再生制御装置及び再生制御方法並びにプログラム
【課題】効率よくパノラマ画像を連続して鑑賞するのに適した再生制御装置及び再生制御方法並びにプログラムを提供する。
【解決手段】撮影開始から撮影終了までに複数回撮影した複数の画像データ間の移動量に基づき合成されるパノラマ画像に関連付けて記録された、パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を読み出し、撮影開始から撮影終了までの撮像方向に基づいて、パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定するスクロール方向決定する。
【解決手段】撮影開始から撮影終了までに複数回撮影した複数の画像データ間の移動量に基づき合成されるパノラマ画像に関連付けて記録された、パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を読み出し、撮影開始から撮影終了までの撮像方向に基づいて、パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定するスクロール方向決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パノラマ画像を連続して鑑賞するのに適した再生制御装置及び再生制御方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来広く用いられている電子スチルカメラは、被写体を撮像することでレンズを通過した光をCCD(Charge Coupled Device)等の個体撮像素子により画像信号に変換し、この画像信号を記録媒体に記録し、記録した画像信号を再生することができる。また、多くの電子スチルカメラは、撮像した静止画像を表示するモニタを備え、記録した静止画像のうち特定のものを選択して表示する。このような電子スチルカメラは、1回の撮影での撮影範囲がレンズの画角によって制限された狭い範囲のものとなり、レンズの画角を超えた広範囲の撮影ができないため、近年パノラマ状の画像を撮影する種々のカメラシステムが提案されている。
【0003】
例えば、このカメラシステムは、大別すると広い視野を複数レンズで一度に撮影する多眼式と、単眼レンズを用いて撮像方向を順にシフトさせつつ個々の画像に分けて連続撮影する単眼式とに分類される。多眼式のカメラシステムは、通常のカメラとほぼ同様の操作でパノラマ状の全体画像を生成することができるという利点があるが、システム全体が高価となる欠点がある。
【0004】
これに対して単眼式のカメラシステムは、比較的安価にパノラマ画像を撮影することができ、撮像方向をシフトさせつつ撮影する方法としていくつかの方法が提案されている。例えば、手で撮像系を一定の速度でシフト又は回転させる方法(例えば、特許文献1参照。)や、手で撮像系をシフト又は回転させる動作と静止とを繰り返す方法(例えば、特許文献2参照。)や、ステッピングモータ等を用いて撮像系のシフトや回転、静止をする方法(例えば、特許文献3参照)がある。
【0005】
また、以上のような撮影方法で撮影されたパノラマ画像の鑑賞方法として、横長のプリント方法(例えば、特許文献4参照)やテレビモニタ等によるスクロール再生(例えば、特許文献5参照)が提案されている。例えば、テレビモニタにパノラマ画像を表示させる場合には、パノラマ画像の全体を表示させようとすると、画面内の一部領域が横長に小さく表示されるため、細部を確認するのが困難である。また、複数枚のパノラマ画像を自動的に切り換えて表示させたい場合には、各パノラマ画像が横長に小さく表示されるため、細部を確認するのが困難である。そこで、複数枚のパノラマ画像を連続してテレビモニタで閲覧する際等に各パノラマ画像をスクロール再生させることで、パノラマ画像全体を細部に亘って鑑賞することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−88754号公報
【特許文献2】特開平11−88811号公報
【特許文献3】特開2005−333396号公報
【特許文献4】特開平7−212693号公報
【特許文献5】特開2002−77800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1乃至特許文献3に記載された方法では、撮影時刻の異なる画像を合成するため、パノラマ合成画の画面内に時間差が生じてしまう。したがって、1つの撮影時刻をパノラマ合成画に関連付けて記録しても、正確にパノラマ撮影に要した時刻を記録したことにならず、パノラマ合成画内における撮影時刻の推移及び方向がわからないという問題が生じる。
【0008】
また、従来の方法では、スクロール再生の決定が一意の方法のみであるため、効率良くパノラマ画像を連続して鑑賞するのには適していない。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、効率よくパノラマ画像を連続して鑑賞するのに適した再生制御装置及び再生制御方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係る再生制御装置は、撮影開始から撮影終了までに複数回撮影した複数の画像データ間の移動量に基づき合成されるパノラマ画像に関連付けて記録された上記パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を読み出す読出し部と、上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向に基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定するスクロール方向決定部とを備える。
【0011】
また、本発明に係る再生制御方法及びプログラムは、撮影開始から撮影終了までに複数回撮影した複数の画像データ間の移動量に基づき合成されるパノラマ画像に関連付けて記録された、上記パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を読み出す読み出し工程と、上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向に基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定するスクロール方向決定工程とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のパノラマ画像をスクロール再生する際に、視聴者が閲覧したい画像を短時間で効率よく閲覧することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態に係る撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】トリミング処理の一例を説明するための模式図である。
【図3】(a)撮影開始時の被写体、(b)撮影終了直前の被写体をそれぞれ再生する際の撮像方向を説明するための模式図である。
【図4】本実施の形態に係る撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】パノラマ画像を合成する処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る再生制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】パノラマ画像のスクロール方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図8】パノラマ画像のスクロール方法の一例を説明するための模式図である。
【図9】パノラマ画像のスクロール方法の一例を説明するための模式図である。
【図10】パノラマ画像のスクロール方法の一例を説明するための模式図である。
【図11】パノラマ画像のスクロール方法の一例を説明するための模式図である。
【図12】パノラマ画像をスクロールする速度の一例を説明するための模式図である。
【図13】パノラマ画像のスクロール方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明を適用した具体的な実施形態について説明する。図1に示すように、撮像装置1は、レンズ系10、撮像素子11、画像用RAM12、撮像方向検出部13、パノラマ合成部14、時計部15及び記録媒体16を備える。また、撮像装置1は、図示しないが、例えばステッピングモータ等のように、撮像部を旋回させるための駆動源を備えている。
【0015】
撮像素子11は、例えばCCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが用いられる。撮像素子11では、レンズ系10を介して照射された被写体画像が電気信号に変換される。また、撮像素子11は、図示しない所定の信号処理回路を有し、電気信号に変換した被写体画像をさらにディジタル画像データに変換して画像用RAM12に出力する。
【0016】
画像用RAM12には、撮像素子11から出力された画像データが供給される。画像用RAM12は、複数毎の画像データを格納し、この格納した画像データを撮像方向検出部13及びパノラマ合成部14に供給する。
【0017】
撮像方向検出部13には、画像用RAM12から画像データが供給される。撮像方向検出部13は、パノラマ合成処理を行うためのデータとして、連続する複数の画像データ間の撮像方向と移動量、すなわち、個々の画像データ間の移動ベクトルを検出する。そして、撮像方向検出部13は、検出した移動ベクトルをパノラマ合成部14に供給する。撮像方向検出部13は、例えば時系列的に隣接するフィールド間の画像データを比較することで移動ベクトルを検出する。
【0018】
撮像方向検出部13は、画像データ間の移動量の大きさを検出する際に、撮影開始から撮影終了までの撮像方向を1つの撮像方向として検出するために、移動量を平均化する。また、撮像方向検出部13は、画像データ間の移動量を平均化する際に、移動量が所定量以上のものを除外してから移動量を平均化するようにしてもよい。また、撮像方向検出部13は、画像データ間の移動量を画像データ毎に累積する。撮像方向検出部13は、画像データ間の移動量を累積する際に、移動量が所定の閾値以上のものを除外するようにしてもよい。
【0019】
撮像方向検出部13は、検出した移動ベクトルに基づいてパノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を検出する。そして、撮像方向検出部13は、検出した撮像方向を、いくつかの方向にコード化する。すなわち、撮像方向検出部13は、撮像方向をいくつかの方向に方向分けする。例えば、撮像方向検出部13は、検出した撮像方向を上下左右の4値にコード化する。このように、撮像方向検出部13は、検出した撮像方向をコード化することで、記録媒体16に供給するデータ量を削減することが可能となる。
【0020】
そして、撮像方向検出部13は、パノラマ合成部14で合成されるパノラマ画像に関連付けて、コード化したパノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を1つの撮像方向として記録媒体16に供給する。
【0021】
このように、撮像方向検出部13は、パノラマ画像の合成用途及び撮像方向の検出用途として用いることができる。したがって、撮像装置1においては、パノラマ画像の合成とパノラマ画像に関連付けられた撮像方向と撮影時間情報を記録する装置を安価で作成することが可能となる。
【0022】
パノラマ合成部14には、画像用RAM12から画像データが供給される。また、パノラマ合成部14には、撮像方向検出部13からパノラマ合成処理を行うためのデータとして画像データ間の移動ベクトルが供給される。パノラマ合成部14は、撮像方向検出部13から供給された移動ベクトルと画像用RAM12から供給された複数の画像データに基づいてパノラマ画像を合成する。
【0023】
例えば、パノラマ合成部14は、撮像素子の撮像面に得られた画像の一部から所定幅の読み出し範囲にある部分画像をお互いの重複範囲が互いに重ね合うように接合して合成画像を生成する(例えば、特許文献3参照)。パノラマ合成部14は、合成したパノラマ画像を記録媒体16に供給する。
【0024】
また、パノラマ合成部14は、複数枚の画像データからなるパノラマ画像に対してトリミング処理を行う。このトリミング処理とは、画像データの一部分の画像領域、例えば中央付近の領域画像を切り出す抽出処理である。パノラマ合成部14は、例えば図2に示す画像データ20、画像データ21、画像データ22に対してトリミング処理を行うことで、画像データの必要部分を抽出して良好なパノラマ画像を合成する。
【0025】
パノラマ合成部14は、例えば図2(a)の領域23に示すように、矩形状のパノラマ画像として抜き出すようにトリミング処理を施す。また、パノラマ合成部14は、連続する画像データに傾きがある場合、つまり、ユーザが撮像装置1を水平に保たずに、撮像装置1を傾けて撮影をした場合には、図2(b)の領域24に示すように、斜め方向にトリミング処理を施してもよい。
【0026】
時計部15は、撮影開始から撮影終了までの撮影時間情報を検出する計時手段を構成する。時計部15は、例えばパノラマ撮影の撮影開始時刻及び撮影終了時刻を検出する。そして、時計部15は、検出した撮影開始時刻及び撮影終了時刻をパノラマ合成部14で合成されるパノラマ画像に関連付けて記録媒体16に供給する。なお、時計部15では、撮影時間情報として、例えば撮影画像毎の時刻をそれぞれ検出してもよいし、ある撮影時刻と撮影時刻との間の長さを検出するようにしてもよい。
【0027】
記録媒体16は、ディジタル信号を記録可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスク、光磁気ディスク、DVD、MD(商標)、半導体メモリ、磁気テープを用いることができる。記録媒体16では、パノラマ合成部14で合成されたパノラマ画像と、撮像方向検出部13で検出されたパノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向と、時計部15で検出した撮影開始時刻及び撮影終了時刻が供給される。そして、記録媒体16は、1つの撮像方向として撮影開始から撮影終了までの撮像方向と、パノラマ撮影の撮影開始時刻及び撮影終了時刻とをパノラマ画像に関連付けて記録する。つまり、記録媒体16は、撮像方向として、合成したパノラマ画像に対して1つの撮像方向を記録する。
【0028】
このように、記録媒体16では、撮影開始時刻及び撮影終了時刻とともに撮影開始から撮影終了までの1つの撮像方向をパノラマ画像に関連付けて記録することで、パノラマ撮影の撮影時刻を正確に知ることができる。つまり、撮像装置1では、パノラマ撮影の撮像方向を撮影開始時刻及び撮影終了時刻とともに記録媒体16に記録することで、より正確な時刻を知ることが可能となる。したがって、撮像装置1は、視聴者が例えば図3(b)に示すように、画面内に時間差を有するパノラマ画像26をTVモニタ等でスクロール再生する際に、閲覧したい画像を短時間で効率よく閲覧することを可能とする。
【0029】
つまり、撮像装置1によれば、パノラマ撮影の撮影開始時刻、撮影終了時刻、及び撮像方向に基づいてスクロール再生の方向や開始点を適宜変えることで、視聴者が閲覧したい画像を短時間で効率よく閲覧することが可能となる。例えば、撮影開始時点でユーザが図3(a)に示すようなパノラマ画像25を撮影したい場合に、図3(b)に示すように撮影終了直前に撮影したくなかった予期しない物体27が撮影されてしまったとする。この場合、撮像装置1によれば、スクロール再生の方向や開始点を適宜変えることで、パノラマ画像26が予期しない物体27からスクロール再生されてしまうことを防止することができる。つまり、撮像装置1では、パノラマ画像26を容易に図3(b)の矢印で示す撮像方向に沿ってスクロール再生することが可能となる。
【0030】
また、記録媒体16では、パノラマ撮影の撮影開始時刻、撮影終了時刻、撮像方向に関する情報がEXIF(Exchangeable Image File Format)規格のユーザ領域に記録される。EXIF規格においては、付帯情報として撮影条件以外にユーザ領域が設けられており、ユーザ又は機器で独自定義の情報を記録することができる。なお、撮像装置1においては、ユーザ領域以外の領域、すなわち未定義領域に新たな定義を与える形でパノラマ撮影の撮影開始時刻、撮影終了時刻、撮像方向に関する情報を記録するようにしてもよい。
【0031】
また、記録媒体16には、例えば時計部15で検出した撮影開始時刻ととともに撮影時間を記録して、撮影終了時刻を記録しないようにしてもよい。さらに、記録媒体16には、撮影画像毎の時刻又は撮影画像間の平均時間をパノラマ合成部14でのパノラマ合成に用いられた画像データの撮影枚数とともに記録してもよい。さらにまた、記録媒体16には、パノラマ合成部14でのパノラマ画像の合成に用いられた画像データの撮影時刻を全て記録するようにしてもよい。また、記録媒体16には、撮像装置1が静止した状態で撮影された画像データを記録するようにしてもよい。また、記録媒体16には、画像データに含まれる被写体の特徴検出により被写体の座標情報を検出し、この座標情報をパノラマ画像に関連付けて記録するようにしてもよい。例えば、記録媒体16には、パノラマ撮影の撮影開始時刻、撮影終了時刻、撮像方向に関する情報とともに、図示しない顔検出部により検出した被写体の顔画像に基づく顔座標をパノラマ画像に関連付けて記録する。
【0032】
続いて、撮像装置1の他の実施形態について図4を用いて説明する。なお、図1に示す構成と同一のものについては、同一の符号を付して説明するものとする。
【0033】
光軸可変素子28は、例えばシフトレンズ方式又はミラーブロック方式のものが用いられ、ドライバ35によって制御される。レンズ系10は、アイリス、フォーカス、ズーム等の光学系の調節を行う。レンズ系10で行われる調節は、レンズ系駆動回路36によってそれぞれ制御される。例えば、パノラマ画像の撮影時には、少なくとも撮像素子11の電子シャッタが開いている間、撮像装置1の移動を打ち消す方向に光軸が変化する。また、電子シャッタが閉じている間、撮像装置1の動きの略中心付近に光軸が戻るように制御される。これらの制御は、後に詳述するシステムコントローラ42の制御に基づいて自動で行われる。なお、光学系の調節は、自動で行うことも可能である。撮像装置1では、このような制御に基づいて、レンズ系駆動回路36から制御情報が出力され、システムコントローラ42及び記録媒体30に供給される。制御情報としては、例えばアイリス、フォーカス、ズームのそれぞれの値がレンズ系駆動回路36から出力される。
【0034】
撮像素子11には、光軸可変素子28、レンズ系10を介して被写体画像が照射される。撮像素子11としては、例えばCCDやCMOSセンサが用いられる。撮像素子11は、照射された被写体画像を電気信号に変換する。撮像素子11は、図示しない所定の信号処理回路を有し、変換した電気信号をさらにディジタル画像データに変換してスイッチ32のREC端子及び圧縮回路29に出力する。
【0035】
圧縮回路29には、撮像素子11からの出力が供給される。また、圧縮回路29には、動き検出回路38が結合される。さらに、圧縮回路29には、パノラマ合成部14から合成画像情報が供給される。圧縮回路29は、撮像素子11から出力されたディジタル画像データやパノラマ合成部14から出力された合成画像情報に対して圧縮処理を施して圧縮画像データを生成し、生成した圧縮画像データを記録媒体30に供給する。
【0036】
動き検出回路38は、時系列的に隣接するフィールド間の画像データを比較することで移動ベクトルを求め、この求めた移動ベクトルに基づいて画像データの動き検出を行う。動き検出回路38からの出力は、圧縮回路29及び混合回路37に供給される。撮像装置1においては、動き検出回路38をパノラマ画像の合成用途及び撮像方向の検出用途として用いることができるため、撮像方向を検出するための回路、すなわち撮像方向検出部13を小規模かつ効率的に作成することが可能となる。
【0037】
混合回路37は、後に詳述する積分回路40から供給される動き情報と、動き検出回路38からの出力とを混合し、この混合結果をドライバ35及び記録媒体30に供給する。
【0038】
記録媒体30は、ディジタル信号を記録可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスク、光磁気ディスク、DVD、MD(商標)、半導体メモリ、磁気テープを用いることができる。記録媒体30には、圧縮回路29からの圧縮画像データと、レンズ系駆動回路36からの制御情報と、混合回路37からの混合結果とが供給される。また、記録媒体30には、撮像方向検出部13からの撮像方向情報と、時計部15からの時刻情報が供給される。
【0039】
記録媒体30は、圧縮画像データ毎に供給された制御情報と混合結果とをサブコードデータとして記録する。記録媒体30で読み出された圧縮画像データ及びサブコードデータは、伸長回路31に供給される。なお、記録媒体30には、図1で示す画像用RAM12及び記録媒体16が含まれる構成としてもよい。
【0040】
伸長回路31には、記録媒体30で読み出された圧縮画像データ及びサブコードデータが供給される。伸長回路31では、記録媒体30での記録時に圧縮画像データに対して施された圧縮符号化が解かれる。伸長回路31は、圧縮符号化が解かれた画像データを再生画像データとしてパノラマ合成部14に供給する。
【0041】
パノラマ合成部14には、伸長回路31からの再生画像データと、記録媒体30からのレンズ系駆動回路36でのレンズ制御情報と、混合回路37での混合結果のサブコードデータとが供給される。パノラマ合成部14は、パノラマ画像を合成し、合成したパノラマ画像をスイッチ32のPB端子と圧縮回路29とに供給する。
【0042】
撮像方向検出部13には、記録媒体30から複数の動き検出の混合結果情報が供給される。撮像方向検出部13は、供給された複数の動き検出の混合結果情報に基づいてパノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を検出する。撮像方向検出部13は、検出した撮影開始から撮影終了までの撮像方向の情報をパノラマ合成部14で合成される合成画像情報に関連付けて記録媒体16に供給する。
【0043】
時計部15は、撮影時間情報として撮影開始時及び撮影終了時の時刻情報を検出し、検出した時刻情報をパノラマ合成部14で合成されるパノラマ画像に関連付けて記録媒体16に供給する。
【0044】
スイッチ32では、撮影時に端子RECを選択することによって、撮像素子11で撮影中の画像をビューファインダ33に対して表示させる。また、スイッチ32は、撮像素子11で撮影中の画像をビデオ出力端子34に対して導出させ、外部のビデオモニタ等で表示させる。パノラマ画像の合成時及びパノラマ画像の再生時には、スイッチ32においてPB端子が選択され、再生画像データがビデオ出力端子34に対して導出されると同時に再生画像データがビューファインダ33に供給される。スイッチ32では、パノラマ画像の合成時及びパノラマ画像の再生時にPB端子を選択することによって、記録媒体30から供給される再生画像をビューファインダ33に表示させる。なお、パノラマ画像の再生時には、パノラマ合成部14での処理は行わないものとする。
【0045】
角加速度センサ39は、例えばジャイロセンサからなり、撮像方向の変化を検出するためのセンサである。角加速度センサ39には、例えば撮像装置1に搭載されている、いわゆる手ぶれ防止機能のためのセンサを用いることができる。このように角加速度センサ39の出力を用いることで、ユーザは、動き検出回路38で移動ベクトルが正しく得られない場合でも、撮影画像の相対的な位置を知ることができる。
【0046】
積分回路40は、角加速度センサ39からの出力を積分して動き情報を得る。この積分回路40では、角加速度センサ39による角加速度の検出結果を平均化することで、平均的な動きが生成される。すなわち、積分回路40は、細かい動きを抑えて動き情報を生成する。積分回路40は、生成した動き情報を混合回路37に出力する。
【0047】
キー入力部41には、撮像装置1の種々の設定を行うスイッチとともに、パノラマ撮影のON/OFFを切り替えるためのスイッチが設けられている。これら各種設定キーによる設定情報がキー入力部41からシステムコントローラ42に供給され、例えばRAMに記憶される。撮影者は、例えばキー入力部41に設けられたパノラマ撮影ON/OFFの設定スイッチをONとして、パノラマ撮影を開始する。そして、撮影者は、レンズ系10を被写体になぞるように向けて撮影することで、合成したパノラマ画像とともに撮影開始時刻及び撮影終了時刻と、撮影開始から撮影終了までの撮像方向に関する情報を記録することができる。
【0048】
システムコントローラ42は、CPU、RAM、ROM等で構成され、撮像装置1の動作を制御する。システムコントローラ42は、例えばキー入力部41から供給された各種設定キーによる設定情報に基づいて動作を制御する。また、システムコントローラ42は、図示しない所定の時間を設定するためのタイマを有する。また、システムコントローラ42は、画像間の移動ベクトルに基づいて画像間の移動方向が一定となるような指示をビューファインダ33の液晶画面内に表示させるようにしてもよい。この指示は、例えば図示しない発音装置を設け、音によって通知するようにしてもよい。
【0049】
続いて、図1に示す構成を用いた場合のパノラマ画像を合成する処理手順について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図4に示すシステムコントローラ42が、図1における各部の動作を制御するものとして以下説明する。
【0050】
撮像装置1は、ハードウェアの診断や初期化を行った後、ステップS1において、各種撮影パラメータ処理を行う。撮像装置1では、例えば図示しない露出計により識別された明るさに関する情報を取得し、絞り値やシャッタ速度等の撮影パラメータを計算する。
【0051】
ステップS2において、システムコントローラ42は、シャッタボタンが指圧されたかどうかを判断する。つまり、システムコントローラ42は、シャッタボタンの押圧入力操作に基づく操作信号が生成されたか否かに基づいて、撮影開始のタイミングを識別する。具体的に、システムコントローラ42が操作信号の生成を識別できた場合(真)には、ステップS3の処理に進む。また、システムコントローラ42が操作信号の生成を識別できなかった場合(偽)には、再びステップS1の処理を実行する。
【0052】
ステップS3において、記録媒体16は、時計部15から撮影開始時刻を取得する。
【0053】
ステップS4において、撮像装置1では複数回画像を撮影する。例えば、システムコントローラ42は、ステップS1で取得したパラメータを用いてレンズ系10の絞り系駆動部を調整するとともに撮像素子11で画像の撮像を実行する。撮像素子11では、撮像された被写体像が電気信号、例えば撮像信号C1に変換され、この撮像信号C1が画像用RAM12に供給される。
【0054】
ステップS5において、撮像方向検出部13は、移動ベクトルを検出する。具体的に、撮像方向検出部13は、画像用RAM12に格納された撮像信号C1と、その前の撮影で抽出された撮像信号からなる合成画像との相対変位を計算して撮影画像間の移動方向及び移動量、すなわち移動ベクトルを検出する。
【0055】
ステップS6において、パノラマ合成部14は、パノラマ合成処理を実行する。具体的にパノラマ合成部14は、ステップS5で検出された移動ベクトルに基づいて、ステップS4で画像用RAM12に格納された撮像信号C1を順次重ね合わせてパノラマ画像を合成する。
【0056】
ステップS7において、システムコントローラ42は、シャッタボタンが押し下げ中か否かを判断する。具体的には、システムコントローラ42は、キー入力部41における操作信号に基づいて撮影終了のタイミングを識別する。システムコントローラ42は、押圧操作が継続していると判断した場合(真)には、撮影を継続させるためにステップS4の処理に戻り、被写体の撮影を繰り返す。また、システムコントローラ42は、押圧操作が終了していると判断した場合(偽)には、撮影の終了動作を実行するためにステップS8の処理に進む。
【0057】
ステップS8において、記録媒体16は、時計部15から撮影終了時刻を取得する。
【0058】
ステップS9において、パノラマ合成部14は、ステップS6で得られたパノラマ画像に対してトリミング処理を実行する。
【0059】
ステップS10において、撮像方向検出部13は、ステップS5で得られた複数の移動ベクトルに基づいて撮影開始から撮影終了までの撮像方向を検出する。つまり、撮像方向検出部13は、複数の移動ベクトルに基づいて撮影開始から撮影終了までの1つの撮像方向を検出する。
【0060】
ステップS11において、記録媒体16は、ステップS9で得られたパノラマ画像と、ステップS10で得られた撮影開始から撮影終了までの撮像方向の情報と、ステップS3で得られた撮影開始時刻と、ステップS8で得られた撮影終了時刻とを関連付けて記録する。
【0061】
以上のように、本実施の形態に係る撮像装置1によれば、画面内に時間差を有するパノラマ合成画像に対して撮影開始から撮影終了までの撮像方向及び撮影時刻を関連付けて記録することができる。したがって、本実施の形態に係る撮像装置1によれば、複数のパノラマ画像をスクロール再生する際に、視聴者が閲覧したい画像を短時間で効率よく閲覧することが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態に係る撮像装置1によれば、撮影開始時点では撮影したくなかった物体や人が撮影終了直前に撮影されてしまった場合に、予期しない物体や人が記録された画像からスクロール再生がされてしまうことを防止することができる。つまり、撮像装置1は、視聴者が例えば記録媒体16に記録したパノラマ画像をTVモニタ等でスクロール再生する際に、閲覧したい画像を短時間で効率よく閲覧することを可能とする。
【0063】
また、本実施の形態に係る撮像装置1によれば、予期しない物体や人が記録されてまった画像データを効率よく削除したい場合に、撮像方向とは逆の方向からスクロール再生を開始することで、予期しない部分の画像データを効率よく削除することが可能となる。
【0064】
なお、図5に示すフローチャートでは、撮影しながらパノラマ画像を合成する、いわゆるリアルタイムで合成する処理例について説明したが、この例に限定されるものではない。例えば、パノラマ合成部14は、撮影開始から撮影終了までの画像データが記録媒体16に格納された後にパノラマ画像を合成するようにしてもよい。
【0065】
続いて、本実施の形態に係るパノラマ画像を再生する際のスクロール制御を行う再生制御装置の一例について説明する。図6に示すように、再生制御装置50は、記録媒体51と、圧縮解凍回路52と、RAM53と、切り出し回路54と、制御マイコン55と、表示用ドライバ56と、表示部57とを備える。
【0066】
記録媒体51は、ディジタル信号を記録可能な記録媒体であり、例えばハードディスク、光磁気ディスク、DVD、MD(商標)、半導体メモリ、磁気テープ等を用いることができる。記録媒体51には、例えばJPEG等のフォーマットで圧縮されたパノラマ画像とともに、パノラマ撮影に関する撮影情報がパノラマ画像に関連付けられて記録される。
【0067】
パノラマ撮影に関する撮影情報としては、例えば、パノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向、特徴検出により検出された被写体の座標情報、パノラマ撮影の撮影時間情報等が記録される。パノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向としては、例えば、上下左右の方向を示す4値化された情報が記録媒体51に記録される。特徴検出により検出された被写体の座標情報としては、例えば、顔検出により検出された被写体の顔画像に基づく顔座標、具体的には、被写体の両目の位置、鼻の位置、口の位置や両目及び鼻のように複数の器官の位置の情報が記録媒体51に記録される。なお、被写体は、目、鼻、口など顔の特徴となる情報を有する被写体であれば人物に限定されず、例えば、犬や猫などの動物であってもよい。撮影時間情報としては、例えば、パノラマ撮影の撮影開始時刻や撮影終了時刻が記録媒体51に記録される。これらの撮影情報は、記録媒体51においてEXIF規格のユーザ領域に記録される。記録媒体51は、パノラマ画像を圧縮解凍回路52に供給し、パノラマ画像に関連付けられた撮影情報を制御マイコン55に出力する。
【0068】
圧縮解凍回路52には、記録媒体51から、例えば、JPEG等のフォーマットで圧縮されたパノラマ合成画像が供給される。圧縮解凍回路52は、記録媒体51から供給されたパノラマ合成画像に対して圧縮解凍処理を行い、圧縮解凍処理により解凍したパノラマ画像のデータをRAM53に供給する。
【0069】
RAM53には、圧縮解凍回路52から圧縮解凍処理後のパノラマ画像のデータが供給される。RAM53は、制御マイコン55からの指示に基づいて、圧縮解凍回路52から供給されたパノラマ画像のデータの一部を切り出し回路54に供給する。
【0070】
切り出し回路54は、RAM53から供給されたパノラマ画像のデータに対して所望のサイズに拡大又は縮小する処理を行い、表示部57に表示するための画像データとする。切り出し回路54は、生成した画像データを表示用ドライバ56に供給する。
【0071】
制御マイコン55は、記録媒体51、圧縮解凍回路52、RAM53、切り出し回路54、表示用ドライバ56、及び表示部57に接続されており、これらの動作を制御する。制御マイコン55には、記録媒体51に記録されたパノラマ画像データに関連付けられた撮影情報が供給される。そして、制御マイコン55は、パノラマ画像データの切り出し領域と、拡大又は縮小する倍率に関する情報とを切り出し回路54に供給する。
【0072】
例えば、制御マイコン55は、切り出し領域に関する情報として、左右又は上下に切り出し座標をシフトさせながら表示部57にスクロール表示するための指示値を切り出し回路54に供給する。このように、制御マイコン55は、後に詳述するように、パノラマ画像に関連付けられた撮影開始から撮影終了までの撮像方向や被写体の座標情報に基づいて、パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定する。また、制御マイコン55は、パノラマ画像に関連付けられた撮像方向や被写体の座標情報に基づいて、パノラマ画像をスクロール再生する際のスクロール開始点を決定する。さらに、制御マイコン55は、被写体の座標情報に基づいて、パノラマ画像を再生する際のスクロール速度を決定する。
【0073】
すなわち、再生制御装置50は、パノラマ画像に関連付けられた撮影情報に基づいてパノラマ画像を再生する際のスクロール方向、スクロール開始点、スクロール速度を決定する。したがって、再生制御装置50は、複数のパノラマ画像を連続してスクロール再生する際に、視聴者が効率よくパノラマ画像を鑑賞することを可能とする。
【0074】
なお、制御マイコン55は、被写体の座標情報がパノラマ画像に関連付けて記録媒体51に記録されていない場合には、この座標情報を検出する処理を行う。例えば、制御マイコン55は、パノラマ画像から顔画像における基準位置として両目の位置を検出し、検出した両目の位置に基づいて正規化を行い、正規化された顔画像の特徴量として輝度を抽出する。そして、制御マイコン55は、抽出した顔画像の各部における輝度の値と予め記録されている判定用の情報とに基づいて種々の判定処理を行う。例えば、制御マイコン55は、大人/子供の判定処理、笑顔/非笑顔の判定処理、登録/非登録の顔であるかの判定処理等を行う。なお、上述した例では、基準位置として両目の位置を用いることとしたが、顔に含まれる両目以外の他の器官を用いるようにしてもよい。例えば、顔に含まれる鼻の位置や、両目及び鼻のように複数の器官の位置を用いることができる。
【0075】
表示用ドライバ56には、表示部57に表示するパノラマ画像のデータの一部が切り出し回路54から供給される。表示用ドライバ56は、切り出し回路54から供給された画像データを表示部57に供給する。
【0076】
表示部57は、例えばLCDで構成され、表示用ドライバ56から供給された画像データを表示する。
【0077】
続いて、図6に示す再生制御装置50による再生制御方法の一例について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0078】
再生制御装置50においては、ハードウェアの診断や初期化を行った後に、ステップS20では、制御マイコン55は、再生するパノラマ画像を選択する。
【0079】
ステップS21では、制御マイコン55は、図示しない操作部における再生ボタンが押圧されたか否かを判定する。すなわち、制御マイコン55は、再生ボタンの押圧入力操作に基づく操作信号が生成されたか否かに基づいて、再生開始タイミングを識別する。制御マイコン55は、操作信号の生成を識別することができた場合(ステップS21:真)には、ステップS22の処理に移行する。また、制御マイコン55は、操作信号の生成を識別することができなかった場合(ステップS21:偽)には、再びステップS20の処理を実行する。
【0080】
ステップS22では、制御マイコン55は、選択されたパノラマ画像の読み込み動作を実行する。具体的には、制御マイコン55は、記録媒体51に記録されている圧縮されたパノラマ画像の中から、ステップS20で選択されたパノラマ画像を圧縮解凍回路52により解凍する。そして、制御マイコン55は、圧縮解凍回路52により解凍したパノラマ画像をRAM53に保存する。
【0081】
ステップS23では、制御マイコン55は、パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を選択する。具体的に、制御マイコン55は、ステップS22でRAM53に対して読み込み動作を行ったパノラマ画像に関連付けられた撮像方向に関する情報や被写体の座標情報に基づいて、パノラマ画像のスクロール方向を決定する。
【0082】
スクロール方向を決定する方法の一例として、図8乃至図10に示すように、パノラマ画像をその長手方向に再生する場合について説明する。
【0083】
まず、パノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向がパノラマ画像に関連付けられている場合には、その撮像方向と同じ方向を再生する際のスクロール方向とする。例えば、制御マイコン55は、図8に示すパノラマ画像60においては、撮影方向61の矢印で示すように、撮影開始が左方であり撮影終了が右方であることを示す情報が関連付けられているため、撮影方向61と同一方向を再生方向62として決定する。すなわち、制御マイコン55は、撮影方向61と同一方向をスクロール方向として決定する。
【0084】
また、被写体の座標情報として顔座標がパノラマ画像に関連付けられている場合や、顔座標が予め検出されている場合には、顔座標が左右の端に近い方の端から遠い方の端への方向をスクロール方向とする。すなわち、制御マイコン55は、被写体の顔座標の位置に近いパノラマ画像の長手方向の一端から他端へとパノラマ画像をスクロール再生させる。例えば、制御マイコン55は、図9に示すパノラマ画像60においては、顔座標64の位置から近い右端から左端への方向を再生方向65として決定する。
【0085】
さらに、顔座標及び撮影開始から撮影終了までの撮像方向がパノラマ画像に関連付けられている場合には、顔座標に基づいてスクロール再生の方向を決定する。すなわち、制御マイコン55は、撮像方向に関する情報よりも顔座標に関する情報を優先させて、スクロール再生の方向を決定する。例えば、制御マイコン55は、図10に示すパノラマ画像60においては、撮影方向67及び顔座標68が関連付けられているため、顔座標68の位置に近いパノラマ画像60の一端から他端への方向を再生方向69とする。すなわち、制御マイコン55は、撮影方向67ではなく顔座標68を優先してスクロール方向を決定する。
【0086】
さらにまた、制御マイコン55は、複数の顔座標がパノラマ画像に関連付けられており、顔座標に関する重み情報が記録されている場合には、複数の顔座標のうち最も重みの高い顔座標に基づいてスクロール方向を決定する。例えば、制御マイコン55は、最も重みの高い顔座標、すなわち、優先させる顔座標の中心位置に近いパノラマ画像の長手方向の一端から他端への方向を再生方向とする。顔座標の優先基準としては、例えば、大人と子供との場合は子供、笑顔と非笑顔との場合には笑顔、予め登録されていない顔と登録されている顔との場合には、登録されている顔を優先させることができる。なお、制御マイコン55は、例えば、複数存在する顔座標の中心から遠い近いパノラマ画像の一端から他端への方向をスクロール方向としてもよい。
【0087】
また、制御マイコン55は、パノラマ撮影の撮影時間情報がパノラマ画像60に関連付けられている場合には、撮像方向及び撮影時間情報に基づいてスクロール方向を決定するようにしてもよい。例えば、制御マイコン55は、撮影時刻の早い画像から遅い画像の方向をスクロール方向として決定する。
【0088】
なお、制御マイコン55は、設定に応じて、例えば、図8の撮影方向61、図9の再生方向65、図10の再生方向69とは反対方向を再生方向として決定してもよく、また、撮影時刻の遅い画像から早い画像の方向をスクロール方向として決定してもよい。
【0089】
ステップS24では、制御マイコン55は、パノラマ画像の全体の中から、再生の初期に表示するエリアの切り出しを行うための初期表示エリアの計算を行う。例えば、図11に示すように、制御マイコン55は、ステップS22で読み込み動作を行ったパノラマ画像60に関連付けられた顔座標72やパノラマ撮影時の顔検出により得られる顔座標に基づいてスクロール開始点、すなわち、表示エリア71を決定する。この表示エリア71の画像が、表示画像73として表示部57に表示される。
【0090】
具体的に、図8に示すパノラマ画像60においては、左方から右方に撮影されたという撮影方向61が関連付けられているため、制御マイコン55は、スクロール再生の開始点を左端の画とする。すなわち、制御マイコン55は、再生開始画63をスクロール再生の初期表示エリアとして決定する。なお、制御マイコン55は、設定に応じて撮影方向61の終端のエリアを再生開始画としてもよい。
【0091】
また、制御マイコン55は、顔座標がパノラマ画像に関連付けられている場合や、顔座標を予め検出している場合には、顔座標の位置から近いパノラマ画像の長手方向の一端をスクロール開始点としてもよい。例えば、制御マイコン55は、図9に示すパノラマ画像においては、顔座標64の位置が長手方向の右端に近いため、この右端を再生開始画66として決定する。なお、制御マイコン55は、設定に応じて顔座標64の位置が左右の端に遠い方の一端を再生開始画66として決定するようにしてもよい。
【0092】
さらに、制御マイコン55は、顔座標及び撮像方向の情報がパノラマ画像に関連付けられている場合には、顔座標に基づいてスクロール開始点を決定する。すなわち、制御マイコン55は、顔座標情報を撮像方向よりも優先させて再生開始画を決定する。例えば、図10に示すパノラマ画像60においては、撮影方向67及び顔座標68が存在するため、顔座標68の位置に近いパノラマ画像60の長手方向の一端を再生開始画70とする。なお、制御マイコン55は、設定に応じて顔座標68の位置から遠い方の一端を再生開始画としてもよい。
【0093】
さらにまた、制御マイコン55は、複数の顔座標がパノラマ画像に関連付けられており、顔座標に関する重み情報が記録されている場合には、複数の顔座標のうち最も重みの高い顔座標に基づいてスクロール開始点を決定する。例えば、制御マイコン55は、最も重みの高い顔座標、すなわち、優先させる顔座標に近いパノラマ画像の長手方向の一端をスクロール開始点とする。顔座標の優先基準としては、例えば上述したように、大人と子供との場合は子供、笑顔と非笑顔との場合には笑顔、予め登録されていない顔と登録されている顔との場合には、登録されている顔を優先させる。なお、制御マイコン55は、例えば、複数存在する顔座標の中心から遠いパノラマ画像の長手方向の一端をスクロール開始点としてもよい。
【0094】
ステップS25では、制御マイコン55は、再生停止ボタンが押圧されたか否かを判定することで、スクロール再生の再生停止タイミングを識別する。すなわち、制御マイコン55は、操作信号の生成を識別することができた場合(ステップS25:真)には、パノラマ再生を停止して、処理を終了する。また、制御マイコン55は、操作信号の生成を識別することができなかった場合(ステップS25:偽)には、ステップS7の処理に移行する。
【0095】
ステップS26では、制御マイコン55は、操作部における次の画像へスキップさせるためのボタンが押圧されたか否かを判定することで、次のパノラマ画像の表示にスキップするタイミングを識別する。すなわち、制御マイコン55は、操作信号の生成を識別することができた場合(ステップS26:真)には、ステップS27の動作に移行する。制御マイコン55は、現在表示中のパノラマ画像の再生を停止して、次の画像の読み込み動作に移行する。また、制御マイコン55は、操作信号の生成を識別することができなかった場合(ステップS26:偽)には、ステップS28の動作に移行する。つまり、制御マイコン55は、現在選択中のパノラマ画像の表示へ移行する。
【0096】
ステップS27では、制御マイコン55は、現在選択中のパノラマ画像の次のパノラマ画像の読み出し操作を行う。次のパノラマ画像とは、パノラマ画像に関連付けられたファイル番号がある場合、現在選択中のパノラマ画像のファイル番号よりも1つファイル番号が大きいパノラマ画像等を意味する。ファイル番号よりも1つファイル番号が大きいファイル番号のパノラマ画像が存在しない場合には、2つファイル番号が大きいパノラマ画像を意味する。また、1つファイル番号が大きいパノラマ画像及び2つファイル番号が大きいパノラマ画像が存在しない場合には、3つ以上の番号についても同様な選択を行うものとする。このような選択動作を行う中で、選択できるファイル番号の最大番号になった場合には、次の画像の候補として最も小さいファイル番号のパノラマ画像を選択する。ステップS27では、制御マイコン55は、ステップS22と同様に、記録媒体51に保存されている圧縮されたパノラマ画像から、前回選択されていた次のパノラマ画像の解凍を圧縮解凍回路52で行う。また、制御マイコン55は、圧縮解凍回路52により解凍されたパノラマ画像をRAM53に保存する。
【0097】
ステップS28では、パノラマ画像の切り出し画像を表示する。制御マイコン55は、切り出しエリアのパノラマ画像の一部をRAM53から切り出し回路54に読み込ませる。そして、切り出し回路54は、表示部57において最適なサイズにパノラマ画像を拡大又は縮小させる。表示部57において最適なサイズとは、例えば、ハイビジョン再生を行う場合には、1920×1080といった定型フォーマットサイズを意味する。切り出し回路54で定型サイズ化されたパノラマ画像は、表示用ドライバ56でD/A変換等を行い、表示部57にパノラマ画像の一部を表示する。なお、ステップS28では、1枚目の表示においては、ステップS24で計算されたパノラマ切り出しエリアを元にするが、2枚目以降の表示においては、ステップS29で計算されたエリアを元にする。
【0098】
ステップS29では、切りだし画像をシフトさせる。すなわち、制御マイコン55は、切り出し画像のシフト量やシフトのタイミングを制御することで、現在選択されている切り出しエリアに対して、ステップS23で選択された上下左右のいずれかの方向に切り出し画像をシフトさせる。
【0099】
制御マイコン55は、選択中の座標に顔座標が含まれる場合には、通常よりも表示エリアのシフト量を少なくする。例えば、図12に示すように、選択中の座標に顔座標74が含まれる場合には、制御マイコン55は、顔座標74が表示エリア75に含まれる間のシフトのタイミングを遅くして、ゆっくりとしたスクロール表示を行うようにしてもよい。このように、制御マイコン55は、視聴者が閲覧したい画像が表示されているときのスクロール速度を遅くすることで、効率の良い閲覧を可能とする。
【0100】
また、制御マイコン55は、スクロール速度の制御方法として、種々の方法を適用することが可能である。例えば、制御マイコン55は、表示部57に顔座標が表示されている間、画面の中心まで段階的にスクロール速度を遅くし、画面の中心を通過すると段階的にスクロール速度を速くするようにしてもよい。さらに、制御マイコン55は、表示部57に顔座標が表示されている間、画面の中心まで段階的にスクロール速度を遅くするとともに顔座標の部分を段階的に拡大表示させ、かつ、画面の中心を通過すると段階的にスクロール速度を速くするとともに顔座標の部分を段階的に縮小表示させるようにしてもよい。また、制御マイコン55は、表示部57に顔座標が表示されている間、画面の中心まで段階的にスクロール速度を速くするとともに顔座標の部分を段階的に拡大表示させ、かつ、画面の中心を通過すると、段階的にスクロール速度を遅くするとともに顔座標の部分を段階的に縮小表示させるようにしてもよい。
【0101】
続いて、ステップS30では、パノラマ画像の端の検出を行う。具体的には、制御マイコン55は、ステップS29で切り出し座標のシフトを行った後、表示エリアがパノラマ画像の上下左右の端まで到達したかどうかの検出を行う。例えば、制御マイコン55は、図13に示すパノラマ画像60において、表示エリア76が端まで到達している場合(ステップS30:真)には、ステップS27に進み、次のパノラマ画像の読み込み動作に移行する。また、制御マイコン55は、表示エリアが端まで到達していない場合(ステップS30:偽)には、ステップS25の処理、すなわち、再生停止ボタンの押圧検出動作に移行する。
【0102】
このように、再生制御装置50によれば、複数のパノラマ画像を連続スクロール再生する際に、ユーザが閲覧したい画像を短時間で効率よく閲覧することが可能となる。
【0103】
具体的には、撮影開始時点でユーザが図3(a)に示すようなパノラマ画像25を撮影したい場合に、図3(b)に示すように撮影終了直前に撮影したくなかった予期しない物体27が撮影されてしまったとする。この場合、再生制御装置50によれば、スクロール再生の方向やスクロール開始点を適宜変えることで、パノラマ画像26が予期しない物体27からスクロール再生されてしまうのを防止することができる。
【0104】
また、再生制御装置50によれば、予期しない物体や人が記録されてしまった画像を効率よく削除したい場合には、撮像方向とは逆方向からスクロール再生を開始することで、効率良く失敗画像を削除することが可能となる。このように、失敗画像を削除する際には、パノラマ画像全体を削除するようにしてもよいし、ユーザにより指定された部分の画像を削除することも可能である。
【0105】
また、再生制御装置50によれば、顔等のユーザがより注視したいと思われる画像を再生する際のスクロール速度を遅くすることで、ユーザにとってストレスの少ない閲覧が可能となる。
【0106】
また、本実施の形態において説明した一連の処理は、ハードウェア又はソフトウェア或いは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0107】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROMに予め記録しておくことができる。あるいは、プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM,MOディスク,DVD、磁気ディスク、半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に、一時的又は永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
【0108】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。また、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【符号の説明】
【0109】
10 レンズ系、11 撮像素子、12 画像用RAM、13 撮像方向検出部、14 パノラマ合成部、15 時計部、16 記録媒体、28 光軸可変素子、29 圧縮回路、30 記録媒体、31 伸長回路、32 スイッチ、33 ビューファインダ、34 ビデオ出力端子、35 ドライバ、36 レンズ系駆動回路、37 混合回路、38 動き検出回路、39 角加速度センサ、40 積分回路、41 キー入力部、42 システムコントローラ、50 再生制御装置、51 記録媒体、52 圧縮解凍回路、53 RAM、54 切り出し回路、55 制御マイコン、56 表示用ドライバ、57 表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パノラマ画像を連続して鑑賞するのに適した再生制御装置及び再生制御方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来広く用いられている電子スチルカメラは、被写体を撮像することでレンズを通過した光をCCD(Charge Coupled Device)等の個体撮像素子により画像信号に変換し、この画像信号を記録媒体に記録し、記録した画像信号を再生することができる。また、多くの電子スチルカメラは、撮像した静止画像を表示するモニタを備え、記録した静止画像のうち特定のものを選択して表示する。このような電子スチルカメラは、1回の撮影での撮影範囲がレンズの画角によって制限された狭い範囲のものとなり、レンズの画角を超えた広範囲の撮影ができないため、近年パノラマ状の画像を撮影する種々のカメラシステムが提案されている。
【0003】
例えば、このカメラシステムは、大別すると広い視野を複数レンズで一度に撮影する多眼式と、単眼レンズを用いて撮像方向を順にシフトさせつつ個々の画像に分けて連続撮影する単眼式とに分類される。多眼式のカメラシステムは、通常のカメラとほぼ同様の操作でパノラマ状の全体画像を生成することができるという利点があるが、システム全体が高価となる欠点がある。
【0004】
これに対して単眼式のカメラシステムは、比較的安価にパノラマ画像を撮影することができ、撮像方向をシフトさせつつ撮影する方法としていくつかの方法が提案されている。例えば、手で撮像系を一定の速度でシフト又は回転させる方法(例えば、特許文献1参照。)や、手で撮像系をシフト又は回転させる動作と静止とを繰り返す方法(例えば、特許文献2参照。)や、ステッピングモータ等を用いて撮像系のシフトや回転、静止をする方法(例えば、特許文献3参照)がある。
【0005】
また、以上のような撮影方法で撮影されたパノラマ画像の鑑賞方法として、横長のプリント方法(例えば、特許文献4参照)やテレビモニタ等によるスクロール再生(例えば、特許文献5参照)が提案されている。例えば、テレビモニタにパノラマ画像を表示させる場合には、パノラマ画像の全体を表示させようとすると、画面内の一部領域が横長に小さく表示されるため、細部を確認するのが困難である。また、複数枚のパノラマ画像を自動的に切り換えて表示させたい場合には、各パノラマ画像が横長に小さく表示されるため、細部を確認するのが困難である。そこで、複数枚のパノラマ画像を連続してテレビモニタで閲覧する際等に各パノラマ画像をスクロール再生させることで、パノラマ画像全体を細部に亘って鑑賞することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−88754号公報
【特許文献2】特開平11−88811号公報
【特許文献3】特開2005−333396号公報
【特許文献4】特開平7−212693号公報
【特許文献5】特開2002−77800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1乃至特許文献3に記載された方法では、撮影時刻の異なる画像を合成するため、パノラマ合成画の画面内に時間差が生じてしまう。したがって、1つの撮影時刻をパノラマ合成画に関連付けて記録しても、正確にパノラマ撮影に要した時刻を記録したことにならず、パノラマ合成画内における撮影時刻の推移及び方向がわからないという問題が生じる。
【0008】
また、従来の方法では、スクロール再生の決定が一意の方法のみであるため、効率良くパノラマ画像を連続して鑑賞するのには適していない。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、効率よくパノラマ画像を連続して鑑賞するのに適した再生制御装置及び再生制御方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係る再生制御装置は、撮影開始から撮影終了までに複数回撮影した複数の画像データ間の移動量に基づき合成されるパノラマ画像に関連付けて記録された上記パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を読み出す読出し部と、上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向に基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定するスクロール方向決定部とを備える。
【0011】
また、本発明に係る再生制御方法及びプログラムは、撮影開始から撮影終了までに複数回撮影した複数の画像データ間の移動量に基づき合成されるパノラマ画像に関連付けて記録された、上記パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を読み出す読み出し工程と、上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向に基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定するスクロール方向決定工程とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のパノラマ画像をスクロール再生する際に、視聴者が閲覧したい画像を短時間で効率よく閲覧することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態に係る撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】トリミング処理の一例を説明するための模式図である。
【図3】(a)撮影開始時の被写体、(b)撮影終了直前の被写体をそれぞれ再生する際の撮像方向を説明するための模式図である。
【図4】本実施の形態に係る撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】パノラマ画像を合成する処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る再生制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】パノラマ画像のスクロール方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図8】パノラマ画像のスクロール方法の一例を説明するための模式図である。
【図9】パノラマ画像のスクロール方法の一例を説明するための模式図である。
【図10】パノラマ画像のスクロール方法の一例を説明するための模式図である。
【図11】パノラマ画像のスクロール方法の一例を説明するための模式図である。
【図12】パノラマ画像をスクロールする速度の一例を説明するための模式図である。
【図13】パノラマ画像のスクロール方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明を適用した具体的な実施形態について説明する。図1に示すように、撮像装置1は、レンズ系10、撮像素子11、画像用RAM12、撮像方向検出部13、パノラマ合成部14、時計部15及び記録媒体16を備える。また、撮像装置1は、図示しないが、例えばステッピングモータ等のように、撮像部を旋回させるための駆動源を備えている。
【0015】
撮像素子11は、例えばCCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが用いられる。撮像素子11では、レンズ系10を介して照射された被写体画像が電気信号に変換される。また、撮像素子11は、図示しない所定の信号処理回路を有し、電気信号に変換した被写体画像をさらにディジタル画像データに変換して画像用RAM12に出力する。
【0016】
画像用RAM12には、撮像素子11から出力された画像データが供給される。画像用RAM12は、複数毎の画像データを格納し、この格納した画像データを撮像方向検出部13及びパノラマ合成部14に供給する。
【0017】
撮像方向検出部13には、画像用RAM12から画像データが供給される。撮像方向検出部13は、パノラマ合成処理を行うためのデータとして、連続する複数の画像データ間の撮像方向と移動量、すなわち、個々の画像データ間の移動ベクトルを検出する。そして、撮像方向検出部13は、検出した移動ベクトルをパノラマ合成部14に供給する。撮像方向検出部13は、例えば時系列的に隣接するフィールド間の画像データを比較することで移動ベクトルを検出する。
【0018】
撮像方向検出部13は、画像データ間の移動量の大きさを検出する際に、撮影開始から撮影終了までの撮像方向を1つの撮像方向として検出するために、移動量を平均化する。また、撮像方向検出部13は、画像データ間の移動量を平均化する際に、移動量が所定量以上のものを除外してから移動量を平均化するようにしてもよい。また、撮像方向検出部13は、画像データ間の移動量を画像データ毎に累積する。撮像方向検出部13は、画像データ間の移動量を累積する際に、移動量が所定の閾値以上のものを除外するようにしてもよい。
【0019】
撮像方向検出部13は、検出した移動ベクトルに基づいてパノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を検出する。そして、撮像方向検出部13は、検出した撮像方向を、いくつかの方向にコード化する。すなわち、撮像方向検出部13は、撮像方向をいくつかの方向に方向分けする。例えば、撮像方向検出部13は、検出した撮像方向を上下左右の4値にコード化する。このように、撮像方向検出部13は、検出した撮像方向をコード化することで、記録媒体16に供給するデータ量を削減することが可能となる。
【0020】
そして、撮像方向検出部13は、パノラマ合成部14で合成されるパノラマ画像に関連付けて、コード化したパノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を1つの撮像方向として記録媒体16に供給する。
【0021】
このように、撮像方向検出部13は、パノラマ画像の合成用途及び撮像方向の検出用途として用いることができる。したがって、撮像装置1においては、パノラマ画像の合成とパノラマ画像に関連付けられた撮像方向と撮影時間情報を記録する装置を安価で作成することが可能となる。
【0022】
パノラマ合成部14には、画像用RAM12から画像データが供給される。また、パノラマ合成部14には、撮像方向検出部13からパノラマ合成処理を行うためのデータとして画像データ間の移動ベクトルが供給される。パノラマ合成部14は、撮像方向検出部13から供給された移動ベクトルと画像用RAM12から供給された複数の画像データに基づいてパノラマ画像を合成する。
【0023】
例えば、パノラマ合成部14は、撮像素子の撮像面に得られた画像の一部から所定幅の読み出し範囲にある部分画像をお互いの重複範囲が互いに重ね合うように接合して合成画像を生成する(例えば、特許文献3参照)。パノラマ合成部14は、合成したパノラマ画像を記録媒体16に供給する。
【0024】
また、パノラマ合成部14は、複数枚の画像データからなるパノラマ画像に対してトリミング処理を行う。このトリミング処理とは、画像データの一部分の画像領域、例えば中央付近の領域画像を切り出す抽出処理である。パノラマ合成部14は、例えば図2に示す画像データ20、画像データ21、画像データ22に対してトリミング処理を行うことで、画像データの必要部分を抽出して良好なパノラマ画像を合成する。
【0025】
パノラマ合成部14は、例えば図2(a)の領域23に示すように、矩形状のパノラマ画像として抜き出すようにトリミング処理を施す。また、パノラマ合成部14は、連続する画像データに傾きがある場合、つまり、ユーザが撮像装置1を水平に保たずに、撮像装置1を傾けて撮影をした場合には、図2(b)の領域24に示すように、斜め方向にトリミング処理を施してもよい。
【0026】
時計部15は、撮影開始から撮影終了までの撮影時間情報を検出する計時手段を構成する。時計部15は、例えばパノラマ撮影の撮影開始時刻及び撮影終了時刻を検出する。そして、時計部15は、検出した撮影開始時刻及び撮影終了時刻をパノラマ合成部14で合成されるパノラマ画像に関連付けて記録媒体16に供給する。なお、時計部15では、撮影時間情報として、例えば撮影画像毎の時刻をそれぞれ検出してもよいし、ある撮影時刻と撮影時刻との間の長さを検出するようにしてもよい。
【0027】
記録媒体16は、ディジタル信号を記録可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスク、光磁気ディスク、DVD、MD(商標)、半導体メモリ、磁気テープを用いることができる。記録媒体16では、パノラマ合成部14で合成されたパノラマ画像と、撮像方向検出部13で検出されたパノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向と、時計部15で検出した撮影開始時刻及び撮影終了時刻が供給される。そして、記録媒体16は、1つの撮像方向として撮影開始から撮影終了までの撮像方向と、パノラマ撮影の撮影開始時刻及び撮影終了時刻とをパノラマ画像に関連付けて記録する。つまり、記録媒体16は、撮像方向として、合成したパノラマ画像に対して1つの撮像方向を記録する。
【0028】
このように、記録媒体16では、撮影開始時刻及び撮影終了時刻とともに撮影開始から撮影終了までの1つの撮像方向をパノラマ画像に関連付けて記録することで、パノラマ撮影の撮影時刻を正確に知ることができる。つまり、撮像装置1では、パノラマ撮影の撮像方向を撮影開始時刻及び撮影終了時刻とともに記録媒体16に記録することで、より正確な時刻を知ることが可能となる。したがって、撮像装置1は、視聴者が例えば図3(b)に示すように、画面内に時間差を有するパノラマ画像26をTVモニタ等でスクロール再生する際に、閲覧したい画像を短時間で効率よく閲覧することを可能とする。
【0029】
つまり、撮像装置1によれば、パノラマ撮影の撮影開始時刻、撮影終了時刻、及び撮像方向に基づいてスクロール再生の方向や開始点を適宜変えることで、視聴者が閲覧したい画像を短時間で効率よく閲覧することが可能となる。例えば、撮影開始時点でユーザが図3(a)に示すようなパノラマ画像25を撮影したい場合に、図3(b)に示すように撮影終了直前に撮影したくなかった予期しない物体27が撮影されてしまったとする。この場合、撮像装置1によれば、スクロール再生の方向や開始点を適宜変えることで、パノラマ画像26が予期しない物体27からスクロール再生されてしまうことを防止することができる。つまり、撮像装置1では、パノラマ画像26を容易に図3(b)の矢印で示す撮像方向に沿ってスクロール再生することが可能となる。
【0030】
また、記録媒体16では、パノラマ撮影の撮影開始時刻、撮影終了時刻、撮像方向に関する情報がEXIF(Exchangeable Image File Format)規格のユーザ領域に記録される。EXIF規格においては、付帯情報として撮影条件以外にユーザ領域が設けられており、ユーザ又は機器で独自定義の情報を記録することができる。なお、撮像装置1においては、ユーザ領域以外の領域、すなわち未定義領域に新たな定義を与える形でパノラマ撮影の撮影開始時刻、撮影終了時刻、撮像方向に関する情報を記録するようにしてもよい。
【0031】
また、記録媒体16には、例えば時計部15で検出した撮影開始時刻ととともに撮影時間を記録して、撮影終了時刻を記録しないようにしてもよい。さらに、記録媒体16には、撮影画像毎の時刻又は撮影画像間の平均時間をパノラマ合成部14でのパノラマ合成に用いられた画像データの撮影枚数とともに記録してもよい。さらにまた、記録媒体16には、パノラマ合成部14でのパノラマ画像の合成に用いられた画像データの撮影時刻を全て記録するようにしてもよい。また、記録媒体16には、撮像装置1が静止した状態で撮影された画像データを記録するようにしてもよい。また、記録媒体16には、画像データに含まれる被写体の特徴検出により被写体の座標情報を検出し、この座標情報をパノラマ画像に関連付けて記録するようにしてもよい。例えば、記録媒体16には、パノラマ撮影の撮影開始時刻、撮影終了時刻、撮像方向に関する情報とともに、図示しない顔検出部により検出した被写体の顔画像に基づく顔座標をパノラマ画像に関連付けて記録する。
【0032】
続いて、撮像装置1の他の実施形態について図4を用いて説明する。なお、図1に示す構成と同一のものについては、同一の符号を付して説明するものとする。
【0033】
光軸可変素子28は、例えばシフトレンズ方式又はミラーブロック方式のものが用いられ、ドライバ35によって制御される。レンズ系10は、アイリス、フォーカス、ズーム等の光学系の調節を行う。レンズ系10で行われる調節は、レンズ系駆動回路36によってそれぞれ制御される。例えば、パノラマ画像の撮影時には、少なくとも撮像素子11の電子シャッタが開いている間、撮像装置1の移動を打ち消す方向に光軸が変化する。また、電子シャッタが閉じている間、撮像装置1の動きの略中心付近に光軸が戻るように制御される。これらの制御は、後に詳述するシステムコントローラ42の制御に基づいて自動で行われる。なお、光学系の調節は、自動で行うことも可能である。撮像装置1では、このような制御に基づいて、レンズ系駆動回路36から制御情報が出力され、システムコントローラ42及び記録媒体30に供給される。制御情報としては、例えばアイリス、フォーカス、ズームのそれぞれの値がレンズ系駆動回路36から出力される。
【0034】
撮像素子11には、光軸可変素子28、レンズ系10を介して被写体画像が照射される。撮像素子11としては、例えばCCDやCMOSセンサが用いられる。撮像素子11は、照射された被写体画像を電気信号に変換する。撮像素子11は、図示しない所定の信号処理回路を有し、変換した電気信号をさらにディジタル画像データに変換してスイッチ32のREC端子及び圧縮回路29に出力する。
【0035】
圧縮回路29には、撮像素子11からの出力が供給される。また、圧縮回路29には、動き検出回路38が結合される。さらに、圧縮回路29には、パノラマ合成部14から合成画像情報が供給される。圧縮回路29は、撮像素子11から出力されたディジタル画像データやパノラマ合成部14から出力された合成画像情報に対して圧縮処理を施して圧縮画像データを生成し、生成した圧縮画像データを記録媒体30に供給する。
【0036】
動き検出回路38は、時系列的に隣接するフィールド間の画像データを比較することで移動ベクトルを求め、この求めた移動ベクトルに基づいて画像データの動き検出を行う。動き検出回路38からの出力は、圧縮回路29及び混合回路37に供給される。撮像装置1においては、動き検出回路38をパノラマ画像の合成用途及び撮像方向の検出用途として用いることができるため、撮像方向を検出するための回路、すなわち撮像方向検出部13を小規模かつ効率的に作成することが可能となる。
【0037】
混合回路37は、後に詳述する積分回路40から供給される動き情報と、動き検出回路38からの出力とを混合し、この混合結果をドライバ35及び記録媒体30に供給する。
【0038】
記録媒体30は、ディジタル信号を記録可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスク、光磁気ディスク、DVD、MD(商標)、半導体メモリ、磁気テープを用いることができる。記録媒体30には、圧縮回路29からの圧縮画像データと、レンズ系駆動回路36からの制御情報と、混合回路37からの混合結果とが供給される。また、記録媒体30には、撮像方向検出部13からの撮像方向情報と、時計部15からの時刻情報が供給される。
【0039】
記録媒体30は、圧縮画像データ毎に供給された制御情報と混合結果とをサブコードデータとして記録する。記録媒体30で読み出された圧縮画像データ及びサブコードデータは、伸長回路31に供給される。なお、記録媒体30には、図1で示す画像用RAM12及び記録媒体16が含まれる構成としてもよい。
【0040】
伸長回路31には、記録媒体30で読み出された圧縮画像データ及びサブコードデータが供給される。伸長回路31では、記録媒体30での記録時に圧縮画像データに対して施された圧縮符号化が解かれる。伸長回路31は、圧縮符号化が解かれた画像データを再生画像データとしてパノラマ合成部14に供給する。
【0041】
パノラマ合成部14には、伸長回路31からの再生画像データと、記録媒体30からのレンズ系駆動回路36でのレンズ制御情報と、混合回路37での混合結果のサブコードデータとが供給される。パノラマ合成部14は、パノラマ画像を合成し、合成したパノラマ画像をスイッチ32のPB端子と圧縮回路29とに供給する。
【0042】
撮像方向検出部13には、記録媒体30から複数の動き検出の混合結果情報が供給される。撮像方向検出部13は、供給された複数の動き検出の混合結果情報に基づいてパノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を検出する。撮像方向検出部13は、検出した撮影開始から撮影終了までの撮像方向の情報をパノラマ合成部14で合成される合成画像情報に関連付けて記録媒体16に供給する。
【0043】
時計部15は、撮影時間情報として撮影開始時及び撮影終了時の時刻情報を検出し、検出した時刻情報をパノラマ合成部14で合成されるパノラマ画像に関連付けて記録媒体16に供給する。
【0044】
スイッチ32では、撮影時に端子RECを選択することによって、撮像素子11で撮影中の画像をビューファインダ33に対して表示させる。また、スイッチ32は、撮像素子11で撮影中の画像をビデオ出力端子34に対して導出させ、外部のビデオモニタ等で表示させる。パノラマ画像の合成時及びパノラマ画像の再生時には、スイッチ32においてPB端子が選択され、再生画像データがビデオ出力端子34に対して導出されると同時に再生画像データがビューファインダ33に供給される。スイッチ32では、パノラマ画像の合成時及びパノラマ画像の再生時にPB端子を選択することによって、記録媒体30から供給される再生画像をビューファインダ33に表示させる。なお、パノラマ画像の再生時には、パノラマ合成部14での処理は行わないものとする。
【0045】
角加速度センサ39は、例えばジャイロセンサからなり、撮像方向の変化を検出するためのセンサである。角加速度センサ39には、例えば撮像装置1に搭載されている、いわゆる手ぶれ防止機能のためのセンサを用いることができる。このように角加速度センサ39の出力を用いることで、ユーザは、動き検出回路38で移動ベクトルが正しく得られない場合でも、撮影画像の相対的な位置を知ることができる。
【0046】
積分回路40は、角加速度センサ39からの出力を積分して動き情報を得る。この積分回路40では、角加速度センサ39による角加速度の検出結果を平均化することで、平均的な動きが生成される。すなわち、積分回路40は、細かい動きを抑えて動き情報を生成する。積分回路40は、生成した動き情報を混合回路37に出力する。
【0047】
キー入力部41には、撮像装置1の種々の設定を行うスイッチとともに、パノラマ撮影のON/OFFを切り替えるためのスイッチが設けられている。これら各種設定キーによる設定情報がキー入力部41からシステムコントローラ42に供給され、例えばRAMに記憶される。撮影者は、例えばキー入力部41に設けられたパノラマ撮影ON/OFFの設定スイッチをONとして、パノラマ撮影を開始する。そして、撮影者は、レンズ系10を被写体になぞるように向けて撮影することで、合成したパノラマ画像とともに撮影開始時刻及び撮影終了時刻と、撮影開始から撮影終了までの撮像方向に関する情報を記録することができる。
【0048】
システムコントローラ42は、CPU、RAM、ROM等で構成され、撮像装置1の動作を制御する。システムコントローラ42は、例えばキー入力部41から供給された各種設定キーによる設定情報に基づいて動作を制御する。また、システムコントローラ42は、図示しない所定の時間を設定するためのタイマを有する。また、システムコントローラ42は、画像間の移動ベクトルに基づいて画像間の移動方向が一定となるような指示をビューファインダ33の液晶画面内に表示させるようにしてもよい。この指示は、例えば図示しない発音装置を設け、音によって通知するようにしてもよい。
【0049】
続いて、図1に示す構成を用いた場合のパノラマ画像を合成する処理手順について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、図4に示すシステムコントローラ42が、図1における各部の動作を制御するものとして以下説明する。
【0050】
撮像装置1は、ハードウェアの診断や初期化を行った後、ステップS1において、各種撮影パラメータ処理を行う。撮像装置1では、例えば図示しない露出計により識別された明るさに関する情報を取得し、絞り値やシャッタ速度等の撮影パラメータを計算する。
【0051】
ステップS2において、システムコントローラ42は、シャッタボタンが指圧されたかどうかを判断する。つまり、システムコントローラ42は、シャッタボタンの押圧入力操作に基づく操作信号が生成されたか否かに基づいて、撮影開始のタイミングを識別する。具体的に、システムコントローラ42が操作信号の生成を識別できた場合(真)には、ステップS3の処理に進む。また、システムコントローラ42が操作信号の生成を識別できなかった場合(偽)には、再びステップS1の処理を実行する。
【0052】
ステップS3において、記録媒体16は、時計部15から撮影開始時刻を取得する。
【0053】
ステップS4において、撮像装置1では複数回画像を撮影する。例えば、システムコントローラ42は、ステップS1で取得したパラメータを用いてレンズ系10の絞り系駆動部を調整するとともに撮像素子11で画像の撮像を実行する。撮像素子11では、撮像された被写体像が電気信号、例えば撮像信号C1に変換され、この撮像信号C1が画像用RAM12に供給される。
【0054】
ステップS5において、撮像方向検出部13は、移動ベクトルを検出する。具体的に、撮像方向検出部13は、画像用RAM12に格納された撮像信号C1と、その前の撮影で抽出された撮像信号からなる合成画像との相対変位を計算して撮影画像間の移動方向及び移動量、すなわち移動ベクトルを検出する。
【0055】
ステップS6において、パノラマ合成部14は、パノラマ合成処理を実行する。具体的にパノラマ合成部14は、ステップS5で検出された移動ベクトルに基づいて、ステップS4で画像用RAM12に格納された撮像信号C1を順次重ね合わせてパノラマ画像を合成する。
【0056】
ステップS7において、システムコントローラ42は、シャッタボタンが押し下げ中か否かを判断する。具体的には、システムコントローラ42は、キー入力部41における操作信号に基づいて撮影終了のタイミングを識別する。システムコントローラ42は、押圧操作が継続していると判断した場合(真)には、撮影を継続させるためにステップS4の処理に戻り、被写体の撮影を繰り返す。また、システムコントローラ42は、押圧操作が終了していると判断した場合(偽)には、撮影の終了動作を実行するためにステップS8の処理に進む。
【0057】
ステップS8において、記録媒体16は、時計部15から撮影終了時刻を取得する。
【0058】
ステップS9において、パノラマ合成部14は、ステップS6で得られたパノラマ画像に対してトリミング処理を実行する。
【0059】
ステップS10において、撮像方向検出部13は、ステップS5で得られた複数の移動ベクトルに基づいて撮影開始から撮影終了までの撮像方向を検出する。つまり、撮像方向検出部13は、複数の移動ベクトルに基づいて撮影開始から撮影終了までの1つの撮像方向を検出する。
【0060】
ステップS11において、記録媒体16は、ステップS9で得られたパノラマ画像と、ステップS10で得られた撮影開始から撮影終了までの撮像方向の情報と、ステップS3で得られた撮影開始時刻と、ステップS8で得られた撮影終了時刻とを関連付けて記録する。
【0061】
以上のように、本実施の形態に係る撮像装置1によれば、画面内に時間差を有するパノラマ合成画像に対して撮影開始から撮影終了までの撮像方向及び撮影時刻を関連付けて記録することができる。したがって、本実施の形態に係る撮像装置1によれば、複数のパノラマ画像をスクロール再生する際に、視聴者が閲覧したい画像を短時間で効率よく閲覧することが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態に係る撮像装置1によれば、撮影開始時点では撮影したくなかった物体や人が撮影終了直前に撮影されてしまった場合に、予期しない物体や人が記録された画像からスクロール再生がされてしまうことを防止することができる。つまり、撮像装置1は、視聴者が例えば記録媒体16に記録したパノラマ画像をTVモニタ等でスクロール再生する際に、閲覧したい画像を短時間で効率よく閲覧することを可能とする。
【0063】
また、本実施の形態に係る撮像装置1によれば、予期しない物体や人が記録されてまった画像データを効率よく削除したい場合に、撮像方向とは逆の方向からスクロール再生を開始することで、予期しない部分の画像データを効率よく削除することが可能となる。
【0064】
なお、図5に示すフローチャートでは、撮影しながらパノラマ画像を合成する、いわゆるリアルタイムで合成する処理例について説明したが、この例に限定されるものではない。例えば、パノラマ合成部14は、撮影開始から撮影終了までの画像データが記録媒体16に格納された後にパノラマ画像を合成するようにしてもよい。
【0065】
続いて、本実施の形態に係るパノラマ画像を再生する際のスクロール制御を行う再生制御装置の一例について説明する。図6に示すように、再生制御装置50は、記録媒体51と、圧縮解凍回路52と、RAM53と、切り出し回路54と、制御マイコン55と、表示用ドライバ56と、表示部57とを備える。
【0066】
記録媒体51は、ディジタル信号を記録可能な記録媒体であり、例えばハードディスク、光磁気ディスク、DVD、MD(商標)、半導体メモリ、磁気テープ等を用いることができる。記録媒体51には、例えばJPEG等のフォーマットで圧縮されたパノラマ画像とともに、パノラマ撮影に関する撮影情報がパノラマ画像に関連付けられて記録される。
【0067】
パノラマ撮影に関する撮影情報としては、例えば、パノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向、特徴検出により検出された被写体の座標情報、パノラマ撮影の撮影時間情報等が記録される。パノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向としては、例えば、上下左右の方向を示す4値化された情報が記録媒体51に記録される。特徴検出により検出された被写体の座標情報としては、例えば、顔検出により検出された被写体の顔画像に基づく顔座標、具体的には、被写体の両目の位置、鼻の位置、口の位置や両目及び鼻のように複数の器官の位置の情報が記録媒体51に記録される。なお、被写体は、目、鼻、口など顔の特徴となる情報を有する被写体であれば人物に限定されず、例えば、犬や猫などの動物であってもよい。撮影時間情報としては、例えば、パノラマ撮影の撮影開始時刻や撮影終了時刻が記録媒体51に記録される。これらの撮影情報は、記録媒体51においてEXIF規格のユーザ領域に記録される。記録媒体51は、パノラマ画像を圧縮解凍回路52に供給し、パノラマ画像に関連付けられた撮影情報を制御マイコン55に出力する。
【0068】
圧縮解凍回路52には、記録媒体51から、例えば、JPEG等のフォーマットで圧縮されたパノラマ合成画像が供給される。圧縮解凍回路52は、記録媒体51から供給されたパノラマ合成画像に対して圧縮解凍処理を行い、圧縮解凍処理により解凍したパノラマ画像のデータをRAM53に供給する。
【0069】
RAM53には、圧縮解凍回路52から圧縮解凍処理後のパノラマ画像のデータが供給される。RAM53は、制御マイコン55からの指示に基づいて、圧縮解凍回路52から供給されたパノラマ画像のデータの一部を切り出し回路54に供給する。
【0070】
切り出し回路54は、RAM53から供給されたパノラマ画像のデータに対して所望のサイズに拡大又は縮小する処理を行い、表示部57に表示するための画像データとする。切り出し回路54は、生成した画像データを表示用ドライバ56に供給する。
【0071】
制御マイコン55は、記録媒体51、圧縮解凍回路52、RAM53、切り出し回路54、表示用ドライバ56、及び表示部57に接続されており、これらの動作を制御する。制御マイコン55には、記録媒体51に記録されたパノラマ画像データに関連付けられた撮影情報が供給される。そして、制御マイコン55は、パノラマ画像データの切り出し領域と、拡大又は縮小する倍率に関する情報とを切り出し回路54に供給する。
【0072】
例えば、制御マイコン55は、切り出し領域に関する情報として、左右又は上下に切り出し座標をシフトさせながら表示部57にスクロール表示するための指示値を切り出し回路54に供給する。このように、制御マイコン55は、後に詳述するように、パノラマ画像に関連付けられた撮影開始から撮影終了までの撮像方向や被写体の座標情報に基づいて、パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定する。また、制御マイコン55は、パノラマ画像に関連付けられた撮像方向や被写体の座標情報に基づいて、パノラマ画像をスクロール再生する際のスクロール開始点を決定する。さらに、制御マイコン55は、被写体の座標情報に基づいて、パノラマ画像を再生する際のスクロール速度を決定する。
【0073】
すなわち、再生制御装置50は、パノラマ画像に関連付けられた撮影情報に基づいてパノラマ画像を再生する際のスクロール方向、スクロール開始点、スクロール速度を決定する。したがって、再生制御装置50は、複数のパノラマ画像を連続してスクロール再生する際に、視聴者が効率よくパノラマ画像を鑑賞することを可能とする。
【0074】
なお、制御マイコン55は、被写体の座標情報がパノラマ画像に関連付けて記録媒体51に記録されていない場合には、この座標情報を検出する処理を行う。例えば、制御マイコン55は、パノラマ画像から顔画像における基準位置として両目の位置を検出し、検出した両目の位置に基づいて正規化を行い、正規化された顔画像の特徴量として輝度を抽出する。そして、制御マイコン55は、抽出した顔画像の各部における輝度の値と予め記録されている判定用の情報とに基づいて種々の判定処理を行う。例えば、制御マイコン55は、大人/子供の判定処理、笑顔/非笑顔の判定処理、登録/非登録の顔であるかの判定処理等を行う。なお、上述した例では、基準位置として両目の位置を用いることとしたが、顔に含まれる両目以外の他の器官を用いるようにしてもよい。例えば、顔に含まれる鼻の位置や、両目及び鼻のように複数の器官の位置を用いることができる。
【0075】
表示用ドライバ56には、表示部57に表示するパノラマ画像のデータの一部が切り出し回路54から供給される。表示用ドライバ56は、切り出し回路54から供給された画像データを表示部57に供給する。
【0076】
表示部57は、例えばLCDで構成され、表示用ドライバ56から供給された画像データを表示する。
【0077】
続いて、図6に示す再生制御装置50による再生制御方法の一例について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0078】
再生制御装置50においては、ハードウェアの診断や初期化を行った後に、ステップS20では、制御マイコン55は、再生するパノラマ画像を選択する。
【0079】
ステップS21では、制御マイコン55は、図示しない操作部における再生ボタンが押圧されたか否かを判定する。すなわち、制御マイコン55は、再生ボタンの押圧入力操作に基づく操作信号が生成されたか否かに基づいて、再生開始タイミングを識別する。制御マイコン55は、操作信号の生成を識別することができた場合(ステップS21:真)には、ステップS22の処理に移行する。また、制御マイコン55は、操作信号の生成を識別することができなかった場合(ステップS21:偽)には、再びステップS20の処理を実行する。
【0080】
ステップS22では、制御マイコン55は、選択されたパノラマ画像の読み込み動作を実行する。具体的には、制御マイコン55は、記録媒体51に記録されている圧縮されたパノラマ画像の中から、ステップS20で選択されたパノラマ画像を圧縮解凍回路52により解凍する。そして、制御マイコン55は、圧縮解凍回路52により解凍したパノラマ画像をRAM53に保存する。
【0081】
ステップS23では、制御マイコン55は、パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を選択する。具体的に、制御マイコン55は、ステップS22でRAM53に対して読み込み動作を行ったパノラマ画像に関連付けられた撮像方向に関する情報や被写体の座標情報に基づいて、パノラマ画像のスクロール方向を決定する。
【0082】
スクロール方向を決定する方法の一例として、図8乃至図10に示すように、パノラマ画像をその長手方向に再生する場合について説明する。
【0083】
まず、パノラマ撮影の撮影開始から撮影終了までの撮像方向がパノラマ画像に関連付けられている場合には、その撮像方向と同じ方向を再生する際のスクロール方向とする。例えば、制御マイコン55は、図8に示すパノラマ画像60においては、撮影方向61の矢印で示すように、撮影開始が左方であり撮影終了が右方であることを示す情報が関連付けられているため、撮影方向61と同一方向を再生方向62として決定する。すなわち、制御マイコン55は、撮影方向61と同一方向をスクロール方向として決定する。
【0084】
また、被写体の座標情報として顔座標がパノラマ画像に関連付けられている場合や、顔座標が予め検出されている場合には、顔座標が左右の端に近い方の端から遠い方の端への方向をスクロール方向とする。すなわち、制御マイコン55は、被写体の顔座標の位置に近いパノラマ画像の長手方向の一端から他端へとパノラマ画像をスクロール再生させる。例えば、制御マイコン55は、図9に示すパノラマ画像60においては、顔座標64の位置から近い右端から左端への方向を再生方向65として決定する。
【0085】
さらに、顔座標及び撮影開始から撮影終了までの撮像方向がパノラマ画像に関連付けられている場合には、顔座標に基づいてスクロール再生の方向を決定する。すなわち、制御マイコン55は、撮像方向に関する情報よりも顔座標に関する情報を優先させて、スクロール再生の方向を決定する。例えば、制御マイコン55は、図10に示すパノラマ画像60においては、撮影方向67及び顔座標68が関連付けられているため、顔座標68の位置に近いパノラマ画像60の一端から他端への方向を再生方向69とする。すなわち、制御マイコン55は、撮影方向67ではなく顔座標68を優先してスクロール方向を決定する。
【0086】
さらにまた、制御マイコン55は、複数の顔座標がパノラマ画像に関連付けられており、顔座標に関する重み情報が記録されている場合には、複数の顔座標のうち最も重みの高い顔座標に基づいてスクロール方向を決定する。例えば、制御マイコン55は、最も重みの高い顔座標、すなわち、優先させる顔座標の中心位置に近いパノラマ画像の長手方向の一端から他端への方向を再生方向とする。顔座標の優先基準としては、例えば、大人と子供との場合は子供、笑顔と非笑顔との場合には笑顔、予め登録されていない顔と登録されている顔との場合には、登録されている顔を優先させることができる。なお、制御マイコン55は、例えば、複数存在する顔座標の中心から遠い近いパノラマ画像の一端から他端への方向をスクロール方向としてもよい。
【0087】
また、制御マイコン55は、パノラマ撮影の撮影時間情報がパノラマ画像60に関連付けられている場合には、撮像方向及び撮影時間情報に基づいてスクロール方向を決定するようにしてもよい。例えば、制御マイコン55は、撮影時刻の早い画像から遅い画像の方向をスクロール方向として決定する。
【0088】
なお、制御マイコン55は、設定に応じて、例えば、図8の撮影方向61、図9の再生方向65、図10の再生方向69とは反対方向を再生方向として決定してもよく、また、撮影時刻の遅い画像から早い画像の方向をスクロール方向として決定してもよい。
【0089】
ステップS24では、制御マイコン55は、パノラマ画像の全体の中から、再生の初期に表示するエリアの切り出しを行うための初期表示エリアの計算を行う。例えば、図11に示すように、制御マイコン55は、ステップS22で読み込み動作を行ったパノラマ画像60に関連付けられた顔座標72やパノラマ撮影時の顔検出により得られる顔座標に基づいてスクロール開始点、すなわち、表示エリア71を決定する。この表示エリア71の画像が、表示画像73として表示部57に表示される。
【0090】
具体的に、図8に示すパノラマ画像60においては、左方から右方に撮影されたという撮影方向61が関連付けられているため、制御マイコン55は、スクロール再生の開始点を左端の画とする。すなわち、制御マイコン55は、再生開始画63をスクロール再生の初期表示エリアとして決定する。なお、制御マイコン55は、設定に応じて撮影方向61の終端のエリアを再生開始画としてもよい。
【0091】
また、制御マイコン55は、顔座標がパノラマ画像に関連付けられている場合や、顔座標を予め検出している場合には、顔座標の位置から近いパノラマ画像の長手方向の一端をスクロール開始点としてもよい。例えば、制御マイコン55は、図9に示すパノラマ画像においては、顔座標64の位置が長手方向の右端に近いため、この右端を再生開始画66として決定する。なお、制御マイコン55は、設定に応じて顔座標64の位置が左右の端に遠い方の一端を再生開始画66として決定するようにしてもよい。
【0092】
さらに、制御マイコン55は、顔座標及び撮像方向の情報がパノラマ画像に関連付けられている場合には、顔座標に基づいてスクロール開始点を決定する。すなわち、制御マイコン55は、顔座標情報を撮像方向よりも優先させて再生開始画を決定する。例えば、図10に示すパノラマ画像60においては、撮影方向67及び顔座標68が存在するため、顔座標68の位置に近いパノラマ画像60の長手方向の一端を再生開始画70とする。なお、制御マイコン55は、設定に応じて顔座標68の位置から遠い方の一端を再生開始画としてもよい。
【0093】
さらにまた、制御マイコン55は、複数の顔座標がパノラマ画像に関連付けられており、顔座標に関する重み情報が記録されている場合には、複数の顔座標のうち最も重みの高い顔座標に基づいてスクロール開始点を決定する。例えば、制御マイコン55は、最も重みの高い顔座標、すなわち、優先させる顔座標に近いパノラマ画像の長手方向の一端をスクロール開始点とする。顔座標の優先基準としては、例えば上述したように、大人と子供との場合は子供、笑顔と非笑顔との場合には笑顔、予め登録されていない顔と登録されている顔との場合には、登録されている顔を優先させる。なお、制御マイコン55は、例えば、複数存在する顔座標の中心から遠いパノラマ画像の長手方向の一端をスクロール開始点としてもよい。
【0094】
ステップS25では、制御マイコン55は、再生停止ボタンが押圧されたか否かを判定することで、スクロール再生の再生停止タイミングを識別する。すなわち、制御マイコン55は、操作信号の生成を識別することができた場合(ステップS25:真)には、パノラマ再生を停止して、処理を終了する。また、制御マイコン55は、操作信号の生成を識別することができなかった場合(ステップS25:偽)には、ステップS7の処理に移行する。
【0095】
ステップS26では、制御マイコン55は、操作部における次の画像へスキップさせるためのボタンが押圧されたか否かを判定することで、次のパノラマ画像の表示にスキップするタイミングを識別する。すなわち、制御マイコン55は、操作信号の生成を識別することができた場合(ステップS26:真)には、ステップS27の動作に移行する。制御マイコン55は、現在表示中のパノラマ画像の再生を停止して、次の画像の読み込み動作に移行する。また、制御マイコン55は、操作信号の生成を識別することができなかった場合(ステップS26:偽)には、ステップS28の動作に移行する。つまり、制御マイコン55は、現在選択中のパノラマ画像の表示へ移行する。
【0096】
ステップS27では、制御マイコン55は、現在選択中のパノラマ画像の次のパノラマ画像の読み出し操作を行う。次のパノラマ画像とは、パノラマ画像に関連付けられたファイル番号がある場合、現在選択中のパノラマ画像のファイル番号よりも1つファイル番号が大きいパノラマ画像等を意味する。ファイル番号よりも1つファイル番号が大きいファイル番号のパノラマ画像が存在しない場合には、2つファイル番号が大きいパノラマ画像を意味する。また、1つファイル番号が大きいパノラマ画像及び2つファイル番号が大きいパノラマ画像が存在しない場合には、3つ以上の番号についても同様な選択を行うものとする。このような選択動作を行う中で、選択できるファイル番号の最大番号になった場合には、次の画像の候補として最も小さいファイル番号のパノラマ画像を選択する。ステップS27では、制御マイコン55は、ステップS22と同様に、記録媒体51に保存されている圧縮されたパノラマ画像から、前回選択されていた次のパノラマ画像の解凍を圧縮解凍回路52で行う。また、制御マイコン55は、圧縮解凍回路52により解凍されたパノラマ画像をRAM53に保存する。
【0097】
ステップS28では、パノラマ画像の切り出し画像を表示する。制御マイコン55は、切り出しエリアのパノラマ画像の一部をRAM53から切り出し回路54に読み込ませる。そして、切り出し回路54は、表示部57において最適なサイズにパノラマ画像を拡大又は縮小させる。表示部57において最適なサイズとは、例えば、ハイビジョン再生を行う場合には、1920×1080といった定型フォーマットサイズを意味する。切り出し回路54で定型サイズ化されたパノラマ画像は、表示用ドライバ56でD/A変換等を行い、表示部57にパノラマ画像の一部を表示する。なお、ステップS28では、1枚目の表示においては、ステップS24で計算されたパノラマ切り出しエリアを元にするが、2枚目以降の表示においては、ステップS29で計算されたエリアを元にする。
【0098】
ステップS29では、切りだし画像をシフトさせる。すなわち、制御マイコン55は、切り出し画像のシフト量やシフトのタイミングを制御することで、現在選択されている切り出しエリアに対して、ステップS23で選択された上下左右のいずれかの方向に切り出し画像をシフトさせる。
【0099】
制御マイコン55は、選択中の座標に顔座標が含まれる場合には、通常よりも表示エリアのシフト量を少なくする。例えば、図12に示すように、選択中の座標に顔座標74が含まれる場合には、制御マイコン55は、顔座標74が表示エリア75に含まれる間のシフトのタイミングを遅くして、ゆっくりとしたスクロール表示を行うようにしてもよい。このように、制御マイコン55は、視聴者が閲覧したい画像が表示されているときのスクロール速度を遅くすることで、効率の良い閲覧を可能とする。
【0100】
また、制御マイコン55は、スクロール速度の制御方法として、種々の方法を適用することが可能である。例えば、制御マイコン55は、表示部57に顔座標が表示されている間、画面の中心まで段階的にスクロール速度を遅くし、画面の中心を通過すると段階的にスクロール速度を速くするようにしてもよい。さらに、制御マイコン55は、表示部57に顔座標が表示されている間、画面の中心まで段階的にスクロール速度を遅くするとともに顔座標の部分を段階的に拡大表示させ、かつ、画面の中心を通過すると段階的にスクロール速度を速くするとともに顔座標の部分を段階的に縮小表示させるようにしてもよい。また、制御マイコン55は、表示部57に顔座標が表示されている間、画面の中心まで段階的にスクロール速度を速くするとともに顔座標の部分を段階的に拡大表示させ、かつ、画面の中心を通過すると、段階的にスクロール速度を遅くするとともに顔座標の部分を段階的に縮小表示させるようにしてもよい。
【0101】
続いて、ステップS30では、パノラマ画像の端の検出を行う。具体的には、制御マイコン55は、ステップS29で切り出し座標のシフトを行った後、表示エリアがパノラマ画像の上下左右の端まで到達したかどうかの検出を行う。例えば、制御マイコン55は、図13に示すパノラマ画像60において、表示エリア76が端まで到達している場合(ステップS30:真)には、ステップS27に進み、次のパノラマ画像の読み込み動作に移行する。また、制御マイコン55は、表示エリアが端まで到達していない場合(ステップS30:偽)には、ステップS25の処理、すなわち、再生停止ボタンの押圧検出動作に移行する。
【0102】
このように、再生制御装置50によれば、複数のパノラマ画像を連続スクロール再生する際に、ユーザが閲覧したい画像を短時間で効率よく閲覧することが可能となる。
【0103】
具体的には、撮影開始時点でユーザが図3(a)に示すようなパノラマ画像25を撮影したい場合に、図3(b)に示すように撮影終了直前に撮影したくなかった予期しない物体27が撮影されてしまったとする。この場合、再生制御装置50によれば、スクロール再生の方向やスクロール開始点を適宜変えることで、パノラマ画像26が予期しない物体27からスクロール再生されてしまうのを防止することができる。
【0104】
また、再生制御装置50によれば、予期しない物体や人が記録されてしまった画像を効率よく削除したい場合には、撮像方向とは逆方向からスクロール再生を開始することで、効率良く失敗画像を削除することが可能となる。このように、失敗画像を削除する際には、パノラマ画像全体を削除するようにしてもよいし、ユーザにより指定された部分の画像を削除することも可能である。
【0105】
また、再生制御装置50によれば、顔等のユーザがより注視したいと思われる画像を再生する際のスクロール速度を遅くすることで、ユーザにとってストレスの少ない閲覧が可能となる。
【0106】
また、本実施の形態において説明した一連の処理は、ハードウェア又はソフトウェア或いは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0107】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROMに予め記録しておくことができる。あるいは、プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM,MOディスク,DVD、磁気ディスク、半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に、一時的又は永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
【0108】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。また、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【符号の説明】
【0109】
10 レンズ系、11 撮像素子、12 画像用RAM、13 撮像方向検出部、14 パノラマ合成部、15 時計部、16 記録媒体、28 光軸可変素子、29 圧縮回路、30 記録媒体、31 伸長回路、32 スイッチ、33 ビューファインダ、34 ビデオ出力端子、35 ドライバ、36 レンズ系駆動回路、37 混合回路、38 動き検出回路、39 角加速度センサ、40 積分回路、41 キー入力部、42 システムコントローラ、50 再生制御装置、51 記録媒体、52 圧縮解凍回路、53 RAM、54 切り出し回路、55 制御マイコン、56 表示用ドライバ、57 表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影開始から撮影終了までに複数回撮影した複数の画像データ間の移動量に基づき合成されるパノラマ画像に関連付けて記録された上記パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を読み出す読出し部と、
上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向に基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定するスクロール方向決定部と
を備える再生制御装置。
【請求項2】
上記スクロール方向決定部は、上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向と、上記パノラマ画像における特徴検出により検出された被写体の顔画像に基づく顔座標とに基づいて、上記スクロール方向を決定し、
上記撮像方向と、上記顔座標とが上記パノラマ画像に関連付けられている場合には、上記撮像方向よりも上記顔座標を優先させて、上記スクロール方向を決定する請求項1記載の再生制御装置。
【請求項3】
上記スクロール方向決定部は、上記顔座標が上記パノラマ画像に複数関連付けられており、かつ、上記顔座標に関する重み情報が記録されている場合には、上記複数の顔座標のうち最も重みの高い座標に基づいて、上記スクロール方向を決定する請求項2記載の再生制御装置。
【請求項4】
上記スクロール方向決定部は、上記パノラマ画像において、上記複数の顔座標のうち最も重みの高い座標の中心位置に近い該パノラマ画像の長手方向の一端から他端への方向を上記スクロール方向として決定する請求項3記載の再生制御装置。
【請求項5】
上記撮像方向と、上記パノラマ画像における特徴検出により検出された被写体の顔画像に基づく顔座標とに基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール開始点を決定するスクロール開始点決定部を備え、
上記スクロール開始点決定部は、上記撮像方向と、上記顔座標とが上記パノラマ画像に関連付けられている場合には、上記顔座標に基づいて上記スクロール開始点を決定する請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の再生制御装置。
【請求項6】
上記スクロール開始点決定部は、上記顔座標が上記パノラマ画像に複数関連付けられており、かつ、上記顔座標に関する重み情報が記録されている場合には、上記複数の顔座標のうち最も重みの高い座標に基づいて、上記スクロール開始点を決定する請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の再生制御装置。
【請求項7】
上記スクロール開始点決定部は、上記パノラマ画像において、上記複数の顔座標のうち最も重みの高い座標の中心位置に近い該パノラマ画像の長手方向の一端を上記スクロール開始点として決定する請求項6記載の再生制御装置。
【請求項8】
上記パノラマ画像における特徴検出により検出された被写体の顔画像に基づく顔座標に基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール速度を決定するスクロール速度決定部を備える請求項1乃至7のうちいずれか1項記載の再生制御装置。
【請求項9】
上記パノラマ画像に関連付けて、上記パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向と、上記顔座標とを記録する記録部を備える請求項1乃至8のうちいずれか1項記載の再生制御装置。
【請求項10】
複数の上記画像データと、上記画像データ間の移動ベクトルとに基づいて上記パノラマ画像を合成する合成部を備える請求項1記載の再生制御装置。
【請求項11】
上記画像データ間の移動ベクトルを検出する撮像方向検出部を備え、
上記撮像方向検出部は、上記画像データ間の移動量を画像データ毎に累積する請求項10記載の再生制御装置。
【請求項12】
上記撮像方向検出部は、上記画像データ間の移動量の大きさを検出する際に、上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向を1つの撮像方向として検出する請求項11記載の再生制御装置。
【請求項13】
上記撮像方向検出部は、上記画像データ間の移動量を平均化する請求項11記載の再生制御装置。
【請求項14】
上記撮像方向検出部は、上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向をコード化する請求項11記載の再生制御装置。
【請求項15】
撮影開始から撮影終了までに複数回撮影した複数の画像データ間の移動量に基づき合成されるパノラマ画像に関連付けて記録された、上記パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を読み出す読み出し工程と、
上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向に基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定するスクロール方向決定工程と
を有する再生制御方法。
【請求項16】
撮影開始から撮影終了までに複数回撮影した複数の画像データ間の移動量に基づき合成されるパノラマ画像に関連付けて記録された、上記パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を読み出す読み出し工程と、
上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向に基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定するスクロール方向決定工程と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
撮影開始から撮影終了までに複数回撮影した複数の画像データ間の移動量に基づき合成されるパノラマ画像に関連付けて記録された上記パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を読み出す読出し部と、
上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向に基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定するスクロール方向決定部と
を備える再生制御装置。
【請求項2】
上記スクロール方向決定部は、上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向と、上記パノラマ画像における特徴検出により検出された被写体の顔画像に基づく顔座標とに基づいて、上記スクロール方向を決定し、
上記撮像方向と、上記顔座標とが上記パノラマ画像に関連付けられている場合には、上記撮像方向よりも上記顔座標を優先させて、上記スクロール方向を決定する請求項1記載の再生制御装置。
【請求項3】
上記スクロール方向決定部は、上記顔座標が上記パノラマ画像に複数関連付けられており、かつ、上記顔座標に関する重み情報が記録されている場合には、上記複数の顔座標のうち最も重みの高い座標に基づいて、上記スクロール方向を決定する請求項2記載の再生制御装置。
【請求項4】
上記スクロール方向決定部は、上記パノラマ画像において、上記複数の顔座標のうち最も重みの高い座標の中心位置に近い該パノラマ画像の長手方向の一端から他端への方向を上記スクロール方向として決定する請求項3記載の再生制御装置。
【請求項5】
上記撮像方向と、上記パノラマ画像における特徴検出により検出された被写体の顔画像に基づく顔座標とに基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール開始点を決定するスクロール開始点決定部を備え、
上記スクロール開始点決定部は、上記撮像方向と、上記顔座標とが上記パノラマ画像に関連付けられている場合には、上記顔座標に基づいて上記スクロール開始点を決定する請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の再生制御装置。
【請求項6】
上記スクロール開始点決定部は、上記顔座標が上記パノラマ画像に複数関連付けられており、かつ、上記顔座標に関する重み情報が記録されている場合には、上記複数の顔座標のうち最も重みの高い座標に基づいて、上記スクロール開始点を決定する請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の再生制御装置。
【請求項7】
上記スクロール開始点決定部は、上記パノラマ画像において、上記複数の顔座標のうち最も重みの高い座標の中心位置に近い該パノラマ画像の長手方向の一端を上記スクロール開始点として決定する請求項6記載の再生制御装置。
【請求項8】
上記パノラマ画像における特徴検出により検出された被写体の顔画像に基づく顔座標に基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール速度を決定するスクロール速度決定部を備える請求項1乃至7のうちいずれか1項記載の再生制御装置。
【請求項9】
上記パノラマ画像に関連付けて、上記パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向と、上記顔座標とを記録する記録部を備える請求項1乃至8のうちいずれか1項記載の再生制御装置。
【請求項10】
複数の上記画像データと、上記画像データ間の移動ベクトルとに基づいて上記パノラマ画像を合成する合成部を備える請求項1記載の再生制御装置。
【請求項11】
上記画像データ間の移動ベクトルを検出する撮像方向検出部を備え、
上記撮像方向検出部は、上記画像データ間の移動量を画像データ毎に累積する請求項10記載の再生制御装置。
【請求項12】
上記撮像方向検出部は、上記画像データ間の移動量の大きさを検出する際に、上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向を1つの撮像方向として検出する請求項11記載の再生制御装置。
【請求項13】
上記撮像方向検出部は、上記画像データ間の移動量を平均化する請求項11記載の再生制御装置。
【請求項14】
上記撮像方向検出部は、上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向をコード化する請求項11記載の再生制御装置。
【請求項15】
撮影開始から撮影終了までに複数回撮影した複数の画像データ間の移動量に基づき合成されるパノラマ画像に関連付けて記録された、上記パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を読み出す読み出し工程と、
上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向に基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定するスクロール方向決定工程と
を有する再生制御方法。
【請求項16】
撮影開始から撮影終了までに複数回撮影した複数の画像データ間の移動量に基づき合成されるパノラマ画像に関連付けて記録された、上記パノラマ画像の撮影開始から撮影終了までの撮像方向を読み出す読み出し工程と、
上記撮影開始から撮影終了までの撮像方向に基づいて、上記パノラマ画像を再生する際のスクロール方向を決定するスクロール方向決定工程と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−217394(P2011−217394A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133361(P2011−133361)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【分割の表示】特願2009−182595(P2009−182595)の分割
【原出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【分割の表示】特願2009−182595(P2009−182595)の分割
【原出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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