説明

再生装置および再生方法

【課題】マルチメディアデータを効率良く検索すること。
【解決手段】再生装置は、動画データを再生する再生手段と、前記再生手段によって再生された前記動画データの再生履歴を時間範囲とあわせて表示する再生履歴表示手段と、前記再生履歴表示手段に表示される前記動画データの再生箇所を指定する指定手段と、を備え、前記再生履歴表示手段は、再生中の領域と再生済みの領域とを分類して表示し、前記指定手段は、前記再生履歴表示手段による表示から任意の領域を指定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画および音声などのマルチメディアデータを再生する再生装置および再生方法に関し、特に、再生した時間範囲を視覚的に表示することにより、マルチメディアデータを効率良く検索できる再生装置および再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、計算機上で動画などマルチメディアデータを扱うことが容易になってきた。計算機上でマルチメディアを扱う利点の一つは、ランダムアクセスにある。マイクロソフト社製メディアプレーヤ(登録商標)などの従来の一般的なビデオ再生ソフトウェアには、「スライダー」と呼ばれるユーザインタフェースがあり、スライダーに対するクリック、ドラッグ操作により、再生時刻を任意に変更できる、即ち、ランダムアクセスできるのである。
【0003】
このようなスライダーは、モニタ画面上で現在再生中の時刻を表示する機能と、クリック、ドラッグ操作、あるいはキーボードからの入力によって、これから再生する時刻をユーザが入力する機能の2つを、同一の表示情報上で同時に実現するソフトウェア部品である。しかし、この2つの機能だけでは、ランダムアクセスを伴った再生を精細に制御して、効率よく検索することは難しい。
【0004】
例えば、ビデオ画像中のある特定のシーンを見たいユーザが、時刻を表示させながら内容を確認する場合、現在再生中の時刻は表示されているが、これまでに再生した時間の範囲が不明であるため、既に再生済の時間を再び指定して再生してしまうという無駄がある。また、ある範囲内を複数個に分けて再生すると、その範囲内をすべて再生したかどうかユーザは確認できないため、見落しが生じる可能性もある。
【0005】
そのため、マルチメディアデータ編集のためのタイムチャート表示技術が開発されている。例えば、ファイル毎の占有時間範囲を視覚表示し、ユーザが音声または画像毎の再生時間範囲を指定すると、タイムチャート上で対応する時間範囲を塗りつぶして表示して、画像と音声を同時に再生するデータを容易に作成する技術が公開されている。(特許文献1参照)。
【0006】
あるいは、自動的に録画した多数のテレビ番組を効率的に再生する技術が考え出されている。この技術では、再生済の番組を一定時間以上再生した場合にその番組を視聴済とすることによって自動的に視聴済みであることを検出する(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は、マルチメディアコンテンツ作成のための技術であるため、再生時にユーザ操作を支援するための再生範囲表示機能はないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2の技術においては、自動的な検出は番組単位であり、検出結果はその後の再生スケジュールに利用されるのみであり、再生時間範囲を明瞭な形でユーザに表示する機能はないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、マルチメディアデータを効率良く検索できる再生装置および再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる再生装置は、動画データを再生する再生手段と、前記再生手段によって再生された前記動画データの再生履歴を時間範囲とあわせて表示する再生履歴表示手段と、前記再生履歴表示手段に表示される前記動画データの再生箇所を指定する指定手段と、を備え、前記再生履歴表示手段は、再生中の領域と再生済みの領域とを分類して表示し、前記指定手段は、前記再生履歴表示手段による表示から任意の領域を指定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる再生方法は、動画データを再生する再生ステップと、前記再生ステップによって再生された前記動画データの再生履歴を時間範囲とあわせて表示手段に表示する再生履歴表示ステップと、前記再生履歴表示ステップによって前記表示手段に表示される前記動画データの再生箇所の指定を受け付ける指定ステップと、を備え、前記再生履歴表示ステップは、再生中の領域と再生済みの領域とを分類して表示し、前記指定ステップは、前記再生履歴表示ステップによる表示から任意の領域の指定を受け付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、データの検索効率を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態によるデータ再生装置の機能的ブロック図である。
【図2】実施の形態によるデータ再生装置のハードウェア構成を説明する図である。
【図3】実施の形態によるデータ再生ソフトウェアが表示する表示画面を説明する模式図である。
【図4】データ再生装置で使用するメモデータを説明する模式図である。
【図5】実施の形態によるデータ再生装置の再生手順を説明するフローチャートである。
【図6】履歴表示画像を説明する図である。
【図7−1】実施の形態によるチャート表示部の動作を説明する図である。
【図7−2】実施の形態によるチャート表示部の動作を説明する図である。
【図7−3】実施の形態によるチャート表示部の動作を説明する図である。
【図7−4】実施の形態によるチャート表示部の動作を説明する図である。
【図7−5】実施の形態によるチャート表示部の動作を説明する図である。
【図7−6】実施の形態によるチャート表示部の動作を説明する図である。
【図8】変形例1による履歴表示領域の表示例を説明する図である。
【図9】変形例2による履歴表示領域の表示例を説明する図である。
【図10】変形例2に用いるメモリの動作を説明する図である。
【図11】変形例4によるデータ再生装置の表示画面を説明する模式図である。
【図12】変形例4において再生区間のマージ例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるデータ再生装置、データ再生方法をコンピュータに実行させるプログラム、およびそのプログラムを格納した機械読み取り可能な記録媒体の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態)
(1.1.全体構成)
図1は、実施の形態によるデータ再生装置の機能的ブロック図である。データ再生装置10は、データ入力部31と、音声動画再生部32と、ユーザ操作入力部33と、再生制御部34と、チャート表示部35とを備える。
【0016】
図2は、実施の形態によるデータ再生装置のハードウェア構成を説明する図である。データ再生装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、メモリ12と、ハードディスクドライブ(HDD)13と、キーボード14と、マウス15と、ビデオインタフェース(IF)16と、ディスプレイ17と、オーディオインタフェース(IF)18と、スピーカ19と、バス20とを備える。即ち、データ再生装置10は、一般的なPC上でソフトウェアを実行することにより実現する。
【0017】
データ再生装置の各機能は、ハードディスクドライブ13上に記録されたプログラムをCPU11、メモリ12を利用して実行する。データ再生装置10にはキーボード13、およびマウス14が接続されて、ユーザの操作による入力を受け付ける。CRTディスプレイ17が、ビデオインタフェース13(回路)を介して、データ再生装置10に接続される。スピーカ19が、オーディオインタフェース18(回路)を介して、データ再生装置10に接続される。CRTディスプレイ17およびスピーカ19は、プログラムによって制御され、それぞれ画像、音声を出力する。
【0018】
ハードディスクドライブ13内には、あらかじめ従来技術を使用して記録された音声動画データ、およびメモデータが保存されているものとする。ここで保存されているMPEG1PCMオーディオ音声動画は、MPEG1形式の圧縮データである。
【0019】
図3は、実施の形態によるデータ再生ソフトウェアが表示する表示画面を説明する模式図である。画面は縦に大きく3つの部分に分かれ、上から「ビデオ表示領域41」、「ボタン表示領域42」、「タイムチャート表示領域43」と呼ぶ。
【0020】
ビデオ表示領域41は、ハードディスクドライブ13に格納されている動画データを視覚的に表示する。ボタン表示領域42は、動画像の再生および停止を指示できる再生ボタンおよび停止ボタンなど、ユーザ操作ボタンを表示する。
【0021】
ここで、音声動画再生部32,表示画面40,およびビデオ表示領域41は、本発明の再生手段を構成する。また、音声動画再生部32,表示画面40,およびタイムチャート表示領域43は、本発明の再生表示手段を構成する。
【0022】
タイムチャート表示領域43は、メモデータ、再生履歴などを表示する。チャートは縦方向が時間に対応し、縮尺は例えば1画素/秒とする。また以下、時刻はすべて動画データの開始時刻を0とする相対時刻とする。
【0023】
図4は、データ再生装置で使用するメモデータを説明する模式図である。ここで保存されているメモデータは、時刻とメモ内容の組みあわせを複数含むテキストデータである。
【0024】
ここで、データ入力部31は、ハードディスクドライブ13に記録された音声動画データ、およびメモデータを読み出す。
【0025】
音声動画再生部32は、データ入力部31から、圧縮された音声動画データを入力し、データを展開した後、計算機システムのディスプレイドライバおよびオーディオドライバ(不図示)を経由して動画および音声として再生する。プログラム表示画面上では、図3の「ビデオ表示領域」41に処理結果が表示される。
【0026】
音声動画再生部32は、再生制御部34によって制御される。音声動画再生部32は、通常の音声動画再生アプリケーションと同様に、再生開始、再生終了、一時停止、および時刻ジャンプの各動作を要求する入力信号を受け付ける。
【0027】
ユーザ操作入力部33は、システムのマウスドライバ(不図示)を経由してマウス15から入力されるマウス信号を読みとり、ボタン操作の画面位置と比較することにより、ユーザのマウス操作からの入力信号を受け付ける。具体的には、「再生」、「停止」、「一時停止」、「戻る」の各ボタン上でマウスボタンが押された場合、それぞれのボタンに対応するコマンドを再生制御部34へ送る。
【0028】
例えば、タイムチャート43上でマウスボタンが押された場合には、その位置から対応する時刻を計算し、その時刻情報とともに、再生時刻ジャンプ命令を再生制御部32へ送る。本実施の形態ではチャートの時間縮尺が1秒1画素なので、チャート最上部からマウスカーソル位置までの縦方向の座標値の差(画素単位)が、そのまま移動先の秒数となる。
【0029】
このようにしてタイムチャート表示領域43上において、任意の位置でマウスボタンが押された場合、マウルボタンによって押された位置が再生時刻ジャンプ命令によって移動する異動先に設定できる。この方式によって、ジャンプ命令による移動によって、ランダムアクセス操作が可能となる。
【0030】
ここで、再生制御部34、およびチャート表示部35は、本発明の移動手段を構成する。
【0031】
再生制御部34は、ユーザ操作入力部33からのコマンドに従い、音声動画再生部32、およびチャート表示部35を制御する。「再生」、「停止」、および「一時停止」コマンドを受けとった場合、再生制御部34へは、通常の動画再生アプリケーションと同様に、それぞれの動作を指示する。
【0032】
「時刻ジャンプ」コマンドを受けとった場合には、音声動画再生部32より現在の表示時刻を取得し、復帰先時刻として記録する。次に音声動画再生部32へジャンプコマンドを送る。さらにチャート表示部35へ時刻ジャンプ表示コマンドをおくる。
【0033】
チャート表示部35は、以下の手順で表示画面上において「タイムチャート表示領域」の表示を行う。チャート表示部35との初期化は、データ記録部より、音声動画データの長さ、メモデータを入力する。音声動画データの長さに応じた長さのチャート領域を設定する。チャート上、各メモデータの対応位置に内容(「議題1」など)を描画する。
【0034】
図5は、実施の形態によるデータ再生装置の再生手順を説明するフローチャートである。ユーザはユーザ操作入力部33を操作して再生ボタンをクリックする。再生制御部34は、再生コマンドを検出動作に入り(ステップS101)、検出しない場合は(ステップS101のNo)そのまま検出動作を持続する。再生制御部34は、再生コマンドを検出した場合(ステップS101のYes)、音声動画再生部32は、音声動画の再生を開始する(ステップS102)。音声動画の開始と同時にチャート表示部35は、タイムチャート表示領域43の表示を開始する(ステップS103)。
【0035】
(1.2.チャート表示部)
チャート表示部35の動作について説明する。チャート表示部35は、定期的に、例えば0.5秒間隔で音声動画再生部32から現在再生中の時刻を入力し、現在時刻表示バー46を対応位置に移動する。また最右列の履歴表示部の同じ高さに履歴表示バー幅(10画素)の灰色の横線を表示する。
【0036】
図6は、履歴表示画像を説明する図である。履歴表示画像51を右に一列(10画素)分コピーする。このとき右端10画素の内容は破棄する。また左端10画素分は白に塗り潰して初期化してコピー先52が生成される。
【0037】
図7−1,7−2,7−3,7−4,7−5,および7−6は、実施の形態によるチャート表示部の動作を説明する図である。データ再生装置10は、動画データの先頭から再生を開始する。図7−1は、開始およそ30秒後の表示画面の模式図である。この時点で、再生履歴表示部45には0秒から30秒までにマーク48が付き、この時間範囲が再生済みであると表示される。即ち、マーク48は既再生マークである。
【0038】
所定の時刻に移動する動作について説明する。ユーザが「議題1」というメモをメモ表示領域44に見つけ、その内容を確認するためにタイムチャート内の03:00付近をマウスクリックすると、3分目からのデータを再生開始する(図7−2)。このとき0−30秒の既再生マークが右に1列分移動する。
【0039】
ここで、音声動画再生部32,表示画面40,およびメモ表示領域44は、本発明のメモ表示手段を構成する。
【0040】
3:30あたりまで再生したところで、その内容から自分の見たい場面はもっと前にあるはずだと、ユーザが判断する。再生履歴表示部の最左列に、時間の経過とともに3:00−3:30の既再生バーが表示される。
【0041】
2:00位置をクリックし、再生時刻を2:00にジャンプする(図7−3)。
【0042】
しかし、2:00から3:00までの範囲を再生しても(図7−4)、やはり目的の場面がなかったと判断する。ここで、履歴表示を見ると、3:00以降は既に再生済であることが分る。その前に再生した3:00−3:30の範囲内にも目的の場面はなかったことを思い出せば、このまま再生しても無駄と判断できる(図7−4)。
【0043】
そこで、さらに前の1:00へジャンプする。図7−5では1:00から2:00の再生が終った時点である。もしも、2:00まで再生した時点でもまだ目的の場面が見つからなければ、再生履歴表示部を見れば、既に1:00−3:30までは再生してあることが分るので、あと確認すべきは0:30から1:00、または3:30以降であることが容易に判断できる。
【0044】
あるいは、図7−2に示された時点で、目的の部分が3:00よりも前にあると気づいて、既再生の30秒と3:00の間が充分短いと判断すれば、ユーザは2:00へジャンプするのではなく、「戻る」ボタンを押すこともできる。この場合、再生制御部34に復帰先時刻として0:30が記録されているので、0:30の時刻へ戻り、最初の再生区間の続きを再生することもできる(図7−6)。
【0045】
このように、再生履歴表示、およびジャンプ前時刻への復帰により、ユーザは何度も同じ部分を無駄に見なおしたり、目的とする部分を飛してしまったりすることなく、効率的に検索することができる。
【0046】
(1.3.変形例1)
上記の実施の形態によるデータ再生装置における履歴表示例では、過去の再生履歴は徐々に右側へ移動していくので、例えば図7−1〜7−6に示された例では、履歴表示領域の幅は履歴バー5本分の幅しか取ることができない。そのため、5回前の時刻ジャンプより前の再生履歴は表示することができない。
【0047】
この問題を解決するために、再生履歴表示領域45の幅を広くとれば時間的に遠い過去の履歴も表示できるが、その分だけ他の情報を表示する面積が狭くなる。例えば図3に示された表示例では、メモ表示領域44が狭くなってしまう。一方、実施の形態の動作例で説明したような履歴表示の使い方をする場合、徐々に時間をさかのぼりながら再生するので、履歴表示を利用する場合、直前の再生履歴が特に重要であり、遠い過去の履歴は利用する頻度は低くなる。
【0048】
そこで、本実施例では、直前の再生履歴は詳しく、かつ遠い過去の履歴は多少精度を落しても狭い表示面積の中で、より長期間の履歴を表示するのが、変形例1の方式である。
【0049】
図8は、変形例1による履歴表示領域の表示例を説明する図である。変形例1の構成は、チャート表示部35の時刻ジャンプ表示コマンドに対応した動作が異なる。
【0050】
チャート表示部35は、時刻ジャンプ表示コマンドを再生制御部34から受けとると、再生履歴表示領域45の画像内容を横方向に縮小してコピーする。縮小率は、例えば、履歴表示領域の幅をW、1本の履歴表示バーの幅をDとして、(W−D)/Wとする。図8では、W=50画素、D=10画素の例を示してある。
【0051】
このような表示方法により、直前の履歴表示は実施の形態における場合と同じままであっても、同じ大きさの表示領域内により長期間の履歴を表示することができる。特に論理和法のような線の抜けが生じない縮小処理を行えば、過去の履歴すべてを表示することができる。
【0052】
(1.4.変形例2)
変形例2は、さらに他の履歴表示方法を採用したものである。変形例1の説明で述べたように、直前の数回の履歴だけが区別できれば、多くの使用目的を満たすことができる場合が多い。そこで、変形例2では、変形例1よりもさらに狭い表示領域だけを使って、直前の数回の履歴だけが区別できる表示方式である。
【0053】
図9は、変形例2による履歴表示領域の表示例を説明する図である。ここでは、過去すべての再生履歴を一列に表示する。ただし、現在再生中の再生区間(前回のジャンプ先時刻から現在再生時刻まで)は黒で、その前の再生区間は濃い灰色で、さらにひとつ前の区間は灰色で、それ以前の再生区間は薄い灰色で、それぞれ表示する。図9における括弧内のパーセンテージは明度の割合である。明度が低い方がより現在に近く、より明瞭に視認できる。
【0054】
変形例2におけるチャート表示部35の表示動作は、変形例1とは、チャート表示部35の時刻ジャンプ表示コマンドに対応した動作が異なる。
【0055】
図10は、変形例2に用いるメモリの動作を説明する図である。チャート表示部35は、時刻ジャンプ表示コマンドを再生制御部34から受けとると、(1)現在の再生区間101(前回のジャンプ先時刻から現在再生時刻まで)を、メモリ上のスタック100にプッシュする。(2)スタック100の上から4番目に記録されている再生区間を読み出し、存在すれば履歴表示領域上の対応範囲を薄い灰色(明度75%)で塗り潰す(図9)。(3)スタック100の上から3番目に記録されている再生区間を読み出し、対応範囲を灰色(明度50%)で塗り潰す。(4)スタック100の上から2番目に記録されている再生区間を読み出し、対応範囲を濃い灰色(明度25%)で塗り潰す。(5)スタック100の1番上に記録されている再生区間を読み出し、対応範囲を黒(明度0%)で塗り潰す。
【0056】
上記の(2)で薄い灰色に塗り潰される領域は、以前は灰色(明度50%)で表示されていた領域である。つまり時刻ジャンプのたびに、この処理によって色が一段階づつ過去に送られていき(明度が高く、即ち色が薄くなり)、4段階以上前の再生区間はすべて薄い灰色で塗り潰されることになる。なお、スタック100は上から4つだけを利用するので、リングバッファでも実現できる。
【0057】
(1.5.変形例3)
変形例2による履歴表示法では、4回以上前の区間が区別できないため、多数の時刻ジャンプの後では、広い区間が薄い灰色になってしまう。そこで変形例3では、履歴消去コマンドにより履歴表示領域45の表示をクリアし最初(白地)から表示しなおす機能を備える。
【0058】
実施の形態のボタンに加えて、「消去」ボタンを備え、消去を要求する信号の入力を受け付ける。このボタンの押下を再生制御部34が検出すると、チャート表示部35は、再生履歴表示領域45へ履歴消去コマンドを伝える。
【0059】
ここで、再生制御部34、チャート表示部35、および消去ボタンは、本発明の消去手段を構成する。
【0060】
(1.6.変形例4)
変形例4は、データの再生制御方式が変形例3と異なる。変形例3では、ユーザが履歴表示を監視して、現在再生時刻が既に再生済みの時間範囲か否かを判断し、必要ならば別の時刻へジャンプする操作を行っていたが、変形例4では、この監視作業をチャート表示部35が自動的に実行することにより、ユーザの操作負担を軽減するものである。
【0061】
現在再生中の表示時刻が、既に再生を済ませた既再生区間に入った場合、ジャンプ指示される可能性があるが、どこへジャンプするかはユーザが選択可能であることが望ましいので、一時停止することにより既再生区間に進入したことをユーザに通知し、指示を待つ。あるいは、自動的に時系列的に次の未再生区間に移動するようにしても良い。
【0062】
また変形例4では、ユーザが一時停止するか、そのまま再生を続行するかを選択して設定できるボタンを有することが望ましい。
【0063】
図11は、変形例4によるデータ再生装置の表示画面を説明する模式図である。図4に示された表示画面40に、既再生区間進入時の動作設定のためのチェックボックスが、ボタン表示領域1102に追加された。
【0064】
表示画面1140には、既再生区間進入時の動作設定のためのチェックボックス(一時停止する1107/しない1108)が設けられ、チェックボックスにおいてマウスクリックが検出されれば、対応する設定を再生制御部34へ伝える。ここで、マウスはユーザ操作入力部33の一例である。
【0065】
ユーザ操作入力部33より既再生区間進入時の動作設定情報が入力されれば、再生制御部34は設定値(「一時停止する」「しない」のいずれか)を設定して設定を保存する。
ここで、再生制御部34、およびチャート表示部35は、本発明の判定手段を構成する。また、再生制御部34、チャート表示部35、一時停止選択ボタン1107および1108は、本発明の選択手段を構成する。
【0066】
ユーザ操作入力部33より時刻ジャンプコマンドを受信すると、実際に再生時刻を変更する前に、再生時チェック処理(後述)の前準備を以下のように行う。まず既再生区間情報を記録する。記録される既再生区間情報は区間の開始、および終了時刻の配列である。前回ジャンプ時(プログラム起動時は0秒にジャンプしたものと扱う)と今回のジャンプ操作時を今回再生した区間とし、既に記録されている情報を比較し、必要があれば区間情報を書きかえて更新する。ここで、更新は単純な追加ではなく、今回の再生区間と記録された再生区間がオーバラップしている場合には、それらをマージして、オーバラップのない時間範囲だけを記録する。
【0067】
図12は、変形例4において再生区間のマージ例を説明する図である。図12に示された例では、今回再生した区間(01:30−07:00)1201が、記録済み再生区間のうち2つ(01:00−02:00)1202と(05:00−06:00)1203とオーバラップする。そのため、オーバラップする区間をマージして新しい区間(01:00−07:00)1204をひとつだけ記録する。
【0068】
次にジャンプ先時刻をすべての記録された再生区間と比較し、ジャンプ先時刻以後、最初の既再生区間開始時刻を記録する。この情報は以下の再生時チェック処理で利用する。その後、実施の形態と同様に、復帰先時刻を記録し、再生部へジャンプコマンドを送信する。
【0069】
再生中は、定期的(0.5秒ごととする)に以下の処理を行う。現在の再生時刻を取得し、前回ジャンプ時に計算された次の既再生区間の開始時刻と比較する。現在時刻が次開始時刻を越え、かつ動作として「一時停止する」が設定されていた場合には、音声動画再生部32へ一時停止コマンドを送信する。
【0070】
(1.6.記録媒体)
尚、本実施形態のC言語プログラム生成装置で実行されるC言語プログラム生成プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フロッピー(R)ディスク(FD)、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0071】
また、本実施形態のC言語プログラム生成プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供および配布するように構成しても良い。
【0072】
本実施形態にかかるC言語プログラム生成プログラムは、C言語プログラム生成装置で上記記憶媒体から読み出して実行することにより主記憶装置上にロードされ、上記ソフトウェア構成で説明した各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0073】
(1.7.効果)
動画などのマルチメディアデータを再生する場合、過去に再生した時間範囲を表示することにより、ランダムアクセスによる検索を効率よく行うことができる。
また、メモを表示して関連情報をユーザに知らしめ、時刻検索に伴うビデオ検索を効率的に行うことができる。
【0074】
また、再生履歴を再生回数ごとに区別して表示することにより、より多くの情報をユーザに与え、検索の効率化を図ることができる。
【0075】
また、狭い表示領域に再生履歴情報を表示することにより、他の情報表示を妨げない表示方法を提供できる。
【0076】
また、多数のランダムアクセスや長期間の再生により、多くの再生時間帯の範囲が既再生になってしまった後、過去の表示履歴を消去することにより、最近の再生履歴を明確に表示することができる。
【0077】
また、以前の再生中断時刻への移動という、ユーザが移動を希望する可能性の高い指示を連続的な時刻のなかから特定時刻を選択するよりも、簡単な操作で実現することができる。
【0078】
また、動画などの再生中は、ユーザはその動画内容を観察したいので、現在再生時刻の監視という余分な作業を自動化することにより、ユーザの操作負担を低減することができる。
【0079】
ユーザや利用場面によっては、既再生時間範囲を再び再生したい場合としたくない場合の両方が考えられるので、既再生範囲での動作を選択する手段を設けることにより、よりユーザの嗜好に従うデータ再生装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明にかかるデータ再生装置、データ再生方法をコンピュータに実行させるプログラム、およびそのプログラムを格納した機械読み取り可能な記録媒体は、操作者がマルチメディアデータを効率よく検索することに有用であり、特に、再生した時間帯と未再生の時間帯とを判別しながら操作者が効率よくランダムアクセスして検索することに適している。
【符号の説明】
【0081】
10 データ再生装置
11 CPU
12 メモリ
13 HDD
14 キーボード
15 マウス
16 ビデオIF
17 ディスプレイ
18 オーディオIF
19 スピーカ
31 データ入力部
32 音声動画再生部
33 ユーザ操作入力部
34 再生制御部
35 チャート表示部
40、1140 表示画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特許第2558746号公報
【特許文献2】特開2001−333358号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画データを再生する再生手段と、
前記再生手段によって再生された前記動画データの再生履歴を時間範囲とあわせて表示する再生履歴表示手段と、
前記再生履歴表示手段に表示される前記動画データの再生箇所を指定する指定手段と、を備え、
前記再生履歴表示手段は、再生中の領域と再生済みの領域とを分類して表示し、
前記指定手段は、前記再生履歴表示手段による表示から任意の領域を指定することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記再生履歴表示手段は、前記再生中の領域から再生区間がさかのぼる領域ごとに色を異ならせることにより前記分類して表示することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
動画データを再生する再生ステップと、
前記再生ステップによって再生された前記動画データの再生履歴を時間範囲とあわせて表示手段に表示する再生履歴表示ステップと、
前記再生履歴表示ステップによって前記表示手段に表示される前記動画データの再生箇所の指定を受け付ける指定ステップと、を備え、
前記再生履歴表示ステップは、再生中の領域と再生済みの領域とを分類して表示し、
前記指定ステップは、前記再生履歴表示ステップによる表示から任意の領域の指定を受け付けることを特徴とする再生方法。
【請求項4】
前記再生履歴表示ステップは、前記再生中の領域から再生区間がさかのぼる領域ごとに色を異ならせることにより前記分類して表示することを特徴とする請求項3に記載の再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図7−6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−158086(P2009−158086A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39768(P2009−39768)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【分割の表示】特願2003−328813(P2003−328813)の分割
【原出願日】平成15年9月19日(2003.9.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】