説明

再生細骨材の製造方法

【課題】原料であるコンクートガラに破砕及び磨砕を加える機械的な処理方法を採用する場合に、再生骨材製造時の環境負荷低減、エネルギー負荷の低減を実現して、再生細骨材の品質を向上させることができる再生細骨材の製造方法を提供する。
【解決手段】(1)原料(コンクリートガラ)を10mmふるいで分級し、10〜40mmと5〜10mm(材料1)に分け、
(2)10〜40mmを機械式すりもみ装置に投入し、5mm以上と5mm以下(材料2)に分け、
(3)前記材料1と材料2を混合し、再度、機械式すりもみ装置に投入し、得られた5mm以下(1mm以下の微粉末は除く)を再生細骨材とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物を解体した際に発生するコンクリート塊を原料として再生細骨材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境負荷低減の技術として、解体コンクリート塊を原料として再生骨材を製造し、建築物の構造用コンクリートに再利用する取組みが行なわれている。
【0003】
現状では、解体コンクリート塊を簡易に破砕した後に得たコンクリートガラを原料として再生骨材を得るのに、すりもみ装置やケージ型の磨砕装置による破砕及び磨砕を加える機械的な処理を行うもの、加熱炉に投入して加熱処理するものなどがあり、破砕及び磨砕を加える機械的な処理を行うものとして特許文献1〜3のものがある。
【特許文献1】特許第3261125号
【特許文献2】特開2006−205118号公報
【特許文献3】特開2008−104910号公報
【0004】
これらは、図1に示すように、一端部に被摩砕物を取り入れる導入口1が設けられ他端部に摩砕後の被摩砕物を排出する排出口2が設けられたドラム体3と、このドラム体3内を該ドラム体3の軸長方向に貫く回転軸4と、この回転軸4に該回転軸4に対し傾斜した角度で取り付けられ前記ドラム体3内を区画して該ドラム体3内に相互に連通する複数の摩砕室6を形成する仕切部材5と、前記摩砕室6内に装填された所要数の金属製のボールである摩砕用装填材8とから構成され、前記摩砕用装填材8は、前記仕切部材5が回転することによって上昇落下を繰り返し且つ回転軸4の軸長方向に往復運動するものである。
【0005】
特許文献2は、図示は省略するが、仕切部材5の表面に複数のビットを突設したもので、仕切部材5の表面にビットが突設されているので、ボール等の摩砕用装填材8がビットに当たることで仕切部材5の表面との摩擦が低減され、仕切部材5の交換頻度を少なくすることが可能となり、作業効率の向上と設備コストの低減を達成することができる。
【0006】
特許文献3は、前記特許文献2におけるビットの交換作業を容易にするため、外周縁に沿って間隔を空けて複数の切り込み部を形成し、該切り込み部に対してコの字状のブロック9を嵌合したものである。
【0007】
一方で、再生細骨材を高品質化する製造方法として、下記特許文献4に示すような、事前に原料であるコンクリートガラを加熱し付着モルタルを脆弱化するなどの方法がある。
【特許文献4】特開2003−26459号公報
【0008】
この特許文献4は、コンクリート塊を破砕して得られたコンクリート破砕材に対して熱風を用いた加熱処理を行った後、そのコンクリート破砕材から骨材を分離し再生する骨材再生方法であって、最大寸法で5mm以上のコンクリート破砕材に対して上記加熱処理を行うものである。
【0009】
また、少ないエネルギーによる処理方法として、下記特許文献5に示すようにケージ型の磨砕装置がある。
【特許文献5】特開2006−16277号公報
【0010】
この特許文献5は、ケーシングと、該ケーシング内で回転する円盤と、該円盤に同心円状に設けた複数のセラミックピンを有するケージ型摩砕装置を用いて、セメント・コンクリート粒状物を摩砕して、再生細骨材を製造するものである。
【0011】
ケージ型摩砕装置は、例えば、円筒状のケーシング内に設けられた円盤に多数のピンを円周に沿って配列することにより、籠形(すなわちケージ型)のローターを構成したものである。
【0012】
そのようなローターを回転させることにより、破砕されたコンクリート粒状物(被摩砕物)がピン又はケーシングと衝突し、その衝撃力を利用して、破砕されたコンクリート粒状物を摩砕する。
【0013】
また、製造フローについては下記特許文献6を初めとして様々なものがある。
【特許文献6】特開2004−238274号公報
【0014】
この特許文献6は、コンクリート廃材からなる原料を、第1のふるい装置に供給してふるい分けし、ふるい分けされた所定粒径以下の成分を、粒子相互間の衝撃摩砕作用により破砕を行う破砕装置に供給して破砕し、破砕された成分を分級機により分級して微細粒子を集塵機にて回収し、残りの破砕物を再生砂として回収するとともに、前記ふるい分けされた所定粒径以上の成分を粒子同士のもみ合いを利用する磨鉱作用により研磨を行う研磨装置に供給して研磨し、研磨後の成分を第2のふるい装置に供給してふるい分けして得られた所定粒径範囲の成分を再生骨材として回収するものである。
【0015】
前記特許文献6は、ふるい、破砕機、研磨装置を使用し、破砕機としてはジョークラッシャー等の圧縮破砕機、インペラ−ブレーカー(商品名:川崎重工株式会社製)等の打撃衝突作用を利用して破砕を行う破砕機、スーパーサンダー(商品名:川崎重工株式会社製)等の磨砕式の製砂機として使用されている破砕機が好適に使用されるとある。
【0016】
研磨装置としては、粒子同士のもみ合いを利用する磨鉱作用により研磨を行う研磨装置、例えばドラムリクレーマー(商品名:川崎重工株式会社製)やSK磨鉱機(商品名:株式会社セラ・テック製)が好適に使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
このようなコンクリート塊のリサイクルの促進に向けて、経済産業省は、平成17年3月20日付けで、「コンクリート用再生骨材H」のJIS(日本工業規格)を制定した。
【0018】
この中では再生骨材の分類をしており、分類された再生骨材H、M、Lは下記の通りである。
再生骨材H:破砕、磨砕、分級等の高度な処理を行い製造した骨材。一般用途のコンクリートに使用。
再生骨材M:破砕、磨砕などの処理を行い製造した骨材。杭、基礎梁など乾燥収縮や凍結融解の影響を受けない部分のコンクリートに使用。
再生骨材L:破砕して製造した骨材。高い強度や耐久性を求められない部分のコンクリートに使用。
【0019】
建築用を含めた再生骨材JIS規格とするためには、コンクリート中の鉄筋の腐食への影響、凍結によるコンクリートの強度低下の有無等の長期耐久性を確保することが必要となる。
【0020】
制定された再生骨材Hは、ビルなどの解体によって発生するコンクリート塊に破砕、磨砕、分級等の高度な処理を行って製造したコンクリート用骨材であり、コンクリートの製造に用いられる通常の骨材と同等の品質を有する再生骨材となっている。
【0021】
前記特許文献1〜3のものでは、得られる再生骨材の内、粒径が5mm以上の再生粗骨材については、比較的容易にJISA5021の規格を満たす高品質なものを得ることができるが、その時に得られる粒径が5mm以下の再生細骨材についてはJISA5021の規格を満たすことは難しい。(なお、ここでいうコンクリートガラとは、解体コンクリート塊を解体現場や中間処理施設で破砕機により粒径40mm以下程度に簡易に破砕したものをいう。)
【0022】
再生細骨材については、原料であるコンクリートガラに破砕及び磨砕を加える機械的な処理のみでは高品質化することは難しく、その製造方法に課題があった。
【0023】
特許文献4の場合、加熱という比較的多くのエネルギーを原料に加える必要がある。
【0024】
すなわち、これまで、再生細骨材の高品質化(JISA5021の規定値のうち、密度、吸水率も満たす再生骨材)が可能な製造方法の課題として、前処理に加熱を行うなど多くのエネルギーが必要なことが挙げられ、加熱設備の設置及び維持管理にコストが掛かるため、その普及に問題があった。
【0025】
また、再生細骨材の品質は、原料となる解体コンクリート中の原骨材の品質に影響を受けるため、少ないエネルギーによる処理方法の場合、これを考慮した工夫をしなければ、高品質化は困難と考えられた。
【0026】
特許文献5は、解体コンクリート中の原骨材の品質は考慮されておらず、また、投入原料の粒径は示されていない。
【0027】
特許文献6は、解体コンクリート中の原骨材の品質を考慮したものではない。
【0028】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、原料であるコンクートガラに破砕及び磨砕を加える機械的な処理方法を採用する場合に、再生骨材製造時の環境負荷低減、エネルギー負荷の低減を実現して、再生細骨材の品質を向上させることができる再生細骨材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は前記目的を達成するため、(1)原料(コンクリートガラ)を10mmふるいで分級し,10〜40mmと5〜10mm(材料1)に分け、(2)10〜40mmを、ドラム体内の回転軸に複数の摩砕室を形成する仕切部材を設け、装填材を摩砕室内に装填した機械式すりもみ装置に投入し、5mm以上と5mm以下(材料2)に分け、(3)前記材料1と材料2を混合し、再度、機械式すりもみ装置に投入し、得られた5mm以下(1mm以下の微粉末は除く)を再生細骨材とすること、および、機械式すりもみ装置は、ドラム体内の回転軸に複数の摩砕室を形成する仕切部材を設け、装填材を摩砕室内に装填したものであることを要旨とするものである。
【0030】
請求項1および請求項2記載の本発明によれば、投入原料の粒径範囲に着眼し、投入原料に原細骨材と比較して品質の良い原粗骨材を含むことにより、品質の向上を図ることとし、投入原料の粒径範囲を10mm以下とした。投入原料の粒径範囲を5mm以下とした場合と比較して、投入原料の粒径範囲を10mm以下としたときに、再生細骨材の品質が向上する。
【発明の効果】
【0031】
以上述べたように、本発明の再生細骨材の製造方法によれば、下記が可能となる。
(1)投入原料の粒径範囲を5mm以下とした場合と比較して、投入原料の粒径範囲を10mm以下としたときに、再生細骨材の品質(絶乾密度・吸水率)を向上することができる。
(2)再生細骨材の絶乾密度・吸水率が、高品質再生骨材(再生骨材H)のJIS規格値(JISA5021)を満たすことができる。
このため、本製造方法を、再生細骨材を高品質化する技術として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明は、本発明は破砕及び磨砕を加える機械的な処理を行うものとして、前記従来例でも説明した図1に示すような機械式すりもみ装置を用いるものである。
【0033】
この機械式すりもみ装置は、特許第3261125号公報、特開2006−205118号公報、特開2008−104910号公報にもあるように、一端部に被摩砕物を取り入れる導入口1が設けられ他端部に摩砕後の被摩砕物を排出する排出口2が設けられたドラム体3と、このドラム体3内を該ドラム体3の軸長方向に貫く回転軸4と、この回転軸4に該回転軸4に対し傾斜した角度で取り付けられ前記ドラム体3内を区画して該ドラム体3内に相互に連通する複数の摩砕室6を形成する仕切部材5と、前記摩砕室6内に装填された所要数の金属製のボールである摩砕用装填材8とから構成され、前記摩砕用装填材8は、前記仕切部材5が回転することによって上昇落下を繰り返し且つ回転軸4の軸長方向に往復運動するものである。
【0034】
まず、導入口1から被摩砕物を投入すると、被摩砕物は上流側から数えて1つ目の摩砕室6に入る。仕切部材5が回転軸4に対して傾斜しているので、仕切部材5は、前傾の状態と後傾の状態を回転軸4の軸長方向に素早く繰り返す。これにより、被摩砕物は上下方向に強く跳ね上げられた後落下し、その上昇落下が繰り返されるとともに、回転軸4の軸長方向に素早く往復運動する。これにより、被摩砕物は一つ目の摩砕室6内で摩砕処理される。
【0035】
一つ目の摩砕室6内である程度摩砕処理されると、被摩砕物は上流側から数えて1枚目の仕切部材5に設けた導通孔7(図2参照)を通過可能な大きさとなる。
【0036】
そのような大きさとなった被摩砕物は導通孔7を通過し、二つ目の摩砕室(6内に入る。二つ目の摩砕室6内には複数の摩砕用装填材8が入っており、これら装填材8は、傾斜した2枚の仕切部材5に衝突することよって強く跳ね上げられた後落下し、その上昇落下が繰り返されるとともに、回転軸4の軸長方向に素早く往復運動する。これにより、被摩砕物と摩砕用装填材8の衝突が満遍なく且つ激しく行なわれ、二つ目の摩砕室6内では効率よく摩砕処理が行なわれ、被摩砕物の粒径は更に小さくなる。
【0037】
二つ目の摩砕室6内である程度摩砕処理されると、被摩砕物は上流側から数えて2枚目の仕切部材5に設けた導通孔7を通過可能な大きさとなる。そのような大きさとなった被摩砕物は導通孔7を通過し、三つ目の摩砕室6内に入る。二つ目の摩砕室6内と同様の処理が三つ目、四つ目…の摩砕室6内でも行なわれ、所望の大きさになるまで被摩砕物は摩砕処理される。
【0038】
所望の粒径となった被摩砕物は、ドラム体3の排出口2から排出される。以上により、摩砕処理が完了する。
【0039】
特開2006−205118号公報に示されたものは、図示は省略するが、仕切部材5の表面に複数のビットを突設したもので、仕切部材5の表面にビットが突設されているので、ボール等の摩砕用装填材8がビットに当たることで仕切部材5の表面との摩擦が低減され、仕切部材5の交換頻度を少なくすることが可能となり、作業効率の向上と設備コストの低減を達成することができる。
【0040】
特開2008−104910号公報に示されたものは、特開2006−205118号公報のもののビットの交換作業を容易にするため、外周縁に沿って間隔を空けて複数の切り込み部を形成し、該切り込み部に対してコの字状のブロック9を嵌合したものである。
【0041】
ドラム体3は、円筒の上半分を構成する上半分面と、円筒の下半分を構成する下半分面を組み合わせることにより形成されており、上半分面の全体を開放することが可能となっている。
【0042】
回転軸4は、ドラム体3内を軸長方向に貫くように配設されており、その左右両端部にはそれぞれ油圧駆動のモータが接続され、これら2つのモータの駆動によって回転するように構成されている。
【0043】
回転軸4の一端部にのみモータを接続した場合、回転時に中心軸自身の重量やボールから受ける負荷によって中心軸が他端部において偏心してしまうため、これを防ぐために大きな駆動力を必要とするが、回転軸4のをその両端部に接続したモータの駆動によって回転させることによって、中心軸端部の偏心が抑えられるため、消費電力を低減することが可能となる。また、駆動機構の設置面積を縮小することができる。
【0044】
また、油圧駆動のモータは、ショックロードに強く、無段可変速のため、回転軸4の回転数を容易に調整することができ、被摩砕物の種類に合わせて適宜対応することが可能となる。但し、電気モータを用いることも可能である。
【0045】
一例として、ドラム体3は外径φ1500(mm)、内径φ1300(mm)、長さL4000(mm)のドラムであり、このドラム自体は回転せずに回転軸4のみが回転する。回転軸4に備え付ける仕切部材5は外径φ1400(mm)の傾斜円板である。仕切部材5に形成する導通孔7の幅は、粗骨材製造時45mm、細骨材製造時15〜35mmとする。これらは交換して使用する。尚、摩砕用装填材として外径φ50〜70mmの鉄球を使用し、この鉄球をドラム体3内に装填したときのドラム体3内空隙率を40%とした。
【0046】
本発明は、環境負荷低減を目的とし、再生骨材製造時のエネルギー負荷の低減に重点を置き、原料であるコンクートガラに破砕及び磨砕を加える機械的な処理方法にて再生細骨材の品質を向上することを考えたものである。
【0047】
コンクリートに使用される粗骨材、細骨材は粒径5mmで分けられる。これまでの再生細骨材の製造方法では、これを考慮して、投入原料の粒径範囲を5mm以下として行ってきた。しかし、解体コンクリート中の原細骨材の品質が、高品質でない場合、製造する再生細骨材の高品質化は困難であった。
【0048】
そこで、投入原料の粒径範囲に着眼した。すなわち、投入原料に原細骨材と比較して品質の良い原粗骨材を含むことにより、品質の向上を図ることとし、ここでは、投入原料の粒径範囲を10mm以下とした。
【0049】
図4に本発明の製造フローを示すが、
(1)原料(コンクリートガラ)を10mmふるいで分級し,10〜40mmと5〜10mm(材料1)に分け、
(2)10〜40mmを、ドラム体内の回転軸に複数の摩砕室を形成する仕切部材を設け、装填材を摩砕室内に装填した機械式すりもみ装置に投入し、5mm以上と5mm以下(材料2)に分け、
(3)前記材料1と材料2を混合し、再度、機械式すりもみ装置に投入し、得られた5mm以下(1mm以下の微粉末は除く)を再生細骨材とする。
【0050】
本発明の製造方法に要求されるのは、投入原料の粒径範囲を5mm以下とした場合と比較して、投入原料の粒径範囲を10mm以下としたときに、再生細骨材の品質が向上することである。
【0051】
再生細骨材の品質指標として、骨材の基本物性を示す絶乾密度・吸水率を挙げる。ここで、高品質再生骨材(再生骨材H)のJIS規格であるJISA5021により、下記を満たすことが、判断指標となる。
(1)絶乾密度 2.5g/cm3以上(2.45g/cm3以上)
(2)吸水率 3.5%以下
【0052】
以下に実施例を説明する。
1.実験計画
(1)材料の性質
ある特定の建物(ここでは、建物Aとする)より採取したコアを塩酸処理して取り出した原骨材の物性を下記表1に示す。
【表1】

【0053】
実験I及び実験IIでは、いずれも建物Aより得た解体コンクリートを原料とした。比較として、過去に再生骨材製造の実績がある事例も併せて示す。
【0054】
実験IIIについては、中間処理場で一般的に入手できるものとし、原料として解体建物が不特定のコンクリートガラを使用した。
【0055】
実験I及び実験IIで使用した原粗骨材は砕石であるが、その品質(絶乾密度・1吸水率)は比較例の川砂利のものと同等であった。一方、原細骨材の品質は比較例に対し絶乾密度は小さく、吸水率は大きいものであった。
【0056】
(2)再生細骨材の製造方法
再生骨材の製造は図1に示す機械式すりもみ装置を用いて行い、製造フローとして図3及び図4に示す2種類を設定し検討を行った。
【0057】
製造フローAは、従来の方法であり、再生細骨材を製造する際の原料が5mm以下のもの、製造フローBは、今回対象となる本発明の製造フローであり、再生細骨材を製造する際の原料が10mm以下のものである。
【0058】
実験I及び実験IIでは建物Aの解体により得た原コンクリートを中間処理場にて破砕し、40〜5mmに分級し、これを原料として粗骨材を製造した後、製造された細骨材を含む原料にて製造を行った。
【0059】
実験IIIでは、10mm以下のコンクリートガラを原料とし、細骨材製造のみを行った。
【0060】
2.実験概要
実験要因と水準を下記表2に示す。再生細骨材の品質指標として絶乾密度と吸水率を比較した。
【表2】

【0061】
実験Iでは、製造フローをAとし、再生細骨材を製造する際の処理速度を過去に実績のある25t/hに固定し、実験要因を仕切り板の回転数として3水準の確認を行なった。
実験IIでは、製造フローをBとし、処理速度を6t/hに固定し、実験要因を仕切り板の回転数として3水準の確認を行なった
実験IIIでは、製造フローをBとし、仕切り板の回転数を28回転/分に固定し、実験要因を処理速度として2水準の確認を行なった。
【0062】
3.実験結果
(1)絶乾密度
図5に、各実験での仕切り板の回転数と再生細骨材の絶乾密度の関係を示す。実験I及び実験IIのいずれも、仕切り板の回転数の増加に伴い、絶乾密度は大きくなった。同一の回転数であるA2、B3、C2を比較すると、A2<B3<C2となり、C2は2.45g/cm3以上の値を示し、高品質なものであった。
【0063】
(2)吸水率
図6に、各実験での仕切り板の回転数と再生細骨材の吸水率の関係を示す。実験I及び実験IIのいずれも、仕切り板の回転数の増加に伴い、吸水率は小さくなった。同一の回転数であるA2、B3、C2を比較すると、A2>B3>C2となり、C2は3.5%以下の値を示し、高品質なものであった。
【0064】
以上より、製造フローに関わらず、仕切り板の回転数の増加に伴い、絶乾密度は大きく、吸水率は減少し、製造フローBは製造フローAに比べ、絶乾密度・吸水率において高品質な再生細骨材が得られた。また、製造フローBにて、絶乾密度・吸水率が、高品質再生骨材(再生骨材H)のJIS規格値(JISAs021)を満たす再生細骨材が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明方法で使用する機械式すりもみ装置の縦断側面図である。
【図2】本発明方法で使用する機械式すりもみ装置の仕切部材の正面図である。
【図3】従来例のフロー図である。
【図4】本発明の1実施形態を示すフロー図である。
【図5】仕切り板の回転数と再生細骨材の絶乾密度の関係を示すグラフである。
【図6】仕切り板の回転数と再生細骨材の吸水率の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0066】
1…導入口 2…排出口
3…ドラム体 4…回転軸
5…仕切部材 6…摩砕室
7…導通孔 8…摩砕用装填材
9…ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)原料(コンクリートガラ)を10mmふるいで分級し、10〜40mmと5〜10mm(材料1)に分け、
(2)10〜40mmを、ドラム体内の回転軸に複数の摩砕室を形成する仕切部材を設け、装填材を摩砕室内に装填した機械式すりもみ装置に投入し、5mm以上と5mm以下(材料2)に分け、
(3)前記材料1と材料2を混合し、再度、機械式すりもみ装置に投入し、得られた5mm以下(1mm以下の微粉末は除く)を再生細骨材とすることを特徴とした再生細骨材の製造方法。
【請求項2】
機械式すりもみ装置は、ドラム体内の回転軸に複数の摩砕室を形成する仕切部材を設け、装填材を摩砕室内に装填したものである請求項1記載の再生細骨材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−163336(P2010−163336A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8833(P2009−8833)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年7月20日 社団法人日本建築学会発行の「2008年度大会(中国)学術講演梗概集(A‐1)」(DVD)に発表
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(000181354)鹿島道路株式会社 (46)
【出願人】(591079650)有限会社大東土木 (12)
【Fターム(参考)】