冗長化増幅器及びその切替方法
【課題】どの現用増幅器も予備増幅器で代替可能であり、現用系から予備系への切替の前後どちらでも、増幅器の出力間の振幅及び位相が同じで、入力信号の振幅に依存しない冗長化増幅器を提供する。
【解決手段】入力P1〜Pmと出力Q1〜Qn(m、nは自然数、m<n)のうちのm個とを一対一に接続する第1のスイッチと、入力R1〜Rnのうちのm個と、m個の出力S1〜Smとを一対一に接続する第2のスイッチと、出力Q1〜Qnと入力R1〜Rnの間に一対一に接続された増幅器A1〜Anとを備える冗長化増幅器。第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態により、入力P1と出力S1、入力P2と出力S2、…、入力Pmと出力Smとを接続し、それぞれ増幅器A1〜Anのいずれかひとつを介して接続する信号経路L1〜Lmの経路長を、少なくとも2種類の接続状態で全て等しくする。
【解決手段】入力P1〜Pmと出力Q1〜Qn(m、nは自然数、m<n)のうちのm個とを一対一に接続する第1のスイッチと、入力R1〜Rnのうちのm個と、m個の出力S1〜Smとを一対一に接続する第2のスイッチと、出力Q1〜Qnと入力R1〜Rnの間に一対一に接続された増幅器A1〜Anとを備える冗長化増幅器。第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態により、入力P1と出力S1、入力P2と出力S2、…、入力Pmと出力Smとを接続し、それぞれ増幅器A1〜Anのいずれかひとつを介して接続する信号経路L1〜Lmの経路長を、少なくとも2種類の接続状態で全て等しくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は増幅器の冗長構成に関し、MPA(Multi Port Amplifier)における増幅器の冗長構成に関する。
【背景技術】
【0002】
MPAは複数の増幅器で増幅された高周波信号を合成することで、数百〜数千W級の出力を可能とする増幅器であり、電気通信システムやレーダーシステム等の電波を送信するシステムで使用されている。2011年現在軌道上で運用中である人工衛星「きずな(WINDS)」にもMPAが搭載されている。人工衛星にMPAを搭載することにより、駆動部を持たずにアンテナビームを振ることが可能になっているが、こうした人工衛星や宇宙機では、MPAに特に高い信頼性が要求されるともに、リソース上の問題からその冗長台数が制限される。
【0003】
MPAに高い信頼性が要求されるときには、MPAを構成する増幅器部分の信頼性を確保することが重要となる。信頼性を向上する手法のひとつに冗長化がある。MPAのように複数の同種の機器からなるシステムにおいて、機器を冗長構成することにより、現用機器のいずれかで障害が発生しても、予備機器に切り替えることにより、システムの機能を維持可能にすることが考えられる。単純な冗長構成としては、現用機器すべてに予備機器を用意するものが考えられるが、このような構成によれば必要な機器数が現用機器の2倍となり、リソースの問題を考慮すると好ましくない。
【0004】
そこで現用機器よりも少ない予備機器を用意し、障害が発生した現用機器への接続を予備機器に切り替える構成が考えられる。この場合、障害が発生する現用機器を障害発生以前に特定することはできないので、どの現用機器にて障害が発生しても予備機器で代替可能であることも求められる。
【0005】
一方で、RF信号を分配器等にて複数に分配し、分配した各RF信号をMPAにて増幅した後、合成器にて合成する場合を考える。このとき、合成器に入力される複数のRF信号の振幅及び位相が、互いに同じであることが求められる。増幅器を冗長構成した場合、現用増幅器の出力を互いに比較したときの振幅及び位相が同じであることだけではなく、現用増幅器の一部を予備増幅器に切り替えた後であっても、出力の振幅及び位相が同じであることが求められる。
【0006】
特許文献1には、接続経路の電気長を適切に定めることにより、現用系増幅器を経由する接続経路を通過したときの位相と、予備系増幅器を経由する接続経路を通過したときの位相とを一致させる技術が記載されている。この技術では、電気長に基づいて経路長を定めるため、効果が得られるのは特定の波長の信号が入力される場合のみであり、この特定波長以外の信号が入力される場合には効果を得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−332209
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、どの現用増幅器も予備増幅器で代替可能であり、現用系から予備系への切替の前後どちらでも、増幅器の出力間の振幅及び位相が同じであり、入力信号の振幅に依存しない冗長化増幅器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明は、その一態様として、入力P1、P2、…、Pm、出力Q1、Q2、…、Qn(m、nは自然数、m<n)を備え、m個の入力P1、P2、…、Pmと、n個の出力Q1、Q2、…、Qnのうちのm個とを一対一に接続する切替を行なう第1のスイッチと、入力R1、R2、…、Rn、出力S1、S2、…、Smを備え、n個の入力R1、R2、…、Rnのうちのm個と、m個の出力S1、S2、…、Smとを一対一に接続する切替を行なう第2のスイッチと、第1のスイッチの出力Q1、Q2、…、Qnと、第2のスイッチの入力R1、R2、…、Rnとの間に一対一に接続されたn個の同じ増幅器A1、A2、…、Anとを備え、第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態により、入力P1と出力S1、入力P2と出力S2、…、入力Pmと出力Smとを接続する信号経路L1、L2、…、Lmであって、それぞれ、増幅器A1、A2、…、Anのいずれかひとつを介して接続する信号経路L1、L2、…、Lmを形成し、前記接続状態の少なくとも2種類において、信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しいことを特徴とする冗長化増幅器を提供する。
【0010】
また、本発明は、他の一態様として、第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号が、それぞれ、n個の増幅器のうち予め定められたm個の現用系増幅器のいずれかを介する信号経路であって、互いに同じ第1の経路長を有するm本の信号経路からなる第1の信号経路群を通過して、第2のスイッチのm本の出力それぞれから出力される段階(m、nは自然数、m<n)と、前記m個の現用系増幅器のうち少なくともひとつにて障害が発生する段階と、前記第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態を変更することにより、現用系増幅器のうち障害が発生していないものと、前記n個の増幅器のうち予め定められたn−m個の冗長系増幅器とのいずれかを介する信号経路であって、互いに同じ第2の経路長を有するm本の信号経路からなる第2の信号経路群を形成する段階と、第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号が、前記第2の信号経路群を通過して、第2のスイッチのm本の出力それぞれから出力される段階とを含むことを特徴とする冗長化増幅器の切替方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、冗長切替前にアクティブな増幅器(現用系増幅器)を通過する出力の信号経路は互いに等しい信号経路長を有する。また、現用系増幅器のいずれかで障害が発生し、その増幅器の代わりに予備系増幅器を用いるようにした後でアクティブな増幅器(障害未発生の現用系増幅器と予備系増幅器)を通過する出力の信号経路もまた、互いに等しい信号経路長を有する。このため、冗長切替の前後どちらであっても、アクティブな増幅器を通過する信号経路長は互いに等しく、このため、冗長切替の前後どちらであっても、増幅器の出力間の振幅及び位相が同じになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】非冗長構成の増幅器からなる信号増幅器100のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態である信号増幅器1のブロック図である。
【図3】信号増幅器1の入力スイッチ3及び出力スイッチ5を構成するCスイッチの動作について説明するためのモード図である。
【図4】入力スイッチ3及び出力スイッチ5でのCスイッチの接続を説明するための図である。
【図5】信号増幅器1における、個々のCスイッチ、個々の増幅器の接続関係を含む全体の接続関係を説明するためのブロック図である。
【図6】冗長化増幅器2において現用増幅器4a、4b、4d、4eを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を説明するための図である。
【図7】冗長化増幅器2において現用増幅器4aにて障害が発生し、現用増幅器4b、4d、4eと予備増幅器4cを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を説明するための図である。
【図8】冗長化増幅器2において現用増幅器4bにて障害が発生し、現用増幅器4a、4d、4eと予備増幅器4cを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を説明するための図である。
【図9】冗長化増幅器2において現用増幅器4dにて障害が発生し、現用増幅器4a、4b、4eと予備増幅器4cを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を説明するための図である。
【図10】冗長化増幅器2において現用増幅器4eにて障害が発生し、現用増幅器4a、4d、4dと予備増幅器4cを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を説明するための図である。
【図11】冗長化増幅器10の構成を説明するとともに、現用増幅器12b、12c、12d、12eを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ11、出力スイッチ13の接続状態を説明するためのブロック図である。
【図12】入力スイッチ11及び出力スイッチ13を構成する導波管スイッチ(Rスイッチ)11a〜11d、13a〜13dの接続状態であるモード1、モード2、モード3、モード4を説明するための図である。
【図13】冗長化増幅器10において現用増幅器12b、12cにて障害が発生し、現用増幅器12d、12e及び予備増幅器12a、12fを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ11、出力スイッチ13の接続状態を説明するための図である。
【図14】冗長化増幅器10において現用増幅器12c、12dにて障害が発生し、現用増幅器12b、12e及び予備増幅器12a、12fを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ11、出力スイッチ13の接続状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
最初に、比較のため、従来の信号増幅装置100について図1を参照して説明する。信号増幅装置100は、入力された信号を4つに分配する分配器101、増幅器102、入力された4つの信号を1つに合成する合成器103からなる。増幅器102は非冗長構成であり、4つの信号を増幅するための4台の増幅器102a、102b、102c、102dを備えるMPAである。分配器101の4つの出力と4台の増幅器102a〜102dの各入力とは一対一に直接接続されている。4台の増幅器の各出力と合成器103の4つの入力との間も同様である。
【0014】
これに対し、本発明の実施形態1である信号増幅器1は、図2に示すように増幅器102の代わりに冗長化増幅器2を備える。冗長化増幅器2は、入力スイッチ3、5台の増幅器4a、4b、4c、4d、4e、出力スイッチ5を備える。5台の増幅器4a、4b、4c、4d、4eの入力から出力に至る信号経路は5台とも等しいものとする。増幅器102と同様に、冗長化増幅器2は、4つの信号を増幅するMPAであるが、4台の現用増幅器に1台の予備増幅器を加えた5台の増幅器からなる冗長構成となっている。増幅器が1台故障した場合であっても機能・性能を損なわない為に冗長の増幅器を1台搭載し、合計5台の増幅器から任意の4台を選択して使用する。5台中4台を選択する冗長構成であるため、4/5冗長と呼ぶ。
【0015】
後述するように、現用増幅器のいずれかが故障すると、入力スイッチ3及び出力スイッチ5での接続状態を変更することにより、故障した現用増幅器を信号経路から除外し、予備増幅器を信号経路に追加するが、このとき、単に故障した現用増幅器を予備増幅器に置換するように接続状態を変更するのではなく、故障していない現用増幅器を介する信号経路についても同時に変更する。
【0016】
入力スイッチ3は7つの導波管スイッチからなり、それぞれCスイッチと呼ばれるDPDT(Double Pole Double Throw、双極双投)スイッチである。同様に、出力スイッチ5も7つの導波管スイッチからなり、それぞれCスイッチと呼ばれるDPDTスイッチである。即ち、4/5冗長を実現するスイッチは、入力側に7個、出力側に7個の合計14個の導波管スイッチで構成される。
【0017】
図3を参照してCスイッチの動作モードについて説明する。Cスイッチは4つのポートport1、port2、port3、port4と、2つのポートを接続するための2本の導波管とを備え、導波管が接続するポートの組み合わせが異なる2つのモード、モード1及びモード2を有する。2本の導波管は等しい長さを有する。入力スイッチ3及び出力スイッチ5を構成するCスイッチは全て同じ仕様のものなので、14個の導波管スイッチが備える合計28本の導波管は全て同じ長さを有する。モード1ではport1とport2とを一方の導波管にて接続するとともに、port3とport4とを他方の導波管にて接続する。モード2ではport1とport4とが接続されるとともに、port2とport3とが接続される。
【0018】
図4に示すように、入力スイッチ3は、互いに隣接する7台のCスイッチ3a〜3gのport1とport3とを互いに接続して直線状に繋げた構造を有する。ここでCスイッチ3aと3b、3bと3c、3cと3d、3dと3e、3eと3f、3fと3gの間の信号経路は等しい長さを有するものとする。図中で上端部にあるCスイッチ3aのport3、及び、下端部にあるCスイッチ3gのport1は、それぞれ、増幅器4a、4eの入力に接続される。Cスイッチ3b、3d、3fのport4は、それぞれ、増幅器4b、4c、4dの入力に接続される。ここでCスイッチ3b、3d、3fと増幅器4b、4c、4dとの間の3本の信号経路は互いに等しい経路長を有する。Cスイッチ3a、3c、3e、3gのport2はそれぞれ分配器101の一出力に接続される。ここでCスイッチ3a、3c、3e、3gと分配器101の出力との間の信号経路は互いに等しい経路長を有する。Cスイッチ3a、3c、3e、3gのport4、Cスイッチ3b、3d、3fのport2はそれぞれ接地している。入力スイッチ3は、分配器101の出力のいずれかに接続され、増幅器には接続されない2つのCスイッチ3c、3eと、分配器101の出力には接続されず、増幅器のいずれかの入力に接続される3つのCスイッチ3b、3d、3fと、分配器101及び増幅器の両方に接続される2つのCスイッチ3a、3gとを含む。
【0019】
同様に、図4に示すように、出力スイッチ5は、互いに隣接する7台のCスイッチ5a〜5gのport1とport3とを互いに接続して直線状に繋げた構造を有する。ここでCスイッチ5aと5b、5bと5c、5cと5d、5dと5e、5eと5f、5fと5gの間の信号経路は等しい長さを有するものとする。図中、上端部にあるCスイッチ5aのport3、及び、下端部にあるCスイッチ5gのport1は、それぞれ、増幅器4a、4eの出力に接続されている。Cスイッチ5b、5d、5fのport4は、それぞれ、増幅器4b、4c、4dの出力に接続されている。ここでCスイッチ5b、5d、5fと増幅器4b、4c、4dとの間の3本の信号経路は互いに等しい経路長を有する。Cスイッチ5a、5c、5e、5gのport4はそれぞれ合成器103の入力に接続されている。ここでCスイッチ5a、5c、5e、5gと合成器103の入力との間の信号経路は互いに等しい経路長を有する。Cスイッチ5a、5c、5e、5gのport2、Cスイッチ5b、5d、5fのport4は接地している。出力スイッチ5は、合成器103の入力のいずれかに接続され、増幅器には接続されない2つのCスイッチ5c、5eと、合成器103の入力には接続されず、増幅器のいずれかの入力に接続される3つのCスイッチ5b、5d、5fと、合成器103及び増幅器の両方に接続される2つのCスイッチ5a、5gとを含む。尚、図4において、入力スイッチ3及び出力スイッチ5のどのCスイッチも、図3と同様に、図中時計の6時、9時、12時、3時の方向に、それぞれport1、port2、port3、port4が配置されているものとする。
【0020】
分配器101の出力から、増幅器4b、4c、4dのいずれかを経て、合成器103の入力に至る信号経路を考える。どの増幅器であっても、これら信号経路として、入力スイッチ3と出力スイッチ5の接続状態を適切に定めることにより、入力スイッチ3の2つのCスイッチと、出力スイッチ5の2つのCスイッチを経由するような信号経路を定められることが理解できるであろう。
【0021】
これらの信号経路は、(1)分配器101の出力から入力スイッチ3のCスイッチ3w(wはa、c、e、gのいずれか)のport2に至る経路、(2)そのCスイッチ3wのport2とport1/port3とを繋ぐ導波管、(3)そのCスイッチ3wから隣接するCスイッチ3x(xは3b、3d、3fのいずれか)に至るまでの経路、(4)そのCスイッチ3xのport1/port3とport4とを繋ぐ導波管、(5)そのCスイッチ3xから増幅器の入力までの経路、(6)増幅器内部の経路、(7)増幅器から出力スイッチ5のCスイッチ5y(yはb、d、eのいずれか)のport2に至る経路、(8)そのCスイッチ5yのport2とport1/port3とを繋ぐ導波管、(9)そのCスイッチ5yから隣接するCスイッチ5z(zはa、c、e、gのいずれか)に至るまでの経路、(10)そのCスイッチ5zのport1/port3とport4とを繋ぐ導波管、(11)そのCスイッチ5zから合成器103の入力に至る経路、の(1)〜(11)までの経路からなる。(1)〜(11)の各経路は、いずれも、通過する入力スイッチ3の2つのCスイッチ、増幅器、出力スイッチ5の2つのCスイッチの組み合わせがどれであっても一定である。
【0022】
一方、分配器101の出力から、増幅器4a、4eのどちらかを経て、合成器103の入力に至る信号経路を考える。Cスイッチ3a、増幅器4a、Cスイッチ5aを経由する経路、または、Cスイッチ3g、増幅器4e、Cスイッチ5gを経由する経路のどちらかになる。増幅器4b、4c、4dのいずれかを経由する上述の経路と比較すると、入力スイッチ3及び出力スイッチ5それぞれの内部でひとつしかCスイッチを経由しない。このため、経路全体では経由するCスイッチの数が2つ少なくなり、導波管2本相当の長さ経路が短くなる。更に、Cスイッチ同士を繋ぐ経路がないのでその分経路が短くなる。この短くなる分の長さを、Cスイッチ3aのport4から増幅器4aに至る経路、増幅器4aからCスイッチ5aのport2に至る経路にて補うことにより、増幅器4aを介する経路の経路長を、増幅器4b、4c、4dのいずれかを経由する上述の経路と一致させることができる。増幅器4eを介する経路の経路長についても同様である。
【0023】
信号増幅器1における、個々のCスイッチ、個々の増幅器の接続関係を含む全体の接続関係を図5に示す。信号増幅器1は、Cスイッチ、即ち、冗長構成した増幅器の前段及び後段に、導波管スイッチ群を挿入することにより、増幅器を4/5冗長構成している。
【0024】
冗長化増幅器2は4ポートMPAである。冗長化増幅器2の入力側からは、分配器101に入力された信号が4つに分配された4つの信号が、入力スイッチ3を介し、5台の増幅器4a〜4eのうちの4台の増幅器に入力される。他方、冗長化増幅器2の出力側では、5台の増幅器4a〜4eのうち、信号が入力された4台の増幅器の出力が、出力スイッチ5を介して、4つの信号として合成器103に出力され、合成器103はこれら4つの信号を合成してひとつの信号として出力する。
【0025】
上述したように、信号増幅器1では、入力スイッチ3及び出力スイッチ5での接続状態を適切に定めることにより、分配器101から増幅器のいずれかを介して合成器103に至る信号経路を、どの増幅器を経由するものも同じ経路長になるように接続することができる。言い換えると信号の振幅・位相を変化させること無く冗長の増幅器が選択可能である。
【0026】
なお、入力スイッチ3の前段(入力側)及び出力スイッチ5の後段(出力側)については、従来の4ポートMPAと全く同じである。
【0027】
次に、図6〜10を参照して、信号増幅器1の入力スイッチ3、出力スイッチ5における接続状態の切替について説明する。増幅器4cを予備増幅器とし、他の増幅器4a、4b、4d、4eを現用増幅器とする。
【0028】
まず、現用増幅器が全て正常に作動し、予備増幅器が待機しているものとする。このときの接続状態を図6に示す。このとき、分配器101の出力と合成器103の入力との間には、次の4本の信号経路R1〜R4が確立される。
【0029】
入力スイッチ3において、Cスイッチ3a〜3cはモード2、Cスイッチ3d〜3gはモード1である。出力スイッチ5において、Cスイッチ5a〜5cはモード1、Cスイッチ5d〜5gはモード2である。その結果、経路R1として、Cスイッチ3a、増幅器4a、Cスイッチ5aを介する経路が確立される。経路R2として、Cスイッチ3c、Cスイッチ3b、増幅器4b、Cスイッチ5b、Cスイッチ5cを介する経路が確立される。経路R3として、Cスイッチ3e、Cスイッチ3f、増幅器4d、Cスイッチ5f、Cスイッチ5eを介する経路が確立される。経路R4として、Cスイッチ3g、増幅器4e、Cスイッチ5gを介する経路が確立される。
【0030】
経路R1、R4は入力スイッチ3及び出力スイッチ5のそれぞれでCスイッチをひとつと増幅器ひとつとを経由する経路であり、経路R2、R3は入力スイッチ3及び出力スイッチ5のそれぞれでCスイッチをふたつと増幅器ひとつとを経由する経路である。既に説明したように経路R1〜R4は同じ経路長を有する。
【0031】
増幅器4cは予備増幅器のため、ここでは増幅器4cを介した分配器101−合成器103間の経路は確立されない。待機冗長である増幅器4cの入出力は入力スイッチ3、出力スイッチ5を介して終端される。増幅器4cの入力は、Cスイッチ3d、Cスイッチ3cを介して接地している。同様に、増幅器4dの出力は、Cスイッチ5d、Cスイッチ5cを介して接地している。
【0032】
次に、現用増幅器のいずれかがなんらかの理由で使用不可になったとする。このとき、待機冗長である増幅器4cを起動し、入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を変更することにより、分配器101と合成器103とを繋ぐ4台の増幅器の構成を変更する。
【0033】
ある経路の増幅器に障害が発生したら、その経路が、その増幅器から見て予備増幅器4cの側に隣接して配置されている増幅器を経由するように入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を変更する。変更先の増幅器が予備増幅器4cではなく現用増幅器であり、別の経路が現に経由している場合は、前述の経路と同様に、その経路が現に経由する増幅器から見て、予備増幅器4c側に隣接して配置されている増幅器を経由するように入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を変更する。以下これを予備増幅器4cを経由する経路が確立するまで順次繰り返すと、最終的には、障害が発生した現用増幅器以外の3台の現用増幅器と予備増幅器の合計4台をそれぞれ経由する4つの経路が確立される。
【0034】
尚、信号増幅器1では、現用増幅器での障害発生に応じて、待機冗長の増幅器を起動し、入力スイッチと出力スイッチとを連動して切り替えて信号の経路を変更する。これを自動的に行なうため、信号増幅器1は、増幅器4a〜4eの動作状態を監視、制御するとともに、入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を制御するための不図示の処理装置を更に備えることが好ましい。この処理装置は、いずれかの現用増幅器にて障害発生を検出すると、その増幅器を停止し、予備増幅器を起動する。また、障害が発生した増幅器に応じてCスイッチ3a〜3g、5a〜5gを切り替えることにより、分配器101と合成器103との間の接続状態を変更する。
【0035】
信号増幅器1が図6の接続状態にあり、増幅器4aにて障害が発生したときの動作について説明する。このとき、予備増幅器である増幅器4cを起動するとともに、Cスイッチ3a、3bをモード2からモード1に切り替え、Cスイッチ5a、5bをモード1からモード2に切り替えることにより、経路R1が経由する増幅器を増幅器4aから増幅器4bに変更する。また、Cスイッチ3cをモード2からモード1へ切り替えて、Cスイッチ5cをモード1からモード2に切り替えることにより、経路R2が経由していた増幅器を増幅器4bから増幅器4cに変更する。変更後の接続状態を図7に示す。
【0036】
この切り替えにより、経路R1が、入力スイッチ3及び出力スイッチ5のそれぞれでCスイッチをひとつと増幅器ひとつとを経由する経路から、入力スイッチ3及び出力スイッチ5のそれぞれでCスイッチをふたつと増幅器ひとつとを経由する経路に変更されるが、経路R1〜R4の経路長が全て等しい点では変わらない。
【0037】
信号増幅器1が図6の接続状態にあり、増幅器4bにて障害が発生したときの動作について説明する。このとき、予備増幅器である増幅器4cを起動するとともに、Cスイッチ3cをモード2からモード1に切り替え、Cスイッチ5cをモード1からモード2に切り替えることにより、経路R2が経由していた増幅器を増幅器4bから増幅器4cに変更する。変更後の接続状態を図8に示す。
【0038】
この切り替えにより、経路R2は、Cスイッチ3b、増幅器4b、Cスイッチ5bの代わりに、Cスイッチ3d、増幅器4c、Cスイッチ5dを経由することになるが、入力スイッチ3及び出力スイッチ5のそれぞれでCスイッチをふたつと増幅器ひとつとを経由する経路である点では変らず、経路R1〜R4の経路長が全て等しい点でも変わらない。
【0039】
信号増幅器1が図6の接続状態にあり、増幅器4dにて障害が発生したときの動作について説明する。予備増幅器である増幅器4cを起動するとともに、Cスイッチ3d、3eをモード1からモード2へ切り替え、Cスイッチ5d、5eをモード2からモード1へ切り替えることにより、経路R3が経由する増幅器を増幅器4dから増幅器4cに変更する。変更後の接続状態を図9に示す。
【0040】
信号増幅器1が図6の接続状態にあり、増幅器4eにて障害が発生したときの動作について説明する。予備増幅器である増幅器4cを起動するとともに、Cスイッチ3d〜3gをモード1からモード2へ切り替え、Cスイッチ5d〜5gをモード2からモード1へ切り替えることにより、経路R3が経由する増幅器を増幅器4dから増幅器4cに変更し、経路R4が経由する増幅器を増幅器4eから増幅器4dに変更する。変更後の接続状態を図10に示す。
【0041】
以上のようにして、4台の現用増幅器のうちの任意の1台で障害が発生しても、入力スイッチ3及び出力スイッチ5の接続状態を変更することにより、障害が発生した現用増幅器を除く3台の現用増幅器と、予備増幅器の合計4台を用いて、4つの入力信号を増幅する機能を維持することができる。接続状態の変更により、各経路が経由するCスイッチ、増幅器は変わるものの、経路長については変化せず、4つの経路は全て同じ経路長を有するので、各経路から出力される信号の振幅・位相を揃えることができる。
【0042】
上述の切替動作の説明では、増幅器4cを予備増幅器として説明したが、他の増幅器を予備増幅器としてもよい。どの増幅器を予備増幅器としても、入力スイッチ3及び出力スイッチ5の接続状態を適切に変更することにより、接続状態の変更の前後で経路長が不変であるような経路を構成可能であることは容易に理解できるであろう。
【0043】
MPAに搭載する増幅器は原則として2の乗数であり、2台、4台、8台、16台…といった台数の増幅器を搭載する。冗長化増幅器2は、増幅器4台を搭載するMPAに待機冗長として1台の予備増幅器を追加した構成であるが、冗長化増幅器2と同様に、予備増幅器1台を追加して、冗長切替をしても経路長が変化しない冗長化増幅器を構成することは、増幅器2台、4台、8台、16台…といった台数の増幅器を搭載するMPAであっても可能である。このような冗長構成をしたMPAに必要なCスイッチの台数は次のようにして求める。
【0044】
予備増幅器1台を含むn台の増幅器(nは自然数)を備え、冗長化増幅器2と同様の構成・効果を有する冗長化増幅器は、3種類のCスイッチを備える。まず入力スイッチについて考えると、並列に並べた増幅器の両端に位置する増幅器と分配器との両方に直結される第1のCスイッチ(Cスイッチ3a、3g)が2台、両端の増幅器以外の増幅器に直結される第2のCスイッチ(Cスイッチ3b、3d、3f)がn−2台、2台の第2のスイッチの間に配置され、分配器に直結される第3のCスイッチ(Cスイッチ3c、3e)は、第2のスイッチよりも1台少ないのでn−3台である。出力スイッチでも同様である。n台の増幅器を備える本実施の形態の信号増幅器にて必要なCスイッチの数は、(2+n−2+n−3)×2=4n−6台となる。
【0045】
このようにn台の増幅器を備える場合であっても、ある経路の増幅器に障害が発生したら、その経路が、その増幅器から見て予備増幅器の側に隣接して配置されている増幅器を経由するように入力スイッチ、出力スイッチの接続状態を変更する。変更先の増幅器が予備増幅器ではなく、別の経路が経由している場合は、その経路も同様にして経由する増幅器を予備増幅器側のものにずらすように入力スイッチ、出力スイッチの接続状態を変更していく。以下これを経路が予備増幅器を経由するようになるまで順次繰り返す。これにより、n台の増幅器を備える冗長化増幅器でも上述の冗長化増幅器2と同様の効果を得ることができる。
【0046】
本発明の実施形態2として冗長化増幅器10について図11を参照して説明する。冗長化増幅器10は、上述した冗長化増幅器2と同様に4つの信号を増幅するMPAとして機能するが、冗長化増幅器2が予備増幅器を1台備え、現用増幅器1台の障害に対応するものであるのに対して、冗長化増幅器10は予備増幅器を2台備え、最大で2台の現用増幅器の障害に対応するものである。図2、図5において、冗長化増幅器10は、冗長化増幅器2に置換して分配器101、合成器103に接続可能である。
【0047】
冗長化増幅器10は、入力スイッチ11、6台の増幅器12a〜12f、出力スイッチ13からなる。増幅器12a〜12fの入力から出力に至る内部の経路長は全て等しいものとする。
【0048】
入力スイッチ11は4台の導波管スイッチからなるスイッチマトリクスである。冗長化増幅器2の導波管スイッチはCスイッチだが、入力スイッチ11の導波管スイッチ12a〜12fはそれぞれ4モードを有するRスイッチである。
【0049】
図12を参照して導波管スイッチ12a〜12fについて更に説明する。導波管スイッチ12a〜12f(Rスイッチ12a〜12fとも記す)は、それぞれ、4つのポートport1、port2、port3及びport4と、隣接乃至対向する2つのポートを繋ぐ3本の導波管を備える。port1〜4は順に時計方向で6時、9時、12時、3時の方向に配置されている。モード1ではport1とport3の間のみが接続される。モード2ではport1とport2の間、及び、port3とport4の間がそれぞれ接続される。モード3ではport1とport4の間、及び、port2とport3の間がそれぞれ接続される。モード4ではport2とport4の間のみが接続される。
【0050】
Rスイッチ11a〜11d、13a〜13dそれぞれの3本の導波管の長さは全て等しい。この経路長をL1とする。上述のように、増幅器12a〜12fの内部の経路長は全て等しい。この経路長をL2とする。分配器101の出力からRスイッチ11a〜11dそれぞれのport2までの経路長は全て等しい。この経路長をL3とする。入力スイッチ11において、互いに隣接するRスイッチの間を繋ぐ経路、即ち、Rスイッチ11a−11b間、11b−11c間、11c−11d間の経路長は全て等しい。この経路長をL4とする。Rスイッチ11a〜11dのport4と増幅器12b〜12eの各入力との間の経路長は全て等しい。この経路長をL5とする。Rスイッチ11aのport3と増幅器12aの入力の間の経路、及び、Rスイッチ11dのport1と増幅器12fの入力の間の経路の経路長は、L1+L4+L5である。増幅器12b〜12eの各出力とRスイッチ13a〜13dのport2の間の経路長は全て等しい。この経路長をL6とする。出力スイッチ13において、互いに隣接するRスイッチの間を繋ぐ経路、即ち、Rスイッチ13a−13b間、13b−13c間、13c−13d間の経路長は全て等しい。この経路長をL7とする。増幅器12aの出力からRスイッチ13aのport3の間の経路、及び、増幅器12fの出力からRスイッチ13dのport1の間の経路長はL1+L6+L7である。Rスイッチ13a〜13dそれぞれのport4から合成器103の入力までの経路長は全て等しい。この経路長をL8とする。
【0051】
冗長化増幅器10の動作について説明する。現用増幅器は増幅器12b〜12eの4台であり、予備増幅器は増幅器12a、12fの2台である。現用増幅器が全て正常に動作しているとき、図11のようにRスイッチ11a〜11d、13a〜13dは全てモード1にある。本実施形態において、途中で経由する増幅器に関わらず、分配器101の出力から合成器103の入力に至るまでの経路を、冗長化増幅器10に入出力するRスイッチのポートに応じて次のように呼ぶものとする。即ち、Rスイッチ11aのport2から入力され、Rスイッチ13aのport4から出力される経路を経路R1、Rスイッチ11bのport2から入力され、Rスイッチ13bのport4から出力される経路を経路R2、Rスイッチ11cのport2から入力され、Rスイッチ13cのport4から出力される経路を経路R3、Rスイッチ11dのport2から入力され、Rスイッチ13dのport4から出力される経路を経路R4と呼ぶものとする。
【0052】
ここで、増幅器12b及び12cの少なくとも一方で障害が発生したとする。障害は増幅器12b及び12cのどちらか一方だけでもよいし、両方であってもよい。このとき、図13に示すようにRスイッチ11a〜11d、13a〜13dを切り替える。即ち、経路R1が経由する増幅器を増幅器12bから増幅器12aに変更するため、Rスイッチ11aをモード3に、Rスイッチ13aをモード2にそれぞれ切り替える。経路R2が経由する増幅器を増幅器12cから増幅器12dに変更するため、Rスイッチ11b、11cをモード2に、Rスイッチ13b、13cをモード3にそれぞれ切り替える。更に、経路R3が経由する増幅器を増幅器12dから増幅器12eに変更し、経路R4が経由する増幅器を増幅器12eから増幅器12fに変更するため、Rスイッチ11dをモード2に、Rスイッチ13dをモード3にそれぞれ切り替える。このとき、増幅器12b及び12cは経路R1〜R4から分離される。
【0053】
或いは、ここで増幅器12c及び12dの少なくとも一方で障害が発生したものとする。先と同様に、障害は増幅器12c及び12dのどちらか一方だけでもよいし、両方であってもよい。このとき、図14に示すようにRスイッチ11a〜11d、13a〜13dを切り替える。即ち、経路R1が経由する増幅器を増幅器12bから増幅器12aに変更するため、Rスイッチ11aをモード3に、Rスイッチ13aをモード2にそれぞれ切り替える。経路R2が経由する増幅器を増幅器12cから増幅器12bに変更するため、Rスイッチ11bをモード3に、Rスイッチ13bをモード2にそれぞれ切り替える。経路R3が経由する増幅器を増幅器12dから増幅器12eに変更し、経路R4が経由する増幅器を増幅器12eから増幅器12fに変更するため、Rスイッチ11dをモード2に、Rスイッチ13dをモード3にそれぞれ切り替える。このとき、増幅器12c及び12dは経路R1〜R4から分離される。
【0054】
増幅器12d及び12eの少なくとも一方で障害が発生したときの動作については、冗長化増幅器10が上下に対称であり、図13及び対応する説明から容易に類推可能なので説明を省略する。
【0055】
切替前の経路R1〜R4の経路長は、いずれも、L3+L1+L5+L2+L6+L1+L8=2L1+L2+L3+L5+L6+L8である。このとき経路R1〜R4は、いずれも、2台のRスイッチと1台の増幅器を経由する直線的な経路なので、経路長が一致することは図11から視覚的に即座に理解されるであろう。
【0056】
一方、切替後の経路R1〜R4は、入力スイッチ11及び出力スイッチ13の対応するRスイッチの間の直線上に接続された増幅器ではなく、その増幅器の隣に配置された増幅器を経由する迂回した経路を辿るが、2台のRスイッチを経由する経路と、4台のRスイッチを経由する経路の2種類がある。例えば、図13の接続状態では、経路R1はRスイッチ11a、13aの2台を経由するが、経路R2はRスイッチ11b、11c、13b、13cの4台を経由する。
【0057】
このように経由するRスイッチの数が異なる2通りの経路があるが、Rスイッチ2台を経由する経路においてRスイッチと増幅器との間を繋ぐ経路の長さを適切に定めることにより、Rスイッチ4台を経由する経路と経路長を一致させている。例えば、図13の接続状態において、分配器101から合成器103までの経路長を順番に足していくと、経路R1の経路長は、L3+L1+(L1+L4+L5)+L2+(L1+L6+L7)+L1+L8=4L1+L2+L3+L4+L5+L6+L7+L8である。同様にして経路R2の経路長を求めると、L3+L1+L4+L1+L5+L2+L6+L1+L7+L1+L8=4L1+L2+L3+L4+L5+L6+L7+L8である。従って、切替後の経路R1及びR2の経路の経路長は等しい。経路R3、R4についても同様である。
【0058】
尚、切替の前後で経路長を比較すると、上述のように、切替前のR1〜R4の経路長は2L1+L2+L3+L5+L6+L8であるのに対して、切替後のR1〜R4の経路長は4L1+L2+L3+L4+L5+L6+L7+L8であり、切替後の方が2L1+L4+L7だけ長い。これに対して、実施形態1では、現用増幅器のみを経由する4経路から予備増幅器を含む4経路に切り替える前後において経路長は変化しない。
【0059】
本実施形態では、増幅器を直線状に配置し、その両端に配置した増幅器を予備増幅器とし、予備増幅器の間に配置された現用増幅器のいずれかで障害が発生すると、その現用増幅器を含み、かつ、互いに隣接する2台の増幅器を回避するような迂回経路を確立する。このため、互いに隣接した2台であるという制限はあるものの、最大2台の現用増幅器の障害に対応可能な冗長化を行なうことができる。本実施形態は、4台の現用増幅器と2台の予備増幅器からなる冗長化構成だが、より一般化したn台(nは3以上の自然数)の現用増幅器と2台の予備増幅器からなる冗長化構成を取り、互いに隣接する2台の現用増幅器迄の障害に対応可能な冗長化増幅器とすることができる。従って、原則として2の乗数、即ち8台、16台…といった台数の増幅器を搭載するMPAにも本実施形態は適用可能である。
【0060】
以上、本発明を実施の形態に則して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記の実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載されうるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
(付記1)
入力P1、P2、…、Pm、出力Q1、Q2、…、Qn(m、nは自然数、m<n)を備え、m個の入力P1、P2、…、Pmと、n個の出力Q1、Q2、…、Qnのうちのm個とを一対一に接続する切替を行なう第1のスイッチと、
入力R1、R2、…、Rn、出力S1、S2、…、Smを備え、n個の入力R1、R2、…、Rnのうちのm個と、m個の出力S1、S2、…、Smとを一対一に接続する切替を行なう第2のスイッチと、
第1のスイッチの出力Q1、Q2、…、Qnと、第2のスイッチの入力R1、R2、…、Rnとの間に一対一に接続されたn個の同じ増幅器A1、A2、…、Anとを備え、
第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態により、入力P1と出力S1、入力P2と出力S2、…、入力Pmと出力Smとを接続する信号経路L1、L2、…、Lmであって、それぞれ、増幅器A1、A2、…、Anのいずれかひとつを介して接続する信号経路L1、L2、…、Lmを形成し、
前記接続状態の少なくとも2種類において、信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しい
ことを特徴とする冗長化増幅器。
【0062】
(付記2)
前記第1及び第2のスイッチは、それぞれ、互いに接続された複数の導波管スイッチからなることを特徴とする付記1に記載の冗長化増幅器。
【0063】
(付記3)
前記複数の導波管スイッチは、それぞれ、4つのポートと、当該4つのポートのうちの2つを互いに接続可能な2本の導波管とを備えることを特徴とする付記2に記載の冗長化増幅器。
【0064】
(付記4)
前記複数の導波管スイッチは、それぞれ、4つのポートと、当該4つのポートのうちの2つを互いに接続可能な3本の導波管とを備えることを特徴とする付記2に記載の冗長化増幅器。
【0065】
(付記5)
信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しい第1の組み合わせにおける信号経路長である第1の信号経路長と、信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しい第2の組み合わせにおける信号経路長である第2の信号経路長とが等しいことを特徴とする付記1に記載の冗長化増幅器。
【0066】
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の冗長化増幅器と、
入力された信号をm本に分配し、分配したm本の信号をそれぞれ第1のスイッチの入力P1、P2、…、Pmに一対一に入力する分配器と、
第2のスイッチの出力S1、S2、…、Smから入力されたm本の信号を合成して出力する合成器と
を備えることを特徴とする信号増幅装置。
【0067】
(付記7)
第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号が、それぞれ、n個の増幅器のうち予め定められたm個の現用系増幅器のいずれかを介する信号経路であって、互いに同じ第1の経路長を有するm本の信号経路からなる第1の信号経路群を通過して、第2のスイッチのm本の出力それぞれから出力される段階(m、nは自然数、m<n)と、
前記m個の現用系増幅器のうち少なくともひとつにて障害が発生する段階と、
前記第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態を変更することにより、現用系増幅器のうち障害が発生していないものと、前記n個の増幅器のうち予め定められたn−m個の冗長系増幅器とのいずれかを介する信号経路であって、互いに同じ第2の経路長を有するm本の信号経路からなる第2の信号経路群を形成する段階と、
第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号が、前記第2の信号経路群を通過して、第2のスイッチのm本の出力それぞれから出力される段階と
を含むことを特徴とする冗長化増幅器の切替方法。
【0068】
(付記8)
前記第1及び第2のスイッチは、それぞれ、互いに接続された複数の導波管スイッチからなることを特徴とする付記7に記載の冗長化増幅器の切替方法。
【0069】
(付記9)
前記複数の導波管スイッチは、それぞれ、4つのポートと、当該4つのポートのうちの2つを互いに接続可能な2本の導波管とを備えることを特徴とする付記8に記載の冗長化増幅器の切替方法。
【0070】
(付記10)
前記複数の導波管スイッチは、それぞれ、4つのポートと、当該4つのポートのうちの2つを互いに接続可能な3本の導波管とを備えることを特徴とする付記8に記載の冗長化増幅器の切替方法。
【0071】
(付記11)
第1の信号経路長と第2の信号経路長とが等しいことを特徴とする付記7に記載の冗長化増幅器の切替方法。
【0072】
(付記12)
第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号は、分配器にて1本の信号から分配された信号であり、
第2のスイッチのm本の出力は、合成器にて1本の信号に合成される
ことを特徴とする付記7乃至11のいずれかに記載の冗長化増幅器の切替方法。
【符号の説明】
【0073】
1、100 信号増幅装置
2、10 冗長化増幅器
3、11 入力スイッチ
3a〜3g、5a〜5g 導波管スイッチ(Cスイッチ)
4a〜4e、12a〜12f 増幅器
5、13 出力スイッチ
11a〜11d、13a〜13d 導波管スイッチ(Rスイッチ)
101 分配器
102 合成器
【技術分野】
【0001】
本発明は増幅器の冗長構成に関し、MPA(Multi Port Amplifier)における増幅器の冗長構成に関する。
【背景技術】
【0002】
MPAは複数の増幅器で増幅された高周波信号を合成することで、数百〜数千W級の出力を可能とする増幅器であり、電気通信システムやレーダーシステム等の電波を送信するシステムで使用されている。2011年現在軌道上で運用中である人工衛星「きずな(WINDS)」にもMPAが搭載されている。人工衛星にMPAを搭載することにより、駆動部を持たずにアンテナビームを振ることが可能になっているが、こうした人工衛星や宇宙機では、MPAに特に高い信頼性が要求されるともに、リソース上の問題からその冗長台数が制限される。
【0003】
MPAに高い信頼性が要求されるときには、MPAを構成する増幅器部分の信頼性を確保することが重要となる。信頼性を向上する手法のひとつに冗長化がある。MPAのように複数の同種の機器からなるシステムにおいて、機器を冗長構成することにより、現用機器のいずれかで障害が発生しても、予備機器に切り替えることにより、システムの機能を維持可能にすることが考えられる。単純な冗長構成としては、現用機器すべてに予備機器を用意するものが考えられるが、このような構成によれば必要な機器数が現用機器の2倍となり、リソースの問題を考慮すると好ましくない。
【0004】
そこで現用機器よりも少ない予備機器を用意し、障害が発生した現用機器への接続を予備機器に切り替える構成が考えられる。この場合、障害が発生する現用機器を障害発生以前に特定することはできないので、どの現用機器にて障害が発生しても予備機器で代替可能であることも求められる。
【0005】
一方で、RF信号を分配器等にて複数に分配し、分配した各RF信号をMPAにて増幅した後、合成器にて合成する場合を考える。このとき、合成器に入力される複数のRF信号の振幅及び位相が、互いに同じであることが求められる。増幅器を冗長構成した場合、現用増幅器の出力を互いに比較したときの振幅及び位相が同じであることだけではなく、現用増幅器の一部を予備増幅器に切り替えた後であっても、出力の振幅及び位相が同じであることが求められる。
【0006】
特許文献1には、接続経路の電気長を適切に定めることにより、現用系増幅器を経由する接続経路を通過したときの位相と、予備系増幅器を経由する接続経路を通過したときの位相とを一致させる技術が記載されている。この技術では、電気長に基づいて経路長を定めるため、効果が得られるのは特定の波長の信号が入力される場合のみであり、この特定波長以外の信号が入力される場合には効果を得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−332209
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、どの現用増幅器も予備増幅器で代替可能であり、現用系から予備系への切替の前後どちらでも、増幅器の出力間の振幅及び位相が同じであり、入力信号の振幅に依存しない冗長化増幅器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明は、その一態様として、入力P1、P2、…、Pm、出力Q1、Q2、…、Qn(m、nは自然数、m<n)を備え、m個の入力P1、P2、…、Pmと、n個の出力Q1、Q2、…、Qnのうちのm個とを一対一に接続する切替を行なう第1のスイッチと、入力R1、R2、…、Rn、出力S1、S2、…、Smを備え、n個の入力R1、R2、…、Rnのうちのm個と、m個の出力S1、S2、…、Smとを一対一に接続する切替を行なう第2のスイッチと、第1のスイッチの出力Q1、Q2、…、Qnと、第2のスイッチの入力R1、R2、…、Rnとの間に一対一に接続されたn個の同じ増幅器A1、A2、…、Anとを備え、第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態により、入力P1と出力S1、入力P2と出力S2、…、入力Pmと出力Smとを接続する信号経路L1、L2、…、Lmであって、それぞれ、増幅器A1、A2、…、Anのいずれかひとつを介して接続する信号経路L1、L2、…、Lmを形成し、前記接続状態の少なくとも2種類において、信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しいことを特徴とする冗長化増幅器を提供する。
【0010】
また、本発明は、他の一態様として、第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号が、それぞれ、n個の増幅器のうち予め定められたm個の現用系増幅器のいずれかを介する信号経路であって、互いに同じ第1の経路長を有するm本の信号経路からなる第1の信号経路群を通過して、第2のスイッチのm本の出力それぞれから出力される段階(m、nは自然数、m<n)と、前記m個の現用系増幅器のうち少なくともひとつにて障害が発生する段階と、前記第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態を変更することにより、現用系増幅器のうち障害が発生していないものと、前記n個の増幅器のうち予め定められたn−m個の冗長系増幅器とのいずれかを介する信号経路であって、互いに同じ第2の経路長を有するm本の信号経路からなる第2の信号経路群を形成する段階と、第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号が、前記第2の信号経路群を通過して、第2のスイッチのm本の出力それぞれから出力される段階とを含むことを特徴とする冗長化増幅器の切替方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、冗長切替前にアクティブな増幅器(現用系増幅器)を通過する出力の信号経路は互いに等しい信号経路長を有する。また、現用系増幅器のいずれかで障害が発生し、その増幅器の代わりに予備系増幅器を用いるようにした後でアクティブな増幅器(障害未発生の現用系増幅器と予備系増幅器)を通過する出力の信号経路もまた、互いに等しい信号経路長を有する。このため、冗長切替の前後どちらであっても、アクティブな増幅器を通過する信号経路長は互いに等しく、このため、冗長切替の前後どちらであっても、増幅器の出力間の振幅及び位相が同じになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】非冗長構成の増幅器からなる信号増幅器100のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態である信号増幅器1のブロック図である。
【図3】信号増幅器1の入力スイッチ3及び出力スイッチ5を構成するCスイッチの動作について説明するためのモード図である。
【図4】入力スイッチ3及び出力スイッチ5でのCスイッチの接続を説明するための図である。
【図5】信号増幅器1における、個々のCスイッチ、個々の増幅器の接続関係を含む全体の接続関係を説明するためのブロック図である。
【図6】冗長化増幅器2において現用増幅器4a、4b、4d、4eを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を説明するための図である。
【図7】冗長化増幅器2において現用増幅器4aにて障害が発生し、現用増幅器4b、4d、4eと予備増幅器4cを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を説明するための図である。
【図8】冗長化増幅器2において現用増幅器4bにて障害が発生し、現用増幅器4a、4d、4eと予備増幅器4cを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を説明するための図である。
【図9】冗長化増幅器2において現用増幅器4dにて障害が発生し、現用増幅器4a、4b、4eと予備増幅器4cを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を説明するための図である。
【図10】冗長化増幅器2において現用増幅器4eにて障害が発生し、現用増幅器4a、4d、4dと予備増幅器4cを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を説明するための図である。
【図11】冗長化増幅器10の構成を説明するとともに、現用増幅器12b、12c、12d、12eを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ11、出力スイッチ13の接続状態を説明するためのブロック図である。
【図12】入力スイッチ11及び出力スイッチ13を構成する導波管スイッチ(Rスイッチ)11a〜11d、13a〜13dの接続状態であるモード1、モード2、モード3、モード4を説明するための図である。
【図13】冗長化増幅器10において現用増幅器12b、12cにて障害が発生し、現用増幅器12d、12e及び予備増幅器12a、12fを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ11、出力スイッチ13の接続状態を説明するための図である。
【図14】冗長化増幅器10において現用増幅器12c、12dにて障害が発生し、現用増幅器12b、12e及び予備増幅器12a、12fを経由する4本の経路を確立するときの入力スイッチ11、出力スイッチ13の接続状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
最初に、比較のため、従来の信号増幅装置100について図1を参照して説明する。信号増幅装置100は、入力された信号を4つに分配する分配器101、増幅器102、入力された4つの信号を1つに合成する合成器103からなる。増幅器102は非冗長構成であり、4つの信号を増幅するための4台の増幅器102a、102b、102c、102dを備えるMPAである。分配器101の4つの出力と4台の増幅器102a〜102dの各入力とは一対一に直接接続されている。4台の増幅器の各出力と合成器103の4つの入力との間も同様である。
【0014】
これに対し、本発明の実施形態1である信号増幅器1は、図2に示すように増幅器102の代わりに冗長化増幅器2を備える。冗長化増幅器2は、入力スイッチ3、5台の増幅器4a、4b、4c、4d、4e、出力スイッチ5を備える。5台の増幅器4a、4b、4c、4d、4eの入力から出力に至る信号経路は5台とも等しいものとする。増幅器102と同様に、冗長化増幅器2は、4つの信号を増幅するMPAであるが、4台の現用増幅器に1台の予備増幅器を加えた5台の増幅器からなる冗長構成となっている。増幅器が1台故障した場合であっても機能・性能を損なわない為に冗長の増幅器を1台搭載し、合計5台の増幅器から任意の4台を選択して使用する。5台中4台を選択する冗長構成であるため、4/5冗長と呼ぶ。
【0015】
後述するように、現用増幅器のいずれかが故障すると、入力スイッチ3及び出力スイッチ5での接続状態を変更することにより、故障した現用増幅器を信号経路から除外し、予備増幅器を信号経路に追加するが、このとき、単に故障した現用増幅器を予備増幅器に置換するように接続状態を変更するのではなく、故障していない現用増幅器を介する信号経路についても同時に変更する。
【0016】
入力スイッチ3は7つの導波管スイッチからなり、それぞれCスイッチと呼ばれるDPDT(Double Pole Double Throw、双極双投)スイッチである。同様に、出力スイッチ5も7つの導波管スイッチからなり、それぞれCスイッチと呼ばれるDPDTスイッチである。即ち、4/5冗長を実現するスイッチは、入力側に7個、出力側に7個の合計14個の導波管スイッチで構成される。
【0017】
図3を参照してCスイッチの動作モードについて説明する。Cスイッチは4つのポートport1、port2、port3、port4と、2つのポートを接続するための2本の導波管とを備え、導波管が接続するポートの組み合わせが異なる2つのモード、モード1及びモード2を有する。2本の導波管は等しい長さを有する。入力スイッチ3及び出力スイッチ5を構成するCスイッチは全て同じ仕様のものなので、14個の導波管スイッチが備える合計28本の導波管は全て同じ長さを有する。モード1ではport1とport2とを一方の導波管にて接続するとともに、port3とport4とを他方の導波管にて接続する。モード2ではport1とport4とが接続されるとともに、port2とport3とが接続される。
【0018】
図4に示すように、入力スイッチ3は、互いに隣接する7台のCスイッチ3a〜3gのport1とport3とを互いに接続して直線状に繋げた構造を有する。ここでCスイッチ3aと3b、3bと3c、3cと3d、3dと3e、3eと3f、3fと3gの間の信号経路は等しい長さを有するものとする。図中で上端部にあるCスイッチ3aのport3、及び、下端部にあるCスイッチ3gのport1は、それぞれ、増幅器4a、4eの入力に接続される。Cスイッチ3b、3d、3fのport4は、それぞれ、増幅器4b、4c、4dの入力に接続される。ここでCスイッチ3b、3d、3fと増幅器4b、4c、4dとの間の3本の信号経路は互いに等しい経路長を有する。Cスイッチ3a、3c、3e、3gのport2はそれぞれ分配器101の一出力に接続される。ここでCスイッチ3a、3c、3e、3gと分配器101の出力との間の信号経路は互いに等しい経路長を有する。Cスイッチ3a、3c、3e、3gのport4、Cスイッチ3b、3d、3fのport2はそれぞれ接地している。入力スイッチ3は、分配器101の出力のいずれかに接続され、増幅器には接続されない2つのCスイッチ3c、3eと、分配器101の出力には接続されず、増幅器のいずれかの入力に接続される3つのCスイッチ3b、3d、3fと、分配器101及び増幅器の両方に接続される2つのCスイッチ3a、3gとを含む。
【0019】
同様に、図4に示すように、出力スイッチ5は、互いに隣接する7台のCスイッチ5a〜5gのport1とport3とを互いに接続して直線状に繋げた構造を有する。ここでCスイッチ5aと5b、5bと5c、5cと5d、5dと5e、5eと5f、5fと5gの間の信号経路は等しい長さを有するものとする。図中、上端部にあるCスイッチ5aのport3、及び、下端部にあるCスイッチ5gのport1は、それぞれ、増幅器4a、4eの出力に接続されている。Cスイッチ5b、5d、5fのport4は、それぞれ、増幅器4b、4c、4dの出力に接続されている。ここでCスイッチ5b、5d、5fと増幅器4b、4c、4dとの間の3本の信号経路は互いに等しい経路長を有する。Cスイッチ5a、5c、5e、5gのport4はそれぞれ合成器103の入力に接続されている。ここでCスイッチ5a、5c、5e、5gと合成器103の入力との間の信号経路は互いに等しい経路長を有する。Cスイッチ5a、5c、5e、5gのport2、Cスイッチ5b、5d、5fのport4は接地している。出力スイッチ5は、合成器103の入力のいずれかに接続され、増幅器には接続されない2つのCスイッチ5c、5eと、合成器103の入力には接続されず、増幅器のいずれかの入力に接続される3つのCスイッチ5b、5d、5fと、合成器103及び増幅器の両方に接続される2つのCスイッチ5a、5gとを含む。尚、図4において、入力スイッチ3及び出力スイッチ5のどのCスイッチも、図3と同様に、図中時計の6時、9時、12時、3時の方向に、それぞれport1、port2、port3、port4が配置されているものとする。
【0020】
分配器101の出力から、増幅器4b、4c、4dのいずれかを経て、合成器103の入力に至る信号経路を考える。どの増幅器であっても、これら信号経路として、入力スイッチ3と出力スイッチ5の接続状態を適切に定めることにより、入力スイッチ3の2つのCスイッチと、出力スイッチ5の2つのCスイッチを経由するような信号経路を定められることが理解できるであろう。
【0021】
これらの信号経路は、(1)分配器101の出力から入力スイッチ3のCスイッチ3w(wはa、c、e、gのいずれか)のport2に至る経路、(2)そのCスイッチ3wのport2とport1/port3とを繋ぐ導波管、(3)そのCスイッチ3wから隣接するCスイッチ3x(xは3b、3d、3fのいずれか)に至るまでの経路、(4)そのCスイッチ3xのport1/port3とport4とを繋ぐ導波管、(5)そのCスイッチ3xから増幅器の入力までの経路、(6)増幅器内部の経路、(7)増幅器から出力スイッチ5のCスイッチ5y(yはb、d、eのいずれか)のport2に至る経路、(8)そのCスイッチ5yのport2とport1/port3とを繋ぐ導波管、(9)そのCスイッチ5yから隣接するCスイッチ5z(zはa、c、e、gのいずれか)に至るまでの経路、(10)そのCスイッチ5zのport1/port3とport4とを繋ぐ導波管、(11)そのCスイッチ5zから合成器103の入力に至る経路、の(1)〜(11)までの経路からなる。(1)〜(11)の各経路は、いずれも、通過する入力スイッチ3の2つのCスイッチ、増幅器、出力スイッチ5の2つのCスイッチの組み合わせがどれであっても一定である。
【0022】
一方、分配器101の出力から、増幅器4a、4eのどちらかを経て、合成器103の入力に至る信号経路を考える。Cスイッチ3a、増幅器4a、Cスイッチ5aを経由する経路、または、Cスイッチ3g、増幅器4e、Cスイッチ5gを経由する経路のどちらかになる。増幅器4b、4c、4dのいずれかを経由する上述の経路と比較すると、入力スイッチ3及び出力スイッチ5それぞれの内部でひとつしかCスイッチを経由しない。このため、経路全体では経由するCスイッチの数が2つ少なくなり、導波管2本相当の長さ経路が短くなる。更に、Cスイッチ同士を繋ぐ経路がないのでその分経路が短くなる。この短くなる分の長さを、Cスイッチ3aのport4から増幅器4aに至る経路、増幅器4aからCスイッチ5aのport2に至る経路にて補うことにより、増幅器4aを介する経路の経路長を、増幅器4b、4c、4dのいずれかを経由する上述の経路と一致させることができる。増幅器4eを介する経路の経路長についても同様である。
【0023】
信号増幅器1における、個々のCスイッチ、個々の増幅器の接続関係を含む全体の接続関係を図5に示す。信号増幅器1は、Cスイッチ、即ち、冗長構成した増幅器の前段及び後段に、導波管スイッチ群を挿入することにより、増幅器を4/5冗長構成している。
【0024】
冗長化増幅器2は4ポートMPAである。冗長化増幅器2の入力側からは、分配器101に入力された信号が4つに分配された4つの信号が、入力スイッチ3を介し、5台の増幅器4a〜4eのうちの4台の増幅器に入力される。他方、冗長化増幅器2の出力側では、5台の増幅器4a〜4eのうち、信号が入力された4台の増幅器の出力が、出力スイッチ5を介して、4つの信号として合成器103に出力され、合成器103はこれら4つの信号を合成してひとつの信号として出力する。
【0025】
上述したように、信号増幅器1では、入力スイッチ3及び出力スイッチ5での接続状態を適切に定めることにより、分配器101から増幅器のいずれかを介して合成器103に至る信号経路を、どの増幅器を経由するものも同じ経路長になるように接続することができる。言い換えると信号の振幅・位相を変化させること無く冗長の増幅器が選択可能である。
【0026】
なお、入力スイッチ3の前段(入力側)及び出力スイッチ5の後段(出力側)については、従来の4ポートMPAと全く同じである。
【0027】
次に、図6〜10を参照して、信号増幅器1の入力スイッチ3、出力スイッチ5における接続状態の切替について説明する。増幅器4cを予備増幅器とし、他の増幅器4a、4b、4d、4eを現用増幅器とする。
【0028】
まず、現用増幅器が全て正常に作動し、予備増幅器が待機しているものとする。このときの接続状態を図6に示す。このとき、分配器101の出力と合成器103の入力との間には、次の4本の信号経路R1〜R4が確立される。
【0029】
入力スイッチ3において、Cスイッチ3a〜3cはモード2、Cスイッチ3d〜3gはモード1である。出力スイッチ5において、Cスイッチ5a〜5cはモード1、Cスイッチ5d〜5gはモード2である。その結果、経路R1として、Cスイッチ3a、増幅器4a、Cスイッチ5aを介する経路が確立される。経路R2として、Cスイッチ3c、Cスイッチ3b、増幅器4b、Cスイッチ5b、Cスイッチ5cを介する経路が確立される。経路R3として、Cスイッチ3e、Cスイッチ3f、増幅器4d、Cスイッチ5f、Cスイッチ5eを介する経路が確立される。経路R4として、Cスイッチ3g、増幅器4e、Cスイッチ5gを介する経路が確立される。
【0030】
経路R1、R4は入力スイッチ3及び出力スイッチ5のそれぞれでCスイッチをひとつと増幅器ひとつとを経由する経路であり、経路R2、R3は入力スイッチ3及び出力スイッチ5のそれぞれでCスイッチをふたつと増幅器ひとつとを経由する経路である。既に説明したように経路R1〜R4は同じ経路長を有する。
【0031】
増幅器4cは予備増幅器のため、ここでは増幅器4cを介した分配器101−合成器103間の経路は確立されない。待機冗長である増幅器4cの入出力は入力スイッチ3、出力スイッチ5を介して終端される。増幅器4cの入力は、Cスイッチ3d、Cスイッチ3cを介して接地している。同様に、増幅器4dの出力は、Cスイッチ5d、Cスイッチ5cを介して接地している。
【0032】
次に、現用増幅器のいずれかがなんらかの理由で使用不可になったとする。このとき、待機冗長である増幅器4cを起動し、入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を変更することにより、分配器101と合成器103とを繋ぐ4台の増幅器の構成を変更する。
【0033】
ある経路の増幅器に障害が発生したら、その経路が、その増幅器から見て予備増幅器4cの側に隣接して配置されている増幅器を経由するように入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を変更する。変更先の増幅器が予備増幅器4cではなく現用増幅器であり、別の経路が現に経由している場合は、前述の経路と同様に、その経路が現に経由する増幅器から見て、予備増幅器4c側に隣接して配置されている増幅器を経由するように入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を変更する。以下これを予備増幅器4cを経由する経路が確立するまで順次繰り返すと、最終的には、障害が発生した現用増幅器以外の3台の現用増幅器と予備増幅器の合計4台をそれぞれ経由する4つの経路が確立される。
【0034】
尚、信号増幅器1では、現用増幅器での障害発生に応じて、待機冗長の増幅器を起動し、入力スイッチと出力スイッチとを連動して切り替えて信号の経路を変更する。これを自動的に行なうため、信号増幅器1は、増幅器4a〜4eの動作状態を監視、制御するとともに、入力スイッチ3、出力スイッチ5の接続状態を制御するための不図示の処理装置を更に備えることが好ましい。この処理装置は、いずれかの現用増幅器にて障害発生を検出すると、その増幅器を停止し、予備増幅器を起動する。また、障害が発生した増幅器に応じてCスイッチ3a〜3g、5a〜5gを切り替えることにより、分配器101と合成器103との間の接続状態を変更する。
【0035】
信号増幅器1が図6の接続状態にあり、増幅器4aにて障害が発生したときの動作について説明する。このとき、予備増幅器である増幅器4cを起動するとともに、Cスイッチ3a、3bをモード2からモード1に切り替え、Cスイッチ5a、5bをモード1からモード2に切り替えることにより、経路R1が経由する増幅器を増幅器4aから増幅器4bに変更する。また、Cスイッチ3cをモード2からモード1へ切り替えて、Cスイッチ5cをモード1からモード2に切り替えることにより、経路R2が経由していた増幅器を増幅器4bから増幅器4cに変更する。変更後の接続状態を図7に示す。
【0036】
この切り替えにより、経路R1が、入力スイッチ3及び出力スイッチ5のそれぞれでCスイッチをひとつと増幅器ひとつとを経由する経路から、入力スイッチ3及び出力スイッチ5のそれぞれでCスイッチをふたつと増幅器ひとつとを経由する経路に変更されるが、経路R1〜R4の経路長が全て等しい点では変わらない。
【0037】
信号増幅器1が図6の接続状態にあり、増幅器4bにて障害が発生したときの動作について説明する。このとき、予備増幅器である増幅器4cを起動するとともに、Cスイッチ3cをモード2からモード1に切り替え、Cスイッチ5cをモード1からモード2に切り替えることにより、経路R2が経由していた増幅器を増幅器4bから増幅器4cに変更する。変更後の接続状態を図8に示す。
【0038】
この切り替えにより、経路R2は、Cスイッチ3b、増幅器4b、Cスイッチ5bの代わりに、Cスイッチ3d、増幅器4c、Cスイッチ5dを経由することになるが、入力スイッチ3及び出力スイッチ5のそれぞれでCスイッチをふたつと増幅器ひとつとを経由する経路である点では変らず、経路R1〜R4の経路長が全て等しい点でも変わらない。
【0039】
信号増幅器1が図6の接続状態にあり、増幅器4dにて障害が発生したときの動作について説明する。予備増幅器である増幅器4cを起動するとともに、Cスイッチ3d、3eをモード1からモード2へ切り替え、Cスイッチ5d、5eをモード2からモード1へ切り替えることにより、経路R3が経由する増幅器を増幅器4dから増幅器4cに変更する。変更後の接続状態を図9に示す。
【0040】
信号増幅器1が図6の接続状態にあり、増幅器4eにて障害が発生したときの動作について説明する。予備増幅器である増幅器4cを起動するとともに、Cスイッチ3d〜3gをモード1からモード2へ切り替え、Cスイッチ5d〜5gをモード2からモード1へ切り替えることにより、経路R3が経由する増幅器を増幅器4dから増幅器4cに変更し、経路R4が経由する増幅器を増幅器4eから増幅器4dに変更する。変更後の接続状態を図10に示す。
【0041】
以上のようにして、4台の現用増幅器のうちの任意の1台で障害が発生しても、入力スイッチ3及び出力スイッチ5の接続状態を変更することにより、障害が発生した現用増幅器を除く3台の現用増幅器と、予備増幅器の合計4台を用いて、4つの入力信号を増幅する機能を維持することができる。接続状態の変更により、各経路が経由するCスイッチ、増幅器は変わるものの、経路長については変化せず、4つの経路は全て同じ経路長を有するので、各経路から出力される信号の振幅・位相を揃えることができる。
【0042】
上述の切替動作の説明では、増幅器4cを予備増幅器として説明したが、他の増幅器を予備増幅器としてもよい。どの増幅器を予備増幅器としても、入力スイッチ3及び出力スイッチ5の接続状態を適切に変更することにより、接続状態の変更の前後で経路長が不変であるような経路を構成可能であることは容易に理解できるであろう。
【0043】
MPAに搭載する増幅器は原則として2の乗数であり、2台、4台、8台、16台…といった台数の増幅器を搭載する。冗長化増幅器2は、増幅器4台を搭載するMPAに待機冗長として1台の予備増幅器を追加した構成であるが、冗長化増幅器2と同様に、予備増幅器1台を追加して、冗長切替をしても経路長が変化しない冗長化増幅器を構成することは、増幅器2台、4台、8台、16台…といった台数の増幅器を搭載するMPAであっても可能である。このような冗長構成をしたMPAに必要なCスイッチの台数は次のようにして求める。
【0044】
予備増幅器1台を含むn台の増幅器(nは自然数)を備え、冗長化増幅器2と同様の構成・効果を有する冗長化増幅器は、3種類のCスイッチを備える。まず入力スイッチについて考えると、並列に並べた増幅器の両端に位置する増幅器と分配器との両方に直結される第1のCスイッチ(Cスイッチ3a、3g)が2台、両端の増幅器以外の増幅器に直結される第2のCスイッチ(Cスイッチ3b、3d、3f)がn−2台、2台の第2のスイッチの間に配置され、分配器に直結される第3のCスイッチ(Cスイッチ3c、3e)は、第2のスイッチよりも1台少ないのでn−3台である。出力スイッチでも同様である。n台の増幅器を備える本実施の形態の信号増幅器にて必要なCスイッチの数は、(2+n−2+n−3)×2=4n−6台となる。
【0045】
このようにn台の増幅器を備える場合であっても、ある経路の増幅器に障害が発生したら、その経路が、その増幅器から見て予備増幅器の側に隣接して配置されている増幅器を経由するように入力スイッチ、出力スイッチの接続状態を変更する。変更先の増幅器が予備増幅器ではなく、別の経路が経由している場合は、その経路も同様にして経由する増幅器を予備増幅器側のものにずらすように入力スイッチ、出力スイッチの接続状態を変更していく。以下これを経路が予備増幅器を経由するようになるまで順次繰り返す。これにより、n台の増幅器を備える冗長化増幅器でも上述の冗長化増幅器2と同様の効果を得ることができる。
【0046】
本発明の実施形態2として冗長化増幅器10について図11を参照して説明する。冗長化増幅器10は、上述した冗長化増幅器2と同様に4つの信号を増幅するMPAとして機能するが、冗長化増幅器2が予備増幅器を1台備え、現用増幅器1台の障害に対応するものであるのに対して、冗長化増幅器10は予備増幅器を2台備え、最大で2台の現用増幅器の障害に対応するものである。図2、図5において、冗長化増幅器10は、冗長化増幅器2に置換して分配器101、合成器103に接続可能である。
【0047】
冗長化増幅器10は、入力スイッチ11、6台の増幅器12a〜12f、出力スイッチ13からなる。増幅器12a〜12fの入力から出力に至る内部の経路長は全て等しいものとする。
【0048】
入力スイッチ11は4台の導波管スイッチからなるスイッチマトリクスである。冗長化増幅器2の導波管スイッチはCスイッチだが、入力スイッチ11の導波管スイッチ12a〜12fはそれぞれ4モードを有するRスイッチである。
【0049】
図12を参照して導波管スイッチ12a〜12fについて更に説明する。導波管スイッチ12a〜12f(Rスイッチ12a〜12fとも記す)は、それぞれ、4つのポートport1、port2、port3及びport4と、隣接乃至対向する2つのポートを繋ぐ3本の導波管を備える。port1〜4は順に時計方向で6時、9時、12時、3時の方向に配置されている。モード1ではport1とport3の間のみが接続される。モード2ではport1とport2の間、及び、port3とport4の間がそれぞれ接続される。モード3ではport1とport4の間、及び、port2とport3の間がそれぞれ接続される。モード4ではport2とport4の間のみが接続される。
【0050】
Rスイッチ11a〜11d、13a〜13dそれぞれの3本の導波管の長さは全て等しい。この経路長をL1とする。上述のように、増幅器12a〜12fの内部の経路長は全て等しい。この経路長をL2とする。分配器101の出力からRスイッチ11a〜11dそれぞれのport2までの経路長は全て等しい。この経路長をL3とする。入力スイッチ11において、互いに隣接するRスイッチの間を繋ぐ経路、即ち、Rスイッチ11a−11b間、11b−11c間、11c−11d間の経路長は全て等しい。この経路長をL4とする。Rスイッチ11a〜11dのport4と増幅器12b〜12eの各入力との間の経路長は全て等しい。この経路長をL5とする。Rスイッチ11aのport3と増幅器12aの入力の間の経路、及び、Rスイッチ11dのport1と増幅器12fの入力の間の経路の経路長は、L1+L4+L5である。増幅器12b〜12eの各出力とRスイッチ13a〜13dのport2の間の経路長は全て等しい。この経路長をL6とする。出力スイッチ13において、互いに隣接するRスイッチの間を繋ぐ経路、即ち、Rスイッチ13a−13b間、13b−13c間、13c−13d間の経路長は全て等しい。この経路長をL7とする。増幅器12aの出力からRスイッチ13aのport3の間の経路、及び、増幅器12fの出力からRスイッチ13dのport1の間の経路長はL1+L6+L7である。Rスイッチ13a〜13dそれぞれのport4から合成器103の入力までの経路長は全て等しい。この経路長をL8とする。
【0051】
冗長化増幅器10の動作について説明する。現用増幅器は増幅器12b〜12eの4台であり、予備増幅器は増幅器12a、12fの2台である。現用増幅器が全て正常に動作しているとき、図11のようにRスイッチ11a〜11d、13a〜13dは全てモード1にある。本実施形態において、途中で経由する増幅器に関わらず、分配器101の出力から合成器103の入力に至るまでの経路を、冗長化増幅器10に入出力するRスイッチのポートに応じて次のように呼ぶものとする。即ち、Rスイッチ11aのport2から入力され、Rスイッチ13aのport4から出力される経路を経路R1、Rスイッチ11bのport2から入力され、Rスイッチ13bのport4から出力される経路を経路R2、Rスイッチ11cのport2から入力され、Rスイッチ13cのport4から出力される経路を経路R3、Rスイッチ11dのport2から入力され、Rスイッチ13dのport4から出力される経路を経路R4と呼ぶものとする。
【0052】
ここで、増幅器12b及び12cの少なくとも一方で障害が発生したとする。障害は増幅器12b及び12cのどちらか一方だけでもよいし、両方であってもよい。このとき、図13に示すようにRスイッチ11a〜11d、13a〜13dを切り替える。即ち、経路R1が経由する増幅器を増幅器12bから増幅器12aに変更するため、Rスイッチ11aをモード3に、Rスイッチ13aをモード2にそれぞれ切り替える。経路R2が経由する増幅器を増幅器12cから増幅器12dに変更するため、Rスイッチ11b、11cをモード2に、Rスイッチ13b、13cをモード3にそれぞれ切り替える。更に、経路R3が経由する増幅器を増幅器12dから増幅器12eに変更し、経路R4が経由する増幅器を増幅器12eから増幅器12fに変更するため、Rスイッチ11dをモード2に、Rスイッチ13dをモード3にそれぞれ切り替える。このとき、増幅器12b及び12cは経路R1〜R4から分離される。
【0053】
或いは、ここで増幅器12c及び12dの少なくとも一方で障害が発生したものとする。先と同様に、障害は増幅器12c及び12dのどちらか一方だけでもよいし、両方であってもよい。このとき、図14に示すようにRスイッチ11a〜11d、13a〜13dを切り替える。即ち、経路R1が経由する増幅器を増幅器12bから増幅器12aに変更するため、Rスイッチ11aをモード3に、Rスイッチ13aをモード2にそれぞれ切り替える。経路R2が経由する増幅器を増幅器12cから増幅器12bに変更するため、Rスイッチ11bをモード3に、Rスイッチ13bをモード2にそれぞれ切り替える。経路R3が経由する増幅器を増幅器12dから増幅器12eに変更し、経路R4が経由する増幅器を増幅器12eから増幅器12fに変更するため、Rスイッチ11dをモード2に、Rスイッチ13dをモード3にそれぞれ切り替える。このとき、増幅器12c及び12dは経路R1〜R4から分離される。
【0054】
増幅器12d及び12eの少なくとも一方で障害が発生したときの動作については、冗長化増幅器10が上下に対称であり、図13及び対応する説明から容易に類推可能なので説明を省略する。
【0055】
切替前の経路R1〜R4の経路長は、いずれも、L3+L1+L5+L2+L6+L1+L8=2L1+L2+L3+L5+L6+L8である。このとき経路R1〜R4は、いずれも、2台のRスイッチと1台の増幅器を経由する直線的な経路なので、経路長が一致することは図11から視覚的に即座に理解されるであろう。
【0056】
一方、切替後の経路R1〜R4は、入力スイッチ11及び出力スイッチ13の対応するRスイッチの間の直線上に接続された増幅器ではなく、その増幅器の隣に配置された増幅器を経由する迂回した経路を辿るが、2台のRスイッチを経由する経路と、4台のRスイッチを経由する経路の2種類がある。例えば、図13の接続状態では、経路R1はRスイッチ11a、13aの2台を経由するが、経路R2はRスイッチ11b、11c、13b、13cの4台を経由する。
【0057】
このように経由するRスイッチの数が異なる2通りの経路があるが、Rスイッチ2台を経由する経路においてRスイッチと増幅器との間を繋ぐ経路の長さを適切に定めることにより、Rスイッチ4台を経由する経路と経路長を一致させている。例えば、図13の接続状態において、分配器101から合成器103までの経路長を順番に足していくと、経路R1の経路長は、L3+L1+(L1+L4+L5)+L2+(L1+L6+L7)+L1+L8=4L1+L2+L3+L4+L5+L6+L7+L8である。同様にして経路R2の経路長を求めると、L3+L1+L4+L1+L5+L2+L6+L1+L7+L1+L8=4L1+L2+L3+L4+L5+L6+L7+L8である。従って、切替後の経路R1及びR2の経路の経路長は等しい。経路R3、R4についても同様である。
【0058】
尚、切替の前後で経路長を比較すると、上述のように、切替前のR1〜R4の経路長は2L1+L2+L3+L5+L6+L8であるのに対して、切替後のR1〜R4の経路長は4L1+L2+L3+L4+L5+L6+L7+L8であり、切替後の方が2L1+L4+L7だけ長い。これに対して、実施形態1では、現用増幅器のみを経由する4経路から予備増幅器を含む4経路に切り替える前後において経路長は変化しない。
【0059】
本実施形態では、増幅器を直線状に配置し、その両端に配置した増幅器を予備増幅器とし、予備増幅器の間に配置された現用増幅器のいずれかで障害が発生すると、その現用増幅器を含み、かつ、互いに隣接する2台の増幅器を回避するような迂回経路を確立する。このため、互いに隣接した2台であるという制限はあるものの、最大2台の現用増幅器の障害に対応可能な冗長化を行なうことができる。本実施形態は、4台の現用増幅器と2台の予備増幅器からなる冗長化構成だが、より一般化したn台(nは3以上の自然数)の現用増幅器と2台の予備増幅器からなる冗長化構成を取り、互いに隣接する2台の現用増幅器迄の障害に対応可能な冗長化増幅器とすることができる。従って、原則として2の乗数、即ち8台、16台…といった台数の増幅器を搭載するMPAにも本実施形態は適用可能である。
【0060】
以上、本発明を実施の形態に則して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記の実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載されうるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
(付記1)
入力P1、P2、…、Pm、出力Q1、Q2、…、Qn(m、nは自然数、m<n)を備え、m個の入力P1、P2、…、Pmと、n個の出力Q1、Q2、…、Qnのうちのm個とを一対一に接続する切替を行なう第1のスイッチと、
入力R1、R2、…、Rn、出力S1、S2、…、Smを備え、n個の入力R1、R2、…、Rnのうちのm個と、m個の出力S1、S2、…、Smとを一対一に接続する切替を行なう第2のスイッチと、
第1のスイッチの出力Q1、Q2、…、Qnと、第2のスイッチの入力R1、R2、…、Rnとの間に一対一に接続されたn個の同じ増幅器A1、A2、…、Anとを備え、
第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態により、入力P1と出力S1、入力P2と出力S2、…、入力Pmと出力Smとを接続する信号経路L1、L2、…、Lmであって、それぞれ、増幅器A1、A2、…、Anのいずれかひとつを介して接続する信号経路L1、L2、…、Lmを形成し、
前記接続状態の少なくとも2種類において、信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しい
ことを特徴とする冗長化増幅器。
【0062】
(付記2)
前記第1及び第2のスイッチは、それぞれ、互いに接続された複数の導波管スイッチからなることを特徴とする付記1に記載の冗長化増幅器。
【0063】
(付記3)
前記複数の導波管スイッチは、それぞれ、4つのポートと、当該4つのポートのうちの2つを互いに接続可能な2本の導波管とを備えることを特徴とする付記2に記載の冗長化増幅器。
【0064】
(付記4)
前記複数の導波管スイッチは、それぞれ、4つのポートと、当該4つのポートのうちの2つを互いに接続可能な3本の導波管とを備えることを特徴とする付記2に記載の冗長化増幅器。
【0065】
(付記5)
信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しい第1の組み合わせにおける信号経路長である第1の信号経路長と、信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しい第2の組み合わせにおける信号経路長である第2の信号経路長とが等しいことを特徴とする付記1に記載の冗長化増幅器。
【0066】
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の冗長化増幅器と、
入力された信号をm本に分配し、分配したm本の信号をそれぞれ第1のスイッチの入力P1、P2、…、Pmに一対一に入力する分配器と、
第2のスイッチの出力S1、S2、…、Smから入力されたm本の信号を合成して出力する合成器と
を備えることを特徴とする信号増幅装置。
【0067】
(付記7)
第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号が、それぞれ、n個の増幅器のうち予め定められたm個の現用系増幅器のいずれかを介する信号経路であって、互いに同じ第1の経路長を有するm本の信号経路からなる第1の信号経路群を通過して、第2のスイッチのm本の出力それぞれから出力される段階(m、nは自然数、m<n)と、
前記m個の現用系増幅器のうち少なくともひとつにて障害が発生する段階と、
前記第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態を変更することにより、現用系増幅器のうち障害が発生していないものと、前記n個の増幅器のうち予め定められたn−m個の冗長系増幅器とのいずれかを介する信号経路であって、互いに同じ第2の経路長を有するm本の信号経路からなる第2の信号経路群を形成する段階と、
第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号が、前記第2の信号経路群を通過して、第2のスイッチのm本の出力それぞれから出力される段階と
を含むことを特徴とする冗長化増幅器の切替方法。
【0068】
(付記8)
前記第1及び第2のスイッチは、それぞれ、互いに接続された複数の導波管スイッチからなることを特徴とする付記7に記載の冗長化増幅器の切替方法。
【0069】
(付記9)
前記複数の導波管スイッチは、それぞれ、4つのポートと、当該4つのポートのうちの2つを互いに接続可能な2本の導波管とを備えることを特徴とする付記8に記載の冗長化増幅器の切替方法。
【0070】
(付記10)
前記複数の導波管スイッチは、それぞれ、4つのポートと、当該4つのポートのうちの2つを互いに接続可能な3本の導波管とを備えることを特徴とする付記8に記載の冗長化増幅器の切替方法。
【0071】
(付記11)
第1の信号経路長と第2の信号経路長とが等しいことを特徴とする付記7に記載の冗長化増幅器の切替方法。
【0072】
(付記12)
第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号は、分配器にて1本の信号から分配された信号であり、
第2のスイッチのm本の出力は、合成器にて1本の信号に合成される
ことを特徴とする付記7乃至11のいずれかに記載の冗長化増幅器の切替方法。
【符号の説明】
【0073】
1、100 信号増幅装置
2、10 冗長化増幅器
3、11 入力スイッチ
3a〜3g、5a〜5g 導波管スイッチ(Cスイッチ)
4a〜4e、12a〜12f 増幅器
5、13 出力スイッチ
11a〜11d、13a〜13d 導波管スイッチ(Rスイッチ)
101 分配器
102 合成器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
m個の入力P1、P2、…、Pmと、n個の出力Q1、Q2、…、Qn(m、nは自然数、m<n)のうちのm個とを一対一に接続する切替を行なう第1のスイッチと、
n個の入力R1、R2、…、Rnのうちのm個と、m個の出力S1、S2、…、Smとを一対一に接続する切替を行なう第2のスイッチと、
第1のスイッチの出力Q1、Q2、…、Qnと、第2のスイッチの入力R1、R2、…、Rnとの間に一対一に接続されたn個の同じ増幅器A1、A2、…、Anとを備え、
第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態により、入力P1と出力S1、入力P2と出力S2、…、入力Pmと出力Smとを接続する信号経路L1、L2、…、Lmであって、それぞれ、増幅器A1、A2、…、Anのいずれかひとつを介して接続する信号経路L1、L2、…、Lmを形成し、
前記接続状態の少なくとも2種類において、信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しい
ことを特徴とする冗長化増幅器。
【請求項2】
前記第1及び第2のスイッチは、それぞれ、互いに接続された複数の導波管スイッチからなることを特徴とする請求項1に記載の冗長化増幅器。
【請求項3】
前記複数の導波管スイッチは、それぞれ、4つのポートと、当該4つのポートのうちの2つを互いに接続可能な2本の導波管とを備えることを特徴とする請求項2に記載の冗長化増幅器。
【請求項4】
前記複数の導波管スイッチは、それぞれ、4つのポートと、当該4つのポートのうちの2つを互いに接続可能な3本の導波管とを備えることを特徴とする請求項2に記載の冗長化増幅器。
【請求項5】
信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しい第1の接続状態における信号経路長である第1の信号経路長と、前記第1の接続状態とは異なる接続状態であって、信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しい第2の接続状態における信号経路長である第2の信号経路長とが等しいことを特徴とする請求項1に記載の冗長化増幅器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の冗長化増幅器と、
入力された信号をm本に分配し、分配したm本の信号をそれぞれ第1のスイッチの入力P1、P2、…、Pmに一対一に入力する分配器と、
第2のスイッチの出力S1、S2、…、Smから入力されたm本の信号を合成して出力する合成器と
を備えることを特徴とする信号増幅装置。
【請求項7】
第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号が、それぞれ、n個の増幅器のうち予め定められたm個の現用系増幅器のいずれかを介する信号経路であって、互いに同じ第1の経路長を有するm本の信号経路からなる第1の信号経路群を通過して、第2のスイッチのm本の出力それぞれから出力される段階(m、nは自然数、m<n)と、
前記m個の現用系増幅器のうち少なくともひとつにて障害が発生する段階と、
前記第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態を変更することにより、現用系増幅器のうち障害が発生していないものと、前記n個の増幅器のうち予め定められたn−m個の冗長系増幅器とのいずれかを介する信号経路であって、互いに同じ第2の経路長を有するm本の信号経路からなる第2の信号経路群を形成する段階と、
第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号が、前記第2の信号経路群を通過して、第2のスイッチのm本の出力それぞれから出力される段階と
を含むことを特徴とする冗長化増幅器の切替方法。
【請求項8】
前記第1及び第2のスイッチは、それぞれ、互いに接続された複数の導波管スイッチからなることを特徴とする請求項7に記載の冗長化増幅器の切替方法。
【請求項9】
第1の信号経路長と第2の信号経路長とが等しいことを特徴とする請求項7に記載の冗長化増幅器の切替方法。
【請求項10】
第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号は、分配器にて1本の信号から分配された信号であり、
第2のスイッチのm本の出力は、合成器にて1本の信号に合成される
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の冗長化増幅器の切替方法。
【請求項1】
m個の入力P1、P2、…、Pmと、n個の出力Q1、Q2、…、Qn(m、nは自然数、m<n)のうちのm個とを一対一に接続する切替を行なう第1のスイッチと、
n個の入力R1、R2、…、Rnのうちのm個と、m個の出力S1、S2、…、Smとを一対一に接続する切替を行なう第2のスイッチと、
第1のスイッチの出力Q1、Q2、…、Qnと、第2のスイッチの入力R1、R2、…、Rnとの間に一対一に接続されたn個の同じ増幅器A1、A2、…、Anとを備え、
第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態により、入力P1と出力S1、入力P2と出力S2、…、入力Pmと出力Smとを接続する信号経路L1、L2、…、Lmであって、それぞれ、増幅器A1、A2、…、Anのいずれかひとつを介して接続する信号経路L1、L2、…、Lmを形成し、
前記接続状態の少なくとも2種類において、信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しい
ことを特徴とする冗長化増幅器。
【請求項2】
前記第1及び第2のスイッチは、それぞれ、互いに接続された複数の導波管スイッチからなることを特徴とする請求項1に記載の冗長化増幅器。
【請求項3】
前記複数の導波管スイッチは、それぞれ、4つのポートと、当該4つのポートのうちの2つを互いに接続可能な2本の導波管とを備えることを特徴とする請求項2に記載の冗長化増幅器。
【請求項4】
前記複数の導波管スイッチは、それぞれ、4つのポートと、当該4つのポートのうちの2つを互いに接続可能な3本の導波管とを備えることを特徴とする請求項2に記載の冗長化増幅器。
【請求項5】
信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しい第1の接続状態における信号経路長である第1の信号経路長と、前記第1の接続状態とは異なる接続状態であって、信号経路L1、L2、…、Lmの長さが全て等しい第2の接続状態における信号経路長である第2の信号経路長とが等しいことを特徴とする請求項1に記載の冗長化増幅器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の冗長化増幅器と、
入力された信号をm本に分配し、分配したm本の信号をそれぞれ第1のスイッチの入力P1、P2、…、Pmに一対一に入力する分配器と、
第2のスイッチの出力S1、S2、…、Smから入力されたm本の信号を合成して出力する合成器と
を備えることを特徴とする信号増幅装置。
【請求項7】
第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号が、それぞれ、n個の増幅器のうち予め定められたm個の現用系増幅器のいずれかを介する信号経路であって、互いに同じ第1の経路長を有するm本の信号経路からなる第1の信号経路群を通過して、第2のスイッチのm本の出力それぞれから出力される段階(m、nは自然数、m<n)と、
前記m個の現用系増幅器のうち少なくともひとつにて障害が発生する段階と、
前記第1及び第2のスイッチのそれぞれにおける入出力間の接続状態を変更することにより、現用系増幅器のうち障害が発生していないものと、前記n個の増幅器のうち予め定められたn−m個の冗長系増幅器とのいずれかを介する信号経路であって、互いに同じ第2の経路長を有するm本の信号経路からなる第2の信号経路群を形成する段階と、
第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号が、前記第2の信号経路群を通過して、第2のスイッチのm本の出力それぞれから出力される段階と
を含むことを特徴とする冗長化増幅器の切替方法。
【請求項8】
前記第1及び第2のスイッチは、それぞれ、互いに接続された複数の導波管スイッチからなることを特徴とする請求項7に記載の冗長化増幅器の切替方法。
【請求項9】
第1の信号経路長と第2の信号経路長とが等しいことを特徴とする請求項7に記載の冗長化増幅器の切替方法。
【請求項10】
第1のスイッチに同時に入力されたm本の信号は、分配器にて1本の信号から分配された信号であり、
第2のスイッチのm本の出力は、合成器にて1本の信号に合成される
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の冗長化増幅器の切替方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−78023(P2013−78023A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217346(P2011−217346)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(301072650)NEC東芝スペースシステム株式会社 (62)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(301072650)NEC東芝スペースシステム株式会社 (62)
【Fターム(参考)】
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