説明

冷凍冷蔵庫

【課題】電力消費を削減できる二元冷凍サイクルを備えた冷凍冷蔵庫を提供する。
【解決手段】第1圧縮機11により運転される第1冷凍サイクル10と、第2圧縮機21により運転される第2冷凍サイクル20とを有した二元冷凍サイクル30を備え、第1冷凍サイクルに設けた第1蒸発器14により冷蔵室3を冷却して第2冷凍サイクル20に設けた第2蒸発器24により冷凍室4を冷却する冷凍冷蔵庫1において、冷凍室4の扉4aが所定期間継続して開かれた状態を維持される冷凍室扉異常開成時に、第2圧縮機21を停止するとともに冷蔵室3の温度に基づいて第1圧縮機11を駆動して冷蔵室3の冷却を行い、冷蔵室3の扉3aが所定期間継続して開かれた状態を維持される冷蔵室扉異常開成時に、冷凍室4の温度に基づいて第1圧縮機11及び第2圧縮機21を駆動して冷凍室4の冷却を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二元冷凍サイクルを備えた冷凍冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍冷蔵庫は特許文献1に開示されている。この冷凍冷蔵庫は第1圧縮機により運転される第1冷凍サイクルと第2圧縮機により運転される第2冷凍サイクルとを有する二元冷凍サイクルを備えている。二元冷凍サイクルには第1冷凍サイクルの低温部と第2冷凍サイクルの高温部との間で熱交換を行う中間熱交換器が設けられる。また、第1冷凍サイクルの低温部には第1蒸発器が設けられ、第2冷凍サイクルの低温部には第2蒸発器が設けられる。
【0003】
第1圧縮機の駆動によって第1冷凍サイクルの低温部の中間熱交換器及び第1蒸発器が低温に維持される。第1送風機の駆動により第1蒸発器と熱交換した冷気が冷蔵室に送出される。これにより、冷蔵室を冷却することができる。
【0004】
また、第2圧縮機の駆動によって第2冷凍サイクルの冷媒が中間熱交換器で放熱して凝縮される。第2冷凍サイクルの低温部の第2蒸発器は中間熱交換器よりも更に低温に維持される。第2送風機の駆動により第2蒸発器と熱交換した冷気は冷凍室に送出される。これにより、冷凍室を冷蔵室よりも低温に冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−300000号公報(第5頁−第10頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の冷凍冷蔵庫によると、冷蔵室や冷凍室の扉が使用者の閉め忘れによって所定期間継続して開かれた状態を維持される扉異常開成状態になると、室内が外気と接触するため所定の温度まで冷却できなくなる。このため、冷却動作が継続し、冷凍冷蔵庫の電力消費が大きくなる問題があった。
【0007】
本発明は、扉異常開成時の電力消費を削減できる二元冷凍サイクルを備えた冷凍冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、貯蔵物を冷蔵保存する冷蔵室と、貯蔵物を冷凍保存する冷凍室と、第1冷媒が流通する第1冷凍サイクルを運転する第1圧縮機と、第2冷媒が流通する第2冷凍サイクルを運転する第2圧縮機と、第1冷凍サイクルの低温部に配される第1蒸発器と、第1冷凍サイクルの低温部と第2冷凍サイクルの高温部との間で熱交換を行う中間熱交換器と、第2冷凍サイクルの低温部に配される第2蒸発器とを備え、第1蒸発器により前記冷蔵室を冷却するとともに第2蒸発器により前記冷凍室を冷却する冷凍冷蔵庫において、
前記冷凍室の扉が所定期間継続して開かれた状態を維持される冷凍室扉異常開成時に、第2圧縮機を停止するとともに前記冷蔵室の温度に基づいて第1圧縮機を駆動して前記冷蔵室の冷却を行い、前記冷蔵室の扉が所定期間継続して開かれた状態を維持される冷蔵室扉異常開成時に、前記冷凍室の温度に基づいて第1圧縮機及び第2圧縮機を駆動して前記冷凍室の冷却を行うことを特徴としている。
【0009】
この構成によると、冷蔵室が所定温度よりも高温になると第1圧縮機が駆動される。これにより、第1冷媒が流通して第1冷凍サイクルが運転される。第1冷凍サイクルの低温部に配される第1蒸発器と熱交換した冷気は冷蔵室に送出され、冷蔵室の冷却が行われる。冷蔵室が所定温度まで冷却されると、第1圧縮機が停止される。
【0010】
冷凍室が所定温度よりも高温になると第1圧縮機及び第2圧縮機が駆動される。これにより、第1冷媒が流通して第1冷凍サイクルが運転され、第2冷媒が流通して第2冷凍サイクルが運転される。第2冷媒は中間熱交換器で放熱して凝縮され、第2冷凍サイクルの低温部に配される第2蒸発器は中間熱交換器よりも更に低温に維持される。第2蒸発器と熱交換した冷気は冷凍室に送出され、冷凍室が冷却される。冷凍室が所定温度まで冷却されると、第1圧縮機及び第2圧縮機が停止される。
【0011】
冷凍室の扉を閉め忘れて冷凍室扉異常開成の状態になると、冷凍室の温度に拘わらず第2圧縮機が停止される。そして、第1圧縮機を駆動及び停止して冷蔵室が冷却される。冷蔵室の扉を閉め忘れて冷蔵室扉異常開成の状態になると、冷蔵室の温度に拘わらず第1圧縮機及び第2圧縮機を駆動及び停止して冷凍室が冷却される。
【0012】
また本発明は、上記構成の冷凍冷蔵庫において、前記冷蔵室の扉及び前記冷凍室の扉が閉じた通常状態で第1圧縮機及び第2圧縮機を同時に駆動した際に第1圧縮機の回転数が所定の範囲内で可変され、前記冷蔵室扉異常開成時に駆動される第1圧縮機の回転数を該範囲の最小回転数以下にしたことを特徴としている。
【0013】
この構成によると、冷蔵室の扉及び冷凍室の扉を閉じた通常状態で第1圧縮機及び第2圧縮機が同時に駆動されると、第1圧縮機の回転数が所定の範囲内で可変される。これにより、冷蔵室の過冷却が抑制される。冷蔵室扉異常開成時に第1圧縮機及び第2圧縮機の駆動により冷凍室が冷却される。この時、第1圧縮機が上記範囲の最小回転数以下の回転数で駆動される。
【0014】
また本発明は、上記構成の冷凍冷蔵庫において、前記冷蔵室扉異常開成時に、前記冷凍室の温度が所定の上限温度よりも高温になると第1圧縮機及び第2圧縮機を駆動し、前記冷凍室の温度が所定の下限温度よりも低温になると第1圧縮機及び第2圧縮機を停止することを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の冷凍冷蔵庫において、前記冷凍室扉異常開成時に、前記冷蔵室の温度が所定の上限温度よりも高温になると第1圧縮機を駆動し、前記冷蔵室の温度が所定の下限温度よりも低温になると第1圧縮機を停止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、冷凍室扉異常開成時に第2圧縮機を停止して冷蔵室の温度に基づいて第1圧縮機を駆動し、冷蔵室を冷却する。また、冷蔵室扉異常開成時に冷凍室の温度に基づいて第1圧縮機及び第2圧縮機を駆動し、冷凍室を冷却する。従って、扉が開いた状態の貯蔵室が高温であっても第1圧縮機及び第2圧縮機を停止し、冷凍冷蔵庫の無駄な電力消費を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の冷凍冷蔵庫の概略構成図
【図2】本発明の実施形態の冷凍冷蔵庫の冷凍サイクルを示す図
【図3】本発明の実施形態の冷凍冷蔵庫の動作を示すフローチャート
【図4】本発明の実施形態の冷凍冷蔵庫の冷凍室扉異常開成処理の動作を示すフローチャート
【図5】本発明の実施形態の冷凍冷蔵庫の冷蔵室扉異常開成処理の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の冷凍冷蔵庫の概略構成図である。冷凍冷蔵庫1は発泡断熱材を充填した断熱箱体2を備え、断熱箱体2の上部に貯蔵物を冷蔵保存する冷蔵室3が配される。断熱箱体2の下部には貯蔵物を冷凍保存する冷凍室4が配され、冷蔵室3と冷凍室4とは断熱壁2aにより仕切られる。冷蔵室3及び冷凍室4の前面はそれぞれ断熱材を充填した扉3a、4aにより開閉される。
【0019】
冷凍室4の後方には機械室5が設けられる。機械室5内には詳細を後述する第1冷凍サイクル10及び第2冷凍サイクル20(図2参照)をそれぞれ運転する第1、第2圧縮機11、21が配される。冷蔵室3の背面には第1圧縮機11に接続される第1蒸発器14が配され、第1蒸発器14の上方には第1送風機15が配される。冷凍室4の背面には第2圧縮機21に接続される第2蒸発器24が配され、第2蒸発器24の上方には第2送風機25が配される。
【0020】
機械室5内には冷凍冷蔵庫1の各部を制御する制御部7が設けられる。制御部7には第1圧縮機11、第2圧縮機21、第1送風機15、第2送風機25が接続される。第1圧縮機11及び第2圧縮機21は制御部7内に設けられる圧縮機制御部(不図示)によって制御される。第1送風機15及び第2送風機25は制御部7内に設けられる送風機制御部(不図示)によって制御される。
【0021】
また、制御部7には周囲温度センサ9、冷蔵室温度センサ19、冷凍室温度センサ29、冷蔵室扉センサ41、冷凍室扉センサ42が接続される。周囲温度センサ9は断熱箱体2の上面に設けられ、冷凍冷蔵庫1の周囲温度である外気温を検知する。冷蔵室温度センサ19は冷蔵室3の室内温度を検知する。冷凍室温度センサ29は冷凍室4の室内温度を検知する。
【0022】
冷蔵室扉センサ41は冷蔵室3の扉3aの開閉状態を検知する。これにより、冷蔵室3の扉3aが閉め忘れによって所定時間継続して開かれた状態を維持される冷蔵室扉異常開成の状態か否かを検知することができる。冷蔵室扉異常開成の状態を他の方法により検知してもよく、例えば冷蔵室温度センサ19の検知温度によって検知することができる。
【0023】
冷凍室扉センサ42は冷凍室4の扉4aの開閉状態を検知する。これにより、冷凍室4の扉4aが閉め忘れによって所定時間継続して開かれた状態を維持される冷凍室扉異常開成の状態か否かを検知することができる。冷凍室扉異常開成の状態を他の方法により検知してもよく、例えば冷凍室温度センサ29の検知温度によって検知することができる。
【0024】
第1蒸発器14と熱交換して冷却された冷気は第1送風機15により冷蔵室3に吐出される。該冷気は冷蔵室3内を流通し、冷蔵室3の下部から第1蒸発器14に戻る。これにより、冷蔵室3が冷却される。第2蒸発器24と熱交換して冷却された冷気は第2送風機25により冷凍室4に吐出される。冷凍室4に吐出された冷気は冷凍室4内を流通し、第2蒸発器24に戻る。これにより、冷凍室4が冷却される。
【0025】
図2は冷凍冷蔵庫1の冷凍サイクルを示している。冷凍冷蔵庫1の冷凍サイクル30は第1冷凍サイクル10及び第2冷凍サイクル20が中間熱交換器31により連結されたカスケード式の二元冷凍サイクルになっている。第1圧縮機11により運転される第1冷凍サイクル10は冷媒管16により接続される第1放熱器12、第1減圧装置13、第1蒸発器14を有している。冷媒管16内にはイソブタン等の第1冷媒が矢印S1の方向に流通する。即ち、第1冷媒は第1圧縮機11、第1放熱器12、第1減圧装置13、第1蒸発器14、第1圧縮機11の順に通って循環する。第1減圧装置13はキャピラリチューブにより形成される。
【0026】
第2圧縮機21により運転される第2冷凍サイクル20は冷媒管26により接続される第2放熱器22、第2減圧装置23、第2蒸発器24を有している。冷媒管26内にはイソブタン等の第2冷媒が矢印S2の方向に流通する。即ち、第2冷媒が第2圧縮機21、第2放熱器22、第2減圧装置23、第2蒸発器24、第2圧縮機21の順に通って循環する。第2減圧装置23はキャピラリチューブにより形成される。
【0027】
中間熱交換器31は第1冷凍サイクル10に設けた熱交換部31aと第2冷凍サイクル20に設けた熱交換部31bとを隣接し、互いに壁面を介して熱交換可能に形成される。熱交換部31aは第1蒸発器14の後段に配され、熱交換部31bは第2放熱器22の後段に配される。
【0028】
上記構成の冷凍冷蔵庫1において、第1、第2圧縮機11、21の駆動によって冷媒管16、26をそれぞれ第1、第2冷媒が流通する。第1、第2圧縮機11、21は第1、第2冷媒を圧縮して高温高圧にし、第1、第2減圧装置13、23は第1、第2冷媒を減圧、膨張して低温低圧にする。
【0029】
従って、第1冷媒が第1圧縮機11を流出して第1減圧装置13に流入するまでの間は第1冷凍サイクル10の高温部となる。第2冷媒が第2圧縮機21を流出して第2減圧装置23に流入するまでの間は第2冷凍サイクル20の高温部となる。また、第1冷媒が第1減圧装置13を流出して第1圧縮機11に流入するまでの間は第1冷凍サイクル10の低温部となる。第2冷媒が第2減圧装置23を流出して第2圧縮機21に流入するまでの間は第2冷凍サイクル20の低温部となる。
【0030】
第1圧縮機11で圧縮された高温高圧の第1冷媒は第1放熱器12で周囲空気に熱を奪われて凝縮する。第1放熱器12で液化した第1冷媒は第1減圧装置13に流入する。第1冷媒は第1減圧装置13で減圧、膨張し、乾き度が低い低温の湿り蒸気となる。
【0031】
低温の湿り蒸気となった第1冷媒は第1蒸発器14に流入し、冷蔵室3の冷気から熱を奪って蒸発して乾き度の高い湿り蒸気となる。第1蒸発器14から流出した湿り蒸気状態の第1冷媒は中間熱交換器31に流入し、第2冷凍サイクルの高温部の第2冷媒から熱を奪いながら蒸発して過熱蒸気となる。過熱蒸気となった第1冷媒が第1圧縮機11に戻る。これにより、第1冷媒が循環して第1冷凍サイクル10が運転される。
【0032】
第2圧縮機21で圧縮された高温高圧の第2冷媒は第2放熱器22で周囲空気に熱を奪われる。第2放熱器22で降温された第2冷媒は中間熱交換器31に流入し、第1冷凍サイクル10の低温部の第1冷媒に熱を奪われて更に冷却されて凝縮する。液化した第2冷媒は第2減圧装置23に流入する。第2冷媒は第2減圧装置23で減圧、膨張し、低温の湿り蒸気となる。低温の湿り蒸気となった第2冷媒は第2蒸発器24に流入し、冷凍室4の冷気から熱を奪って蒸発して第2圧縮機21に戻る。このように、第2圧縮機21の駆動によって第2冷媒が循環して第2冷凍サイクル20が運転される。
【0033】
冷蔵室3は制御部7の制御により所定の下限温度Tre(例えば、1℃)と上限温度Trs(例えば、5℃)との間の温度範囲に維持される。冷凍室4も同様に制御部7の制御により所定の下限温度Tfe(例えば、−22℃)と上限温度Tfs(例えば、−18℃)との間の温度範囲に維持される。
【0034】
図3は冷凍冷蔵庫1の動作を示すフローチャートである。冷凍冷蔵庫1に電源が投入されると、ステップ#11でフラグF1、F2は初期化されて0が代入される。フラグF1は第1圧縮機11の停止時に0が代入され、駆動時に1が代入される。フラグF2は第2圧縮機21の停止時に0が代入され、駆動時に1が代入される。
【0035】
ステップ#12では冷凍室扉センサ42の検知によって冷凍室扉異常開成の状態か否かが判断される。冷凍室扉異常開成の状態の場合はステップ#13で冷凍室扉異常開成処理に移行する。冷凍室扉異常開成の状態でない場合はステップ#14に移行する。
【0036】
ステップ#14では冷蔵室扉センサ41の検知によって冷蔵室扉異常開成の状態か否かが判断される。冷蔵室扉異常開成の状態の場合はステップ#15で冷蔵室扉異常開成処理に移行する。冷蔵室扉異常開成の状態でない場合はステップ#21に移行する。
【0037】
ステップ#21ではフラグF2が1か否かが判断される。フラグF2が1でない場合はステップ#31に移行し、フラグF2が1の場合はステップ#22に移行する。フラグF2が1の時に第2圧縮機21が駆動されている。この時、後述するように、第1圧縮機11も同時に駆動されており、フラグF1に1が代入されている。これにより、冷凍室4が冷却中の状態になっている。
【0038】
ステップ#22では冷凍室温度センサ29の検知によって冷凍室4の温度が下限温度Tfe以下になったか否かが判断される。冷凍室4の温度が下限温度Tfeよりも高温の場合はステップ#12に戻る。冷凍室4の温度が下限温度Tfe以下になると、ステップ#23に移行する。
【0039】
ステップ#23では冷蔵室温度センサ19の検知によって冷蔵室3の温度が下限温度Tre以下になったか否かが判断される。冷蔵室3の温度が下限温度Tre以下になった場合は冷蔵室3及び冷凍室4の冷却が完了している。このため、ステップ#24でフラグF1及びフラグF2に0が代入され、ステップ#25で第1圧縮機11及び第2圧縮機21が停止される。そして、ステップ#12に戻る。
【0040】
ステップ#23の判断で冷蔵室3の温度が下限温度Treよりも高温の場合は冷凍室4の冷却が完了し、冷蔵室3の冷却が未完了である。このため、ステップ#26でフラグF2に0が代入され、ステップ#27で第2圧縮機21が停止される。これにより、冷蔵室3の冷却が継続し、ステップ#12に戻る。
【0041】
ステップ#21の判断でフラグF2が1でない場合はステップ#31でフラグF1が1か否かが判断される。フラグF1が1でない場合はステップ#41に移行し、フラグF1が1の場合はステップ#32に移行する。フラグF1が1の時に第1圧縮機11が駆動されており、第2圧縮機21が停止されているため冷蔵室3のみが冷却中である。
【0042】
ステップ#32では冷凍室温度センサ29の検知によって冷凍室4の温度が上限温度Tfs以上になったか否かが判断される。冷凍室4の温度が上限温度Tfsよりも低温の場合はステップ#33に移行する。
【0043】
ステップ#33では冷蔵室温度センサ19の検知によって冷蔵室3の温度が下限温度Tre以下になったか否かが判断される。冷蔵室3の温度が下限温度Treよりも高温の場合はステップ#12に戻り、冷蔵室3の冷却が継続する。冷蔵室3の温度が下限温度Tre以下になった場合は冷蔵室3及び冷凍室4の冷却が完了している。このため、ステップ#34でフラグF1に0が代入され、ステップ#35で第1圧縮機11が停止される。そして、ステップ#12に戻る。
【0044】
ステップ#32の判断で冷凍室4の温度が上限温度Tfs以上になった場合はステップ#36に移行する。ステップ#36ではフラグF2に1が代入され、ステップ#37で第2圧縮機21が駆動される。これにより、冷凍室4の冷却が開始され、ステップ#12に戻る。
【0045】
ステップ#31の判断でフラグF1が1でない場合は第1圧縮機11及び第2圧縮機21が停止されている。ステップ#41では冷凍室4の温度が上限温度Tfs以上になったか否かが判断される。冷凍室4の温度が上限温度Tfs以上になった場合はステップ#42に移行する。ステップ#42ではフラグF1及びフラグF2に1が代入され、ステップ#43で第1圧縮機11及び第2圧縮機21が駆動される。これにより、冷凍室4の冷却が開始され、ステップ#12に戻る。この時、冷蔵室3も同時に冷却される。
【0046】
ステップ#41の判断で冷凍室4の温度が上限温度Tfsよりも低温の場合はステップ#44に移行する。ステップ#44では冷蔵室3の温度が上限温度Trs以上か否かが判断される。冷蔵室3の温度が上限温度Trsよりも低温の場合はステップ#12に戻る。
【0047】
冷蔵室3の温度が上限温度Trs以上の場合はステップ#45に移行する。ステップ#45ではフラグF1に1が代入され、ステップ#46で第1圧縮機11が駆動される。これにより、冷蔵室3の冷却が開始され、ステップ#12に戻る。
【0048】
尚、冷凍室4の冷却中は第1圧縮機11及び第2圧縮機21が同時に駆動され、冷蔵室3が過冷却となる場合がある。このため、第1圧縮機11の回転数が冷蔵室3の温度及び冷凍室4の温度に応じて所定の範囲内で可変される。即ち、冷凍室4が下限温度Tfeに到達する前に冷蔵室3が下限温度Treよりも低温になると予測される場合に第1圧縮機11が回転数を小さくして低速回転される。これにより、冷蔵室3が下限温度Treよりも低温の状態で第1圧縮機11及び第2圧縮機21が駆動されることによる冷蔵室3の過冷却を抑制することができる。
【0049】
図4は冷凍室扉異常開成処理の動作を示すフローチャートである。冷凍室扉異常開成処理に移行すると、冷凍室4の温度に拘わらずステップ#51でフラグF2に0が代入され、ステップ#52で第2圧縮機21が停止される。ステップ#53では冷蔵室扉センサ41の検知によって冷蔵室扉異常開成の状態か否かが判断される。
【0050】
冷蔵室扉異常開成の状態の場合はステップ#56に移行してフラグF1に0が代入され、ステップ#57で第1圧縮機11が停止される。そして、図4のステップ#12に戻る。これにより、冷蔵室3の扉3a及び冷凍室4の扉4aが両方開いた状態になると、第1圧縮機11及び第2圧縮機21が停止される。
【0051】
ステップ#53の判断で冷蔵室扉異常開成の状態でない場合はステップ#54でフラグF1が1か否かが判断される。フラグF1が1の場合は冷蔵室3が冷却中であり、ステップ#55で冷蔵室3の温度が下限温度Tre以下になったか否かが判断される。
【0052】
冷蔵室3の温度が下限温度Treよりも高温の場合は図4のステップ#12に戻る。冷蔵室3の温度が下限温度Tre以下の場合はステップ#56に移行する。ステップ#56ではフラグF1に0が代入され、ステップ#57で第1圧縮機11が停止される。これにより、冷蔵室3の冷却が終了し、図4のステップ#12に戻る。
【0053】
ステップ#54の判断でフラグF1が1でない場合はステップ#58に移行する。ステップ#58では冷蔵室3の温度が上限温度Trs以上か否かが判断される。冷蔵室3の温度が上限温度Trsよりも低温の場合は図4のステップ#12に戻る。
【0054】
冷蔵室3の温度が上限温度Trs以上の場合はステップ#59に移行する。ステップ#59ではフラグF1に1が代入され、ステップ#60で第1圧縮機11が駆動される。これにより、冷蔵室3の冷却が開始され、図4のステップ#12に戻る。
【0055】
図5は冷蔵室扉異常開成処理の動作を示すフローチャートである。ステップ#71ではフラグF2が1か否かが判断される。フラグF2が1の場合は冷凍室4が冷却中であり、ステップ#72で冷凍室4の温度が下限温度Tfe以下になったか否かが判断される。
【0056】
冷凍室4の温度が下限温度Tfeよりも高温の場合は図4のステップ#12に戻る。冷凍室4の温度が下限温度Tfe以下の場合はステップ#73に移行する。ステップ#73はフラグF1及びフラグF2に0が代入され、ステップ#74で第1圧縮機11及び第2圧縮機21が停止される。これにより、冷凍室4の冷却が終了し、図4のステップ#12に戻る。
【0057】
ステップ#71の判断でフラグF2が1でない場合はステップ#75に移行する。ステップ#75では冷凍室4の温度が上限温度Tfs以上か否かが判断される。冷凍室4の温度が上限温度Tfsよりも低温の場合は図4のステップ#12に戻る。
【0058】
冷凍室4の温度が上限温度Tfs以上の場合はステップ#76に移行する。ステップ#76ではフラグF1及びフラグF2に1が代入される。ステップ#77では第1圧縮機11及び第2圧縮機21が駆動される。
【0059】
この時、第1圧縮機11は扉3a及び扉4aが閉じた通常状態で第1、第2圧縮機11、21が同時駆動される際に可変される最小回転数で低速回転する。これにより、冷蔵室3の冷却を抑制した状態で冷凍室4の冷却が開始される。第1圧縮機11を該最小回転数よりも小さい回転数で駆動してもよい。そして、図4のステップ#12に戻る。
【0060】
本実施形態によると、冷凍室扉異常開成時に第2圧縮機21を停止して冷蔵室3の温度に基づいて第1圧縮機11を駆動し、冷蔵室3を冷却する。また、冷蔵室扉異常開成時に冷凍室4の温度に基づいて第1圧縮機11及び第2圧縮機21を駆動し、冷凍室4を冷却する。従って、扉3aまたは扉4aが開いた状態の貯蔵室が高温であっても第1圧縮機11及び第2圧縮機21を停止し、冷凍冷蔵庫1の無駄な電力消費を削減することができる。
【0061】
また、扉3a及び扉4aが閉じた通常状態で第1圧縮機及び第2圧縮機を同時に駆動した際に第1圧縮機11の回転数が所定の範囲内で可変されるので、冷蔵室3の過冷却を防止することができる。また、冷蔵室扉異常開成時に駆動される第1圧縮機11の回転数を該範囲の最小回転数以下にしたので、扉3aが開いた冷蔵室3の冷却を抑制し、電力消費をより削減することができる。
【0062】
また、冷蔵室扉異常開成時に、冷凍室4の温度が上限温度Tfsよりも高温になると第1圧縮機11及び第2圧縮機21を駆動し、下限温度Tfeよりも低温になると第1圧縮機11及び第2圧縮機21を停止するので、電力消費を削減できる冷凍冷蔵庫1を容易に実現することができる。
【0063】
また、冷凍室扉異常開成時に、冷蔵室3の温度が上限温度Trsよりも高温になると第1圧縮機11を駆動し、下限温度Treよりも低温になると第1圧縮機11を停止するので、電力消費を削減できる冷凍冷蔵庫1を容易に実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によると、二元冷凍サイクルを備えた冷凍冷蔵庫に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 冷凍冷蔵庫
3 冷蔵室
4 冷凍室
5 機械室
7 制御部
9 周囲温度センサ
10 第1冷凍サイクル
11 第1圧縮機
12 第1放熱器
13 第1減圧装置
14 第1蒸発器
15 第1送風機
16、26 冷媒管
19 冷蔵室温度センサ
20 第2冷凍サイクル
21 第2圧縮機
22 第2放熱器
23 第2減圧装置
24 第2蒸発器
25 第2送風機
29 冷凍室温度センサ
30 冷凍サイクル
31 中間熱交換器
41 冷蔵室扉センサ
42 冷凍室扉センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵物を冷蔵保存する冷蔵室と、貯蔵物を冷凍保存する冷凍室と、第1冷媒が流通する第1冷凍サイクルを運転する第1圧縮機と、第2冷媒が流通する第2冷凍サイクルを運転する第2圧縮機と、第1冷凍サイクルの低温部に配される第1蒸発器と、第1冷凍サイクルの低温部と第2冷凍サイクルの高温部との間で熱交換を行う中間熱交換器と、第2冷凍サイクルの低温部に配される第2蒸発器とを備え、第1蒸発器により前記冷蔵室を冷却するとともに第2蒸発器により前記冷凍室を冷却する冷凍冷蔵庫において、
前記冷凍室の扉が所定期間継続して開かれた状態を維持される冷凍室扉異常開成時に、第2圧縮機を停止するとともに前記冷蔵室の温度に基づいて第1圧縮機を駆動して前記冷蔵室の冷却を行い、前記冷蔵室の扉が所定期間継続して開かれた状態を維持される冷蔵室扉異常開成時に、前記冷凍室の温度に基づいて第1圧縮機及び第2圧縮機を駆動して前記冷凍室の冷却を行うことを特徴とする冷凍冷蔵庫。
【請求項2】
前記冷蔵室の扉及び前記冷凍室の扉が閉じた通常状態で第1圧縮機及び第2圧縮機を同時に駆動した際に第1圧縮機の回転数が所定の範囲内で可変され、前記冷蔵室扉異常開成時に駆動される第1圧縮機の回転数を該範囲の最小回転数以下にしたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項3】
前記冷蔵室扉異常開成時に、前記冷凍室の温度が所定の上限温度よりも高温になると第1圧縮機及び第2圧縮機を駆動し、前記冷凍室の温度が所定の下限温度よりも低温になると第1圧縮機及び第2圧縮機を停止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷凍冷蔵庫。
駆動
【請求項4】
前記冷凍室扉異常開成時に、前記冷蔵室の温度が所定の上限温度よりも高温になると第1圧縮機を駆動し、前記冷蔵室の温度が所定の下限温度よりも低温になると第1圧縮機を停止することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の冷凍冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−92291(P2013−92291A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233893(P2011−233893)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】