノカルボン酸が、その中でα−炭素原子が水素以外の置換基のみを有するα−アミノ酸である、請求項1から3までのいずれか1項記載の吸収剤。
【請求項7】
A1) 第三級アミン
A2) (i)第三級炭素原子に結合している第一級アミノ基を有するアミン、(ii)第二級もしくは第三級炭素原子に結合している第二級アミノ基を有するアミン、および(iii)第三級または第四級炭素原子がアミノ基に対してβ−位に配置されているアミンから選択される立体障害アミン
から選択される少なくとも1のアミン(A)を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の吸収剤。
【請求項8】
第三級アミンが、一般式
N(Ra2-n(Rb1+nまたは(Ra2-n(RbnN−X−N(Ra2-m(Rbm
[式中、Raは、アルキル基を表し、Rbは、ヒドロキシアルキル基を表し、Xは、1もしくは複数の酸素により中断されていてもよいアルキレン基を表し、かつnおよびmはそれぞれ0〜2の整数を表す]を有する、請求項7記載の吸収剤。
【請求項9】
第三級アミンが、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、トリブタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−メチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)メチルアミン(メチルジイソプロパノールアミン、MDIPA)、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチル−N′,N′−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルプロパンジアミン、N,N−ジメチル−N′,N′−ジエチルエチレンジアミンおよび2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−N,N−ジメチルエタンアミンから選択されている、請求項7または8記載の吸収剤。
【請求項10】
立体障害アミンが、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよび1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オールから選択されている、請求項7記載の吸収剤。
【請求項11】
さらに少なくとも1の第一級または第二級アミンを活性化剤として含む、請求項7から10までのいずれか1項記載の吸収剤。
【請求項12】
活性化剤が、
C1) 環中に少なくとも1のNH基を有し、さらに環中に窒素および酸素から選択される1もしくは2のヘテロ原子を有していてもよい5員、6員または7員の飽和複素環
C2) 第一級または第二級アルカノールアミン、
C3) 式
2N−R2−NH2
1−NH−R2−NH2または
(R12N−R2−NH2
[式中、R1は、C1〜C6−アルキルを表し、かつR2は、C2〜C6−アルキレンを表す]のアルキレンジアミン
C4) ポリアルキレンポリアミン
から選択されている、請求項11記載の吸収剤。
【請求項13】
活性化剤が、
C1) ピペラジン、2−メチルピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、ホモピペラジン、ピペリジンおよびモルホリン、
C2) 2−アミノエタノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(n−ブチルアミノ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール、3−アミノ−1−プロパノールおよび5−アミノ−1−ペンタノール、
C3) ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノプロパン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、3−メチルアミノプロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、
C4) ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン
から選択されている、請求項12記載の吸収剤。
【請求項14】
N−非置換アミノカルボン酸、N−モノ置換アミノカルボン酸、N−非置換アミノスルホン酸および/またはN−モノ置換アミノスルホン酸を含む、請求項7から10までのいずれか1項記載の吸収剤。
【請求項15】
アミノカルボン酸が、2−アミノ酢酸、2−アミノプロピオン酸、N−メチルアラニン、N−メチルグリシン、2−アミノイソ酪酸、ピペリジン−4−カルボン酸、ピペリジン−3−カルボン酸、ピペリジン−2−カルボン酸、2−アミノ−3−メチル−酪酸、2−アミノ−4−メチルペンタン酸、2−アミノ−3−メチル−ペンタン酸、N−メチルアミノイソ酪酸、β−アミノ酪酸、3−アミノプロピオン酸、2−アミノ−4−メチルスルファニル−ブタン酸、2−アミノエタンスルホン酸および/または2−(メチルアミノ)エタンスルホン酸である、請求項14記載の吸収剤。
【請求項16】
A′1) 環中に少なくとも1のNH基を有し、さらに環中に窒素および酸素から選択される1もしくは2のヘテロ原子を有していてもよい5員、6員または7員の飽和複素環
A′2) 第一級または第二級アルカノールアミン、
A′3) 式
2N−R2−NH2
1−NH−R2−NH2または
(R12N−R2−NH2
[式中、R1は、C1〜C6−アルキルを表し、かつR2は、C2〜C6−アルキレンを表す]のアルキレンジアミン
A′4) ポリアルキレンポリアミン、
A′5) アミノエーテル
から選択される少なくとも1のアミン(A)を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の吸収剤。
【請求項17】
アミン(A)が、
A′1) ピペラジン、2−メチルピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、ホモピペラジン、ピペリジンおよびモルホリン、
A′2) 2−アミノエタノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(n−ブチルアミノ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール、3−アミノ−1−プロパノールおよび5−アミノ−1−ペンタノール、
A′3) ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノプロパン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、3−メチルアミノプロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、
A′4) ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、
A′5) 2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−t−ブチルアミノエトキシ)エタノール
から選択されている、請求項16記載の吸収剤。
【請求項18】
N,N−二置換アミノカルボン酸を含む、請求項16または17記載の吸収剤。
【請求項19】
アミノカルボン酸が、N,N−ジメチルグリシン、3−ジメチルアミノプロピオン酸、ジメチルアミノイソ酪酸である、請求項18記載の吸収剤。
【請求項20】
N−非置換アミノカルボン酸、N−モノ置換アミノカルボン酸、N−非置換アミノスルホン酸および/またはN−モノ置換アミノスルホン酸を含む、請求項16または17記載の吸収剤。
【請求項21】
アミノカルボン酸が、2−アミノ酢酸、2−アミノプロピオン酸、N−メチルアラニン、N−メチルグリシン、2−アミノイソ酪酸、ピペリジン−4−カルボン酸、ピペリジン−3−カルボン酸、ピペリジン−2−カルボン酸、2−アミノ−3−メチル−酪酸、2−アミノ−4−メチルペンタン酸、2−アミノ−3−メチル−ペンタン酸、N−メチルアミノイソ酪酸、β−アミノ酪酸、3−アミノプロピオン酸、2−アミノ−4−メチルスルファニル−ブタン酸、2−アミノエタンスルホン酸および/または2−(メチルアミノ)エタンスルホン酸である、請求項20記載の吸収剤。
【請求項22】
流体流から二酸化炭素を除去する方法であって、流体流を、請求項1から21までのいずれか1項記載の吸収剤と接触させる、流体流からの二酸化炭素の除去法。
【請求項23】
負荷された吸収剤を、
a)加熱、
b)放圧、
c)不活性流体を用いたストリッピング、またはこれらの措置の2つもしくは全ての組み合わせによって再生する、請求項22記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−143760(P2012−143760A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98138(P2012−98138)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2009−510431(P2009−510431)の分割
【原出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】