説明

再生装置および再生方法並びにプログラム

【課題】設定されたテンポと略等しいテンポを有する音楽コンテンツを選曲して再生する。
【解決手段】再生装置1の操作ダイヤル8が回転されることでテンポの設定が行われる。制御部3はHDD4または通信部5を介して、設定されたテンポとほぼ等しいテンポを有する音楽コンテンツを取得する。そして、制御部3は、取得した音楽コンテンツをデコーダおよびアンプ部7に供給し、再生中の音楽コンテンツと切り換えて再生する。再生中の音楽コンテンツを設定された音楽コンテンツのテンポに近づけてから音楽コンテンツを切り換えたり、再生中の音楽コンテンツの小節の区切りで音楽コンテンツを切り換えることで、音楽コンテンツの切り換わりによりユーザが感じる違和感を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、再生装置および再生方法並びにプログラムに関し、例えばユーザによって設定されたテンポと略等しいテンポを有するコンテンツを取得して再生する再生装置および再生方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DTM(Desk Top Music)などと称されるようにパーソナルコンピュータを使用したソフトウェア的な処理によって音楽コンテンツの再生態様を変化させることが行われている。このような処理は、パーソナルコンピュータを使用した音楽コンテンツの編集に関する知識を必要とするため、より簡易な操作やユーザが行う無意識な体の動きによって音楽コンテンツの再生態様を変化させる技術が提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、携帯電話に磁気センサが備えられ、使用者が携帯電話を振ることによって発生する振動に応じて音楽コンテンツのテンポやボリュームを変化させる携帯電話装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−108130号公報
【0005】
また、下記特許文献2には、例えばユーザの歩行テンポが検出され、検出された歩行テンポに応じて再生中の音楽コンテンツの再生速度等を変化させる再生態様制御装置等が記載されている。
【0006】
【特許文献2】特開2005−156641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1や特許文献2に記載の装置は、ユーザの動作に応じて音楽コンテンツの再生態様を変化させるものであって、必ずしもユーザが所望するテンポの音楽コンテンツが再生されるとは限らなかった。
【0008】
ユーザが所望するテンポの音楽コンテンツを再生するには、テンポの異なる音楽コンテンツが記録された記録媒体を交換したり、手動で再生ピッチを変化させて対応していた。しかしながら、記録媒体を交換して再生する方法では、交換時の操作によって一時的な無音期間が発生するため、テンポが異なる音楽コンテンツを連続的に再生することが困難であった。
【0009】
したがって、この発明の目的は、容易に且つユーザに対して違和感を与えることなく、テンポが異なる音楽コンテンツを連続的に再生できる再生装置および再生方法並びにプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、この発明は、少なくともテンポの設定が可能とされる操作部と、
コンテンツを取得するコンテンツ取得部と、
設定されたテンポと略等しいテンポを有するコンテンツをコンテンツ取得部を介して取得して再生する制御部と
を備える再生装置である。
【0011】
また、この発明は、少なくともテンポの設定が可能とされる操作部と、
コンテンツを取得するコンテンツ取得部と、
設定されたテンポと略等しいテンポを有するコンテンツをコンテンツ取得部を介して取得し、再生中のコンテンツから取得したコンテンツへと所定のタイミングにおいて切り換えて再生する制御部と
を備える再生装置である。
【0012】
また、この発明は、少なくともテンポを設定する設定ステップと、
設定されたテンポと略等しいテンポを有するコンテンツを取得する取得ステップと、
取得したコンテンツを再生する制御ステップと
からなる再生方法である。
【0013】
また、この発明は、少なくともテンポを設定する設定ステップと、
設定されたテンポと略等しいテンポを有するコンテンツを取得する取得ステップと、
再生中のコンテンツから取得されたコンテンツへと所定のタイミングにおいて切り換えて再生する制御ステップと
からなる再生方法である。
【0014】
また、この発明は、コンピュータに、
設定されたテンポ情報を受け付けるステップと、
テンポ情報のテンポと略等しいテンポを有するコンテンツを取得する取得ステップと、
コンテンツ取得ステップにおいて取得したコンテンツを再生する制御ステップと
を実行させるプログラムである。
【0015】
また、この発明は、コンピュータに、
設定されたテンポ情報を受け付けるステップと、
テンポ情報のテンポと略等しいテンポを有するコンテンツを取得する取得ステップと、
再生中のコンテンツからコンテンツ取得ステップにおいて取得したコンテンツへと所定のタイミングにおいて切り換えて再生する制御ステップと
を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、簡易な操作によって、テンポが異なる音楽コンテンツを連続的に再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながらこの発明の一実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施の形態における再生装置1の主要な構成を示す。再生装置1のバス2に対しては、CPU(Central Processing Unit)3a、ROM(Read Only Memory)3bおよびRAM(Random Access Memory)3cからなる制御部3、HDD(Hard Disk Drive)4、通信部5、ダイヤル検出部6、デコーダおよびアンプ部7が接続され、相互に音楽データ、制御データのやり取りが可能とされている。また、ダイヤル検出部6は操作ダイヤル8と接続され、デコーダおよびアンプ部7はスピーカ9と接続されている。
【0018】
制御部3のCPU3aは、ROM3bに格納されているプログラムを実行して再生装置1の各部を制御する。また、制御部3は後述するように再生中の音楽コンテンツのテンポを変更する処理や、設定されたテンポの音楽コンテンツを取得してデコーダおよびアンプ部7に供給して再生する等の処理を行う。RAM3cは、CPU3aが実行する処理のためのワーク用エリアとして使用され、また、各種データを一時的に保存するためのメモリとしても使用される。
【0019】
HDD4は、コンテンツ取得部の一例であり、複数の音楽コンテンツがHDD4に蓄積されている。HDD4は他の不揮発性メモリであっても良く、また半導体メモリや光ディスクなどの再生装置1と着脱自在とされるリムーバブルな記録媒体でも構わない。HDD4には、例えばMP3(MPEG(Moving Picture Coding Experts Group)−1オーディオレイヤIII)方式やATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding)方式によって圧縮符号化された音楽コンテンツのデータが、それぞれの音楽コンテンツの属性情報を示すメタデータと関連付けられて記憶されている。メタデータは、音楽コンテンツのデータの属性等を記述したデータのことである。
【0020】
通信部5は、コンテンツ取得部の他の例である。例えば、通信部5は、インターネットを介して複数の音楽コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積サーバにアクセスし、設定されたテンポとほぼ等しいテンポを有する音楽コンテンツの有無を問い合わせ、音楽コンテンツが存在する場合はその配信を受けることができる。コンテンツ蓄積サーバには、例えばMP3方式によって圧縮符号化された音楽コンテンツのデータがメタデータと関連付けられて蓄積されている。なお、この一実施の形態では、再生装置1がコンテンツ取得部の例としてHDD4および通信部5を備える構成としたが、いずれか一方を備える構成としても良い。
【0021】
ダイヤル検出部6は、操作部の一例である操作ダイヤル8と接続され、操作ダイヤル8が回転されることで発生する回転量に応じた信号を生成する。生成された信号が制御部3に対して送出される。制御部3は、ダイヤル検出部6から送出される信号によって、操作ダイヤル8が回転されることで設定された情報を判別できる。
【0022】
デコーダおよびアンプ部7は、制御部3の制御によって供給される圧縮符号化された音楽コンテンツのデータを復号し、復号されたデータをD/A(Digital to Analog)変換し、さらにD/A変換されたデータを増幅する。増幅されたデータがスピーカ9に対して供給され、スピーカ9からは所定の音楽コンテンツが再生される。
【0023】
図2は、この一実施の形態における操作ダイヤル8の一例を示す。操作ダイヤル8は、回転自在とされ、操作ダイヤル8を右方向若しくは左方向に回転することで、テンポを設定することができる。後述するように、操作ダイヤル8を回転するだけでテンポの設定が可能とされ、さらに設定されたテンポとほぼ等しいテンポの音楽コンテンツが選曲されて再生される。
【0024】
図3は、再生装置1に取り付けられた操作ダイヤル8を示す。操作ダイヤル8は、例えば再生装置1の筐体12の端部付近に、他のストップ/イジェクトボタン13、ポーズボタン14、プレイボタン15などと近接して設けられる。勿論、図3に示す操作ダイヤル8が取り付けられる位置は一例であり、他の位置でも良い。
【0025】
次に、この一実施の形態における再生装置1の動作を説明する。最初に、いずれの音楽コンテンツも再生されていない停止状態において操作ダイヤル8が回転されたときの動作の一例について説明する。
【0026】
操作ダイヤル8が回転され、再生される音楽コンテンツのテンポが設定される。テンポとは、音楽コンテンツにおいて、拍の長さすなわち拍節の速さである。ここで、拍節とは、音楽コンテンツにおいて等しい間隔で打たれる基本的なリズムをいい、拍はその一つ一つの時間単位をいう。拍節の長さは音楽コンテンツによって異なり、また同じ音楽コンテンツの中でも変化することがある。この明細書ではテンポの単位として、平均的に1分間にいくつの4分音符が入るかを示すBPM(Beat per Minute)を使用する。
【0027】
操作ダイヤル8を右方向に回転するとテンポが速くなり、反対に左方向に回転するとテンポが遅くなる。操作ダイヤル8の回転を停止すると、その位置に応じてテンポが設定される。このとき、テンポが再生装置1に設けられるLCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面に表示されても良い。
【0028】
操作ダイヤル8が回転されテンポの設定が終了すると、操作ダイヤル8の回転量がダイヤル検出部6に対して供給される。ダイヤル検出部6は、回転量に応じて電気的な信号を生成し、生成した信号を制御部3に対して送出する。なお、以下の説明では一例として設定されたテンポが110BPMとして説明する。
【0029】
制御部3は、ダイヤル検出部6から送出される信号に基づいて操作ダイヤル8によって設定されたテンポが110BPMであると判別する。そして制御部3が判別したテンポ(110BPM)をRAM3cに一時的に保持し、HDD4に蓄積された音楽コンテンツの中からテンポが110BPMである音楽コンテンツを取得する。ここで、HDD4には複数の音楽コンテンツがテンポの情報を含むメタデータと関連付けられて記憶されていることから、制御部3はメタデータを参照することで、テンポが110BPMである音楽コンテンツを容易に取得できる。
【0030】
制御部3は、HDD4から取得した110BPMのテンポを有する音楽コンテンツをRAM3cに一時的に記憶する。そして、制御部3がRAM3cに記憶した音楽コンテンツをデコーダおよびアンプ部7に供給し、供給した音楽コンテンツを再生するように制御部3がデコーダおよびアンプ部7を制御する。デコーダおよびアンプ部7においてデコード処理等がなされた音楽コンテンツがスピーカ9に供給されて再生される。
【0031】
以上、説明した動作の一例は以下のように変形することができる。制御部3は、設定されたテンポ(110BPM)を判別した後に、HDD4からではなく通信部5を介してコンテンツ蓄積サーバ等からテンポが110BPMである音楽コンテンツを取得するようにしても良い。また、制御部3がHDD4または通信部5を介して取得した音楽コンテンツは、一旦RAM3cに記録せずに、デコーダおよびアンプ部7に直接供給するように制御しても良い。
【0032】
また、制御部3がHDD4や通信部5を介して取得する音楽コンテンツの中に、テンポが110BPMである音楽コンテンツが存在しない場合は、設定されたテンポとほぼ等しいテンポを有する音楽コンテンツを取得するようにしても良い。設定されたテンポとほぼ等しいテンポを有する音楽コンテンツは、例えば、設定されたテンポに対して±5BPMの範囲のテンポを有する音楽コンテンツとされる。
【0033】
テンポが110BPMである音楽コンテンツが複数存在する場合は、ジャンルや記録日時や再生履歴などの他の属性を参照して優先順位を付加し、優先順位の高い順位に制御部3が音楽コンテンツを取得するようにしても良い。
【0034】
次に、ある音楽コンテンツが再生されている再生状態において、操作ダイヤル8が回転されたときの再生装置1の動作の一例を説明する。
【0035】
最初に操作ダイヤル8が回転されてテンポが設定される。なお、以下の説明では設定されたテンポが110BPMとする。テンポが設定されると、制御部3がHDD4または通信部5を介してテンポが110BPMである音楽コンテンツを取得する。ここで、テンポが110BPMである音楽コンテンツが存在しない場合は、例えば設定されたテンポに対して±5BPMの範囲のテンポを有する音楽コンテンツが取得される。
【0036】
制御部3は、再生中の音楽コンテンツから取得した音楽コンテンツへと、所定のタイミングにおいて切り換えて再生するようにデコーダおよびアンプ部7を制御する。ここで、所定のタイミングとは、例えば再生中の音楽コンテンツの小節の区切りとされる。すなわち、制御部3は、事前に再生中の音楽コンテンツの小節の区切りが含まれる楽曲の構造情報を保持しておき、例えばテンポが設定されたときの小節の次の小節との区切りで音楽コンテンツを切り換える。小節の区切りにおいて音楽コンテンツを切り換えることで拍子が不連続にならず、音楽コンテンツの切り換わりによってユーザが感じる違和感を低減できる。
【0037】
また、再生中の音楽コンテンツと、テンポが110BPMである音楽コンテンツとをクロスフェードによって切り換えても良い。すなわち、テンポが設定されたときから次の半小節の区切りまでは再生中の音楽コンテンツの再生を継続し、半小節の区切りから次の一小節の区切りまでの区間を再生中の音楽コンテンツの音量(レベル)を徐々に小さくし、テンポが110BPMである音楽コンテンツの音量を徐々に大きくしていく。そして、小節の区切りにおいてテンポが110BPMである音楽コンテンツのみを再生するようにしても良い。
【0038】
また、制御部3がHDD4または通信部5から取得した音楽コンテンツの再生位置を変更できるようにしても良い。例えば、取得した音楽コンテンツを先頭から再生しても良いし、小節の区切りやサビの部分から再生しても良い。
【0039】
次に、ある音楽コンテンツが再生されている再生状態において操作ダイヤル8が回転されてテンポが設定されたときの再生装置1の動作例であって、再生中の音楽コンテンツのテンポを、設定されたテンポに近づけるように変更して一定時間再生し、制御部3が取得した音楽コンテンツを所定のタイミングにおいて切り換えて再生する例を説明する。
【0040】
例えばHDD4や通信部5を介して取得された音楽コンテンツがスピーカ9から再生されている。このような再生状態において操作ダイヤル8が回転され、例えばテンポが110BPMに設定されたとする。テンポが設定されると、再生中の音楽コンテンツのテンポを設定されたテンポ(110BPM)に近づけるように変更する処理を制御部3が実行する。
【0041】
例えば、再生中の音楽コンテンツテンポを強制的に110BPMとする。また、ユーザが感じる違和感を低減するために、再生中の音楽コンテンツのテンポの平均値が110BPMとなるように変更しても良い。また、ユーザが音楽コンテンツを聴取することで感じる心地良さを得るため、110BPMに変更した再生中の音楽コンテンツのテンポに対してゆらぎとして±5BPM程度の変動を付加しても良い。
【0042】
上述したようにしてテンポが変更された音楽コンテンツを制御部3がデコーダおよびアンプ部7に供給して再生するように制御する。そしてスピーカ9からは再生中の音楽コンテンツと同じ音楽コンテンツであってテンポが変更された音楽コンテンツが再生される。
【0043】
制御部3は、再生中の音楽コンテンツのテンポを変更して再生するのと並行して、設定されたテンポとほぼ等しいテンポを有する音楽コンテンツをHDD4または通信部5を介して取得する。制御部3は、HDD4や、通信部5を介してアクセス可能なコンテンツ蓄積サーバに蓄積されているそれぞれの音楽コンテンツのメタデータを参照し、メタデータに記述されているテンポが110BPMである音楽コンテンツを取得する。若しテンポが110BPMである音楽コンテンツが存在しない場合は、例えば設定されたテンポに対して±5BPMの範囲のテンポを有する音楽コンテンツを取得するようにしても良い。そして、制御部3が取得した音楽コンテンツを制御部3による制御によってデコーダおよびアンプ部7へと供給し、所定のタイミングにおいて再生中の音楽コンテンツと切り換えて再生する。
【0044】
なお、設定されたテンポに応じて、HDD4または通信部5から取得した音楽コンテンツの音量を制御部3が変化させて再生しても良い。例えば、再生中のアップテンポな音楽コンテンツからスローテンポな音楽コンテンツへと切り換わる場合に、再生中の音楽コンテンツのテンポを遅くすると共に音量を徐々に小さくするようにしても良い。また反対に、再生中のスローテンポな音楽コンテンツからアップテンポな音楽コンテンツへと切り換わる場合には、再生中の音楽コンテンツのテンポを速くすると共に、徐々に音量を大きくするようにしても良い。
【0045】
制御部3が再生される音楽コンテンツを切り換える所定のタイミングは、例えばテンポが変更された再生中の音楽コンテンツの小節の区切りとされる。これにより音楽コンテンツが切り換わることによりユーザが感じる違和感を低減できる。
【0046】
また、テンポが変更された再生中の音楽コンテンツと制御部3が取得した音楽コンテンツとがクロスフェードによって切り換わり再生されても良い。
【0047】
また、制御部3は、HDD4または通信部5を介して取得した音楽コンテンツを先頭部分、小節の区切りの部分およびサビの部分のいずれかから再生するように制御できる。
【0048】
図4は、制御部3によって制御される再生装置1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS1では、操作ダイヤル8によって設定されたテンポが検出され、検出されたテンポが制御部3のRAM3cに記憶される。このRAM3cに記憶されるテンポを(A)とする。続いて、処理がステップS2に進む。
【0049】
ステップS2においては、設定されたテンポとほぼ等しいテンポを有する音楽コンテンツ(候補曲)をHDD4または通信部5を介して制御部3が取得し、取得した音楽コンテンツをRAM3cに記憶する。ここで、制御部3が取得した音楽コンテンツのテンポを(B)する。このテンポ(B)が音楽コンテンツと関連付けられてRAM3cに記憶される。続いて、処理がステップS3に進む。
【0050】
ステップS3においては、テンポの調整が判断される。すなわち、ステップS3においては、制御部3が(A)と(B)の差分値(C)を算出し(C)の値をRAM3cに記憶する。続いて、処理がステップS4に進む。
【0051】
ステップS4においては、変化量を判断する処理が行われる。ここで、再生中の音楽コンテンツのテンポを(X)とすると変化量(D)は、例えば下記の式(1)によって算出される。
変化量(D)=((X)−(A))/次の小節の区切りまでの時間 ・・(1)
ここで、分母の次の小節の区切りまでの時間が10msの場合は、式(1)における変化量Dは((X)−(A))を10で除算した値となる。変化量が算出されると処理がステップS5に進む。なお、式(1)の分母の値は固定値としても良い。
【0052】
ステップS5においては、再生中の音楽コンテンツのテンポを調整する処理がなされる。すなわち、再生中の音楽コンテンツのテンポを式(1)によって求められた(D)の分だけ変化させる。このとき、テンポを変更すると共に、(C)の値に応じて再生中の音楽コンテンツの音量を調整するようにしても良い。続いて、処理がステップS6に進む。
【0053】
ステップS6では、設定されたテンポである(A)と再生中の音楽コンテンツのテンポである(X)とが一致したか否かが判別される。一致してない場合は処理がステップS7に進み、設定された待ち時間が経過した後、ステップS4およびステップS5の処理を繰り返す。例えば、ステップS4において説明した式(1)において、分母の数が10とされた場合はステップS4およびステップS5の処理が10回繰り返されることによって徐々に(A)と(X)とが近づき、最終的に(A)と(X)とが一致する。ステップS6において、(A)と(X)とが一致した場合は処理がステップS8に進む。
【0054】
ステップS8では、再生中の音楽コンテンツの小節の切り替え点であるか否かが判別される。切り替え点でない場合は、再びステップS8の処理が繰り返されて、切り替え点であるか否かが判別される。ステップS8において、小節の切り替え点である場合は処理がステップS9に進む。
【0055】
ステップS9では、ステップS2において制御部3が取得した音楽コンテンツを再生中の音楽コンテンツと切り換えて再生する処理が行われる。制御部3が取得した音楽コンテンツと再生中の音楽コンテンツとがクロスフェードによって切り換えられて再生されても良い。
【0056】
ステップS9において、ステップS3において算出された差分値(C)が(C)≠0の場合は、ステップS2において取得された音楽コンテンツのテンポを(C)の分だけ変更して再生するようにしても良い。(C)=0の場合は、テンポの変更がなされずに、ステップS2において取得された音楽コンテンツが再生される。
【0057】
以上説明した再生装置1は、例えば、フィットネスやエアロビクス運動のような音楽コンテンツのテンポに併せて運動を継続する場合における音楽コンテンツの再生に好適である。すなわち、操作ダイヤル8を回転するだけで常に的確なテンポの音楽コンテンツが選曲される。そして、選曲された音楽コンテンツを連続的に再生することができる。
【0058】
以上、この発明の一実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述した一実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0059】
上述した一実施の形態においては、操作部がダイヤル形状の操作ダイヤルとして説明したが、操作ダイヤル8に加えて整数倍、整数分の1の倍速用のボタンを設けても良い。例えば、図5に示すように操作ダイヤル8の近接した位置に3倍速ボタン16、1/3倍速ボタン17、2倍速ボタン18、1/2倍速ボタン19を設けても良い。例えば、2倍速ボタン18が押されると、再生中の音楽コンテンツの小節の区切りにおいて、再生中の音楽コンテンツのテンポのほぼ2倍のテンポを有する音楽コンテンツが再生されても良い。また、一定の区間、再生中の音楽コンテンツのテンポが2倍となるようにテンポを徐々に速くし、2倍になったタイミングにおいて制御部3が取得したほぼ2倍のテンポを有する音楽コンテンツを切り換えて再生するようにしても良い。
【0060】
また、この発明は、携帯電話等の携帯型の再生装置に対しても適用できる。図6は、携帯型の再生装置に備えられるリモートコントロール装置20の概要を示す。リモートコントロール装置20には指で操作可能な小型のダイヤル21とLCD22が備えられる。ダイヤル21を奥側に回転させるか若しくは手前側に回転させることでテンポがLCD22に表示され、回転を停止することでテンポを設定することができる。また、小型のダイヤルに限らず、図7に示すような少なくとも1軸方向に可動とされるレバー状の操作部23であっても良い。
【0061】
図8は、例えばPDA(Personal Digital Assistants)などの小型の電子機器に備えられる操作部の例である。PDA24には、1軸方向に回転可能なローラ25が備えられる。このローラ25を手前若しくは奥に回転し、回転を停止することでテンポを設定することができる。また、図9に示すように、操作部として縦方向のスライダ26を上下に移動させることでテンポを設定することができるようにしても良い。勿論、横方向のスライダでも良い。
【0062】
なお、以上例示した操作部は、赤外線等を使用して再生装置1を遠隔操作するリモートコントロール装置に備えられても良い。
【0063】
また、この発明における再生装置を構成する各手段を、専用のハードウェア回路によって構成できるし、方法若しくはプログラムされたコンピュータによって実現することもできる。また、処理内容を記述したプログラムは、磁気記録装置、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の一実施の形態における再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施の形態における操作ダイヤルを示す略線図である。
【図3】この発明の一実施の形態における再生装置に取り付けられる操作ダイヤルを示す略線図である。
【図4】この発明の一実施の形態における制御部の制御による再生装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】操作部として、操作ダイヤルに加えて倍速ボタンが設けられた例を説明するための略線図である。
【図6】携帯型の再生装置のリモートコントロール装置に備えられる操作部の例を説明するための略線図である。
【図7】携帯型の再生装置のリモートコントロール装置に備えられる操作部の他の例を説明するための略線図である。
【図8】小型の電子機器に備えられる操作部の例を説明するための略線図である。
【図9】スライダ形状の操作部の例を示す略線図である。
【符号の説明】
【0065】
1 再生装置
3 制御部
3a CPU
3b ROM
3c RAM
4 HDD
5 通信部
7 デコーダおよびアンプ部
8 操作ダイヤル
9 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともテンポの設定が可能とされる操作部と、
コンテンツを取得するコンテンツ取得部と、
上記設定されたテンポと略等しいテンポを有するコンテンツを上記コンテンツ取得部を介して取得して再生する制御部と
を備える再生装置。
【請求項2】
少なくともテンポの設定が可能とされる操作部と、
コンテンツを取得するコンテンツ取得部と、
上記設定されたテンポと略等しいテンポを有するコンテンツを上記コンテンツ取得部を介して取得し、再生中のコンテンツから上記取得したコンテンツへと所定のタイミングにおいて切り換えて再生する制御部と
を備える再生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の再生装置において、
上記制御部は、上記再生中のコンテンツから上記取得したコンテンツへと切り換える場合に、上記再生中のコンテンツのテンポを上記設定されたテンポに近づくように変更してから切り換える再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の再生装置において、
上記制御部は、さらに、上記再生中のコンテンツの音量を変化させて再生する再生装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4に記載の再生装置において、
上記制御部は、上記設定されたテンポと上記取得したコンテンツのテンポとが等しいときは上記取得したコンテンツのテンポを変更せずに再生し、上記設定されたテンポと上記取得したコンテンツのテンポとが異なる場合は、上記取得したコンテンツのテンポを上記設定されたテンポと等しくなるように変更して再生する再生装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4に記載の再生装置において、
上記コンテンツ取得部は、コンテンツを蓄積する蓄積部である再生装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4に記載の再生装置において、
上記コンテンツ取得部は、ネットワークを介して通信を行うことでコンテンツを取得する再生装置。
【請求項8】
請求項2ないし請求項4に記載の再生装置において、
上記所定のタイミングは、上記再生中のコンテンツの小節の区切りとされる再生装置。
【請求項9】
請求項2ないし請求項4に記載の再生装置において、
上記制御部は、上記再生中のコンテンツのレベルを徐々に小とし、上記取得されたコンテンツのレベルを徐々に大とするように切り換えて再生する再生装置。
【請求項10】
請求項2ないし請求項4に記載の再生装置において、
上記制御部は、上記取得したコンテンツを、先頭部分、小節の区切りおよびサビの部分のいずれかから再生する再生装置。
【請求項11】
少なくともテンポを設定する設定ステップと、
上記設定されたテンポと略等しいテンポを有するコンテンツを取得する取得ステップと、
上記取得したコンテンツを再生する制御ステップと
からなる再生方法。
【請求項12】
少なくともテンポを設定する設定ステップと、
上記設定されたテンポと略等しいテンポを有するコンテンツを取得する取得ステップと、
再生中のコンテンツから上記取得されたコンテンツへと所定のタイミングにおいて切り換えて再生する制御ステップと
からなる再生方法。
【請求項13】
請求項12に記載の再生方法において、
上記制御ステップは、上記再生中のコンテンツから上記取得したコンテンツへと切り換える場合に、上記再生中のコンテンツのテンポを上記設定されたテンポに近づくように変更してから切り換える再生方法。
【請求項14】
コンピュータに、
設定されたテンポ情報を受け付けるステップと、
上記テンポ情報のテンポと略等しいテンポを有するコンテンツを取得する取得ステップと、
上記コンテンツ取得ステップにおいて取得したコンテンツを再生する制御ステップと
を実行させるプログラム。
【請求項15】
コンピュータに、
設定されたテンポ情報を受け付けるステップと、
上記テンポ情報のテンポと略等しいテンポを有するコンテンツを取得する取得ステップと、
再生中のコンテンツから上記コンテンツ取得ステップにおいて取得したコンテンツへと所定のタイミングにおいて切り換えて再生する制御ステップと
を実行させるプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムにおいて、
上記制御ステップは、上記再生中のコンテンツから上記取得したコンテンツへと切り換える場合に、上記再生中のコンテンツのテンポを上記設定されたテンポに近づくように変更してから切り換えるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−164932(P2007−164932A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362770(P2005−362770)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】