再配置可能なヒーターを使用するクロスウェブ熱分配システムおよび方法
高分子フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを制御するシステムおよび方法が開示される。熱分配領域におけるフィルムへの熱の選択可能な分配を提供するクロスウェブ熱分配システムが開示される。クロスウェブ熱分配システムは少なくとも1つの選択可能な再配置可能な加熱素子(260a〜e)を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、押し出されたか、または配向されたフィルムにおける厚さのばらつきを制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムの押出成形は、典型的にはフィルムの長さおよび幅に沿って厚さのばらつきを生じさせる。厚さのばらつきを制御する先行技術方法としては、ダイボルトを調節する(米国特許第4,409,160号、コゴ(Kogo)ら)、延伸中に静止形ヒーターの加熱パワーを調節する(米国特許第3,347,960号、フェンリー(Fenley);特開昭52−047070号、筒井)または完成フィルムのロールが外観は均一であるよう、ウェブを横断して変化する場所において厚い箇所と薄い箇所を意図的に発生させる(英国特許第1,437,979号、ヘキスト社(Hoechst Aktiengesellschaft);英国特許第1,437,980号、ヘキスト社(Hoechst Aktiengesellschaft))ことが挙げられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本出願は、オリエンターにおけるフィルムへの熱の選択可能な分配を提供するためのクロスウェブ熱分配システムを使用して高分子フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを制御するためのシステムおよび方法を開示し、前記クロスウェブ熱分配システムは少なくとも1つの選択可能で再配置可能な加熱素子を備える。上記の要約は、本発明の開示された各実施形態、またはあらゆる実施を記載するものではない。以下の図および発明を実施するための最良の形態は、説明的な実施形態をより具体的に例証する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本出願は、配向されたフィルムにおける厚さのばらつきを制御することに関する。フィルムの製造は、典型的にはフィルムの長さおよび幅に沿って厚さのばらつきを生じさせる。この出願は、配向されたフィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを細かくかつ能動的に調節する新規システムおよび方法を開示する。
【0005】
開示されたシステムおよび方法は、その性状がフィルム製造中に延伸から恩恵を受けることができる任意のポリマーを含むフィルムの製造に使用してもよい。フィルムは、1またはそれより多くのポリマーを含んでもよい。2つ以上の構成成分ポリマーを有するフィルムは、1つのポリマーが連続相であり、かつ1つまたはそれより多いポリマーが分散した相である混和性の混合物、不混和性の混合物、共連続混合物、互いに貫通するポリマー網状組織、および任意の層数を持つ層状フィルムを含むが、それらに限定されない、任意の形態的なまたは構造的形状を有してもよい。目下開示されているシステムおよび方法は、多層光学フィルムにとって特に有用である。これらのシステムおよび方法はまた、ポリエステルを含むフィルムにとって特に有用である。
【0006】
この開示されたシステムまたは方法を使用することにより作成される多層光学フィルムとしては、ミラーフィルム、反射偏光子のような偏光フィルム、ディスプレイフィルム、光学フィルター、補償フィルム、反射防止フィルム、または例えば、紫外線または赤外線遮蔽、色合付け、または陰影付けを可能とする(建築、自動車、温室、またはその他の用途向け)ウィンドウ(エネルギー制御または太陽光制御)フィルムを挙げてもよいが、それらに限定されない。
【0007】
本システムまたは方法を使用して作成されるフィルムは、多層光学フィルムである必要はない。これら以外の高性能フィルムは、本明細書に開示されるクロスウェブ厚さ制御から恩恵を受けることも可能である。高性能フィルムの用途としては、オーディオ、ビデオ、またはデ−タのアナログまたはディジタル記録用磁気メディアベースフィルム、グラフィックアートフィルム、リプログラフィックフィルム、オーバヘッドプロジェクター用透明フィルム、写真フィルム、x線フィルム、マイクロフィルム、写真プリントフィルム、インクジェット印刷フィルム、普通紙複写機フィルム、版面フィルム、色校正フィルム、ディジタル印刷フィルム、カーボンリボンフィルム、フレキソ印刷フィルム、グラビア印刷フィルム、製図およびジアゾ印刷フィルム、ホログラフフィルム、接着テープ基材、研摩基材、ラベルフィルム、剥離ライナーフィルム、マスキングフィルム、積層フィルム、包装フィルム、ヒートシールフィルム、蓋フィルム、デュアルオーブン用耐熱フィルム、バリヤーフィルム、スタンピング箔、メタライジングフィルム、装飾フィルム、アーカイブおよび保存用フィルム、ワイヤおよび電線、モーター、変圧器、並びに発電機用電気絶縁フィルム、フレキシブル印刷回路フィルム、キャパシタフィルム、クレジットカード、プリペイドカード、IDカード、および「スマートカード」のようなカード用フィルム、耐引っかき性、落書き防止またはシャッター防護用ウィンドウまたはセーフティフィルム (セキュリティーフィルム)、皮膜スイッチフィルム、タッチスクリーンフィルム、医療センサーおよび診断装置フィルム、防音フィルム、音響スピーカフィルム、並びにドラムヘッドフィルムが挙げられるが、それらに限定されない。
【0008】
完成フィルムに対して特定の光学的および/または物理的特性を付与するため、ポリマーはフィルムダイを通過して押し出し可能であり、そのオリフィスは一連のダイボルトにより通常制御される。押し出しフィルムは、たとえば 所望の性質により決定される比率において延伸することにより、引き続いて配向可能である。長手方向延伸は、図1に示すように、長さオリエンター100においてプルロールにより行うことができる。長さオリエンターは、典型的には1つまたはそれより多い長手方向延伸領域を有する。横方向延伸は、図1に示すテンターオーブン200において行うことができる。テンターオーブンは、通常少なくとも1つの予熱領域210および横方向延伸領域220を含有する。多くの場合テンターオーブンはまた、図1に示すように、ヒートセット領域230を含有する。システムは、1以上の任意のまたはすべてのこれらの領域を含有するよう設計可能である。もし所望されるならば、フィルムは二軸配向することができる。二軸延伸は、逐次にまたは同時に行うことできる。フィルムはまた、長手方向延伸のみにより、または横方向延伸のみにより製造することもできる。一軸延伸にあっては、約3:1〜10:1の延伸比が一般的である。二軸延伸にあっては、製品の長手方向および横方向延伸比は通常、4:1〜60:1の範囲にある。当業者であれば、所与のフィルムに適切なものとして他の延伸比を使用してもよいことを理解するであろう。
【0009】
この出願の目的で、用語「横方向延伸領域」とは純粋に横方向延伸領域またはテンターオーブンにおける同時二軸延伸領域のいずれかをいう。「テンター」とは、機械の方向に搬送されながらフィルムがそれによりその縁部において把持される任意の装置を意味する。典型的には、フィルムはテンターにおいて延伸される。広くは、テンターにおける延伸方向は、機械の方向に対して直角 (横方向または横断方向)であるが、他の延伸方向、たとえばフィルム走行に対して直角な角度以外の角度における方向もまた意図されている。所望により、機械の方向以外である第1の方向においてフィルムを延伸するのに加えて、テンターはまた、機械の方向または機械の方向に接近した方向のいずれかである第2の方向にフィルムを延伸できる場合もある。テンター内での第2の方向延伸は、第1の方向延伸と同時にもしくは別々に、のいずれかで行なってもよいし、または両方で行なってもよい。テンター内での延伸は、任意の数の工程において行なってもよいし、その各々は第1の方向、第2の方向、または両方における延伸の成分を有してもよい。テンターはまた、その縁部において把持されない場合には収縮するであろうフィルムにおいて横方向弛緩の量を制御するために使用可能である。この場合、弛緩は弛緩領域において行なわれる。
【0010】
一般的な工業的に有用なテンターは、フィルムの2つの縁部を2組のテンタークリップで把持する。テンタークリップの各組は、チェーンにより駆動され、かつクリップは2条のレール上に載り、テンターを通って走行するときにレールが互いに分岐するようにその位置を調節可能である。この分岐は、結果的に横断方向延伸をもたらす。この一般的なスキームに関する変形は既知であり、かつ本明細書において考察される。
【0011】
テンターによってはフィルムを機械の方向に、または機械の方向に接近した方向に延伸可能なものもあり、同時にそれらはフィルムを横断方向に延伸させる。これらは、同時二軸延伸テンターと呼ばれることが多い。クリップを駆動するために1つの形式は、パンタグラフまたは鋏のような機構を使用する。これは、各レール上のクリップがレールに沿って進行するにつれてそのレール上のそれらの最も近い隣のクリップから分岐することを可能にさせる。まさに従来式テンターのように、勿論、各レール上のクリップは、2条のレールの互いからの分岐に起因して反対側レール上のそれらのカウンターパートから分岐する。同時二軸延伸テンターの他の方式は、チェーン毎に様々に異なるピッチのねじに取って代わる。このスキームにおいて、クリップの各セットは、ねじ山の運動によりそのレールに沿って駆動され、かつ様々に異なるピッチはレールに沿ったクリップの分岐に備える。同時二軸延伸テンターのさらに他の方式において、クリップはリニアモーターにより個別に電磁気的に駆動されるので、各レールに沿ったクリップの分岐を可能にさせる。同時二軸延伸テンターはまた、機械の方向のみにおける延伸にも使用可能である。この場合では、機械の方向延伸は機械の方向延伸領域において行われる。この出願では、横方向延伸、弛緩、および機械の方向延伸は変形の例であり、かつ横延伸領域、弛緩領域、または機械の方向延伸領域は変形領域の例である。テンター内で2方向に変形を実現させるこれら以外の方法もまた、可能である場合もあり、かつ本出願により考察される。
【0012】
フィルム処理方法は、押出し機ダイ10を介する押出し高分子溶融を含むことができる。ダイリップ(出口部分)輪郭は、多くの場合一連のダイボルトで調節可能である。多層フィルムにあっては、多重溶融流および多重押出し機が使用される。押出品は、回転キャスティングホイール12上で冷却される。この箇所におけるフィルムは「キャストウェブ」と呼ばれることが多い。配向中に、フィルムまたはキャストウェブは完成フィルムの所望の性状に応じて機械の方向、横方向、または両方向に延伸される。フィルム処理の詳細は、例えば米国特許第6,830,713号(ヘブリンク(Hebrink)ら)に記載される。簡潔にするために、本明細書では「押出品」、「キャストウェブ」または「完成フィルム」間の区別に関係なく、プロセスの任意の段階におけるフィルムを意味するために用語「フィルム」を用いるものとする。ただし、当業者はプロセスにおける異なる箇所におけるフィルムを上記の代わりの用語により、並びに当該技術分野において既知のその他の用語により呼ぶことができることを理解するであろう。
【0013】
フィルム作成プロセスの全体を通じて、幾つかの要素がフィルム厚さ均一性のばらつきの一因となりうる。例えば、均一性のゆらぎは、ダイリップ輪郭、クロスウェブダイ温度、クロスウェブ・キャスティングホイール温度、周囲空気における気流、不均一なテンター温度および/または圧力、および当業者にとって自明である様々なその他の要因におけるばらつきを含む、クロスウェブ状態の幾つかのばらつきに起因する可能性がある。フィルム均一性は、高品質多層フィルム、特に多層光学フィルムにおいて重要である。ますます増えつつある用途にあっては、これらのフィルムが広い領域にわたって高度の物理的および光学的均一性を呈示することが望ましい。本出願において開示されるシステムおよび方法は、このようなフィルム均一性を達成するための能動的なクロスウェブ制御を提供可能である。
【0014】
フィルム製造におけるクロスウェブ厚さを制御する典型的な方法は、キャストウェブ成形プロセス中のダイにおけるダイボルトの調節にかかわる。これらの調節は、ダイボルトを物理的に回転させるかまたはダイボルト温度を変化させることによりダイリップの物理的間隔を変化させることを含む。しかしながら、フィルム厚さに関するダイボルト調節の結果は粗くかつ緩慢である。ダイリップの物理的間隔を変化させることは、ダイリップの柔軟性が無いことに起因して粗い調節をもたらす。大抵の場合、単一のダイボルトを調節する効果が、完成フィルムにおいて最大7本のダイボルトレーンにおいてフィルム厚さを変化させる。したがって、ダイボルト間隔を調節することによりクロスウェブ厚さの細かいばらつきを制御することは難しい。ダイボルトヒーターが暖機および冷却するのにかなり長い時間を要するので、ダイボルト温度を変化させることは厚さ調節の緩慢な変化を生じさせる 。これに加えて、フィルムラインにおけるダイからワインダまでの経路が長いので、ダイボルト調節から厚さ変化の応答時間がかなり長いことが多くなり、厚さプロファイル制御を困難かつ緩慢にさせる。
【0015】
押出しフィルムのクロスウェブ厚さを制御するこの開示されたシステムおよび方法は、フィルムが作成されつつあるときの厚さプロファイルの能動的で、微細な制御を見込む。クロスウェブ厚さ制御は、クロスウェブ厚さプロファイルを監視し、かつ延伸または変形中にフィルムへ加えられる熱の分配プロファイルを制御することにより達成できる。クロスウェブ厚さプロファイルの監視は、物理的または光学的厚さプロファイルを測定することおよび熱分配制御が行われる場所へ測定プロファイルをマッピングすることを含むことができる。監視プロファイルに応答してクロスウェブ熱分配を制御する各種システムおよび方法について述べる。厚さを監視し、かつ熱分配を調節する工程は、フィルムにおいて所望の最終厚さプロファイルに到達するまで繰り返し使用されるフィードバックループを形成することができる。この開示されたシステムおよび方法はまた、クロスウェブ厚さプロファイルの微細な制御を実現するためにダイボルト調節と共に使用することができる。
【0016】
幾つかの開示された実施形態において、二軸配向高分子フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを制御する特定の技術が利用される。たとえば、場合によっては熱分配プロファイルを調節するのにチャネルブロッカーが使用されたり、また場合によっては熱分配プロファイルを調節するのに再配置可能な、旋回可能な加熱素子が使用されたりすることがある。これらの技術は、変形中、たとえば長手方向に、横方向に、二軸的に、または制御された弛緩中に単独であるいは組み合わせて使用することができる。たとえば、チャネルブロッカーは長手方向延伸フィルムを対象に長さオリエンター内で、または横方向または二軸延伸フィルムを対象にテンター内で使用することができる。同様に、再配置可能な、旋回可能な加熱素子は長さオリエンター内またはテンター内で使用することができる。二軸配向高分子フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを制御する方法は、目下開示された熱分配システムのいずれにも、並びに当該技術分野において既知であるその他の加熱システムにも使用することができる。
【0017】
この開示されたクロスウェブ熱分配システムは、伝達された熱の調節可能な位置制御および調節可能なプロファイル制御を実現させつつフィルムが延伸されつつあるときに熱をフィルムへ伝達することができる。これは、もし所望であれば、既知のシステムよりもクロスウェブ厚さプロファイルの一層より微細な制御を実現できる。この開示されたシステムはまた、既知のシステムと比べて一般的により速い応答時間を実現できる。
【0018】
二軸配向フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを制御する新規な方法が開示されている。この方法は、長さオリエンター(LO)の延伸領域におけるまたはその付近における熱分配の制御、引き続いてテンター内のフィルムの変形、テンター内の変形領域の後でその結果得られたクロスウェブ厚さプロファイルの測定、および測定された厚さプロファイルに基づいたLOにおける熱分配の調節に依拠している。一実施形態において、変形領域はワインダの直ぐ前方、ラインの終点にすることができる。他の実施形態において、変形領域は例えば 図1に示すように、他の領域間に位置決めすることができる。それら以外の実施形態は、その後の第2長さオリエンターのような、追加要素を設けてもよい。
【0019】
以下にさらに詳細に記載されるように、これらのシステムおよび方法は、単独でまたは組み合わせで、および横断方向の厚さ均一性の向上を伴ってフィルムを製造する実質上任意のフィルムラインにおいて使用することができる。これらのシステムおよび方法はまた、たとえばカラーヴァリエーションが好ましいものであり、かつフィルム厚さのヴァリエーションが意図的に付与される多層光学フィルム用途等において、特定ニーズに合わせたクロスウェブ厚さプロファイルを有するフィルムを製造するためにも使用することができる。
【0020】
2つの例示的な実施形態について以下に詳細に記載する。第1の実施形態は、長さオリエンター内でチャネルブロッカーを使用する。第2の実施形態は、テンターオーブン内で再配置可能な、旋回可能なヒーターを使用する。
【0021】
幾つかの実施形態において、クロスウェブ熱分配システムは、複数個のチャネルブロッカーと組み合わせて少なくとも1つの横方向加熱素子を含む。このようなシステムの3つの実施例が、図2a〜2cに示される。これらの図において、フィルムは長さオリエンター内で延伸される。図2aおよび2cにおいて、プルロール102、104、および106がSラップ構成でセットアップされる。図2bにおいて、プルロールが垂直またはテーブルトップ構成でセットアップされる。図2a〜cに示される実施形態は、加熱組立体150a〜cを、フィルム20の長手方向延伸領域140または140bへ熱の選択可能な分配を提供するために、1組のチャネルブロッカー170 と一緒にそれぞれ使用する。
【0022】
図2aにおいて、加熱組立体150aは3つの横方向赤外加熱素子160を含む。調節可能なプロファイルクロスウェブ熱分配システムはまた、フィルムの機械の方向に配列され、加熱組立体150aとフィルム20間に位置決めされた1組のチャネルブロッカー170を含む。この特定の実施形態は、3個の加熱素子160および複数個のチャネルブロッカー170を使用するが、システムの設計考慮事項に応じて任意数の加熱素子および任意数のチャネルブロッカーを使用することができる。たとえば、単一の加熱素子を有するシステム(加熱組立体150b)が図2bに示されるのに対して、5個の加熱素子を有するシステム(加熱組立体150c)が図2cに示される。他の実施例は、10個の加熱素子1組および50個のチャネルブロッカー1組を備えてよい。各横方向加熱素子は、制御対象のフィルムエリアの幅全体に及ぶ単一のヒーター、または制御対象のフィルムエリアへ熱の所望量を提供するよう配置される、点熱源を含む、複数個の小型ヒーターとすることが可能である。点熱源と延長熱源の組み合わせも志向される。
【0023】
フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルの微細な制御を見込むために、チャンネルブロッカー170の各々の位置を変化させることにより伝達された熱の調節可能なプロファイル制御を行いながら、図2aのクロスウェブ熱分配システムは加熱組立体150aを介して熱をフィルムの延伸領域へ伝達させる。図2a〜cの各図において、チャネルブロッカー170は所望のクロスウェブ場所において熱の所望の一部を優先的に遮断する。加熱素子がフィルムへ熱を提供するにつれて、チャネルブロッカーまたはチャネルブロッカーの1組がフィルム上に効果的に影を投げ掛けるよう位置決めでき、これにより選定された特定の場所においてフィルムへ伝達される熱の量を低減させる。各特定のチャネルブロッカーの位置が、微細な制御の対象となるフィルムのエリアに対応する場所において影を投げ掛ける。解像度の程度は、チャネルブロッカーのフィルムへの近接に加えて、チャネルブロッカーのサイズにより調節することができる。図2aにおいて、チャネルブロッカー170は一般に水平にかつ加熱組立体150aの加熱素子160に平行に位置決めされる。図2aにおけるフィルムはSラップ構成である。このようにチャネルブロッカー170は、Sラップ構成フィルムの平面に対して傾斜がついている。図2bにおいて、チャネルブロッカー170はまた一般に水平に位置決めされるがフィルムはテーブルトップ構成であるので、チャネルブロッカーはフィルムの平面に対して平行である。図2cにおいて、チャネルブロッカーはフィルムの平面に平行となるよう角度をつけられ、これはSラップ構成である。
【0024】
各個別のチャネルブロッカーの幅は、所望通りできるだけ狭くすることが可能であり、かつフィルムまでのブロッカーの距離もまたニーズに合わせることが可能である。たとえば、チャネルブロッカーは10mm幅とすることができ、かつフィルムから50mm以内に位置決めされる。したがって、制御要素としてのチャネルブロッカーの組立体は細かく分割することができ、かつクロスウェブ厚さ制御尺度は希望通り個別ニーズに合わせることができ、優れた厚さ制御を実現させる。これに加えて、制御場所はウェブがライン速度までスピードアップしつつある長さ配向ステーションにおいてであるので、チャネルブロッカーからワインダまでの遅延時間はダイからワインダまでの時間よりも実質的に短い。それ故に、制御に対する応答時間はより短くなり、最終的な厚さ均一性の達成をより速くさせる。さらに、長さ配向ステーションは通常では開放スペースにあり、かつ容易にアクセス可能であり、システムをインストールし易くかつ実施し易くさせる。チャネルブロッカー実施形態はまた、テンターオーブン内で使用することができる。このようなシステムにおいて、ワインダとテンターオーブン間の距離はさらに短くでき、かつ応答時間はさらに速くできる。チャネルブロッカーを含む加熱組立体へのアクセスは、テンターオーブンの外部から制御可能に設計することができる。
【0025】
図2a〜cのシステムおよび方法は、特定の箇所へ伝達される熱の量を急速に変化させることが可能である。以下に詳細に述べるように、代替のクロスウェブ熱分配システムを使用することができ、そこではヒーターの配列へ提供される電力を変化させることによりクロスウェブ熱分配プロファイルを変化させる。代替システムは、可動部品が無い等の確かな利益を有することもあるが、より低い空間分解能およびより緩慢な応答時間等の、使用されるヒーターの形式により欠点を有することもある。例えば、工業用赤外(IR)ヒーターでも暖機するのに5分も要し、かつ冷却するのに15分も要するものがある。対照的に、可動チャネルブロッカーを使用するシステムは比較的に速い応答時間および高い空間分解能を有するよう設計することができる。フィルム上に影を投げ掛け、これによりフィルムへ伝達される熱の量を低減させるためのチャネルブロッカーまたはチャネルブロッカー1組の動きは、従来の赤外(IR)ヒーターの応答時間よりもはるかに速い。チャネルブロッカーを使用するシステムの応答時間は、チャネルブロッカーをいかに速く動かすことができるか、そしてウェブが応答するのに要する時間によってだけ制限される。これはチャネルブロッカー組立体およびその制御機構の特定の機械設計に依存する。当業者であれば、チャネルブロッカー組立体の機械的制御に好適な、可能な設計の多様性を正当に評価するであろう。
【0026】
図3はチャネルブロッカー組立体300の1つの代表的な設計の平面図を示す。組立体300は、互いに隣接して位置決めされた34個のチャネルブロッカーを有し、このセットは制御されるフィルムの幅全体に及ぶ。フィルムの物理的寸法は、所望であれば、制御されるフィルムの幅を超えて延長してもよく、たとえばフィルムの外側縁部が切り取られ、かつ使用可能な中央フィルム部分を残して、廃棄されるかまたはリサイクルされる。図3に示すようにチャネルブロッカー組立体を組み込んだクロスウェブ熱分配システムが、長さオリエンター、テンター、または両方に使用可能である。
【0027】
フィードバック機構は、物理的または光学的厚さプロファイルを繰り返し測定し、測定された厚さプロファイルを延伸領域へ所望によりマッピングし、かつ測定されるかまたはマッピングされたプロファイルに応答してクロスウェブ熱分配システムを調節するのに使用可能である。フィードバック機構は既知であるので、詳細には記載しない。簡単に言えば、フィードバック機構はオペレータによる手動制御の形態にすることが可能であり、コンピュータ制御可能であり、あるいはコンピュータと手動制御の組み合わせにすることが可能である。たとえば、1つのこのようなフィードバック機構は、手動オーバライド付きコンピュータ制御システムとすることが可能である。好ましくは、フィードバック機構は、本明細書に記載されるマッピング方法のいずれかを用いてコンピュータ制御マッピングアルゴリズムを使用する。手動マッピングアルゴリズムもまた使用可能である。
【0028】
幾つかの実施形態において、クロスウェブ熱分配システムはオリエンター内の横方向に沿って配置される再配置可能な加熱素子1組を含む。以下に述べる代表的な実施形態において、このようなクロスウェブ熱分配システムはテンター内で使用される。テンターの変形領域は、純粋に横方向延伸領域、弛緩領域、機械の方向延伸領域、または二軸延伸領域とすることが可能である。再配置可能な加熱素子を含むこのようなクロスウェブ熱分配システムはまた、長さオリエンター内で使用可能である。
【0029】
図4はこの実施形態の1つの実施を模式図的に示す。図4において、フィルムはテンターオーブン200(図1参照)において横方向に延伸されつつある。この特定の実施において、再配置可能な加熱素子はまた旋回可能である。クロスウェブ熱分配システム250は、1対の取付チャネル材253上に搭載された5個の再配置可能なロッドヒーター260a〜eを含む。直線状にまたは特定の所望の応答に対して最適化される他の任意の形状で配置された、より小さい熱源の配列を含むがそれらに限定されない、それ以外の実施もまた可能である。
【0030】
図4の実施形態において、ヒーターはオリエンターの延伸領域に位置付けされるが、それらの場所は延伸領域に限定されない。オリエンターは、クロスウェブ熱分配システムを使用してもよい追加の領域または他の変形領域を有することができる。追加の領域は、予熱領域、焼きなまし領域、およびヒートセット領域を含むがそれらに限定されない。長さオリエンター内で使用されるとき、延伸領域は長手方向延伸領域である。テンター内で使用されるときは、変形領域は横方向延伸領域、弛緩領域、機械の方向延伸領域、または二軸延伸領域とすることが可能である。クロスウェブ熱分配システムは任意のこれらの領域にまたはその付近に位置付けすることが可能である。本明細書に開示される実施形態のほとんどが延伸領域に言及するが、クロスウェブ熱分配システムもまたこれら以外の領域にまたはその付近に存在可能であることが意図される。本出願において、クロスウェブ熱分配システムが任意の実施形態において存在する場所は熱分配領域と呼ばれる。
【0031】
図4の熱分配システム250において、加熱素子は2つの方法で再配置可能である。第一に、加熱素子はフィルムの幅に沿って任意の位置へ取付チャネル材に沿って横方向に移動可能である。第二に、加熱素子はまた旋回可能である。旋回ヒーターの利点について以下に述べる。これ以外の実施および実施形態についても考察する。例えば、加熱素子はフィルムの平面に垂直な平面において、フィルムへ向けておよびフィルムから離れて移動できるように再配置可能にすることができる。
【0032】
フィルムがフィルムラインに沿って移動するとき横方向位置をフィルムの任意の部分にマッピングするために、仮想の中心線22a〜eが図4にレーン40a〜e毎にそれぞれ示される。フィルムレーン40a〜eは想像線により境界がつけられる。図4において、中心線22a〜eの各々がまたフィルムが延伸されるときフィルムの各対応レーンの走行方向を表す。横方向延伸中に、各対の想像線間の距離が横方向延伸量に比例して増加する。換言すれば、フィルムが横方向に延伸されるのに伴い各フィルムレーンの幅が増加する。理想的には、例えば、フィルムが3:1の比率で延伸される場合には、延伸領域220の直前および延伸領域220の直後の箇所において測定すると各フィルムレーンの幅は3倍増加するであろう。ただし、実際には、様々な要因によりフィルムレーンの幅は等しくならない。これらの要因としては、たとえば、延伸前のクロスウェブ均一性のばらつき、テンター内のクロスウェブ温度分配のばらつき、押し出し混合物の均質性のばらつき、および有限幅のフィルムウェブにおけるエッジ効果を挙げることができる。
【0033】
クロスウェブ熱分配システムのロッドヒーター260a〜eはヒーターが互いに独立して位置決めできるように取り付けられる。所望により、横方向に移動するのに加えて、各ロッドヒーターはまた旋回可能なように取り付けるこができる。旋回可能なヒーターは2つの利点を持っている。第一に、旋回ロッドヒーターは、それが位置する上方でフィルムの特定レーンの走行方向と一直線にすることができる。第二に、任意の単一の加熱ロッドからより幅広の熱分配プロファイルを提供するために旋回ロッドヒーターはフィルムレーンの走行方向に対して角度をつけることができる。熱分配プロファイルに及ぼすこの拡幅効果について以下に続く実施例においてより詳細に論述する。旋回型、再配置可能加熱素子はフィルムへ伝達される熱のより優れた制御を実現させ、代わって既知のシステムと対比してより微細に調節可能な熱分配プロファイルを実現させる。
【0034】
図4において、加熱素子260a〜eの各々はテンターの端から端まで2本の平行なチャネル材253上の旋回軸で取り付けられる。このようにして各ヒーターのクロスウェブ場所はテンター オーブンの外部から精確に調節可能にすることができる。各ロッドヒーター260a〜eの位置および向きは、当該技術分野において既知の様々な方法により制御することができる。図5〜6の実施形態において、位置および向きはロッドヒーター毎に1対の商品名「アクメ(Acme)」ねじ付きロッド262を使用して制御される。位置および旋回制御のこれ以外の方法がまた使用できる、たとえば1対のケーブルを各ロッドヒーターへ接続する。
【0035】
図5は熱分配システム250の単一の再配置可能な加熱素子の拡大図を示す。加熱素子260は2本の取り付けチャネル材253Lおよび253Rに沿った任意の場所において位置決めできる。所望により、加熱素子260はまた、機械の方向25に対して角度θを形成するために線26と一直線になるよう点線で示す通り回転させることができる。一実施形態において、1本の固定ボルト266および加熱素子260が回転するに伴って スライディングチャネル材270に沿って移動することが許される1本のボルト268を有することにより回転が達成される。固定ボルト266は加熱素子の旋回点としての役割を果たし、かつこの実施形態において加熱素子260の中心に位置付けされる。旋回が所望されない場合には、スライディングチャネル材270をなくすことができ、かつ両ボルトは固定式にできる。これ以外の配置がまた考察される。
【0036】
図6は図4の熱分配システム250の透視部分図を示す。図6はチャネル材253Lおよび253R上に取り付けられる2つの加熱素子260aおよび260bを示す。加熱素子260aの位置は、一対のねじ付きロッド262aにより制御される。同様に、加熱素子260bの位置は一対のねじ付きロッド262bにより制御される。加熱素子260bの随意の回転は、チャネル材253L上に取り付けられた対応するねじ付きロッドに沿った異なる場所において対応するナット264bを位置決めしつつ、ナット264bをチャネル材253R上のねじ付きロッド262bに沿った1箇所において固定(253R)側に位置決めすることにより達成される。これはまた図5にも見ることができる。各ヒーター260のクロスウェブ位置は各一対のねじ付きロッドへ接続される一対のねじ(図示せず)でテンターオーブンの外部から精確に調節可能にすることができる。これに加えてヒーターの向きの角度はまたねじ対により制御される旋回点266bおよび268の相対位置によりテンターオーブンの外部から精確に調節できる。
【0037】
横方向に移動可能になるよう、かつ所望により機械の方向に対して旋回可能になるよう取り付けられる単一のロッドヒーターは、フィルムが延伸または変形されるに伴いフィルムの調節可能な熱プロファイル制御を実現できる。組み合わせて使用される場合には、たとえばヒーター260a〜eのような、ヒーターの組立体は、フィルムの任意の選定部分にわたってまたはフィルムの幅全体にわたって熱の調節可能なプロファイルを一緒になって提供できる。
【0038】
チャネルブロッカー実施形態におけるように、この実施形態はまた速い応答時間、および熱分配の微細な、能動的な制御の効果を有する。制御場所が、ウェブがライン速度までスピードアップしている長さ配向ステーションであるときには、クロスウェブ熱分配システムからワインダまでの遅延時間はダイからワインダまでと比べて実質的により短い。したがって、制御のための応答時間が短くなり、結果的にサイクル時間が短くなり、所望の最終厚さ均一性を一層より速く達成させる。繰り返すが、長さ配向ステーションは多くの場合開放スペースにあり、かつ容易にアクセス可能であり、クロスウェブ熱分配システムをインストールし易くさせる。制御場所がテンター内にある場合には、サイクル時間および応答時間は一層より短くすることができる。
【0039】
一般的には、フィルムの厚さプロファイルはクロスウェブ熱分配システムの場所から下流の任意の点において測定できる。たとえば、長さオリエンター内で開示されたクロスウェブ熱分配システムのいずれかを使用するシステムにおいて、クロスウェブ厚さプロファイルは長さオリエンターから下流で測定できる。テンターオーブン内でクロスウェブ熱分配システムを使用するシステムにおいて、クロスウェブ厚さプロファイルはテンターオーブンから下流で測定できる。別の方法としては、クロスウェブ厚さプロファイルはまた、変形領域が、クロスウェブ熱分配システムが存在するところであれば、その直後テンターオーブン内部で測定できる。長さオリエンター内でクロスウェブ熱分配システムを使用するが、その後の横方向延伸のためにテンターをも使用するシステムにおいて、クロスウェブ厚さプロファイル測定はテンターオーブンの上流を除いて長さオリエンターの下流で行うことができる。ただし、出願者には分かっていたことであるが、長さオリエンター内でのクロスウェブ熱分配の制御の後に、テンター内での変形が続き、さらに変形領域から下流でフィルムのクロスウェブ厚さプロファイルの測定が続くことにより、予期せぬ結果がもたらされる。以下の実施例2は、1つのこのようなシステムおよび方法について記載する。
【0040】
光学フィルムにあっては、総合フィルム光学厚さは光学厚さ測定ゲージを使用して光学透過または反射スペクトルを介して検出および監視することができる。例えば、オンライン分光分析装置はフィルムがラインを離れるときにその分光透過率を測定するようセットアップでき、これによりクロスウェブ厚さプロファイル均一性を測定し、かつプロセス制御のためのフィードバックを実現するのに必要な情報を提供する。1つのこのような分光分析装置の例として、タイプU−4000分光分析装置が日立製作所(Hitachi Ltd)により製作される。場合によっては、透過スペクトルが固有レベルまで衰えるときにおける波長がその光キャリパーの尺度として使用できる。他の場合において、固有波長における透過率がその光キャリパーの尺度として使用できる。これら以外の方法が、以下に記載する直接的方法を用いて検量できる間接的方法を含み可能である。
【0041】
はさみ尺は、フィルムの物理的厚さ、フィルムの光学厚さまたは前述したフィルムのその他の厚さ関連特性を測定できる。本出願において、クロスウェブ厚さとは、光学厚さ、物理的厚さ、その2つの組み合わせ、または特定の製品設計により要求される任意のその他の厚さ関連特性をいう。光学フィルムまたは高性能フィルムの当業者は、特定の製品向けに相応しいキャリパーを設計できるであろう。たとえば、フィルムの物理的厚さの測定は、米国、ニュージャージー州、モリスタウン、ハニウェルインターナショナル・インコーポレーテッド(Honeywell International, Inc.)から市販されている「メジュレックス」(Measurex)(商標名)スキャナーのような、オンライン横断β線ゲージ走査装置を使用して行うことができる。その他のキャリパーゲージとしては、β線透過式測定器、x線透過式測定器、γ線後方散乱測定器、コンタクト・キャリパーセンサー、およびレーザー・キャリパー・センサーを含むが、これに限定されない。このような測定器は、たとえば米国、カリフォルニア州、アーウィンデールのNDCインフレアード・エンジニアリング社(NDC Infrared Engineering)から市販されている。
【0042】
測定されたフィルム厚さプロファイルは、クロスウェブ熱分配システムが存在する対応する、フィルム場所へ、所望によりマッピングされる。幾つかの実施形態にあっては、横方向延伸領域後に測定されたフィルム厚さプロファイルは長さオリエンターの長手方向延伸領域内にあるフィルムへマッピングできる。その他の実施形態において、フィルム厚さプロファイルは熱分配システムから下流で測定され、かつ熱分配領域へマッピングされる。マッピングは、幾つかの方法で行うことができる。簡単なマッピング方法は、たとえば図3および図4中の擬似線により、フィルムの幅を図示の1組の架空のフィルムレーンへ分割することを含む。図3において、フィルムは34本のフィルムレーンへ分割され、各レーンは1つのチャネルブロッカーに対応している。この特定の実施形態において、チャネルブロッカー301および334は残りのチャネルブロッカー302〜333より幅広になっている。それ故に対応するレーン1および34はレーン2〜33より幅広になっている。図4において、5本のフィルムレーン40a〜eが擬似線により指示される。5本のレーン40a〜eの各々の中心が、それぞれ中心線22a〜eにより示される。
【0043】
クロスウェブ厚さプロファイルはクロスウェブ熱分配システムが存在する熱分配領域から下流で測定される。測定場所においてフィルムは、制御が行われつつある熱分配システムの場所におけるフィルムの幅と同一幅でないことがある。したがって片方の場所から他方の場所へマッピングするのにマッピングアルゴリズムが使用される。マッピングアルゴリズムは、片方の場所におけるフィルムの各クロスウェブ位置を他方の場所におけるフィルム上の対応するクロスウェブ位置へ実質的に並進させる。マッピングアルゴリズムは、どのようにフィルム幅が2つの場所間で異なるかに影響を及ぼす可能性のある任意またはすべての要因を考慮に入れることができる。これらの要因としては、延伸、収縮、そり、1つの場所におけるフィルムの縁部が切りとられたかどうか、延伸前のクロスウェブ均一性のばらつき、テンター内クロスウェブ温度分布のばらつき、または押出し混合物の均質性のばらつきを含むがこれらに限定されない。
【0044】
追加のマッピング方法としては、延伸前に表示器でフィルムに物理的にマークすることおよび延伸後に表示器の場所を測定することが挙げられる。例えば、第一の方法はフィルムの各縁部から50mm離して2本の線を描き、続いて延伸後にそれらの線の場所を測定し、かつ2本の線間のフィルムの幅を、等しい幅を有する幾つかのレーンに細分することを含むことができる。この方法では、各レーンが同一量だけ延伸されるかまたは変形されると仮定している。第二の方法は、フィルム上に50本の表示器ラインを描き、続いてフィルムを延伸させ、そして延伸後に各表示器ラインの場所を測定することを含む場合がある。第三の方法は、チャネルブロッカーまたは再配置可能なヒーターの1またはそれより多くを選択的に移動させ、その上で延伸フィルムに及ぼす影響を測定することを含む場合がある。この方法は、能動的マッピングまたはバンピング(bumping)によるマッピングと呼ばれる。第四の方法は、質量保存の法則を利用する場合があり、そこではフィルムのクロスウェブ厚さプロファイルが延伸前後に測定される。質量が延伸中に保存されるので、フィルムの容量はまた同じままに残っておりかつ所与の本数のフィルムレーンの幅が2つの測定された厚さプロファイルから計算できる。これらのマッピング方法のいずれかが、相応しいマッピングアルゴリズムを設計するのに使用できる。
【0045】
たとえば、図4において、長手方向場所60に位置するクロスウェブ熱分配システム250を使用してフィルムがシステム内で横方向に延伸される。幾つかの実施形態において、クロスウェブ厚さプロファイルは長手方向場所70において測定される、そこではフィルムは場所60におけるフィルムよりも幅がより広い。場所60における熱分配を制御するために、場所70における測定プロファイルは熱分配システム60の場所へマッピングされる。熱分配システムは続いてフィルムプロファイルにおける任意の厚い若しくは薄いスポットまたは凹凸を滑らかにするよう調節できる。別の例において、このようなシステムはまた場所50において第2のクロスウェブ熱分配システムを装備することができる。その場合には、場所70において測定されるクロスウェブ厚さプロファイルはまた第2の熱分配システムが存在する場所50へマッピングすることができる。
【0046】
使用可能なクロスウェブ熱分配システムは上述の開示された任意のシステム、例えば再配置可能な加熱素子、チャネルブロッカーを有する加熱素子、またはこれら2つの組み合わせを使用するシステムであることができる。任意のその他の既知のまたは後から開発された、特定ニーズに合わせることができるクロスウェブプロファイルに従ってウェブへ熱を伝達できるクロスウェブ熱分配システムがまた使用できる。クロスウェブ熱分配システムは長さオリエンター内でまたはテンター内で使用できる。テンター内で使用される場合には、熱の選択可能な分配がフィルムの変形領域へ提供される。長さオリエンター内で使用される場合には、熱の選択可能な分配がフィルムの長手方向延伸領域へ提供される。
【0047】
以下の実施例1に記載される通り、測定されたフィルムプロファイルが、レーン08にマッピングされる厚いまたは高いスポットを有する場合には、続いて対応するチャネルブロッカー308を、より多くの熱がレーン08へ伝達されるよう調節することができる。これはフィルムをそのレーンにおいてより多く延伸できるようにさせ、これにより完成フィルムにおける厚いスポットを低減または排除させる。同様に、測定されたフィルムプロファイルがレーン22に対応する場所におけるフィルム上に低いスポットを指摘する場合には、たとえば図3に示す通り、チャネルブロッカー322は熱がその場所におけるフィルムへ到達するのを阻止するよう移動することができる。一実施形態において、阻止するまたは阻止しない程度は、軸180とともに回転されるねじ付きロッドを介してチャネルの前送りにより調節される。このような調節を極めて細かく行うことができ、熱分配の優れた制御を実現できることは明らかである。
【0048】
同様に、実施例3および4に示すように、厚いスポットはまた長さオリエンター内またはテンター内のいずれかで再配置可能な加熱素子を使用して調節することができる。再配置可能な加熱素子がまた旋回可能になれば、これらの影響は一層細かく調節することができる。チャネルブロッカー実施形態におけるように、再配置可能なヒーターがフィルムのクロスウェブ厚さを所望の最終プロファイルまで能動的に制御するよう使用することができる。
【0049】
幾つかの実施形態において、長さ配向されたフィルムをテンター内で引き続いて変形させることができる。このような場合において、テンターよりはむしろ、長さ配向ステーションにおけるクロスウェブ熱分配を調節することが、テンターの下流で完成フィルムにおいてクロスウェブ厚さプロファイルを修正する際に効果的であろうということは直感に反している。以下の実施例2では驚くことに、長手方向延伸中にフィルムへ伝達される熱の部分を選択的に阻止することによりクロスウェブ厚さを細かく調節することができるので、より均一な二軸延伸フィルムを提供できることが実証される。実施例2はチャネルブロッカー熱分配システムを使用するが、この方法はまた本明細書において開示される再配置可能な加熱素子、または当該技術分野において既知のその他のクロスウェブ熱分配システムのような、任意のその他のクロスウェブ熱分配システムに使用することができる。テンター内で引き続いて変形されたフィルムの均一なクロスウェブ厚さを達成するために長手方向延伸中に長さオリエンター内で熱分配を制御するこの方法の独自の取り組みは、並外れて優れた結果を提供することができる。
【実施例】
【0050】
実施例1
図7に示す実施例において、赤外反射多層光学フィルムはポリメチルメタクリレート(PMMA)およびポリエチレンナフタレートのコポリマー(co−PEN)の交互に並んだ層を押し出しすることにより作成された。フィルムは最初に3.3:1の延伸比で長さ配向された、また引き続いて テンター内で3.3:1の延伸比で幅配向された。フィルムの光学厚さが、光学キャリパーゲージを使用してテンター後に測定された。曲線7Aはフィルムの初期マッピングされた光学厚さプロファイルを示す。厚さプロファイルを制御するために、3台の赤外ロッドヒーターおよび34個のチャネルブロッカー1組を有する加熱組立体が長さオリエンター内で使用された。使用された赤外ロッドヒーターは米国、ミネソタ州、ミネアポリスのリサーチ・インコーポレーテッド(Research, Inc.)により作成された、モデル5305シリーズのパラボリック・ストリップ・ヒーターであった。チャネルブロッカー303〜331がグラフの下部に示される。チャネル幅は12.7mmである。チャネル308に対応する場所において曲線7Aに示す、厚いスポットを指示する、ピークを下げるために、チャネルブロッカー308が35.6mmの開始位置から10.2mmの最終位置まで25.4mm移動した。このチャネルブロッカーを下へ移動させることが、より多くの熱をそのクロスウェブ場所におけるフィルムに到達できるようにさせた。この場所へ伝達されたより多くの熱が、フィルムのその部分をより多く延伸できるようにさせることによりピークを下げた。この結果得られたマッピングされた厚さプロファイルが、チャネルブロッカー308に対応する場所における曲線7Bに示される。曲線7Cは曲線7Aの開始厚さプロファイルから曲線7Bの最終厚さプロファイルまでのパーセント変化を示す。チャネルブロッカー308に対応する場所において、曲線7Cがチャネルブロッカー308を25.4mmだけ移動させると厚さプロファイルを約−3%だけ変化させたことを示している。同様に、チャンネルブロッキング効果はチャネルブロッカー322に対応する場所における曲線7A〜Cに示される。開始厚さプロファイルは、曲線7Aに示すように、この場所における薄いスポットを指示するくぼみを有する。チャネルブロッカー322を61mmの最終位置まで25.4mm上へ移動させることにより、より多くの熱がフィルムのその部分へ到達することが阻止されたので、フィルムが隣接部分を下回って延伸することが可能となった。この結果、曲線7Bに示す通りその場所における厚さプロファイルが増加した。この場所におけるパーセント変化は、曲線7Cに示す通り約3%だけ変化した。
【0051】
実施例2
図8に示す実施例において、赤外反射多層光学フィルムがポリメチルメタクリレート(PMMA)およびポリメチルメタクリレートのコポリマー(co−PEN)の交互に並んだ層を押し出すことにより作成された。フィルムが3.3:1の延伸比で長さ配向された。フィルムは引き続いて3.3:1の延伸比で、テンター内で横断方向に延伸された。フィルムの光学厚さが光学厚さ測定器を使用してテンター後に測定された。曲線8Aは、長さ配向ステーション上にマッピングされたフィルムの元のクロスウェブ光学厚さプロファイルを示す。厚さプロファイルを制御するために、3台の赤外(IR)ロッドヒーターおよび34個のチャネルブロッカー1組を有する加熱組立体が長さオリエンター内で使用された。使用されたこの赤外(IR)ロッドヒーターは、米国、ミネソタ州、ミネアポリスのリサーチ・インコーポレーテッド(Research, Inc.)により作成されたモデル5305シリーズのパラボリック・ストリップ・ヒーター(Parabolic Strip Heaters)であった。チャネルブロッカー303〜331がグラフの下部に示される。チャネル幅は12.7mmであった。
【0052】
曲線8Aに示すフィルムのプロファイルは、図8の下部におけるチャネルブロッカーの各々の最終設定により指示されるように、チャネルブロッカーの幾つかを移動させることにより調節された。表1はチャネルブロッカー303〜331に対する初期および最終設定を示す。この結果得られた光学厚さプロファイルが曲線8Bに示される。曲線8Cは最終と初期厚さプロファイル間のパーセント変化を示す。曲線8Bは曲線8Aに示される初期フィルムプロファイルが赤外ヒーター1組とチャネルブロッカー1組を有するクロスウェブ熱分配システムを使用してより均一にするよう調節できることを実証する。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例3
図9に示す実施例において、多層光学フィルムがポリエチレンテレフタレート(PET)とPMMAのコポリマーの交互層を押し出すことにより作成された。フィルムが3.35:1の延伸比で長さ配向された。フィルムが引き続いてテンター内で3.3:1の延伸比で横方向に配向された。テンターには、テンターの横方向延伸領域において再配置可能な、旋回型加熱素子1組が装備された。各加熱素子は長さ325mm、幅10mmであって、幅80mmの放物面反射鏡を有した。使用された加熱素子は米国、ミズリー州、セントルイスのワトロウ・エレクトリック社(Watlow Electric)から入手できるレイマックス・モデル(Raymax Model)1525であった。加熱素子の中心はこの実施例における旋回点および位置付け場所として使用された。フィルムの光学厚さは、光学キャリパーゲージを使用してテンター後に測定された。曲線9A、9B、および9Cは、クロスウェブ熱分配システムの異なる構成に対してクロスウェブ場所に応じた光学厚さ変化を示し、再配置可能な、旋回型赤外ヒーターの完成フィルムに及ぼす影響を実証する。加熱素子パワーおよび配向の角度が表2および3に挙げられる。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
単一の加熱素子が一定パワーにて同一の配向角度に保持されるとき、クロスウェブ光学厚さプロファイルの変化は3つの曲線9A、9B、および9Cの各々について同一のままである。この効果は、第1の加熱素子962に対応する460mmのクロスウェブ場所における曲線9A、9B、および9C中のくぼみとして観察される。単一の加熱素子が一定パワーに保持されるが、配向角度が変化するとき、拡幅効果が観察される。950mmにおける曲線9A、9B、および9C中のくぼみは、単一ロッドヒーターに起因する拡幅効果を実証する。この実施例では、950mmに位置付けされた第2のヒーター964は、曲線9Aにおける0°から曲線Bにおける12.5°まで、曲線Cにおける25°まで回転された。
【0058】
実施例4
図10〜13に示す実施例において、多層光学フィルムがPETおよびPMMAのコポリマーの交互層を押し出すことにより作成された。フィルムが3.35:1の延伸比で長さ配向された。フィルムが引き続いて3.3:1の延伸比で横方向に配向された。テンターには横方向延伸領域内に4個の再配置可能な、旋回型熱素子1組が装備された。各加熱素子は長さ325mm、幅10mmであって、幅80mmの放物面反射鏡を有した。使用された加熱素子は米国、ミズリー州、セントルイスのワトロウ・エレクトリック(Watlow Electric)から入手可能である、レイマックス・モデル(Raymax Model)1525であった。各加熱素子の中心は旋回点として使用された。この実施例における各加熱素子の中心位置が、「位置、右」としておよび旋回のための移動可能なボルトの位置が「位置、左−傾斜」として表4から7に示される。フィルムの光学厚さが光学キャリパーゲージを使用してテンターの下流で測定された。図10〜13の各々における曲線Aは、初期光学クロスウェブ厚さプロファイルを示す。図10〜13はヒーター設定値を変更する連続弾(successive iterations)を表す。初期には、フィルムのクロスウェブ光学厚さプロファイルが測定された。測定データポイントが図10の曲線Aとしてプロットされる。次に、フィルムの測定されたクロスウェブ光学厚さプロファイルが横方向延伸領域にマッピングされた。マッピングされたプロファイルに応答して、ヒーター1〜4は表4に示すパラメータに従って第1弾において設定された。その結果得られたクロスウェブ光学厚さプロファイルが測定され、かつ図10の曲線Bとして示される。この結果得られた第1弾(図10の曲線B)の光学厚さは、次には第2弾(図11の曲線A)の初期厚さプロファイルとなる。光学厚さプロファイルを測定する工程、測定される光学厚さプロファイルを延伸領域にマッピングする工程、およびマッピングされたプロファイルに応答してクロスウェブ熱分配システムを調節する工程はフィードバックループを形成し、これは所望の最終厚さプロファイルに到達するまで繰り返される。第2弾において、ヒーター1〜4は表5に掲げるパラメータに従って設定される。その結果得られる光学厚さプロファイルは、図11の曲線Bとしてプロットされる。このプロセスは表6および7におけるヒーター設定値に示されるように2弾以上を介して繰り返され、かつ厚さプロファイルが図12および13にプロットされる。4個の再配置可能な、旋回型赤外ヒーター1組が完成フィルムの光学クロスウェブ厚さプロファイルに及ぼす一体となった影響が図13の曲線Bにより図示される。約1300〜1850mmの範囲にある、図13の曲線Bは、問題となっている領域(regime)に位置付けされる4個の再配置可能な加熱素子を使用して平坦な最終厚さプロファイルが得られることを示している。1850mmを超えるクロスウェブ位置における「谷」は、ダイボルト調節のような他の手段により対処できることに注目する。
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
本発明が様々な修正および代替形態に適用できる一方で、それらの詳細は図面および発明を実施するための最良の形態において実施例として示されてきた。しかし本発明を説明する特定の実施形態に限定しようとするものではないことは理解されよう。それどころか、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲内にある修正、等価物、および代替案を扱う意図がある。
【0064】
本発明は、類似の参照符号が類似の要素を示す、添付図面に関連した以下に示す発明を実施するための最良の形態を考慮してより完全に理解されると思われる。添付の図面は、説明的な実施例であることを意図しているものであり、限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】二軸配向フィルムのフィルムラインの概略図。
【図2a】長さオリエンター内の調節可能なプロファイルクロスウェブ熱分配システムの一実施形態の概略図。
【図2b】長さオリエンター内の調節可能なプロファイルクロスウェブ熱分配システムの他の実施形態の概略図。
【図2c】長さオリエンター内の調節可能なプロファイルクロスウェブ熱分配システムの別の実施形態の概略図。
【図3】チャネルブロッカー組立体の一実施形態の概略平面図。
【図4】調節可能なクロスウェブ熱分配システムの別の実施形態の概略図。
【図5】一実施形態の代表的な再配置可能な、旋回型加熱素子の概略図。
【図6】一実施形態の代表的な再配置可能な、旋回型加熱素子の部分透視図。
【図7】実施例1における特定のチャネルブロッカーが光学厚さに及ぼす影響を示す。
【図8】実施例2におけるチャネルブロッカー1組が光学厚さに及ぼす影響を示す。
【図9】実施例3におけるクロスウェブ場所に応じた光学厚さプロファイルの変化を示す。
【図10】実施例4の表4における加熱素子設定値の構成に対応するクロスウェブ場所に対する相対光学厚さを示す。
【図11】実施例4の表5における加熱素子設定値の構成に対応するクロスウェブ場所に対する相対光学厚さを示す。
【図12】実施例4の表6における加熱素子設定値の構成に対応するクロスウェブ場所に対する相対光学厚さを示す。
【図13】実施例4の表7における加熱素子設定値の構成に対応するクロスウェブ場所に対する相対光学厚さを示す。
【技術分野】
【0001】
本出願は、押し出されたか、または配向されたフィルムにおける厚さのばらつきを制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムの押出成形は、典型的にはフィルムの長さおよび幅に沿って厚さのばらつきを生じさせる。厚さのばらつきを制御する先行技術方法としては、ダイボルトを調節する(米国特許第4,409,160号、コゴ(Kogo)ら)、延伸中に静止形ヒーターの加熱パワーを調節する(米国特許第3,347,960号、フェンリー(Fenley);特開昭52−047070号、筒井)または完成フィルムのロールが外観は均一であるよう、ウェブを横断して変化する場所において厚い箇所と薄い箇所を意図的に発生させる(英国特許第1,437,979号、ヘキスト社(Hoechst Aktiengesellschaft);英国特許第1,437,980号、ヘキスト社(Hoechst Aktiengesellschaft))ことが挙げられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本出願は、オリエンターにおけるフィルムへの熱の選択可能な分配を提供するためのクロスウェブ熱分配システムを使用して高分子フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを制御するためのシステムおよび方法を開示し、前記クロスウェブ熱分配システムは少なくとも1つの選択可能で再配置可能な加熱素子を備える。上記の要約は、本発明の開示された各実施形態、またはあらゆる実施を記載するものではない。以下の図および発明を実施するための最良の形態は、説明的な実施形態をより具体的に例証する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本出願は、配向されたフィルムにおける厚さのばらつきを制御することに関する。フィルムの製造は、典型的にはフィルムの長さおよび幅に沿って厚さのばらつきを生じさせる。この出願は、配向されたフィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを細かくかつ能動的に調節する新規システムおよび方法を開示する。
【0005】
開示されたシステムおよび方法は、その性状がフィルム製造中に延伸から恩恵を受けることができる任意のポリマーを含むフィルムの製造に使用してもよい。フィルムは、1またはそれより多くのポリマーを含んでもよい。2つ以上の構成成分ポリマーを有するフィルムは、1つのポリマーが連続相であり、かつ1つまたはそれより多いポリマーが分散した相である混和性の混合物、不混和性の混合物、共連続混合物、互いに貫通するポリマー網状組織、および任意の層数を持つ層状フィルムを含むが、それらに限定されない、任意の形態的なまたは構造的形状を有してもよい。目下開示されているシステムおよび方法は、多層光学フィルムにとって特に有用である。これらのシステムおよび方法はまた、ポリエステルを含むフィルムにとって特に有用である。
【0006】
この開示されたシステムまたは方法を使用することにより作成される多層光学フィルムとしては、ミラーフィルム、反射偏光子のような偏光フィルム、ディスプレイフィルム、光学フィルター、補償フィルム、反射防止フィルム、または例えば、紫外線または赤外線遮蔽、色合付け、または陰影付けを可能とする(建築、自動車、温室、またはその他の用途向け)ウィンドウ(エネルギー制御または太陽光制御)フィルムを挙げてもよいが、それらに限定されない。
【0007】
本システムまたは方法を使用して作成されるフィルムは、多層光学フィルムである必要はない。これら以外の高性能フィルムは、本明細書に開示されるクロスウェブ厚さ制御から恩恵を受けることも可能である。高性能フィルムの用途としては、オーディオ、ビデオ、またはデ−タのアナログまたはディジタル記録用磁気メディアベースフィルム、グラフィックアートフィルム、リプログラフィックフィルム、オーバヘッドプロジェクター用透明フィルム、写真フィルム、x線フィルム、マイクロフィルム、写真プリントフィルム、インクジェット印刷フィルム、普通紙複写機フィルム、版面フィルム、色校正フィルム、ディジタル印刷フィルム、カーボンリボンフィルム、フレキソ印刷フィルム、グラビア印刷フィルム、製図およびジアゾ印刷フィルム、ホログラフフィルム、接着テープ基材、研摩基材、ラベルフィルム、剥離ライナーフィルム、マスキングフィルム、積層フィルム、包装フィルム、ヒートシールフィルム、蓋フィルム、デュアルオーブン用耐熱フィルム、バリヤーフィルム、スタンピング箔、メタライジングフィルム、装飾フィルム、アーカイブおよび保存用フィルム、ワイヤおよび電線、モーター、変圧器、並びに発電機用電気絶縁フィルム、フレキシブル印刷回路フィルム、キャパシタフィルム、クレジットカード、プリペイドカード、IDカード、および「スマートカード」のようなカード用フィルム、耐引っかき性、落書き防止またはシャッター防護用ウィンドウまたはセーフティフィルム (セキュリティーフィルム)、皮膜スイッチフィルム、タッチスクリーンフィルム、医療センサーおよび診断装置フィルム、防音フィルム、音響スピーカフィルム、並びにドラムヘッドフィルムが挙げられるが、それらに限定されない。
【0008】
完成フィルムに対して特定の光学的および/または物理的特性を付与するため、ポリマーはフィルムダイを通過して押し出し可能であり、そのオリフィスは一連のダイボルトにより通常制御される。押し出しフィルムは、たとえば 所望の性質により決定される比率において延伸することにより、引き続いて配向可能である。長手方向延伸は、図1に示すように、長さオリエンター100においてプルロールにより行うことができる。長さオリエンターは、典型的には1つまたはそれより多い長手方向延伸領域を有する。横方向延伸は、図1に示すテンターオーブン200において行うことができる。テンターオーブンは、通常少なくとも1つの予熱領域210および横方向延伸領域220を含有する。多くの場合テンターオーブンはまた、図1に示すように、ヒートセット領域230を含有する。システムは、1以上の任意のまたはすべてのこれらの領域を含有するよう設計可能である。もし所望されるならば、フィルムは二軸配向することができる。二軸延伸は、逐次にまたは同時に行うことできる。フィルムはまた、長手方向延伸のみにより、または横方向延伸のみにより製造することもできる。一軸延伸にあっては、約3:1〜10:1の延伸比が一般的である。二軸延伸にあっては、製品の長手方向および横方向延伸比は通常、4:1〜60:1の範囲にある。当業者であれば、所与のフィルムに適切なものとして他の延伸比を使用してもよいことを理解するであろう。
【0009】
この出願の目的で、用語「横方向延伸領域」とは純粋に横方向延伸領域またはテンターオーブンにおける同時二軸延伸領域のいずれかをいう。「テンター」とは、機械の方向に搬送されながらフィルムがそれによりその縁部において把持される任意の装置を意味する。典型的には、フィルムはテンターにおいて延伸される。広くは、テンターにおける延伸方向は、機械の方向に対して直角 (横方向または横断方向)であるが、他の延伸方向、たとえばフィルム走行に対して直角な角度以外の角度における方向もまた意図されている。所望により、機械の方向以外である第1の方向においてフィルムを延伸するのに加えて、テンターはまた、機械の方向または機械の方向に接近した方向のいずれかである第2の方向にフィルムを延伸できる場合もある。テンター内での第2の方向延伸は、第1の方向延伸と同時にもしくは別々に、のいずれかで行なってもよいし、または両方で行なってもよい。テンター内での延伸は、任意の数の工程において行なってもよいし、その各々は第1の方向、第2の方向、または両方における延伸の成分を有してもよい。テンターはまた、その縁部において把持されない場合には収縮するであろうフィルムにおいて横方向弛緩の量を制御するために使用可能である。この場合、弛緩は弛緩領域において行なわれる。
【0010】
一般的な工業的に有用なテンターは、フィルムの2つの縁部を2組のテンタークリップで把持する。テンタークリップの各組は、チェーンにより駆動され、かつクリップは2条のレール上に載り、テンターを通って走行するときにレールが互いに分岐するようにその位置を調節可能である。この分岐は、結果的に横断方向延伸をもたらす。この一般的なスキームに関する変形は既知であり、かつ本明細書において考察される。
【0011】
テンターによってはフィルムを機械の方向に、または機械の方向に接近した方向に延伸可能なものもあり、同時にそれらはフィルムを横断方向に延伸させる。これらは、同時二軸延伸テンターと呼ばれることが多い。クリップを駆動するために1つの形式は、パンタグラフまたは鋏のような機構を使用する。これは、各レール上のクリップがレールに沿って進行するにつれてそのレール上のそれらの最も近い隣のクリップから分岐することを可能にさせる。まさに従来式テンターのように、勿論、各レール上のクリップは、2条のレールの互いからの分岐に起因して反対側レール上のそれらのカウンターパートから分岐する。同時二軸延伸テンターの他の方式は、チェーン毎に様々に異なるピッチのねじに取って代わる。このスキームにおいて、クリップの各セットは、ねじ山の運動によりそのレールに沿って駆動され、かつ様々に異なるピッチはレールに沿ったクリップの分岐に備える。同時二軸延伸テンターのさらに他の方式において、クリップはリニアモーターにより個別に電磁気的に駆動されるので、各レールに沿ったクリップの分岐を可能にさせる。同時二軸延伸テンターはまた、機械の方向のみにおける延伸にも使用可能である。この場合では、機械の方向延伸は機械の方向延伸領域において行われる。この出願では、横方向延伸、弛緩、および機械の方向延伸は変形の例であり、かつ横延伸領域、弛緩領域、または機械の方向延伸領域は変形領域の例である。テンター内で2方向に変形を実現させるこれら以外の方法もまた、可能である場合もあり、かつ本出願により考察される。
【0012】
フィルム処理方法は、押出し機ダイ10を介する押出し高分子溶融を含むことができる。ダイリップ(出口部分)輪郭は、多くの場合一連のダイボルトで調節可能である。多層フィルムにあっては、多重溶融流および多重押出し機が使用される。押出品は、回転キャスティングホイール12上で冷却される。この箇所におけるフィルムは「キャストウェブ」と呼ばれることが多い。配向中に、フィルムまたはキャストウェブは完成フィルムの所望の性状に応じて機械の方向、横方向、または両方向に延伸される。フィルム処理の詳細は、例えば米国特許第6,830,713号(ヘブリンク(Hebrink)ら)に記載される。簡潔にするために、本明細書では「押出品」、「キャストウェブ」または「完成フィルム」間の区別に関係なく、プロセスの任意の段階におけるフィルムを意味するために用語「フィルム」を用いるものとする。ただし、当業者はプロセスにおける異なる箇所におけるフィルムを上記の代わりの用語により、並びに当該技術分野において既知のその他の用語により呼ぶことができることを理解するであろう。
【0013】
フィルム作成プロセスの全体を通じて、幾つかの要素がフィルム厚さ均一性のばらつきの一因となりうる。例えば、均一性のゆらぎは、ダイリップ輪郭、クロスウェブダイ温度、クロスウェブ・キャスティングホイール温度、周囲空気における気流、不均一なテンター温度および/または圧力、および当業者にとって自明である様々なその他の要因におけるばらつきを含む、クロスウェブ状態の幾つかのばらつきに起因する可能性がある。フィルム均一性は、高品質多層フィルム、特に多層光学フィルムにおいて重要である。ますます増えつつある用途にあっては、これらのフィルムが広い領域にわたって高度の物理的および光学的均一性を呈示することが望ましい。本出願において開示されるシステムおよび方法は、このようなフィルム均一性を達成するための能動的なクロスウェブ制御を提供可能である。
【0014】
フィルム製造におけるクロスウェブ厚さを制御する典型的な方法は、キャストウェブ成形プロセス中のダイにおけるダイボルトの調節にかかわる。これらの調節は、ダイボルトを物理的に回転させるかまたはダイボルト温度を変化させることによりダイリップの物理的間隔を変化させることを含む。しかしながら、フィルム厚さに関するダイボルト調節の結果は粗くかつ緩慢である。ダイリップの物理的間隔を変化させることは、ダイリップの柔軟性が無いことに起因して粗い調節をもたらす。大抵の場合、単一のダイボルトを調節する効果が、完成フィルムにおいて最大7本のダイボルトレーンにおいてフィルム厚さを変化させる。したがって、ダイボルト間隔を調節することによりクロスウェブ厚さの細かいばらつきを制御することは難しい。ダイボルトヒーターが暖機および冷却するのにかなり長い時間を要するので、ダイボルト温度を変化させることは厚さ調節の緩慢な変化を生じさせる 。これに加えて、フィルムラインにおけるダイからワインダまでの経路が長いので、ダイボルト調節から厚さ変化の応答時間がかなり長いことが多くなり、厚さプロファイル制御を困難かつ緩慢にさせる。
【0015】
押出しフィルムのクロスウェブ厚さを制御するこの開示されたシステムおよび方法は、フィルムが作成されつつあるときの厚さプロファイルの能動的で、微細な制御を見込む。クロスウェブ厚さ制御は、クロスウェブ厚さプロファイルを監視し、かつ延伸または変形中にフィルムへ加えられる熱の分配プロファイルを制御することにより達成できる。クロスウェブ厚さプロファイルの監視は、物理的または光学的厚さプロファイルを測定することおよび熱分配制御が行われる場所へ測定プロファイルをマッピングすることを含むことができる。監視プロファイルに応答してクロスウェブ熱分配を制御する各種システムおよび方法について述べる。厚さを監視し、かつ熱分配を調節する工程は、フィルムにおいて所望の最終厚さプロファイルに到達するまで繰り返し使用されるフィードバックループを形成することができる。この開示されたシステムおよび方法はまた、クロスウェブ厚さプロファイルの微細な制御を実現するためにダイボルト調節と共に使用することができる。
【0016】
幾つかの開示された実施形態において、二軸配向高分子フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを制御する特定の技術が利用される。たとえば、場合によっては熱分配プロファイルを調節するのにチャネルブロッカーが使用されたり、また場合によっては熱分配プロファイルを調節するのに再配置可能な、旋回可能な加熱素子が使用されたりすることがある。これらの技術は、変形中、たとえば長手方向に、横方向に、二軸的に、または制御された弛緩中に単独であるいは組み合わせて使用することができる。たとえば、チャネルブロッカーは長手方向延伸フィルムを対象に長さオリエンター内で、または横方向または二軸延伸フィルムを対象にテンター内で使用することができる。同様に、再配置可能な、旋回可能な加熱素子は長さオリエンター内またはテンター内で使用することができる。二軸配向高分子フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを制御する方法は、目下開示された熱分配システムのいずれにも、並びに当該技術分野において既知であるその他の加熱システムにも使用することができる。
【0017】
この開示されたクロスウェブ熱分配システムは、伝達された熱の調節可能な位置制御および調節可能なプロファイル制御を実現させつつフィルムが延伸されつつあるときに熱をフィルムへ伝達することができる。これは、もし所望であれば、既知のシステムよりもクロスウェブ厚さプロファイルの一層より微細な制御を実現できる。この開示されたシステムはまた、既知のシステムと比べて一般的により速い応答時間を実現できる。
【0018】
二軸配向フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを制御する新規な方法が開示されている。この方法は、長さオリエンター(LO)の延伸領域におけるまたはその付近における熱分配の制御、引き続いてテンター内のフィルムの変形、テンター内の変形領域の後でその結果得られたクロスウェブ厚さプロファイルの測定、および測定された厚さプロファイルに基づいたLOにおける熱分配の調節に依拠している。一実施形態において、変形領域はワインダの直ぐ前方、ラインの終点にすることができる。他の実施形態において、変形領域は例えば 図1に示すように、他の領域間に位置決めすることができる。それら以外の実施形態は、その後の第2長さオリエンターのような、追加要素を設けてもよい。
【0019】
以下にさらに詳細に記載されるように、これらのシステムおよび方法は、単独でまたは組み合わせで、および横断方向の厚さ均一性の向上を伴ってフィルムを製造する実質上任意のフィルムラインにおいて使用することができる。これらのシステムおよび方法はまた、たとえばカラーヴァリエーションが好ましいものであり、かつフィルム厚さのヴァリエーションが意図的に付与される多層光学フィルム用途等において、特定ニーズに合わせたクロスウェブ厚さプロファイルを有するフィルムを製造するためにも使用することができる。
【0020】
2つの例示的な実施形態について以下に詳細に記載する。第1の実施形態は、長さオリエンター内でチャネルブロッカーを使用する。第2の実施形態は、テンターオーブン内で再配置可能な、旋回可能なヒーターを使用する。
【0021】
幾つかの実施形態において、クロスウェブ熱分配システムは、複数個のチャネルブロッカーと組み合わせて少なくとも1つの横方向加熱素子を含む。このようなシステムの3つの実施例が、図2a〜2cに示される。これらの図において、フィルムは長さオリエンター内で延伸される。図2aおよび2cにおいて、プルロール102、104、および106がSラップ構成でセットアップされる。図2bにおいて、プルロールが垂直またはテーブルトップ構成でセットアップされる。図2a〜cに示される実施形態は、加熱組立体150a〜cを、フィルム20の長手方向延伸領域140または140bへ熱の選択可能な分配を提供するために、1組のチャネルブロッカー170 と一緒にそれぞれ使用する。
【0022】
図2aにおいて、加熱組立体150aは3つの横方向赤外加熱素子160を含む。調節可能なプロファイルクロスウェブ熱分配システムはまた、フィルムの機械の方向に配列され、加熱組立体150aとフィルム20間に位置決めされた1組のチャネルブロッカー170を含む。この特定の実施形態は、3個の加熱素子160および複数個のチャネルブロッカー170を使用するが、システムの設計考慮事項に応じて任意数の加熱素子および任意数のチャネルブロッカーを使用することができる。たとえば、単一の加熱素子を有するシステム(加熱組立体150b)が図2bに示されるのに対して、5個の加熱素子を有するシステム(加熱組立体150c)が図2cに示される。他の実施例は、10個の加熱素子1組および50個のチャネルブロッカー1組を備えてよい。各横方向加熱素子は、制御対象のフィルムエリアの幅全体に及ぶ単一のヒーター、または制御対象のフィルムエリアへ熱の所望量を提供するよう配置される、点熱源を含む、複数個の小型ヒーターとすることが可能である。点熱源と延長熱源の組み合わせも志向される。
【0023】
フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルの微細な制御を見込むために、チャンネルブロッカー170の各々の位置を変化させることにより伝達された熱の調節可能なプロファイル制御を行いながら、図2aのクロスウェブ熱分配システムは加熱組立体150aを介して熱をフィルムの延伸領域へ伝達させる。図2a〜cの各図において、チャネルブロッカー170は所望のクロスウェブ場所において熱の所望の一部を優先的に遮断する。加熱素子がフィルムへ熱を提供するにつれて、チャネルブロッカーまたはチャネルブロッカーの1組がフィルム上に効果的に影を投げ掛けるよう位置決めでき、これにより選定された特定の場所においてフィルムへ伝達される熱の量を低減させる。各特定のチャネルブロッカーの位置が、微細な制御の対象となるフィルムのエリアに対応する場所において影を投げ掛ける。解像度の程度は、チャネルブロッカーのフィルムへの近接に加えて、チャネルブロッカーのサイズにより調節することができる。図2aにおいて、チャネルブロッカー170は一般に水平にかつ加熱組立体150aの加熱素子160に平行に位置決めされる。図2aにおけるフィルムはSラップ構成である。このようにチャネルブロッカー170は、Sラップ構成フィルムの平面に対して傾斜がついている。図2bにおいて、チャネルブロッカー170はまた一般に水平に位置決めされるがフィルムはテーブルトップ構成であるので、チャネルブロッカーはフィルムの平面に対して平行である。図2cにおいて、チャネルブロッカーはフィルムの平面に平行となるよう角度をつけられ、これはSラップ構成である。
【0024】
各個別のチャネルブロッカーの幅は、所望通りできるだけ狭くすることが可能であり、かつフィルムまでのブロッカーの距離もまたニーズに合わせることが可能である。たとえば、チャネルブロッカーは10mm幅とすることができ、かつフィルムから50mm以内に位置決めされる。したがって、制御要素としてのチャネルブロッカーの組立体は細かく分割することができ、かつクロスウェブ厚さ制御尺度は希望通り個別ニーズに合わせることができ、優れた厚さ制御を実現させる。これに加えて、制御場所はウェブがライン速度までスピードアップしつつある長さ配向ステーションにおいてであるので、チャネルブロッカーからワインダまでの遅延時間はダイからワインダまでの時間よりも実質的に短い。それ故に、制御に対する応答時間はより短くなり、最終的な厚さ均一性の達成をより速くさせる。さらに、長さ配向ステーションは通常では開放スペースにあり、かつ容易にアクセス可能であり、システムをインストールし易くかつ実施し易くさせる。チャネルブロッカー実施形態はまた、テンターオーブン内で使用することができる。このようなシステムにおいて、ワインダとテンターオーブン間の距離はさらに短くでき、かつ応答時間はさらに速くできる。チャネルブロッカーを含む加熱組立体へのアクセスは、テンターオーブンの外部から制御可能に設計することができる。
【0025】
図2a〜cのシステムおよび方法は、特定の箇所へ伝達される熱の量を急速に変化させることが可能である。以下に詳細に述べるように、代替のクロスウェブ熱分配システムを使用することができ、そこではヒーターの配列へ提供される電力を変化させることによりクロスウェブ熱分配プロファイルを変化させる。代替システムは、可動部品が無い等の確かな利益を有することもあるが、より低い空間分解能およびより緩慢な応答時間等の、使用されるヒーターの形式により欠点を有することもある。例えば、工業用赤外(IR)ヒーターでも暖機するのに5分も要し、かつ冷却するのに15分も要するものがある。対照的に、可動チャネルブロッカーを使用するシステムは比較的に速い応答時間および高い空間分解能を有するよう設計することができる。フィルム上に影を投げ掛け、これによりフィルムへ伝達される熱の量を低減させるためのチャネルブロッカーまたはチャネルブロッカー1組の動きは、従来の赤外(IR)ヒーターの応答時間よりもはるかに速い。チャネルブロッカーを使用するシステムの応答時間は、チャネルブロッカーをいかに速く動かすことができるか、そしてウェブが応答するのに要する時間によってだけ制限される。これはチャネルブロッカー組立体およびその制御機構の特定の機械設計に依存する。当業者であれば、チャネルブロッカー組立体の機械的制御に好適な、可能な設計の多様性を正当に評価するであろう。
【0026】
図3はチャネルブロッカー組立体300の1つの代表的な設計の平面図を示す。組立体300は、互いに隣接して位置決めされた34個のチャネルブロッカーを有し、このセットは制御されるフィルムの幅全体に及ぶ。フィルムの物理的寸法は、所望であれば、制御されるフィルムの幅を超えて延長してもよく、たとえばフィルムの外側縁部が切り取られ、かつ使用可能な中央フィルム部分を残して、廃棄されるかまたはリサイクルされる。図3に示すようにチャネルブロッカー組立体を組み込んだクロスウェブ熱分配システムが、長さオリエンター、テンター、または両方に使用可能である。
【0027】
フィードバック機構は、物理的または光学的厚さプロファイルを繰り返し測定し、測定された厚さプロファイルを延伸領域へ所望によりマッピングし、かつ測定されるかまたはマッピングされたプロファイルに応答してクロスウェブ熱分配システムを調節するのに使用可能である。フィードバック機構は既知であるので、詳細には記載しない。簡単に言えば、フィードバック機構はオペレータによる手動制御の形態にすることが可能であり、コンピュータ制御可能であり、あるいはコンピュータと手動制御の組み合わせにすることが可能である。たとえば、1つのこのようなフィードバック機構は、手動オーバライド付きコンピュータ制御システムとすることが可能である。好ましくは、フィードバック機構は、本明細書に記載されるマッピング方法のいずれかを用いてコンピュータ制御マッピングアルゴリズムを使用する。手動マッピングアルゴリズムもまた使用可能である。
【0028】
幾つかの実施形態において、クロスウェブ熱分配システムはオリエンター内の横方向に沿って配置される再配置可能な加熱素子1組を含む。以下に述べる代表的な実施形態において、このようなクロスウェブ熱分配システムはテンター内で使用される。テンターの変形領域は、純粋に横方向延伸領域、弛緩領域、機械の方向延伸領域、または二軸延伸領域とすることが可能である。再配置可能な加熱素子を含むこのようなクロスウェブ熱分配システムはまた、長さオリエンター内で使用可能である。
【0029】
図4はこの実施形態の1つの実施を模式図的に示す。図4において、フィルムはテンターオーブン200(図1参照)において横方向に延伸されつつある。この特定の実施において、再配置可能な加熱素子はまた旋回可能である。クロスウェブ熱分配システム250は、1対の取付チャネル材253上に搭載された5個の再配置可能なロッドヒーター260a〜eを含む。直線状にまたは特定の所望の応答に対して最適化される他の任意の形状で配置された、より小さい熱源の配列を含むがそれらに限定されない、それ以外の実施もまた可能である。
【0030】
図4の実施形態において、ヒーターはオリエンターの延伸領域に位置付けされるが、それらの場所は延伸領域に限定されない。オリエンターは、クロスウェブ熱分配システムを使用してもよい追加の領域または他の変形領域を有することができる。追加の領域は、予熱領域、焼きなまし領域、およびヒートセット領域を含むがそれらに限定されない。長さオリエンター内で使用されるとき、延伸領域は長手方向延伸領域である。テンター内で使用されるときは、変形領域は横方向延伸領域、弛緩領域、機械の方向延伸領域、または二軸延伸領域とすることが可能である。クロスウェブ熱分配システムは任意のこれらの領域にまたはその付近に位置付けすることが可能である。本明細書に開示される実施形態のほとんどが延伸領域に言及するが、クロスウェブ熱分配システムもまたこれら以外の領域にまたはその付近に存在可能であることが意図される。本出願において、クロスウェブ熱分配システムが任意の実施形態において存在する場所は熱分配領域と呼ばれる。
【0031】
図4の熱分配システム250において、加熱素子は2つの方法で再配置可能である。第一に、加熱素子はフィルムの幅に沿って任意の位置へ取付チャネル材に沿って横方向に移動可能である。第二に、加熱素子はまた旋回可能である。旋回ヒーターの利点について以下に述べる。これ以外の実施および実施形態についても考察する。例えば、加熱素子はフィルムの平面に垂直な平面において、フィルムへ向けておよびフィルムから離れて移動できるように再配置可能にすることができる。
【0032】
フィルムがフィルムラインに沿って移動するとき横方向位置をフィルムの任意の部分にマッピングするために、仮想の中心線22a〜eが図4にレーン40a〜e毎にそれぞれ示される。フィルムレーン40a〜eは想像線により境界がつけられる。図4において、中心線22a〜eの各々がまたフィルムが延伸されるときフィルムの各対応レーンの走行方向を表す。横方向延伸中に、各対の想像線間の距離が横方向延伸量に比例して増加する。換言すれば、フィルムが横方向に延伸されるのに伴い各フィルムレーンの幅が増加する。理想的には、例えば、フィルムが3:1の比率で延伸される場合には、延伸領域220の直前および延伸領域220の直後の箇所において測定すると各フィルムレーンの幅は3倍増加するであろう。ただし、実際には、様々な要因によりフィルムレーンの幅は等しくならない。これらの要因としては、たとえば、延伸前のクロスウェブ均一性のばらつき、テンター内のクロスウェブ温度分配のばらつき、押し出し混合物の均質性のばらつき、および有限幅のフィルムウェブにおけるエッジ効果を挙げることができる。
【0033】
クロスウェブ熱分配システムのロッドヒーター260a〜eはヒーターが互いに独立して位置決めできるように取り付けられる。所望により、横方向に移動するのに加えて、各ロッドヒーターはまた旋回可能なように取り付けるこができる。旋回可能なヒーターは2つの利点を持っている。第一に、旋回ロッドヒーターは、それが位置する上方でフィルムの特定レーンの走行方向と一直線にすることができる。第二に、任意の単一の加熱ロッドからより幅広の熱分配プロファイルを提供するために旋回ロッドヒーターはフィルムレーンの走行方向に対して角度をつけることができる。熱分配プロファイルに及ぼすこの拡幅効果について以下に続く実施例においてより詳細に論述する。旋回型、再配置可能加熱素子はフィルムへ伝達される熱のより優れた制御を実現させ、代わって既知のシステムと対比してより微細に調節可能な熱分配プロファイルを実現させる。
【0034】
図4において、加熱素子260a〜eの各々はテンターの端から端まで2本の平行なチャネル材253上の旋回軸で取り付けられる。このようにして各ヒーターのクロスウェブ場所はテンター オーブンの外部から精確に調節可能にすることができる。各ロッドヒーター260a〜eの位置および向きは、当該技術分野において既知の様々な方法により制御することができる。図5〜6の実施形態において、位置および向きはロッドヒーター毎に1対の商品名「アクメ(Acme)」ねじ付きロッド262を使用して制御される。位置および旋回制御のこれ以外の方法がまた使用できる、たとえば1対のケーブルを各ロッドヒーターへ接続する。
【0035】
図5は熱分配システム250の単一の再配置可能な加熱素子の拡大図を示す。加熱素子260は2本の取り付けチャネル材253Lおよび253Rに沿った任意の場所において位置決めできる。所望により、加熱素子260はまた、機械の方向25に対して角度θを形成するために線26と一直線になるよう点線で示す通り回転させることができる。一実施形態において、1本の固定ボルト266および加熱素子260が回転するに伴って スライディングチャネル材270に沿って移動することが許される1本のボルト268を有することにより回転が達成される。固定ボルト266は加熱素子の旋回点としての役割を果たし、かつこの実施形態において加熱素子260の中心に位置付けされる。旋回が所望されない場合には、スライディングチャネル材270をなくすことができ、かつ両ボルトは固定式にできる。これ以外の配置がまた考察される。
【0036】
図6は図4の熱分配システム250の透視部分図を示す。図6はチャネル材253Lおよび253R上に取り付けられる2つの加熱素子260aおよび260bを示す。加熱素子260aの位置は、一対のねじ付きロッド262aにより制御される。同様に、加熱素子260bの位置は一対のねじ付きロッド262bにより制御される。加熱素子260bの随意の回転は、チャネル材253L上に取り付けられた対応するねじ付きロッドに沿った異なる場所において対応するナット264bを位置決めしつつ、ナット264bをチャネル材253R上のねじ付きロッド262bに沿った1箇所において固定(253R)側に位置決めすることにより達成される。これはまた図5にも見ることができる。各ヒーター260のクロスウェブ位置は各一対のねじ付きロッドへ接続される一対のねじ(図示せず)でテンターオーブンの外部から精確に調節可能にすることができる。これに加えてヒーターの向きの角度はまたねじ対により制御される旋回点266bおよび268の相対位置によりテンターオーブンの外部から精確に調節できる。
【0037】
横方向に移動可能になるよう、かつ所望により機械の方向に対して旋回可能になるよう取り付けられる単一のロッドヒーターは、フィルムが延伸または変形されるに伴いフィルムの調節可能な熱プロファイル制御を実現できる。組み合わせて使用される場合には、たとえばヒーター260a〜eのような、ヒーターの組立体は、フィルムの任意の選定部分にわたってまたはフィルムの幅全体にわたって熱の調節可能なプロファイルを一緒になって提供できる。
【0038】
チャネルブロッカー実施形態におけるように、この実施形態はまた速い応答時間、および熱分配の微細な、能動的な制御の効果を有する。制御場所が、ウェブがライン速度までスピードアップしている長さ配向ステーションであるときには、クロスウェブ熱分配システムからワインダまでの遅延時間はダイからワインダまでと比べて実質的により短い。したがって、制御のための応答時間が短くなり、結果的にサイクル時間が短くなり、所望の最終厚さ均一性を一層より速く達成させる。繰り返すが、長さ配向ステーションは多くの場合開放スペースにあり、かつ容易にアクセス可能であり、クロスウェブ熱分配システムをインストールし易くさせる。制御場所がテンター内にある場合には、サイクル時間および応答時間は一層より短くすることができる。
【0039】
一般的には、フィルムの厚さプロファイルはクロスウェブ熱分配システムの場所から下流の任意の点において測定できる。たとえば、長さオリエンター内で開示されたクロスウェブ熱分配システムのいずれかを使用するシステムにおいて、クロスウェブ厚さプロファイルは長さオリエンターから下流で測定できる。テンターオーブン内でクロスウェブ熱分配システムを使用するシステムにおいて、クロスウェブ厚さプロファイルはテンターオーブンから下流で測定できる。別の方法としては、クロスウェブ厚さプロファイルはまた、変形領域が、クロスウェブ熱分配システムが存在するところであれば、その直後テンターオーブン内部で測定できる。長さオリエンター内でクロスウェブ熱分配システムを使用するが、その後の横方向延伸のためにテンターをも使用するシステムにおいて、クロスウェブ厚さプロファイル測定はテンターオーブンの上流を除いて長さオリエンターの下流で行うことができる。ただし、出願者には分かっていたことであるが、長さオリエンター内でのクロスウェブ熱分配の制御の後に、テンター内での変形が続き、さらに変形領域から下流でフィルムのクロスウェブ厚さプロファイルの測定が続くことにより、予期せぬ結果がもたらされる。以下の実施例2は、1つのこのようなシステムおよび方法について記載する。
【0040】
光学フィルムにあっては、総合フィルム光学厚さは光学厚さ測定ゲージを使用して光学透過または反射スペクトルを介して検出および監視することができる。例えば、オンライン分光分析装置はフィルムがラインを離れるときにその分光透過率を測定するようセットアップでき、これによりクロスウェブ厚さプロファイル均一性を測定し、かつプロセス制御のためのフィードバックを実現するのに必要な情報を提供する。1つのこのような分光分析装置の例として、タイプU−4000分光分析装置が日立製作所(Hitachi Ltd)により製作される。場合によっては、透過スペクトルが固有レベルまで衰えるときにおける波長がその光キャリパーの尺度として使用できる。他の場合において、固有波長における透過率がその光キャリパーの尺度として使用できる。これら以外の方法が、以下に記載する直接的方法を用いて検量できる間接的方法を含み可能である。
【0041】
はさみ尺は、フィルムの物理的厚さ、フィルムの光学厚さまたは前述したフィルムのその他の厚さ関連特性を測定できる。本出願において、クロスウェブ厚さとは、光学厚さ、物理的厚さ、その2つの組み合わせ、または特定の製品設計により要求される任意のその他の厚さ関連特性をいう。光学フィルムまたは高性能フィルムの当業者は、特定の製品向けに相応しいキャリパーを設計できるであろう。たとえば、フィルムの物理的厚さの測定は、米国、ニュージャージー州、モリスタウン、ハニウェルインターナショナル・インコーポレーテッド(Honeywell International, Inc.)から市販されている「メジュレックス」(Measurex)(商標名)スキャナーのような、オンライン横断β線ゲージ走査装置を使用して行うことができる。その他のキャリパーゲージとしては、β線透過式測定器、x線透過式測定器、γ線後方散乱測定器、コンタクト・キャリパーセンサー、およびレーザー・キャリパー・センサーを含むが、これに限定されない。このような測定器は、たとえば米国、カリフォルニア州、アーウィンデールのNDCインフレアード・エンジニアリング社(NDC Infrared Engineering)から市販されている。
【0042】
測定されたフィルム厚さプロファイルは、クロスウェブ熱分配システムが存在する対応する、フィルム場所へ、所望によりマッピングされる。幾つかの実施形態にあっては、横方向延伸領域後に測定されたフィルム厚さプロファイルは長さオリエンターの長手方向延伸領域内にあるフィルムへマッピングできる。その他の実施形態において、フィルム厚さプロファイルは熱分配システムから下流で測定され、かつ熱分配領域へマッピングされる。マッピングは、幾つかの方法で行うことができる。簡単なマッピング方法は、たとえば図3および図4中の擬似線により、フィルムの幅を図示の1組の架空のフィルムレーンへ分割することを含む。図3において、フィルムは34本のフィルムレーンへ分割され、各レーンは1つのチャネルブロッカーに対応している。この特定の実施形態において、チャネルブロッカー301および334は残りのチャネルブロッカー302〜333より幅広になっている。それ故に対応するレーン1および34はレーン2〜33より幅広になっている。図4において、5本のフィルムレーン40a〜eが擬似線により指示される。5本のレーン40a〜eの各々の中心が、それぞれ中心線22a〜eにより示される。
【0043】
クロスウェブ厚さプロファイルはクロスウェブ熱分配システムが存在する熱分配領域から下流で測定される。測定場所においてフィルムは、制御が行われつつある熱分配システムの場所におけるフィルムの幅と同一幅でないことがある。したがって片方の場所から他方の場所へマッピングするのにマッピングアルゴリズムが使用される。マッピングアルゴリズムは、片方の場所におけるフィルムの各クロスウェブ位置を他方の場所におけるフィルム上の対応するクロスウェブ位置へ実質的に並進させる。マッピングアルゴリズムは、どのようにフィルム幅が2つの場所間で異なるかに影響を及ぼす可能性のある任意またはすべての要因を考慮に入れることができる。これらの要因としては、延伸、収縮、そり、1つの場所におけるフィルムの縁部が切りとられたかどうか、延伸前のクロスウェブ均一性のばらつき、テンター内クロスウェブ温度分布のばらつき、または押出し混合物の均質性のばらつきを含むがこれらに限定されない。
【0044】
追加のマッピング方法としては、延伸前に表示器でフィルムに物理的にマークすることおよび延伸後に表示器の場所を測定することが挙げられる。例えば、第一の方法はフィルムの各縁部から50mm離して2本の線を描き、続いて延伸後にそれらの線の場所を測定し、かつ2本の線間のフィルムの幅を、等しい幅を有する幾つかのレーンに細分することを含むことができる。この方法では、各レーンが同一量だけ延伸されるかまたは変形されると仮定している。第二の方法は、フィルム上に50本の表示器ラインを描き、続いてフィルムを延伸させ、そして延伸後に各表示器ラインの場所を測定することを含む場合がある。第三の方法は、チャネルブロッカーまたは再配置可能なヒーターの1またはそれより多くを選択的に移動させ、その上で延伸フィルムに及ぼす影響を測定することを含む場合がある。この方法は、能動的マッピングまたはバンピング(bumping)によるマッピングと呼ばれる。第四の方法は、質量保存の法則を利用する場合があり、そこではフィルムのクロスウェブ厚さプロファイルが延伸前後に測定される。質量が延伸中に保存されるので、フィルムの容量はまた同じままに残っておりかつ所与の本数のフィルムレーンの幅が2つの測定された厚さプロファイルから計算できる。これらのマッピング方法のいずれかが、相応しいマッピングアルゴリズムを設計するのに使用できる。
【0045】
たとえば、図4において、長手方向場所60に位置するクロスウェブ熱分配システム250を使用してフィルムがシステム内で横方向に延伸される。幾つかの実施形態において、クロスウェブ厚さプロファイルは長手方向場所70において測定される、そこではフィルムは場所60におけるフィルムよりも幅がより広い。場所60における熱分配を制御するために、場所70における測定プロファイルは熱分配システム60の場所へマッピングされる。熱分配システムは続いてフィルムプロファイルにおける任意の厚い若しくは薄いスポットまたは凹凸を滑らかにするよう調節できる。別の例において、このようなシステムはまた場所50において第2のクロスウェブ熱分配システムを装備することができる。その場合には、場所70において測定されるクロスウェブ厚さプロファイルはまた第2の熱分配システムが存在する場所50へマッピングすることができる。
【0046】
使用可能なクロスウェブ熱分配システムは上述の開示された任意のシステム、例えば再配置可能な加熱素子、チャネルブロッカーを有する加熱素子、またはこれら2つの組み合わせを使用するシステムであることができる。任意のその他の既知のまたは後から開発された、特定ニーズに合わせることができるクロスウェブプロファイルに従ってウェブへ熱を伝達できるクロスウェブ熱分配システムがまた使用できる。クロスウェブ熱分配システムは長さオリエンター内でまたはテンター内で使用できる。テンター内で使用される場合には、熱の選択可能な分配がフィルムの変形領域へ提供される。長さオリエンター内で使用される場合には、熱の選択可能な分配がフィルムの長手方向延伸領域へ提供される。
【0047】
以下の実施例1に記載される通り、測定されたフィルムプロファイルが、レーン08にマッピングされる厚いまたは高いスポットを有する場合には、続いて対応するチャネルブロッカー308を、より多くの熱がレーン08へ伝達されるよう調節することができる。これはフィルムをそのレーンにおいてより多く延伸できるようにさせ、これにより完成フィルムにおける厚いスポットを低減または排除させる。同様に、測定されたフィルムプロファイルがレーン22に対応する場所におけるフィルム上に低いスポットを指摘する場合には、たとえば図3に示す通り、チャネルブロッカー322は熱がその場所におけるフィルムへ到達するのを阻止するよう移動することができる。一実施形態において、阻止するまたは阻止しない程度は、軸180とともに回転されるねじ付きロッドを介してチャネルの前送りにより調節される。このような調節を極めて細かく行うことができ、熱分配の優れた制御を実現できることは明らかである。
【0048】
同様に、実施例3および4に示すように、厚いスポットはまた長さオリエンター内またはテンター内のいずれかで再配置可能な加熱素子を使用して調節することができる。再配置可能な加熱素子がまた旋回可能になれば、これらの影響は一層細かく調節することができる。チャネルブロッカー実施形態におけるように、再配置可能なヒーターがフィルムのクロスウェブ厚さを所望の最終プロファイルまで能動的に制御するよう使用することができる。
【0049】
幾つかの実施形態において、長さ配向されたフィルムをテンター内で引き続いて変形させることができる。このような場合において、テンターよりはむしろ、長さ配向ステーションにおけるクロスウェブ熱分配を調節することが、テンターの下流で完成フィルムにおいてクロスウェブ厚さプロファイルを修正する際に効果的であろうということは直感に反している。以下の実施例2では驚くことに、長手方向延伸中にフィルムへ伝達される熱の部分を選択的に阻止することによりクロスウェブ厚さを細かく調節することができるので、より均一な二軸延伸フィルムを提供できることが実証される。実施例2はチャネルブロッカー熱分配システムを使用するが、この方法はまた本明細書において開示される再配置可能な加熱素子、または当該技術分野において既知のその他のクロスウェブ熱分配システムのような、任意のその他のクロスウェブ熱分配システムに使用することができる。テンター内で引き続いて変形されたフィルムの均一なクロスウェブ厚さを達成するために長手方向延伸中に長さオリエンター内で熱分配を制御するこの方法の独自の取り組みは、並外れて優れた結果を提供することができる。
【実施例】
【0050】
実施例1
図7に示す実施例において、赤外反射多層光学フィルムはポリメチルメタクリレート(PMMA)およびポリエチレンナフタレートのコポリマー(co−PEN)の交互に並んだ層を押し出しすることにより作成された。フィルムは最初に3.3:1の延伸比で長さ配向された、また引き続いて テンター内で3.3:1の延伸比で幅配向された。フィルムの光学厚さが、光学キャリパーゲージを使用してテンター後に測定された。曲線7Aはフィルムの初期マッピングされた光学厚さプロファイルを示す。厚さプロファイルを制御するために、3台の赤外ロッドヒーターおよび34個のチャネルブロッカー1組を有する加熱組立体が長さオリエンター内で使用された。使用された赤外ロッドヒーターは米国、ミネソタ州、ミネアポリスのリサーチ・インコーポレーテッド(Research, Inc.)により作成された、モデル5305シリーズのパラボリック・ストリップ・ヒーターであった。チャネルブロッカー303〜331がグラフの下部に示される。チャネル幅は12.7mmである。チャネル308に対応する場所において曲線7Aに示す、厚いスポットを指示する、ピークを下げるために、チャネルブロッカー308が35.6mmの開始位置から10.2mmの最終位置まで25.4mm移動した。このチャネルブロッカーを下へ移動させることが、より多くの熱をそのクロスウェブ場所におけるフィルムに到達できるようにさせた。この場所へ伝達されたより多くの熱が、フィルムのその部分をより多く延伸できるようにさせることによりピークを下げた。この結果得られたマッピングされた厚さプロファイルが、チャネルブロッカー308に対応する場所における曲線7Bに示される。曲線7Cは曲線7Aの開始厚さプロファイルから曲線7Bの最終厚さプロファイルまでのパーセント変化を示す。チャネルブロッカー308に対応する場所において、曲線7Cがチャネルブロッカー308を25.4mmだけ移動させると厚さプロファイルを約−3%だけ変化させたことを示している。同様に、チャンネルブロッキング効果はチャネルブロッカー322に対応する場所における曲線7A〜Cに示される。開始厚さプロファイルは、曲線7Aに示すように、この場所における薄いスポットを指示するくぼみを有する。チャネルブロッカー322を61mmの最終位置まで25.4mm上へ移動させることにより、より多くの熱がフィルムのその部分へ到達することが阻止されたので、フィルムが隣接部分を下回って延伸することが可能となった。この結果、曲線7Bに示す通りその場所における厚さプロファイルが増加した。この場所におけるパーセント変化は、曲線7Cに示す通り約3%だけ変化した。
【0051】
実施例2
図8に示す実施例において、赤外反射多層光学フィルムがポリメチルメタクリレート(PMMA)およびポリメチルメタクリレートのコポリマー(co−PEN)の交互に並んだ層を押し出すことにより作成された。フィルムが3.3:1の延伸比で長さ配向された。フィルムは引き続いて3.3:1の延伸比で、テンター内で横断方向に延伸された。フィルムの光学厚さが光学厚さ測定器を使用してテンター後に測定された。曲線8Aは、長さ配向ステーション上にマッピングされたフィルムの元のクロスウェブ光学厚さプロファイルを示す。厚さプロファイルを制御するために、3台の赤外(IR)ロッドヒーターおよび34個のチャネルブロッカー1組を有する加熱組立体が長さオリエンター内で使用された。使用されたこの赤外(IR)ロッドヒーターは、米国、ミネソタ州、ミネアポリスのリサーチ・インコーポレーテッド(Research, Inc.)により作成されたモデル5305シリーズのパラボリック・ストリップ・ヒーター(Parabolic Strip Heaters)であった。チャネルブロッカー303〜331がグラフの下部に示される。チャネル幅は12.7mmであった。
【0052】
曲線8Aに示すフィルムのプロファイルは、図8の下部におけるチャネルブロッカーの各々の最終設定により指示されるように、チャネルブロッカーの幾つかを移動させることにより調節された。表1はチャネルブロッカー303〜331に対する初期および最終設定を示す。この結果得られた光学厚さプロファイルが曲線8Bに示される。曲線8Cは最終と初期厚さプロファイル間のパーセント変化を示す。曲線8Bは曲線8Aに示される初期フィルムプロファイルが赤外ヒーター1組とチャネルブロッカー1組を有するクロスウェブ熱分配システムを使用してより均一にするよう調節できることを実証する。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例3
図9に示す実施例において、多層光学フィルムがポリエチレンテレフタレート(PET)とPMMAのコポリマーの交互層を押し出すことにより作成された。フィルムが3.35:1の延伸比で長さ配向された。フィルムが引き続いてテンター内で3.3:1の延伸比で横方向に配向された。テンターには、テンターの横方向延伸領域において再配置可能な、旋回型加熱素子1組が装備された。各加熱素子は長さ325mm、幅10mmであって、幅80mmの放物面反射鏡を有した。使用された加熱素子は米国、ミズリー州、セントルイスのワトロウ・エレクトリック社(Watlow Electric)から入手できるレイマックス・モデル(Raymax Model)1525であった。加熱素子の中心はこの実施例における旋回点および位置付け場所として使用された。フィルムの光学厚さは、光学キャリパーゲージを使用してテンター後に測定された。曲線9A、9B、および9Cは、クロスウェブ熱分配システムの異なる構成に対してクロスウェブ場所に応じた光学厚さ変化を示し、再配置可能な、旋回型赤外ヒーターの完成フィルムに及ぼす影響を実証する。加熱素子パワーおよび配向の角度が表2および3に挙げられる。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
単一の加熱素子が一定パワーにて同一の配向角度に保持されるとき、クロスウェブ光学厚さプロファイルの変化は3つの曲線9A、9B、および9Cの各々について同一のままである。この効果は、第1の加熱素子962に対応する460mmのクロスウェブ場所における曲線9A、9B、および9C中のくぼみとして観察される。単一の加熱素子が一定パワーに保持されるが、配向角度が変化するとき、拡幅効果が観察される。950mmにおける曲線9A、9B、および9C中のくぼみは、単一ロッドヒーターに起因する拡幅効果を実証する。この実施例では、950mmに位置付けされた第2のヒーター964は、曲線9Aにおける0°から曲線Bにおける12.5°まで、曲線Cにおける25°まで回転された。
【0058】
実施例4
図10〜13に示す実施例において、多層光学フィルムがPETおよびPMMAのコポリマーの交互層を押し出すことにより作成された。フィルムが3.35:1の延伸比で長さ配向された。フィルムが引き続いて3.3:1の延伸比で横方向に配向された。テンターには横方向延伸領域内に4個の再配置可能な、旋回型熱素子1組が装備された。各加熱素子は長さ325mm、幅10mmであって、幅80mmの放物面反射鏡を有した。使用された加熱素子は米国、ミズリー州、セントルイスのワトロウ・エレクトリック(Watlow Electric)から入手可能である、レイマックス・モデル(Raymax Model)1525であった。各加熱素子の中心は旋回点として使用された。この実施例における各加熱素子の中心位置が、「位置、右」としておよび旋回のための移動可能なボルトの位置が「位置、左−傾斜」として表4から7に示される。フィルムの光学厚さが光学キャリパーゲージを使用してテンターの下流で測定された。図10〜13の各々における曲線Aは、初期光学クロスウェブ厚さプロファイルを示す。図10〜13はヒーター設定値を変更する連続弾(successive iterations)を表す。初期には、フィルムのクロスウェブ光学厚さプロファイルが測定された。測定データポイントが図10の曲線Aとしてプロットされる。次に、フィルムの測定されたクロスウェブ光学厚さプロファイルが横方向延伸領域にマッピングされた。マッピングされたプロファイルに応答して、ヒーター1〜4は表4に示すパラメータに従って第1弾において設定された。その結果得られたクロスウェブ光学厚さプロファイルが測定され、かつ図10の曲線Bとして示される。この結果得られた第1弾(図10の曲線B)の光学厚さは、次には第2弾(図11の曲線A)の初期厚さプロファイルとなる。光学厚さプロファイルを測定する工程、測定される光学厚さプロファイルを延伸領域にマッピングする工程、およびマッピングされたプロファイルに応答してクロスウェブ熱分配システムを調節する工程はフィードバックループを形成し、これは所望の最終厚さプロファイルに到達するまで繰り返される。第2弾において、ヒーター1〜4は表5に掲げるパラメータに従って設定される。その結果得られる光学厚さプロファイルは、図11の曲線Bとしてプロットされる。このプロセスは表6および7におけるヒーター設定値に示されるように2弾以上を介して繰り返され、かつ厚さプロファイルが図12および13にプロットされる。4個の再配置可能な、旋回型赤外ヒーター1組が完成フィルムの光学クロスウェブ厚さプロファイルに及ぼす一体となった影響が図13の曲線Bにより図示される。約1300〜1850mmの範囲にある、図13の曲線Bは、問題となっている領域(regime)に位置付けされる4個の再配置可能な加熱素子を使用して平坦な最終厚さプロファイルが得られることを示している。1850mmを超えるクロスウェブ位置における「谷」は、ダイボルト調節のような他の手段により対処できることに注目する。
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
本発明が様々な修正および代替形態に適用できる一方で、それらの詳細は図面および発明を実施するための最良の形態において実施例として示されてきた。しかし本発明を説明する特定の実施形態に限定しようとするものではないことは理解されよう。それどころか、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲内にある修正、等価物、および代替案を扱う意図がある。
【0064】
本発明は、類似の参照符号が類似の要素を示す、添付図面に関連した以下に示す発明を実施するための最良の形態を考慮してより完全に理解されると思われる。添付の図面は、説明的な実施例であることを意図しているものであり、限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】二軸配向フィルムのフィルムラインの概略図。
【図2a】長さオリエンター内の調節可能なプロファイルクロスウェブ熱分配システムの一実施形態の概略図。
【図2b】長さオリエンター内の調節可能なプロファイルクロスウェブ熱分配システムの他の実施形態の概略図。
【図2c】長さオリエンター内の調節可能なプロファイルクロスウェブ熱分配システムの別の実施形態の概略図。
【図3】チャネルブロッカー組立体の一実施形態の概略平面図。
【図4】調節可能なクロスウェブ熱分配システムの別の実施形態の概略図。
【図5】一実施形態の代表的な再配置可能な、旋回型加熱素子の概略図。
【図6】一実施形態の代表的な再配置可能な、旋回型加熱素子の部分透視図。
【図7】実施例1における特定のチャネルブロッカーが光学厚さに及ぼす影響を示す。
【図8】実施例2におけるチャネルブロッカー1組が光学厚さに及ぼす影響を示す。
【図9】実施例3におけるクロスウェブ場所に応じた光学厚さプロファイルの変化を示す。
【図10】実施例4の表4における加熱素子設定値の構成に対応するクロスウェブ場所に対する相対光学厚さを示す。
【図11】実施例4の表5における加熱素子設定値の構成に対応するクロスウェブ場所に対する相対光学厚さを示す。
【図12】実施例4の表6における加熱素子設定値の構成に対応するクロスウェブ場所に対する相対光学厚さを示す。
【図13】実施例4の表7における加熱素子設定値の構成に対応するクロスウェブ場所に対する相対光学厚さを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分配領域を有する、高分子フィルムを変形させるためのオリエンター、
選択的再配置可能加熱素子を備えた、前記オリエンター内の前記フィルムへ選択可能な熱分配を提供するためのクロスウェブ熱分配システム、
前記クロスウェブ熱分配システムから下流に配置された、前記フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを測定するキャリパーゲージ、および
測定された前記クロスウェブ厚さプロファイルに応答して前記熱分配を選定するためのフィードバック機構を含む、フィルム取扱装置。
【請求項2】
前記オリエンターが長さオリエンターである、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項3】
前記オリエンターがテンターである、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項4】
前記熱分配領域が変形領域である、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項5】
前記熱分配領域が延伸領域である、請求項4に記載のフィルム取扱装置。
【請求項6】
前記熱分配領域が予熱領域である、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項7】
テンターをさらに含む、請求項2に記載のフィルム取扱装置。
【請求項8】
前記フィードバック機構がマッピングアルゴリズムを含む、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項9】
前記加熱素子が複数個の加熱素子の1つである、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項10】
前記加熱素子が細長い、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項11】
前記加熱素子が旋回可能である、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項12】
クロスウェブ熱分配システムを有するオリエンター内でフィルムを変形させる工程、
前記クロスウェブ熱分配システムから下流の位置において前記フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを測定する工程、および
前記クロスウェブ熱分配システムにおける加熱素子を選択的に再配置することにより、前記測定されたクロスウェブ厚さプロファイルに応答して前記クロスウェブ熱分配システムを調節する工程を含む、
高分子フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを制御する方法。
【請求項13】
前記加熱素子が、複数個の加熱素子のうちの1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記オリエンターが、長さオリエンターである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記オリエンターが、テンターである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記調節工程が、前記フィルムの前記測定されたクロスウェブ厚さプロファイルを前記クロスウェブ熱分配システムの位置へマッピングすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記調節工程が、前記フィルム上の厚いスポットに対応するクロスウェブ位置に前記加熱素子を選択的に配置することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記調節工程が、前記加熱素子へ伝達される力を調節することを含む、請求項12または17に記載の方法。
【請求項19】
前記加熱素子が細長い、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記調節工程が、フィルムのレーンの走行方向に対して前記細長い加熱素子を選択的に回転させることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記加熱素子が、フィルムのレーンの走行方向と略一直線に並んでいる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記加熱素子が、棒状ヒーターを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記加熱素子が、複数個の点熱源を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記フィルムを巻き取る工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
前記高分子フィルムが多層フィルム含む、請求項12に記載の方法。
【請求項26】
前記テンター内で前記フィルムを延伸する工程の後に、長さオリエンター内で前記フィルムを延伸する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つのダイボルトを調節する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項28】
前記測定工程における前記クロスウェブ厚さプロファイルが、物理的厚さプロファイルを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項29】
前記測定工程における前記クロスウェブ厚さプロファイルが光学厚さプロファイルを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項1】
熱分配領域を有する、高分子フィルムを変形させるためのオリエンター、
選択的再配置可能加熱素子を備えた、前記オリエンター内の前記フィルムへ選択可能な熱分配を提供するためのクロスウェブ熱分配システム、
前記クロスウェブ熱分配システムから下流に配置された、前記フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを測定するキャリパーゲージ、および
測定された前記クロスウェブ厚さプロファイルに応答して前記熱分配を選定するためのフィードバック機構を含む、フィルム取扱装置。
【請求項2】
前記オリエンターが長さオリエンターである、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項3】
前記オリエンターがテンターである、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項4】
前記熱分配領域が変形領域である、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項5】
前記熱分配領域が延伸領域である、請求項4に記載のフィルム取扱装置。
【請求項6】
前記熱分配領域が予熱領域である、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項7】
テンターをさらに含む、請求項2に記載のフィルム取扱装置。
【請求項8】
前記フィードバック機構がマッピングアルゴリズムを含む、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項9】
前記加熱素子が複数個の加熱素子の1つである、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項10】
前記加熱素子が細長い、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項11】
前記加熱素子が旋回可能である、請求項1に記載のフィルム取扱装置。
【請求項12】
クロスウェブ熱分配システムを有するオリエンター内でフィルムを変形させる工程、
前記クロスウェブ熱分配システムから下流の位置において前記フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを測定する工程、および
前記クロスウェブ熱分配システムにおける加熱素子を選択的に再配置することにより、前記測定されたクロスウェブ厚さプロファイルに応答して前記クロスウェブ熱分配システムを調節する工程を含む、
高分子フィルムのクロスウェブ厚さプロファイルを制御する方法。
【請求項13】
前記加熱素子が、複数個の加熱素子のうちの1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記オリエンターが、長さオリエンターである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記オリエンターが、テンターである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記調節工程が、前記フィルムの前記測定されたクロスウェブ厚さプロファイルを前記クロスウェブ熱分配システムの位置へマッピングすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記調節工程が、前記フィルム上の厚いスポットに対応するクロスウェブ位置に前記加熱素子を選択的に配置することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記調節工程が、前記加熱素子へ伝達される力を調節することを含む、請求項12または17に記載の方法。
【請求項19】
前記加熱素子が細長い、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記調節工程が、フィルムのレーンの走行方向に対して前記細長い加熱素子を選択的に回転させることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記加熱素子が、フィルムのレーンの走行方向と略一直線に並んでいる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記加熱素子が、棒状ヒーターを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記加熱素子が、複数個の点熱源を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記フィルムを巻き取る工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
前記高分子フィルムが多層フィルム含む、請求項12に記載の方法。
【請求項26】
前記テンター内で前記フィルムを延伸する工程の後に、長さオリエンター内で前記フィルムを延伸する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つのダイボルトを調節する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項28】
前記測定工程における前記クロスウェブ厚さプロファイルが、物理的厚さプロファイルを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項29】
前記測定工程における前記クロスウェブ厚さプロファイルが光学厚さプロファイルを含む、請求項12に記載の方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−542080(P2008−542080A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514606(P2008−514606)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/019134
【国際公開番号】WO2006/130143
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/019134
【国際公開番号】WO2006/130143
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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