説明

再送信システム並びにこのシステム用の受信装置及び送信装置

【課題】 停電時でも地上デジタル放送を小容量のバッテリーで継続可能とする。
【解決手段】 受信装置2が送信装置4に光連絡線設備5を介して接続された再送信システムにおいて、受信装置2は、受信アンテナ6で1波の地上デジタルテレビジョン放送信号を受信し、受信側単チャンネル放送用信号処理ユニット12−1で増幅する。受信側電源部18が商用電源の非供給時に受信側単チャンネル放送用信号処理ユニット12−1に動作電力を供給する。商用電源の非供給時に受信側単チャンネル放送用信号処理ユニット12−1の出力信号を送信装置4に光連絡線設備5を介して供給する。送信装置4は、商用電源の非供給時に光連絡線設備5を介して伝送される前記1波の地上デジタルテレビジョン放送信号を送信側単チャンネル処理ユニット40で処理して送信アンテナ58に供給する。商用電源の非供給時に送信側電源部60が送信側単チャンネル処理ユニット40に動作電力を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再送信システム並びにこのシステムで使用する受信装置及び送信装置に関し、特に、停電時への対策を施したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、再送信システムには、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。特許文献1の技術によれば、受信アンテナで受信したテレビジョン放送信号が受信増幅器で増幅され、伝送路上に供給される。伝送路上には、複数の分岐装置が配置され、これら分岐装置を介して、放送電波を再送信すべき領域ごとに設置された送信増幅器にテレビジョン放送信号が伝送され、送信増幅器で増幅され、送信アンテナから送信される。各分岐装置は、商用電源から直流定電圧を生成する定電圧回路を備え、この直流定電圧を各送信増幅器に電源として供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−158392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、商用電源から生成された直流定電圧を各送信増幅器に電源として供給するので、停電が生じた場合、送信増幅器が動作せず、再送信が不可能になる。
【0005】
このような問題は、例えば各分岐装置に無停電電源装置を設置すれば解決できる。しかし、全てのチャンネルのテレビジョン放送信号を再送信できるように送信増幅器に動作電力を供給する場合、無停電電源装置の容量を大きくしなければ、短時間しか再送信を維持することができず、無停電電源装置の容量を大きくすれば、コストが上昇する。
【0006】
本発明は、停電が生じても、低コストで再送信を維持することができる再送信システム、この再送信システムにおいて使用する受信装置及び送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の再送信システムは、受信装置と、連絡線設備と、この連絡線設備を介して受信装置に接続された送信装置とを有している。前記受信装置は、受信側複数チャンネル処理手段を有している。この受信側複数チャンネル処理手段は、複数チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号を前記送信装置に連絡線設備を介して伝送可能に処理して、前記送信装置に供給する。また、受信装置は、受信側単チャンネル処理手段も有している。受信側単チャンネル処理手段は、特定の単チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号を前記送信装置に連絡線設備を介して伝送可能に処理して、前記送信装置に供給する。特定の単チャンネルは、複数チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号のうちの1つであってもよいし、別の1つの地上デジタルテレビジョン放送信号であってもよい。受信側多チャンネル処理手段及び受信側単チャンネル処理手段が行う処理としては、例えば受信装置から送信装置への伝送が光信号で行われる場合には、光信号への変換を含み、受信装置から送信装置への伝送が電気信号で行われる場合には、増幅や周波数変換を含む。受信装置は、受信側電源部も含み、これは、商用電源の供給時には、前記受信側複数チャンネル処理手段と前記受信側単チャンネル処理手段とに動作電力を供給し、前記商用電源の非供給時には前記受信側単チャンネル処理手段に動作電力を供給する。送信装置は、送信側複数チャンネル処理手段と送信側単チャンネル処理手段とを有している。送信側複数チャンネル処理手段は、受信装置から連絡線設備を介して伝送された受信側複数チャンネル処理手段からの信号をテレビジョン受信機で受信可能に処理して送信アンテナに供給する。送信側単チャンネル処理手段は、前記受信装置から連絡線設備を介して伝送された前記受信側単チャンネル処理手段からの信号を前記テレビジョン受信機で受信可能に処理して前記送信アンテナに供給する。送信側電源部が、前記商用電源の供給時に前記送信側複数チャンネル処理手段と前記単チャンネル処理手段とに商用電源に基づいて動作電力を供給し、前記商用電源の非供給時に前記送信側単チャンネル処理手段にバッテリーに基づいて動作電力を供給する。
【0008】
このように構成された再送信システムでは、停電が生じると、受信側電源部では、商用電源に基づく動作電力を受信側多チャンネル処理手段及び受信側単チャンネル処理手段に供給することはできないが、バッテリーに基づいて受信側多チャンネル処理手段に動作電力が供給される。従って、特定の単チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号は、停電が生じても送信装置に伝送される。同様に、送信装置においても、停電が生じた場合、送信側単チャンネル処理手段は動作しており、受信装置から伝送された特定の単チャンネル地上デジタルテレビジョン放送信号の再送信は、停電が生じても継続される。このように停電が生じても単チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送の再送信が行われているので、例えば災害によって停電が発生した場合でも、この単チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送によって災害についての情報を知ることができる。しかも、受信側及び送信側単チャンネル信号処理手段のみをバックアップしているので、受信側及び送信側電源部が備えるバッテリーには小容量のものを使用することができ、コストの低減を図ることができる。なお、受信装置側及び送信装置側のいずれか一方のみで、停電が生じた場合でも、特定の単チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号の再送信は、確実に行われる。
【0009】
上記の再送信システムにおいて、受信装置は、前記各地上デジタルテレビジョン放送信号を受信する受信アンテナと、この受信アンテナの受信信号を2分配する分配手段と、前記商用電源の供給時に前記分配手段の一方の分配出力を増幅する増幅状態となり、前記商用電源の非供給時には信号遮断状態となる前置増幅手段と、前記分配手段の他方の分配出力と前記前置増幅手段の出力が入力され、前記受信側複数チャンネル処理手段及び前記受信側単チャンネル処理手段に供給する合成手段とを、有するものとできる。
【0010】
例えば商用電源の非供給時にも前記増幅手段が増幅状態となるようにバックアップすることも可能であるが、そうするとバッテリーに大容量のものを使用しなければならなくなる。そこで、商用電源の供給時には、分配手段で分配した受信アンテナの受信信号を前置増幅手段で増幅し、合成手段を介して受信側複数チャンネル処理手段及び前記受信側単チャンネル処理手段に供給するが、停電時には、前置増幅手段が信号遮断状態となり、分配手段で分配した受信アンテナの信号を合成手段を介して、受信側複数チャンネル処理手段及び受信側単チャンネル処理手段に供給するようにし、商用電源の非供給時にも受信側複数チャンネル処理手段及び受信側単チャン得る処理手段に受信アンテナの受信信号の供給を維持しつつ、バッテリーの大容量化を防止している。
【0011】
上記の再送信システムにおいて、前記連絡線設備は、光連絡線設備とすることができる。この場合、前記受信側複数チャンネル処理手段及び前記受信側単チャンネル処理手段は、それぞれ異なる波長の光信号を多重して前記光連絡線設備を介して前記送信装置に伝送する。このように構成した場合、停電時において動作する前記受信側単チャンネル処理手段からは前記受信側複数チャンネル処理手段と異なる波長を連絡線設備に伝送し、送信装置側の送信側単チャンネル処理手段のみを動作させることで省電力化が可能となり、また、それぞれに専用の伝送路を設ける必要が無く、コストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、停電が生じても、特定の1チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送の再送信は継続して行われているので、例えば災害等によって停電が生じている場合でも、特定の1チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送によって行われる災害についての情報を視聴することが可能である。しかも、特定の1チャンネル用の受信側及び送信側単チャンネル信号処理手段のみをそれぞれバッテリーによってバックアップしているので、バッテリーには小容量のものを使用することができ、コストアップを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1実施形態の再送信システムのブロック図である。
【図2】図1の再送信システムの受信装置と送信装置との配置を示す略図である。
【図3】図1の再送信システムで使用している受信装置の電源部のブロック図である。
【図4】図1の再送信システムで使用している送信装置の電源部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の1実施形態の再送信システムは、いわゆるギャップフィラーシステムであり、図1に示すように、受信装置2と、送信装置4と、これらを接続する連絡線設備、例えば光連絡設備5を有している。受信装置2には、光連絡線設備5の光送信機14、16が一体構成されている。送信装置4には、光連絡線設備5のカプラ40、フィルタ43、50、光受信機46、52が一体構成されている。
【0015】
受信装置2は、例えば図2に示すように例えば難視聴地域の近傍にあって良好にテレビジョン放送信号を受信できる位置、例えば山の頂上に設置されている。ここで受信したテレビジョン放送信号を送信装置4に伝送する。図2に示すように送信装置4は複数設置されており、受信装置2と各送信装置4とは、かなり離れた位置にある。
【0016】
図1に示すように受信装置2は、UHF帯の地上デジタルテレビジョン放送信号の受信用アンテナ6を有しており、この受信用アンテナ6で受信された複数チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号が、前置増幅手段、例えばプリアンプ8で増幅された後、ヘッドアンプ10に供給される。
【0017】
ヘッドアンプ10は、各チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号をそれぞれ個別に増幅する複数の受信側単チャンネル処理ユニット12−1乃至12−nを有している。これら複数の受信側単チャンネル処理ユニット12−1乃至12−nのうち特定のチャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号を増幅している受信側単チャンネル処理ユニット12−1での出力信号が、光送信機14に供給され、特定の波長の光信号に変換される。また、残りの受信側単チャンネル処理ユニット12−2乃至12−nによってそれぞれ増幅された残りの複数チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号は、合成されて光送信機16に供給され、ここで光送信機14とは異なる波長の光信号に変換される。
【0018】
ヘッドアンプ10は、受信側電源部18を有している。図3に示すように、この受信側電源部18は、複数波動作用電源回路20を有している。これは、図1に示す交流電源部22から供給された30乃至60Vの交流電圧を直流電圧に変換し、これを受信側単チャンネル処理ユニット12−1、12−2乃至12−n及び光送信機14、16に供給して、これらを動作させるものである。交流電源部22は、商用電源から上記交流電圧を発生しており、商用電源が作動している通常状態では、複数波動作用電源回路20は、受信側単チャンネル処理ユニット12−1、12−2乃至12−n及び光送信機14、16に動作電力を供給しているが、災害等によって商用電源が非供給(停電)のときには、12−1、12−2乃至12−n及び光送信機14、16に動作電力を供給できない。
【0019】
受信側電源部18には内部バッテリー24が設けられ、停電検出手段、例えば停電検出回路26が商用電源の停電を検出したとき、この内部バッテリー24の電圧が出力制御回路28によって制御されて、1波動作用電源回路30に供給され、ここで受信側単チャンネル処理ユニット12−1及び光送信機14のみを動作させるのに適切な電圧に調整されて、これらに供給される。従って、停電が生じても、受信側単チャンネル処理ユニット12−1及び光送信機14は、自動的に動作を継続する。なお、内部バッテリー24は、充放電監視回路32によって充放電状態が監視されており、放電状態では、交流電源部22からの交流電圧に基づいて充電されている。長時間にわたって1波の地上デジタルテレビジョン放送を継続する必要があるような場合に備えて、受信装置2の外部に外部バッテリー33も設け、これからも動作電力を受信側単チャンネル処理ユニット12−1、光送信機14に供給できるように構成してある。
【0020】
図1に示すように、光送信機14、16からの光信号は光連絡線設備5の光合成器34において合成され、光連絡線設備5の光分配器36で複数に分配され、光連絡線設備5の光ファイバー37を介して各送信装置4に供給されている。
【0021】
送信装置4では、光分配器36の1つの分配端子からの光信号をカプラ40が受けて、これを、送信側単チャンネル処理ユニット42と、送信側多チャンネル処理ユニット44とに供給する。
【0022】
送信側単チャンネル処理ユニット42では、カプラ40からの光信号から、フィルタ43によって光送信機14からの光信号(単チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号を変換した光信号)を抽出し、光受信機46によって元の単チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号に復元する。復元された単チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号は増幅器48によって電力増幅される。同様に送信側多チャンネル処理ユニットでは、カプラ40からの光信号から、フィルタ50によって光送信機16からの光信号(複数チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号を変換した光信号)を抽出し、光受信機52によって元の複数チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号に復元し、これを増幅器54によって電力増幅する。これら増幅器48、54で増幅された各地上デジタルテレビジョン放送信号は、合成器56によって合成され、送信アンテナ58から送信される。
【0023】
これら送信側単チャンネル処理ユニット42及び送信側多チャンネル処理ユニット44は、無停電電源装置、例えば送信側電源部60からの動作電力によって動作している。送信側電源部60は、図4に示すように、複数波動作用電源回路62を有している。この複数波動作用電源回路62は、商用電源から供給された100Vの交流電圧を直流電圧に変換し、これを送信側単チャンネル処理ユニット42及び送信側多チャンネル処理ユニット44に供給して、これらを動作させる。この複数波動作用電源回路62は、災害等によって商用電源が非供給(停電)のときには、送信側単チャンネル処理ユニット42及び送信側多チャンネル処理ユニット44に動作電力を供給できない。
【0024】
送信側電源部60には内部バッテリー64が設けられ、停電検出手段、例えば停電検出回路66が商用電源の停電を検出したとき、この内部バッテリー64の電圧が出力制御回路68によって制御されて、1波動作用電源回路70に供給され、ここで送信側単チャンネル処理ユニット42のみを動作させるのに適切な電圧に調整されて、送信側単チャンネル処理ユニット42に供給される。従って、停電が生じても、送信側単チャンネル処理ユニット42は、動作を自動的に継続する。なお、内部バッテリー64は、充放電監視回路72によって充放電状態が監視されている。
【0025】
このように構成された再送信システムでは、停電が生じていない場合、受信装置2の受信側単チャンネル処理ユニット12−1、12−2乃至12−n及び光送信機14、16は、受信側電源部18の複数波動作用電源回路20からの動作電力によって動作し、送信装置4の送信側単チャンネル処理ユニット42、送信側多チャンネル処理ユニット44は、送信側電源部60の複数波用電源回路62からの動作電力によって動作している。従って、受信アンテナ6で受信された各地上デジタルテレビジョン放送信号は、光信号に変換されて、送信装置4に伝送され、送信側単チャンネル処理ユニット42及び送信側多チャンネル処理ユニット44で元の各地上デジタルテレビジョン放送信号に変換されて、送信アンテナ58から再送信される。
【0026】
受信装置2側で停電が生じた場合、受信側電源部18の複数波動作用電源回路20からの動作電力の供給は停止されるが、自動的に1波動作用電源回路30が動作する。その結果、受信側単チャンネル処理ユニット12−2乃至12−nと光送信機16とは動作を停止するが、受信側単チャンネル処理ユニット12−1と光送信機14とは、動作を継続する。その結果、特定の1波の地上デジタルテレビジョン放送信号を変換した光信号の送信装置4への伝送は、停電が生じても、継続される。
【0027】
送信装置4側でも停電が生じている場合、送信側電源部60の複数波動作用電源回路62からの動作電力の供給は停止されるが、自動的に1波動作用電源回路70が動作する。その結果、送信側多チャンネル処理ユニット44は動作を停止するが、送信側単チャンネル処理ユニット42は、動作を継続する。その結果、停電が生じても、送信側単チャンネル処理ユニット42は、伝送されてきた光信号を特定の1波の地上デジタルテレビジョン放送信号に変換し、送信アンテナ58から再送信する。
【0028】
従って、停電が生じても特定の1波のテレビジョン放送信号の再送信は継続される。例えば停電が災害等に基づいて発生したような場合でも、特定の1チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号を受信することによって、災害についての情報を入手できる。特に、地上デジタルテレビジョン放送には1セグ放送が含まれているので、1セグ放送受信機能を有するモバイル機器、例えば携帯電話機を持って再送信のエリア内にいればどこでも、災害についての情報を入手できる。また、特定の1チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号の再送信を可能にするために、受信装置2では、単チャンネル処理ユニット12−1及び光送信機14のみをバックアップし、送信装置4では、単チャンネル処理ユニット42のみをバックアップしているので、バックアップに使用する内部バッテリー24、64には小容量のものを使用することができ、コストの低減を図ることができる。
【0029】
なお、受信装置2側のみで停電が生じた場合、受信側単チャンネル処理ユニット12−1及び光送信機14から、特定の1チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号の光信号の伝送が継続され、送信装置4側では、送信側単チャンネル処理ユニット42、多チャンネル処理ユニット44が動作しているが、送信側単チャンネル処理ユニット42によって特定の1チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号が再送信される。送信装置4側のみで停電が生じた場合、受信装置2側からは全ての地上デジタルテレビジョン放送信号の光信号が送信装置4側に伝送されるが、送信装置4側では、送信側単チャンネル処理ユニット42のみが動作し、特定の1チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号が再送信される。従って、受信装置2及び送信装置4のいずれか一方の側のみで停電が生じた場合でも、常に特定の1チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号の再送信は継続される。
【0030】
プリアンプ8には、受信側電源部18の複数波動作用電源回路20から動作電力が供給されているが、停電時に1波動作用電源回路30から動作電力をプリアンプ8に供給するようにすると、内部バッテリー24の容量を大きくしなければならなくなる。そこで、停電時には、プリアンプ8への動作電力の供給を停止し、その代わり、受信アンテナ6で受信した地上デジタルテレビジョン放送信号をそのまま受信装置2に供給している。そのため、受信アンテナ6での受信信号を2分配器76で2分配し、一方の分配出力をプリアンプ8に供給している。他方の分配出力とプリアンプ8の出力とを合成器78で合成して、受信装置2に供給している。このように受信側電源部18の複数波動作用電源回路20から動作電力が供給されている状態において、受信アンテナ6で受信した地上デジタルテレビジョン放送信号は、2分配器76で2分配された一方の分配出力の信号がプリアンプ8で増幅され、合成器78の一方に供給されるとともに、分配器76で2分配された他方の分配出力の信号がそのまま合成器78の他方に供給され、合成器78の出力からは増幅された地上デジタルテレビジョン放送信号がヘッドアンプ10に伝送される。また、受信側電源部18の複数波動作用電源回路20から動作電力が供給されてない状態において、受信アンテナ6で受信した地上デジタルテレビジョン放送信号は2分配器76の他方の分配出力が合成器78を介してヘッドアンプ10に伝送される。
【0031】
2分配器76、合成器78に代えて、停電時に停電検出回路26からの停電検出信号に基づいて自動的に切り換えられる第1及び第2の切換スイッチを設け、通電時には、受信アンテナ6での受信信号を第1の切換スイッチによってプリアンプ8に供給し、プリアンプ8の出力を第2の切換スイッチによって受信装置4に供給し、停電時には、受信アンテナ6での受信信号を切り換えられた第1の切換スイッチによって第2の切換スイッチ側に供給し、第1の切換スイッチを介して供給された受信アンテナ6の受信信号を、プリアンプ8側から切り換えられた第2の切換スイッチによって受信装置4に供給するように構成することもできる。
【0032】
上記の実施形態では、受信装置や連絡線設備及び送信装置に、例えば光共同受信システムや同軸ケーブル使用の共同受信システムに併設して当該システムを構成することができる。上記の実施形態では受信装置や専用の連絡線設備を使用したが、共同受信システムに併設した場合、連絡線設備はこれら共同受信システムとの共用を図ることができるので、経済的な再送信システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
2 受信装置
4 送信装置
12−1乃至12−n 受信側単チャンネル処理ユニット
14 光送信機
16 光送信機
18 受信側電源部
42 送信側単チャンネル処理ユニット
44 送信側多チャンネル処理ユニット
60 送信側電源部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信装置と、連絡線設備と、この連絡線設備を介して前記受信装置が接続された送信装置とからなる再送信システムにおいて、
前記受信装置は、
複数チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号を前記連絡線設備を介して前記送信装置に伝送可能に処理して、前記送信装置に供給する受信側複数チャンネル処理手段と、
特定の単チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号を前記連絡線設備を介して前記送信装置に伝送可能に処理して、前記送信装置に供給する受信側単チャンネル処理手段と、
商用電源の供給時には、前記受信側複数チャンネル処理手段と前記受信側単チャンネル処理手段とに商用電源に基づいて動作電力を供給し、前記商用電源の非供給時には前記受信側単チャンネル処理手段にバッテリーに基づいて動作電力を供給する受信側電源部とを、
具備し、前記送信装置は、
前記受信装置から前記連絡線設備を介して伝送された前記受信側複数チャンネル処理手段からの信号をテレビジョン受信機で受信可能に処理して送信アンテナに供給する送信側複数チャンネル処理手段と、
前記受信装置から前記連絡線設備を介して伝送された前記受信側単チャンネル処理手段からの信号を前記テレビジョン受信機で受信可能に処理して前記送信アンテナに供給する送信側単チャンネル処理手段と、
前記商用電源の供給時に前記送信側複数チャンネル処理手段と前記単チャンネル処理手段とに商用電源に基づいて動作電力を供給し、前記商用電源の非供給時に前記送信側単チャンネル処理手段にバッテリーに基づいて動作電力を供給する送信側電源部とを、
具備する
再送信システム。
【請求項2】
請求項1記載の再送信システムにおいて、前記受信装置は、前記各地上デジタルテレビジョン放送信号を受信する受信アンテナと、この受信アンテナの受信信号を2分配する分配手段と、前記商用電源の供給時に前記分配手段の一方の分配出力を増幅する増幅状態となり、前記商用電源の非供給時には信号遮断状態となる前置増幅手段と、前記分配手段の他方の分配出力と前記前置増幅手段の出力とが入力され、出力が前記受信側複数チャンネル処理手段及び前記受信側単チャンネル処理手段に供給される合成手段とを、有する再送信システム。
【請求項3】
複数チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号を、これを再送信する送信装置に連絡線設備を介して伝送可能に処理して供給する受信側複数チャンネル処理ユニットと、
前記複数チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号とは異なる特定の1チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号を前記送信装置に前記連絡線設備を介して伝送可能に処理して供給する受信側単チャンネル処理ユニットと、
商用電源の供給時には、前記受信側複数チャンネル処理ユニット及び前記受信側単チャンネル処理ユニットに商用電源に基づいて動作電力を供給し、前記商用電源の非供給時には前記受信側単チャンネル処理ユニットにバッテリーに基づいて動作電力を供給する受信側電源部とを、
具備する再送信システム用受信装置。
【請求項4】
伝送された複数チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号を処理して送信アンテナに供給する送信側複数チャンネル処理ユニットと、
特定の1チャンネルの地上デジタルテレビジョン放送信号を処理して前記送信アンテナに供給する送信側単チャンネル処理ユニットと、
前記商用電源の供給時に前記送信側複数チャンネル処理ユニット及び前記単チャンネル処理ユニットに商用電源に基づいて動作電力を供給し、前記商用電源の非供給時に前記送信側単チャンネル放送用処理ユニットにバッテリーに基づいて動作電力を供給する送信側電源部とを、
具備する
再送信システム用送信装置。
【請求項5】
請求項1記載の再送信システムまたは請求項3記載の再送信システム用受信装置において、前記連絡線設備は、光連絡線設備であり、前記受信側複数チャンネル処理手段及び前記受信側単チャンネル処理手段は、それぞれ異なる波長の光信号を多重して前記光連絡線設備を介して前記送信装置に伝送する再送信システムまたは再送信システム用受信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−263334(P2010−263334A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111597(P2009−111597)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(591053926)財団法人エヌエイチケイエンジニアリングサービス (169)
【出願人】(591164613)株式会社エヌエイチケイアイテック (39)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】