説明

再生可能フィルター

【課題】 嵩張らず、コンパクトに輸送、保管、処分できるフィルター要素等を提供する。
【解決手段】 フィルター要素は、第1のフィルター壁面10を含んでおり、このフィルター壁面に、第2のフィルター壁面20が直線状の接合領域30に沿って固定される。第1のフィルター壁面10は、交互に内側及び外側に折り曲げられており、外側の折り曲げ稜線11と内側の折り曲げ稜線12とが交互に生じている。第2のフィルター壁面も、第1のフィルター壁面と同様に交互に内側及び外側に折り曲げられており、その結果、内側の折り曲げ稜線21と、外側の折り曲げ稜線22と、折り曲げ稜線間の壁面体部分24、25とが生じている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子物質を含有する原ガスの流れから粒子物質を分離するためのフィルター要素に関する。本発明に関わるフィルター要素は、汚染原ガスを導入するための第1の複数の貫通開口を有する第1のフィルター壁面と、流れの方向において第1のフィルター壁面の後側に設けられる第2のフィルター壁面であって、清浄ガスを排出するための第2の複数の貫通開口を有する第2のフィルター壁面と、第1及び第2のフィルター壁面間に形成された中間流動空間とを含んでおり、さらに、第2の貫通開口は、流れの方向において、第1の貫通開口に対して位置を変えて配置されており、第2のフィルター壁面は、第1の貫通開口を通過する粒子物質の少なくとも一部が衝突するように配置された少なくとも1つのバッフル壁面領域を有しており、第1及び/または第2のフィルター壁面は、中間流動空間に対して交互に内側及び外側に折り曲げられた壁面体として、特に折り曲げられた箔またはプレートとして形成されている。
【背景技術】
【0002】
上記のタイプのフィルター要素は塗装装置における排気のろ過用として知られている。このフィルター要素の原理は遠心力による分離機能に基づいている。この原理においては、粒子物質含有排気、つまり原ガスの流れは、第1の貫通開口からフィルター要素に流入し、第2の貫通開口が位置を変えて配置されているために、中間流動空間の中で方向転換させられる。この方向転換の過程で、粒子物質を同伴する原ガスよりも高い密度を有する原ガス流れ中の粒子物質は、流れの径路に追随することができず、バッフル壁面に衝突する。粒子物質はバッフル壁面に付着し、従ってこのバッフル壁面領域に集積するが、これに対して、粒子物質を離脱したガス流れは、第2の貫通開口を通過して清浄ガスとしてフィルター要素から流出する。
【0003】
上記のタイプのフィルターにおいては、上記の態様で、運転期間中に粒子物質の層が徐々に形成され、この層は、一定の運転期間後には、フィルターの閉塞またはフィルターの流れ抵抗の増大という状況をもたらす。この場合は、この既知のフィルターを交換して、汚れたフィルター要素を新しいフィルター要素に取り替えなければならない。
【0004】
この既知のフィルター要素は、再利用不可能な使い捨て要素として用いられるので、主に安価な材料、特に紙及び厚紙から製造される。特許文献1から、金属製、紙製、ボール紙製、あるいはプラスチック膜製のこの種のフィルターを知ることができる。
【0005】
周知のフィルター要素の第1の問題点は、フィルター要素の定期的な交換の必要性が廃棄物容積を増大させる点にある。さらに、フィルター要素の定期的な交換の必要性は、閉塞した古いフィルター要素を新しいフィルター要素に定期的に取り替えることを必要とするので運転コスト増大の原因となる。
【0006】
周知のフィルター要素の別の問題点は、特にプラスチック、金属等の比較的高価なフィルター材料を使用した場合、これらの比較的高価な材料は高い剛性をも有していて、フィルター壁面を変形させることができないかあるいはさせにくく、フィルター要素をその容積に関して圧縮することができないので、多くの場合フィルターが嵩張る点にある。
【0007】
この欠点は、例えば、この方式で、微粒子をもろ過し、かつ同時に大量の通過容積流量を処理するような、この周知のフィルター要素で大きな壁面面積をカバーしなければならない用途において特に露呈する。この用途の場合には、原ガスの流れから微粒子をも分離するために、貫通開口を小さく形成し、かつ、中間流動領域におけるガス流れの方向転換
をできるだけ鋭く鋭角的に行う必要がある。しかし、かかる用途の場合には、新しいフィルター要素をコンパクトな包装容積で輸送及び保管し得ると共に、使用済みのフィルター要素をコンパクトな形で処分し得ることが望ましい。従って、このような大面積用途に対しては、紙及び厚紙製のフィルター要素のみが知られている。これらの材料からフィルター要素を製造すると、材料の弾性的な変形可能性が良好なので輸送及び保管容積の縮減を実現し得るからである。
【0008】
周知のフィルター要素のさらに別の問題点は、これを他の多くの用途に使用することができない点にある。すなわち、例えば、農業利用分野、特に家畜飼育においては、排出物規制がますます厳しさを増しているので、例えば畜舎のような作業空間からの排気を清浄化する必要がある。この排気は通常含塵濃度が高く、さらに、家畜の排泄物を同伴している場合が多い。このため、周知のフィルター要素では、閉塞が急速に進行し、及び/または、フィルター機能を損なうフィルター材料への化学的侵食を蒙る結果になる。このいずれの場合も、フィルター要素をきわめて短い時間間隔で交換する必要が生じ、この周知のフィルター要素をこのような用途に経済的に使用することはできなくなる。
【特許文献1】独国特許出願公開1293004A号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記の問題点を軽減するかまたは回避するようなフィルター要素を創出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、本発明によれば、冒頭に述べたフィルター要素によって解決される。このフィルター要素においては、第1及び/または第2のフィルター壁面の壁面体が、その折り曲げ領域において、その他の壁面体領域に比較して高い変形可能性を有している。折り曲げ領域における高い変形可能性によって、フィルター要素を、運転状態に比してコンパクトな容積に簡単に縮小することができる。すなわち、フィルター要素を折り曲げに沿って折り込み、フィルター壁面の壁面体がコンパクトな形で完全にあるいはほぼ互いに接し合うようにするのである。この方式によって、本発明に関わる実施形態では、多数の材料の使用が可能になる。従って、本発明に関わるフィルター要素によって、大面積のフィルター構成に対しても、紙または厚紙以外の他の材料製のフィルター要素を使用することができる。このため、本発明によって、耐腐食性材料製のフィルター要素が製作されるようになる。
【0011】
折り曲げ領域における高い変形可能性は、高い弾性的な変形可能性によっても、また、高い塑性的な変形可能性によっても、あるいはこれらの組み合わせによっても付与することができる。この場合、変形可能性という用語によって、まず第1に、対応する領域における材料を、それ以外の壁面体領域よりも小さな力の作用で変形させ得るという意味に理解している。さらに、本発明の意味においては、変形可能性という用語を、対応する領域においてフィルター材料を鋭角に折り曲げ得ること、特に、材料の損傷を生じることなく、他の残りの壁面体領域よりも高度に変形させ得ることに理解するものとする。
【0012】
第1のフィルター壁面を第2のフィルター壁面に固定すると通常有利である。この固定は、特に折り曲げ領域において、例えば溶接または接着によって行うことができる。
【0013】
本発明に基づく周知のフィルター要素の改良開発は、フィルター要素に折り目を形成することによって高い変形可能性を実現しているために、驚くことに製造過程においても有利であることが判明した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の利点を生かす第1の実施形態においては、第1及び/または第2の全フィルター壁面が耐液体性に構成される。この実施形態によれば、フィルター要素に集積した粒子を、液体による清浄化工程例えば水による高圧洗浄によって除去することが可能になる。この改良開発によって、フィルター要素の粒子物質が除去されてしまうと、当初の通過処理流量をごく簡単に回復することができる。
【0015】
冒頭に述べたフィルター要素、またはフィルター要素の上記の改良開発は、バッフル壁面領域またはフィルター壁面を基礎材料製、主として紙または厚紙製とし、耐液体性の材料をその上に被覆することによって、さらに有利に改善することができる。この実施形態によって、液体による清浄化のために全フィルター要素を耐液体材料製とする必要なしに、液体によるフィルター要素の清浄化が可能になる。従って、非耐液体性で安価な一連の基礎材料の有利な変形可能性を、輸送または保管のためのフィルター要素容積の圧縮に利用することができ、しかも、フィルター要素が粒子物質で閉塞すると常に交換が必要になるこれら基礎材料の欠点をそのまま受け入れる必要はないのである。
【0016】
この場合、この被覆用またはフィルター壁面用の耐液体材料としてプラスチックを用いると特に有利である。プラスチックは、多くの液体に耐性を有するという利点を備えており、従って、場合によっては添加洗浄剤による清浄化がプラスチックの損傷なしに可能である。さらに、プラスチックは多くの化学薬品に対して安定であるので、ろ過される化学物質によってフィルター要素が毀損されることなしに、原ガスの流れから腐食性の化学物質をもろ過することが可能になる点が利点として明らかになっている。特に、本発明のフィルター要素には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリカーボネート(PC)のような商品プラスチックが適している。
【0017】
フィルター要素において第2のフィルター壁面の外側の折り曲げ個所の周りの領域をバッフル壁面領域とするとさらに有利である。この形態にすると、原ガスの流れが、この場合第1の貫通開口を通過して第2のフィルター壁面の折り曲げ領域に導かれ、このため鋭い方向転換を受けてこの角から導出されるので、特に効率的なろ過が可能になる。
【0018】
2つのフィルター壁面を、第1のフィルター壁面の折り曲げ間の間隔距離、特に外側の折り曲げ間の間隔距離が、第2のフィルター壁面の折り曲げ間の間隔距離、特に内側の折り曲げ間の間隔距離と等しくなるように折り曲げ、かつ、この両フィルター壁面を、互いに対してそれぞれ同じ方向の折り曲げが向かい合うように配置するとさらに有利である。この方式によって断面において二重のジグザグ形態の形状が形成されるが、この形状は、一方では、特にこの折り曲げを鉛直に配列すれば、フィルター壁面が、例えば壁面体の領域において自立型の配置をするに十分な安定性を有するという長所を有しており、さらに、この形状の場合、フィルター壁面を、輸送または保管目的のために特に好適に圧縮することができる。
【0019】
第1及び第2の貫通開口は、多様な方法で、第1または第2のフィルター壁面に配置することができる。この場合、流入開口から流出開口までの間の径路上で原ガスの流れの十分な方向転換が実現するように、かつまた、ろ過された粒子物質による開口の閉塞を避けるように配慮しなければならない。
【0020】
特に、第1の貫通開口は、第1のフィルター壁面の内側の折り曲げ領域に配置することができる。
【0021】
さらに、第1の貫通開口は、上記の実施形態の代替案として、あるいはそれに対する追加として、第1のフィルター壁面の外側の折り曲げ領域に設けることができる。
【0022】
第2の貫通開口は、第2のフィルター壁面の内側の折り曲げ領域に配置するのが有利である。
【0023】
上記の3つの場合においては、開口はそれぞれ、折り目の側面に、例えば折り目の両側にほぼ対称的に対の形で多数配置された開口として、あるいは、それぞれ折り目を越えて拡がった開口として、すなわち一部が1つの壁面領域にあり、一部が別の壁面領域にあるような1つの開口として配置することができる。従って、例えば第1の貫通開口を、それぞれ半分ずつ折り目の左側及び右側の壁面領域内にある穴として形成することができる。
【0024】
さらに、第2の貫通開口を、第2のフィルター壁面の折り目の間の壁面領域に配置すれば、多くの使用態様において代替案としてまたは付加的に効果的である。この実施形態においては、第2の貫通開口を、フィルター要素の通過流れの方向において第1の貫通開口の後側に配置することが可能であり、その結果として、原ガス流れの鋭角的な方向転換と、その結果としての特に効率的なろ過を実現することができる。
【0025】
第1及び/または第2のフィルター壁面が、その折り曲げ線において、残りの他の壁面領域よりも低い剛性しか有していないようにすると特に有利である。この剛性低下によって、フィルター壁面に力を作用させた場合の変形が特に折り曲げ線において生起するからである。剛性の低下は、例えば、材料特性の変化、または折り曲げ線の部分における形状の変化によって実現することができる。
【0026】
第1及び/または第2のフィルター壁面が、その折り曲げ線において、少なくとも部分的に、残りの他の壁面領域よりも薄い壁面厚さしか有していないようにすると特に有利である。壁面厚さの低減は、例えば、壁面の一部を加工によって削り取る形(刻み目加工、ノッチ加工等)で実現することができる。この場合、折り曲げ線の全長にわたる連続的な壁面厚さの低減を実施するか、あるいは、折り曲げ線の一部のみを壁面厚さ低減する非連続的な壁面厚さの低減を実施することができる。また特に、壁面厚さの低減を、材料の削り取りを行わない成形によって実施すると有利である。この場合は、壁面材料が、折り曲げ線の部分から折り曲げ線に隣接する領域に押し出される。
【0027】
さらに、第1及び/または第2のフィルター壁面を、その折り曲げ線において、残りの他の壁面領域とは異なる別の材料製とすることが、特定の用途においては有利である。すなわち、例えば、折り曲げ線の部分に、弾性係数がより低いか、及び/または、より軽易に塑性変形できる材料を用いることができる。また、フィルター壁面の材料を、補足的な後処理(例えば、放射線照射、熱処理、化学処理)によって、折り曲げに有利な特性を備えた別の材料となるように特性変化させることが可能である。
【0028】
第1及び/または第2のフィルター壁面の折り曲げ線に目打ちを施すと特に有利である。この方法によって、折り曲げ線の部分が弱くなり、折り曲げ線に沿った良好な変形可能性が備わって、本発明の長所が実現される。目打ちは、一様間隔の穿孔、長穴等の形で形成することができる。
【0029】
本発明の別の態様は、上記のタイプのフィルター要素を互いに横及び/または上下に複数個配置したガスフィルターである。本発明に関わるフィルター要素は、製造上の制限、特にフィルター要素製作の出発点となる半製品材料の入手上の制限のために、通常、限定された寸法でしか利用することができない。従って、大きな流入及び流出面積を有するガスフィルターを製作するためには、普通、複数のフィルター要素を相互に配列する必要がある。この場合、フィルター要素を、一方では、長い壁面に延びるガスフィルターを実現するために側面において相互に並べて配置することができ、さらに、高い高さに延びるガ
スフィルターを実現するために相互に上下に配置することができる。最後に、本発明に関わるフィルター要素を相前後に配列して、第1のフィルター要素によってろ過された空気を、第1のフィルター要素を出た後、その後側に配置される第2のフィルター要素に流入させ、そこで改めてろ過する方式も、特定に用途においては有利である。この方式でろ過性能を向上させることができる。特に、上記の配列の組み合わせが、多くの用途において有利である。
【0030】
本発明に関わるガスフィルターは、フィルター要素を相互に上下に配列し、結合部材を用いて相互に連結することによって改良することができる。この結合部材は、上側のフィルター要素を嵌め込むための上部嵌め込み領域と、下側のフィルター要素を嵌め込むための下部嵌め込み領域と、両嵌め込み領域間に配置される粒子物質集合領域と、上部嵌め込み領域と粒子物質集合領域との間に配置される少なくとも1つの開口とを含んでいる。粒子物質はこの開口を通って上側のフィルター要素から粒子物質集合領域に落下することができる。
【0031】
本発明に関わる結合部材によって、複数のフィルター要素を特にコスト面で有利にかつ安定的に鉛直配列することができる。この場合、本発明に関わる結合部材によって、フィルター要素清浄化の際に、上側のフィルター要素に捕集された粒子物質を下側のフィルター要素を通過させて排除する操作が不要になる。この操作は、下側のフィルター要素を閉塞させる結果に至る場合が多い操作である。この方式によって、上下に積み重ねた複数個のフィルター要素からなるガスフィルターの効率的な構造が可能になり、捕集された粒子物質を重力利用して排除することによって、特にガスフィルターの下部領域に問題が生じることがなくなるのである。
【0032】
この場合、閉じられた状態では粒子物質集合領域を周囲環境から遮断し、開かれた状態では粒子物質集合領域から捕集された粒子物質を排除し得るようにする開口蓋を設けると特に有利である。この開口蓋は、送風機運転中の通常の運転状態においては、集合領域内で粒子物質が吹き上げられないように閉じられている。送風機が停止されると、本発明のガスフィルターを清浄化するために、この開口蓋を開いて、捕集された粒子物質を容易に排除処理することができる。
【0033】
上記の両実施形態は、粒子物質集合領域と上部または下部嵌め込み領域との間に水平の壁面体部分を設けることによって、さらに改良することができる。この水平の壁面体部分は、結合部材の粒子物質集合領域からフィルター要素の中間流動領域へ原ガスが流入するのを阻止するためのものである。この方式は、第1のフィルター壁面が折り曲げられている場合に、原ガスの流れが、フィルター要素の上端及び下端に形成される突き出た折り曲げ部分の側方開口を通過して中間流動領域に流入することを避けるために特に有利である。この原ガスの中間流動領域への流入は、ろ過に必要な流れの方向ではない方向に生じ、その結果、粒子物質がフィルター要素を通過してしまう可能性を招来するのである。
【0034】
さらに、本発明に関わるガスフィルターにおいて、最下部のフィルター要素も前記のタイプの結合部材によって底部に支持すると有利である。この場合、結合部材の下部嵌め込み領域は確かに下側のフィルター要素を嵌め込むために形成されたものであるが、しかしフィルター要素を底部に支持する機能をも果たす。これは、本発明に関わるフィルターの安価かつ手の掛からない実施形態を表している。
【0035】
本発明に関わるフィルター要素は、基本的に、粒子物質を含有する原ガスの流れから粒子物質を分離するために、次のステップ、すなわち、
a)フィルター要素の第1のフィルター壁面における第1の複数の貫通開口を通しての原ガス流れの導入、
b)フィルター要素の第2のフィルター壁面で、流れの方向において第1のフィルター壁面の後側に配置される第2のフィルター壁面における第2の複数の貫通開口を通しての清浄ガス流れの排出、及び、
c)原ガス流れに含まれる粒子物質の少なくとも一部を第2のフィルター壁面のバッフル壁面領域上に遠心力分離するための、第1及び第2のフィルター壁面間に形成される中間流動空間内における原ガス流れの方向転換、
の各ステップを備えたろ過プロセスに従って作動する。
d)この場合、分離された粒子物質は、中間流動空間内に集積するかあるいはバッフル壁面領域表面に付着し、
e)分離された粒子物質は、中間流動空間から排出される。
【0036】
このろ過プロセスは、フィルター要素内に集積した粒子物質のために通過容積流量が低下してもフィルター要素を交換する必要がなく、この場合も、中間流動空間から粒子物質を排除してこれによって当初の通過容積流量を回復することができるという利点を有している。この場合、粒子物質の排除は連続的または非連続的に行うことができる。
【0037】
分離された粒子物質が重力の作用で排除されると特に有利である。この場合は、中間流動空間を鉛直方向に配置して、これによって分離された粒子物質が簡単に排除され得るようにするのが望ましい。
【0038】
さらに、分離された粒子物質を、第1及び/または第2のフィルター壁面への機械的な作用によって排除することができる。これは、例えば、フィルター要素に対する手動操作によって、あるいは、フィルター要素に固定されたバイブレータまたはハンマー装置等によって行うことができる。
【0039】
分離された粒子物質を液体の流れで除去することが特に可能である。この場合は、液体の流れによる粒子物質の排除は、間欠的に、好ましくは定期的な時間間隔で行うことができる。例えば、粒子物質の排除を中間流動空間に蓄積した粒子物質の量に応じて行うことも効果的である。このようにすると、粒子物質の分離が、常に一定のフィルター汚染程度において行われることになる。
【0040】
液体の流れをバッフル壁面領域に沿って導入することによって、好ましくは高圧洗浄剤によるフィルター要素の清浄化によって、粒子物質の排除を行うことが特に可能である。
【0041】
次に、以上に述べたタイプのフィルター要素もしくはガスフィルターを製造するための種々の製造法について記述する。
【0042】
好ましい製造方法は、次のステップ、すなわち、
第1のフィルター壁面用の第1の壁面プレートの準備、
第2のフィルター壁面用の第2の壁面プレートの準備、
第1のフィルター壁面への第1の開口の加工、
第2のフィルター壁面への第2の開口の加工、及び、
第1のフィルター壁面と第2のフィルター壁面との接合であって、第2の開口が流れの方向において第1の開口に対して位置を変えて配置されるような接合、
の各ステップを含んでいる。
但し、第1及び/または第2の壁面プレートは、耐水性の材料好ましくはプラスチックで被覆処理される。
【0043】
この場合、開口は、両フィルター壁面を接合する前に、例えば打ち抜きまたは機械穿孔によって加工することが望ましい。両フィルター壁面の接合は、好ましくは、接着、溶接
、または機械的な締結法、例えば接合対の一方に連結切片を打ち抜き加工し、その連結切片をもう一方の接合対に対応して形成された開口の中に折り曲げる方式によって行われる。被覆処理は、開口の加工とフィルター壁面の接合との前に行ってもよく、例えば、第1及び/または第2の壁面プレート用の材料として被覆処理済みの材料を用いることができる。しかし、被覆処理は開口加工の後に行う方が好ましい。この方法によって、場合によっては開口加工によって生じた切断端の完全なシールも行われ、完全な耐水性を備えたフィルター要素を製造することができる。
【0044】
この場合は、被覆処理を浸漬法によって行うのが望ましい。この方法は、外から近づき難い壁面領域の完全な被覆処理をも保証する。
【0045】
もう1つの好ましい製造方法は、次のステップ、すなわち、
第1のフィルター壁面用の第1の壁面プレートの準備、
第2のフィルター壁面用の第2の壁面プレートの準備、
第1のフィルター壁面への第1の開口の加工、
第2のフィルター壁面への第2の開口の加工、及び、
第1のフィルター壁面と第2のフィルター壁面との接合、
の各ステップを含んでいる。
但し、第1及び/または第2のフィルター壁面は、押し出し成形法によってプラスチックから製造される。
【0046】
この製造法においては、第1及び/または第2の壁面プレートが、安価にかつ再生可能な形で耐水性の材料から製造され、これによってフィルター要素の耐水性が保証される。
【0047】
この場合、第1及び/または第2の壁面プレートに、直線状の折り曲げ領域であって、残りの壁面領域よりも変形しやすい折り曲げ領域を設けると有利である。このように生成された直線状の折り曲げ領域は、フィルター要素の製造に必要な折り曲げを実施するために使用することができる。この場合、この直線状の折り曲げ領域を多数並べて、互いに平行に配置すれば特に有利である。これによって、交互にジグザグ形状となる折り曲げを実現することができる。折り曲げ領域の変形の可能性は、弾性領域においても、塑性領域においても、あるいは弾塑性領域においても同様に、残りの壁面領域におけるよりも良好にするとよい。良好な変形可能性の定義については前記の記述による。
【0048】
この場合、第1及び/または第2の壁面プレートに、直線状の材料弱体化個所を作り出すと効果的である。これによって、壁面プレートに折り曲げ力をかけると、壁面プレートが直線状の材料弱体化個所に沿って都合よく折れ曲がるので、折り曲げが容易になる。
【0049】
さらにまた、変形の可能性を、主として削り取りなしの成形法による壁面厚さの低減によって向上させることは好ましい手法である。すなわち、例えば、直線状の型押し工法によってこの壁面厚さの低減を実現することができるが、この場合は、その直線状の領域から材料が側方に押し出される。さらに、削り取りの方法、例えば、刻み目加工、ノッチ加工、フライス加工、平削加工等によって、所望の壁面厚さの低減を実現することができる。
【0050】
変形の可能性を、直線状の目打ちを施すことによって向上させることが特に可能である。この方法で材料を直線に沿って非連続的に取り除くことによって、構造的な弱体化が達成され、その弱体化によって、直線部分に力をかけると望ましい変形が生じる。
【0051】
直線状の折り曲げ領域を、押し出し機の後側に配置される壁面厚さの低減加工用または目打ち加工用の工具によって生成させることは特に好ましい。直線状の折り曲げ領域が押
し出し方向に延びていなければならない場合には、押し出し機から出てくる壁面プレート上に作用するように配置される工具が、例えば型押し工具の形で、壁面厚さの低減または目打ちを、対応して回転するピン、歯等によって加工することができる。直線状の折り曲げ領域が押し出し方向に対して横方向に延びていなければならない場合には、壁面厚さの低減または目打ちの形の材料の弱体化を、押し出し方向に対して横方向に壁面プレートの上を移動する工具、基本的には斜めに移動する工具によって生成することができ、これによって、押し出し工程が進行する際に、押し出し方向に垂直に配列される材料の弱体化を加工することができる。
【0052】
従って、型押しまたは目打ち加工を、例えば、押し出し方向に対して横方向に延びるロールが、押し出し機の下流側で、押し出された壁面プレート上に回転作用する方式で行うことができ、この加工方法によって所要の材料弱体化が実現される。このロールの周囲には、相応の型押しまたは目打ちの加工器具が、押し出し方向に対して平行または横方向に配置されて装着されている。
【0053】
直線状の折り曲げ領域が押し出し方向に延びている方式が特に望ましい。折り曲げ領域が延びる方向は構造技術上の重要な意味を有している。現在の場合必要な厚さの押し出しプレートの最大幅は限定されており、現在のところ最大約1.5m〜2mだからである。前記の製造法で作られるフィルター要素は、後に使用される場合に、集積した粒子物質を中間流動領域から容易に排除することができるように、折り曲げを鉛直方向に向けて配置されるので、押し出し方向に対する折り曲げの配列を、後に所望される全フィルター要素の形状に適合させる必要がある。従って、フィルター要素を水平方向に幅広く延びる壁面に取り付けなければならないような用途に対しては、折り曲げが押し出し方向に対して横方向に延びている方が有利である。なぜなら、この場合は、高さは制限されている(最大押し出し幅に等しい)が、任意の長さのフィルター壁面もしくは任意の長さのフィルター要素を製造することができるからである。ところが、これに対して、製造されるフィルター要素が、後の使用形態において、主として鉛直方向に延びているが水平方向には小さな幅しかカバーする必要がないように想定される場合は、折り曲げが押し出し方向に延びている方が有利である。この場合は、その幅は最大押し出し幅によって制限されるものの、任意の高さのフィルター壁面もしくは任意の高さのフィルター要素の製造が可能だからである。この幅は、場合によっては壁面プレートを折り曲げることによってさらに短縮される。この場合は、実際のフィルター壁面幅は縮減し、例えば折り曲げ角度を30°とすると半分になる。
【0054】
直線状の折り曲げ領域が押し出し方向に延びている場合は、直線状の折り曲げ領域を押し出し機によって生成することが望ましい。この押し出し機は、壁面厚さの低減を生成するための対応する突起を備えた、壁面プレートの断面に合致する押し出し開口を有している。この場合は、材料厚さの低減を押し出し機においてすでに実現することができる。
【0055】
さらにこの場合は、塑性的変形の可能性を、直線状の折り曲げ領域において変形性のさらによい材料を共有押し出し成形することによって向上させると有利である。この方式によれば、低弾性係数の材料を直線状に壁面プレートの押し出し材の中に埋入して、これによって折り曲げ領域を規定することができる。
【0056】
本発明に関わる製造方法においては、第1及び/または第2の開口を、打ち抜き加工によって第1または第2のフィルター壁面に加工すると特に有利である。
【0057】
さらに、開口加工を折り曲げ工程の前に施工することが望ましい。
【0058】
折り曲げを押し出し方向に配列する場合は、第1及び/または第2のフィルター壁面を
、断面がジグザグ形状の押し出し機によって、連続して交互に折り曲げられた壁面体として押し出し加工することが特に望ましい。この方法によって、最大押し出し幅を完全に利用することができ、最大幅のフィルター壁面を製造することができる。またこの方法によって、平板の壁面プレートを押し出し、その後で折り曲げる場合に生じるフィルター壁面幅の縮減を避けることができる。
【0059】
この場合、第1及び第2のフィルター壁面を、互いに離れた2つのジグザグ断面形状の押し出し断面を有する押し出し機によって、連続して交互に折り曲げられた2つの壁面体として押し出し加工することが特に望ましい。この方法によって、2つのフィルター壁面を、垂直方向に互いに離れた2つの押し出し工具によって平行に押し出し成形することができ、これによって、押し出し工程後の2つのフィルター壁面の平行な後加工をより簡易に行うことができる。
【0060】
特に、第1及び第2のフィルター壁面を、押し出し工程後に、主として、溶接、接着、または機械的な締結法によって相互に接合することができる。これについては前記の記述が参照される。
【0061】
第1及び第2のフィルター壁面を、互いに接合された形で押し出し成形することが特に望ましい。この場合は、両フィルター壁面が単一の押し出し工具で成形されるが、その押し出し工具は2つのジグザグ形状の隙間を有しており、その2つの隙間は接合個所において一緒に集合され、特に連結リブまたは類似構造の接合領域が、押し出される2つの壁面体の間ですでに押し出し工程において形成され、その結果、両フィルター壁面を続いてその後接合しなくても済むようにされる。
【0062】
フィルター壁面が平板面として押し出される場合には、フィルター壁面を、押し出し機に後接続される成形機、特に熱成形機によって交互に折り曲げることが望ましい。この成形加工は、通常のロール加工法、ロール型押し加工法、または深絞り加工法によって行うことができる。この場合、壁面プレートの良好な塑性変形状態を形成するために、工具を加熱することができる。さらに、フィルター壁面を、成形工程前に別の加熱手段によって加熱することができる。
【0063】
この場合、押し出されたフィルター壁面を、折り曲げ工程の前あるいはその工程中に、押し出し方向に対して横方向に引き伸ばすことが特に望ましい。これによって、製造可能な最大フィルター要素幅の制限因子としての利用可能な最大押し出し幅の問題が製造技術的に解決される。すなわち、壁面厚さを厚くして壁面プレートを押し出し、引き続いてこの壁面プレートを、例えばロール工法で押し出し方向に対して横方向に引き伸ばすことによって、より大きな幅に拡幅することができるからである。
【0064】
この場合、開口は、折り曲げ工程の前後、及び、拡幅工程の前後に加工することができる。この場合、状況によって、開口加工用の工具及び工具寸法の選択に際して、後続する引き伸ばし加工または壁面領域の配列に配慮するべきである。
【0065】
直線状の折り曲げ領域を押し出し方向に対して横方向に走らせると特定の用途の場合に有利である。
【0066】
開口は、折り曲げられたフィルター断面に適合した母型工具を用いて折り曲げ工程の後に加工することができるが、それが好ましい。
【0067】
最後に、前記のタイプのフィルター要素のさらに別の製造方法は、次のステップ、すなわち、
第1のフィルター壁面用の第1の壁面プレートの準備、
第2のフィルター壁面用の第2の壁面プレートの準備、
第1のフィルター壁面への第1の開口の加工、
第2のフィルター壁面への第2の開口の加工、及び、
第1のフィルター壁面と第2のフィルター壁面との接合、
の各ステップを含んでいる。
但し、第1及び/または第2のフィルター壁面は、熱成形法によってプラスチックの半製品から製造される。
【0068】
熱成形法によって、一方では、平板形状の原料半製品から、ただ1つの加工工程で対応する折り曲げられたフィルター壁面を製造することが可能になる。
【0069】
さらに、熱成形法の場合は、第1または第2の壁面プレートにおける開口を直接形成することができるので、この開口を加工するための後続の工程を省くことができる。
【0070】
次に、本発明に関わるフィルター要素の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
【0071】
図1及び2に示されるフィルター要素は、図3及び4に詳細が表現される第1のフィルター壁面10を含んでおり、このフィルター壁面に、図5及び6に詳細が表現される第2のフィルター壁面20が直線状の接合領域30に沿って固定される。図2は、流れの流出側から見たフィルター要素の透視図を示す。ここで、第2のフィルター壁面は、フィルター要素の構造をよく理解するために透明に表現されている。
【0072】
第1のフィルター壁面10は、交互に内側及び外側に折り曲げられており、外側の折り曲げ稜線11と内側の折り曲げ稜線12とが交互に生じている。
【0073】
内側の折り曲げ稜線12の領域には、第1のフィルター壁面に、折り曲げ線12に沿って規則的な間隔で、開口13が形成されている。この開口13は、内側の折り曲げ線12を包摂しており、折り曲げ線12で合体している第1のフィルター壁面10の2つの壁面体領域14、15に及んでいる。この場合、この開口は、正確に折り曲げ線の中央に配列されているのではなく、若干偏心していて、開口13の大きい方の部分が第1のフィルター壁面の壁面体領域14に広がっており、開口13の小さい方の部分が、壁面体領域14に接続している第1のフィルター壁面の壁面体領域15に広がっている。
【0074】
第2のフィルター壁面も、第1のフィルター壁面と同様に交互に内側及び外側に折り曲げられており、その結果、内側の折り曲げ稜線21と、外側の折り曲げ稜線22と、折り曲げ稜線間の壁面体部分24、25とが生じている。第2のフィルター壁面の内側の2つの折り曲げ稜線21間の距離は、第1のフィルター壁面の外側の2つの折り曲げ稜線11間の距離と全く同じ大きさである。
【0075】
第2のフィルター壁面は第1のフィルター壁面よりも鋭い角度で折り曲げられており、第2のフィルター壁面の2つの折り曲げ間の壁面体部分は、第1のフィルター壁面の2つの折り曲げ間の壁面体部分よりも長い。
【0076】
第1のフィルター壁面と第2のフィルター壁面とは、第2のフィルター壁面の内側の折り曲げ個所21が第1のフィルター壁面の外側の折り曲げ個所11と接するように互いに接合される。この領域では、両フィルター壁面が直線状に相互に接している。2つのフィルター壁面は、この2つの折り曲げ個所に沿って、連続的に(例えば接着によって)または非連続的に(例えば点溶接によって)相互に接合することができる。
【0077】
第2のフィルター壁面の内側の折り曲げ個所間の2つの壁面体領域は1つの三角断面を形成する。この三角形の壁面体断面の1つの側面に、開口23が、規則的な間隔で、第2のフィルター壁面の折り曲げ線に沿って、外側の折り曲げ22と内側の折り曲げ21との間に加工される。
【0078】
開口23は、流れの方向において、第1のフィルター壁面の開口13とは位置が変えられている。開口23は、第1のフィルター壁面の開口13がその偏心によって広い部分を占めている方の側とは反対側の壁面体領域に設けられる。
【0079】
第1及び第2のフィルター壁面の間には、中間流動領域40が形成され、その領域は、流路の形で折り曲げの方向に延びており、折り曲げ11、21の部分における両フィルター壁面の接合によって、複数の平行に延びる流路に分割される。
【0080】
第1の開口を通過して流れ込む原空気は、第2のフィルター壁面の外側の折り曲げ個所22の方に向かって、中間流動領域40に流入する。原ガスの流れは、中間流動領域の中で、第2のフィルター壁面の出口開口23の方向にほぼ直角に方向転換させられる。原ガス流れの中の高密度粒子物質はこの方向転換に追随することができず、第2のフィルター壁面の外側の折り曲げ稜線22の周りに形成されるバッフル壁面領域26に衝突する。粒子物質はここに付着するか、あるいは、この部分にすでに付着している粒子物質上に堆積するか、あるいは、上記のフィルター要素の場合鉛直方向に配置される折り曲げ線22に沿って重力作用で落下する。
【0081】
図7及び8に関しては、本発明に関わる結合部材が2つのU字形状構造50、60を含んでいる。このU字形状構造は、互いに間隔をおいて、側辺がそれぞれ互いに反対向きとなるように対向配置され、互いに平行に延びている。2つのU字形状構造50、60の間には、断面が矩形の中間空間が設けられており、U字形状構造の延長方向に沿って延びている側壁71と、上下の2つのU字形状構造の底面と、開口蓋72とが、この中間空間の境界を形成している。開口蓋72は、複数個の蝶番73によって上部のU字形状構造の側辺に固定されており、両U字形状構造50、60の間の中間空間内を操作し得るようにするために、取っ手74で開くことができる。
【0082】
上部のU字形状構造50の底面は、長さ方向に延びる開口51、または、長さ方向に相互に間隔をおいた複数個の開口51を備えており、この開口を通して、上部U字形状構造の両側辺間に取り付けられた上部のフィルター要素内に集積した粒子物質を、中間空間70の中に落下させることができる。この落下する粒子物質は、斜めに配置されたすべり面75に当たって、その上を開口蓋72の方に向かって滑落する。
【0083】
下部のU字形状構造の底面は閉止されたままである。開口51は、突き出た折り曲げ部分を通って原ガスが中間流動領域に流入するのを壁面体領域53によって阻止できるように、上部U字形状構造の空気流入側の側辺52から距離をおいて設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に関わるフィルター要素の一部の断面図である。
【図2】本発明に関わるフィルター要素の一部の透視図である。
【図3】第1のフィルター壁面の一部の平面図である。
【図4】第1のフィルター壁面の一部の断面図である。
【図5】第2のフィルター壁面の平面図である。
【図6】第2のフィルター壁面の一部の断面図である。
【図7】2つのフィルター要素を連結するための結合部材の透視図である。
【図8】図7の結合部材の断面図である。
【符号の説明】
【0085】
10 第1のフィルター壁面 11 外側の折り曲げ稜線
12 内側の折り曲げ稜線 13 開口
14、15 壁面体領域 20 第2のフィルター壁面
21 内側の折り曲げ稜線 22 外側の折り曲げ稜線
23 開口 24、25 壁面体部分
26 バッフル壁面領域 30 接合領域
40 中間流動領域 50、60 U字形状構造
51 開口 52 側辺
53 壁面体領域 71 側壁
72 開口蓋 73 蝶番
74 取っ手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子物質を含有する原ガスの流れから粒子物質を分離するためのフィルター要素であって、
汚染原ガスを導入するための第1の複数の貫通開口(13)を有する第1のフィルター壁面(10)と、
流れの方向において第1のフィルター壁面の後側に設けられる第2のフィルター壁面(20)であって、清浄ガスを排出するための第2の複数の貫通開口(23)を有する第2のフィルター壁面(20)と、
前記第1及び第2のフィルター壁面間に形成された中間流動空間(40)と、
を含んでおり、
さらに、前記第2の貫通開口(23)は、流れの方向において、前記第1の貫通開口(13)に対して位置を変えて配置されており、
前記第2のフィルター壁面は、前記第1の貫通開口を通過する粒子物質の少なくとも一部が衝突するように配置された少なくとも1つのバッフル壁面領域(26)を有しており、かつ、
前記第1及び/または第2のフィルター壁面は、前記中間流動空間に対して交互に内側及び外側に折り曲げられた壁面体として、特に折り曲げられた箔またはプレートとして形成されているフィルター要素において、
前記第1及び/または第2のフィルター壁面の壁面体が、折り曲げ領域(11、12;21、22)において、その他の壁面体領域(14、15;24、25)に比較して高い変形可能性を有していることを特徴とするフィルター要素。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルター要素において、
前記第1(10)及び/または第2(20)の全フィルター壁面が耐液体性に構成されていることを特徴とするフィルター要素。
【請求項3】
請求項1の前段部分に基づくフィルター要素または請求項1または2に記載のフィルター要素において、
耐液体性の前記バッフル壁面領域もしくは前記フィルター壁面(10;20)が、基礎材料、主として紙または厚紙から作られ、耐液体性の材料で被覆されていることを特徴とするフィルター要素。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルター要素において、
前記第2のフィルター壁面(20)の、フィルター要素において外側の折り曲げ個所(22)の周りの領域(26)が前記バッフル壁面領域であることを特徴とするフィルター要素。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルター要素であって、両方のフィルター壁面が折り曲げられているフィルター要素において、
前記第1のフィルター壁面の外側の折り曲げ(11)間の距離が、前記第2のフィルター壁面の内側の折り曲げ(21)間の距離に等しく、かつ、2つのフィルター壁面が、互いに対してそれぞれ同じ方向の折り曲げが向かい合うように配置されることを特徴とするフィルター要素。
【請求項6】
請求項5に記載のフィルター要素において、
前記第1の貫通開口(13)が、前記第1のフィルター壁面の内側の折り曲げ(12)の領域に配置されることを特徴とするフィルター要素。
【請求項7】
請求項5または6に記載のフィルター要素において、
前記第1の貫通開口(13)が、前記第1のフィルター壁面の外側の折り曲げ(11)の領域に配置されることを特徴とするフィルター要素。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載のフィルター要素において、
前記第2の貫通開口(23)が、前記第2のフィルター壁面の内側の折り曲げ(21)の領域に配置されることを特徴とするフィルター要素。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載のフィルター要素において、
前記第2の貫通開口(23)が、前記第2のフィルター壁面の折り曲げ(21、22)間の壁面体領域(24、25)に配置されることを特徴とするフィルター要素。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のフィルター要素において、
前記第1及び/または第2のフィルター壁面の壁面体が、その折り曲げ線において、その他の壁面体領域に比較して低い剛性を有していることを特徴とするフィルター要素。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のフィルター要素において、
前記第1及び/または第2のフィルター壁面の壁面体が、その折り曲げ線において、少なくとも部分的にはその他の壁面体領域に比較して薄い壁面厚さを有していることを特徴とするフィルター要素。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のフィルター要素において、
前記第1及び/または第2のフィルター壁面の壁面体が、その折り曲げ線において、その他の壁面体領域とは別の材料特性を有していることを特徴とするフィルター要素。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のフィルター要素において、
前記第1及び/または第2のフィルター壁面の壁面体が、その折り曲げ線において、目打ちを備えていることを特徴とするフィルター要素。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のフィルター要素を、複数個互いに横に並べ及び/または複数個互いに上下に並べて配列したことを特徴とするガスフィルター。
【請求項15】
請求項14に記載のガスフィルターにおいて、
前記フィルター要素が上下に並べて配列され、結合部材によって相互に連結されており、この結合部材は、
上側の前記フィルター要素を嵌め込むための上部嵌め込み領域(50)と、
下側の前記フィルター要素を嵌め込むための下部嵌め込み領域(60)と、
前記両嵌め込み領域間に配置される粒子物質集合領域(70)と、
前記上部嵌め込み領域と前記粒子物質集合領域との間に配置される少なくとも1つの開口(51)であって、前記粒子物質がこの開口を通って前記上側のフィルター要素から前記粒子物質集合領域に落下することができる開口(51)と、
を含んでいることを特徴とするガスフィルター。
【請求項16】
請求項15に記載のガスフィルターにおいて、
開口蓋(72)であって、閉じられた状態では前記粒子物質集合領域を周囲環境から遮断し、開かれた状態では前記粒子物質集合領域から捕集された粒子物質を排除し得るようにする開口蓋(72)が設けられることを特徴とするガスフィルター。
【請求項17】
請求項15または16に記載のガスフィルターにおいて、
前記粒子物質集合領域と前記上部または下部嵌め込み領域との間に水平の壁面体部分(53)が形成され、この壁面体部分によって、前記結合部材の粒子物質集合領域から前記フ
ィルター要素の中間流動領域への原ガスの流入を阻止することを特徴とするガスフィルター。
【請求項18】
請求項14〜17のいずれか1項に記載のガスフィルターにおいて、
最下部のフィルター要素が、請求項15〜17のいずれか1項に基づく結合部材によって底部に支持されることを特徴とするガスフィルター。
【請求項19】
粒子物質を含有する原ガスの流れから粒子物質を分離するためろ過プロセスで、次のステップ、すなわち、
フィルター要素の第1のフィルター壁面における第1の複数の貫通開口を通しての原ガス流れの導入と、
フィルター要素の第2のフィルター壁面で、流れの方向において第1のフィルター壁面の後側に配置される第2のフィルター壁面における第2の複数の貫通開口を通しての清浄ガス流れの排出と、
前記原ガスの流れに含まれる粒子物質の少なくとも一部を前記第2のフィルター壁面のバッフル壁面領域上に遠心力分離するための、前記第1及び第2のフィルター壁面間に形成される中間流動空間内における原ガス流れの方向転換と、
の各ステップを備えたろ過プロセスであって、さらに、
分離された粒子物質が、前記中間流動空間内に集積するかあるいは前記バッフル壁面領域表面に付着するろ過プロセスにおいて、
前記分離された粒子物質が、前記中間流動空間から排出されることを特徴とするろ過プロセス。
【請求項20】
請求項19に記載のろ過プロセスにおいて、
前記分離された粒子物質が重力の作用で排除されることを特徴とするろ過プロセス。
【請求項21】
請求項19または20に記載のろ過プロセスにおいて、
前記分離された粒子物質が、前記第1及び/または第2のフィルター壁面への機械的な作用によって排除されることを特徴とするろ過プロセス。
【請求項22】
請求項19〜21のいずれか1項に記載のろ過プロセスにおいて、
前記分離された粒子物質が液体の流れによって除去されることを特徴とするろ過プロセス。
【請求項23】
請求項22に記載のろ過プロセスにおいて、
前記液体の流れによる粒子物質の排除が、間欠的に、特に定期的な時間間隔で行われることを特徴とするろ過プロセス。
【請求項24】
請求項22または23に記載のろ過プロセスにおいて、
前記粒子物質の排除が、前記壁面体領域に沿って液体の流れを導入することによって行われることを特徴とするろ過プロセス。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれか1項に記載のろ過プロセスにおいて、
前記粒子物質の排除が、高圧洗浄剤を用いた前記フィルター要素の清浄化によって行われることを特徴とするろ過プロセス。
【請求項26】
請求項1〜13のいずれか1項に基づくフィルター要素の製造方法であって、次のステップ、すなわち、
第1のフィルター壁面用の第1の壁面プレートの準備と、
第2のフィルター壁面用の第2の壁面プレートの準備と、
第1のフィルター壁面への第1の開口の加工と、
第2のフィルター壁面への第2の開口の加工と、
前記第1のフィルター壁面と前記第2のフィルター壁面との接合であって、前記第2の開口が流れの方向において前記第1の開口に対して位置を変えて配置されるような接合と、
の各ステップを含む製造方法において、
前記第1及び/または第2の壁面プレートを、耐水性の材料、特にプラスチックで被覆処理することを特徴とする製造方法。
【請求項27】
請求項26に記載の製造方法において、
前記被覆処理を前記開口加工の後に行うことを特徴とする製造方法。
【請求項28】
請求項26または27に記載の製造方法において、
前記被覆処理を浸漬法によって行うことを特徴とする製造方法。
【請求項29】
請求項1〜13のいずれか1項に基づくフィルター要素の製造方法であって、次のステップ、すなわち、
第1のフィルター壁面用の第1の壁面プレートの準備と、
第2のフィルター壁面用の第2の壁面プレートの準備と、
第1のフィルター壁面への第1の開口の加工と、
第2のフィルター壁面への第2の開口の加工と、
前記第1のフィルター壁面と前記第2のフィルター壁面との接合と、
の各ステップを含む製造方法において、
前記第1及び/または第2のフィルター壁面を押し出し成形法によってプラスチックから製造することを特徴とする製造方法。
【請求項30】
請求項29に記載の製造方法において、
前記第1及び/または第2のフィルター壁面に、直線状の折り曲げ領域であって、残りの壁面領域よりも変形しやすい折り曲げ領域を設けることを特徴とする製造方法。
【請求項31】
請求項30に記載の製造方法において、
前記第1及び/または第2の壁面プレートに、直線状の材料弱体化個所を作り出すことを特徴とする製造方法。
【請求項32】
請求項30または31に記載の製造方法において、
前記変形の可能性を、壁面厚さの低減によって、主として削り取りなしの成形法によって向上させることを特徴とする製造方法。
【請求項33】
請求項30〜32のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記変形の可能性を直線状の目打ちによって向上させることを特徴とする製造方法。
【請求項34】
請求項30〜33のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記直線状の折り曲げ領域を、押し出し機の後側に配置される壁面厚さの低減加工用または目打ち加工用の工具によって生成させることを特徴とする製造方法。
【請求項35】
請求項29〜34のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記直線状の折り曲げ領域が押し出し方向に延びていることを特徴とする製造方法。
【請求項36】
請求項35に記載の製造方法において、
前記直線状の折り曲げ領域を、壁面厚さの低減を作り出すための対応する突起を備えた、
壁面プレートの断面に合致する押し出し開口を有する押し出し工具によって生成させることを特徴とする製造方法。
【請求項37】
請求項35または36に記載の製造方法において、
塑性的変形の可能性を、前記直線状の折り曲げ領域において変形性のさらによい材料を共有押し出し成形することによって向上させることを特徴とする製造方法。
【請求項38】
請求項26〜37のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記第1及び/または第2の開口を、打ち抜き加工によって前記第1または第2のフィルター壁面に設けることを特徴とする製造方法。
【請求項39】
請求項26〜38のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記開口加工を前記折り曲げ工程の前に施工することを特徴とする製造方法。
【請求項40】
請求項35〜38のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記第1及び/または第2のフィルター壁面を、断面がジグザグ形状の押し出し機によって、連続して交互に折り曲げられた壁面体として押し出し加工することを特徴とする製造方法。
【請求項41】
請求項40に記載の製造方法において、
前記第1及び第2のフィルター壁面を、互いに離れた2つのジグザグ断面形状の押し出し断面を有する押し出し機によって、連続して交互に折り曲げられた2つの壁面体として押し出し加工することを特徴とする製造方法。
【請求項42】
請求項41に記載の製造方法において、
前記第1及び第2のフィルター壁面を、押し出し工程後に、主として溶接、接着、または機械的な締結法によって相互に接合することを特徴とする製造方法。
【請求項43】
請求項41に記載の製造方法において、
前記第1及び第2のフィルター壁面を互いに接合された形で押し出し成形することを特徴とする製造方法。
【請求項44】
請求項35〜43のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記第1及び第2のフィルター壁面を、押し出し機に後接続される成形機、特に熱成形機によって交互に折り曲げることを特徴とする製造方法。
【請求項45】
請求項44に記載の製造方法において、
押し出された前記第1及び/または第2のフィルター壁面を、折り曲げ工程の前あるいはその工程中に、押し出し方向に対して横方向に引き伸ばすことを特徴とする製造方法。
【請求項46】
請求項26〜34のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記直線状の折り曲げ領域が押し出し方向に対して横方向に延びていることを特徴とする製造方法。
【請求項47】
請求項26〜46のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記開口を、折り曲げられたフィルター断面に適合した母型工具を用いて折り曲げ工程の後に加工することを特徴とする製造方法。
【請求項48】
請求項1〜13のいずれか1項に基づくフィルター要素の製造方法であって、次のステップ、すなわち、
第1のフィルター壁面用の第1の壁面プレートの準備と、
第2のフィルター壁面用の第2の壁面プレートの準備と、
第1のフィルター壁面への第1の開口の加工と、
第2のフィルター壁面への第2の開口の加工と、
前記第1のフィルター壁面と前記第2のフィルター壁面との接合と、
の各ステップを含む製造方法において、
前記第1及び/または第2のフィルター壁面を熱成形法によってプラスチックの半製品から製造することを特徴とする製造方法。
【請求項49】
請求項48に記載の製造方法において、
前記開口を、前記第1または第2のフィルター壁面を熱成形する際に形成することを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−136880(P2006−136880A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322586(P2005−322586)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(505412432)ビッグ ダッチマン インターナショナル ジーエムビーエッチ (2)
【Fターム(参考)】